JP3918546B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吹出空気温度の温度調節が可能な車両用空調装置に関するものであり、特にウオームアップ時の吹出温度制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用空調装置として、例えば、冷凍サイクルと、エンジン冷却水を熱源とする加熱手段とこの加熱手段の空気加熱量を制御する温度制御手段とを備え、温度制御手段は、送風機より送られた空気が冷凍サイクルの冷却手段で冷却された後、加熱手段を通過する温風と、この加熱手段を迂回する冷風とを混合して車室内に開口する吹出口から吹き出させる制御をすることにより、車室内の空調が行われる。
【0003】
そして、吹出口から吹き出される吹出空気は、例えば、加熱手段を通過する温風の風量と、加熱手段を迂回する冷風の風量との風量割合を調節する温度調節手段であるエアミックスドアが設けられていて、このエアミックスドアの開度を制御させることで吹出温度を調節するものが知られている。
【0004】
従って、このエアミックスドアの開度を制御するための演算手段として、例えば、特許登録第2769073号公報に開示されたものがある。この公報によれば、乗員が設定する設定温度などの設定信号および車両の各所に設けられた外気温度や内気温度などの各センサからの検出信号に基づいて目標吹出温度を求め、この目標吹出温度に応じてエアミックスドアの開度を求めるようになっている。
【0005】
そして、この演算手段によると、例えば暖房の初期とか外気温度が低いときなどの暖房運転のときには、概して目標吹出温度が大きな数値として求められ、加熱手段を通過する温風の風量割合を大きくするようにエアミックスドアの開度を最大にさせる温度調節を行なっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の車両用空調装置では、加熱手段の空気加熱量が小さいとき、すなわちエンジン冷却水の水温が低いときには、吹出温度がエンジン冷却水の水温を上回ることがないため問題とはならないが、排気量の大きい車両においてはエンジン冷却水の水温が非常に高くなるときがある。
【0007】
このようにエンジン冷却水の水温が高くなると吹出口から吹き出される吹出温度も高められ、この水温が所定値を超えると暑すぎる不具合が生じたり、さらに水温が高められると火傷などの高温による不具合が生ずるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記点に鑑みてなされたものであって、吹出温度の上限を定めた温度制御手段を配設させることで、高温の吹出温度による不具合のない快適な温度調節を可能とした車両用空調装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1ないし請求項8に記載の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、車室内の各所に開口する吹出口へ向けて送風空気を導く空調ダクト(2)と、エンジン冷却水を熱源として空調ダクト(2)に流れる空気を加熱する加熱手段(42)と、この加熱手段(42)による空気加熱量を調節する温度調節手段(15、16)と、乗員が設定する設定信号および車両の各所に設けられた各センサからの検出信号に基づいて、温度調節手段(15、16)を制御する温度制御手段(10)とを備えた車両用空調装置において、温度制御手段(10)は、吹出温度の上限を定めた規制値(To)を有し、吹出口に吹き出す空調風が規制値(To)以下の吹出温度となるように温度調節手段(15、16)を制御する車両用空調装置であって、
エンジン冷却水の温度を検出する水温検出手段(75)が設けられ、
温度制御手段(10)は、水温検出手段(75)からの検出水温(Tw)が所定値を超える領域のときに、吹出口に吹き出す空調風が規制値(To)以下の吹出温度となるように温度調節手段(15、16)を制御することを特徴としている。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、温度制御手段(10)により規制値(To)以下の吹出温度となるように制御することにより、吹出温度が高温になり過ぎて暑すぎるなどの不具合を生じさせない吹出温度を吹き出すことができる。これにより、高温による不具合を発生させない快適な温度制御ができる。
【0012】
また、検出水温(Tw)が所定値を超える領域のときに、規制値(To)以下の吹出温度とすることにより、より確実に吹出温度が高温になり過ぎて暑すぎるなどの不具合を生じさせない吹出温度を吹き出すことができる。
【0013】
請求項2に記載の発明では、車室内の各所に開口する吹出口へ向けて送風空気を導く空調ダクト(2)と、エンジン冷却水を熱源として空調ダクト(2)に流れる空気を加熱する加熱手段(42)と、この加熱手段(42)による空気加熱量を調節する温度調節手段(15、16)と、エンジン冷却水の温度を検出する水温検出手段(75)と、乗員が設定する設定信号および車両の各所に設けられた各センサからの検出信号に基づいて、温度調節手段(15、16)を制御する温度制御手段(10)とを備えた車両用空調装置において、温度制御手段(10)は、運転開始時は高めとし経過時間とともに低下するように吹出温度の上限を定めた規制値(To)を有し、吹出温度が所定値を超えると推定されるときに、吹出口に吹き出す空調風が前記規制値(To)以下の吹出温度となるように温度調節手段(15、16)を制御することを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、例えばマックスホットと称する暖房運転では高めの吹出温度が要求される。このような吹出温度が所定値を超えると推定されるときに、運転開始時は高めとし経過時間とともに低下するように吹出温度の上限を定めた規制値(To)以下の吹出温度となるように制御することにより、吹出温度が高温になり過ぎて暑すぎるなどの不具合を生じさせない吹出温度を吹き出すことができるとともに、加熱手段(42)の空気加熱量を高めることができるため暖房運転のウオームアップ性能および暖房性能の向上が図れる。これにより、高温による不具合を発生させない快適な温度制御ができる。
【0015】
