JP3927670B2 - ズームレンズ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はズームレンズに関し、特に所謂4群ズームレンズにおいて変倍用の第2群を2つのレンズ群より構成し、変倍に伴う移動量を互いに異ならしめたフローティングを利用して変倍に伴う収差変動を補正し、広角端のFナンバーが1.75と大口径でしかも変倍比16〜42程度と高変倍比の全変倍範囲にわたり良好なる光学性能を有したテレビカメラや写真用カメラ、そしてビデオカメラ等に好適なズームレンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりテレビカメラや写真用カメラ、そしてビデオカメラ等には、大口径、高変倍でしかも高い光学性能を有したズームレンズが要求されている。このうち特に放送用のカラーテレビカメラでは、操作性、機動性が重視され、その要求に答えて撮像デバイスも最近では2/3インチで200万画素と高画素化を図ったCCD(固体撮像素子)が発表されている。このCCDは撮像範囲全体が略均一の解像力を有しているため、これを用いるズームレンズに対しては画面中心から画面周辺まで解像力が略均一であることが要求されている。
【0003】
ズームレンズのうち物体側から順に合焦用(フォーカス用)の正の屈折力の第1群、変倍用の負の屈折力の第2群、変倍に伴って変動する像面を補正するための正又は負の屈折力の第3群、そして結像用の正の屈折力の第4群の4つのレンズ群より成る所謂4群ズームレンズは、比較的高変倍化及び大口径比化が容易であるため、放送用のカラーテレビカメラに多く用いられている。
【0004】
4群ズームレンズのうちFナンバー1.6〜1.8程度、変倍比13程度の大口径、高変倍の4群ズームレンズが、例えば特開昭54−127322号公報で提案されている。又、4群ズームレンズにおいて変倍用の第2群を負の屈折力の2つのレンズ群に分割し、変倍に際して双方のレンズ群間隔を変えて変倍に伴う収差変動を補正するズームレンズが、例えば特開平7−13075号公報で提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ズームレンズにおいて大口径比(Fナンバー1.7以上)で高変倍比(変倍比13以上)で、しかも全変倍範囲にわたり高い光学性能を得るには、各レンズ群の屈折力やレンズ構成を適切に設定する必要がある。
【0006】
一般に全変倍範囲にわたり収差変動が少なく高い光学性能を得るには、例えば各レンズ群のレンズ枚数を増加させて収差補正上の自由度を増やすことが必要となってくる。この為、大口径比で高変倍比のズームレンズを達成しようとすると、どうしてもレンズ枚数が増加し、レンズ系全体が大型化してくるという問題点が生じてくる。
【0007】
又、結像性能に関しては、画面中心の最も像コントラストが良い点、所謂ベスト像面の変倍に伴う変動が問題となってくる。これは主に変倍に伴う球面収差の変動に起因している。
【0008】
一般に球面収差の変倍に伴う変動は、ズーム比をZ、広角端の焦点距離をfwとすると、図57に示すように球面収差が0の広角端よりズーム位置fwm=fw×Z1/4又はfm=fw×Z1/2まではガウス像面に対してアンダー(マイナス)傾向となる。そしてズーム位置fwm又はfm付近を過ぎるとアンダー量が少なくなり、あるズーム位置で0となり、今度はオーバー(プラス)傾向となる。そしてFナンバーが大きくなってくる(レンズ系が暗くなってくる)Fドロップの始まるズーム位置fd付近で最もオーバー(プラス)となり、このズーム位置を過ぎると望遠端にかけてオーバー量が少なくなり、望遠端で略0となってくる。
【0009】
図58〜図62は4群ズームレンズにおいて、広角端fw、中間fwm(=fw×Z1/4程度)、中間fm(=fw×Z1/2)、Fドロップのズーム位置fD、望遠端ftでの第1群(F)から第3群(C)までのレンズ系中を光束が通過するときの状態を示す説明図である。
【0010】
同図に示すように、軸上光線のコンペンセータCへの入射高は広角端fwから焦点距離fwm=fw×Z1/4又はズーム位置fm=fw×Z1/2なるズーム位置にかけて急激に低くなる。そしてFドロップ近傍の焦点距離fdにかけて高くなり、望遠端ftではFドロップの為にまた低くなる。一方バリエータVでの軸上光線高は広角端fwから望遠側に向かって徐々に高くなり、Fドロップ近傍の焦点距離fdで最高となり、望遠端ftでFドロップの為に低くなる。まとめると以下の表1のようになる。
【0011】
【表1】
コンペンセータC内では基本的に球面収差は補正不足である。リレーレンズ群において広角端では球面収差が略0となるように補正すると、広角側のズーム位置fwm、fmでは、コンペンセータCでの軸上光線の変化の影響が大きく、広角端fwに対しコンペンセータCでの軸上光線高が低くなるので、球面収差はアンダーへ変動する。前玉群において望遠端では球面収差が略0となるように補正すると、Fドロップのズーム位置fdでは望遠端に対しバリエータV、コンペンセータCでの軸上光線高が高くなるので球面収差の高次成分はオーバーへ変動する。
【0012】
他方、第3群(コンペンセーター)が正屈折力の場合も、変倍に伴う球面収差の変動は、第3群(コンペンセーター)が負屈折力の場合と同様であり以下の表2にまとめる。
【0013】
【表2】
コンペンセーターからリレー群にかけて光束が収斂状態になるところが、コンペンセーターが負屈折力の場合と異なるが(不図示)、変倍に応じたバリエーター、コンペンセーターの収差補正状況は同様である。
【0014】
