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JP3915246B2 - El表示装置 - Google Patents

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JP3915246B2
JP3915246B2 JP14623698A JP14623698A JP3915246B2 JP 3915246 B2 JP3915246 B2 JP 3915246B2 JP 14623698 A JP14623698 A JP 14623698A JP 14623698 A JP14623698 A JP 14623698A JP 3915246 B2 JP3915246 B2 JP 3915246B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置に関し、特に、多色発光を可能にしたEL表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
多色発光を行うEL表示装置として、特開昭58−30093号公報に記載されたものがある。このEL表示装置においては、緑色発光を示すZnS:TbF3 で構成された第1発光層と、赤色発光を示すZnS:SmF3 で構成された第2発光層とをそれぞれ絶縁層及び中間電極を挟んで積層し、第1発光層のみに電圧を印加すると緑色発光、第2発光層のみに電圧を印加すると赤色発光、両者に電圧を印加すると混合色のレモン色発光が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような多色表示を行うEL表示装置としては、自動車用のメータなどに用いることができ、例えば昼間と夜間とで発光色を変化させるといったことが可能になる。
この場合、昼間表示等においては輝度優先の表示色が好まれる。一方、夜間表示等においては赤色にて表示を行うと、赤色は警告色であるため乗員に違和感を感じさせることになるので、夜間等は人間の視覚に優しい表示色が優先される。
【0004】
上記した公報に記載されたEL表示装置においては、第1、第2発光層に対する電圧の印加を選択することで昼間表示等においては輝度の高い赤色表示又はレモン色表示が得られ、又、夜間表示等には緑色表示が得られ、上記の要求を満足することができる。
しかしながら、上記した公報に記載されたEL表示装置においては、発光色の切換のため、第1発光層と第2発光層とを中間電極を介して積層する必要がある。このような中間電極の採用は構造を複雑化するという問題がある。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みたもので、一対の電極間における第1発光層と第2発光層との積層関係を工夫し、一対の電極間の駆動電圧を変化させることにより、多色発光を行うことを目的とするものである
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明においては、発光層を、第1発光層(4)と該発光層(4)の発光色とは異なる発光色を発光する第2発光層(5)とで構成し、第1電極(2)と第2電極(7)とで挟まれた1つの発光領域において、第1発光層(4)のみからなる単層部(10)と、第2発光層(5)と第1発光層(4)とが積層された積層部(20)とを備え、第1電極(2)、第2電極(7)間に印加する電圧が第1電圧になったとき単層部(10)の発光を開始させ、該第1電圧より高い第2電圧になったとき積層部(20)の発光を開始させるようにしたことを特徴としている。
【0007】
従って、単層部(10)の発光により表示を行い、単層部(10)と積層部(20)の発光により表示を行うことができる。このように、第1電極(2)と、第2電極(7)との間の1つの発光領域において、単層部(10)と積層部(20)とを有し、該第1電極(2)と第2電極(7)との間の駆動電圧を変化させるだけで多色発光を行うことができ、従来のような中間電極の採用を必要としないので、構造が簡単なものとなる。
【0008】
