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JP3916542B2 - アドレス割当システム - Google Patents

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JP3916542B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアドレス割当システムに関し、例えば、DHCPサーバなどを利用するシステムに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
DHCPサーバは本来、MACアドレスを有する端末からIPアドレスの取得要求がきた時点で、端末に割り当てるIPアドレスを決定・確保し、その端末のMACアドレスと、割り当てたIPアドレスとを対応付けて管理する
この端末がVoIP(Voice ovre IP)用TA13である場合、これを含むVoIPネットワーク中のシステム10の概略構成は図6に示すものとなり、このシステム10内のプロビジョニングシステム11とDHCPサーバ15の動作は、図2に示すものとなる。
【0003】
VoIPサービスのプロビジョニングでは、図2に示すように、プロビジョニングシステム11が、VoIP用TA13からの要求に応じてDHCPサーバ15にIPアドレスの取得要求を送信すると(S11、S1)、DHCPサーバ15は、当該取得要求にともなって受信したMACアドレスを当該取得要求に応じて確保した(割り当てる)IPアドレスに対応付けてアドレス管理テーブルTB1に格納したあと、確保したIPアドレスを返送する(S12、S1)。これを受信すると、プロビジョニングシステム11は、取得したIPアドレスと前記MACアドレスの対応関係をVoIPシステム12に通知する(S2)。
【0004】
VoIP用TA13には、その情報を元にIPアドレスが設定される。
【0005】
このとき取得したIPアドレスは、DHCPサーバ15が用意している複数のIPアドレスのうち、取得要求が出された時点で未使用であった任意のIPアドレスである。したがって、同じVoIP用TA(例えば、13)に設定されるIPアドレスは、新たに取得要求を出すたびに変動し得る。
【0006】
VoIPシステム12の配下には、前記VoIP用TA13と同様な端末が複数もうけられ得るから、これらの端末からの要求に応じて、同様な処理は、図2のステップS13,S14に示すように、複数回繰り返される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このようなアドレス割当方法を用いると、前記DHCPサーバ15に対して取得要求を送信するシステムが図3のシステム10と20のように複数存在する場合などには、他システム20によって大量のIPアドレスを取得されてしまい、取得要求に応じたIPアドレスの割当てが行えない場合があり、システムの可用性が低い。
【0008】
この場合の処理は、例えば、図4のステップS15〜S18に示すような手順になる。
【0009】
図4では、DHCPサーバ15は、取得要求に応じて割り当てるIPアドレスとして254ホスト分のIPアドレスを用意していたが、システム20からの254回の取得要求(1つのステップS15として図示している)で254個のIPアドレスを割り当ててしまったあと(S16)、システム10から取得要求を受けても(S17)、すでに割り当てることのできる未使用のIPアドレスは残っていないため、使用可能なIPアドレスが存在しないことを通知することになる(S18)。
【0010】
いったん割り当てられたIPアドレスも、そのIPアドレスを用いる通信が終了すれば返却されて未使用状態となるため、この返却のあと、DHCPサーバ15はシステム10からの取得要求にこたえることが可能であるが、返却が行われるまでの期間は、VoIPを利用する電話機14は例えば発呼することも着呼することもできず、緊急性を要する会話のために電話をかけたり、受けたりする場合などに著しく不都合である。
【0011】
このケースで、他システムもVoIPに対応するシステム10と同様なVoIP通信に対応するシステムであれば、結局は、ホスト数や通信の頻度に比較してDHCPサーバ15が用意したIPアドレスの数が不足しているという問題に帰着することになるが、他システム20がVoIPの通信のようにリアルタイム性を必要としないアプリケーション(例えば、FTPなど)に対応したものである場合などには、適切な対策を講じることによって、柔軟に、リアルタイム通信の可用性を高めることができる可能性がある。
