JP3931004B2 - ハイブリッド油圧システム及び油圧式建設機械 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧ショベル等の油圧機構を用いた建設機械の油圧システムに用いて好適の、エンジンと電気モータとをポンプの駆動源として併用したハイブリッド油圧システム、及び、油圧ショベル等に用いて好適の、油圧式建設機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
ショベル等の建設機械ではその機構として機械式と油圧式とがあるが、掘削力等の力の強さや構造の簡単さなどの利点から、油圧式が主流になっている。図5は、従来の油圧ショベル等の油圧機構を用いた建設機械に用いられる油圧システムのシステム構成図である。
【0003】
図5に示すように、従来の油圧システムは、油圧ポンプ31とエンジン(ディーゼルエンジン)32とをそなえ、エンジン32により油圧ポンプ31を駆動して作動油に油圧を発生させるようになっている(エンジン32の始動はセルモータ36によって行なう)。発生する油圧エネルギの大きさは油圧ポンプ31の仕事量に応じて決まるが、ここでは、コントローラ(制御手段)30によりエンジン32の回転速度を制御し、大きな油圧エネルギが必要な場合にはエンジン回転速度を上昇させて油圧ポンプ31の仕事量を増大させ、逆に大きな油圧エネルギを必要しない場合にはエンジン回転速度を低下させて油圧ポンプ31の仕事量を減少させるようになっている。
【0004】
そして、発生した油圧により作動油はコントロールバルブ33を介して必要な流量に調整され各アクチュエータ34に送り込まれ、各装置(例えば、走行装置,旋回装置,作業装置)の機械的な動きに変換されるようになっている。油圧エネルギを供給すべきアクチュエータ34の選択は、作業レバー35を操作することによって行なわれる。すなわち、作業レバー35を操作することにより操作信号がコントロールバルブ33に送信され、コントロールバルブ33では内部の油圧回路のスプールを動かして、目的のアクチュエータ34に作動油を供給するようになっているのである。
【0005】
アクチュエータ34に作動油が送り込まれている時には油圧は増加する。従って、コントロールバルブ33内の油圧を検出することによって、その大きさから機械が作業中であるか否かを判断することができる。図5に示す従来の油圧システムでは、コントロールバルブ33の内部油圧回路内に所定の圧力スイッチ33aを設けて、油圧が所定値以上になった時には機械が作業中であることを示す作業信号をコントローラ30に入力するようになっている。
【0006】
上記のような油圧システムをそなえた建設機械、例えば油圧ショベルの使い方の代表的なものとして、ダンプ積込み作業がある。ダンプ積込み作業とは、油圧ショベルで土を堀り、掘った土をダンプカーに積み込む作業であるが、荷台の土が満杯になった時にはダンプカーの入替えが行なわれるため、その入替えの間は油圧ショベルは待機状態となる。
【0007】
この待機状態の間は外部への仕事がないため油圧ポンプ31を駆動して油圧エネルギを発生させる必要はなく、逆に油圧ポンプ31を駆動するための無駄な燃料を消費するだけとなる。しかしながら、一旦エンジン32を停止してしまうと次に作業復帰するときに始動操作のためのロスタイムが発生してしまい、また、エンジン32は始動後直ぐには回転が立ち上がらない。さらに、エンジン32が回転してから油圧が所要のレベルまで立ち上がるには、やはり幾らかの時間がかかり、作業復帰までにさらにロスタイムが発生してしまうことになる。また、エンジン32を停止するとエアコン等の快適装備も働かなくなってしまう。
【0008】
以上のようにエンジン32を停止させると無駄な燃料消費はなくなるものの、様々な不具合が発生してしまう。そこで、従来、待機時にはエンジン32を停止するのではなくエンジン32の回転速度を低下させ、これにより燃料消費を低減するとともに直ぐに油圧が立ち上がるようにしていた。このエンジン回転速度を低下させる操作は運転者のスロットルダイヤルの操作によっても勿論可能であるが、従来の油圧システムでは、待機状態になると自動的にエンジン回転速度を低下させる制御が行なわれていた。
【0009】
この制御はオートエンジンコントロール(AEC)と呼ばれるものであり、図6に示すように、コントロールバルブ33から作業信号が所定時間入力されなかった時(即ち、作業レバー35が所定時間操作されなかった時)には、コントローラ30からエンジン32に回転速度指令信号を送信してエンジン32の回転速度を低下させるようになっている。そして、コントロールバルブ33から作業信号が入力され時(即ち、作業レバーが操作され時)、再びコントローラ30からエンジン32に回転速度指令信号を送信し、元の回転速度まで復帰させるようになっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の油圧システムにかかる制御方法(AEC)では、エンジン回転速度は低下してはいるものの、エンジン32が動作しているのには変わり無く、燃料の無駄な消費が全くなくなるわけではない。また、エンジン32が動作している以上は騒音や振動が発生することは避けられない。このように従来の油圧システムでは、待機後の速やかな作業復帰と待機状態における燃料消費の低減及び騒音振動の低減との両立という点においては不十分であった。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、エンジンと電気モータとをポンプの駆動源として併用することによって、待機後の速やかな作業復帰と待機状態での燃料浪費及び騒音振動の大幅な低減とを両立できるようにした、ハイブリッド油圧システム及び油圧式建設機械を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明のハイブリッド油圧システムでは、油圧を機械的動きに変換するアクチュエータと、該アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプと、該油圧ポンプを駆動するエンジンと、該エンジンの出力軸と該油圧ポンプの入力軸との間に介装されたクラッチと、該油圧ポンプの入力軸に連結された電気モータと、該アクチュエータの負荷状態を検出又は推定する負荷検知手段と、該負荷検知手段により検出又は推定された該アクチュエータの負荷状態に基づき、該エンジンの始動停止と該電気モータの始動停止と該クラッチの断接とを統合制御する制御手段とをそなえ、該制御手段により、該負荷検知手段により検出又は推定された該アクチュエータの負荷状態が無負荷のときには、該クラッチを切断して該エンジンは停止状態に、該電気モータは作動状態にして、該電気モータにより該油圧ポンプを駆動させるような制御を行なうことを特徴としている。
【0013】
また、該クラッチと該油圧ポンプとの間にフライホイールをそなえることが好ましく(請求項2)、より好ましくは、該フライホイールを該電気モータから該油圧ポンプの入力軸に動力を伝達するための動力伝達部材として構成する(請求項3)。
【0014】
また、該制御手段により、該クラッチを切断して該エンジンを停止した後、該油圧ポンプの回転速度が所定値以下になったときに該電気モータに該油圧ポンプを駆動させるような制御を行なうことが好ましい(請求項4)。
