JP3915702B2 - タイヤ空気圧モニター装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各タイヤに個別のタイヤ識別符号(ID:identification)の自動登録を行うタイヤ空気圧モニター装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来のタイヤ空気圧モニター装置の自動ID登録ロジックでは、車速によって停止または走行を判断し、停止したらID登録モードを出て、再度、車速が上がったらID登録モードに入る、という構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−71726号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のタイヤ空気圧モニター装置にあっては、自動ID登録ロジックが、停止したらID登録モードを出て、再度、車速が上がったらID登録モードに入る、という構成であるため、車両停止してもタイヤを交換していない場合、本来しなくてよいID登録を行うことで、無駄に登録してしまい、かつ、その間のタイヤ空気圧のセンシングが正確に行えないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、タイヤ交換がされた可能性が高いことを認識することによって、無駄なタイヤ識別符号登録を無くし、正確なタイヤ空気圧センシング時間を確保することができるタイヤ空気圧モニター装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、
車両に装備された複数のタイヤのそれぞれに取り付けられ、各タイヤ空気圧を検出するタイヤ空気圧検出手段と、
少なくとも検出したタイヤ空気圧を各タイヤ個別のタイヤ識別符号と共に無線信号にて送信する送信手段と、
車両側に取り付けられ、前記送信手段からの無線信号を受信する受信手段と、
走行タイヤとして車両の車軸部に装着されている装着タイヤのタイヤ識別符号をメモリへの記憶更新により登録するタイヤ識別符号登録手段と、
を備えたタイヤ空気圧モニター装置において、
車両のジャッキアップを判断するジャッキアップ判断手段を設け、
前記タイヤ識別符号登録手段は、ジャッキアップ判断時に装着タイヤのタイヤ識別符号をメモリへの記憶更新により登録することを特徴とする。
【0006】
ここで、「ジャッキアップ判断手段」とは、各タイヤのローテーションやスペアタイヤ履き替え時に行われるジャッキアップ操作を判断する手段をいい、例えば、車速ゼロである車両停止状態がタイヤ交換に必要な時間経過し、かつ、車高が車両停止時からタイヤ交換に必要な時間を経過するまでに設定車高以上変化した場合、ジャッキアップを伴うタイヤ交換時であると判断する。
【0007】
「装着タイヤ識別符号登録手段」は、ジャッキアップ判断手段によりジャッキアップを伴うタイヤ交換時であると判断され、その後、車速が設定車速以上になった場合にタイヤ識別符号の登録モードに入るようにしても良い。
【0008】
【発明の効果】
本発明のタイヤ空気圧モニター装置にあっては、タイヤ識別符号登録手段において、ジャッキアップ判断時に装着タイヤのタイヤ識別符号をメモリへの記憶更新により登録するようにしたため、ジャッキアップ判断によりタイヤ交換がされた可能性が高いことを認識することによって、無駄なタイヤ識別符号登録を無くし、正確なタイヤ空気圧センシング時間を確保することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明におけるタイヤ空気圧モニター装置を実現する実施の形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0010】
(第1実施例)
まず、構成を説明する。
図1は第1実施例のタイヤ空気圧モニター装置が適用された車両を示す全体図であり、図1において、1は右前輪タイヤ、2は左前輪タイヤ、3は右後輪タイヤ、4は左後輪タイヤ、5はスペアタイヤ、6は右前輪速センサ、7は左前輪速センサ、8は右後輪速センサ、9は左後輪速センサ、10はタイヤ空気圧センサ、11はABSコントローラ(車速検出手段)、12は車高センサ(車高検出手段)、13はタイヤ空気圧警報コントローラ、14は空気圧低下ワーニングランプである。
