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JP3936837B2 - 歯科用充填器および歯科用装填具 - Google Patents

歯科用充填器および歯科用装填具 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯科用充填器および歯科用装填具に関し、詳しくは、歯科治療において歯腔内に充填材を注入するために用いる歯科用充填器、および該歯科用充填器に装着することができる歯科用装填具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、歯科治療において歯腔(根管や、歯の欠損部分)内に、ガッタパーチャやレジンなどの歯科用充填材を注入するための歯科用充填器が種々提案されている。
【0003】
例えば、特公平1−40621号公報に開示された注射器型の充填器は、押し棒ロッドを押し込むことにより、ヒーターで加熱し軟化させた充填材をニードルの先端から押し出すようになっている。
【0004】
また、図1に示したピストル型の充填器2は、レバー3を引くことによりラチェット機構を介して押し棒ロッド4を押し込み、ヒーター5で加熱し軟化させた充填材をニードル7の先端7aから押し出すようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の充填器は、充填材を押し出すためには、押し棒ロッドやレバーに強い力を加える必要がある。そのため、充填材を押し出すために指先に力を加えても、充填材の流し込み位置からニードル先端がずれないように充填器を把持することは容易ではなく、操作に習熟が要求される。また、充填材が十分に軟化していないと、より強い力で充填材の押し出し操作をしなければならず、充填材の流し込みに応じてニードル先端の位置を微妙に動かす作業との両立が難しい。さらに、注入した充填材から受けるニードル先端の微妙な押し上げ感覚を確認しながら、充填材の押し出し操作と同時にニードル先端を徐々に引き上げる作業が必要であり、注意を払うべき点が多く、作業が複雑である。
【0006】
また、図2に示したように、根管8内に充填材9を充填する場合、充填材押し出しの操作量が大きすぎたり、操作が急激であると、根尖8aから充填材9aが溢れ出ることがある。このような溢出した充填材9aは、打診痛を引き起こしたり、吸収されるまで時間がかかるなど、予後がよくないことが指摘されている。
【0007】
また、ニードルから押し出されている間に充填材が冷えてしまうと、充填材を緊密に充填できなかったり、注入後に歯腔内からニードルを抜くときに、充填材がニードルに付着してニードルと一緒に歯腔外に抜け出ることがある。
【0008】
また、歯根管内に固形充填材を挿入し、所定長さに切断した後、軟化した充填材を注入する術式において、充填器に取り付けたニードルで固形充填材を加熱して切断することがあるが、その場合、ニードルが冷えていると切断作業が困難である。
【0009】
また、根管充填法として、マスターポイントやアクセサリーポイントといった細長くテーパの付いた棒状の固形充填材を根尖孔に刺し込み、根尖孔を閉塞し、スプレッダーと呼ばれる装填具の加熱した先端で、根尖孔を閉塞する先端部分を残して棒状充填材を瞬間的に(1秒ほどで)溶かして切断する術式が提案されている。また、根管に注入した充填材を気密に充填するため、プラッガーと呼ばれる装填具を用いて圧接する術式が提案されている。これらの術式と充填材の注入とを前後して行う場合、用いる器具を交換する必要があり、面倒である。また、作業ごとに使用する器具の大きさや形、重さなどがばらばらであると、作業ごとに操作感覚が異なるため、それだけ各作業が困難になる。
【0010】
また、例えば、厳密な封鎖性が要求される根尖部には、低温で溶解する低温溶解性の充填材を用い、主根管においては、通常の高温溶解性の充填材を使用するというように、充填材を使い分ける術式がある。この場合、特性の異なる充填材ごとに別個の充填器を用意すると、コスト面で問題がある。また、充填器ごとに、別個に調整し、操作する必要が生じ、作業が煩雑であり、効率も悪い。
【0011】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、より簡単に歯科用充填材の充填を行うことができる歯科用充填器および歯科用装填具を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成の歯科用充填器を提供する。
【0013】
歯科用充填器は、歯科用充填材を押し棒で押し出すタイプのものである。歯科用充填器は、押し棒駆動手段と、制御手段とを備える。上記押し棒駆動手段は、上記押し棒を駆動源の動力を利用して上記歯科用充填材の押し出し方向に移動させる歯科用充填材押し出し動作を行うことができる。上記制御手段は、上記押し棒駆動手段の上記歯科用充填材押し出し動作を制御する。
【0014】
上記構成において、押し棒駆動手段は、種々の態様で適宜に構成することができる。例えば、駆動源の動力は、直接、押し棒に伝達しても、ギヤ、ラック、ねじ、レバー、リンク機構などを適宜組み合わせた動力伝達系を介して押し棒に伝達してもよい。駆動源には、各種のアクチュエータを用いても、手動、すなわち操作者の操作力を用いてもよい。アクチュエータとしては、例えば、DCモーター、ACモーター、パルスモーター等の各種のモーター、油圧シリンダ、水圧シリンダ、空気シリンダ、エアタービンなどが好適と考えられるが、これに限るものではない。手動の場合、例えば、バネなどで操作力をチャージするようにする。
【0015】
上記構成によれば、押し棒は駆動源の動力によって移動するので、充填材を押し出すために強い力を必要とする操作(例えば押し棒ロッドやレバーの押し込み)を、無くすことができる。
【0016】
また、上記構成において、制御手段は、押し棒駆動手段の動作を適宜な態様で制御する。例えば、駆動源のオン・オフを制御してもよい。また、押し棒駆動手段の動力伝達系に設けた切り換え機構や減速機構などを制御するようにしてもよい。
【0017】
上記構成によれば、制御手段により押し棒の移動が制御される。これにより、操作者が押し棒を移動するための手操作(例えば押し棒ロッドやレバーの押し込み)を加減しなくても、充填材の注入量や注入速度などを制御できるようにして、作業を容易にすることが可能である。
【0018】
したがって、より簡単に歯科用充填材の充填を行うことができる。
【0019】
上記構成において、加熱すると軟化する歯科用充填材(例えば、ガタパーチャ)を用いる場合には、シリンダの周囲に加熱手段を配置し、歯科用充填材を加熱して軟化させた状態で押し棒で押し出す。
【0020】