リレー群において広角端では球面収差が略0となるように補正すると、コンペンセーター内では基本的に球面収差は補正不足であるため、広角側のズーム位置fwm、fmでは、コンペンセーターでの軸上光線変化の影響が大きく、広角端fwに対しコンペンセーターでの軸上光線高が低くなるので、球面収差はアンダーへ変動する。前玉群において望遠端では球面収差が略0となるように補正すると、Fドロップのズーム位置fdでは望遠端に対し、特に強い負屈折力のバリエーターでの軸上光線高が高くなるのと、このときコンペンセーターでも軸上光線高が最大となりコンペンセーター単独での収差補正のために使用される凹レンズの貼り面の影響で、球面収差の高次成分はオーバーへ変動する。
【0015】
これら球面収差の変動は、コンペンセーターの屈折力が正負のどちらの場合でも、バリエーターV、コンペンセーターCの屈折力が大きくなる程、顕著になってくる。
【0016】
特に最近では、ズームレンズの小型軽量化や広画角化、又は高変倍化の要望により、各レンズ群の屈折力を強めてズームレンズを達成しようとすることが試みられている。中でも4群ズームレンズでは、第2群であるバリエータ、第3群であるコンペンセータの屈折力を強めて、それらの移動量を減少させることにより、ズームレンズ全系の小型化を図っており、この為それら移動レンズ群の収差補正上の負担が増加する傾向があった。
【0017】
特に放送用のズームレンズのように高仕様・高性能を要求されるズームレンズの場合には、バリエータVとコンペンセータCを少なくとも1枚の負レンズと正レンズの組合せレンズにより構成している。そして貼合せレンズによる球面収差補正用の発散面を設けたり、媒質の屈折率差をつけて各レンズ群内部の収差補正をしている。
【0018】
しかしながら球面収差の変倍に伴う変動や高次の色収差等の補正が不十分である為、レンズ枚数を増加させたり、レンズ群の屈折力を弱めたりしていた。この為、ズームレンズのコンパクト化及び高性能化を図るのが大変困難であった。
【0019】
これに対し先の特開平7−13075号公報の提案では、近軸的に前玉径を小さくする為だけに変倍用の第2群を2つの負の屈折力のレンズ群に分割し、変倍に応じてその間隔を変化させているだけであり、収差補正上の効果については何ら言及していない。
【0020】
本発明は所謂4群ズームレンズにおいて、変倍用のバリエータ(第2群)にフローティングを適用し、そのレンズ構成、パワー分担等の各要素を適切に設定することによって、変倍に伴う収差変動、特に球面収差の変動を良好に補正し、全変倍範囲にわたり高い光学性能を有した広角端の大口径比で高変倍比のズームレンズの提供を目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明のズームレンズは、物体側より順に、変倍の際に固定の正の屈折力の第1群、変倍用の負の屈折力の第2群、変倍に伴う像面変動を補正する第3群、そして固定の正の屈折力の第4群から構成されるズームレンズにおいて、
該第2群は負の屈折力の第2A群と、少なくとも1枚の正レンズを有した正の屈折力の第2B群の2つのレンズ群を有し、広角端から望遠端への変倍に際し該第2A群と該第2B群は互いに異なった速度で移動しており、該第2A群と該第2B群の焦点距離を各々f2A、f2Bとしたとき、
7.3<│f2B/f2A│<27
を満たし、
広角端における全系の焦点距離をfw、広角端と任意のズーム位置における該第2A群と第2B群との主点間隔を各々DW、D、ズーム比をZとし、広角端から焦点距離fm(=fw×Z1/2)のズーム範囲内の少なくとも一部のズーム位置Z0において、
DW<D
を満たし、
該ズーム位置Z0において該第2B群と該第3群の3次球面収差係数の総和をIm、該第2A群を固定とし、該第2A群と該第2B群との位置関係が広角端と同等として、該第3群で像面変動を補正したときの該第2B群と該第3群の3次球面収差係数の総和をIpとしたとき、
Im−Ip<0
を満たすことを特徴としている。
本発明のテレビカメラは、前述したズームレンズと、ズームレンズより像面側に配置された色分解プリズムを備えている。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1〜図9は、各々本発明の後述する数値実施例1〜9のあるズーム位置におけるレンズ断面図である。
【0023】
図10、図11は本発明のズームレンズにおけるバリエータ(第2群)Vとコンペンセータ(第3群)Cの近軸屈折力配置の説明図である。図10は第3群(コンペンセータC)が負の屈折力のとき、図11は第3群(コンペンセータC)が正の屈折力のときを示している。
【0024】
図12〜図16は数値実施例1、図17〜図21は数値実施例2、図22〜図26は数値実施例3、図27〜図31は数値実施例4、図32〜図36は数値実施例5、図37〜図41は数値実施例6、図42〜図46は数値実施例7、図47〜図51は数値実施例8、図52〜図56は数値実施例9の広角端fw、中間fwm、中間fm、Fドロップのズーム位置fd、望遠端ftの諸収差図である。
【0025】
図中、Fは第1群としての正の屈折力のフォーカス群(前玉レンズ群)である。Vは第2群としての変倍用の負の屈折力のバリエータであり、負の屈折力の第2A群Vaと少なくとも1つの正レンズを有した正の屈折力の第2B群Vbの2つのレンズ群を有している。広角端から望遠端への変倍に際して、第2A群Vaと第2B群Vbの双方を異なった速度で移動させる、所謂フローティングを利用している。Cは第3群としての正、又は負の屈折力のコンペンセータであり、変倍に伴う像面変動を補正するために光軸上を図1〜図5の数値実施例1〜5では物体側に凸状の軌跡を有するように往復運動し、また、図6〜図9の数値実施例6〜9では物体側へ単調移動している。Sは絞り、Rは第4群としての正の屈折力のリレー群である。Gは色分解プリズムや光学フィルター等であり、同図ではガラスブロックとして示している。
【0026】
次に本発明のズームレンズの特徴について説明する。
【0027】
本実施形態では第2群Vを2つのレンズ群Va、Vbに分割し、変倍に伴い双方の移動速度を変化させることによって、双方のレンズ群間隔を縮小、又は拡大させて双方のレンズ群の光線が通過する角度や高さを変化させて変倍に伴う収差変動を補正している。
