JP3936496B2 - 磁気カード取引装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気カードリーダを備えた磁気カード取引装置に関し、更に詳しくは、磁気カードの不正読み取りを防止するための機能を備えた磁気カード取引装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気カードリーダは、銀行に設置されているATM等のような磁気カードを用いて各種の取引を行う磁気カード取引装置に取り付けられている。磁気カードリーダにおけるカード挿入・排出部分は、一般に、磁気カード挿入および排出用のカードスロットと、ここから挿入される磁気カードを検出するためのカード挿入検出器と、カードスロットから挿入される磁気カードを内部に導くカードゲートと、このカードゲートを開閉するシャッターとが、カード挿入方向に向けてこの順序で配置された構成となっている。
【0003】
利用者が磁気カードをカードスロットに挿入すると、挿入された磁気カードの先端側の磁気ストライプがカード挿入検出器によって検出され、シャッターが開き、磁気カードを内部に取込み可能になる。シャッターの内部側には、磁気カードの搬送手段を構成しているカード取込みローラ対が配置されており、挿入された磁気カードはこのカード取込みローラ対にくわえ込まれて、内部に取り込まれる。
【0004】
ここで、磁気カードが挿入された際に、磁気カードの引っ掛かり感等の違和感を利用者に与えないように、カード挿入検出器によって磁気カードの挿入が検出されると同時に、シャッターを開くと共にカード取込みローラ対を直ちに駆動して、利用者による磁気カードの挿入操作にスムーズに連続した磁気カードの取込み動作を実現している。
【0005】
一方、磁気カード排出時には、利用者が磁気カードをカードスロットから取り出しやすくするために、排出完了時のカードスロットからのカード突出量を可能な限り大きくする努力がなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、磁気カードリーダでは、磁気カードの挿入時には、その先端をカードスロットに挿入すると同時に、磁気カードがカード取込みローラ対によって一定の速度で搬送される。同様に、磁気カードの排出時にも、磁気カードがカードスロットから実質的に外部に排出されるまでカード取込みローラ対によって一定の速度で搬送される。
【0007】
従って、カードスロットの外側に磁気ヘッドを取り付けた場合には、当該磁気ヘッドに沿って、一定の速度で磁気カードが移動することになる。このため、このようなカードスロットの外側に取り付けた磁気ヘッドにより、磁気カードの記録情報を読み取ることが可能である。
【0008】
本発明の課題は、この点に鑑みて、カードスロットに挿入あるいはそこから排出される磁気カードが、カードスロットの外側位置に取り付けた磁気ヘッドによって、読み取られることのないように構成された磁気カード取引装置を提案することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、磁気カード挿入・排出用の開口が形成されている装置ケースと、前記開口の内部に配置されている磁気カードリーダとを有し、前記磁気カードリーダは、磁気カードの挿入・排出用のカードスロットと、このカードスロットから挿入された磁気カードを内部に取り込むと共に前記カードスロットを介して外部に排出するカード搬送手段と、内部に取り込まれた磁気カードに対してデータの記録・再生を行う磁気ヘッドとを備えている磁気カード取引装置において、前記磁気カードの磁気記録情報の読み取りを妨害するための妨害磁界を前記カードスロットの外側部分の領域に発生させる磁界発生手段を有することを特徴としている。
【0010】
本発明の磁気カード取引装置では、そのカードスロット外側に不正に磁気ヘッドが取り付けられたとしても、磁界発生手段による妨害磁界によって、そのような不正な磁気ヘッドを用いて挿入あるいは排出される磁気カードが読み取られてしまうことを阻止できる。
【0011】
ここで、このような妨害磁界を発生させる領域は、少なくとも、前記カードスロットの外側部分における磁気カードの磁気ストライプが通過する通過経路を含む領域とすればよい。
【0012】
また、このような妨害磁界を発生させる時点は、内部の磁気ヘッドによる正常な記録・再生動作を阻害せずに、外付けされた不正な磁気ヘッドによる読み取りを阻止するために、前記カードスロットから挿入された磁気カードの挿入方向の後端が当該カードスロットから突出している間の時点とすればよい。
【0013】
同様な観点から、磁気カード排出時における妨害磁界を発生させる時点は、前記カードスロットから排出される磁気カードの排出方向の先端が当該カードスロットから突出した後の時点とすればよい。
【0014】
磁界発生手段は、装置ケースの開口近傍あるいは、磁気カードリーダにおけるカードスロット近傍に取り付けることができる。
【0015】
一方、本発明は上記構成の磁界発生手段を備えた磁気カードリーダを特徴とするものでもある。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した磁気カード取引装置の一実施例を説明する。
【0017】
