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JP3923179B2 - インクジェット記録媒体 - Google Patents

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JP3923179B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録方式を利用したプリンターやプロッターに使用される記録媒体に関するものであり、特にカラー記録での要望が高い写真の印画紙調の光沢を有するインクジェット記録媒体、OHPフィルムとして使用可能な透明性が高い記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェットプリンターやプロッターの目ざましい進歩により、フルカラーでしかも高精細な画像が容易に得られるようになってきた。これに伴い、従来からあるインクジェット記録用の上質紙や塗工紙以外のインクジェット記録媒体の開発が切望されている。
【0003】
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙等の記録媒体に吸収させ、画像・文字等の記録を行なうものである。インクジェットプリンターやプロッターは、高速印字性や低騒音性に優れ、記録パターンの融通性が大きく、現像−定着が不要等の特長があり、複雑な画像を正確、且つ迅速に形成することができる点で注目されている。特にコンピューターにより作成した文字や各種図形等の画像情報のハードコピー作成装置として、種々の用途において、近年急速に普及している。又、複数個のインクノズルを使用することにより、多色記録を行うことも容易である。多色インクジェット方式により、形成されるカラー画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得ることが可能であり、更に作成部数が少ない用途においては、印刷技術や写真技術によるよりも安価で済むことから広く応用されつつある。
【0004】
最近では、銀塩写真の画像に匹敵する高精細な画像を出力できるインクジェットプリンター等が安価で市販されている。インクジェット記録媒体は、銀塩写真方式と比べ同品質の画像が得られながら非常に安価であることから、大面積の画像が必要な電飾看板や商品見本等で表示画像を頻繁に取り替える利用者にとって経済的に大きなメリットがある。また、最近一般的になってきたパーソナルコンピューター上で画像を作成し、これをプリントアウトを見ながら配色やレイアウトを訂正することは従来の銀塩写真方式では全く無理であったがインクジェット記録ではこのような操作が気軽にできるという長所もある。
【0005】
インクジェットプリンターやプロッターの利用分野として、最近、特に注目されているものとしては、写真に近い画質が要求される印刷分野におけるカラー版下の作製やデザイン部門でのデザインイメージのアウトプット等のフルカラー画像記録等や、コンピューターで作成した画像情報をインクジェットプリンターにより透明な記録媒体に記録し、会議のプレゼンテーション等でOHP(オーバーヘッドプロジェクター)で利用する等がある。
【0006】
上述した、インクジェットプリンターやプロッターの利用分野からの要望や、インクジェットプリンターやプロッターの普及に伴い、記録媒体に対する要望が多様化し、例えば、銀塩カラー写真並の高い光沢表面を有する、優れた外観適性を備えた記録媒体、OHPフィルムとして使用可能な透明性の高い記録媒体などが要望されている。
【0007】
インクジェット記録方式で使用される記録媒体としては、通常の印刷、或は筆記用上質紙やコーテッド紙を用いることができる様に、装置やインク組成の面から努力がなされてきた。しかし、高速化・高精細化、或はフルカラー化等インクジェット記録装置の性能の向上や用途の拡大に伴い、記録媒体に対しても、より高度な特性が要求されるようになった。即ち、当該記録媒体としては、印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が速くて、印字ドットが重なった場合においてもインクが流れ出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が必要以上に大きくなく、且つ周辺が滑らかでぼやけないこと等が要求される。特に、カラー記録の場合は、イエロー・マゼンタ・シアン・ブラックの単色記録だけでなく、これらの色を重ねる重色記録がなされ、インク吸収量が更に多くなるために極めて厳しい性能が要求される。
【0008】
インク吸収速度が速く、透明性、光沢性を高めたインクジェット記録媒体としては、近年、アルミナ水和物を用いたインクジェット記録媒体が提案されている。例えば、特開昭60−232990号、同60−245588号公報、特公平3−24906号公報、特開平2−276670号、同3−215082号、同4−37576号、同4−67986号、5−16517号、同5−24335号、同5−32037号、同同5−50739号、同5−286228号、同5−301441号、同6−48016号、同6−55829号、同6−183126号、同6−184954号、同6−199034号、同6−199035号、同6−218324、同6−255235号、同6−262844号、同6−270530号、同6−286297号、同6−297831号、同6−297832号、同6−316145号、同7−68919号、同7−68920号、同7−76161号、同7−76162号、同7−82694号、同7−89221号公報等に記載されているように、アルミナ水和物を水溶性バインダーとともに支持体表面に塗工したインクジェット記録媒体が開示されている。