請求項3に記載の発明では、加熱手段(42)を通過して温風が流れる温風通路と加熱手段(42)をバイパスして冷風が流れる冷風バイパス通路とを空調ダクト(2)内に形成させるとともに、温度調節手段(15、16)を温風通路を通過する風量と冷風バイパス通路を通過する風量との風量割合を調節するエアミックスドア(15、16)で構成し、温度制御手段(10)は、設定信号および検出信号に基づいて目標吹出温度(TAO)を求め、この目標吹出温度(TAO)が高くなるほどエアミックスドア(15、16)の開度が大きくなるようにエアミックスドア(15、16)の開度を求める演算手段(250)を有し、この演算手段(250)は、水温検出手段(75)からの検出水温(Tw)が所定値を超える領域のときに、エアミックスドア(15、16)の開度を目標吹出温度(TAO)に代えて規制値(To)を用いて演算することを特徴としている。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、一般的にエアミックス方式と言われるエアミックスドア(15、16)の開度を求める演算手段(250)において、目標吹出温度(TAO)に代えて規制値(To)を用いることにより、エンジン冷却水の水温(Tw)が非常に高くなったときに、吹出温度の上限を定めた規制値(To)を上回る吹出温度が吹き出されることがなく、高温による不具合を発生させない快適な温度制御ができる。
【0017】
また、従来の温度制御手段(10)に対して目標吹出温度(TAO)に代えて規制値(To)を用いることにより、部品点数を増加させることなく制御処理内のソフトウェア構造を変更させることで容易に対応できる。
【0018】
請求項4に記載の発明では、規制値(To)は、運転開始時に高めの吹出温度に設定し経過時間とともに低下させるように設定したことを特徴としている。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、運転開始時に高めの吹出温度とすることにより、加熱手段(42)の空気加熱量を高めることができるため車室内を暖房するときのウオームアップ性能が向上する。
【0020】
請求項5に記載の発明では、規制値(To)は、吹出口に吹き出す空調風の風量が多いときに高めの吹出温度に設定したことを特徴としている。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、風量が多いときに高めの吹出温度に設定したことにより、加熱手段(42)の空気加熱量を高めることができるためストーブ比が高まり暖房感が得られるとともに、暖房運転のウオームアップ性能および暖房性能の向上が図れる。
【0022】
請求項6に記載の発明では、規制値(To)は、吹出口に吹き出す空調風の吹出温度を車室内の熱負荷に応じて設定したことを特徴としている。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、外気温度や内気温度などが低い熱負荷の大きいときに、例えば高めの吹出温度に設定すれば、加熱手段(42)の空気加熱量を高めることができるためウオームアップ性能および暖房性能の向上が図れる。
【0024】
請求項7に記載の発明では、規制値(To)は、設定信号および検出信号から求めた目標吹出温度(TAO)が高いときに高めの吹出温度に設定したことを特徴としている。
【0025】
請求項7に記載の発明によれば、上記請求項4と同様に目標吹出温度(TAO)が高いときは熱負荷の大きいときであるため、加熱手段(42)の空気加熱量を高めることができるためウオームアップ性能および暖房性能の向上が図れる。
【0026】
請求項8に記載の発明では、検出信号は、外気温度、内気温度、皮膚温度であって、これらの温度が低いほど規制値(To)を高めの吹出温度に設定したことを特徴としている。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、具体的に、上記温度が低いときに高めの吹出温度に設定したことにより、上記請求項と同じ効果を奏する。
【0028】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、車両の車室内の運転席(車両右側の後部座席を含む)側空調ゾーンと助手席(車両左側の後部座席を含む)側空調ゾーンとの温度調節および吹出口モードを互いに独立に制御する自動車用空調装置に本発明を適用した第1実施形態について、図1ないし図7を用いて説明する。
【0030】
まず、図2は本実施形態の空調ユニットの全体構成を示した全体構成図、図3(a)は車両のインストルメントパネルを示した正面図、図3(b)および(c)はエアコンスイッチを示した正面図、図4はエアコン操作パネルを示した正面図である。
【0031】
図2に示すように、本実施形態の空調ユニット1は、自動車の車室内計器盤の下方部に配設され、各空調手段(例えばアクチュエータなど)を、空調制御装置(以下ECUと呼ぶ)10によって制御するように構成されている。
【0032】
空調ユニット1は、車両の車室内の前方に配置された空調ダクト2を備えている。この空調ダクト2の空気上流側には内外気切替ドア3が設けられている。内外気切替ドア3は、駆動手段としてのサーボモータなどのアクチュエータにより駆動させて、内気吸入口6と外気吸入口7との開度(所謂内外気モード)を変更する内外気切替手段である。
【0033】
内外気切替ドア3の空気出口部には、送風手段としての送風機4が設けられており、この送風機4は、ブロアモータ駆動回路8によって駆動される送風機駆動手段であるブロアモータ9により回転駆動されて空調ダクト2内において車室内に向かう空気流を発生させる遠心式送風機である。
【0034】
なお、送風機4は、後述する運転席側、助手席側の各吹出口から車室内の運転席側、助手席側空調ゾーンに向けてそれぞれ吹き出される空調風の吹出風量または吹出風速を変更する吹出風量可変手段または吹出風速可変手段を構成する。
【0035】
次に、空調ダクト2の中央部には、空調ダクト2内を通過する空気を冷媒と熱交換して冷却する冷却手段である蒸発器41が配設されている。また、その蒸発器41の空気下流側には、第1、第2空気通路11、12を通過する空気をエンジンの冷却水と熱交換して加熱する加熱手段としてのヒータコア42が配設されている。なお、第1、第2空気通路11、12は仕切り板14により区画されている。