また、該電気モータの回転速度を調整する回転速度調整手段をそなえ、該制御手段により、該電気モータによる該油圧ポンプの駆動時には該油圧ポンプの回転速度が通常運転時の回転速度よりも低い所定の回転速度に保たれるように該回転速度調整手段を制御することが好ましい(請求項5)。
【0015】
また、オペレータが該アクチュエータを操作するための操作手段をそなえ、該制御手段により、該操作レバーが該アクチュエータを操作する方向に操作されたら該クラッチを接続し該エンジンを始動させるとともに、該電気モータによる該油圧ポンプの駆動を停止させるような制御を行なうことが好ましく(請求項6)、その際、該制御手段により、該エンジンを始動し該クラッチを接続してから所定時間は、該電気モータにより該油圧ポンプを駆動するような制御を行なうことがより好ましい(請求項7)。
【0016】
また、該アクチュエータが複数そなえられるとともに、該油圧ポンプと上記複数のアクチュエータとの間に介装され上記複数のアクチュエータの中の任意のアクチュエータに該油圧ポンプから供給される作動油を送り込むコントロールバルブをそなえ、該操作手段により該コントロールバルブが操作されて作動油を送り込むべきアクチュエータが選択されるようにしてもよい(請求項8)。
【0017】
また、該負荷検知手段は、該アクチュエータと該油圧ポンプとを結ぶ油圧回路上の油圧に基づき該アクチュエータの負荷状態を検出又は推定するものでもよく(請求項9)、該油圧ポンプの回転速度変化に基づき該アクチュエータの負荷状態を検出又は推定するものでもよく(請求項10)、該操作手段の操作位置に基づき該アクチュエータの負荷状態を検出又は推定するものでもよい(請求項11)。
【0018】
また、該電気モータを該油圧ポンプからの駆動力の入力により発電機としても機能するように構成するとともに、該電気モータに接続され充電可能なバッテリと、該電気モータを発電機に切り換える切換手段とをそなえ、該制御手段により、該電気モータを駆動源として用いるときには該バッテリから該電気モータに電力を供給し、該電気モータを駆動源として用いないときには該切換手段を操作して該電気モータを発電機に切り換え、該油圧ポンプの入力軸からの駆動力の入力により発電した電力を該バッテリに充電するような制御を行なうことが好ましい(請求項12)。
【0019】
また、該バッテリの充電残量を検出又は推定する充電残量検知手段をそなえ、該制御手段により、該電気モータによる該油圧ポンプの駆動時に該充電残量検知手段により検出又は推定された該バッテリの充電残量が充電が必要な状態にまで低下したときには、該クラッチを接続し該エンジンを始動させるとともに、該切換手段を操作して該電気モータを発電機に切り換えるような制御を行なうことが好ましく(請求項13)、その際、該エンジンの回転速度を通常運転時の回転速度よりも低い所定の回転速度に設定することがより好ましい(請求項14)。
【0020】
さらに、オペレータにより操作可能なパワーアップスイッチをそなえ、該制御手段により、該パワーアップスイッチがオンにされたときには、該エンジンによる該油圧ポンプの駆動中でも該切換手段を操作して該電気モータを発電機から駆動源に切り換えるような制御を行なうことが好ましく(請求項15)、その際、該パワーアップスイッチがオンにされてから所定時間が経過したら、該切換手段を操作して該電気モータを再び発電機に切り換えるようにすることがより好ましい(請求項16)。
【0021】
そして、本発明の油圧式建設機械(請求項17)は、上述したハイブリッド油圧システム(請求項1〜16)のいずれかをそなえたことを特徴としている。
【0022】
【発明の実施形態】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
図1,図2は本発明の一実施形態としてのハイブリッド油圧システムについて示すものであり、ここでは建設機械の一種である油圧ショベルに適用した場合について示している。なお、本発明のハイブリッド油圧システムは油圧ショベルのみならず油圧機構を用いた建設機械一般に適用しうるものであり、さらには建設機械のみならず油圧機構を用いた機械一般に適用しうるものである。
【0023】
以下、図1を参照しながら本実施形態のハイブリッド油圧システムの構成について説明する。
図1に示すように、本ハイブリッド油圧システムは、従来の油圧ショベルの油圧システムと同様に、作動油に油圧を発生させる油圧ポンプ12,油圧ポンプ12を駆動するエンジン7,複数のアクチュエータ14,油圧ポンプ12からアクチュエータ14に作動油を供給するコントロールバルブ13,作業レバー16をそなえている。
【0024】
まず、これらの各構成要素から説明すると、油圧ポンプ12は油圧ショベルに通常用いられている一般的なポンプであり、回転運動により作動油を圧縮して油圧を発生させるようになっている。例えば、油圧ショベル用の油圧ポンプ12としては、ギヤポンプ,ベーンポンプ,ピストンポンプ等を用いることができ、油圧ショベルの用途やその他の要求に応じて適宜のポンプが採用される。
【0025】
油圧ポンプを駆動するエンジン7としては、一般にディーゼルエンジン(勿論、ガソリンエンジンでも可)が用いられる。エンジン7には燃料噴射装置7aがそなえられ、燃料噴射装置7aでは後述するコントローラ6からのエンジン制御信号により燃料噴射量を調整して機関回転速度を制御したり、燃料カットにより機関を停止したりするようになっている。例えば、燃料噴射装置7aがメカニカルガバナーの場合には、コントローラ6からのエンジン制御信号によりアクチュエータがガバナレバーを動かして燃料噴射量を調整するようになっている。また、燃料噴射装置7aが電子ガバナーの場合には、直接コントローラ6から電子ガバナーにエンジン制御信号が入力されて燃料噴射量を調整するようになっている。
【0026】
アクチュエータ14は、油圧ポンプ12からコントロールバルブ13を介して供給された作動油の油圧エネルギを機械的な動きに変換する装置である。油圧ショベルには目的に応じて複数のアクチュエータ14がそなえられている。例えば、作業装置を動かすための油圧シリンダや、走行装置(車輪等)を動かすための走行モータ(油圧モータ)や、旋回装置(旋回ギヤ)を動かすための旋回モータ(油圧モータ)等である。
【0027】
コントロールバルブ13は、任意のアクチュエータ14に油圧ポンプ12から供給される作動油の油圧を送り込む装置であり、オペレータによる作業レバー(操作手段)16の操作によって制御されるようになっている。作業レバー16は各装置を動作させるための入力手段であり、油圧信号出力のものと電気信号出力ものとがある。コントロールバルブ13では、作業レバー16からの信号(油圧信号又は電気信号)により、内部油圧回路のスプールを動かして目的のアクチュエータ14に作動油を供給するようになっている。
【0028】
また、コントロールバルブ13内には圧力スイッチ(負荷検知手段)13aがそなえられている。この圧力スイッチ13aはコントロールバルブ13の内部油圧が所定値以上のときにオンになるスイッチである。前記所定値は装置が作動している時(即ち、アクチュエータ14に負荷が作用している時)の油圧に設定されており、圧力スイッチ13aでは、オンになった時にはコントローラ6に信号(作業信号)を出力するようになっている。
【0029】
本ハイブリッド油圧システムでは、上記構成要素に加えてさらに以下に説明するような構成要素をそなえている。