、請求項記載の発明では、第1電極(2)と第2電極(7)とマトリクス状に交差させ、該交差部にて1つの画素を構成するようにしたマトリクス型EL表示装置において、該画素の高密度化を達成することができる。つまり、例えば異なる色を発光する発光層を並列に配置した場合を想定すると、上記画素内にこれら発光層に対応した電極が必要となる。このことは電極の形成が非常に面倒であり、画素を大きくする必要が生じ、画素の高密度化が困難となる。これに対して、請求項1に記載の発明では、第1発光層(4)(単層部(10))の一部に第2発光層(5)を積層(積層部(20))する態様とし、これら単層部(10)及び積層部(20)に対して共通の第1電極(2)、第2電極(7)の間に該単層部(10)及び積層部(20)を配置した態様であるため、一画素においては単層部(10)及び積層部(20)の個々に対応した電極を必要としない。このことから、請求項1に記載の発明においては、画素の高密度化を達成することができる。
【0010】
請求項に記載の発明においては、第1発光層(4)をTbを含むZnSで構成し、第2発光層(5)をMnを含むZnSで構成しているから、単層部(10)の発光色を緑色にすることができる。この場合、請求項に記載の発明のように、積層部(20)の面積を発光領域の面積の30%以上80%以下にすれば、色純度の変化がy座標値で0.15以上となり、色の変化を明確に認識させることができる。
【0011】
請求項に記載の発明においては、発光領域において、単層部(10)と積層部(20)の外形を相似形状にしているから、単層部(10)の発光時と、単層部(10)と積層部(20)の発光時の表示の違和感をなくすことができる。請求項に記載の発明においては、第2電極(7)のうち積層部(20)の上方に位置する部分に色フィルタ(8)を形成しているから、所望の表示色を得ることができる。この場合、請求項に記載の発明のように、第1発光層(4)をTbを含むZnS、第2発光層(5)をMnを含むZnSとし、また色フィルタとして赤色フィルタ(8)を用いれば、積層部(20)から赤色フィルタ(8)を介して発光色が赤色になるため、単層部(10)と積層部(20)による発光色は緑色と赤色の混色すなわち黄色になる。従って、この場合には、単層部(10)のみを発光させたときの緑色と、単層部(10)と積層部(20)を発光させたときの黄色とにより多色表示を行うことができる。
【0012】
請求項に記載の発明においては、1電極(2)と第2電極(7)とで挟まれた1つの発光領域において発光層(4)の膜厚を部分的に異ならせ、第2電極(7)のうち発光層(4)の膜厚が厚い部分(4a)の上方に位置する部分に色フィルタ(8)を形成することにより第2電極(7)のに部分的に色フィルタ(8)を形成したことを特徴としている
【0013】
この請求項に記載の発明によれば、色フィルタ(8)が形成されている部分の発光色と色フィルタ(8)が形成されていない部分の発光色とを異ならせて多色発光を行うことができ、しかも膜厚が厚い部分(4a)での発光輝度を高めることができるため、色フィルタによる光の減衰を補うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的な実施形態に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るEL表示装置の縦断面を示した模式図、図2はその平面図である。なお、図2中のA−A’断面が図1に相当する。
【0015】
EL表示装置は、絶縁性基板であるガラス基板1上に順次、以下の薄膜が積層形成されている。
まず、ガラス基板1上には、ITOからなる厚さ200nmの第1電極2が形成されている。この第1電極2は、図2に示すように、x軸方向に伸びたストライプがy軸方向に沿って多数本設けられたものである。
【0016】
第1電極2が形成されたガラス基板1上には、第1絶縁層3が一様に形成されている。この第1絶縁層3は、光学的に透明なSiOx y (酸窒化珪素)からなる厚さ50〜100nmの第1絶縁下層31と、Ta2 3 (酸化タンタル)とAl2 3 (酸化アルミニウム)の複合膜(Ta2 5 :Al2 3 )からなる厚さ200〜300nmの第1絶縁上層32との2層で形成されている。
【0017】
第1絶縁上層32の上には、第1発光層4、第2発光層5が形成されている。第2発光層5は、図2に示すように、y軸方向に伸びたストライプがx軸方向に沿って所定間隔毎に多数本設けられたものである。また、第2発光層5の幅は、第2電極7の幅の半分の幅としている。
