JP3922781B2 - サイレンサ及び送風機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、送風機に関し、特に消音特性を向上させた送風機に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、遠心送風機Bは、図3及び図4に示すように、ケーシング10の吸込口12から吸い込んだ気体を羽根車14の回転によって周方向に加速し、スクロール16又はディフューザによって速度エネルギーを圧力に変換して吐出口より排出するように構成されている。羽根車14の中央の流入口18とケーシング10の吸込口12とは、断面がほぼ双曲線を描くような吸込管20によって連絡されている。
【0003】
このような送風機Bでは、その本体から羽根枚数と回転周波数の積である周波数の騒音が発生し、これが吸込口12から外部に漏れるため、環境対策上の大きな問題となっている。そこで、図3及び図4に示すように、吸込口12の前段部分に消音器(サイレンサ)Sを設けることが行われている。
【0004】
図3では、外側ケース24の内側に筒状の内側ケース26を配置し、これらの間に蛇行する流路28を形成するとともに、これらのケースにこれらの流路表面を覆うグラスウール等の吸音材30を金網(パンチングメタル)で取り付けたものである。また、図4に示すのは、箱形のカバー32の内面に吸音材34を固定し、サイレンサ入口36を左右あるいは上下の2方向に設けたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の技術では、サイレンサの流路の形状や素材が適切でないために、良好な結果を得ることができなかった。例えば、図3に示すものでは、流れの歪みのために大きな損失を引き起こし、送風機Bの性能を低下させることになるとともに、流路の急激な変化による騒音が発生した。一方、図4に示すものでは、充分な消音機能を得ることができなかった。
【0006】
また、グラスウール等の吸音材は、それ自体が環境衛生上の問題があり、また、自己形状保持機能が無いために、金網を用いて固定しなければならず、製造や保守の場合の工数も多かった。
【0007】
この発明は、送風機の性能を大きく低下させることなく、送風機の騒音を外部に出さずに吸音するとともに、それ自体での騒音発生を抑制して充分な消音機能を得ることができるサイレンサを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、送風機の吸込口に取り付けられる空気出口と、該空気出口の軸線を取り囲む周面上に配置された空気入口を有し、前記空気出口と空気入口を滑らかに連絡する内部流路が自ら形状を保持可能な吸音材により形成されており、前記吸音材は、前記空気出口に対向する凸部を有する主遮蔽部と、前記空気出口の周囲を取り囲む副遮蔽部とを有し、前記内部流路は、その総流路断面積が前記空気入口において最大となるように、かつ前記空気入口から前記空気出口に向かうに従って該総流路断面積が直線的に減少するように形成されていることを特徴とするサイレンサである。
【0009】
これにより、入口の面積を出口より大きく取り、風速を減少させることができ、従って、騒音が周囲に最も影響を及ぼす入口で騒音を減少させることができる。入口と出口はほぼ直交するように配置され、従って、送風機側の騒音の大部分は吸音材に吸収され、入口から出てくる音は大きく減少する。また、内部流路は中央の出口から周面上の入口に向けて斜めかつ外側方向に延びて滑らかに形成されているので、急激な流路変化が無く、エネルギーの損失や空気による騒音の発生が防止される。
【0010】
また、流路自体が吸音材で形成されているので、消音効果が大きいとともに製造工程が簡単となる。吸音材として、自己形状保持可能な材料を用いることにより、従来の吸音材(例えばグラスウール)を取付ける場合に不可欠であったパンチングメタル等の金網を使用する必要がなくなった。流路は、特に理由が無い限り、軸線に対して軸対称に形成するが、場合により非対称としてもよい。入口は、通常、周面全面に開口するが、適宜に間隔をおいて分離した開口としてもよい。
【0012】
主遮蔽部によって送風機からの騒音が直接外部に出ることが防止される。これらを別体に形成してそれぞれをケーシングに取り付けることにより、その間の隙間を変えて内部流路の断面積を調整することができ、一つの形状で種々の送風機に対応することが可能である。
【0013】
また、前記入口における総流路断面積が最大となるように内部流路を形成することにより入口での風速を減少させ、騒音が周囲に最も影響を及ぼす入口での騒音を減少させることができる。
【0014】
また、前記入口から前記出口に向かうに従い総流路断面積がほぼ直線的に減少するようになっていることにより、流れの変化を抑制して騒音の発生を抑えることができる。
【0015】
なお、前記吸音材がウレタンフォームであることが好ましい。これは、自己形状保持が可能であり、耐久性も充分である。なお、これ以外に、発泡セラミック等を用いることもできる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のサイレンサが吸込口に取り付けられていることを特徴とする送風機である。
【0017】
請求項3に記載の発明は、前記送風機はくびれ部を有する吸込管を備えた遠心型送風機であり、前記サイレンサの前記内部流路は、前記遠心型送風機の羽根車によって形成される空気流路と、前記吸込管のくびれ部の断面に対して、ほぼ面対称になっていることを特徴とする請求項2に記載の送風機である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明のサイレンサを遠心送風機Bに用いた場合の実施の形態を説明する。図1の右側の部分は、このサイレンサSが取り付けられる遠心送風機Bであり、送風機ケーシング10の吸込口12から吸い込んだ気体を羽根車14の回転によって周方向に加速し、スクロール16によって速度エネルギーを圧力に変換して吐出口より排出するように構成されている。羽根車は、図示しない駆動手段により回転駆動される回転軸22にボルト固定されている。