【0009】
このような記録媒体は、多孔性のアルミナ水和物からなる層をインク吸収層としている。多孔性アルミナ水和物からなるインク吸収層は、アルミナ水和物と、ポリビニルアルコール系バインダーとから構成されている。しかしながら、多孔性アルミナ水和物からなるインク吸収層は、乾燥時アルミナ水和物の収縮に起因するクラックが発生していた。また、アルミナ水和物と、ポリビニルアルコール系バインダーとからなる塗工液は、経時的に粘度が上昇しやすく、特に固形分濃度が高い塗工液の場合には、取り扱い性が悪く、塗工作業等が困難であり、連続塗工作業時にはハンドリングが悪くなるという問題を有していた。
【0010】
アルミナ水和物とポリビニルアルコールとからなるインク吸収層の乾燥時の塗膜のクラックを抑制する方法としては、特開平7−76161号公報に記載されている如く、ホウ酸またはホウ酸塩でバインダーのポリビニルアルコールをゲル化させ、塗膜の強度を向上させることによって、クラックを抑制する方法が提案されている。しかしながら、ポリビニルアルコールとホウ酸およびホウ酸塩のゲル化反応は非常に速く、塗工液の粘度の経時変化を避けることができず、塗工の安定性が悪くなる。また、ゲル化生成物がストリークの原因となる等、面質悪化の原因にもなる。特開平6−218324号公報には、塗工液を支持体上に塗布し、溶媒の除去の前にアンモニアガスを吹き付け、ゲル化させる方法が提案されている。しかしながら、アンモニアガスは腐食性が強いだけでなく、爆発性もあり危険である。また、余剰のアンモニアガスを回収する必要もあり、操作および設備の簡便さの点で望ましくない。
【0011】
一方、経時的に粘度が上昇することを抑制し、塗工液の経時安定性を向上する方法としては、特開平4−67986号公報に、バインダーに重合度1000以下のポリビニルアルコールを用いる方法、 特開平4−309533号公報に、ケン化度50〜90%のポリビニルアルコールを用いる方法が、開示されている。
【0012】
これらの方法では、確かに塗工液の経時安定性は向上するものの、未だ不十分である。あるいは経時安定性に優れていても、乾燥時に塗膜にクラックの発生しやすいものであり、塗工液があまりにも低粘度のために、塗膜の成膜性が悪化するものであった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、乾燥時のインク吸収層に発生するクラックを抑制し、且つ経時安定性に優れたアルミナ水和物と水溶性バインダーとを含む塗工液からなるインク吸収層を有するインクジェット記録媒体を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記の課題は、インク吸収層がアルミナ水和物とポリビニルアルコールとを含む塗工液からなり、且つ該ポリビニルアルコールがケン化度が、92%以上と、90%以下とであるポリビニルアルコール群から各々選ばれる少なくとも2種類のポリビニルアルコールを併用するインクジェット記録媒体によって達成された。
【0016】
より好適には、ポリビニルアルコールの重合度に於いて、ケン化度が92%以上のポリビニルアルコールの重合度が2500以下であり、ケン化度が90%以下のポリビニルアルコールの重合度が2000以上であることを特徴とする。
【0017】
更には、ケン化度が92%以上であるポリビニルアルコールの含有量と、ケン化度が90%以下であるポリビニルアルコールの含有量との関係が、下記の式1を満足することを特徴とする。
【0018】
【数2】
4≦100・W1/(W1+W2)≦40 式1
W1:ケン化度が92%以上のポリビニルアルコールの含有量(g)
W2:ケン化度が90%以下のポリビニルアルコールの含有量(g)
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明のアルミナ水和物は、支持体上に塗布して多孔質なインク吸収層を形成したとき、インク中の溶媒等を効果的に吸収できるものであればいずれのものを用いてもよい。特に好ましくは、擬ベーマイト構造を有するアルミナゾルである。
【0020】
アルミナ水和物からなるインク吸収層は、その多孔構造が実質的に平均半径が1nm乃至15nmの細孔であり、細孔容積が0.3ml/g乃至1ml/gである場合には、十分なインク吸収性を有し、且つインク吸収層も透明性を有するので好ましい。この時、支持体が透明であれば、記録媒体も透明なものが得られる。支持体が不透明である場合も、支持体の質感を損なわない高品位な画像を得ることが可能である。
【0021】
望ましくは、これらの物性に加え、アルミナ水和物からなるインク吸収層の平均細孔半径の±1nmの半径を有する細孔の容積が、全細孔容積の45%以上である場合には、特に定着性と透明性の両立の観点から好ましい。平均細孔半径が3nm乃至10nmであり、その平均細孔半径の±1nmの半径を有する細孔の容積が、全細孔容積の55%以上である場合には更に好ましい。
【0022】