【0012】
ここで、リアルタイム通信とは、例えば、IP電話などのように、呼び出しや応答に即時性が要求される通信を指す。
【0013】
一方、図2に示すようなアドレス割当方法では、取得要求が出された時点で未使用のIPアドレスが割り当てられるため、例えば図5に示すように、VoIPシステム12が自身の配下の複数のVoIP用TA(その1つが13)のために複数のIPアドレスを取得した場合、それらのIPアドレスは不連続な値を持つものとなり、VoIPシステム12におけるアドレス管理が複雑で非効率なものになる。
【0014】
同様に、DHCPサーバ15などにおけるアドレス管理も、複雑なものになる。
【0015】
図5においてDHCPサーバ15は取得要求を受けた順番に、1ずつ大きな値のIPアドレスを割り当ててる動作を繰り返すが、ステップS20,S21でシステム10がIPアドレスを取得したあと、ステップS22,S23でシステム20がIPアドレスを取得したため、そのあと、ステップS24,S25でシステム10が取得するIPアドレスの値は、前記ステップS20、S21で取得した値に連続した値(すなわち、前回取得したIPアドレスの値を+1または−1して得られる値)ではなくなってしまう。
【0016】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、本発明では、所定の管理範囲内に存在する通信端末からの割当要求を受けるたびに、自身が保管しているアドレスのうち未割当のアドレスのなかから選択したアドレスを動的に割り当てる動的アドレス割当サーバを有するアドレス割当システムにおいて、(1)前記動的アドレス割当サーバと複数の通信端末とのあいだに介在するアドレス割当中継システムを設け、前記アドレス割当中継システムは、前記複数の通信端末のため、各通信端末が実際に割当要求を送信する前に、前記動的アドレス割当サーバに対し、要求元アドレスとして仮の要求元アドレスを含む、複数のアドレスを連続的に有するアドレスブロックを確保するための連続割当要求を送出し、(2)前記動的アドレス割当サーバは、(2−1)前記アドレス割当中継システムからの前記連続割当要求を受けると、自身が保管しているアドレスのうち未割当のアドレスのなかから連続した所定数のアドレスを確保すると共に、確保した所定数のアドレスに前記仮の要求元アドレスを対応付けることで予約済みであることを管理し、(2−2)前記アドレス割当中継システムによる中継対象である前記通信端末が割当要求を送信してきたときには、確保された所定数のアドレスのうち、前記仮の要求元アドレスに対応付けられている一つのアドレスを割り当て、その割当アドレスに対し、前記仮の要求元アドレスに代え、今回の要求元の前記通信端末に係る要求元アドレスを対応付けることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
(A)実施形態
以下、本発明にかかるアドレス割当システムを、ITU−T勧告H.323に準拠した環境などでVoIPを行うVoIPネットワークに適用した場合を例に、実施形態について説明する。
【0018】
(A−1)実施形態の構成
本実施形態のVoIPネットワーク30の全体構成例(構成要素の詳細構成例を含む)を、図8に示す。
【0019】
図8において、当該VoIPネットワーク30は、IP網31と、当該IP網31によって接続された4つの拠点32〜35を備えている。
【0020】
このうちIP網31は、インターネットなどにも置換可能であるが、ここでは特定の通信事業者が構築、運営して、ユーザに提供するIP網であるものとする。このようなIP網はIPプロトコルを用いた通信を行う点でインターネットと同じであるが、通信事業者の用意する設備などに応じて、通信品質を保証することができる点が相違する。
【0021】
IP網31は、ユーザ企業自らが自身の社員等に利用させるために構築するものであってもかまわないが、このように通信事業者が構築したものである場合、当該通信事業者は当該IP網31を複数のユーザ企業に共用させ、各ユーザ企業に対し、VoIPサービスを提供する形態となるのが普通である。この場合、1つの企業がその拠点間を秘匿性を保ちながら接続できるように、IP−VPNを利用することが多い。
【0022】
当該IP網31は、必要に応じて、インターネットと接続したり、既存の加入電話網と接続することもできる。