【0011】
前記右前輪速センサ6、左前輪速センサ7、右後輪速センサ8、左後輪速センサ9は、前後輪1,2,3,4の各車輪速を検出し、車輪速センサ信号をABSコントローラ11に入力する。
【0012】
前記タイヤ空気圧センサ10は、前後輪タイヤ1,2,3,4とスペアタイヤ5のロードホイールにそれぞれ取り付けられ、各タイヤ個別のタイヤ空気圧を検出すると共に、各タイヤ個別のID(タイヤ識別符号)と、検出したタイヤ空気圧と、遠心力スイッチ信号と、を無線信号にてタイヤ空気圧警報コントローラ13に送信する。
【0013】
前記ABSコントローラ11は、各車輪速センサ6,7,8,9からの車輪速センサ信号を入力し、車速情報(車体速、車体加減速度、各車輪速)をタイヤ空気圧警報コントローラ13に出力する。
【0014】
前記車高センサ12は、各輪のサスペンション位置での車高を検出し、車高情報をタイヤ空気圧警報コントローラ13に出力する。なお、車両に車高自動制御装置やランプレベライザー等が搭載されている場合は、これらの制御yシステムで使用されている車高センサを用いる。
【0015】
前記タイヤ空気圧警報コントローラ13は、各タイヤ個別のID登録を行うと共に、ID登録により特定される前後輪タイヤ1,2,3,4のうち少なくとも1つのタイヤ空気圧が低下していると判断した場合、空気圧低下ワーニングランプ14に対し、ランプ点灯指令を出力する。
【0016】
図2は第1実施例のタイヤ空気圧モニター装置のタイヤ空気圧センサ10及びタイヤ空気圧警報コントローラ13を示す詳細図である。
【0017】
前記タイヤ空気圧センサ10は、タイヤ空気圧を検出する圧力センサ10a(タイヤ空気圧検出手段)と、作用する遠心力が小さい領域では開(OFF)となり遠心力が大きい領域では閉(ON)となる遠心力スイッチ10bと、特定用途向け集積回路であるASIC10cと、発信子10d及び送信アンテナ10e(送信手段)とを有して構成される。そして、電池寿命を確保するために設置された遠心力スイッチ10bの開閉をトリガにして、停止を含む車速が低い領域では長い送信間隔(1時間)、それより車速が高い領域では、短い送信間隔(1分)というように送信周期を2段階に変え、圧力センサ10aからの変調した圧力値情報と、各タイヤ個別のID情報と、遠心力スイッチ信号と、を電磁波を用いて送信する。
【0018】
前記タイヤ空気圧警報コントローラ13は、5V電源回路13aと、前記タイヤ空気圧センサ10の送信アンテナ10eからの送信データを受信する受信アンテナ13b及び受信回路13c(受信手段)と、ABSコントローラ11からの車速情報を入力する車速情報入力回路13dと、車高センサ12からの車高情報を入力する車高情報入力回路13eと、受信回路13cからの受信データ、並びに、両入力回路13d,13eからの入力情報を入力し、所定の制御則に従って演算処理をするマイクロコンピュータ13fと、ID登録を行う電気的に記憶情報を消去可能な読み出し専用メモリであるEEPROM13g(メモリ)と、受信データのうち装着タイヤの圧力値を判断して圧力低下時にタイヤ空気圧警報指令を空気圧低下ワーニングランプ14に出力するワーニングランプ出力回路13hと、を有して構成される。
【0019】
次に、作用を説明する。
【0020】
[装着タイヤのID登録演算処理]
図3はタイヤ空気圧警報コントローラ12にて実行される装着タイヤのID登録演算処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(タイヤ識別符号登録手段)。
【0021】
ステップS1では、車速0km/hが所定時間(タイヤ交換に必要な時間、例えば、15分)経過しているか否かが判断され、YESの場合はステップS2へ移行し、NOの場合はステップS3へ移行する。
【0022】
ステップS2では、車速0km/hが検出された時点での車高値と、車速0km/hがタイヤ交換に必要な時間を経過した時点での車高値と、の比較を行い、両者の車高値の差が所定値(予め設定したジャックアップ判断しきい値、例えば、70mm)以上変化したか否かが判断され、YESの場合はステップS4へ移行し、NOの場合はステップS3へ移行する。
【0023】
ステップS3では、ステップS1にて車速0km/hが所定時間経過していないと判断された場合、或いは、ステップS2にて車高が所定値以上変化していないと判断された場合、車速が40km/h以上になってもID登録モードには入らず、エンドへ移行する。