本発明のインク吸収層は、ケン化度92%以上のポリビニルアルコールと、ケン化度90%以下のポリビニルアルコールとから各々選ばれる少なくとも2種類のポリビニルアルコールを含んでいる。ここで言うケン化度とは、JIS−K6726の方法で測定した値である。化学的には、ポリ酢酸ビニルをケン化してポリビニルアルコールを得た際の、ケン化反応によって生じた水酸基のモル数の割合である。
【0023】
本発明の優れた塗膜のクラック発生抑制とアルミナ水和物塗工液の経時安定性の向上は、異なるケン化度のポリビニルアルコールを併用することで得られた。即ち、少なくとも92%以上のケン化度のポリビニルアルコールと90%以下のポリビニルアルコールとを併用することである。好ましくは、少なくとも1種類のポリビニルアルコールのケン化度が92%以上97%以下であり、少なくとも1種類のポリビニルアルコールのケン化度が85%以上90%以下である。
【0024】
ケン化度の高いポリビニルアルコールを用いると、アルミナ水和物からなるインク吸収層は、乾燥時にクラックを発生しにくくなる。一方、塗工液段階では徐々に増粘し、塗工作業が困難となる。また、ケン化度の比較的低いポリビニルアルコールを用いると、塗工液段階の経時安定性は向上するものの、インク吸収層は非常にクラックを発生しやすくなる。異なるケン化度のポリビニルアルコールを併用することで、これらの欠点を相殺することができた。
【0025】
本発明の効果を更に向上するためには、ポリビニルアルコールの重合度がケン化度に対し特徴付けられる。ケン化度が92%以上のポリビニルアルコールの重合度は2500以下であることが好ましく、ケン化度が90%以下であるポリビニルアルコールの重合度は2000以上であることが好ましい。
【0026】
92%以上のケン化度のポリビニルアルコールの重合度が2500を越えると、30℃以下の室温付近で安定する粘度が高く、塗工作業が困難となる。一方、90%以下のケン化度のポリビニルアルコールの重合度が2000未満であると、インク吸収層を形成する成膜性が低下する。
【0027】
塗工液の成膜性は、液の流動性に関連しており、塗工液が低粘度で流動性が大きい場合に、塗工作業時に塗膜の液割れ、乾燥時にドライヤーの温風の風圧による塗膜の裂け等が発生し、問題となる。
【0028】
ポリビニルアルコールの添加量は、総ポリビニルアルコール量として、アルミナ水和物の含有量の5重量%乃至20重量%である。ポリビニルアルコールの添加量が上記の範囲に満たない場合は、インク吸収層が成膜せず、逆に上記の範囲を超える場合は、アルミナ水和物が発現するインク吸収性が阻害される。
【0029】
更に、ケン化度が92%以上であるポリビニルアルコールとケン化度が90%以下であるポリビニルアルコールとの含有比率が、下記の式1に当てはまる時、特に塗工液段階で増粘することなく、塗工作業が安定し、乾燥時にインク吸収層にはクラックが発生しない。
【0030】
【数3】
4≦100・W1/(W1+W2)≦40 式1
W1:ケン化度が92%以上のポリビニルアルコールの含有量(g)
W2:ケン化度が90%以下のポリビニルアルコールの含有量(g)
【0031】
上記の数値が4未満であると、塗工液のとき低粘度で安定し、塗工液の流動性が大きく成膜性が低下する。一方、数値が40を越えると塗工液のとき高粘度で安定し、塗工作業が困難となる。
【0032】
本発明においてインクジェット記録媒体を製造する場合に用いられる支持体としては、例えばポリエステルフィルム、樹脂被覆紙、コート紙などが主に用いられるが、ガラス、アルミニウム箔、蒸着紙、蒸着フィルム、布地などインク吸収層を設けることができる支持体であれば特に限定されるものではない。
【0033】
また、インク吸収層は、支持体の少なくとも片面に設けられるが、カールを防止する等の目的で、支持体の両面に設けてもよい。
【0034】
本発明のインク吸収層には、インク吸収層の耐水性および機械的強度を向上させる目的のために、架橋剤や硬膜剤を含有することができる。架橋剤や硬膜剤の例としては、グリオキザールおよびその誘導体、尿素およびその誘導体、メラミンおよびその誘導体等である。架橋剤や硬膜剤の含有量は、総ポリビニルアルコール量の10%乃至80%であり、好ましくは20%乃至60%である。
【0035】
更に、インク吸収層には、界面活性剤、無機顔料、着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、ポリビニルアルコールの可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤等の公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0036】
本発明におけるインク吸収層を形成する塗工液の塗工方法としては、例えば、スライドホッパー方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等の通常用いられている塗布方法が用いられる。
【0037】
本発明における支持体には、インク吸収層と支持体との接着性向上等の目的でアンカー層を設けてもよい。アンカー層にはゼラチン等の親水性バインダー、ブチラール樹脂等の溶剤可溶性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、界面活性剤等を適宜組み合わせて添加せしめることができる。
【0038】