【0036】
そして、ヒータコア42の空気上流側には、車室内の運転席空調ゾーンと助手席空調ゾーンとの温度調節を互いに独立して行うための温度調節手段である第1、第2エアミックスドア15、16が設けられており、これらのエアミックスドア15、16には、駆動手段としての第1、第2サーボモータ17、18などのアクチュエータにより駆動されて、後述する運転席側、助手席側の各吹出口から車室内の運転席側、助手席側空調ゾーンに向けてそれぞれ吹き出される空調風の吹出温度を変更する運転席側、助手席側吹出温度調節手段を構成する。
【0037】
なお、この温度調節手段である第1、第2エアミックスドア15、16は、ヒータコア42を通過して温風が流れる温風通路と、ヒータコア42を迂回(バイパスとも言う)して冷風が流れる冷風バイパス通路とがヒータコア42の下流側に形成され、それぞれの通路に流れる風量の混合割合を調節して空調風の吹出温度の温度調節を行なうドアである。
【0038】
なお、蒸発器41は、図示しない圧縮機、凝縮器、受液器、減圧器とともに配管結合された周知の冷凍サイクルを構成する熱交換器であり、空調ダクト2内の空気を除湿冷却する。また、上記圧縮機は、自動車のエンジンの出力軸にベルト駆動され、図示しない電磁クラッチを介して連結されるもので、ECU10により制御されてエンジンからの回転動力が断続される。
【0039】
そして、電磁クラッチ(図示せず)がONされて圧縮機が起動することにより、蒸発器41が空調ダクト2内を通過する空気を冷却、除湿することで車室内に吹き出される空調風が冷却される。また、ヒータコア42は、自動車エンジンの冷却水を熱源とする熱交換器であり、蒸発器41にて冷却された冷風を再加熱する。
【0040】
次に、第1空気通路11の空気下流側に連通する各吹出ダクトの空気下流端では、図2および図3に示すように、フロントガラスの内面に空調風を吹き出すための運転席側デフロスタ吹出口20、運転席乗員の上半身に空調風を吹き出すための運転席側センターフェイス吹出口21および運転席側サイドフェイス吹出口22、運転席乗員の足元に空調風を吹き出すための運転席側フット吹出口23が開口している。
【0041】
また、第2空気通路12の空気下流側に連通する各吹出ダクトの空気下流端では、フロントガラスの内面に空調風を吹き出すための助手席側デフロスタ吹出口30、助手席乗員の上半身に空調風を吹き出すための助手席側センターフェイス吹出口31および助手席側サイドフェイス吹出口32、助手席乗員の足元に空調風を吹き出すための助手席側フット吹出口23が開口している。
【0042】
また、第2空気通路12の空気下流端では、助手席乗員の上半身に空調風を吹き出すための助手席側センターフェイス吹出口31および助手席側サイドフェイス吹出口32と、助手席乗員の足元に空調風を吹き出すための助手席側フット吹出口33が開口している。
【0043】
そして、第1、第2空気通路11、12内には、車室内の運転席側と助手席側との吹出口モードの設定を互いに独立して行うための運転席側、助手席側吹出口切替ドア24〜26、34〜36が設けられている。そして、運転席側、助手席側吹出口切替ドア24〜26、34〜36は、これらの駆動手段であるサーボモータ28、29、38、39などのアクチュエータにより駆動されて運転席側と助手席側の吹出口モードをそれぞれ切替えるモード切替ドアである。
【0044】
ここで、運転席側、助手席側の吹出口モードとしては、FACEモード、B/Lモード、FOOTモード、F/Dモード、DEFモードなどがある。
【0045】
そして、上記ブロアモータ駆動回路8およびサーボモータ5、17、18、28、29、38、39などのアクチュエータはECU10からの制御信号に基づいて制御される。
【0046】
ECU10は、本発明の温度制御手段に相当するもので、エンジンの始動および停止を司るイグニッションスイッチが投入(IG・ON)されたときに、車両に搭載された車載電源であるバッテリー(図示せず)から直流電源が供給されると演算処理や制御処理を開始するように構成されている。
【0047】
また、ECU10には、図2および図4に示すように、インストルメントパネル50に一体的に設置された操作パネル51上の各種操作スイッチから各操作信号が入力されるように構成されている。
【0048】
そして、操作パネル51には、液晶表示ディスプレイ52、内外気切替スイッチ53、フロントデフロスタスイッチ54、リアデフロスタ(デフォッガ)スイッチ55、DUAL(デュアル)スイッチ56、吹出口モード(MODE)切替スイッチ57、ブロア風量切替スイッチ58、A/C(エアコン)スイッチ59、AUTO(オート)スイッチ60、OFFスイッチ61、運転席側(DRIVER)温度設定スイッチ62、助手席側(PASSENGER)温度設定スイッチ63およびECON(エコノミー)スイッチ64などが設置されている。
【0049】
なお、上記のスイッチのうち、DUAL(デュアル)スイッチ56は、運転席側空調ゾーン内の温度調節と助手席側空調ゾーン内の温度調節とを互いに独立して行なう左右独立温度コントロールを指令する左右独立制御指令手段である。また、吹出口モード(MODE)切替スイッチ57は、使用者のマニュアル操作に応じて吹出口モード(MODE)をFACEモード、B/Lモード、FOOTモード、F/DモードおよびDEFモードのうちのいずれかの吹出口モードを切替する吹出口モード設定手段である。
【0050】
また、内外気切替スイッチ53は、外気導入を指定する外気モードと、内気循環を指定する内気モードのどちらかを乗員が手動により設定するためのスイッチである。そして、ブロア風量切替スイッチ58は、送風機4の風量レベルを段階的に切替えるスイッチで、本実施形態ではHiレベル(最大風量)、Me(中間風量)レベル、Lo(最小風量)レベルの3段階に設定することができる。
【0051】
また、液晶表示ディスプレイ52には、運転席側、助手席側空調ゾーンの設定温度を視覚表示する設定温度表示部、吹出口モードを視覚表示する吹出口モード表示部、およびブロア風量を視覚表示する風量表示部が設けられている。なお、液晶表示ディスプレイ52に外気温表示部、内外気モード表示部、時刻表示部を設けても良い。また、操作パネル51上の各種スイッチは、液晶表示ディスプレイ52に設けられていても良い。
【0052】