【0024】
ステップS4では、ステップS1にて車速0km/hが所定時間経過したと判断され、かつ、ステップS2にて車高が所定値以上変化したと判断された場合、タイヤ交換したと判断し、ステップS5へ移行する。
【0025】
ステップS5では、ステップS4によりタイヤを交換したと判断した後、車速が40km/h以上になった場合にID登録モードに入る。このID登録モードでは、各装着タイヤ個別のID情報を受信し、EEPROM13gに記憶されているIDを書き換える。
【0026】
なお、ステップS1→ステップS2→ステップS4の流れは、請求項2のジャッキアップ判断手段に相当する。
【0027】
[装着タイヤのID登録作用]
ステップS1の車両停止条件と、ステップS2の車高変化条件とが成立する場合には、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS4→ステップS5へと進む流れとなり、ステップS5において、タイヤを交換したと判断した後、車速が40km/h以上になった場合にID登録モードに入る。
【0028】
一方、ステップS1の車両停止条件とステップS2の車高変化条件のうち、少なくとも一方の条件が成立しない場合には、図3のフローチャートにおいて、ステップS1(→ステップS2)→ステップS3へと進む流れとなり、ステップS3において、車速が40km/h以上になってもID登録モードには入らない。
【0029】
すなわち、タイヤ交換は、車両が停止している時にしかできないので、まず、車両が停止しているか否かを車速情報に基づいて判別する。また、タイヤを交換するには、所定時間停車していることが必要であり、市販車の場合、最低でも15分は必要なので、15分以上停止した場合を対象とする。
【0030】
タイヤを交換する場合には、車両をジャッキアップする必要があり、ジャッキアップすると車高は上がる。なお、タイヤ交換時にリフトを使う場合があるが、その場合でもタイヤがリバウンド方向に動くため、見かけ上、車高は上がることになる。
【0031】
ジャッキアップされたかどうかは、車高が停車中にある程度(例えば、70mm以上)高くなったことで判断する。車高の判断には、車高自動制御装置やランプレベライザーで使用されている車高センサ12を使用する。
【0032】
ジャッキアップされたと判断された場合は、タイヤ交換が行われる可能性が高いものであると判断し、その後、車速が40km/h以上になった場合に、自動ID登録モードに入り、自動的にIDを登録する。ここで、車速が40km/h以上になった場合に自動ID登録モードに入るのは、タイヤ空気圧センサ10において、停止を含む車速が低い領域では長い送信間隔(1時間)であり、それより車速が高い領域(40km/h以上の車速域)では、短い送信間隔(1分)というように送信周期を変えていることに基づく。
【0033】
停車中にジャッキアップされなかった場合、タイヤ交換はされなかったと判断し、ID登録は行わない。
【0034】
次に、効果を説明する。
【0035】
(1) 車両に装備された複数のタイヤ1,2,3,4のそれぞれに取り付けられ、各タイヤ空気圧を検出する圧力センサ10aと、少なくとも検出したタイヤ空気圧を各タイヤ個別のIDと共に無線信号にて送信する発信子10d及び送信アンテナ10eと、車両側に取り付けられ、前記送信アンテナ10eからの無線信号を受信する受信アンテナ13b及び受信回路13cと、走行タイヤとして車両の車軸部に装着されている装着タイヤ1,2,3,4のIDをEEPROM13gへの記憶更新により登録するID登録手段と、を備えたタイヤ空気圧モニター装置において、車両のジャッキアップを判断するジャッキアップ判断ステップS4を設け、前記ID登録手段は、ジャッキアップ判断時に装着タイヤ1,2,3,4のIDをEEPROM13gへの記憶更新により登録するID登録ステップS5を有する構成としたため、ジャッキアップ判断によりタイヤ交換がされた可能性が高いことを認識することによって、無駄なID登録を無くし、正確なタイヤ空気圧センシング時間を確保することができる。
【0036】
