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JP3934266B2 - 転がり軸受 - Google Patents

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JP3934266B2
JP3934266B2 JP33895598A JP33895598A JP3934266B2 JP 3934266 B2 JP3934266 B2 JP 3934266B2 JP 33895598 A JP33895598 A JP 33895598A JP 33895598 A JP33895598 A JP 33895598A JP 3934266 B2 JP3934266 B2 JP 3934266B2
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rolling
rolling bearing
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residual stress
approximately
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一到 西北
秀司 ▲吉▼田
良樹 藤田
一 田積
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Tsubaki Nakashima Co Ltd
JTEKT Corp
Original Assignee
Tsubaki Nakashima Co Ltd
JTEKT Corp
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Publication date
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  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、転がり軸受に関する。この転がり軸受は、例えば振動などの衝撃荷重や高荷重が負荷されるような用途に使用される。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の転がり軸受では、その転動体について、JIS規格G4805で規定される高炭素クロム軸受鋼を素材として、外形を粗成形した後、焼入れ、焼き戻しなどの熱処理を施し、研磨やラップなどの仕上げを行うことにより製作される。なお、前述の熱処理の後で冷間加工などの表面硬化処理を施すこともある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例では、冷間加工を施すことにより転動体の表面硬度を高めて表面損傷を防止するようにしているが、材料が弱体化することがあって、衝撃荷重や高荷重の負荷により転がり疲労亀裂が発生、進展しやすくなる。なお、転がり疲労亀裂は、転動体の表面に沿う方向に発生するもので、剥離につながる。
【0004】
このようなことから、本願発明者は、転動体の表面側と内部との強度のバランスが重要になっていることを見いだした。このような事情に鑑み、本発明は、転がり軸受において、衝撃荷重や高荷重が負荷される用途での耐久性向上を図ることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にかかる転がり軸受は、鋼製の転動体を有し、該転動体は、その表面から直径のほぼ1/100の深さ位置における円周方向圧縮残留応力が、450〜800MPaの範囲に設定され、その表面から直径のほぼ1/25の深さ位置における円周方向圧縮残留応力が、10〜100MPaに設定されるとともに、前記転動体の表面から直径のほぼ1/25の深さ位置における残留オーステナイト量が8〜15%である。
【0006】
請求項2の発明にかかる転がり軸受は、請求項1に記載の転がり軸受において、前記転動体の素材をJIS規格SUJ2とする。
【0007】
請求項3にかかる転がり軸受は、請求項1または2に記載の転がり軸受において、衝撃荷重が負荷される用途に使用される。
【0008】
このような本発明において、転動体の直径のほぼ1/100の位置とは、転がり疲労亀裂の発生起点付近であり、また、転動体の直径のほぼ1/25の位置とは、転がり疲労亀裂が進展する部分である。
【0009】
このように、転動体の深さ方向における損傷の形態を調べて、それらの損傷形態に応じて各深さ位置の円周方向圧縮残留応力を個別に特定することにより硬度と靭性とを最適に管理している。これにより、転動体の表面損傷や転がり疲労亀裂の発生を長期にわたって防止できるようになる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の詳細を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0011】
図1および図2に本発明の一実施形態を示している。図1は、転がり軸受の断面図、図2は、転がり軸受の耐久性能試験機を示す側面図である。
【0012】
図中、Aは深溝型玉軸受などの転がり軸受の全体を示している。この転がり軸受Aは、内輪1、外輪2、転動体としての複数の玉3、保持器4とから構成されている。
【0013】
そして、内・外輪1,2および玉3は、JIS規格SUJ2、SUS440Cなど各種の鋼材を素材として製作される。保持器4は、使用用途により異なるが、金属材の他、一般的なポリアミド樹脂(ナイロン66)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのふっ素系などの合成樹脂とされる。保持器4の形式としては、図示する冠型の他、波型やもみ抜き型など任意である。
【0014】
本発明の特徴は、上述した玉3について、その表面側から深さ方向複数位置での円周方向圧縮残留応力を個別に特定していることである。具体的に、玉3の表面から直径のほぼ1/100の深さ位置における円周方向圧縮残留応力は、400〜800MPaの範囲に設定され、また、玉3の表面から直径のほぼ1/25の深さ位置における円周方向圧縮残留応力は、100MPa以下に設定される。
【0015】
この実施形態では、玉3の製作方法として、ある程度の真円度を有する素球に成形した後、焼入れ、焼き戻しなどの熱処理を施すとともに、冷間加工などの表面硬化処理を施してから、研磨やラップなどの仕上げを行うことにより製作される。
【0016】
前述の冷間加工は、一般的に周知の方法であるが、例えば回転ドラム内に複数の玉3を入れ、回転ドラムを所要回転速度で所要時間にわたって回転させるものである。