A/C(エアコン)スイッチ59は、図4に示すように、冷凍サイクルの圧縮機(図示せず)を起動または停止を指令するスイッチであり、一般に、圧縮機(図示せず)をOFFしてエンジンの回転動力を減らすことでエンジンの燃費効率を高めるために設けられている。
【0053】
なお、A/C(エアコン)スイッチ59は、一度押されるとONし、視覚表示器(LED)59aが点灯し(図3(b)参照)、次に押されるとOFFし、LED59aが消灯し(図3(c)参照)、再度押されるとONする。また、LED59aは、ブロア風量切替スイッチ58をOFF位置に設定するか、あるいは0FFスイッチ61を押しても消灯するようになっている。つまり、消灯のときには、冷凍サイクルの圧縮機(図示せず)が停止されているときである。
【0054】
運転席側(DRIVER)温度設定スイッチ62は、運転席側空調ゾーン内の温度を所望の温度に設定するための運転席側温度設定手段で、アップスイッチ62aとダウンスイッチ62bよりなる。また、同じように助手席側(PASSENGER)温度設定スイッチ63は、助手席側空調ゾーン内の温度を所望の温度に設定するための助手席側温度設定手段で、アップスイッチ63aとダウンスイッチ63bよりなる。
【0055】
また、AUTO(オート)スイッチ60は、空調装置を構成する各空調機器を自動制御する指令を出すスイッチであり、OFFスイッチ61は、空調装置の停止指令を出力するスイッチである。さらに、ECON(エコノミー)スイッチ64は、冷凍サイクルの圧縮機(図示せず)、稼働率を下げて低燃費、省動力を考慮した経済的な空調制御を行なうか否かを指令するスイッチである。
【0056】
また、ECU10の内部には、演算処理や制御処理を行なうための中央演算装置(CPU)、メモリ(ROMまたはEEOROM、RAM)、およびI/Oポート(入力/出力回路)などの機能を含んで構成される周知のマイクロコンピュータが設けられ、各種センサからの検出信号がI/OポートまたはA/D変換回路によってA/D変換された後に、マイクロコンピュータに入力されるように構成されている。
【0057】
すなわち、ECU10には、車室内温度(内気温度)を検出する内気温検出手段としての内気温センサ71、車室外温度(外気温度)を検出する外気温検出手段としての外気温センサ72、および日射検出手段としての日射センサ73が接続されている。
【0058】
また、蒸発器41を通過した直後の空気温度(以下、エバ後温度と称す)を検出するエバ後検出手段としてのエバ後温度センサ74、車両のエンジンの冷却水の水温を検出する水温検出手段としての冷却水温センサ75、車室内の相対湿度を検出する湿度検出手段としての湿度センサ76、冷凍サイクルの高圧側圧力を検出する冷媒圧力センサ77および車両の走行速度(車速:SPD)を検出する車速検出手段しての車速センサ(図示せず)などが接続されている。
【0059】
ここで、湿度センサ76は、内気温センサ71とともに、運転席近傍のインストルメントパネル50の前面に形成された凹所内に収容されている。なお、凹所は通気口が形成された蓋体50aによって塞がれている。また、これらのセンサのうち、内気温センサ71、外気温センサ72、エバ後温度センサ74および冷却水温センサ75は、例えばサーミスタなどの感温素子が使用されている。
【0060】
また、日射センサ73は、運転席側空調ゾーン内に照射される日射量(日射強度)Ts(Dr)を検知する運転席側日射強度検知手段(例えば、フォトダイオード)、および助手席側空調ゾーン内に照射される日射量(日射強度)Ts(Pa)を検知する助手席側日射強度検知手段(例えば、フォトダイオード)を有している。なお、冷媒圧力センサ77は、図示しない冷凍サイクルの高圧側の受液器と減圧器との間に設けられている。
【0061】
次に、本実施形態の作動をAUTO(オート)スイッチ60がオンされたとき、つまりオート制御時におけるECU10の温度制御手段を含む制御処理に基づいて、図1および図5のフローチャートを用いて説明する。
【0062】
まず、イグニッションスイッチがオンされて、ECU10に電源が供給されると、図5に示す予めR0Mに記憶されている制御プログラム(メインルーチン)の実行が開始する。そして、ステップ200にて、ECU10内部のCPUに内蔵されたデータ処理用メモリ(RAM)の記憶内容などの初期化を行う。
【0063】
そして、次のステップ210にて、各種データをデータ処理用メモリ(RAM)に読み込む。すなわち、操作パネル51上の各種操作スイッチからの操作信号や各センサからの検出信号を入力する。
【0064】
特に、内気温センサ71が検出した内気温度Tr、外気温センサ72が検出した外気温度Tam、日射センサ73が検出した日射量Ts(Dr)、Ts(Pa)、エバ後温センサ74が検出したエバ後温度Te、冷却水温センサ75が検出した水温Twなどの環境条件を入力するとともに、操作パネル51からの操作信号のうち、運転席側温度設定スイッチ62および助手席側温度設定スイッチ63によって設定された目標温度Tset(Dr)および目標温度Tset(Pa)の操作スイッチの状態を入力する。
【0065】
そして、目標吹出温度演算手段である次のステップ220にて、ROMに予め記憶された下記数式1、2に、上記ステップ210にて読み込んだTset(Dr)、Tset(Pa)、Tr、Tam、およびTs(Dr)、Ts(Pa)を代入することによって、運転席側に吹き出す空調風の目標吹出温度TAO(Dr)と、助手席側に吹き出す空調風の目標吹出温度TAO(Pa)を算出する。
【0066】
[数式1]
TAO(Dr)=Kset×Tset(Dr)−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts(Dr)+Kd(Dr)×(Cd(Dr)+Ka(Dr)(10−Tam))×(Tset(Dr)−Tset(Pa))+C
[数式2]
TAO(Pa)=Kset×Tset(Pa)−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts(Pa)+Kd(Pa)×(Cd(Pa)+Ka(Pa)(10−Tam))×(Tset(Pa)−Tset(Dr))+C
ここで、Kset、Kr、Kam、Ks、Kd(Dr)、およびKd(Pa)は、それぞれ温度設定ゲイン、車室内温度ゲイン、外気温ゲイン、日射量ゲイン運転席側、助手席側空調ゾーンの温度差補正ゲインを表わす。