(2) 車速を検出するABSコントローラ11と、各タイヤ1,2,3,4が設けられた部分の車高を検出する車高センサ12と、を設け、前記ジャッキアップ判断ステップS4は、ステップS1にて車速ゼロである車両停止状態がタイヤ交換に必要な時間経過し、かつ、ステップS2にて車高が車両停止時からタイヤ交換に必要な時間を経過するまでに設定車高以上変化した場合、ジャッキアップを伴うタイヤ交換時であると判断するようにしたため、車両停止条件と車高変化条件により、ジャッキアップを伴うタイヤ交換時であることを精度良く判断することができる。
【0037】
(3) ID登録ステップSは、ジャッキアップ判断ステップS4によりジャッキアップを伴うタイヤ交換時であると判断され、その後、車速が設定車速以上になった場合にID登録モードに入るようにしたため、短い送信周期により短時間のうちにID登録を完了することができ、ID登録時間の間の正確さを欠くタイヤ空気圧のセンシング時間をより短い時間にすることができる。
【0038】
以上、本発明のタイヤ空気圧モニター装置を第1実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この第1実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に記載された本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0039】
例えば、第1実施例では、車速情報をABSコントローラ11から得る例を示したが、車速センサから車速情報を得るようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のタイヤ空気圧モニター装置が適用された車両を示す全体図である。
【図2】第1実施例のタイヤ空気圧モニター装置のタイヤ空気圧センサ及びタイヤ空気圧警報コントローラを示す詳細図である。
【図3】第1実施例のタイヤ空気圧モニター装置のタイヤ空気圧警報コントローラにて実行される装着タイヤのID登録演算処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 右前輪タイヤ
2 左前輪タイヤ
3 右後輪タイヤ
4 左後輪タイヤ
5 スペアタイヤ
6 右前輪速センサ
7 左前輪速センサ
8 右後輪速センサ
9 左後輪速センサ
10 タイヤ空気圧センサ
10a 圧力センサ(タイヤ空気圧検出手段)
10b 遠心力スイッチ
10d 発信子(送信手段)
10e 送信アンテナ(送信手段)
11 ABSコントローラ(車速検出手段)
12 車高センサ(車高検出手段)
13 タイヤ空気圧警報コントローラ
13b 受信アンテナ(受信手段)
13c 受信回路(受信手段)
13g EEPROM(メモリ)
14 空気圧低下ワーニングランプ
Claims (3)
- 車両に装備された複数のタイヤのそれぞれに取り付けられ、各タイヤ空気圧を検出するタイヤ空気圧検出手段と、
少なくとも検出したタイヤ空気圧を各タイヤ個別のタイヤ識別符号と共に無線信号にて送信する送信手段と、
車両側に取り付けられ、前記送信手段からの無線信号を受信する受信手段と、
走行タイヤとして車両の車軸部に装着されている装着タイヤのタイヤ識別符号をメモリへの記憶更新により登録するタイヤ識別符号登録手段と、
を備えたタイヤ空気圧モニター装置において、
車両のジャッキアップを判断するジャッキアップ判断手段を設け、
前記タイヤ識別符号登録手段は、ジャッキアップ判断時に装着タイヤのタイヤ識別符号をメモリへの記憶更新により登録することを特徴とするタイヤ空気圧モニター装置。 - 請求項1に記載されたタイヤ空気圧モニター装置において、
車速を検出する車速検出手段と、
各タイヤが設けられた部分の車高を検出する車高検出手段と、を設け、
前記ジャッキアップ判断手段は、車速ゼロである車両停止状態がタイヤ交換に必要な時間経過し、かつ、車高が車両停止時からタイヤ交換に必要な時間を経過するまでに設定車高以上変化した場合、ジャッキアップを伴うタイヤ交換時であると判断することを特徴とするタイヤ空気圧モニター装置。 - 請求項2に記載のタイヤ空気圧モニター装置において、
前記装着タイヤ識別符号登録手段は、ジャッキアップ判断手段によりジャッキアップを伴うタイヤ交換時であると判断され、その後、車速が設定車速以上になった場合にタイヤ識別符号の登録モードに入ることを特徴とするタイヤ空気圧モニター装置。
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