好ましくは、上記歯科用充填材の注入量と注入時間と注入速度とのうち、少なくとも一つの注入条件を設定する注入条件設定手段を備える。上記制御手段は、上記注入条件設定手段により設定された上記注入条件に基づいて、上記押し棒駆動手段の上記歯科用充填材押し出し動作を制御する。
【0021】
上記構成によれば、使用者が設定した注入条件を達成するように、充填材の押し出しを制御することが可能である。注入条件を変更することができるので、歯科用充填器の用途が広がる。
【0022】
好ましくは、上記歯科用充填材の注入量と注入時間と注入速度とのうち、少なくとも一つの注入条件を表示する注入条件表示手段を備える。
【0023】
上記構成によれば、注入条件を注入条件表示手段により容易に知ることができる。
好ましくは、上記押し棒駆動手段は、上記駆動源の動力を利用して、上記押し棒を上記歯科用充填材の押し出し方向とは反対方向に移動させる押し棒戻し動作を行うことができる。
【0024】
好ましくは、上記制御手段は、上記押し棒の移動速度を制御する移動速度制御部を含む。
【0025】
上記構成によれば、押し棒の移動速度を制御して、充填材を所望の速度で押し出すようにすることができる。これにより、充填材の特性、充填部位、充填方法等に応じて、適宜な速度で充填材を充填することが可能となる。
【0026】
好ましくは、上記制御手段は、上記押し棒の移動距離を制御する移動距離制御部を含む。
【0027】
上記構成によれば、押し棒が適宜な距離だけ移動するように制御して、充填材を所望量だけ押し出すようにすることができる。これにより、過剰充填を回避できる。例えば、根尖を閉塞する場合、必要量だけ充填材を押し出すことにより、たとえ充填材が根尖から溢出してもその量は限られるので、溢出を最小限に抑えることができる。また、根管全体に充填する場合、必要量以上に充填して根管上部から充填材が溢れ出ないようにすることができる。
【0028】
好ましくは、上記制御手段は、上記押し棒の移動時間を制御する移動時間制御部を含む。
【0029】
上記構成によれば、押し棒が所定時間だけ移動するように制御して、充填材の押し出し動作が所定時間を超えて実行されないように制限することができる。これにより、押し出される充填材は、一定量を超えることがない。また、充填を行うことができる時間が限られ、充填材の押し出しが自動的に停止するので、充填材の押し出し停止操作を行う必要がない。これにより、充填作業に集中することができる。
【0030】
好ましくは、上記歯科用充填材の注入量と注入速度を設定する注入条件設定手段を備える。上記制御手段は、上記注入条件設定手段により設定された上記注入量と上記注入速度とに基づき上記押し棒の移動時間の目標値を設定して、上記押し棒駆動手段の上記歯科用充填材押し出し動作を制御する。
【0031】
上記構成によれば、設定された注入量と注入速度に基づいて、目標値が自動的に設定され、押し棒の移動時間が制御される。押し棒の移動速度が可変である場合には、それに応じて移動時間の目標値を設定するようにしてもよい。注入部位や注入方法から通常は容易に決定することができる注入量と注入速度を設定すれば、最適な注入時間、作業時間が自動的に設定される。算出が面倒な注入時間を設定しなくてもよいので、使い勝手がよく、便利である。
【0032】
好ましくは、上記制御手段は、押し出し操作スイッチと、押し出し操作スイッチ連動制御部とを含む。上記押し出し操作スイッチ連動制御部は、上記押し出し操作スイッチが操作状態のときには、上記押し棒駆動手段の上記歯科用充填材押し出し動作を許可する。一方、上記押し出し操作スイッチが非操作状態のときには、上記押し棒駆動手段の動作を強制的に禁止する。
【0033】
上記構成において、操作スイッチの操作中にのみ充填材が押し出され、非操作中には押し出されないようにすることができる。操作スイッチ連動制御部は、移動距離制御部や移動時間制御部などよりも優先して動作する。すなわち、所定の移動距離や移動時間に達する前であっても、操作スイッチが非操作状態となれば、押し棒の駆動を強制的に停止させる。
【0034】
上記構成によれば、操作スイッチの操作に連動して充填材の押し出しを開始、停止でき、直感的な操作が可能となる。また、操作スイッチは、弱い力でも操作できるようにすることができる。
【0035】
したがって、充填作業が容易になる。
【0036】
好ましくは、上記制御手段は、戻し操作スイッチと、戻し操作スイッチ連動制御部とを含む。上記戻し操作スイッチ連動制御部は、上記戻し操作スイッチが操作状態のときには、上記押し棒駆動手段の上記歯科用充填材押し出し動作を強制的に禁止し、上記押し棒駆動手段の上記押し棒戻し動作を許可する。
【0037】
上記構成によれば、戻し操作スイッチの操作だけで押し棒を戻すことができ、使用者が手で押し棒を引き戻すなどの操作が不要になり、便利である。
【0038】
好ましくは、上記制御手段は、上記押し棒駆動手段の上記歯科用充填材押し出し動作を停止させた直後に、上記押し棒駆動手段の上記戻し動作を所定時間行わせる押し出し停止制御部を含む。
【0039】
歯科用充填材押し出し動作を単に停止しただけでは、停止後もしばらくの間は歯科用充填材が押し出され続けるが、上記構成によれば、歯科用充填材の押し出し動作の停止後、直ちに歯科用充填材が押し出されないようにすることができる。したがって、充填作業がやり易くなる。特に、一定量の充填を行うように制御する場合に、充填量の制御精度が向上し、好ましい。
【0040】
好ましくは、上記押し棒駆動手段は、上記駆動源の動力を利用して、上記押し棒を上記歯科用充填材の押し出し方向とは反対方向に移動させる押し棒戻し動作を行うことができる。上記制御手段は、終端検出手段と、始端検出手段と、押し棒移動範囲制御部とを含む。上記終端検出手段は、上記押し棒が上記押し出し方向の第1の所定位置に達したことを検出する。上記始端検出手段は、上記押し棒が上記第1の所定位置よりも上記押し出し方向とは反対方向の第2の所定位置に達したことを検出する。上記押し棒移動範囲制御部は、上記押し棒が上記第1の所定位置に達したことを上記終端検出手段により検出したとき、上記押し棒駆動手段の上記歯科用充填材押し出し動作を強制的に禁止する。上記押し棒移動範囲制御部は、上記押し棒が上記第2の所定位置に達したことを上記始端検出手段により検出したとき、上記押し棒駆動手段の上記押し棒戻し動作を強制的に禁止する。
【0041】
上記構成によれば、押し棒を第1の所定位置と第2の所定位置との間で移動させるようにすることができる。これにより、押し棒を押し続けたり戻し続けたりして装置が破壊することを防止することができ、安全である。
【0042】