【0067】
なお、Ka(Dr)、Ka(Pa)は、それぞれ外気温Tamが運転席側空調ゾーンおよび助手席側空調ゾーンの各空調温度に及ぼす影響度合いを補正するゲインを表わし、Cd(Dr)、Cd(Pa)は上記影響度合いに応じた定数、Cは補正定数を表わす。ここで、Ka(Dr)、Ka(Pa)、Cd(Dr)、Cd(Pa)といった値は、車両の大きさ、空調ユニット1の吹出方向など様々なパラメータで変化する。
【0068】
そして、次のステップ230では、上記ステップ220で求めた運転席側、助手席側の目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)に基づいてブロア風量(ブロワモータ9に印加するブロア制御電圧VA(Dr)、VA(Dr))を演算する。具体的には、上記のブロア制御電圧VAは、運転席側、助手席側の目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)にそれぞれ適合したブロア制御電圧VA(Dr)、VA(Dr)を図6に示す予めROMに記憶された送風特性に基づいて求めるとともに、それらのブロア制御電圧VA(Dr)、VA(Dr)を平均化処理(VA=(VA(Dr)+VA(Pa))/2)することで求められる。
【0069】
次のステップ240では、上記ステップ220で求めた運転席側、助手席側の目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)と、予めROMに記憶された図7に示す吹出口モード特性に基づいて運転席側の空調ゾーンおよび助手席側の空調ゾーンの各吹出口モードを決定する。
【0070】
具体的には、上記目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)が低い温度から高い温度にかけて、FACEモード、B/LモードおよびFOOTモードとなるように設定されている。また、操作パネル51に設けられた吹出口モード切替スイッチ59を操作することにより、FACEモード、B/Lモード、FOOTモードまたはF/Dモードのうちのいずれかの吹出口モードに固定される。
【0071】
なお、上記FACEモードとは、空調風を運転席側、助手席側の空調ゾーンの乗員の上半身に向けて吹き出す吹出モードである。また、B/Lモードとは、空調風を運転席側、助手席側の空調ゾーンの乗員の上半身および足元部に向けて吹き出す吹出モードである。そして、FOOTモードとは、空調風を運転席側、助手席側の空調ゾーンの乗員の足元部に向けて吹き出す吹出モードである。さらに、F/Dモードとは、空調風を乗員の足元部および車両のフロントウインドの内面に向けて吹き出す吹出モードである。なお、操作パネル51に設けられたフロントデフロスタスイッチ54を操作すると空調風を車両のフロントウインドの内面に向けて吹き出すDEFモードが設定される。
【0072】
次に、本発明の要部となる温度調節手段である第1、第2エアミックスドア15、16の目標開度SW(Dr)、SW(Pa)の算出について図1に基づいて説明する。ここでは、水温センサ96から検出したヒータコア42に流通する水温Twに応じて目標開度SW(Dr)、SW(Pa)を求めるものであり、この目標開度SWを求める演算式において、検出した水温Twが予め設定した所定値を超える領域のときには、上述の目標吹出温度TAOに基づいて算出するよりも吹出温度の上限を定めた規制値Toを用いて目標開度SWを求めるようにしたものである。
【0073】
図1に示すように、まず、ステップ251において水温Twが所定値(例えば、68℃)を超えているか否かを判定する。そして、長時間停止されたエンジンを始動させたときなどの水温Twが所定値(例えば、68℃以下)よりも低いときには、ステップ252に移行して目標開度SW(Dr)、SW(Pa)を求める。
【0074】
ここでは、予めROMに記憶された下記数式3、4に、上記ステップ210にて読み込んだTw、Te、および目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)を代入することによって、第1エアミックスドア15の目標開度SW(Dr)、および第2エアミックスドア16の目標開度SW(Pa)を算出する。
【0075】
[数式3]
SW(Dr)={(TAO(Dr)−Te)/(Tw−Te)}×100(%)
[数式4]
SW(Pa)={(TAO(Pa)−Te)/(Tw−Te)}×100(%)
なお、この演算式は、例えば内気温度Trや外気温度Tamが低いときには目標吹出温度TAOが高くなることで目標開度SWも大きくなっている。ただし、この開度SWは最大が100%であって、蒸発器41を通過した空気を100%ヒータコア42に通過させてヒータコア42からの空気加熱量を最大限受熱させるものである。
【0076】
次に、水温Twが所定値(例えば、68℃以下)を超えたときにはステップ253において、ここでは、ステップ210で読み込まれた乗員が設定した目標温度Tset(Dr)および目標温度Tset(Pa)が最大となるHiの領域か否かを判定するものであり、目標設定温度Tsetに応じて吹出温度の上限を定めた2種の規制値Toを選択させるようにしてある。本実施形態では、目標設定温度TsetがHiの領域であればステップ254で高めの規制値Toとして85℃を選択し、Hiの領域を下回っているときにはステップ255で低めの規制値Toとして68℃を選択するようにしている。
【0077】
これにより、次のステップ256に移行して、高めの規制値Toまたは、低めの規制値Toのいずれかを用いて目標開度SW(Dr)、SW(Pa)を求める。具体的には、ステップ252の[数式3]、[数式4]において、目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)の代わりに、高めの規制値Toまたは、低めの規制値Toのいずれかを代入して目標開度SW(Dr)、SW(Pa)を求める。
【0078】
従って、予めROMに記憶された下記数式5、6に、Tw、Te、および規制値Toを代入することによって、第1エアミックスドア15の目標開度SW(Dr)、および第2エアミックスドア16の目標開度SW(Pa)を算出する。
【0079】
[数式5]