【0028】
このとき第2A群と第2B群の焦点距離を各々f2A、f2Bとしたとき
7.3<|f2B/f2A|<27……(1)
なる条件を満足するようにしている。
【0029】
今、広角端の焦点距離をfw、ズーム比(変倍比)をZとしたとき、球面収差がアンダーとなる中間のズーム位置である焦点距離fwm(=fw×Z1/4)と焦点距離fm(=fw×Z1/2)そして球面収差がオーバーとなるFドロップが始まる焦点距離fdにおいて、第2A群Vaと第2B群Vbの主点間隔Dを適切に調整することにより、即ち双方のレンズ群の移動速度を変えることにより変倍に伴う球面収差の変動を良好に補正している。
【0030】
次に、本発明のズームレンズにおいて第2A群Vaと第2B群Vbを用いてフローティングを行うときの光学的作用を、第3群が負の屈折力の場合について図10を用いて説明する。
【0031】
実線で示すズーム位置Z1での近軸光線の第2B群Vbの高さをh、瞳近軸光線の高さをhY、第3群Cの高さをH、瞳近軸光線の高さをHY、第2A群Vaと第2B群Vbとの間隔をDwとする。フローティングにより第2B群Vbを像面側に移動させたときのズーム位置Z2(点線で示す位置)での近軸光線の高さをh’、瞳近軸光線の高さをhY’像面補償したときの第3群Cの位置を点線で示しており、第3群Cへの近軸光線の高さをH’、第2A群Vaと第2B群Vbとの間隔をDとしたとき
Dw<D……(2)
となるようにしている。
【0032】
条件式(2)を満足させるように第2A群Vaと第2B群Vbを移動させることによって変倍に伴う球面収差の変動を良好に補正している。
【0033】
第2B群と第3群Cへ入射する近軸光線高h、Hは移動後の第2B群Vbと第3群Cでの近軸光線高h’、H’の方が高くなっているので3次の球面収差係数は正の屈折力の第2B群においてはプラス方向へ、負の屈折力の第3群Cにおいてはマイナス方向へ変化する。
【0034】
今、ズーム位置Z0において第2B群と第3群の3次球面収差係数の総和をIm、第2A群を固定とし、第2A群と第2B群との位置関係が広角端と同等(Dw=D)として、第3群で像面変動を補正したときの第2B群と第3群の3次球面収差係数の総和をIpとしたとき
Im−Ip<0……(3)
なる条件を満足するようにしている。
【0035】
条件式(3)を満たすことにより球面収差をオーバー側へ補正している。逆にFドロップ付近では第2B群Vbと第3群Cを点線で示す位置から実線で示す位置の方向へ移動させることによりオーバーの球面収差をアンダー側へ補正している。
【0036】
また、第2B群Vbは点線で示すズーム位置Z2では実線で示すズーム位置Z1に対し瞳近軸光線の高さが|hY’|<|hY|であり、より像面側で屈折されるため、第1群Fにおいて|hFY’|<|hFY|となり、前玉径を減少させている。
【0037】
次に、第2A群Vaと第2B群Vbを用いてフローティングを行うときの光学作用について第3群Cが正の屈折力の場合について図11を用いて説明する。
【0038】
図11は図10に比べて第3群Cから第4群Rへの光束が収斂しているのが図10と異なるが、そのほか符号等は同様である。第2B群Vbへの近軸光線高hは移動後のズーム位置Z2では高く、また、第3群Cへの近軸光線高Hは移動後のズーム位置Z2では低くなっているので3次の球面収差係数は、正の屈折力の第2B群においてはプラス方向へ、正の屈折力の第3群においてはマイナス方向へ変化する。したがって図10と同等、ズーム位置Z0での第2B群Vbと第3群Cの合成の3次の球面収差係数をIm、第2B群と第3群の移動後の合成の3次の球面収差係数をIpとしたときIm−Ip<0(条件式(3))を満たすことにより球面収差をオーバー側へ補正している。
【0039】
逆にFドロップ付近では、第2B群Vbと第3群Cを点線で示す位置から実線で示す位置方向へ移動させることによりオーバーの球面収差をアンダー側へ補正している。瞳近軸光線も点線で示す位置では実線で示す位置に対し|hY’|<|hY|であり、より像面側で屈折されるため、第1群Fにおいて|hFY’|<|hFY|となり、前玉径を減少させている。
【0040】
このように本発明によれば、第2A群Vaと第2B群Vbの間隔を変化させ、第3群Cを移動させることによる収差変化を利用し、ズーミングの収差変動を抑制している。これによって図57に点線で示すように従来の実線の球面収差変動を減少させている。
【0041】
第3群Cの屈折力が負(図10)でも正(図11)でも、第2B群の移動後のズーム位置Z2では近軸光線の高さがh’>h、瞳近軸光線の高さが|hY’|<|hY|となっているので第2B群の色収差補正を過剰とすることにより軸上色収差をオーバーへ、倍率色収差もオーバーへ変化させることができる。特にズームレンズでは一般的に中間のズーム位置fwm、fmでは軸上色収差がアンダー、倍率色収差もアンダーへ変動するので、この変動を補正するのに有効となる。
【0042】
尚、非点収差、像面湾曲についても、ズームレンズでは中間のズーム位置にてアンダー側へ変動するが、第2B群の移動後のズーム位置Z2では|hY’|<|hY|となっているので、オーバー側への補正に有効である。
【0043】
このとき、本発明では収差補正、前玉径減少を効率よく行うために前述の条件式(1)を満足させるようにしている。
【0044】
条件式(1)の下限値を超えると、第2B群の屈折力が強くなりすぎるため、3次球面収差係数の変化量が、第2B群ではプラス側へ大きくなり、焦点距離fwm、fm近辺で球面収差をオーバー側へ補正する効果が減少してしまう。又、上限値を超えると、第2B群の屈折力が弱くなりすぎるため、前玉径を減少させる効果が失われたり、像面補償のための第3群の像面側への移動量が減少し、焦点距離fwm、fm近辺で球面収差をオーバー側へ補正する効果が減少してしまう。