ところで、上記各構成の歯科用充填器は、充填材が押し出される本体と別置装置とに分離し、両者の間を接続ケーブルで接続する構成としてもよい。その場合、押し棒駆動手段、制御手段、注入条件設定手段、注入条件表示手段は、それぞれ、本体と別置装置の一方又は両方に適宜に配置することができる。
【0043】
好ましくは、片手で把持することができる形状を有し、その内部又は表面に他のすべての構成部材(すなわちハウジング以外の構成部材、具体的には、押し棒駆動手段、制御手段、注入条件設定手段、および注入条件表示手段の各構成部材やその他の構成部材)が配置されたハウジングを備える。
【0044】
上記構成によれば、歯科用充填器は、全体が一つのまとめられ、一体的に構成される。接続ケーブルなど取り回しに支障が生じるものがないコードレスの構成となるので、歯科用充填器を把持して自由に操作することができ、操作性が向上する。
【0045】
また、本発明は、以下の構成の歯科用充填器を提供する。
【0046】
歯科用充填器は、ニードル装着部に装着されたニードルの先端から加熱された歯科用充填材を出すタイプものである。歯科用充填器は、加熱手段と、加熱温度設定手段と、加熱制御手段とを備える。上記加熱手段は、上記ニードル装着部又はその近傍に配置され、上記ニードルを上記歯科用充填材の軟化温度まで加熱することができる。上記加熱温度設定手段は、上記加熱手段による加熱温度を設定する。上記加熱制御手段は、上記加熱温度設定手段により設定された上記加熱温度に基づいて、上記加熱手段の加熱動作を制御する。
【0047】
上記構成において、歯科用充填器に装着されたニードルは、加熱手段により加熱される。このとき、ニードルの加熱は、加熱温度設定手段に設定された加熱温度に基づいて、適宜に制御される。
【0048】
上記構成において、加熱手段は、種々の態様で構成することができる。例えば、加熱手段で発生した熱をニードルに伝達するように構成しても、加熱手段によりニードルに電流を流して、あるいは時間的に変化する磁束をニードルに通して渦電流を生じさせて、電流によるジュール熱でニードル自体が発熱するように構成してもよい。加熱手段は、歯科用充填材を軟化させるために加熱する充填材用加熱手段と兼用するように構成してもよいが、好ましくは、充填材用加熱手段とは別個独立に設ける構成とする。これにより、歯科用充填材の加熱制御とは別に、ニードルの加熱温度を独立して制御することができるので、ニードルの加熱温度の制御が容易となる。
【0049】
上記構成において、加熱温度設定手段は、加熱温度を直接設定するようにしても、歯科用充填材の種類を選ぶことにより、対応する加熱温度が設定されるようにしてもよい。また、加熱温度設定手段で加熱温度を設定しない場合、あるいは特別な設定を行った場合には、加熱手段がニードルを加熱しないように構成してもよい。この場合、歯科用充填材のみを加熱し、ニードルを加熱しないようにすることができる。
【0050】
上記構成によれば、歯科用充填材の軟化温度に応じて設定された加熱温度に基づいてニードルを加熱し、十分に軟化した歯科用充填材がニードルから目的位置に注入されるようにすることができる。
【0051】
したがって、より簡単に歯科用充填材の充填を行うことができる。
【0052】
好ましくは、上記加熱温度設定手段により設定された上記加熱温度を表示する加熱温度表示手段を備える。
【0053】
上記構成によれば、加熱温度を設定するときやニードル加熱中に、設定されている加熱温度を容易に確認することができ、便利である。
【0054】
ところで、上記各構成の歯科用充填器は、充填材が押し出される本体と別置装置とに分離し、両者の間を接続ケーブルで接続する構成としてもよい。その場合、加熱手段、加熱温度設定手段、加熱制御手段、加熱温度表示手段の各構成部材は、それぞれ、本体と別置装置の一方又は両方に適宜に配置することができる。
【0055】
好ましくは、片手で把持することができる形状を有し、その内部又は表面に他のすべての構成部材(すなわちハウジング以外の構成部材、具体的には、加熱手段、加熱温度設定手段、加熱制御手段、および加熱温度表示手段の各構成部材やその他の構成部材)が配置されたハウジングを備える。
【0056】
上記構成によれば、歯科用充填器は、全体が一つのまとめられ、一体的に構成される。接続ケーブルなど取り回しに支障が生じるものがないコードレスの構成となるので、歯科用充填器を把持して自由に操作することができ、操作性が向上する。
【0057】
また、本発明は、以下の構成の歯科用充填器を提供する。
【0058】
歯科用充填器は、ニードル装着部に装着されたニードルの先端から歯科用充填材を出すタイプものもである。上記ニードル装着部は、スプレッダー型又はプラッガー型の装填具を装着できるように構成されている。
【0059】
上記構成によれば、歯科用充填器のニードル装着部に、スプレッダー型又はプラッガー型の装填具を取り付けることができる。スプレッダー型の装填具を装着した場合には、装填具の先端を加熱し、根管内に挿入され根尖を閉塞したマスターポイントやアクセサリーポイントの上部を溶かしながら切断する作業を行うことができる。プラッガー型の装填具を取り付けた場合は、根管内に挿入されプラグが根管に圧接するように、プラッガー型の装填具の先端でプラグを押圧する作業を行うことができる。
【0060】
上記構成によれば、歯科用充填器を把持しながらスプレッダー型又はプラッガー型の装填具を操作することができ、歯科用充填材を充填作業も、スプレッド作業やプラグ作業と同様の感覚で行うことができる。また、器具を兼用することで、使用する器具の種類を減らし、器具の選択を容易にすることができる。
【0061】
したがって、より簡単に充填材の充填を行うことができる。
【0062】
好ましくは、上記ニードル装着部又はその近傍に、ヒーターが内蔵される。
【0063】
上記構成によれば、歯科用充填器のニードル装着部に装着した装填具を加熱することができるので、バーナー等で装填具を加熱する必要がなく便利である。また、加熱温度の制御も容易である。例えば、ヒーターに一定時間通電するだけで、装填具を所定温度まで加熱することが可能である。
【0064】
好ましくは、上記ニードル装着部は、その一端側が上記歯科用充填器の上記ニードル装着部に装着され該一端から他端側に貫通する貫通穴を有する上記装填具を装着することができる。
【0065】
上記構成によれば、貫通穴を有するスプレッダー型又はプラッガー型の装填具を装着し、該装填具の他端側から歯科用充填材を出すようにすることができる。装填具を交換することなく、スプレッド作業又はプラグ作業と、歯科用充填材の充填作業とを行うことができるので、作業効率を向上することができる。
【0066】
好ましくは、上記ニードル装着部は、超弾性合金で形成された上記装填具を装着することができる。
【0067】