まず、エンジン7と油圧ポンプ12との間には、エンジン7の出力軸7bと油圧ポンプ12の入力軸12aとの出力の伝達を断接するクラッチ8が介装されている。クラッチ8はコントローラ6により制御され、コントローラ6からのクラッチ信号により断接が行なわれるようになっている。なお、クラッチ8としては一般的な油圧クラッチ又は電磁クラッチを用いることができるが、構成の簡素さの点で電磁クラッチを採用することが好ましい。
【0030】
また、油圧ポンプ12の入力軸12aには出力ギヤ11が同軸に固設されている。この出力ギヤ11はエンジン7及び後述する電気モータ9から出力される駆動力を外部に出力するための部材であり、エアコンのコンプレッサ等の駆動力はこの出力ギヤ11から取り出している。また、この出力ギヤ11は十分なイナーシャを持つべく大径に形成されており、クラッチ8が切断されエンジン7からの駆動力が断たれた時に慣性力によって油圧ポンプ12を駆動するためのフライホイールとしても機能するようになっている。
【0031】
そして、本ハイブリッド油圧システムでは、油圧ポンプ12を駆動するための駆動源として、上述したエンジン7に加えてさらに電気モータ9をそなえている。電気モータ9はその出力軸をギヤ10に連結されており、ギヤ10は出力ギヤ11に噛合している。このため、電気モータ9の出力はギヤ10を介して出力ギヤ11に伝達されるようになっている。この場合、出力ギヤ11は電気モータ9の出力を油圧ポンプ12に伝達するための動力伝達部材として機能するようになっている。
【0032】
電気モータ9は一般的な直流モータでありその型式は問わない。ただし、後述するように出力ギヤ11側からの回転の入力により発電機としても機能するような構成とする。電気モータ9への電力供給はバッテリ3により行なうようになっている。このバッテリ3は電気モータ9のみならず、他の電気/電子システム(例えば油圧ポンプ12,エンジン7の制御システムや,エアコン,ライト,ラジオ等)1にも電源を供給するためのものであり、一般の充電可能な車載用2次電池を用いることができる。なお、バッテリ3からはその端子電圧がコントローラ6に入力されるようになっている。
【0033】
また、電気モータ9のモータ出力が大きい場合には高圧で作動させるのが好ましいので、バッテリ3を電気モータ9専用の高圧バッテリとすることも可能である。この場合、他の電気/電子システム1への電力の供給には、24V等の低圧バッテリを別に設けるか、若しくは降圧用コンバータで電気モータ9用の高圧バッテリからの電力を降圧させた上で供給するようにする。
【0034】
電気モータ9の発電機への切り換えは、モード切換スイッチ(切換手段)2により行なわれるようになっている。モード切換スイッチ2はバッテリ3と電気モータ9との間の電気回路を動力側か充電側かに切り換える装置であり、一般的なリレーで構成することができる。モード切換スイッチ2はコントローラ6により制御され、コントローラ6からの切換信号によりモード切換が行なわれるようになっている。
【0035】
そして、モード切換スイッチ2により回路が動力側に切り換えられた時には、電気はバッテリ3から電気モータ9に向けて流れるようになり、電気モータ9は駆動源として機能するようになっている。逆に、回路が充電側に切り換えられた時には、電気は電気モータ9からバッテリ3に向けて流れるようになり、電気モータ9は発電機として機能するようになっている。
【0036】
モード切換スイッチ2により動力側に切り換えられた時の回路上には、モータ速度制御装置(回転速度調整手段)4が設けられている。モータ速度制御装置4はバッテリ3からの直流電源を電力制御して電気モータ9に送電する装置であり、公知のチョッパー回路等の半導体スイッチング回路で構成することが好ましい。
【0037】
モータ速度制御装置4では、コントローラ6からのモータ制御信号(電圧信号,PWM信号,FM信号等)を受けて0〜100%の範囲で電力制御を行なうようになっている。0%の時には供給電力は0になって電気モータ9は停止し、100%の時にはバッテリ3から電気モータ9に最大電力が供給されモータ速度は最大になる。つまり、モータ速度制御装置4では、コントローラ6からのモータ制御信号によってモータ速度を連続可変制御できるようになっているのである。
【0038】
一方、モード切換スイッチ2により充電側に切り換えられた時の回路上には、定電圧電源装置5が設けられている。定電圧電源装置5は電気モータ9が発電機として機能する時、この発電機から入力された不安定な電力を定電圧化した上でバッテリ3側へ送電する装置であり、公知のスイッチングレギュレータ(降圧タイプ,昇圧タイプ共に可能)で構成することができる。この定電圧電源装置5をそなえることにより、発電機(電気モータ)9で発電した電力をバッテリ3へ充電しながら同時に電気/電子システム1に供給することが可能となり、電気モータ9を通常のオルタネータとして用いることができるようになっている。
【0039】
さらに本ハイブリッド油圧システムでは、その機能要素としてピックアップ17,パワーアップスイッチ18,エコスイッチ19及びスロットルダイヤル15をそなえている。ピックアップ17は出力ギヤ11の円周面を臨むようにそなえられており、出力ギヤ11の円周面に刻まれた歯の有無を検出するようになっている。そして、出力ギヤ11の回転に伴い検出した歯の有無に応じて、コントローラ6にパルス信号(回転速度信号)を出力するようになっている。
【0040】
パワーアップスイッチ18,エコスイッチ19及びスロットルダイヤル15は、上述の作業レバー16とともに図示しない操縦席にそなえられている。パワーアップスイッチ18はより強い油圧を要求する時、エコスイッチ19は省エネ運転を行なう時のために設けられられたスイッチであり、各スイッチ18,19を押すことによってそれぞれコントローラ6に信号が入力されるようになっている。また、スロットルダイヤル15はエンジン7の回転速度を段階的或いは連続的に設定するための手段であり、例えば、ポテンシャルメータやロータリスイッチを用いることができる。
【0041】
さらに上記の構成要素に加えて、操縦席にはキースイッチ20がそなえられている。このキースイッチ20はエンジンの始動又は停止させるためのものであり、オペレータがキースイッチ20をオンにした時には、キースイッチ20からコントローラ6に始動信号が入力され、逆にキースイッチ20をオフにした時には、停止信号が入力されるようになっている。
【0042】
以上、従来の油圧システムと同じ機能要素に加えて本ハイブリッド油圧システムにおいて新たに設けられた構成要素についても説明したが、これらを統合制御するコントローラ(制御手段)6の機能にも従来の油圧システムと比較して大きな相違がある。以下、図2に示す機能ブロック図を参照しながら本ハイブリッド油圧システムにかかるコントローラ6の機能について説明する。
【0043】
図2に示すように、コントローラ6はその機能要素として、エンジン制御手段21,クラッチ制御手段22,モータ制御手段23,運転切換制御手段24,タイマ25,充電判定手段26,始動停止制御手段27をそなえている。なお、コントローラ6はマイコンにより構成された一般的な電子制御装置であり(勿論、マイコンによらずロジック回路等であってもかまわない)、上記の各機能要素21〜27はマイコンを動作させるプログラムを適宜設計することによって(或いはロジック回路を適宜設計することによって)構成することができるようになっている。
【0044】