【0045】
本発明のズームレンズは以上の諸条件を満足することによって達成しているが、更に収差補正上、好ましくは次の諸条件のうちの少なくとも1つを満足させるのが良い。
【0046】
(a1)前記第3群は負の屈折力を有し、前記第2B群の物体側の第1レンズ面と像面側の最終レンズ面の曲率半径を各々Ra、Rbとし
【0047】
【数3】
とおいたとき
−5.72<S<−0.66……(4)
を満足することである。
【0048】
条件式(4)は第2B群でのアンダーの球面収差の発生を抑制するもので、これにより第3群の移動を利用してズーミング際の球面収差の変動を補正することが効果的に行える。第2A群から第3群にかけては光束は発散系となっているので、アンダーの球面収差の発生を抑制するためには、曲率半径Rbは凸面を像面側に向けたマイナスの値を持つ。そこで下限値を超えると曲率半径Raも凹面を物体側に向けたマイナスの値を持つようになり、第2B群全体の屈折力が弱くなり過ぎて良くない。又、上限値を超えると、逆に曲率半径Raが凸面を物体側に向けたプラスの値で小さくなり、第1レンズ面で発生するアンダーの球面収差が増大してくるので良くない。すなわち|Ra|>|Rb|として正の屈折力を持ちながら、アンダーの球面収差の発生を抑制している。
【0049】
(a2)前記第3群は正の屈折力を有し、広角端から望遠端への変倍に際して、前記第2群と第3群の横倍率は同時にー1倍を有し、前記第2B群の物体側の第1レンズ面と像面側の最終レンズ面の曲率半径を各々Ra、Rbとし
【0050】
【数4】
とおいたとき
−5.88<S<0.6……(5)
を満足することである。
【0051】
条件式(5)は、条件式(4)と同様、第2B群でのアンダーの球面収差の発生を抑制するものであるが、特に上限値付近では|Ra|<|Rb|となって条件式(4)とは逆になっている。これは正の屈折力の第3群が変倍にも寄与しており、移動の際の球面収差変化量が大きく、オーバー側への球面収差の補正が容易であるため、第3群が負の屈折力のときよりも第2B群で発生するアンダーの球面収差を許容できるためである。
【0052】
(a3)前記第2B群は単一の正レンズL2BPより成り、該正レンズL2BPの材質のアッベ数をν2Bとしたとき
60<ν2B……(6)
を満足することである。
【0053】
条件式(6)は正の屈折力の第2B群を像面側へ移動させたときの軸上色収差の変動を抑制するためである。アッベ数ν2Bが60より小さくなり、分散が大きくなると焦点距離fwm、fm近傍で軸上色収差のアンダーへの変動量が大きくなってしまう。
【0054】
(a4)前記第2B群は正レンズL2BPと負レンズL2BNとを接合した貼り合わせレンズより成り、該正レンズL2BPと負レンズL2BNの材質の屈折率を各々Nt、Noとすると
Nt<No……(7)
を満足することである。
【0055】
条件式(7)は貼り合わせレンズ面でオーバーの球面収差を発生させ、第2B群全体で残存しているアンダーの球面収差を打ち消すためである。
【0056】
(a5)前記第2B群は正レンズL2BPと負レンズL2BNとを接合した貼り合わせレンズより成り、該正レンズL2BPと負レンズL2BNの材質のアッベ数を各々νt、νoとすると
11.5<νt−νo……(8)
を満足することである。
【0057】
条件式(8)は、負レンズL2BNの材質の分散を正レンズL2BPの材質の分散より大きくして軸上色収差の変動を抑制するためである。
【0058】
(a6)焦点距離fwm(=fw×Z1/4Zは変倍比)、焦点距離fm(=fw×Z1/2Zは変倍比)、焦点距離fd(Fドロップ開始点のズーム位置)での第2A群と第2B群の主点間隔をそれぞれDwm、Dm、Ddとしたとき、
Dw<Dwm……(9)
またはDw<Dm……(10)
またはDd<Dm……(11)
を満足させるのが好ましい。これは球面収差が大きくアンダーとなるズーム位置fwm、fmや、球面収差がオーバーとなるズーム位置fdについて球面収差を補正するためである。
【0059】
以上のように、本発明においては、第2群を負の屈折力のレンズ群と正の屈折力の2つのレンズ群で構成し、その相対位置を変化させることで第3群の位置も変化させ、ズーミングによる収差変動を極力抑制できるような移動方法、パワー分担、収差係数、レンズ形状等を所定の条件を満足させるように規定することにより、変倍に伴う収差変動、特に球面収差の変動を良好に補正している。
【0060】
次に本発明の後述する各数値実施例のレンズ構成の特徴について説明する。尚、以下の説明は数値実施例の各数値を「mm」単位で表したときのものである。
【0061】
(実施例1)
図1は本発明の数値実施例1のある広角端におけるレンズ断面図であり物体距離が3.0mで焦点距離fw、fwm、fm、fd、ft(望遠端)での収差図を各々図12、13、14、15、16に示す。
【0062】
本実施例では16倍のズーム比を有し広角端の焦点距離が9.0mm、F/1.8〜2.7である。
【0063】
数値実施例1において、r1〜r8は正屈折力のフォーカス用の第1群Fである。r9〜r17は変倍のため、広角端から望遠端にかけて像面側に移動し、途中で合成横倍率−1倍を通過する負屈折力の第2群Vである。このうちr9〜r15は負屈折力の第2A群Va、r16〜r17は正屈折力の第2B群Vbである。r18〜r20は変倍に伴う像面変動を補償する第3群Cで、広角端から望遠端にかけて物体側に凸状に移動する。r21は絞りSである。r22〜r38は結像作用を有する第4群Rで、r39、r40は色分解プリズム、トリミングフィルター等と等価なガラスブロックPである。
【0064】
本実施例では、第1群内では、球面収差、軸上色収差の補正のため、負レンズ1枚、正レンズ3枚で構成し、特に負レンズのアッベ数を25程度と小さくし、正レンズにはアッベ数を82と大きいものも用いている。
【0065】