上記構成によれば、ニッケルチタンのような超弾性合金で形成したスプレッダー型又はプラッガー型の装填具は、十分な柔軟性が得られ、湾曲した根管に沿って容易に挿入して用いることができる。
【0068】
ところで、上記各構成の歯科用充填器は、充填材が押し出される本体と、別置装置とに分離し、両者の間を接続ケーブルで接続するように構成してもよい。その場合、歯科用充填器の各構成要素を、それぞれに適宜に、本体と別置装置の一方又は両方に配置することができる。
【0069】
好ましくは、片手で把持することができる形状を有し、その内部又は表面に他のすべての構成部材が配置されたハウジングを備える。
【0070】
上記構成によれば、歯科用充填器は、全体が一つのまとめられ、一体的に構成される。接続ケーブルなど取り回しに支障が生じるものがないコードレスの構成となるので、歯科用充填器を把持して自由に操作することができ、操作性が向上する。
【0071】
また、本発明は、歯科用充填器に装着される以下の構成の装填具を提供する。
【0072】
歯科用装填具は、ニードル装着部に装着されたニードルの先端から歯科用充填材を出す歯科用充填器の上記ニードル装着部に装着することができ、スプレッダー型又はプラッガー型である。
【0073】
上記構成の装填具を歯科用充填器に装着して根管充填剤を切断する作業や圧接する作業を行うことにより、歯科用充填材を充填作業も、根管充填剤を切断する作業や圧接する作業と同様の感覚で行うことができる。また、器具を兼用することで、使用する器具の種類を減らし、器具の選択を容易にすることができる。
【0074】
したがって、より簡単に歯科用充填材の充填を行うことができる。
【0075】
好ましくは、歯科用装填具は、その一端側が上記歯科用充填器の上記ニードル装着部に装着され、該一端から他端側に貫通する貫通穴を有する。
【0076】
好ましくは、歯科用装填具は、超弾性合金で形成される。
【0077】
また、本発明は、以下の構成の歯科用充填器を提供する。
【0078】
歯科用充填器は、歯科用充填材を加熱して押し出す加熱押し出し手段を有するタイプのものである。歯科用充填器は、複数個の上記歯科用充填材が収納され、該収納された複数個の上記歯科用充填材を選択的に上記加熱押し出し手段に供給する充填材収納手段を備える。
【0079】
上記構成によれば、充填材収納手段に収納した複数個の歯科用充填材を、適宜選択して用いることができる。複数個の歯科用充填材を使用する一連の作業の途中で歯科用充填材を装填しなくてもよいようすることができ、作業効率的を向上することが可能である。
【0080】
したがって、より簡単に歯科用充填材の充填を行うことができる。
【0081】
充填材選択供給手段は、種々の方式を採用することができる。
【0082】
例えば、スライド方式とすることができる。すなわち、上記充填材収納手段は、上記歯科用充填材を収納する複数の収納部を有する。上記充填材収納手段は、上記各収納部が上記加熱押し出し手段に連通する連通位置に選択的に配置されるようにスライド移動可能に支持される。
【0083】
上記構成によれば、所望の充填材が収納された収納部が連通位置になるように、充填材収納手段をスライドすることにより、使用する充填材を選択することができる。
【0084】
レボルバー方式としてもよい。すなわち、上記充填材収納手段は、上記歯科用充填材を収納する複数の収納部を有する。上記充填材収納手段は、上記各収納部が上記加熱押し出し手段に連通する連通位置に選択的に配置されるように回転移動可能に支持される。
【0085】
上記構成によれば、所望の充填材が収納された収納部が連通位置になるように、充填材収納手段を回転することにより、使用する充填材を選択することができる。
【0086】
さらに別の構成としてもよい。すなわち、上記充填材収納手段は、上記歯科用充填材を収納する複数の収納部と、該各収納部と上記上記加熱押し出し手段との間を選択的に連通する連通部とを含む。
【0087】
上記構成によれば、所望の充填材が収納された収納部が連通部により加熱押し出し手段と連通し、所望の充填材を収納部から加熱押し出し手段に送り込むことができるようにすることができる。これにより、使用する充填材を選択することができる。
【0088】
好ましくは、各収納部に複数個の充填材が収納されるようにし、各収納部から一つずつ充填材が加熱押し出し手段に送り込まれるようにする。これにより、充填材を装填する回数を減らすことができ、作業を効率的に行うことができる。
【0089】
好ましくは、上記加熱押し出し手段が上記歯科用充填材を加熱する温度、加熱する時間、押し出し量の少なくとも一つの加熱押し出し条件を、上記充填材収納選択手段から上記加熱押し出し手段に供給された上記歯科用充填材に応じて設定する加熱押し出し条件設定手段を備える。
【0090】
上記構成において、加熱押し出し条件設定手段は、例えば充填材収納手段の各収納部それぞれについて加熱押し出し条件を設定するようにする。
【0091】
上記構成によれば、使用する歯科用充填材に応じて、自動的に、少なくとも一つの加熱押し出し条件が設定されるので、作業が簡単になる。
【0092】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態に係る歯科用充填器について、図面を参照しながら説明する。各図において、同様の構成部分には同じ符号を用いている。
【0093】
まず、第1実施形態の歯科用充填器10について、図3の断面図を参照しながら説明する。
【0094】
歯科用充填器10は、片手で把持することができる大略ピストル形状のハウジング20を有し、ガッタパーチャ等の歯科用充填材を加熱して軟化させ、押し出し操作スイッチ30の操作によりニードル100の先端100aから軟化した充填材を押し出すようになっている。
【0095】
詳しくは、ハウジング20の上部には、充填材を加熱するためのヒーター36と、充填材を押し出すための押し出し軸54とが配置されている。ハウジング20は、断熱のため、ヒーター36の周囲がサーマルプロテクタ22となっている。押し出し軸54にはラック52が形成され、ギヤ50(模式的に図示している)と噛合するようになっている。ハウジング20の下部には、ギヤ50を駆動するためのモーター34と、ヒーター36およびモーター34を制御するための制御回路を搭載した制御基板32と、ハウジング20から外部に露出した部分を押し込むことにより操作する押し出し操作スイッチ30と、電源コード24に接続され制御基板32に電源を供給する電源基板26とが配置されている。
【0096】
歯科用充填器10に充填材を装着し、ヒーター36により充填材を加熱して軟化させる。ハウジング20の下部を片手で把持し、押し出し操作スイッチ30を指で押すと、モーター34が駆動を開始し、ギヤ50が回転する。ギヤ50とラック52の噛合により、押し出し軸54は充填材を押し出す方向(図3において左方向)に移動する。これにより、加熱されて軟化した充填材は、ニードル100側に押し出され、ニードル100に先端100aから外部に押し出される。