【0023】
図8中に示した拠点32〜35は、当該IP網31を共用する複数のユーザ企業のうち、1つの企業の営業所、支社、本社などに相当するLAN(ローカルエリアネットワーク)であってよい。
【0024】
LAN32〜35内のネットワーク構成には様々なものがあり得、実際には本社と、支社、営業所などではネットワーク構成が相違することも多いが、少なくとも、プロビジョニングシステム41,DHCPサーバ42,VoIPシステム45などの主要な構成要素を備えている点で同じであってよいため、ここでは細部にこだわらず、すべての拠点32〜35のネットワーク構成が実質的に同じであるものとして説明する。
【0025】
このような拠点32〜35のうち、拠点35の構成要素は例えば図7に示す通りであってよいが、図8には、当該拠点35について、より詳細な構成例を示している。
【0026】
すなわち当該拠点35は、ルータ40と、前記プロビジョニングシステム41と、DHCPサーバ42と、パソコン43,44(図7の他システム70に対応)と、VoIPシステム45と、VoIP用TA46A〜46Nと、一般電話機47A〜47Nとを備えている。
【0027】
このうちルータ40は、IP網31に対し拠点35内の伝送路L1を接続する機器である。
【0028】
ここでは、ルータ40がIP網31側のポートP1と、伝送路L1側のポートP2しか持たないものとしているが、拠点35の内部側にポートP2以外のポートを持つ場合には、プロビジョニングシステム41と、DHCPサーバ42と、パソコン43,44と、VoIPシステム45を別のポートに接続するようにしてもよいことは当然である。
【0029】
前記IP−VPNを利用する場合、IP−VPNのために必要な暗号化や復号化の機能は、当該ルータ40に搭載されるものであってよい。
【0030】
ゲートキーパ機能なども、当該ルータ40に搭載され得る。
【0031】
ゲートキーパとは、電話番号とIPアドレスの対応関係を管理する一種のサーバで、VoIP用TA(例えば、46A)などからの問い合わせに応じて、IPアドレスを返す機能を持つ。電話をかける際、電話機のユーザ(例えば、U3)が電話機(例えば、47N)に入力するのは、通信相手の電話番号だけであるが、IPプロトコルに応じた通信を行うIP網31上で通信相手を識別するために有効な唯一の識別子はIPアドレスであるから、当該ゲートキーパに問い合わせて、当該電話番号に対応するIPアドレスを取得することが必要になる。
【0032】
パソコン43,44は、ネットワーク機能を搭載した通常のパーソナルコンピュータであるが、FTPクライアントの機能や、ビデオ会議システムの機能などを搭載するものであってもよい。マイクやスピーカなどを装備させ、IP電話機としてのソフトウエアを搭載させれば、パソコン43,44をIP電話機として利用することも可能である。
【0033】
ただし本実施形態では、上述したリアルタイム通信を行うVoIP用TA46A〜46Nなどとの対比を明確化するため、当該パソコン43,44はリアルタイム通信ではない、FTP通信などを行うFTPクライアントとしての機能を持つ場合を想定する。
【0034】
前記パソコン43はユーザU4によって操作され、パソコン44はユーザU5によって操作されるものとする。
【0035】
後述する254ホスト分のグローバルIPアドレスがDHCPサーバ42に用意されていることからすると、拠点35内のホスト数がこの254よりも少ないということは通常あり得ないため、パソコン43,44などの数は、数百台程度、あるいはそれ以上であってよい。
【0036】
VoIPシステム45は、VoIP用TA46A〜46Nを介して一般電話機47A〜46Nを収容し、VoIPを用いた音声通信に対して、PBX(構内交換機)や公衆電話網上の電話交換機に類似した交換機能を提供するシステムである。
【0037】
このためVoIPシステム45は、VoIP用TA(例えば、46A)にDHCPサーバ42からIPアドレスが割当られた場合、プロビジョニングシステム41を介して、そのIPアドレスと、当該VoIP用TA(この場合、46A)のMACアドレスの対応関係の通知を受ける。当該VoIPシステム45は、前記通信事業者が拠点35内に設置するものであってよい。
【0038】
VoIP用TA46A〜47Nは、呼制御機能、コーデック機能、VoIP機能などを装備したターミナルアダプタである。VoIP機能を装備していることから、当該VoIP用TA46A〜46Nは、一種のVoIPゲートウエイとみることができる。