図1(a)は、ATM等の磁気カード取引装置に取り付けられている磁気カードリーダの主要部分を示す概略構成図である。本例の磁気カード取引装置2は、装置ケースの一部であるフロントパネル3に開けたカードスロット用開口4と、この開口4の裏面側に取付け固定された磁気カードリーダ1とを有している。
【0018】
本例の磁気カードリーダ1は、磁気カード挿入および排出用のカードスロット5と、ここから挿入される磁気カード6を検出するためのカード挿入検出用の磁気ヘッド7と、カードスロット5から挿入される磁気カード6を内部に導く導入路8と、この導入路8を開閉するシャッター9とを有し、これらが、カード挿入方向に沿ってこの順序で配置されている。
【0019】
シャッター9の奥には、カード取込み排出ローラ対11が配置され、このローラ対11によって内部に取り込まれた磁気カード6は、所定の間隔で配置されている複数組の搬送ローラ対12、13によって規定される搬送経路に沿って搬送される。各ローラ対11〜13は、駆動モータ14によって回転駆動される。ローラ対12の配置位置には、ここを通過する磁気カード6に形成されている磁気ストライプに対して磁気的にデータを記録・再生するための磁気ヘッド15が配置されている。
【0020】
次に、16は各部の駆動制御を司る駆動制御回路であり、マイクロコンピュータにより構成することができ、そのROM内に格納されている制御プログラムに従って、磁気カード6の搬送動作、磁気ヘッド15による読み取り動作を制御する。また、17、18はそれぞれフォトセンサであり、後述のように、排出される磁気カード6の後端を検出するためのものである。
【0021】
ここで、本例の磁気カード取引装置2は、その開口4の裏面側に配置された妨害磁界発生器80を備えている。すなわち、フロントパネル3における開口4が形成されている部位の裏面であって、磁気カードリーダ1の装置フレーム1aの下側に、妨害磁界発生器80が取付けられている。
【0022】
この妨害磁界発生器80は、図1(b)に示すように、鉄心81にコイル82を巻いた構成となっており、駆動制御回路16の制御の下に、コイル82には交流あるいは直流電流が供給される。電流が供給されると、開口4あるいはカードスロット5の外側部分に妨害磁界が発生するようになっている。妨害磁界の発生領域は、カードスロット5を介して挿入あるいは排出される磁気カード6に形成されている磁気ストライプの通過領域を含む領域となるように構成されている。
【0023】
本例の磁気カード取引装置2においては、例えば、図4において想像線で示すように、カードスロット用開口4が形成されているフロントパネル3の表面に不正に磁気ヘッド20が取り付けられたとしても、このような磁気ヘッド20による磁気カード読み取り動作を、以下に述べるように、妨害磁界発生器80による妨害磁界によって阻止することができる。
【0024】
次に、図2のフローチャートおよび図3の動作説明図を参照して、本例の磁気カードリーダ1における磁気カード取込みおよび磁気カード排出動作、ならびに妨害磁界発生動作を説明する。
【0025】
まず、図2(a)のフローチャートに沿って磁気カード6の取込み動作を説明する。利用者が磁気カード6をカードスロット5に挿入すると、挿入された磁気カード6に形成されている磁気ストライプがカード挿入検出用の磁気ヘッド7によって検出される(ステップST1)。この磁気ヘッド7による検出信号により、駆動制御回路16は、モータ14を起動して、取込みローラ対11を含む搬送系を駆動する。同時に、シャッター9を開く(ステップST2、図3(a)参照)。
【0026】
この結果、磁気カード6を内部に取込み可能になる。磁気カード6がシャッタ9の位置を超えて奥まで挿入されると、その先端が取込み排出ローラ対11にくわえ込まれて、磁気カード6の取込み動作が開始する。
【0027】
ここで、本例では、モータ14を起動した後に、磁気カード6の後端がカードスロット5から突出している状態の時に、妨害磁界発生器80を所定時間駆動して、妨害磁界を発生させるようにしている。妨害磁界の発生時間は、カード挿入検出用の磁気ヘッド7による検出時点からの経過時間等によって管理できる(ステップST3、4)。
【0028】
次に、磁気カード6を読み取り用の磁気ヘッド15の位置まで取り込んだ後は(ステップST5)、磁気ヘッド15により、磁気カード6の読み取り動作あるいは書き込み動作を行う(ステップST6)。
【0029】
このように、本例の磁気カードの取込み動作においては、磁気カード6の後端がカードスロット5から突出している時点で、妨害磁界を発生させるようにしている。この結果、例えば、図3において想像線で示すように、カードスロット5の外側位置、例えば、フロントパネル3の表面に磁気ヘッド20が取り付けられていても、妨害磁界の発生により、挿入される磁気カード6の磁気記録情報を当該磁気ヘッド20によっては完全に読み取ることはできない。よって、このような磁気ヘッド20による磁気記録情報の読み取りを阻止できる。
【0030】
次に、図2(b)のフローチャートを参照して、本例の磁気カードリーダ1における磁気カードの排出動作について説明する。この場合、ローラ対11〜13によって磁気カード6の排出動作を開始し(ステップST11)、排出される磁気カード6の排出方向の後端がフォトセンサ17によって検出されると(ステップST12)、妨害磁界発生器80が駆動され、妨害磁界が発生する(ステップST13)。
【0031】