【0097】
また、不図示の戻し操作スイッチの操作によりモーター34が逆方向に回転し、押し出し軸54が押し出し方向とは反対方向に移動するようになっている。これにより、充填材の押し込み方向に移動した押し出し軸54を手で引き戻す必要がなくなり、便利である。
【0098】
また、ハウジング20内には安全対策のため、図3に示すように、押し出し軸54の押し出し方向端を検出する第1のリミットスイッチ31aと、戻し方向端を検出する第2のリミットスイッチ31bとを備えている。すなわち、モーター34が正転し、押し出し軸54が押し出し方向(図において左方向)に移動して、押し出し軸54の肩部54sがリミットスイッチ31aに当接すると、モーター34が回転を停止し、押し出し軸54は押し出し方向端で停止するようになっている。一方、モーター34が逆転し、押し出し軸54が逆方向(図において右方向)に移動して、押し出し軸54に設けた検出板54tがリミットスイッチ31bに当接すると、モーター34が回転を停止し、押し出し軸54は戻し方向端に停止するようになっている。
【0099】
歯科用充填器10は、押し出し操作スイッチ30の押し込み操作に対して、以下のいずれかの動作モードで動作する。なお、動作モードは、一つに固定しても、自由に選択できるようにしてもよい。
【0100】
第1の動作モードでは、押し出し操作スイッチ30を押し込むと、押し出し軸50が所定の速度で移動するように、モーター34が一定速度で回転する。これにより、ニードル100の先端100aからは充填材が一定速度で押し出され、充填材の注入作業を安定して行うことができる。
【0101】
第2の動作モードでは、押し出し操作スイッチ30を押し込むと、押し出し軸50が所定距離だけ移動するように、モーター34は所定量だけ回転する。これにより、ニードル100の先端100aからは、充填材が所定量だけ押し出される。これにより、図2のように溢れ出る充填材があったとしても、その量は所定量を超えることはなく、最小限に抑えることができる。
【0102】
第3の動作モードでは、押し出し操作スイッチ30を押し込むと、押し出し軸50が所定時間だけ移動するように、モーター34は所定時間だけ回転する。これにより、ニードル100の先端100aからは、所定時間内に限り、充填材が押し出される。これにより、押し出し操作スイッチ30の操作後、一定時間内に限って充填材が押し出されるので、図2のように溢れ出る充填材があったとしても、その量は一定量を超えることはなく、最小限に抑えることができる。
【0103】
第4の動作モードでは、押し出し操作スイッチ30を押し込んでいる間だけ、モーター34が回転し、押し出し操作スイッチ30を押し込むのを止めるとモーター34が回転を停止する。押し出し操作スイッチ30を押し込み操作に連動して、充填材が押し出されるので、直感的に操作することが可能となる。
【0104】
第4の動作は、第1〜第3の各動作と組み合わせてもよいが、その場合には、第4の動作が優先するようにし、押し出し操作スイッチ30を押し込むのを止めると、第1〜第3の各動作の終了条件を満たしていなくても、直ちにモーター34が回転を停止するようにする。
【0105】
いずれの動作モードにおいても、モーター34が正転して充填材の押し込みを行う。そして、充填材の押し出しを停止するときには、モーター34は回転を停止する。このとき、モーター34は単に回転を停止するだけでもよいが、それでは押し出し圧力が残るので、モーター34の回転停止後も、しばらくの間はニードル100の先端100aから充填材が押し出され続ける。
【0106】
そこで、好ましくは、充填材の押し込みを停止するときには、正転しているモーターを所定時間だけ逆転させた後、停止する。これによって、充填停止操作後、直ぐにニードル100の先端100aから充填材が押し出されないようになり、作業がやり易くなる。また、充填材の量をより正確に制御することができる。
【0107】
尚、前述の戻し操作スイッチは、押し出し操作スイッチ30よりも優先することが好ましい。すなわち、押し出し操作スイッチ30の操作により充填材の押し出し操作中であっても、戻し操作スイッチが操作されると、充填材の押し出し操作は停止する。
【0108】
次に、上記歯科用充填器10の変形例について、相違点を中心に説明する。
【0109】
第1の変形例の歯科用充填器11は、電源コード24により電源を供給する代わりに、図4の断面図に示したように、ハウジング20内に電源用の電池28を収納するように構成してもよい。電源コード24を無くすことにより、歯科用充填器11の取り回しが容易になる。
【0110】
第2の変形例は、図5(a)に示すように、歯科用充填器12と本体ボックス80とが接続ケーブル25により接続されいる。
【0111】
歯科用充填器12は、図3の歯科用充填器10と大略同様に構成されている。相違点は、制御基板33が後述する本体ボックス80の制御基板88と接続ケーブルを介して通信する点である。
【0112】
接続ケーブル25は、歯科用充填器12に電源を供給するとともに、歯科用充填器12と本体ボックス80との間で信号を伝送する。
【0113】
本体ボックス80には、表示部86と、操作盤87と、制御基板88とを有する。
【0114】
操作盤87上のスイッチやボリュームを適宜操作することにより、歯科用充填器12の動作について種々の設定を行うことができる。例えば、歯科用充填材を押し出す量(注入量)、時間(注入時間)、速度(注入速度)などの注入条件や、歯科用充填材を加熱する温度(加熱温度)や時間などの加熱条件を適宜設定することができるようになっている。予め決定することが容易な注入量と時間注入時間とを設定すれば、算出が面倒な注入速度が自動的に設定されるようにしてもよい。
【0115】
表示部86は、操作盤87で設定された各種設定条件(注入条件、加熱条件など)や、歯科用充填器12の現在の状態(充填材の装填待ち、充填材の加熱温度、充填材の加熱終了、充填材の充填量、充填材の充填終了など)を、数値や絵により適宜表示する。例えば、根管を模式図で表示し、根管内の領域の表示が、歯科用充填材の充填量に応じて変化するようにする。
【0116】
第3の変形例は、図5(b)に示したように、第2の変形例と大略同様に構成される。相違点は、本体ボックス82に載置部84を設け、歯科用充填器13を載置できるようにして、接続ケーブル25を無くしている点である。詳しくは、本体ボックス82の載置部84には、充電用端子と信号用端子とを備える。歯科用充填器13は充電用の電池29と、不図示の端子とを有する。そして、歯科用充填器13を本体ボックス82の載置部84に載置したときに、電池29が充電され、また、本体ボックス82の制御部88と歯科用充填器13の制御基板33との間で通信を行うことができるようになっている。