本発明における支持体には、帯電防止性、搬送性、カール防止性、筆記性、糊付け性等のために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には、無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、滑剤、界面活性剤等を適宜組み合わせて添加せしめることができる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限定されるものではない。
【0040】
(アルミナ水和物の合成例)
下記にインク吸収層に用いるアルミナ水和物の合成例を示す。使用した原材料はすべて市販品であり、更に精製はせずそのまま使用した。
【0041】
イオン交換水1200g、イソプロピルアルコール900gを3Lの反応器に仕込み、75℃に加熱した。アルミニウムイソプロポキシド408gを加え、75℃で24時間、95℃で5時間加水分解を行った。その後、酢酸24gを加え、75℃にて48時間撹拌した後、濃度が25重量%になるように濃縮し、白色のアルミナ水和物の分散液を得た。
【0042】
このゾルを室温で乾燥させ、X線回折を測定したところ、擬ベーマイト構造を示した。また、透過電子顕微鏡で平均粒子径を測定したところ、40nmであった。また、水銀圧入方法によって平均細孔半径を測定したところ、5.8nmであった。指数容積細孔分布から4.8nmから6.8nm間での細孔容積は、全細孔容積の約58%であった。
【0043】
(アルミナ水和物/ポリビニルアルコール塗工液の調製例)
実施例1
上記の方法で合成されたアルミナゾル分散液100部に対し、15重量%のPVA624(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度93%、重合度2400)水溶液および15重量%のPVA235(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度88%、重合度3500)をそれぞれ2部、15部を混合した。混合後20分間撹拌し、200メッシュのフィルターにて濾過し、塗工液とした。
【0044】
実施例2
アルミナ水和物に対し、15重量%のPVA117(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度99%、重合度1700)の水溶液および15重量%のPVA210(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度88%、重合度2100)をそれぞれ2部、15部を混合する以外は、実施例1に準じて行った。
【0045】
実施例3
アルミナ水和物に対し、15重量%のPVA124(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度99%、重合度2400)の水溶液および15重量%のPVA224(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度88%、重合度2400)をそれぞれ2部、15部を混合する以外は、実施例1に準じて行った。
【0046】
実施例4
アルミナ水和物に対し、15重量%のPVA635(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度93%、重合度3500)の水溶液および15重量%のPVA235(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度88%、重合度3500)をそれぞれ2部、15部を混合する以外は、実施例1に準じて行った。
【0047】
実施例5
アルミナ水和物に対し、15重量%のPVA635(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度93%、重合度3500)の水溶液および15重量%のPVA217(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度88%、重合度1700)をそれぞれ2部、15部を混合する以外は、実施例1に準じて行った。
【0048】
実施例6
アルミナ水和物に対し、15重量%のPVA117(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度99%、重合度1700)の水溶液および15重量%のPVA217(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度88%、重合度1700)をそれぞれ2部、15部を混合する以外は、実施例1に準じて行った。
【0049】
実施例7
アルミナ水和物に対し、15重量%のPVA624(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度93%、重合度2400)の水溶液および15重量%のPVA235(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度88%、重合度3500)をそれぞれ0.7部、16.3部を混合する以外は、実施例1に準じて行った。
【0050】
実施例8