強い負屈折力を有する第2A群は、2枚の凹レンズ(負レンズ)と1枚の接合レンズで構成し、各レンズの屈折率は1.77以上と高くすることで収差の発生を抑えつつ、接合レンズを構成する凹と凸レンズ(正レンズ)のアッベ数の差を約24と大きくすることで色消ししている。
【0066】
第2B群は凸レンズ(正レンズ)1枚で構成し、アッベ数も約64と大きくして条件式(6)を満足させ、軸上色収差の変動を抑えている。
【0067】
負屈折力の第3群は凹と凸レンズの接合レンズで構成し、各レンズの材質の屈折率は1.78以上と高くすることで収差の発生を抑えつつ、凸レンズの材質のアッベ数を約24と小さくし、接合レンズを構成する凹と凸レンズの材質のアッベ数の差を約20と大きくすることで色消ししている。
【0068】
このときパワー分担は|f2B/f2A|=10.28(…条件式(1))として第2B群のパワーを適正に保ち、広角端焦点距離をfw=1と正規化して焦点距離fwmではIm−Ip=−0.188(…条件式(3))とし、S=−1.76とすることにより凸面を像面側に向けたメニスカス形状とし条件式(4)を満足させている。そしてDw=11.40、Dwm=17.61、Dm=21.78、Dd=13.66として、条件式(2)、(9)、(10)、(11)を満足させている。
【0069】
これによって図12、13、14、15、16に示すようにズーム全域にわたり球面収差、軸上色収差等を良好に補正している。
【0070】
(実施例2)
図2は本発明の数値実施例2の広角端におけるレンズ断面図であり、物体距離が3.0mで焦点距離fw、fwm、fm、fd、ft(望遠端)での収差図を各々図17、18、19、20、21に示す。
【0071】
本実施例では、数値実施例1と同様の仕様、構成であるが第2B群を接合レンズで構成しているところが異なる。
【0072】
第2B群を凸レンズと凹レンズの接合レンズとし、凸レンズの材質の屈折率、アッベ数をそれぞれNt=1.5182、νt=64、2、凹レンズの材質の屈折率、アッベ数をそれぞれNo=1.5736、νo=50.8とし条件式(7)、(8)を満足させている。
【0073】
このときパワー分担は|f2B/f2A|=18.74(…条件式(1))として第2B群のパワーを適正に保ち、広角端焦点距離をfw=1と正規化して焦点距離fwmではIm−Ip=−0.164(…条件式(3))とし、S=−2.80とすることにより凸面を像面側に向けたメニスカス形状とし条件式(4)を満足させている。そしてDw=16.00、Dwm=24.26、Dm=28.15、Dd=16.77として、条件式(2)、(9)、(10)、(11)を満足させている。
【0074】
これによって図17、18、19、20、21に示すようにズーム全域にわたり球面収差、軸上色収差等を良好に補正している。
(実施例3)
図3は本発明の数値実施例3の広角端におけるレンズ断面図であり、物体距離が3.0mで焦点距離fw、fwm、fm、fd、ft(望遠端)での収差図を各々図22、23、24、25、26に示す。
【0075】
本実施例では、数値実施例2と同様の仕様、構成であるが、第2B群の接合レンズを物体側から凹、凸レンズの順に構成しているところが異なる。
【0076】
第2B群で、凹レンズの材質の屈折率、アッベ数をそれぞれNo=1.5197、νo=52.4、凸レンズの材質の屈折率、アッベ数をそれぞれNt=1.5182、νt=64.2とし屈折率はほぼ同等でNo≒Ntであるが、条件式(8)を満足させている。
【0077】
このときパワー分担は|f2B/f2A|=26.93(…条件式(1))として第2B群のパワーを適正に保ち、広角端焦点距離をfw=1と正規化して焦点距離fwmではIm−Ip=−0.119(…条件式(3))とし、S=−5.56とすることにより凸面を像面側に向けたメニスカス形状とし条件式(4)を満足させている。そしてDw=17.50、Dwm=26.10、Dm=31.55、Dd=20.55として、条件式(2)、(9)、(10)、(11)を満足させている。
【0078】
これによって図22、23、24、25、26に示すようにズーム全域にわたり球面収差、軸上色収差等を良好に補正している。
【0079】
(実施例4)
図4は本発明の数値実施例4の広角端におけるレンズ断面図であり、物体距離が3.0mで焦点距離fw、fwm、fm、fd、ft(望遠端)での収差図を各々図27、28、29、30、31に示す。
【0080】
本実施例では、15倍のズーム比を有し、広角端の焦点距離が9.0mm、F/1.8〜2.6であり、構成は数値実施例2と同様である。
【0081】
第2B群では、凹レンズの材質の屈折率、アッベ数をそれぞれNo=1.8393、νo=37.2と高屈折率、高分散とし、凸レンズの材質の屈折率、アッベ数をそれぞれNt=1.4891、νt=70.2と低屈折率、低分散とし条件式(7)、(8)を満足させている。そしてr16面に非球面を設けて収差変動を補正している。
【0082】
このときパワー分担は|f2B/f2A|=7.323(…条件式(1))として第2B群のパワーを適正に保ち、広角端焦点距離をfw=1と正規化して焦点距離fwmではIm−Ip=−1.365(…条件式(3))としている。接合面により球面収差をオーバーにする効果と、非球面により自由度が増加したことによってS=−0.68(…条件式(4))としてr16面(=Ra)を物体側に凸面を向けた両凸形状としても球面収差を補正できている。そしてDw=11.40、Dwm=17.16、Dm=18.50、Dd=14.22として、条件式(2)、(9)、(10)、(11)を満足させている。
【0083】
これによって図27、28、29、30、31に示すようにズーム全域にわたり球面収差、軸上色収差等を良好に補正している。
【0084】
(実施例5)
図5は本発明の数値実施例5の広角端におけるレンズ断面図であり、物体距離が3.0mで焦点距離fw、fwm、fm、fd、ft(望遠端)での収差図を各々図32、33、34、35、36に示す。