【0117】
次に、第2実施形態の歯科用充填器について、図6〜図9を参照しながら説明する。
【0118】
第2実施形態の歯科用充填器14は、第1実施形態の歯科用充填器10と大略同様に構成される。以下では、相違点を中心に説明する。
【0119】
歯科用充填器14は、図6の断面図および図7の要部拡大断面図に示したように、ニードル装着部37に隣接してヒーター38を備えている。このヒーター38は、充填材を加熱するヒーター36とは別に独立して設けられていて、ニードル100の基端を加熱する。ニードル装着部37には、ニードル100の代わりに、後述するスプレッダー型の装填具やプラッガー型の装填具を装着することができる。また、操作性を向上されるために、装置外形を、略T字形状のガンタイプより略I字形状のハンドピースタイプに変更することも、より望ましい。
【0120】
ヒーター38は、充填材を加熱するヒーター36とは独立して加熱温度が制御されることが望ましい。ニードル装着部37に装着されたニードルや装填具を所望温度に加熱することが容易だからである。この場合、ヒーター38による加熱温度は、不図示の温度設定部により、ヒーター36とは別に設定できるようにする。また、不図示の温度表示部により、ヒーター38について設定された加熱温度を表示するようにすることが望ましい。
【0121】
図8は、プラッガー型の装填具の例である。これら装填具110,120,130は、中空孔112,122,132が形成され、プラッガーとしてのみならず、充填材が押し出されるニードルとしても使用することができる。
【0122】
図8(a)の装填具110は、先端116が平面に形成され、円形の開口部114を有している。図8(b)の装填具120は、先端126を斜面128でカットして、開口部124を大きくしたものである。図8(c)の装填具130は、先端136をカットする斜面138をさらに大きくして、開口部134を一層大きくしたものである。
【0123】
これらの装填具110,120,130を適宜選択し、充填器に装着した状態で、例えば、まずヒーター38で加熱して挿入されている根管充填剤を焼き切り、次に充填材を充填することができる。充填器14に装着する装填具やニードルを交換することなく、充填材の充填作業を行うことができるので、効率よく連続的に作業を行うことができる。
【0124】
図9は、スプレッダー型の装填具の例である。これら装填具210,220,230は、中空孔212,222,232が形成され、スプレッダーとしてのみならず、充填材を押し出されるニードルとしても使用することができる。
【0125】
図9(a)の装填具210は、図9(d)の要部拡大図にも示したように、先端216が曲面に形成され、円形の開口部214を有している。図9(b)の装填具220は、図9(e)の要部拡大図にも示したように、先端226を斜面228でカットして、開口部224を大きくしたものである。図9(c)の装填具230は、図9(f)の要部拡大図にも示したように、先端236をカットする斜面238をさらに大きくして、開口部234を一層大きくしたものである。
【0126】
これらの装填具210,220,230を適宜選択し、充填器に装着した状態で、例えば、まずヒーター38で装填具を加熱して根管充填剤を焼き切り、次に充填材を充填することができる。充填器に装着する装填具やニードルを交換することなく、プラッガー処置と充填材の充填を行うことができるので、効率よく連続的に作業を行うことができる。
【0127】
次に、第3実施形態の歯科用充填器につてい説明する。
【0128】
第3実施形態の歯科用充填器は、大略、第1実施形態と同様に構成されているが、充填材の装填部が第1実施形態と相違する。
【0129】
すなわち、図10に示す歯科用充填器15は、ハウジング上部にスライド可能に支持された充填材装填部60を備えている。充填材装填部60は、ハウジングの両側に突出する部分に充填材の収納部62,64を有し、矢印92で示すように左又は右にスライドすることにより収納部62又は64の充填材をハウジング20内に導き、充填に用いることができるようになっている。
【0130】
例えば、一方の収納部62には、根尖に充填するための根尖用充填材を収納し、他方の収納部64には根管全体に充填する一般用充填材を収納するようにする。この場合、一方の収納部62は、根尖部の体積から想定した量(例えば、0.01ml)を収納できる大きさとし、他方の収納部64は、根管全体の体積から想定した量(例えば、0.09ml)を収納できる大きさとすることが望ましい。また、根尖用充填材は、例えば60゜Cで溶解する低温溶解性タイプのものを用い、一般用充填材は、例えば160゜Cで溶解する高温溶解性タイプのものを用いることが望ましい。
【0131】
各収納部62,64にそれぞれ所定の充填材を収納したら、まず、一方の収納部62がハウジング20内に入るように、充填材装填部60を図10において手前側に移動する。これにより、一方の収納部62に収納された充填材を装填し、予め設定した温度(例えば、60゜C)までヒーターで加熱する。このとき、ニードル100もヒーターで加熱するようにしてもよい。
【0132】
そして、押し出し操作スイッチ30を操作してニードル100の先端100aから充填材を押し出し、根尖部に充填する。
【0133】
次に、他方の収納部64がハウジング20内に入るように、充填材装填部60を反対側(図10において奥側)に移動する。これにより、他方の収納部64に収納された充填材を装填し、自動的に、予め設定した温度(例えば、160°C)までヒーターで加熱する。このとき同様に、ニードル100もヒーターで加熱するようにしてもよい。そして、押し出し操作スイッチ30を操作してニードル100の先端100aから充填材を押し出し、根管全体に充填する。
【0134】
充填材を加熱する温度、加熱する時間、押し出し量の少なくとも一つの加熱押し出し条件は、収納部62,64ごとに予め設定しておくことが望ましい。この場合、歯科用充填器15に接続した本体ボックス(図示せず)の操作盤を用いて加熱押し出し条件を適宜設定することができるようにしてもよい。
【0135】
また、充填材ごとに加熱温度や加熱時間が異なる場合であっても、充填材が十分に加熱されてから充填を行うことができるように、充填材の加熱が終了したら音や表示等により加熱終了(充填開始可能)を知らせるようにしてもよい。
【0136】
図11は、変形例の歯科用充填器16である。充填材装填部70は、ハウジング上部に回転可能に支持され、ハウジングの片側に突出し充填材を装填することができる収納部72,74を備えている。矢印94で示すように回転することによりハウジング20内に導く充填材を選択できるようになっている。