【0017】
この実施形態では、前述の冷間加工での回転ドラムの回転速度や処理時間を適宜設定することにより、上述した残留応力を管理するのである。ちなみに、玉3の直径が大きいほど最大残留応力の位置が深くなり、処理時間を長くするほど残留応力値が大きくなり、なおかつ残留応力形成の範囲が深くなる傾向となる。
【0018】
具体的に、玉3の素材をJIS規格SUJ2とし、焼入れを温度830〜850℃で30分〜60分とし、焼き戻しを温度150〜170℃で1〜2時間とし、冷間加工での回転速度を40〜70rpmとし、処理時間を1〜2時間とした。このような条件であれば、玉3の表面から直径のほぼ1/100の深さ位置における円周方向圧縮残留応力を、およそ400〜800MPaの範囲に、また、玉3の表面から直径のほぼ1/25の深さ位置における円周方向圧縮残留応力を100MPa以下にできる。この場合、玉3の表面から直径のほぼ1/25の深さ位置における残留オーステナイト量(γR)は、8〜15%の範囲になり、表面硬度は、ロックウェル硬さ(HRC)で64〜68となる。
【0019】
以上説明した実施形態の転がり軸受Aでは、玉3が深さ方向で適度な硬度となるとともに適度な靭性を持つ構造となるから、玉3の表面損傷や転がり疲労亀裂の発生を長期にわたって抑制できて、玉3の初期性状を長期にわたって安定に保つことができるようになる。これにより、転がり軸受Aの振動や騒音などの発生を長期にわたって抑制できるなど長寿命化を達成できる。
【0020】
具体的に、転がり軸受Aの耐久性について調べたので説明する。
【0021】
試験機は、図2に示すようなものを用いる。図2において、20は回転軸、21は支持台、22はコイルバネを用いる荷重負荷ユニット、23は回転軸20のサポート軸受、24は試験軸受である。試験は、試験軸受24に対してラジアル荷重を与えた状態で回転軸20を回転させて行う。
【0022】
試験軸受24は、呼び番号6304の深溝玉軸受とする。この場合、玉3のサイズは3/8inchである。
【0023】
試験条件は、ラジアル荷重を動定格荷重の50%(6.35KN)、回転数を12000rpm、グリース潤滑である。
【0024】
そして、試験軸受24については、下記する表1に示すように、実施形態1〜8、比較例1,2を用意した。
【0025】
【表1】
Figure 0003934266
【0026】
結果的に、実施形態1〜8はいずれも300時間を越えるまで異状無しであるのに対して、比較例1は191時間、比較例2は206時間でそれぞれ玉3に剥離が発生した。ちなみに、上記試験条件での試験軸受24の計算寿命は21.7時間であるので、比較例1,2も計算寿命に比べて優れているものの、実施形態1〜8に比べて劣る。このことから、玉3の直径のほぼ1/100の深さ位置における円周方向圧縮残留応力を400〜800MPaの範囲で設定すれば、転がり疲労亀裂が発生しにくくなっていると言える。
【0027】
さらに、実施形態3,7については他の実施形態1,2,4,6,8に比べてさらに耐久性が向上する結果となっており、実施形態3,7のように玉3の直径のほぼ1/25の深さ位置における円周方向圧縮残留応力を30MPaに設定することが好ましいことを意味している。
【0028】
以上のことから、実施形態3,7のように、玉3の直径のほぼ1/100の深さ位置における円周方向圧縮残留応力を400〜800MPaの範囲とし、かつ玉3の直径のほぼ1/25の深さ位置における円周方向圧縮残留応力を30MPaに設定すれば、転がり疲労亀裂の発生と進展とを抑制できるようになり、これらの条件を持たせることが最も好ましいと言える。しかし、実用範囲からすると、上記結果から明らかなように、玉3の直径のほぼ1/100の深さ位置における円周方向圧縮残留応力を400〜800MPaの範囲とすれば、玉3の直径のほぼ1/25の深さ位置における円周方向圧縮残留応力は、100MPa以下に設定しても十分であると言える。
【0029】
ところで、上記実施形態のように、玉3の素材をJIS規格SUJ2とする場合においても、それに含有する硫黄(S)、アルミニウム(Al)、酸素(O)についての量を、それぞれ0.015mass%以下、0.010〜0.040mass%、0.0010mass%以下に設定するのが好ましい。なぜならば、玉3の転がり疲労亀裂の起点は、素材に含有するMnS,Al23の非金属介在物の存在位置で起こる。つまり、これらの非金属介在物を減少させれば、転がり疲労亀裂の発生、進展を抑制できると言える。ここで、非金属介在物であるMnSは、SがMnと結び付いて形成されるものであり、また、Al23は、AlとOが結び付いて形成されるものである。したがって、冷間加工による表面硬化処理を深さ方向複数位置での円周方向残留応力を管理するとともに、非金属介在物形成元素であるS、Al、Oを減少させることが望ましく、S、Al、Oの含有量は生産性、加工性の点から、上記範囲に設定することが望ましい。
【0030】
なお、上記実施形態では、転動体を玉としたが、円筒ころや円すいころにも応用できる。
【0031】
【発明の効果】
本発明の転がり軸受では、玉を深さ方向で適度な硬度と靭性を持つ構造にできるから、特に高荷重、衝撃荷重が負荷される用途での使用において、玉の表面損傷や転がり疲労亀裂の発生を長期にわたって抑制できて、玉の初期性状を長期にわたって安定に保つことができるようになる。これにより、転がり軸受の振動や騒音などの発生を長期にわたって抑制できるなど長寿命化を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の転がり軸受の断面図
【図2】転がり軸受の耐久性能試験機を示す側面図
【符号の説明】
A 転がり軸受
1 内輪
2 外輪
3 玉
4 保持器

Claims (3)

  1. 鋼製の転動体を有し、該転動体は、その表面から直径のほぼ1/100の深さ位置における円周方向圧縮残留応力が、450〜800MPaの範囲に設定され、
    その表面から直径のほぼ1/25の深さ位置における円周方向圧縮残留応力が、10〜100MPaに設定されるとともに、前記転動体の表面から直径のほぼ1/25の深さ位置における残留オーステナイト量が8〜15%である、、ことを特徴とする転がり軸受。
  2. 請求項1に記載の転がり軸受において、
    前記転動体の素材をJIS規格SUJ2とする、ことを特徴とする転がり軸受。
  3. 請求項1または2に記載の転がり軸受において、
    衝撃荷重が負荷される用途に使用される、ことを特徴とする転がり軸受。
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