アルミナ水和物に対し、15重量%のPVA624(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度93%、重合度2400)の水溶液および15重量%のPVA235(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度88%、重合度3500)をそれぞれ6.5部、10.5部を混合する以外は、実施例1に準じて行った。
【0051】
実施例9
アルミナ水和物に対し、15重量%のPVA624(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度93%、重合度2400)の水溶液および15重量%のPVA235(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度88%、重合度3500)をそれぞれ0.5部、16.5部を混合する以外は、実施例1に準じて行った。
【0052】
実施例10
アルミナ水和物に対し、15重量%のPVA624(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度93%、重合度2400)の水溶液および15重量%のPVA235(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度88%、重合度3500)をそれぞれ7部、10部を混合する以外は、実施例1に準じて行った。
【0053】
比較例1
アルミナ水和物に対し、15重量%のPVA624(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度93%、重合度2400)の水溶液を17部を混合する以外は、実施例1に準じて行った。
【0054】
比較例2
アルミナ水和物に対し、15重量%のPVA117(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度99%、重合度1700)の水溶液を17部を混合する以外は、実施例1に準じて行った。
【0055】
比較例3
アルミナ水和物に対し、15重量%のPVA235(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度88%、重合度2300)の水溶液を17部を混合する以外は、実施例1に準じて行った。
【0056】
比較例4
アルミナ水和物に対し、15重量%のPVA217(クラレ製ポリビニルアルコール、ケン化度88%、重合度1700)の水溶液を17部を混合する以外は、実施例1に準じて行った。
【0057】
塗工液の経時安定性の評価は、調液後の粘度と調液2日後の粘度を比較した。粘度測定は、B型粘度計を用い、No.4ロータ、60rpm、25℃の条件下で実施した。
【0058】
塗工は、B4サイズのポリエステルフィルム上に、ワイヤーバーを用いて所定の塗工量、単位平方メートル当たり35gになるように塗布した。塗布後、90℃中に15分間放置し乾燥した。
【0059】
塗膜のクラック評価は、塗布物を10cm角に裁断し、膜面に発生しているクラックの個数を数えた。クラックの個数が5個未満のものをA、5個以上10個未満のものをB、10個以上30個未満のものをC、30個以上をDとした。
【0060】
結果を表に示す。
【0061】
【表1】
Figure 0003923179
【0062】
表1から、ケン化度の異なるポリビニルアルコールを組み合わせることによって、塗工に適した粘度に安定化でき、クラックの発生も抑制できた。特に高ケン化度側のポリビニルアルコールの重合度が2500以下で、低ケン化度側のポリビニルアルコールの重合度が2000以上であるとき良好となり、更には、高ケン化度側と低ケン化度側のポリビニルアルコールの含有量の比が、特定の範囲のとき好適となった。
【0063】
また、表1には記載されていないが、塗工液の粘度が4000cpを越えてくると、塗工膜にワイヤー目が認められた。一方1500cp以下になると、乾燥機中の温風の風圧によって、塗膜が裂ける現象が発生した。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、塗工に適した粘度領域で塗工液の粘度を安定化することができ、また塗膜のクラックの発生を抑制することができた。

Claims (3)

  1. 支持体上にインク吸収層を設けたインクジェット記録媒体において、該インク吸収層が、アルミナ水和物とポリビニルアルコールとを含むインク吸収層であり、且つ該ポリビニルアルコールが、ケン化度が92%以上であるポリビニルアルコールと、ケン化度が90%以下であるポリビニルアルコールとの少なくとも2種類を併用することを特徴とするインクジェット記録媒体。
  2. ポリビニルアルコールの重合度に於いて、ケン化度が92%以上のポリビニルアルコールの重合度が2500以下であり、ケン化度が90%以下のポリビニルアルコールの重合度が2000以上であることを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録媒体。
  3. ケン化度が92%以上であるポリビニルアルコールの含有量と、ケン化度が90%以下であるポリビニルアルコールの含有量との関係が、下記の式1を満足することを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録媒体。
    Figure 0003923179
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