【0039】
また、必要に応じて、前記DHCPサーバ42に対して取得要求の送信などを行うDHCPクライアントの機能も、当該VoIP用TA46A〜47Nに搭載するものであってよい。
【0040】
ここでは、一般電話機47A〜47Nを接続しているが、VoIP用TAは、G3ファクシミリや、パソコンなどをIP網に接続することもでき、比較的低コストでIP統合を実現することが可能である。
【0041】
VoIP用TA46Aは一般電話機47Aのために機能し、VoIP用TA46Bは一般電話機47Bのために機能し、…、VoIP用TA46Nは一般電話機47Nのために機能する。
【0042】
一般電話機47A〜47Nは、自身ではVoIP機能を搭載していないVoIP非対応の通常の電話機である。
【0043】
いわゆるIP電話機は、原理上、当該一般電話機の機能とVoIP用TAの機能を1装置内に備えた通信装置であるとみることができる。
【0044】
したがって、VoIPシステム45は、必要に応じて、IP電話機を収容することも可能である。
【0045】
一般電話機47AはユーザU1によって操作され、一般電話機47BはユーザU2によって操作され、…、一般電話機47NはユーザU3によって操作される。
【0046】
前記DHCPサーバ42は、VoIP用TA46A〜46N、パソコン43、44などからの取得要求に応じて、IPアドレスを割り当てるサーバである。
【0047】
多くの場合、DHCPサーバは、NATを併用するなどの条件下で、LAN内でのみ一意なプライベートIPアドレスを割り当てるが、本実施形態のDHCPサーバ42が割り当てるのはグローバルIPアドレスである。グローバルIPアドレスは、グローバルに一意性が保証されている(したがって、当然、LAN内でも一意性が保証されている)が、現在では枯渇が危惧されている。
【0048】
呼制御プロトコルとして、ITU−T勧告H.323やSIPを利用するIP電話はNAT(あるいは、IPマスカレード)を経由すると正常な通信を行うことが困難になるアプリケーションの1つである。
【0049】
その原因は、主として、IPパケットのデータ部(ペイロード部)に、送信元IPアドレス(プライベートIPアドレス)やポート番号を格納して送信し、通信相手が、当該データ部から取り出した送信元IPアドレスを宛先IPアドレスとして、返送のIPパケットを送り返す仕組みになっており、なおかつ、NAT(あるいは、IPマスカレード)が、ヘッダ部の送信元IPアドレスは変換しても、データ部の送信元IPアドレスまでは変換しないことによる。プライベートIPアドレスは、LANの外部では有効な識別子として機能し得ないからである。
【0050】
この対策としては、LAN内でプライベートIPアドレスを用いずグローバルIPアドレスを用いること(したがって、NATを用いない)や、いわゆるNATトラバーサルの利用が有効である。
【0051】
LAN内でグローバルIPアドレスを用いれば、LAN内の構造が外部から知られやすくセキュリティ性が低下したり、十分な数のグローバルIPアドレスを用意することが困難である等の問題が生じ得るが、特別な機能の追加などが不要で、簡単な処理によって通信を行うことができる。
【0052】
これに対し、NATトラバーサルでは、NATは利用し、前記データ部に格納する送信元IPアドレスとして、ルータ40のポートP1側のIPアドレス(グローバルIPアドレス)を格納させるため、セキュリティ性は低下せず、グローバルIPアドレスの数が不足することもない。しかしながら、適宜、ルータ40のポートP1側のIPアドレス(グローバルIPアドレス)をVoIP用TA(例えば、46A)などに通知する処理が必要になり、そのような通知を要求したり、通知を行ったりするため、ルータ40やVoIP用TA46A〜46N、パソコン43,44などが、NATトラバーサルに対応したものであることが条件となり、実現に多くのコストや手間を要することが多い。
【0053】
本実施形態はこれらのいずれの場合にも適用可能である。
【0054】
LAN(拠点35)内でプライベートIPアドレスを用いずグローバルIPアドレスを用いる場合には、各端末(例えば、VoIP用TA46A)は、DHCPサーバ42が割り当てるグローバルIPアドレスを、自身の送信元IPアドレスとして用いることとなり、NATトラバーサルを用いる場合には、ルータ40から通知されるポートP1のグローバルIPアドレスを、DHCPサーバ42が割り当てるグローバルIPアドレスに対応させておけばよいからである。