【0085】
本実施例では、数値実施例2と同様の仕様、構成であるが、第2B群を接合レンズではなく凸と凹の単レンズ2枚で構成しているところが異なる。
【0086】
第2B群の、凸レンズの材質の屈折率、アッベ数をそれぞれNt=1.5182、νt=64.2、凹レンズの材質の屈折率、アッベ数をそれぞれNo=1.5197、νo=52.4とし、屈折率はほぼ同等でNo≒Ntであるが、条件式(8)を満足させている。
【0087】
このときパワー分担は数値実施例2と同様の|f2B/f2A|=18.74(…条件式(1))として第2B群のパワーを適正に保ち、広角端焦点距離をfw=1と正規化して焦点距離fwmではIm−Ip=−0.203(…条件式(3))としている。そしてS=−5.71(…条件式(4))として第2B群の両端のr16面、r19面をマイナスとすると共に、凹レンズのr18面の曲率半径をr17面より小さくして第2B群内のアンダーの球面収差を抑制している。そしてDw=13.50、Dwm=20.78、Dm=24.28、Dd=14.51として、条件式(2)、(9)、(10)、(11)を満足させている。
【0088】
これによって図32、33、34、35、36に示すようにズーム全域にわたり球面収差、軸上色収差等を良好に補正している。
【0089】
(実施例6)
図6は本発明の数値実施例6のある広角端におけるレンズ断面図であり、物体距離が10.0mで焦点距離fw、fwm、fm、fd、ft(望遠端)での収差図を各々図37、38、39、40、41に示す。
【0090】
本実施例では、42倍のズーム比を有し、広角端の焦点距離が9.0mm、F/1.75〜2.9である。
【0091】
r1〜r8は正屈折力のフォーカス用の第1群Fである。r9〜r17は変倍のための第2群Vで、そのうちr9〜r15は負屈折力の第2A群Va、r16〜r17は正屈折力の第2B群Vbである。r18〜r24は正屈折力の第3群Cで変倍に伴う像面変動を補償すると共に変倍作用も有し、広角端から望遠端にかけて物体側に単調に移動する。広角端から望遠端にかけて第2群の合成横倍率と第3群の横倍率は同時に−1倍を有する。r25は絞りSである。r26〜r41は結像作用を有する第4群Rで、r42、r43は色分解プリズム、トリミングフィルター等と等価なガラスブロックPである。
【0092】
本実施例では、望遠端の焦点距離ftが378mmと非常に大きいので、第1群内では、球面収差、軸上色収差を補正するため、負レンズ1枚、正レンズ3枚で構成し、特に負レンズの材質のアッベ数を27.5程度と小さくし、2枚の正レンズにはアッベ数が95.1と非常に大きいガラスを用いている。
【0093】
強い負屈折力を有する第2A群は、2枚の凹レンズと1枚の接合レンズで構成し、各レンズの屈折率は1.77以上と高くすることで収差の発生を抑えつつ、接合レンズを構成する凹と凸レンズの材質のアッベ数の差を約28と大きくすることで色消ししている。
【0094】
第2B群は凸レンズ1枚で構成し、アッベ数も約70.2と大きいガラスを用いて条件式(6)を満足させ、軸上色収差の補正を考慮している。
【0095】
正屈折力の第3群は凸レンズ2枚と凹と凸レンズの接合レンズで構成し、凸レンズの材質に屈折率が1.489、アッベ数が81.2と低屈折率、低分散のガラス、凹レンズの材質に屈折率が1.855、アッベ数が23.8と高屈折率、高分散のガラスも使用して球面収差、軸上色収差の補正を考慮している。
【0096】
このときパワー分担は|f2B/f2A|=26.70(…条件式(1))として第2B群のパワーを適正に保ち、広角端焦点距離をfw=1と正規化して焦点距離fwmではIm−Ip=−0.271(…条件式(3))とし、S=−5.71とすることにより凸面を像面側に向けたメニスカス形状とし条件式(5)を満足させている。そしてDw=23.00、Dwm=78.85、Dm=86.50、Dd=40.08として、条件式(2)、(9)、(10)、(11)を満足させている。
【0097】
これによって図37、38、39、40、41に示すようにズーム全域にわたり球面収差、軸上色収差等を良好に補正している。
【0098】
(実施例7)
図7は本発明の数値実施例7の広角端におけるレンズ断面図であり、物体距離が10.0mで焦点距離fw、fwm、fm、fd、ft(望遠端)での収差図を各々図42、43、44、45、46に示す。
【0099】
本実施例では、40倍のズーム比を有し、広角端の焦点距離が9.0mm、F/1.75〜2.9である。
【0100】
構成は数値実施例6と同様であるが第2B群を接合レンズで構成しているところが異なる。
【0101】
第2B群を凸と凹の接合レンズとし、凸レンズの材質の屈折率、アッベ数をそれぞれNt=1.4891、νt=70.2凹レンズの材質の屈折率、アッベ数をそれぞれNo=1.8126、νo=25.4とし条件式(7)、(8)を満足させている。
【0102】
このときパワー分担は|f2B/f2A|=8.37(…条件式(1))として第2B群のパワーを適正に保ち、広角端焦点距離をfw=1と正規化して焦点距離fwmではIm−Ip=−0.366とし条件式(3)を満足させ、S=−1.32とすることにより凸面を像面側に向けたメニスカス形状とし条件式(5)を満足させている。そしてDw=20.00、Dwm=52.18、Dm=43.29、Dd=20.85として、条件式(2)、(9)、(10)、(11)を満足させている。
【0103】
これによって図42、43、44、45、46に示すようにズーム全域にわたり球面収差、軸上色収差等を良好に補正している。
【0104】
(実施例8)
図8は本発明の数値実施例8の広角端におけるレンズ断面図であり、物体距離が10.0mで焦点距離fw、fwm、fm、fd、ft(望遠端)での収差図を各々図47、48、49、50、51に示す。