SW(Dr)={(To−Te)/(Tw−Te)}×100(%)
[数式6]
SW(Pa)={(To−Te)/(Tw−Te)}×100(%)
なお、ここでは規制値Toとして、68度または85度のいずれかを選択して数式5、6に代入させる。これにより、水温Twが所定値を超えるときには、目標開度SWが規制値Toによって求められ、ステップ252で目標吹出温度TAOにより求めたときよりも低い吹出温度による温度調節ができる。
【0080】
そして、次のステップ260にて、上記ステップ220で求めた運転席側、助手席側の目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)と、予めROMに記憶された内外気モード特性に基づいて内外気の導入割合を決定する。この内外気モード特性によれば、冷房運転時(つまり、TAOの値が低いとき)に内気モードが選択されるようになっている。
【0081】
そして、次のステップ270にて、上記ステップ230で算出したブロア制御電圧VAの制御量を、ブロアモータ駆動回路8に制御信号を出力する。これにより、ブロアモータ9に固定された送風機4を回転させ、車室内へ吹き出される送風量を制御する。
【0082】
そして、次のステップ280にて、上記ステップ240で決定した吹出口モードとなる制御量に基づいてサーボモータ28、29、38、39に制御信号を出力する。
【0083】
そして、次のステップ290にて、上記ステップ250で算出した第1エアミックスドア15の目標開度SW(Dr)、および第2エアミックスドア16の目標開度SW(Pa)となる制御量に基づいてサーボモータ17、18に制御信号を出力する。
【0084】
そして、次のステップ300にて、上記ステップ260で決定した内外気の導入割合となる制御量に基づいてサーボモータ5に制御信号を出力する。
【0085】
ステップ300の処理後、ステップ210に戻って再び各種入力信号を読み込み、それにより、ステップ220以下の制御処理のうち、特に、水温Twに応じて目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)や目標開度SW(Dr)、SW(Pa)を演算して、運転席側空調ゾーンと助手席側空調ゾーンとが互いに独立した温度制御および空調制御が繰り返される。
【0086】
以上の第1実施形態の自動車用空調装置によれば、温度調節手段である第1、第2エアミックスドア15、16の目標開度SWを目標吹出温度TAOに基づいて求める演算式(数式2、数式3)においては、エンジンの始動時などのエンジン冷却水の水温Twが低いときには、吹出温度がエンジン冷却水の水温Twを上回ることがないため問題とはならないが、例えば排気量の大きい車両においてはエンジン冷却水の水温Twが非常に高くなるときがある。
【0087】
このときには、上記演算式では目標吹出温度TAOが大きくなるほど水温Twに応じた高めの吹出温度となるため暑すぎる不具合が生じたり、さらに水温が高められると火傷などの高温による不具合が生ずるという問題がある。
【0088】
そこで、本発明は、冷却水温センサ75からの検出された水温Twが所定値を超える領域のときに、第1、第2エアミックスドア15、16の開度を目標吹出温度TAOに代えて、吹出温度の上限を定めた規制値Toを用いて演算させることにより、エンジン冷却水の水温Twが非常に高くなったときでも、規制値Toを上回る吹出温度が吹き出されることがなく、高温による不具合を発生させない快適な温度制御ができる。
【0089】
また、上記規制値Toを風量が多いときに高めの規制値Toとしたことにより、ヒータコア42の空気加熱量を高めることができるため、暖房運転の始動時などのウオームアップ性能および暖房性能の向上が図れる。
【0090】
また、従来の温度制御手段(10)に対して目標吹出温度(TAO)に代えて規制値(To)を用いることにより、部品点数を増加させることなく制御処理内のソフトウェア構造を変更させることで容易に対応できる。
【0091】
(第2実施形態)
以上の実施形態では、水温検出手段である冷却水温センサ75からの検出された水温Twが所定値を超える領域のときに、第1、第2エアミックスドア15、16の目標開度SW(Dr)、SW(Pa)を求めるために、ECU10の制御処理のうちで、ステップ252の[数式3]、[数式4]の演算式において、目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)の代わりに、一定値の高めの規制値To、または低めの規制値Toのいずれかを代入して規制値Toを超えない吹出温度の温度制御を説明したが、これに限らず、水温Tw、およびその水温Twの経過時間に応じて規制値Toを求めた特性図から求めても良い。
【0092】
具体的には、図8のフローチャートに示すように、ステップ253において、本実施形態では、目標設定温度TsetがHiの領域であればステップ254で高めの規制値Toとして、図9(a)に示すように、例えば水温Twが95℃を超えるときには、その水温Twを超えたときの経過時間に応じて規制値Toを逐次選択するようにして、ステップ256にて目標開度SWを求める。
【0093】
また、Hiの領域を下回っているときには、ステップ255で低めの規制値Toとして、図9(b)に示すように、例えば水温Twが85℃を超えるときには、その水温Twを超えたときの経過時間に応じて規制値Toを逐次選択するようにして、ステップ256にて目標開度SWを求める。
【0094】
なお、水温Twが上記95℃または85℃を下回るときには、第1実施形態の一定値の高めの規制値Toとして85℃または低めの規制値Toとして68℃のいずれかを選択させても良い。
【0095】
以上の実施形態によれば、第1実施形態よりも吹出温度の上限を高めとすることができるため、暖房運転の始動時などのウオームアップ性能および暖房性能の向上が図れる。また、経過時間とともに規制値Toを下げることにより、規制値Toを上回る吹出温度が吹き出されることがなく、高温による不具合を発生させない快適な温度制御ができる。
【0096】
(第3実施形態)
以上の実施形態では、第1、第2エアミックスドア15、16の目標開度SW(Dr)、SW(Pa)を求めるための規制値Toを、一定値または水温Twやその水温Twの経過時間に応じた高めの規制値Toと低めの規制値To用いた説明をしたが、目標吹出温度TAOや各センサからの検出による車両の熱負荷に応じた高めの規制値Toと低めの規制値Toを設定させても良い。