【0055】
DHCPサーバ42はTCP/IP関連の各種設定情報(IPアドレスも含む)の設定を自動化し、必要が生じたときに動的に設定するサーバである。したがってDHCPサーバが設定する設定情報には、サブネットマスク、デフォルトゲートウエイなどIPアドレス以外の情報も含まれるが、ここでは、IPアドレスに注目する。DHCPサーバ42を用いることにより、各端末に手動で設定情報の設定を行う場合などに比べ、設定に関する作業負担の軽減、設定ミスによるトラブル発生の防止、IPアドレスの使用効率向上(多数のホスト間で、少数のIPアドレスを共用する)などの効果を得ることができる。
【0056】
当該DHCPサーバ42は例えば図9に示すような内部構成を有する。DHCPサーバの機能は、例えばルータ40などに、ソフトウエア的に実装することもできるが、本実施形態のDHCPサーバ42は独立したマシンである。
【0057】
(A−1−1)DHCPサーバの内部構成例
図9において、当該DHCPサーバ42は、通信部50と、制御部51と、アドレス管理部52と、レンジ(RANGE)対応部53とを備えている。
【0058】
このうち通信部50は、前記伝送路L1を介して拠点35内の各構成要素41,43,44などと通信を行う部分である。
【0059】
制御部51はハードウエア的には当該DHCPサーバ42の中央処理装置(CPU)であり、ソフトウエア的にはオペレーティングシステム(OS)などである。
【0060】
アドレス管理部52は、所定のアドレス管理テーブルTB2を管理する部分で、一種のデータベースを構成する。
【0061】
当該アドレス管理テーブルTB2は、図1に示すように、列名(データ項目)としてIPアドレスとMACアドレスを備えたテーブルであり、IPアドレスとMACアドレスの対応関係を管理する。対応するMACアドレスが空値となっているIPアドレスが、未使用のIPアドレスである。
【0062】
図1上、当該アドレス管理テーブルTB2には、ドット表記でIPアドレスが格納されており、小さな値のIPアドレスほど、上の行に配置され、上下に隣接するIPアドレスの値(1だけ相違する)は連続したものとなっている。
【0063】
すなわち、最上部の行には「1.1.1.1」が配置され、上から2番目の行には、「1.1.1.2」が配置され、上から3番目の行には、「1.1.1.3」が配置され、…というように、値が連続している。
【0064】
このように連続した値をアドレス管理テーブルTB2に格納することができるのは、その前提として、このユーザ企業または通信事業者が、グローバルIPアドレスの配布を管理する組織(レジストリ等)から、値の連続したIPアドレスの集合(アドレスブロック)の配布を受けたことを意味する。
【0065】
過去に配布されたものは別として、IPアドレスの枯渇問題が深刻化している現在では、レジストリから大きなアドレスブロック(例えば、256個(254ホスト分)の連続したIPアドレスを含むアドレスブロック(これは、クラスCに相当))が配布されることはなく、CIDRにより、高々、10数個程度の連続した値のIPアドレスを含む小さなアドレスブロックが配布されるにすぎない(その場合でも、そのなかから、後述するレンジブロックを確保することは可能である)が、IP網31を運営する通信事業者が過去に大きなアドレスブロック(例えば、クラスAやクラスB)の配布を受けている場合などには、そのアドレスブロックのなかから、例えば256個ものIPアドレスを含む大きなアドレスブロックを選定し、企業ユーザに対して再配布できる可能性はある。
【0066】
また、IP網31などのルータ(図示せず)が管理する経路情報を簡単にする観点などから、高々、10数個程度であるとしても、不連続ではなく、連続した値のIPアドレスが配布される可能性は高い。
【0067】
当該アドレス管理部52は、DHCPサーバ42がIPアドレスの取得要求に応じてIPアドレスを割り当てるたびに、割り当てたIPアドレスに対し、取得要求の送信元の端末(例えば、46Aや、43など)のMACアドレスを対応付けて格納する。ここでは、一例として、IPアドレスの値が小さい順に、割り当てを行っている。
【0068】
拠点35内で、例えば、ARPプロトコルにしたがって、あるMACアドレスに対応するIPアドレスの問い合わせが発生した場合(あるいは、その逆の問い合わせが発生した場合)など、当該アドレス管理テーブルTB2の内容を基準に応答することができる。