【0105】
本実施例では、数値実施例6と同様の仕様、構成であるが、第2B群を物体側から凹と凸の接合レンズとしているところが異なる。
【0106】
第2B群で、凹レンズの材質の屈折率、アッベ数をそれぞれNo=1.7762、νo=49.6凸レンズの材質の屈折率、アッベ数をそれぞれNt=1.5182、νt=64.2とし条件式(7)、(8)を満足させている。
【0107】
このときパワー分担は|f2B/f2A|=10.89(…条件式(1))として第2B群のパワーを適正に保ち、広角端焦点距離をfw=1と正規化して焦点距離fwmではIm−Ip=−0.243とし条件式(3)を満足させ、S=−0.60とr16面が物体側にゆるい凸面を向けた両凸形状とし条件式(5)を満足させている。そしてDw=18.00、Dwm=44.83、Dm=35.74、Dd=18.63として、条件式(2)、(9)、(10)、(11)を満足させている。
【0108】
これによって図47、48、49、50、51に示すようにズーム全域にわたり球面収差、軸上色収差等を良好に補正している。
【0109】
(実施例9)
図9は本発明の数値実施例9の広角端におけるレンズ断面図であり、物体距離が10.0mで焦点距離fw、fwm、fm、fd、ft(望遠端)での収差図を各々図52、53、54、55、56に示す。
【0110】
本実施例では、数値実施例8と同様の仕様、構成であるが、第2B群の両端r16面、r18面に非球面を使用しているところが異なる。
【0111】
数値実施例8と同様、第2B群で条件式(7)、(8)を満足させている。
【0112】
このときパワー分担は|f2B/f2A|=9.88(…条件式(1))として第2B群のパワーを適正に保ち、広角端焦点距離をfw=1と正規化して焦点距離fwmではIm−Ip=−0.260とし条件式(3)を満足させている。非球面を2面に使用して収差補正の自由度が増加したため、S=0.60(…条件式(5))と両凸でしかもr16面の曲率半径をr18面の曲率半径より小さくしても球面収差を補正できている。そしてDw=13.50、Dwm=33.67、Dm=31.12、Dd=14.92として、条件式(2)、(9)、(10)、(11)を満足させている。
【0113】
これによって図52、53、54、55、56に示すようにズーム全域にわたり球面収差、軸上色収差等を良好に補正している。
【0114】
次に本発明の数値実施例を示す。数値実施例においてRiは物体側より順に第i番目のレンズ面の曲率半径、Diは、物体側より第i番目のレンズ厚及び空気間隔、Niとνiは各々物体側より順に第i番目のレンズのガラスのe線に対する屈折率と、アッベ数である。
【0115】
また前述の各条件式と数値実施例における諸数値との関係を表3に示す。
【0116】
非球面形状は光軸方向にX軸、光軸と垂直方向にH軸、光の進行方向を正とし、Rを近軸曲率半径、A、B、C、D、Eを各々非球面係数としたとき
【0117】
【数5】
なる式で表している。
【0118】
【外1】
【0119】
【外2】
【0120】
【外3】
【0121】
【外4】
【0122】
【外5】
【0123】
【外6】
【0124】
【外7】
【0125】
【外8】
【0126】
【外9】
【0127】
【表3】
【0128】
【発明の効果】
本発明によれば以上のように、所謂4群ズームレンズにおいて、変倍用のバリエータ(第2群)にフローティングを適用し、そのレンズ構成、パワー分担等の各要素を適切に設定することによって、変倍に伴う収差変動、特に球面収差の変動を良好に補正し、全変倍範囲にわたり高い光学性能を有した広角端の大口径比で高変倍比のズームレンズを達成することができる。
【0129】
特に本発明は、第2群を負屈折力の第2A群と正屈折力の第2B群の2群で構成し、その相対位置を変化させることで第3群の位置も変化させズーミングによる収差変動を極力抑制できるような移動方法、パワー分担、収差係数、レンズ形状等を所定の条件を満足させるように規定することにより、変倍に伴う収差変動、特に球面収差の変動を良好に補正できる効果がある。
【0130】
また、広角側のズーム位置において正屈折力の第2B群を第2A群に対し、より大きく像面側に移動させることにより、中間のズーム位置(fwm、fm)での軸上色収差、倍率色収差、非点収差、像面湾曲等が補正可能となり、かつ第1群での軸外主光線の高さを低くすることができるので、前玉径の減少を可能にし軽量コンパクト化も可能となる。さらに本発明による収差補正上の余裕を各レンズ群の屈折力を強めることやレンズ枚数の減少に振り向ければレンズ系の軽量、コンパクト化も可能となる。等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の数値実施例1の広角端のレンズ断面図
【図2】 本発明の数値実施例2の広角端のレンズ断面図
【図3】 本発明の数値実施例3の広角端のレンズ断面図
【図4】 本発明の数値実施例4の広角端のレンズ断面図
【図5】 本発明の数値実施例5の広角端のレンズ断面図
【図6】 本発明の数値実施例6の広角端のレンズ断面図
【図7】 本発明の数値実施例7の広角端のレンズ断面図
【図8】 本発明の数値実施例8の広角端のレンズ断面図
【図9】 本発明の数値実施例9の広角端のレンズ断面図
【図10】 本発明のズームレンズの近軸屈折力配置の説明図
【図11】 本発明のズームレンズの近軸屈折力配置の説明図
【図12】 本発明の数値実施例1の焦点距離fwの収差図
【図13】 本発明の数値実施例1の焦点距離fwmの収差図
【図14】 本発明の数値実施例1の焦点距離fmの収差図
【図15】 本発明の数値実施例1の焦点距離fdの収差図
【図16】 本発明の数値実施例1の焦点距離ftの収差図
【図17】 本発明の数値実施例2の焦点距離fwの収差図
【図18】 本発明の数値実施例2の焦点距離fwmの収差図