【0097】
例えば、図10(a)および図10(b)に示すように、内気温センサ71から検出された内気温度Trに応じて規制値Toを設定しても良い。すなわち、高めの規制値Toおよび低めの規制値Toともに、内気温度Trが低いときに規制値Toを高め、順次内気温度Trが高くなるのに応じて規制値Toを下げるように設定させると良い。
【0098】
以上の実施形態によれば、目標吹出温度TAOおよび車両の熱負荷が大きいときに、規制値Toを高めることで吹出温度の上限を高めとすることができるため、暖房運転の始動時などのウオームアップ性能および暖房性能の向上が図れる。
【0099】
また、内気温度Trと同じように、図11(a)および図11(b)に示すように、外気温センサ72から検出された外気温度Tamに応じて規制値Toを設定しても良い。すなわち、高めの規制値Toおよび低めの規制値Toともに、外気温度Tamが低いときに規制値Toを高め、順次外気温度Tamが高くなるのに応じて規制値Toを下げるように設定させると良い。これにより、上記と同様の効果を奏する。
【0100】
(第4実施形態)
以上の実施形態では、水温検出手段である冷却水温センサ75からの検出水温Twが所定値(例えば68℃)を超える領域のときに、吹出温度の上限を定めた規制値Toを有し、吹出口に吹き出す空調風が規制値(To)以下の吹出温度となるように第1、第2エアミックスドア15、16を制御する説明をしたが、例えばマックスホットと称する暖房運転などのように高めの吹出温度が要求されるときでも本発明を適用できる。
【0101】
このときには第2実施形態で説明したように規制値Toを水温Tw、およびその水温Twの経過時間に応じて規制値Toを求めた特性図(図9(a)および(b)参照)から求めても良い。なお、このときの空調制御装置10の制御処理のフローチャートは、図12に示すもので、第1、および第2実施形態と同じ制御処理については同一の符号を付して説明は省略する。
【0102】
以上の実施形態によれば、運転開始時は高めとし経過時間とともに低下するように吹出温度の上限を定めた規制値To以下の吹出温度となるように制御することにより、吹出温度が高温になり過ぎて暑すぎるなどの不具合を生じさせない吹出温度を吹き出すことができるとともに、ヒータコア42の空気加熱量を高めることができるため暖房運転のウオームアップ性能および暖房性能の向上が図れる。
【0103】
(他の実施形態)
以上の実施形態では、冷却水温センサ75によって検出された検出水温Twが所定値を超える領域のときに、吹出温度の上限を定めた規制値To以下の吹出温度となるように制御させたが、これに限らず、検出水温Twに関係なく規制させても良い。
【0104】
また、上述した吹出温度の規制値Toは風量の大小によって定めることができる。すなわち、空気加熱量と風量の比であるストーブ比が小さいと暖房感が得られないため風量が大のときには規制値Toを高めて吹出温度を高めると良い。
【0105】
具体的には、図13(a)および図13(b)に示すように、ブロア制御電圧VAに基づいて設定されるブロアレベルの大小に応じて、ブロアレベルが順次大きくなるとともに規制値Toも高める。これにより、ヒータコア42の空気加熱量を高めることができるため、暖房運転の快適性が図れる。
【0106】
また、乗員の皮膚温度を検出する検出センサを設けて、この皮膚温度に応じて高めの規制値Toおよび低めの規制値Toを設定しても良い。例えば乗員の足元の皮膚温度を検出し、図14(a)および図14(b)に示すように、高めの規制値Toおよび低めの規制値Toともに、皮膚温度が低いときに規制値Toを高め、順次皮膚温度が高くなるのに応じて規制値Toを下げるように設定させると良い。これにより、暖房運転の始動時など足元が冷えているときには高めの吹出空気が吹き出されてウオームアップ性能および暖房性能の向上が図れる。
【0107】
また、以上の実施形態では、本発明を運転席側の空調ゾーンと助手席側の空調ゾーンとの温度調節などを互いに独立に制御する空調ユニット1に適用させた説明をしたが、例えば、一つの空調ゾーンを車室内の前席側空間、二つ目の空調ゾーンを後席側空間としても良い。また、運転席側の空調ゾーンと助手席側の空調ゾーンとの仕切り板14を設けない従来周知の単独制御を行う空調装置にも適用できることはもちろんである。
【0108】
また、以上の実施形態では、[数式3]、[数式4]の目標開度SWを算出ための演算式において、分子となる目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)の代わりに、高めの規制値Toまたは、低めの規制値Toのいずれかを代入して規制値Toを超えない吹出温度の温度制御を説明したが、これに限らず、冷却水温センサからの検出水温Twが所定値を超えるときに、上記演算式の分母となるヒータコア42の温水流量を調整させることで空気加熱量の上限を規制させても良い。
【0109】
また、以上の実施形態では、温度調節手段である第1、第2エアミックスドア15、16の目標開度SWを求めて、サーボモータ17、18を制御する所謂エアミックス方式の温度調節について説明したが、これに限らず、蒸発器41からの冷風をヒータコア42にて再加熱するリヒート式の温度調節を備える自動車用空調装置においても、例えばヒータコア42の温水流量を調整させて空気加熱量の上限を規制させるように本発明を適用させることで吹出温度の上限の規制ができる。
【0110】
また、同様にヒータコア42のみを空調ダクト2に収容させた自動車用暖房装置にも本発明が適用できるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における第1、第2エアミックスドア15、16の目標開度SWを求めるための制御処理を示すフローチャートである。
【図2】本発明の第1実施形態における自動車用空調装置の全体構成を示す構成図である。
【図3】第1実施形態における(a)は車両のインストルメントパネル50を示す正面図、(b)、(c)はエアコン(A/C)スイッチ59を示した正面図である。
【図4】第1実施形態における操作パネル51の各種操作スイッチを示す正面図である。