【0069】
レンジ対応部53は、当該アドレス管理テーブルTB2上に、値の連続したIPアドレスの確保を行わせる部分で、VoIP用TA46A〜46Nのために機能する。
【0070】
レンジ対応部53は、前記プロビジョニングシステム41からの要求に応じて、連続した所定の範囲(レンジ)のアドレスブロック(レンジブロック)を、VoIP用TA46A〜46Nのために確保する部分である。
【0071】
拠点35内で様々な構成要素から送信される取得要求のうち、レンジブロックの確保を要求する信号をどのようにして識別するかについては、様々な方法が利用可能であるが、ここでは、送信元MACアドレスが所定の値(仮MACアドレスに対応)であれば、レンジブロックの取得要求と判定するものとする。
【0072】
この判定を行うのも、当該レンジ対応部53である。
【0073】
また、レンジブロックに含まれるIPアドレスの数を可変とするか固定とするか等に関しても様々な方法が利用可能であるが、ここでは、可変とし、一例として、5個に設定するものとする。
【0074】
この値(ここでは、5個)は、VoIP用TA46A〜46Nの数を上限として変更可能である。一般電話機47A〜47Nの利用頻度(稼働率)が高ければ上限値に設定するとよく、低い場合には、上限値よりも小さな値、例えば、VoIP用TA46A〜46Nの数の半分、あるいは3分の1などに設定してもよい。
【0075】
また、ネットワーク構成が変更され、一般電話機の追加や削除などが行われることもあり得るが、そのようなケースも、この値(ここでは、5個)を変更する要因となる。
【0076】
この値は、後述する仮MACアドレスを送信元MACアドレスとし、宛先MACアドレスをDHCPサーバ42とするMACフレーム(前記取得要求などのために送信される)にカプセル化されているIPパケットのペイロード部に記述するようにしておくとよい。
【0077】
レンジブロックは連続した値になっているため、32ビットのIPv4アドレスのうち、多くの場合、右端部の高々1バイト程度を管理すればよく、DHCPサーバやVoIPシステムにおける管理も効率的に行うことができる。
【0078】
具体的には、1.1.1.1〜1.1.1.5のレンジブロックでは、右端部の1バイトの変化幅が10進数表示で、1〜5(すなわち、二進数表示で、00000001〜00000101)であるため、右端部の1バイトのなかでも、右端に位置する3ビットの変化だけを管理すれば、レンジブロック全体の管理を矛盾なく行うことが可能になる。
【0079】
このような管理を行うと、レンジブロックが大きくなればなるほど、効率が高まる。
【0080】
一方、前記プロビジョニングシステム41は、ネットワークに柔軟性を付与するために前記通信事業者が拠点35内に設置する機器で、その主要部の構成例を、図10に示す。
【0081】
(A−1−3)プロビジョニングシステムの構成例
図10において、当該プロビジョニングシステム41は、通信部60と、制御部61と、予約対応部62と、仮MACアドレス生成部63とを備えている。
【0082】
このうち通信部60は前記通信部50に対応し、制御部61は前記制御部51に対応するので、その詳しい説明は省略する。
【0083】
仮MACアドレス生成部63は上述した仮MACアドレスを生成する部分である。
【0084】
仮MACアドレスは基本的に架空のMACアドレスであるが、その値をどのように決定するかについては様々な方法を用いることができる。MACアドレスはLANカードなどの製造段階などにおいて各製造業者によって決定される48ビット長のデータで、OSI参照モデルのデータリンク層の識別子として利用される。本来、一意性が保証されているものであり、各種の通信システムは、MACアドレスの一意性が保証されていることを前提に構築されるため、仮MACアドレスの生成によって一意性が失われることは好ましくない。
【0085】
したがって、仮MACアドレス生成部63は、当該仮MACアドレスを生成する前に、拠点35内に偶然、同じ値のMACアドレスを持つ端末が存在しないことを確認してから仮MACアドレスを生成することが望ましい。
【0086】
もし可能ならば、プロビジョニングシステム41の通信部60(通信部60のうちのLANカードに対応する部分(OSI参照モデルのデータリンク層以下のプロトコルに対応する))の持つ実際のMACアドレスを当該仮MACアドレスとして利用するようにしてもよい。
【0087】