各機能要素について説明すると、まず、エンジン制御手段21はエンジン7の運転状態を制御する制御手段である。エンジン制御手段21では、後述する運転切換制御手段24,始動停止制御手段27からの始動/停止信号,充電判定手段26からの再始動信号及びスロットルダイヤル15からのエンジン回転数設定信号に基づき、エンジン7の燃料噴射装置7aに適宜エンジン制御信号を出力して、燃料噴射量を調整してエンジン回転速度を制御したり、燃料カットにより機関を停止させたりするようになっている。
【0045】
具体的には、運転切換制御手段24又は始動停止制御手段27から停止信号が入力された時には、エンジン7を停止させるべく燃料噴射装置7aに燃料噴射をカットさせるようになっている。逆に始動信号が入力された時には、エンジン7を始動させるべく燃料噴射装置7aに燃料を噴射させるようになっている。ここで噴射される燃料は始動用に調整された量の燃料であり、始動後は通常運転時のエンジン回転速度(作業用エンジン回転速度)になるように燃料噴射装置7aに燃料噴射量を制御させるようになっている。
【0046】
また、エンジン7の停止時において充電判定手段26から再始動信号が入力された時には、エンジン7を再始動させるべく燃料噴射装置7aに始動可能な燃料噴射量を噴射させるとともに、エンジン7の再始動後は作業用エンジン回転速度よりも低い所定のエンジン回転速度(省エネエンジン回転速度)になるように燃料噴射装置7aからの燃料噴射量を制御するようになっている。また、スロットルダイヤル15からエンジン回転数設定信号が入力された時には、設定されたエンジン回転数を達成するように燃料噴射装置7aからの燃料噴射量を適宜増減制御するようになっている。
【0047】
クラッチ制御手段22はクラッチ8の断接を制御する制御手段であり、後述する運転切換制御手段24,始動停止制御手段27及び充電判定手段26からのクラッチ断接信号に基づきクラッチ8の断接制御を行なうようになっている。具体的には、運転切換制御手段24又は始動停止制御手段27からクラッチ切断信号が入力された時には、エンジン7を油圧ポンプ12から切り離すべくクラッチ8を切断し、逆に運転切換制御手段24,始動停止制御手段27又は充電判定手段26からクラッチ接続信号が入力された時には、エンジン7を油圧ポンプ12に連結すべくクラッチ8を接続するようになっている。
【0048】
次に、モータ制御手段23について説明すると、モータ制御手段23はモード切換スイッチ2とモータ速度制御装置4とを制御することによって電気モータ9の運転状態を制御する制御手段である。モータ制御手段23では、後述する運転切換制御手段24,充電判定手段26からの動力側/充電側切換信号,始動停止制御手段27からのクランキング信号,パワーアップスイッチ18からのパワーアップ信号及びエコスイッチ19からのエコ信号に基づき、モード切換スイッチ2にモード切換信号を出力して回路の動力側と充電側との切換を行なうとともに、モータ速度制御装置4にモータ制御信号を出力して電気モータ9のオン/オフやモータ回転速度を制御するようになっている。
【0049】
具体的には、運転切換制御手段24から動力側への切換信号が入力された時には、電気モータ9を油圧ポンプ12の駆動源とすべくモード切換スイッチ2により回路を充電側から動力側に切り換えさせるとともに、所定のモータ回転速度(省エネ運転時モータ回転速度)になるようにモータ速度制御装置4に電気モータ9への電力供給量を調整させるようになっている。逆に運転切換制御手段24又は充電判定手段26から充電側への切換信号が入力された時には、電気モータ9を発電機として機能させるべくモード切換スイッチ2により回路を動力側から充電側に切り換えさせるようになっている。
【0050】
また、始動停止制御手段27からクランキング信号が入力された時には、エンジン7をクランキングすべくモード切換スイッチ2により回路を充電側から動力側に切り換えさせるとともに、電気モータ9への電力供給量を最大して所定のモータ回転速度(クランキング時モータ回転速度)になるようにモータ速度制御装置4を制御するようになっている。
【0051】
また、通常運転時においてパワーアップスイッチ18からパワーアップ信号が入力された時には、電気モータ9の出力をエンジン7の出力に加算すべくモード切換スイッチ2により回路を充電側から動力側に切り換えさせるとともに、所定のモータ回転速度(パワーアップ時モータ回転速度)になるようにモータ速度制御装置4に電気モータ9への電力供給量を調整させるようになっている。また、省エネ運転時においてエコスイッチ19からエコ信号が入力された時には、モータ回転速度が省エネ運転時モータ回転速度よりもさらに低い第2省エネ運転時モータ回転速度になるようにモータ速度制御装置4に電気モータ9への電力供給量を調整させるようになっている。
【0052】
次に、運転切換制御手段24について説明すると、運転切換制御手段24は装置の運転状態に応じて通常運転と省エネ運転との間で運転モードを切り換えるための制御手段であり、圧力スイッチ13aからの作業信号,ピックアップ17からのパルス信号(回転速度信号)に基づき装置の運転状態を判断し、エンジン制御手段21,クラッチ制御手段22,モータ制御手段23に適宜制御信号を出力して運転モードを切り換えるようになっている。
【0053】
具体的には、運転切換制御手段24では、圧力スイッチ13aからの作業信号が入力されている間は装置が稼動状態(即ち、アクチュエータ14に負荷が作用している状態)にあるとみなすようになっている。そして、圧力スイッチ13aからの作業信号がオフになるとタイマ25を作動させ、所定時間オフが続くと装置が待機状態(即ち、アクチュエータ14が無負荷又は略無負荷状態)になったものと判定するようになっている。
【0054】
装置が待機状態になったものと判定された場合、運転切換制御手段24は、まず第1省エネ運転を行なうようになっている。第1省エネ運転では、クラッチ8を切断すべくクラッチ制御手段22にクラッチ切断信号を出力し、続いてエンジン7を停止させるべくエンジン制御手段21に停止信号を出力するようになっている。この第1省エネ運転によりエンジン7は停止し、油圧ポンプ12はフライホイールとしての出力ギヤ11の慣性によって回転駆動されるようになる。また、第1省エネ運転中において運転切換制御手段24では、ピックアップ17からの回転速度信号に基づき出力ギヤ11の回転速度(油圧ポンプ12の入力軸12aの回転速度)を演算し、演算した回転速度が所定値(省エネ運転時モータ回転速度に対応する値)以下まで低下したか否か判定するようになっている。
【0055】
そして、出力ギヤ11の回転速度が所定値以下まで低下したと判定された時には、第2省エネ運転を行なうようになっている。第2省エネ運転では、電気モータ9の機能を発電機から駆動源に切り換えて油圧ポンプ12を駆動させるべく、モータ制御手段23に駆動側への切換信号を出力するようになっている。この第2省エネ運転により油圧ポンプ12は電気モータ9により所定の省エネ運転時モータ回転速度で回転駆動されるようになる。
【0056】
一方、省エネ運転中(第1省エネ運転又は第2省エネ運転中)において圧力スイッチ13aからの作業信号がオンになった時には、運転切換制御手段24では、まず、エンジン7を始動させるべくエンジン制御手段21に始動信号を出力し、続いてクラッチ8を接続すべくクラッチ制御手段22にクラッチ接続信号を出力するようになっている。そして、クラッチ接続信号の出力と同時にタイマ25を作動させ、所定時間経過した時点で電気モータ9の機能を発電機に切り換えるくモータ制御手段23に充電側への切換信号を出力するようになっている。
【0057】