【図19】 本発明の数値実施例2の焦点距離fmの収差図
【図20】 本発明の数値実施例2の焦点距離fdの収差図
【図21】 本発明の数値実施例2の焦点距離ftの収差図
【図22】 本発明の数値実施例3の焦点距離fwの収差図
【図23】 本発明の数値実施例3の焦点距離fwmの収差図
【図24】 本発明の数値実施例3の焦点距離fmの収差図
【図25】 本発明の数値実施例3の焦点距離fdの収差図
【図26】 本発明の数値実施例3の焦点距離ftの収差図
【図27】 本発明の数値実施例4の焦点距離fwの収差図
【図28】 本発明の数値実施例4の焦点距離fwmの収差図
【図29】 本発明の数値実施例4の焦点距離fmの収差図
【図30】 本発明の数値実施例4の焦点距離fdの収差図
【図31】 本発明の数値実施例4の焦点距離ftの収差図
【図32】 本発明の数値実施例5の焦点距離fwの収差図
【図33】 本発明の数値実施例5の焦点距離fwmの収差図
【図34】 本発明の数値実施例5の焦点距離fmの収差図
【図35】 本発明の数値実施例5の焦点距離fdの収差図
【図36】 本発明の数値実施例5の焦点距離ftの収差図
【図37】 本発明の数値実施例6の焦点距離fwの収差図
【図38】 本発明の数値実施例6の焦点距離fwmの収差図
【図39】 本発明の数値実施例6の焦点距離fmの収差図
【図40】 本発明の数値実施例6の焦点距離fdの収差図
【図41】 本発明の数値実施例6の焦点距離ftの収差図
【図42】 本発明の数値実施例7の焦点距離fwの収差図
【図43】 本発明の数値実施例7の焦点距離fwmの収差図
【図44】 本発明の数値実施例7の焦点距離fmの収差図
【図45】 本発明の数値実施例7の焦点距離fdの収差図
【図46】 本発明の数値実施例7の焦点距離ftの収差図
【図47】 本発明の数値実施例8の焦点距離fwの収差図
【図48】 本発明の数値実施例8の焦点距離fwmの収差図
【図49】 本発明の数値実施例8の焦点距離fmの収差図
【図50】 本発明の数値実施例8の焦点距離fdの収差図
【図51】 本発明の数値実施例8の焦点距離ftの収差図
【図52】 本発明の数値実施例9の焦点距離fwの収差図
【図53】 本発明の数値実施例9の焦点距離fwmの収差図
【図54】 本発明の数値実施例9の焦点距離fmの収差図
【図55】 本発明の数値実施例9の焦点距離fdの収差図
【図56】 本発明の数値実施例9の焦点距離ftの収差図
【図57】 球面収差の変倍による変動の説明図
【図58】 本発明における焦点距離fwの変倍中の軸上光線の説明図
【図59】 本発明における焦点距離fwmの変倍中の軸上光線の説明図
【図60】 本発明における焦点距離fmの変倍中の軸上光線の説明図
【図61】 本発明における焦点距離fdの変倍中の軸上光線の説明図
【図62】 本発明における焦点距離ftの変倍中の軸上光線の説明図
【符号の説明】
F 第1群
V 第2群
Va 第2A群
Vb 第2B群
C 第3群
R 第4群
S 絞り
e e線
g g線
S サジタル像面
M メリディオナル像面
G ガラスブロック
Claims (7)
- 物体側より順に、変倍の際に固定の正の屈折力の第1群、変倍用の負の屈折力の第2群、変倍に伴う像面変動を補正する第3群、そして固定の正の屈折力の第4群から構成されるズームレンズにおいて、
該第2群は負の屈折力の第2A群と、少なくとも1枚の正レンズを有した正の屈折力の第2B群の2つのレンズ群を有し、広角端から望遠端への変倍に際し該第2A群と該第2B群は互いに異なった速度で移動しており、該第2A群と該第2B群の焦点距離を各々f2A、f2Bとしたとき、
7.3<│f2B/f2A│<27
を満たし、
広角端における全系の焦点距離をfw、広角端と任意のズーム位置における該第2A群と第2B群との主点間隔を各々DW、D、ズーム比をZとし、広角端から焦点距離fm(=fw×Z1/2)のズーム範囲内の少なくとも一部のズーム位置Z0において、
DW<D
を満たし、
該ズーム位置Z0において該第2B群と該第3群の3次球面収差係数の総和をIm、該第2A群を固定とし、該第2A群と該第2B群との位置関係が広角端と同等として、該第3群で像面変動を補正したときの該第2B群と該第3群の3次球面収差係数の総和をIpとしたとき、
Im−Ip<0
を満たすことを特徴とするズームレンズ。 - 前記第3群は負の屈折力を有し、前記第2B群の物体側の第1レンズ面と像面側の最終レンズ面の曲率半径を各々Ra、Rbとし、
S=(Rb+Ra)/(Rb−Ra)
とおいたとき、
−5.72<S<−0.66
を満たすことを特徴とする請求項1記載のズームレンズ。 - 前記第3群は正の屈折力を有し、広角端から望遠端への変倍に際して、前記第2群と前記第3群の横倍率は同時に−1倍を有し、前記第2B群の物体側の第1レンズ面と像面側の最終レンズ面の曲率半径を各々Ra、Rbとし
S=(Rb+Ra)/(Rb−Ra)
とおいたとき、
−5.88<S<0.6
を満たすことを特徴とする請求項1記載のズームレンズ。 - 前記第2B群は単一の正レンズより成り、該正レンズの材質のアッベ数をν2Bとしたとき
60<ν2B
を満たすことを特徴とする請求項1記載のズームレンズ。 - 前記第2B群は正レンズと負レンズとを接合した貼り合わせレンズより成り、該正レンズと該負レンズの材質の屈折率を各々Nt、Noとすると
Nt<No
を満たすことを特徴とする請求項1記載のズームレンズ - 前記第2B群は正レンズと負レンズとを接合した貼り合わせレンズより成り、該正レンズと該負レンズの材質のアッベ数を各々νt、νoとすると
11.5<νt−νo
を満たすことを特徴とする請求項1記載のズームレンズ。 - 請求項1乃至6記載のズームレンズと、該ズームレンズより像面側に配置された色分解プリズムと、を備えたデレビカメラ。
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