ここで、図3(b)に示すように、フォトセンサ17によって磁気カード6の後端が検出される状態は、磁気カード6の排出方向の先端側がカードスロット5から所定の量だけ突き出た状態である。この後、所定の期間だけ妨害磁界を発生した後に、妨害磁界発生器80の駆動を止める(ステップST14)。
【0032】
この後は、フォトセンサ17よりもカードスロット側に配置されているフォトセンサ18によって排出される磁気カード6の後端が検出されると(ステップST15)、モータ14を停止して、カード排出動作を終了する。
【0033】
カード排出動作が終了した時点では、磁気カード6の後端が取込みローラ対11に銜え込まれた状態にある。利用者が軽く磁気カード6を引っ張ることにより、カードスロット5から磁気カード6を取り出すことができる。なお、利用者が磁気カード6を取り出すことを忘れた場合には、所定の時間経過後に、取込みローラ対11を駆動して、磁気カード6を内部に回収できるようになっている。
【0034】
このように、本例の磁気カード取引装置2では、磁気カードの排出時においても、その排出側の先端部分がカードスロット5から外部の突き出た状態で、一時的に妨害磁界を発生させるようにしている。従って、図4において想像線で示すようなフロントパネル表面に磁気ヘッド20が取り付けられていたとしても、この磁気ヘッド20によって排出される磁気カード5の磁気記録情報が読み取られてしまうことを阻止できる。
【0035】
なお、本例では、妨害磁界発生器80の駆動を、磁気カード挿入時及び排出時に所定の期間に渡り1回だけ駆動しているが、2回以上に渡り間欠的に駆動してもよい。
【0036】
また、妨害磁界発生器80は、磁気カード取引装置2の側に固定してもよいし、磁気カードリーダ1のフレームに直接に固定することもできる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の磁気カード取引装置は、妨害磁界発生手段を備えているので、当該妨害磁界発生手段により発生する妨害磁界によって、カードスロットの外側に不正に取り付けた磁気ヘッドによる磁気カードの読み取りを阻止できる。
【0038】
また、本発明では、妨害磁界の発生磁気を、磁気カードの挿入時および排出時としているので、磁気遮蔽板等を設けなくとも、内部の記録・再生用の磁気ヘッドによる動作が阻害されることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明を適用した磁気カード取引装置の主要部分を示す概略構成図であり、(b)は妨害磁界発生器を示す説明図である。
【図2】図1の装置の動作を示すフローチャートであり、(a)はその磁気カードの取込み動作を示すフローチャートであり、(b)はその磁気カードの排出動作を示すフローチャートである。
【図3】(a)は磁気カード取込み時の動作を示すための説明図であり、(b)は磁気カードの排出時の動作を示すための説明図である。
【図4】装置外側に磁気ヘッドが取り付けられた状態を示すための説明図である。
【符号の説明】
1 磁気カードリーダ
2 磁気カード取引装置
3 フロントパネル
4 カードスロット用開口
5 カードスロット
6 磁気カード
7 カード挿入検出用の磁気ヘッド
8 カード導入路
9 シャッター
11 取込み排出ローラ対
12、13 搬送ローラ対
14 モータ
15 磁気ヘッド
16 駆動制御回路
17、18 フォトセンサ
20 不正に取り付けられた磁気ヘッド
80 妨害磁界発生器
81 鉄心
82 コイル
Claims (6)
- 磁気カード挿入・排出用の開口が形成された装置ケースと、前記開口の内部に配置された磁気カードリーダとを有し、前記磁気カードリーダは、磁気カードの挿入・排出用のカードスロットと、このカードスロットから挿入された磁気カードを内部に取り込むと共に前記カードスロットを介して外部に排出するカード搬送手段と、内部に取り込まれた磁気カードに対してデータの記録・再生を行う磁気ヘッドとを備えている磁気カード取引装置において、
前記磁気カードの磁気記録情報の読み取りを妨害するための妨害磁界を前記カードスロットの外側部分の領域に発生させる磁界発生手段を有することを特徴とする磁気カード取引装置。 - 請求項1において、
前記磁界発生手段は、前記カードスロットの外側部分における磁気カードの磁気ストライプが通過する通過経路を含む領域に磁界を発生させることを特徴とする磁気カード取引装置。 - 請求項2において、
前記カードスロットから挿入された磁気カードの挿入方向の後端が当該カードスロットから突出している間の時点で、前記磁界発生手段により磁界を発生させることを特徴とする磁気カード取引装置。 - 請求項2または3において、
前記カードスロットから排出される磁気カードの排出方向の先端が当該カードスロットから突出した後の時点で、前記磁界発生手段により磁界を発生させることを特徴とする磁界カード取引装置。 - 請求項1ないし4のうちのいずれかの項において、
前記磁界発生手段は、前記装置ケースにおける前記開口の近傍あるいは前記磁気カードリーダの側に取付けられていることを特徴とする磁気カード取引装置。 - 請求項1ないし4のうちのいずれかの項に記載された磁界発生手段を有する磁気カードリーダ。
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