充電判定手段26はバッテリ3の充電状態を判定して上記の第2省エネ運転でのバッテリ3の過放電を防止するための手段であり、内部に電圧計(充電残量検知手段)をそなえている。そして、バッテリ3から入力される端子電圧を計測し、計測した端子電圧が所定値以下になった時には、バッテリ3が充電残量が充電が必要な状態まで低下したものと判定するようになっている。
【0058】
バッテリ3の充電残量が充電が必要な状態まで低下したものと判定された場合、充電判定手段26では、電気モータ9の機能を発電機に切り換えるべくモータ制御手段23に充電側への切換信号を出力するとともに、エンジン7によって油圧ポンプ12を駆動すべくエンジン制御手段21に再始動信号を出力し、クラッチ制御手段22にクラッチ接続信号を出力するようになっている。
【0059】
最後に始動停止制御手段27について説明すると、始動停止制御手段27はエンジン7の始動停止を行なう制御手段であり、上述の運転切換制御手段24のような自動的にエンジン7を始動停止させるのではなく、オペレータのキースイッチ20の操作を受けてエンジン制御手段21,モータ制御手段23に適宜制御信号を出力してエンジン7を始動停止させるようになっている。
【0060】
具体的には、オペレータのキースイッチ20のオン操作により始動信号が入力された時には、始動停止制御手段27では、エンジン8を油圧ポンプ12に連結すべくクラッチ制御手段22にクラッチ接続信号を出力し、電気モータ9によってエンジン7をクランキングさせるべくモータ制御手段23に動力側への切換信号を出力するとともに、エンジン7に始動用の燃料を噴射すべくエンジン制御手段21に始動信号を出力するようになっている。逆に、オペレータのキースイッチ20のオフ操作により停止信号が入力された時には、エンジン7への燃料噴射をカットすべくエンジン制御手段21に停止信号を出力し、クラッチ8を切断すべくクラッチ制御手段22にクラッチ切断信号を出力するようになっている。
【0061】
本発明の一実施形態としてのハイブリッド油圧システムは上述のように構成されているので、本ハイブリッド油圧システムをそなえた油圧ショベルの運転時には次のような作用及び効果が得られる。以下、図3に示すタイムチャートを参照しながら本ハイブリッド油圧システムの作用及び効果について説明する。
まず、油圧ショベルの停止時(即ち、エンジン7,電気モータ9の停止時)においてオペレータが図示しないキースイッチを回すと、キースイッチからコントローラ6に始動信号が入力される。
【0062】
この始動信号を受けてコントローラ6では、クラッチ8にクラッチ信号を出力してクラッチ8を接続するとともに、モード切換スイッチ2にモード切換信号を出力して回路を動力側に切換え、モータ速度制御装置4へのモータ制御信号を最大値にし、さらにエンジン7の燃料噴射装置7aにエンジン制御信号を出力して始動時の燃料噴射量にセットする(ガバナの位置を始動時の燃料噴射位置にセットする)。これによりバッテリ3から電気モータ9へ最大の電力が供給され、電気モータ9はセルモータとして機能し、ギヤ10,出力ギヤ(フライホイール)11,クラッチ8を介してエンジン7をクランキングする。この電気モータ9によるクランキングによって燃料噴射装置7aから噴射された燃料が着火し、エンジン7は始動する。
【0063】
エンジン7の始動後、コントローラ6はモード切換スイッチ2にモード切換信号を出力して回路を充電側に切り換える。この回路の切換によりバッテリ3から電気モータ9への通電が断たれるため電気モータ9は動力発生源ではなくなるが、エンジン7が回転しているため、今度はクラッチ8,出力ギヤ(フライホイール)11,ギヤ10を介して電気モータ9がエンジン7により回転駆動されるようになり、電気モータ9は発電機(オルタネータ)として機能するようになる。そして、回路にそなえられた定電圧電源装置5によって安定化され、バッテリ3に充電されるとともに他の電気/電子システム1にも供給される。
【0064】
エンジン7により油圧ポンプ12を駆動している間は、一般的な油圧ショベルと同様にスロットルダイヤル15を回すことによって任意のエンジン回転速度に設定することができ、エンジン回転速度に応じた大きさの油圧をコントロールバルブ13に供給できる。そして、作業レバー16を操作することによってコントロールバルブ13から目的のアクチュエータ14に油圧を送りこみ、作業装置に所望の動作を行なわせることができる。
【0065】
このように作業装置を動作させている間は、圧力スイッチ13aから作業信号が入力されているが、図3に示すように作業を中断してアクチュエータ14を動かさなくなると(時点t0)、圧力スイッチ13aからの作業信号はオフになり、コントローラ6は所定時間tt1が経過したところで運転モードを通常運転から省エネ運転(第1省エネ運転)に切り換える(時点t1)。
【0066】
第1省エネ運転では、上述したようにクラッチ8を切り離した後、直ぐに燃料噴射装置7aからの燃料噴射をカットしてエンジン7を停止させる。これにより油圧ポンプ12への動力は断たれるが、アクチュエータ14が作動しなていなため無負荷又は略無負荷であり、また、出力ギヤ(フライホイール)11のイナーシャは十分に大きいため、出力ギヤ11は徐々に回転速度を落としながらも暫くの間は回転し続ける。この間、油圧ポンプ12は出力ギヤ11の回転により駆動されるので、回転速度に応じた大きさの油圧が発生する。また、エンジン7は停止しているので、騒音振動は少なく燃料消費量は0となる。
【0067】
オペレータが作業レバー16を操作すると、圧力スイッチ13aからの作業信号はオンになり、コントローラ6は作業状態と認識する(時点t2)。そして、燃料噴射装置7aにエンジン制御信号を出力して始動用の燃料を噴射させるととともに、クラッチ8にクラッチ信号を出力してクラッチ8を接続する。このクラッチ8の接続によりエンジン7はクランキング状態になるが、電気モータ9がセルモータとして機能する時よりもはるかに速い回転速度でクランキングするので、エンジン7はほとんど遅れなく始動し、エンジン回転速度は所定の作業用エンジン回転速度まで速やかに上昇し、出力ギヤ11の回転速度Nも作業用回転速度N1 まで速やかに上昇する。
【0068】
この時、コントローラ6では、上記制御によってエンジン7を始動させるとともに、モード切換スイッチ2にモード切換信号を出力して電気モータ9を充電側から動力側へ切り換える。これによりクラッチ8の接続による負荷等によって出力ギヤ11の回転速度Nが低下することが防止され、回転速度Nは作業用回転速度N1 まで速やかに上昇する。なお、この電気モータ9による始動補助はエンジン7の立ち上がりに一時的に行ない、上記の時点t2から所定時間tt2が経過した後は、モード切換スイッチ2にモード切換信号を出力して電気モータ9を再び発電機として機能させる。
【0069】
再び作業を中断してアクチュエータ14を動かさなくなると(時点t3)、コントローラ6は所定時間tt1が経過したところで運転モードを通常運転から省エネ運転(第1省エネ運転)に切り換える(時点t4)。そして、出力ギヤ11の回転速度Nが所定の回転速度(省エネ回転速度)N0 まで低下した時、コントローラ6は運転モードを通常運転から第1省エネ運転から第2省エネ運転に切り換える(時点t5)。
【0070】
第2省エネ運転では、上述したようにモード切換スイッチ2にモード切換信号を出力して回路を充電側から動力側に切り換える。これにより、バッテリ3からモータ速度制御装置4を介して発電機として機能していた電気モータ9は、本来のモータとして機能するようになり、ギヤ10,出力ギヤ11を介して油圧ポンプ12に駆動力が伝達されるようになる。