【図5】第1実施形態におけるECU10の制御処理を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態における目標吹出温度TAOとブロア制御電圧VAとの関係を示す特性図である。
【図7】第1実施形態における目標吹出温度TAOと吹出口モードとの関係を示す特性図である。
【図8】本発明の第2実施形態における第1、第2エアミックスドア15、16の目標開度SWを求めるための制御処理を示すフローチャートである。
【図9】第2実施形態における(a)は水温Tw>95のときの高めの規制値Toと経過時間との関係を示す特性図、(b)は水温Tw>85のときの低めの規制値Toと経過時間との関係を示す特性図である。
【図10】本発明の第3実施形態における(a)は高めの規制値Toと内気温度Trとの関係を示す特性図、(b)は低めの規制値Toと内気温度Trとの関係を示す特性図である。
【図11】第3実施形態における(a)は高めの規制値Toと外気温度Tamとの関係を示す特性図、(b)は低めの規制値Toと外気温度Tamとの関係を示す特性図である。
【図12】本発明の第4実施形態における第1、第2エアミックスドア15、16の目標開度SWを求めるための制御処理を示すフローチャートである。
【図13】他の実施形態における(a)は高めの規制値Toとブロアレベルとの関係を示す特性図、(b)は低めの規制値Toとブロアレベルとの関係を示す特性図である。
【図14】他の実施形態における(a)は高めの規制値Toと皮膚温度との関係を示す特性図、(b)は低めの規制値Toと皮膚温度との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
2…空調ダクト
10…空調制御装置、ECU(温度制御手段)
15…第1エアミックスドア(エアミックスドア、温度調節手段)
16…第2エアミックスドア(エアミックスドア、温度調節手段)
42…ヒータコア(加熱手段)
75…冷却水温センサ(水温検出手段)
250…演算手段
TAO…目標吹出温度
To…規制値
Tw…水温(検出水温)
Claims (8)
- 車室内の各所に開口する吹出口へ向けて送風空気を導く空調ダクト(2)と、
エンジン冷却水を熱源として前記空調ダクト(2)に流れる空気を加熱する加熱手段(42)と、
前記加熱手段(42)による空気加熱量を調節する温度調節手段(15、16)と、
乗員が設定する設定信号および車両の各所に設けられた各センサからの検出信号に基づいて、前記温度調節手段(15、16)を制御する温度制御手段(10)とを備えた車両用空調装置において、
前記温度制御手段(10)は、吹出温度の上限を定めた規制値(To)を有し、前記吹出口に吹き出す空調風が前記規制値(To)以下の吹出温度となるように前記温度調節手段(15、16)を制御する車両用空調装置であって、
前記エンジン冷却水の温度を検出する水温検出手段(75)が設けられ、
前記温度制御手段(10)は、前記水温検出手段(75)からの検出水温(Tw)が所定値を超える領域のときに、前記吹出口に吹き出す空調風が前記規制値(To)以下の吹出温度となるように前記温度調節手段(15、16)を制御することを特徴とする車両用空調装置。 - 車室内の各所に開口する吹出口へ向けて送風空気を導く空調ダクト(2)と、
エンジン冷却水を熱源として前記空調ダクト(2)に流れる空気を加熱する加熱手段(42)と、
前記加熱手段(42)による空気加熱量を調節する温度調節手段(15、16)と、
前記エンジン冷却水の温度を検出する水温検出手段(75)と、
乗員が設定する設定信号および車両の各所に設けられた各センサからの検出信号に基づいて、前記温度調節手段(15、16)を制御する温度制御手段(10)とを備えた車両用空調装置において、
前記温度制御手段(10)は、運転開始時は高めとし経過時間とともに低下するように吹出温度の上限を定めた規制値(To)を有し、前記吹出温度が所定値を超えると推定されるときに、前記吹出口に吹き出す空調風が前記規制値(To)以下の吹出温度となるように前記温度調節手段(15、16)を制御することを特徴とする車両用空調装置。 - 前記加熱手段(42)を通過して温風が流れる温風通路と前記加熱手段(42)をバイパスして冷風が流れる冷風バイパス通路とを前記空調ダクト(2)内に形成させるとともに、前記温度調節手段(15、16)を前記温風通路を通過する風量と前記冷風バイパス通路を通過する風量との風量割合を調節するエアミックスドア(15、16)で構成し、
前記温度制御手段(10)は、前記設定信号および前記検出信号に基づいて目標吹出温度(TAO)を求め、前記目標吹出温度(TAO)が高くなるほど前記エアミックスドア(15、16)の開度が大きくなるように前記エアミックスドア(15、16)の開度を求める演算手段(250)を有し、この演算手段(250)は、前記水温検出手段(75)からの検出水温(Tw)が所定値を超える領域のときに、前記エアミックスドア(15、16)の開度を前記目標吹出温度(TAO)に代えて前記規制値(To)を用いて演算することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用空調装置。 - 前記規制値(To)は、運転開始時に高めの吹出温度に設定し経過時間とともに低下させるように設定したことを特徴とする請求項1または請求項3に記載の車両用空調装置。
- 前記規制値(To)は、前記吹出口に吹き出す空調風の風量が多いときに高めの吹出温度に設定したことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の車両用空調装置。
- 前記規制値(To)は、前記吹出口に吹き出す空調風の吹出温度を車室内の熱負荷に応じて設定したことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の車両用空調装置。
- 前記規制値(To)は、前記設定信号および前記検出信号から求めた前記目標吹出温度(TAO)が高いときに高めの吹出温度に設定したことを特徴とする請求項6に記載の車両用空調装置。
- 前記検出信号は、外気温度、内気温度、皮膚温度であって、これらの温度が低いほど前記規制値(To)を高めの吹出温度に設定したことを特徴とする請求項7に記載の車両用空調装置。
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