【0019】
送風機ケーシング10の吸込口12の内側には、断面がほぼ双曲線を描く吸込管20がそのフランジをボルト固定して取り付けられ、この吸込管20は中央のくびれ部20aで最小断面積となってから拡大し、下流側の羽根車14の流入口18に連絡されている。
【0020】
サイレンサSは、この例では、全体が送風機ケーシング10とほぼ同じ程度の厚さの円盤状に形成され、送風機Bの吸込口側ケーシング10aの外側に同軸に取り付けられている。サイレンサは、2枚の円板状の取付板50,52と、各取付板の内側に取り付けられた吸音材54a,54bとから構成され、これらの吸音材によって空気を吸込口12に導入する内部流路Pが形成されている。吸音材は、例えばウレタンフォームのような自己形状保持可能な材料を用いており、これを所定の形状に加工成形して取付板に固定している。
【0021】
この内部流路Pは、出口Poが吸込口12と対応する位置に開口し、入口Piは周面の全面に渡って開口している。従って、入口Piから出口Poに向かう流路は軸線に対して斜めにかつ中央に向かうように延びている。内部流路Pは、軸線を含む断面において、図1に示すように滑らかな曲線をなしており、吸込管20及び羽根車14を含めた流路形状は、吸込管20のくびれ部20aの断面に対してほぼ面対称な形状となっている。
【0022】
外側の取付板50に取り付けられた吸音材(主遮蔽部)54aは、中央部に滑らかな凸部56が形成されており、出口Poを取り囲む吸音材(副遮蔽部)54bは、送風機Bからの騒音が直接出口から出ないように膨らみ58を持って形成されている。これらの主遮蔽部54aと副遮蔽部54bは別体に形成され、各取付板50,52は送風機Bのケーシング10aにボルト等により個別に固定されている。この例では、主遮蔽部54aは長尺のボルト60とスペーサチューブ62を用いて固定されており、スペーサチューブ62の長さを変えることにより流路Pの断面積を調整することができる。従って、1つの形状で種々の送風能力の送風機Bに対応することができる。
【0023】
図1に示すように、入口Piからくびれ部20aまでの流路Pを入口を0、くびれ部を1として無次元化した長さをL/LTとすると、L/LTが増加するに従い流路の幅Wも増加する。しかしながら、各無次元長さにおける無次元総流路断面積(A/Ao=2πWR/AO)は、入口において最大であり、図2に示すように、入口Piから出口に向かうに従いほぼ直線的に減少するようになっている。
【0024】
以上のように構成された送風機Bを運転すると、空気はサイレンサSの周面に開口する入口Piから導入されて、内部流路Pを出口に向かって流れ、さらに吸込管のくびれ部を通過して羽根車14に向かう。この過程において、流路Pが滑らかに曲がっているので、乱流が生成しにくく、エネルギーの損失や渦流れに伴う騒音の発生が少ない。また、流路P自体がウレタンフォームのような吸音材で形成されているので、空気流れに伴う振動や騒音が発生しにくい。
【0025】
また、入口Piが周面に開口しているので、入口Piでの総流路断面積が大きくなっており、騒音が周囲に最も影響を及ぼす入口Piにおいて騒音を減少させることができる。また、一様に断面積を減少させることにより、流れの変化を抑制して騒音の発生を抑えることができる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、送風機側の騒音を効率的に吸音材で吸収し、内部流路に急激な流路変化が無いので、エネルギーの損失や乱流による騒音の発生が防止される。流路自体を吸音材で形成しているので、消音効果が大きいとともに製造工程が簡単となる。従って、送風機の性能を大きく低下させることなく、送風機の騒音を外部に出さずに吸音するとともに、それ自体での騒音発生を抑制して充分な消音機能を得ることができるサイレンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態のサイレンサ付き遠心送風機を示す断面図である。
【図2】図1の実施の形態の流路断面積の変化を示すグラフである。
【図3】従来の送風機のサイレンサの一例を示す断面図である。
【図4】従来の送風機のサイレンサの他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 ケーシング
12 吸込口
14 羽根車
16 スクロール
18 流入口
20 吸込管
B 送風機
P 流路
S 消音器(サイレンサ)
Claims (3)
- 送風機の吸込口に取り付けられる空気出口と、該空気出口の軸線を取り囲む周面上に配置された空気入口を有し、前記空気出口と空気入口を滑らかに連絡する内部流路が自ら形状を保持可能な吸音材により形成されており、
前記吸音材は、前記空気出口に対向する凸部を有する主遮蔽部と、前記空気出口の周囲を取り囲む副遮蔽部とを有し、
前記内部流路は、その総流路断面積が前記空気入口において最大となるように、かつ前記空気入口から前記空気出口に向かうに従って該総流路断面積が直線的に減少するように形成されていることを特徴とするサイレンサ。 - 請求項1に記載のサイレンサが吸込口に取り付けられていることを特徴とする送風機。
- 前記送風機はくびれ部を有する吸込管を備えた遠心型送風機であり、前記サイレンサの前記内部流路は、前記遠心型送風機の羽根車によって形成される空気流路と、前記吸込管のくびれ部の断面に対して、ほぼ面対称になっていることを特徴とする請求項2に記載の送風機。
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