【0071】
この時、油圧ポンプ12は無負荷のため、電気モータ9は小さい出力で出力ギヤ11の回転速度Nを保持することができる。そして、コントローラ6はピックアップ17からの回転速度信号に基づき算出される入力軸12aの回転速度Nをフィードバックしながらモータ速度制御装置4により電気モータ9への電力制御を行ない、出力ギヤ11の回転速度Nが所定の省エネ回転速度N0に維持されるように制御する。これにより、長時間の作業待ち状態が続いた場合でも電気モータ9による駆動によって一定の油圧が維持される。また、エンジン7は停止しているので、騒音振動は少なく燃料消費量は0となる。
【0072】
オペレータが作業レバー16を操作すると、圧力スイッチ13aからの作業信号はオンになり、コントローラ6は作業状態と認識する(時点t6)。そして、燃料噴射装置7aにエンジン制御信号を出力して始動用の燃料を噴射させるとともに、クラッチ8にクラッチ信号を出力してクラッチ8を接続する。このクラッチ8の接続によりエンジン7はクランキング状態になるが、電気モータ9による駆動と出力ギヤ11のイナーシャとによってエンジン7はほとんど遅れなく始動し、出力ギヤ11の回転速度Nは作業用回転速度N1 まで速やかに上昇する。ただし、電気モータ9による始動補助はエンジン7の立ち上がりに一時的に行ない、上記の時点t6から所定時間tt2が経過した後は、モード切換スイッチ2にモード切換信号を出力して電気モータ9を発電機として機能させる。
【0073】
なお、上記省エネ回転速度N0 は、作業用回転速度N1 よりは十分に低いがエンジン7の始動時のアイドル回転速度よりは高い値(例えば、1000rpm〜1500rpm)である。このような回転速度N0 を選定することにより出力ギヤ11のイナーシャと相まって大きなエネルギが維持されるようになり、作業レバー16の操作による油圧ポンプ12よりも下流側での負荷投入やエンジン始動時のクラッチ8の接続による負荷の影響が少なく、出力ギヤ11の回転速度Nは作業レバー16の操作に対して応答遅れなく立ち上がるようになる。
【0074】
また、コントローラ6は常にバッテリ3の充電状態を端子電圧に基づきセンシングしており、上記第2省エネ運転中においてバッテリ3の充電残量が充電が必要な状態まで低下した時には、直ちにモード切換スイッチ2にモード切換信号を出力して回路を充電側に切り換える。そして、エンジン噴射制御信号を出力して始動燃料を噴射するとともにクラッチ信号を出力してクラッチ8を接続し、エンジン7をクランキングして始動させる。始動後は出力ギヤ11の回転速度Nが省エネ回転速度N0 に維持されるようにエンジン回転速度を制御する。これにより、電気モータ9はクラッチ8,出力ギヤ11,ギヤ10を介してエンジン7によって駆動され発電機として機能するようになり、バッテリ3の過放電が防止される。
【0075】
また、長時間のダンプ待ちのように待機状態が長く続く場合には、オペレータの判断によりエコスイッチ19を押すこともできる。このエコスイッチ19が押されると、コントローラ6はモータ速度制御手段4にモータ制御信号を出力し、出力ギヤ11の回転速度Nが省エネ回転速度N0 よりもさらに低い第2省エネ回転速度N2 (例えば800rpm)になるようにモータ回転速度を下げさせる。これにより待機状態での騒音振動が更に低減するとともに、バッテリ3の放電速度が低下してバッテリ3が充電を要する状態になるまでの時間が延ばされる。
【0076】
なお、再度エコスイッチ19を押した場合には、コントローラ6はモータ速度制御手段4にモータ制御信号を出力し、出力ギヤ11の回転速度Nが通常の省エネ回転速度N0 に戻るようにモータ回転速度を上昇させる。また、作業レバー16を操作した場合には、コントローラ6は作業状態に復帰したと認識して上述したようにクラッチ8を接続しエンジン7を始動させるとともに、始動後は電気モータ9の機能を駆動源から発電機に切り換える。
【0077】
さらに、作業状態においてより大きな作業能力が要求される場合には、オペレータの判断によりパワーアップスイッチ18を押すこともできる。このパワーアップスイッチ18が押されるとコントローラ6はパワーアップ制御を開始する。即ち、モード切換スイッチ2にモード切換信号を出力して回路を充電側から動力側に切り換えるとともに、モータ速度制御手段4にモータ制御信号を出力してモータ回転速度を所定値に設定する。これによりエンジン7の駆動力に電気モータ9の駆動力が加算され、油圧ショベルの作業能力が大きく向上する。ただし、パワーアップ制御が一定時間続いた時は、コントローラ6は自動的にモード切換スイッチ2にモード切換信号を出力して回路を動力側から充電側に切り換える。これにより電気モータ9の焼損やバッテリ3の過放電が防止される。
【0078】
このように本ハイブリッド油圧システムによれば、圧力スイッチ13aからの作業信号が所定時間入力されなかった時には、クラッチ8を切断してエンジン7を停止するので、騒音振動が少なく無駄な燃料を消費しないという利点がある。また、エンジン7を停止した後も油圧ポンプ12の入力軸12aは出力ギヤ(フライホイール)11のイナーシャによって回転しているので、クラッチ8を接続するだけで直ぐにエンジン7を始動させることができ、速やかに作業復帰することができるという利点がある。
【0079】
そして、待機状態が続き出力ギヤ11の回転速度Nが低下してきた時には、電気モータ9によって入力軸12aを駆動して所定の省エネ回転速度N0 に維持するので、待機状態が続いた場合でもいつでも直ぐにエンジン7を始動させることができ、速やかに作業復帰することができるという利点がある。さらに、作業状態に復帰する時にはエンジン7が立ち上がるまでの間電気モータ9を駆動状態にするので、クラッチ8の接続に伴う負荷等による回転速度Nの低下を防止して速やかに作業状態に復帰することができるという利点がある。
【0080】
また、バッテリ3の充電残量は端子電圧に基づき常にウオッチしており、充電残量が低下した時には電気モータ9を発電機に切り換えるのでバッテリ3が過放電してしまうことを防止することができるという利点もある。また、電気モータ9は発電機(オルタネータ)として機能するとともに、エンジン7の始動時にはセルモータとしても機能するので、オルタネータとセルモータとを別に設ける必要がなく部品点数を削減することができるという利点がある。
【0081】
さらに、この電気モータ9は作業中断時の無負荷状態での回転速度維持を目的としたものであるので、小型化することができるという利点もある。また、出力ギヤ11をフライホイールとして用いるとともに、電気モータ9の出力を入力軸12aに伝達するための動力伝達部材としても用いることによっても、部品点数を削減することができるという利点がある。
【0082】
また、出力ギヤ(フライホイール)11はその慣性力によってエンジン7が停止した後も回転し続け、回転速度が低下した時には電気モータ9によって駆動されるので、待機状態となり自動的にエンジン7が停止した時でもエアコンのコンプレッサを駆動することができ、オペレータはエアコンを使用し続けることができるという利点がある。
【0083】