【0137】
図12は、さらに別の変形例の模式構成図である。図12(a)に示すように、充填材装填部300は、複数の充填材302,304をそれぞれ収納することができる2つの収納部310,320と、各収納部310,320と装填部330とを連通する連通部312、322には、シャッター314,324が配置されている。図12(b)に示すように、一方のシャッター314を開くと、収納部310の充填材302は、矢印392で示すように不図示の付勢機構により付勢され、矢印390で示すように装填部330に送り出されるようになっている。
【0138】
以上説明した歯科用充填器を用いれば、より簡単に充填材の充填を行うことができる。
【0139】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。
【0140】
例えば、上記説明では、根管と充填材の接着性を向上させるためのシーラーについては説明を省略しているが、シーラーの使用を禁止するものではなく、適宜使用すればよい。根管長測定器と連動すれば、より望ましいことは言うまでもない。
【0141】
また、歯科用充填材を歯科用充填器のヒーターで加熱することなく、用いてもよい。例えば、軟化させるために加熱が不要なレジンを用いたり、歯科用充填器に装填する前に別途加熱して軟化させた歯科用充填材を歯科用充填器に装填して用いてもよい。
【0142】
また、加熱温度を切り換えるために、ヒーター部一式を交換するように構成してもよい。また、充填材を収納するホルダーを差し替えて用いるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来例の歯科用充填器の断面図である。
【図2】 従来例の根管治療の説明図である。
【図3】 本発明の第1実施形態の歯科用充填器の断面図である。
【図4】 図3の変形例の断面図である。
【図5】 図3の他の変形例の構成図である。
【図6】 本発明の第2実施形態の歯科用充填器の断面図である。
【図7】 図6の要部拡大図である。
【図8】 プラッガー型の装填具の斜視図である。
【図9】 スプレッダー型の装填具の斜視図である。
【図10】 本発明の第3実施形態の歯科用充填器の斜視図である。
【図11】 図10の変形例の歯科用充填器の斜視図である。
【図12】 図10のさらに別の変形例のの歯科用充填器の模式構成図である。
【符号の説明】
10〜16 歯科用充填器
20 ハウジング
24 電源コード
25 接続ケーブル
26 電源基板
28,29 電池
30 押し出し操作スイッチ(制御手段)
31a 第1のリミットスイッチ(終端検出手段)
31b 第2のリミットスイッチ(始端検出手段)
32 制御基板(制御手段)
33 制御基板(制御手段、加熱制御手段)
34 モーター(押し棒駆動手段)
36 ヒーター
37 ニードル装着部
38 ヒーター(加熱手段)
50 ギヤ(押し棒駆動手段)
52 ラック(押し棒駆動手段)
54 押し出し軸(押し棒)
60 充填材装填部(充填材収納手段)
62,64 収納部
70 充填材装填部(充填材収納手段)
72,74 収納部
80 本体ボックス
86 表示部(注入条件表示手段、加熱温度表示手段)
87 操作盤(注入条件設定手段、加熱温度設定手段、加熱押し出し条件設定手段)
88 制御部(制御手段、加熱制御手段)
100 ニードル
100a 先端
110,120,130 プラッガー型の装填具
112,122,132 貫通穴
210,220,230 スプレッダー型の装填具
212,222,232 貫通穴
312、322 連通部

Claims (24)

  1. 歯科用充填材を押し棒で押し出す歯科用充填器において、
    上記押し棒を駆動源の動力を利用して上記歯科用充填材の押し出し方向に移動させる歯科用充填材押し出し動作を行うことができる押し棒駆動手段と
    上記歯科用充填材の注入量と注入時間と注入速度とのうち少なくとも一つの注入条件を設定する注入条件設定手段と、
    上記少なくとも一つの注入条件を表示する注入条件表示手段と、
    上記注入条件設定手段により設定された上記注入条件に基づいて、上記押し棒駆動手段の上記歯科用充填材押し出し動作を制御する制御手段と、を備え、
    上記制御手段は、上記押し棒駆動手段、上記駆動源の動力を利用して、上記押し棒を上記歯科用充填材の押し出し方向とは反対方向に移動させる押し棒戻し動作を行うために、上記押し棒が上記押し出し方向の第1の所定位置に達したことを検出する終端検出手段と、上記押し棒が上記第1の所定位置よりも上記押し出し方向とは反対方向の第2の所定位置に達したことを検出する始端検出手段と、上記押し棒が上記第1の所定位置に達したことを上記終端検出手段により検出したとき、上記押し棒駆動手段の上記歯科用充填材押し出し動作を強制的に禁止し、上記押し棒が上記第2の所定位置に達したことを上記始端検出手段により検出したとき、上記押し棒駆動手段の上記押し棒戻し動作を強制的に禁止する、押し棒移動範囲制御部と、を含むことを特徴とする、歯科用充填器。
  2. ニードル装着部に装着されたニードル先端から加熱された歯科用充填材を押し棒で押し出す歯科用充填器において、
    上記押し棒を駆動源の動力を利用して上記歯科用充填材の押し出し方向に移動させる歯科用充填材押し出し動作を行うことができる押し棒駆動手段と
    上記歯科用充填材の注入量と注入時間と注入速度とのうち少なくとも一つの注入条件を設定する注入条件設定手段と、
    上記少なくとも一つの注入条件を表示する注入条件表示手段と、
    上記ニードル装着部又はその近傍に配置され、上記ニードルを上記歯科用充填材の軟化温度まで加熱することができる加熱手段と、
    上記注入条件設定手段により設定された上記注入条件に基づいて、上記押し棒駆動手段の上記歯科用充填材押し出し動作を制御する制御手段と、を備え、
    上記制御手段は、上記押し棒駆動手段が、上記駆動源の動力を利用して、上記押し棒を上記歯科用充填材の押し出し方向とは反対方向に移動させる押し棒戻し動作を行うために、上記押し棒が上記押し出し方向の第1の所定位置に達したことを検出する終端検出手段と、上記押し棒が上記第1の所定位置よりも上記押し出し方向とは反対方向の第2の所定位置に達したことを検出する始端検出手段と、上記押し棒が上記第1の所定位置に達したことを上記終端検出手段により検出したとき、上記押し棒駆動手段の上記歯科用充填材押し出し動作を強制的に禁止し、上記押し棒が上記第2の所定位置に達したことを上記始端検出手段により検出したとき、上記押し棒駆動手段の上記押し棒戻し動作を強制的に禁止する、押し棒移動範囲制御部と、を含むことを特徴とする、歯科用充填器。