以下、上記のような構成を有する本実施形態の動作について、図1のシーケンス図を参照しながら説明する。
【0088】
図1のシーケンス図は、S30〜S38の各ステップから構成されている。
【0089】
(A−2)実施形態の動作
ステップS30において、前記プロビジョニングシステム41が前記仮MACアドレスを送信元MACアドレスとするMACフレームを送信することで、DHCPサーバ42に対し前記レンジブロックの取得要求を出す。
【0090】
レンジブロックの取得要求は、DHCPサーバ15が取得要求を受けるたびに1つずつ先着順で割り当てて行くIPアドレスを、まとめて予約することに等しい。この予約はVoIP用TA46A〜46Nのために行われる予約である。
【0091】
このときもしも、アドレス管理テーブルTB2上に、前記固定値(5個)分の連続した未使用(未割当)のIPアドレスがなければ、DHCPサーバ42はレンジの設定が不可能である旨の通知を返送することになり、この通知を受けたプロビジョニングシステム41は例えば定期的にレンジブロックの取得要求を送信する。
【0092】
通常、いったんDHCPサーバ15から割り当てられたIPアドレスも、割当先の端末(例えば、パソコン43)による通信が終了すれば回収され、未使用の状態にもどるため、いつかは必ずレンジブロックを取得することが可能になり、レンジの設定が行われた旨の応答(S31)が、DHCPサーバ42からプロビジョニングシステム41に返送される。
【0093】
なお、当該プロビジョニングシステム41によるレンジブロックの取得要求は、VoIP用TA46A〜46Nから取得要求が出されるか否かと無関係に、プロビジョニングシステム41の機能によって実行される。
【0094】
図1では、当該ステップS31でレンジ設定応答を受けた後、実際に静的確保(予約)を指示するステップS32を行っているが、ステップS31とS32は1ステップに集約することも可能である。
【0095】
いずれにしても、レンジブロックが確保(予約)できると、図1に示すように、前記アドレス管理テーブルTB2のMACアドレスとして、仮MACアドレスの値が格納される。
【0096】
図1の例では、5つの連続するIPアドレス(1.1.1.1〜1.1.1.5)がレンジブロックとして予約されている。
【0097】
このあと、もしもパソコン43などが取得要求を送信したとしても、DHCPサーバ42は当該レンジブロック以外の範囲のIPアドレス(例えば、1.1.1.6など)を割り当て、当該レンジブロック内のIPアドレスを割り当てることはない。
【0098】
レンジブロックが予約されたあと、実際に、いずれかのVoIP用TA(例えば、46A)が、自身のMACアドレス(ここでは、「AA−AA−AA−AA−AA−01」)を送信元MACアドレスとするMACフレームを、前記VoIPシステム45またはプロビジョニングシステム41に送信することによって、取得要求が出されると、プロビジョニングシステム41がこの取得要求をDHCPサーバ42へ中継し(S33)、予約したレンジブロックのなかから任意の1つのIPアドレスの割り当てを受ける。
【0099】
ここでは、DHCPサーバ42が先着順で小さい値から割り当てて行くものとしているため、予約後、最初に取得要求を出した当該VoIP用TA46Aには、前記「1.1.1.1」が割り当てられている。
【0100】
割り当てられたIPアドレスの値や、当該IPアドレスの値とMACアドレスの対応関係は、DHCPサーバ42からプロビジョニングシステム41へ返送される(S34)。
【0101】
図1の例では、上述したパソコン43などからの取得要求はステップS34のあとで発生しており(S35)、この取得要求に応じて、DHCPサーバ42は、前記レンジブロック以外のIPアドレスを割り当てている(S36)。
【0102】
このあと、VoIP用TA46B〜46NのうちのいずれかのTAから取得要求が出され、プロビジョニングシステム41によって中継された場合も、前記VoIP用TA46Aの場合と同様に、前記レンジブロックのなかからIPアドレスが割り当てられる(S37,38)。
【0103】
以降は同様な動作の繰り返しである。
【0104】
(A−3)実施形態の効果
本実施形態によれば、プロビジョニングシステム(41)の機能などによって柔軟性が高まり、リアルタイム通信を行うVoIP用TA(46A〜46N)のために限られたグローバルIPアドレスを予約することができるから、VoIP用TAの可用性が高まる。
【0105】