さらに、長時間待機状態が続くような場合には、エコスイッチ18を押すことにより出力ギヤ11の回転速度Nを省エネ回転速度N0 よりも低い第2省エネ回転速度N2 に設定することができるので、さらに騒音振動を低減することができるとともに、バッテリ3が放電されるまでの時間を延ばすことができるという利点もある。そして、この場合でも作業状態への復帰時には出力ギヤ11のイナーシャと相まってスムーズにエンジン7を始動することができる。
【0084】
さらに、作業状態においてパワーアップスイッチ18を押した場合には、エンジン7の駆動力に電気モータ9の駆動力を加算して油圧ショベルの作業能力を大きく向上させることができるという利点がある。また、このパワーアップ制御には一定のタイムリミットが設けられているので、電気モータ9の焼損やバッテリ3の過放電を防止することができるという利点もある。
【0085】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上述の実施形態では、バッテリ3の端子電圧からバッテリ3の充電残量を推定するようになっているが、バッテリ3内に比重センサ(充電残量検知手段)をそなえて検出したバッテリ液の比重から充電残量を推定するようにしてもよい。また、電圧,電流を積算時間から推定することも可能である。
【0086】
また、上述の実施形態では、負荷検知手段として圧力スイッチ13aをそなえ、コントロールバルブ13の油圧回路内の油圧に基づき装置が待機状態か否か判定するようになっているが、これに限らず作業レバー16の操作位置を検出して操作位置が中立位置であれば待機状態であると判定するようにしてもよい。さらに、ピックアップ17により検出される出力ギヤ11の回転速度Nの変化(回転速度Nの落ち込み具合)から装置が作業状態か又は待機状態かを判定するようにしてもよい。例えば、回転速度Nの落ち込みが大きい時には装置に負荷がかかっているのと判断することができる。
【0087】
また、上述の実施形態では、出力ギヤ11をギヤ10と噛合させることにより電気モータ2と油圧ポンプ12との間の動力伝達を行なっているが、ベルトとプーリ(一方のプーリはフライホイールと兼用)により動力を伝達するようにしてもよい。さらに、図4に示すように、電気モータ9を油圧ポンプ12の入力軸12aと同軸に配設し、電気モータ9のロータを入力軸12aと一体に構成するようにしてもよい。
【0088】
また、上述の実施形態では、電気モータ9として直流モータをそなえているが、ベクトル制御やインバータ等の公知の技術を用いることによって交流モータをそなえることも可能である。ただし、この場合には電気モータ(交流モータ)は回生能力を有することが前提であり、当然ながらモータ速度制御装置4,定電圧電源装置5は交流に対応したものにする必要がある。
【0089】
さらに、コントローラ6による制御方法についても上述の実施形態に限定されず種々の制御方法が可能である。例えば、上述の実施形態ではオペレータがパワーアップスイッチ18を押すことによってパワーアップ制御を実行しているが、アクチュエータ14の負荷を検出し、検出した負荷の大きさに応じて電気モータ9によるアシストを行なうようにすることもできる。
【0090】
また、検出したアクチュエータ14の負荷が小さい場合には、クラッチ8を切離してエンジン7を停止し、電気モータ9のみによって油圧ポンプ12を駆動することもできる。さらに、外部から電力供給を受けるようにすることによって、エンジン7を停止しクラッチ8を切り、電気モータ9のみで油圧ポンプ12を駆動すれば排気ガスの全く出ない電気ショベルとして機能させることができる。
【0091】
即ち、本発明のハイブリッド油圧システムによれば、アクチュエータ14の負荷状態に応じたエンジン7,電気モータ9及びクラッチ8の統合制御が可能であり、油圧ショベルをはじめとした油圧式建設機械の作業状況に応じた最適な油圧制御を行なうことができる。
【0092】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のハイブリッド油圧システム(請求項1〜16)によれば、検出又は推定されたアクチュエータの負荷状態に基づき、エンジンの始動停止と電気モータの始動停止とクラッチの断接とを統合制御することによって、アクチュエータの使用状況に応じた最適な油圧制御を行なうことができるという利点がある。
【0093】
特に、検出又は推定されたアクチュエータの負荷状態が無負荷のときにはクラッチを切断しエンジンを停止状態にして、電気モータにより油圧ポンプを駆動させるようにするので、待機状態での騒音振動を大幅に低減できるとともに無駄な燃料消費を無くすことができ、加えて速やかな作業復帰も可能になるという利点がある。
【0094】
また、クラッチと油圧ポンプとの間にフライホイールをそなえるようにすれば、エンジンを停止した後も油圧ポンプはフライホイールのイナーシャによって回転しているので、クラッチを接続するだけで直ぐにエンジンを始動させることができ、速やかに作業復帰することができるという利点があり(請求項2)、その際、フライホイールを電気モータから油圧ポンプの入力軸に動力を伝達するための動力伝達部材として構成するようにすれば、部品点数を増加させることもない(請求項3)。
【0095】
また、クラッチを切断してエンジンを停止した後、油圧ポンプの回転速度が所定値以下になったときに電気モータに油圧ポンプを駆動させるようにすれば、電気モータによる電気の消費を抑えることができるという利点がある(請求項4)。また、油圧ポンプの回転速度が通常運転時の回転速度よりも低い所定の回転速度に保たれるように電気モータの回転速度を調整するようにすれば、より騒音振動を低減することができるという利点がある(請求項5)。
【0096】
また、操作レバーがアクチュエータを操作する方向に操作されたらクラッチを接続しエンジンを始動させるとともに、電気モータによる油圧ポンプの駆動を停止させるようにすれば、オペレータの意思に応じた速やかな作業復帰が可能になるという利点があり(請求項6)、特に、エンジンを始動しクラッチを接続してから所定時間は電気モータにより油圧ポンプを駆動するようにすれば、クラッチの接続に伴う負荷によってエンジン回転速度が低下することを防止して速やかな作業復帰が可能になるという利点がある(請求項7)。
【0097】
また、電気モータを駆動源として用いるときにはバッテリから電気モータに電力を供給し、電気モータを駆動源として用いないときには発電機に切り換えて発電した電力をバッテリに充電するようにすれば、外部から電力を供給することなく電気モータを作動させることができるという利点があり、また、オルタネータを別に設ける必要がなく部品点数を削減することができるという利点もある(請求項12)。
【0098】
また、電気モータによる油圧ポンプの駆動時にバッテリの充電残量が充電が必要な状態にまで低下したときには、クラッチを接続しエンジンを始動させるとともに電気モータを発電機に切り換えるようにすれば、バッテリの過放電を防止することができるという利点があり(請求項13)、その際、エンジンの回転速度を通常運転時の回転速度よりも低い所定の回転速度に設定するようにすれば、騒音振動を低減することができる(請求項14)。
【0099】
さらに、パワーアップスイッチがオンにされたときにはエンジンによる油圧ポンプの駆動中でも電気モータを発電機から駆動源に切り換えるようにすれば、エンジンの駆動力に電気モータの駆動力を加算してアクチュエータの作業能力を大きく向上させることができるという利点があり(請求項15)、その際、パワーアップスイッチがオンにされてから所定時間が経過したら電気モータを再び発電機に切り換えるようにすれば、バッテリの過放電や電気モータの焼損を防止することができるという利点がある(請求項16)。