  3. 上記制御手段は、上記押し棒の移動速度を制御する移動速度制御部を含むことを特徴とする、請求項1又は2記載の歯科用充填器。
  4. 上記制御手段は、上記押し棒の移動距離を制御する移動距離制御部を含むことを特徴とする、請求項1又は2記載の歯科用充填器。
  5. 上記制御手段は、上記押し棒の移動時間を制御する移動時間制御部を含むことを特徴とする、請求項1又は2記載の歯科用充填器。
  6. 上記歯科用充填材の注入量と注入速度を設定する注入条件設定手段を備え、上記制御手段は、上記注入条件設定手段により設定された上記注入量と上記注入速度とに基づき上記押し棒の移動時間の目標値を設定して、上記押し棒駆動手段の上記歯科用充填材押し出し動作を制御することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の歯科用充填器。
  7. 上記制御手段は、押し出し操作スイッチと、該押し出し操作スイッチが操作状態のときには上記押し棒駆動手段の上記歯科用充填材押し出し動作を許可し、該押し出し操作スイッチが非操作状態のときには上記押し棒駆動手段の上記歯科用充填材押し出し動作を強制的に禁止する押し出し操作スイッチ連動制御部と、を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の歯科用充填器。
  8. 上記制御手段は、戻し操作スイッチと、該戻し操作スイッチが操作状態のときには、上記押し棒駆動手段の上記歯科用充填材押し出し動作を強制的に禁止し、上記押し棒駆動手段の上記押し棒戻し動作を許可する戻し操作スイッチ連動制御部と、を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載の歯科用充填器。
  9. 上記制御手段は、上記押し棒駆動手段の上記歯科用充填材押し出し動作を停止させた直後に、上記押し棒駆動手段の上記戻し動作を所定時間行わせる押し出し停止制御部を含むことを特徴とする、請求項8記載の歯科用充填器。
  10. 片手で把持することができる形状を有し、その内部又は表面に他のすべての構成部材が配置されたハウジングを備えたことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載の歯科用充填器。
  11. 上記加熱手段による加熱温度を設定する加熱温度設定手段と、該加熱温度設定手段により設定された上記加熱温度に基づいて、上記加熱手段の加熱動作を制御する加熱制御手段と、を備えたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の歯科用充填器。
  12. 上記加熱温度設定手段により設定された上記加熱温度を表示する加熱温度表示手段を備えたことを特徴とする、請求項11記載の歯科用充填器。
  13. 上記ニードル装着部は、スプレッダー型又はプラッガー型の装填具を装着できるように構成されていることを特徴とする請求項2記載の歯科用充填器。
  14. 上記ニードル装着部又はその近傍に、ヒーターが内蔵されたことを特徴とする、請求項13記載の歯科用充填器。
  15. 上記ニードル装着部は、その一端側が上記歯科用充填器の上記ニードル装着部に装着され該一端から他端側に貫通する貫通穴を有する上記装填具を装着することができることを特徴とする、請求項13又は14記載の歯科用充填器。
  16. 上記ニードル装着部は、超弾性合金で形成された上記装填具を装着することができることを特徴とする、請求項13、14又は15記載の歯科用充填器。
  17. 片手で把持することができる形状を有し、その内部又は表面に他のすべての構成部材が配置されたハウジングを備えたことを特徴とする、請求項13〜16のいずれか一つに記載の歯科用充填器。
  18. 歯科用充填材を加熱して押し出し棒で押し出す加熱押し出し手段を有する歯科用充填器において、
    複数個の上記歯科用充填材が収納され、該収納された複数個の上記歯科用充填材を選択的に上記加熱押し出し手段に供給する充填材収納手段と、
    上記押し棒を駆動源の動力を利用して上記歯科用充填材の押し出し方向に移動させる歯科用充填材押し出し動作を行うことができる押し棒駆動手段と、
    上記押し棒駆動手段の上記歯科用充填材押し出し動作を制御する制御手段とを備え、
    上記制御手段は、上記押し棒駆動手段が、上記駆動源の動力を利用して、上記押し棒を上記歯科用充填材の押し出し方向とは反対方向に移動させる押し棒戻し動作を行うために、上記押し棒が上記押し出し方向の第1の所定位置に達したことを検出する終端検出手段と、上記押し棒が上記第1の所定位置よりも上記押し出し方向とは反対方向の第2の所定位置に達したことを検出する始端検出手段と、上記押し棒が上記第1の所定位置に達したことを上記終端検出手段により検出したとき、上記押し棒駆動手段の上記歯科用充填材押し出し動作を強制的に禁止し、上記押し棒が上記第2の所定位置に達したことを上記始端検出手段により検出したとき、上記押し棒駆動手段の上記押し棒戻し動作を強制的に禁止する、押し棒移動範囲制御部と、を含むことを特徴とする、歯科用充填器。
  19. 上記充填材収納手段は、上記歯科用充填材を収納する複数の収納部を有し、上記各収納部が上記加熱押し出し手段に連通する連通位置に選択的に配置される ようにスライド移動可能に支持されたことを特徴とする、請求項18記載の歯科用充填器。
  20. 上記充填材収納手段は、上記歯科用充填材を収納する複数の収納部を有し、上記各収納部が上記加熱押し出し手段に連通する連通位置に選択的に配置されるように回転移動可能に支持されたことを特徴とする、請求項18記載の歯科用充填器。
  21. 上記充填材収納手段は、上記歯科用充填材を収納する複数の収納部と、該各収納部と上記加熱押し出し手段との間を選択的に連通する連通部と、を有することを特徴とする、請求項18記載の歯科用充填器。
  22. 上記加熱押し出し手段が上記歯科用充填材を加熱する温度、加熱する時間、押し出し量の少なくとも一つの加熱押し出し条件を、上記充填材収納選択手段から上記加熱押し出し手段に供給された上記歯科用充填材に応じて設定する加熱押し出し条件設定手段を備えたことを特徴とする、請求項18〜21のいずれか一つに記載の歯科用充填器。
  23. その一端側が上記歯科用充填器の上記ニードル装着部に装着され、該一端から他端側に貫通する貫通穴を有することを特徴とする、請求項18〜22のいずれか一つに記載の歯科用装填具。
  24. 上記ニードル装着部は、超弾性合金で形成されたことを特徴とする、請求項18〜23のいずれか一つに記載の歯科用装填具。
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