また、レンジブロックは連続した値になっているため、DHCPサーバやVoIPシステムにおけるアドレス管理も効率的に行うことができる。
【0106】
(B)他の実施形態
上記実施形態のIP電話(一般電話機とVoIP用TAの組)は、ネットワークゲームやビデオ会議システムなど、各種のリアルタイム通信のための通信端末(アプリケーション)に置換することが可能である。
【0107】
また、上記実施形態では、プロビジョニングシステム41やDHCPサーバ42は専用のマシンであったが、これらの機能をソフトウエア的に実現し、拠点35内のその他の構成要素(例えば、ルータ40など)に実装することも可能である。
【0108】
以上の説明では主としてハードウエア的に本発明を実現したが、本発明はソフトウエア的に実現することも可能である。
【0109】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、柔軟性を高め、前記通信端末の可用性を向上することができる。
【0110】
また、本発明では、アドレス管理を効率化することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るVoIPネットワークの主要部の動作を示すシーケンス図である。
【図2】従来のVoIPネットワークの主要部の動作を示すシーケンス図である。
【図3】発明が解決しようとする課題を説明するための、VoIPネットワークの主要部の構成例を示す概略図である。
【図4】発明が解決しようとする課題を説明するための、VoIPネットワークの主要部の動作を示すシーケンス図である。
【図5】発明が解決しようとする課題を説明するための、VoIPネットワークの主要部の動作を示すシーケンス図である。
【図6】発明が解決しようとする課題を説明するための、VoIPネットワークの主要部の構成例を示す概略図である。
【図7】実施形態に係るVoIPネットワークの主要部の構成例を示す概略図である。
【図8】実施形態に係るVoIPネットワークの主要部の接続関係の一例を示す概略図である。
【図9】実施形態に係るVoIPネットワークで使用するDHCPサーバの主要部の構成例を示す概略図である。
【図10】実施形態に係るVoIPネットワークで使用するプロビジョニングシステムの主要部の構成例を示す概略図である。
【符号の説明】
11、41…プロビジョニングシステム、12,45…VoIPシステム、13,46A〜46N…VoIP用TA、14,47A〜47N…一般電話機、15,41…DHCPサーバ、30…VoIPネットワーク、31…IP網、32〜35…LAN、40…ルータ、52…アドレス管理部、53…レンジ対応部、62…予約対応部、63…仮MACアドレス生成部。

Claims (2)

  1. 所定の管理範囲内に存在する通信端末からの割当要求を受けるたびに、自身が保管しているアドレスのうち未割当のアドレスのなかから選択したアドレスを動的に割り当てる動的アドレス割当サーバを有するアドレス割当システムにおいて、
    前記動的アドレス割当サーバと複数の通信端末とのあいだに介在するアドレス割当中継システムを設け、
    前記アドレス割当中継システムは、前記複数の通信端末のため、各通信端末が実際に割当要求を送信する前に、前記動的アドレス割当サーバに対し、要求元アドレスとして仮の要求元アドレスを含む、複数のアドレスを連続的に有するアドレスブロックを確保するための連続割当要求を送出し、
    前記動的アドレス割当サーバは、
    前記アドレス割当中継システムからの前記連続割当要求を受けると、自身が保管しているアドレスのうち未割当のアドレスのなかから連続した所定数のアドレスを確保すると共に、確保した所定数のアドレスに前記仮の要求元アドレスを対応付けることで予約済みであることを管理し、
    前記アドレス割当中継システムによる中継対象である前記通信端末が割当要求を送信してきたときには、確保された所定数のアドレスのうち、前記仮の要求元アドレスに対応付けられている一つのアドレスを割り当て、その割当アドレスに対し、前記仮の要求元アドレスに代え、今回の要求元の前記通信端末に係る要求元アドレスを対応付ける
    ことを特徴とするアドレス割当システム。
  2. 請求項1のアドレス割当システムにおいて、
    前記連続割当要求には、アドレス割当を要求する所定数の情報が盛り込まれていることを特徴とするアドレス割当システム。
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