【0100】
そして、本発明の油圧式建設機械(請求項17)によれば、上述したハイブリッド油圧システム(請求項1〜16)をそなえることによって、待機後の速やかな作業復帰と待機状態での燃料浪費及び騒音振動の大幅な低減とを両立することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としてのハイブッリド油圧システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態としてのハイブッリド油圧システムにかかるコントローラの機能を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態としてのハイブッリド油圧システムの動作を説明するためのタイムチャートである。
【図4】本発明の一実施形態としてのハイブッリド油圧システムの構成の変形例を示す図である。
【図5】従来の油圧システムの構成を示す図である。
【図6】従来の油圧システムの動作を説明するためのタイムチャートである。
【符号の説明】
1 電気/電子システム
2 モード切換スイッチ(切換手段)
3 バッテリ
4 モータ速度制御装置(回転速度調整手段)
5 定電圧電源装置
6 コントローラ(制御手段)
7 エンジン
7a 燃料噴射装置
8 クラッチ
9 電気モータ
10 ギヤ
11 出力ギヤ(フライホイール)
12 油圧ポンプ
13 コントロールバルブ
13a 圧力スイッチ(負荷検知手段)
14 アクチュエータ
15 スロットルダイヤル
16 作業レバー(操作手段)
17 ピックアップ
18 パワーアップスイッチ
19 エコスイッチ
20 キースイッチ
Claims (17)
- 油圧を機械的動きに変換するアクチュエータと、
該アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプと、
該油圧ポンプを駆動するエンジンと、
該エンジンの出力軸と該油圧ポンプの入力軸との間に介装されたクラッチと、
該油圧ポンプの入力軸に連結された電気モータと、
該アクチュエータの負荷状態を検出又は推定する負荷検知手段と、
該負荷検知手段により検出又は推定された該アクチュエータの負荷状態に基づき、該エンジンの始動停止と該電気モータの始動停止と該クラッチの断接とを統合制御する制御手段とをそなえ、
該制御手段は、該負荷検知手段により検出又は推定された該アクチュエータの負荷状態が無負荷のときには、該クラッチを切断して該エンジンは停止状態に、該電気モータは作動状態にして、該電気モータにより該油圧ポンプを駆動させる
ことを特徴とする、ハイブリッド油圧システム。 - 該クラッチと該油圧ポンプとの間にフライホイールをそなえた
ことを特徴とする、請求項1記載のハイブリッド油圧システム。 - 該フライホイールを該電気モータから該油圧ポンプの入力軸に動力を伝達するための動力伝達部材として構成した
ことを特徴とする、請求項2記載のハイブリッド油圧システム。 - 該制御手段は、該クラッチを切断して該エンジンを停止した後、該油圧ポンプの回転速度が所定値以下になったときに該電気モータに該油圧ポンプを駆動させる
ことを特徴とする、請求項2又は3記載のハイブリッド油圧システム。 - 該電気モータの回転速度を調整する回転速度調整手段をそなえ、
該制御手段は、該電気モータによる該油圧ポンプの駆動時には該油圧ポンプの回転速度が通常運転時の回転速度よりも低い所定の回転速度に保たれるように該回転速度調整手段を制御する
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れかの項に記載のハイブリッド油圧システム。 - オペレータが該アクチュエータを操作するための操作手段をそなえ、
該制御手段は、該操作レバーが該アクチュエータを操作する方向に操作されたら該クラッチを接続し該エンジンを始動させるとともに、該電気モータによる該油圧ポンプの駆動を停止させる
ことを特徴とする、請求項1〜5の何れかの項に記載のハイブリッド油圧システム。 - 該制御手段は、該エンジンを始動し該クラッチを接続してから所定時間は、該電気モータにより該油圧ポンプを駆動する
ことを特徴とする、請求項6記載のハイブリッド油圧システム。 - 該アクチュエータが複数そなえられるとともに、
該油圧ポンプと上記複数のアクチュエータとの間に介装され上記複数のアクチュエータの中の任意のアクチュエータに該油圧ポンプから供給される作動油を送り込むコントロールバルブをそなえ、
該操作手段により該コントロールバルブが操作されて作動油を送り込むべきアクチュエータが選択される
ことを特徴とする、請求項6又は7記載のハイブリッド油圧システム。 - 該負荷検知手段が、該アクチュエータと該油圧ポンプとを結ぶ油圧回路上の油圧に基づき該アクチュエータの負荷状態を検出又は推定することを特徴とする、請求項1〜8の何れかの項に記載のハイブリッド油圧システム。
- 該負荷検知手段が、該油圧ポンプの回転速度変化に基づき該アクチュエータの負荷状態を検出又は推定する
ことを特徴とする、請求項1〜8の何れかの項に記載のハイブリッド油圧システム。 - 該負荷検知手段が、該操作手段の操作位置に基づき該アクチュエータの負荷状態を検出又は推定する
ことを特徴とする、請求項6〜8の何れかの項に記載のハイブリッド油圧システム。 - 該電気モータを該油圧ポンプからの駆動力の入力により発電機としても機能するように構成するとともに、
該電気モータに接続され充電可能なバッテリと、
該電気モータを発電機に切り換える切換手段とをそなえ、
該制御手段は、該電気モータを駆動源として用いるときには該バッテリから該電気モータに電力を供給し、該電気モータを駆動源として用いないときには該切換手段を操作して該電気モータを発電機に切り換え、該油圧ポンプの入力軸からの駆動力の入力により発電した電力を該バッテリに充電する
ことを特徴とする、請求項1〜11の何れかの項に記載のハイブリッド油圧システム。 - 該バッテリの充電残量を検出又は推定する充電残量検知手段をそなえ、
該制御手段は、該電気モータによる該油圧ポンプの駆動時に該充電残量検知手段により検出又は推定された該バッテリの充電残量が充電が必要な状態にまで低下したときには、該クラッチを接続し該エンジンを始動させるとともに、該切換手段を操作して該電気モータを発電機に切り換える
ことを特徴とする、請求項12記載のハイブリッド油圧システム。 - 該制御手段は、該エンジンの回転速度を通常運転時の回転速度よりも低い所定の回転速度に設定する
ことを特徴とする、請求項13記載のハイブリッド油圧システム。 - オペレータにより操作可能なパワーアップスイッチをそなえ、
該制御手段は、該パワーアップスイッチがオンにされたときには、該エンジンによる該油圧ポンプの駆動中でも該切換手段を操作して該電気モータを発電機から駆動源に切り換える
ことを特徴とする、請求項12〜14の何れかの項に記載のハイブリッド油圧システム。 - 該制御手段は、該パワーアップスイッチがオンにされてから所定時間が経過したら、該切換手段を操作して該電気モータを再び発電機に切り換える
ことを特徴とする、請求項15記載のハイブリッド油圧システム。 - 請求項1〜16の何れかの項に記載のハイブリッド油圧システムをそなえた
ことを特徴とする、油圧式建設機械。
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