第1発光層4は、TbOF(酸化フッ化テルビウム)が添加されたZnS(硫化亜鉛)で、厚さ600nmで形成されている。第2発光層5は、Mn(マンガン)が添加されたZnSで、厚さ400nmでパターニング形成されている。
【0018】
第1発光層4と第2発光層5の上には、第2絶縁層6が一様に形成されている。第2絶縁層6は、光学的に透明なSi3 4 (窒化珪素)からなる厚さ100nmの第2絶縁下層61と、Ta2 5 :Al2 3 の複合膜からなる厚さ200nmの第2絶縁中層62と、SiOx y からなる厚さ100nmの第2絶縁上層63との3層で形成されている。
【0019】
そして、第2絶縁上層63の上には、光学的に透明なZnO(酸化亜鉛)とGa2 3 (酸化ガリウム)からなる厚さ450nmの第2電極7が形成されている。第2電極7は、図2に示すように、y軸方向に伸びたストライプがx軸方向に沿って多数本設けられたものである。
上記した構成において、発光層は、第1発光層4のみからなる単層部と、第1発光層4と第2発光層5が積層された積層部にて構成されている。この場合、図2に示すように、第1電極2と第2電極7で挟まれた各発光領域(図2中でハッチングを付した領域)において、第1発光層4のみからなる単層部10と、第1発光層4と第2発光層5の積層部20は、平行に並んで配置されている。
【0020】
ここで、単層部10と積層部20とではその膜厚の違いから、それぞれの発光開始電圧に差が生じる。これについて、式にて説明すると、以下のような関係に基づくものである。
Ea1:第1発光層4のクランプ電界強度
ta1:第1発光層4の膜厚
εa1:第1発光層4の比誘電率
Ea2:第2発光層5のクランプ電界強度
ta2:第2発光層5の膜厚
εa2:第2発光層5の比誘電率
ti :絶縁層の膜厚
εi :絶縁層の比誘電率
とすると、単層部10の発光開始電圧VthSは、
【0021】
【数1】
VthS=Ea1×{ta1+ti(εa1/εi)}
で示される。従って、単層部10の発光開始電圧はその単層部10である第1発光層4の膜厚に依存して高くなる。
一方、積層部(第1発光層4+第2発光層5)20の発光開始電圧VthDは、
【0022】
【数2】
VthD=(Ea1×ta1)+[{Ea2×{ta2+ti( εa2/εi) }]
で示される。
上記数式1、数式2から単層部10と積層部20との発光開始電圧の差は、数式3で示される。
【0023】
【数3】
VthD−VthS=Ea2×ta2+( εa2×Ea2−εa1×Ea1) ×( ti/εi)
数式3から、Ea2×εa2≧Ea1×εa1の関係を満足する第1発光層4と第2発光層5とを組み合わせれば、数式4となり、積層部20の発光開始電圧(VthD)の方が必ず高くなる。そして、その値は第2発光層5の膜厚に存在して高くなる。
【0024】
【数4】
VthD−VthS=Ea2×ta2+( εa2×Ea2−εa1×Ea1) ×( ti/εi) >0
又、Ea2×εa2<Ea1×εa1の関係を満足する第1発光層4と第2発光層5とを組み合わせた場合は、数式5の関係を満たす必要がある。即ち、第2発光層5の膜厚ta2がこの条件を満たしたときに、積層部20のVthDが高くなる。
【0025】
【数5】
Ea2×ta2>(εa1×Ea1−εa2×Ea2)×(ti/εi)
ta2>(εa1×Ea1−εa2×Ea2)×(ti/εi/Ea2)
なお、上記数式1〜3のti/εiにおいて、絶縁層が同一材料であれば、誘電率も同一であるため、絶縁層の合計膜厚ti/εiで表される。一方、絶縁層が異なる材料で形成されている場合、上記数式1〜3のti/εiは、数式6で表される。
【0026】
【数6】
ti/εi=ti1/εi1+ti2/εi2+ti3/εi3+ti4/εi4+ti5/εi5・・・tin/εin
ところで、前述した第1実施形態における第1発光層4(ZnS:Tb)のクランプ電界強度Ea1、膜厚ta1、誘電率εa1、第2発光層5(ZnS:Mn)のクランプ電界強度Ea2、膜厚ta2、誘電率εa2、絶縁層の膜厚ti、絶縁層の比誘電率εiは次のとおりである。
【0027】
第1発光層4のクランプ電界強度Ea1:約1.8MV/cm
第1発光層4の膜厚ta1 :600nm
第1発光層4の誘電率εa1 :約9.0
第2発光層5のクランプ電界強度Ea2:約1.7MV/cm
第2発光層5の膜厚ta2 :400nm
第2発光層5の誘電率εa2 :約10.0
第1絶縁下層31の膜厚ti1 :100nm
第1絶縁上層32の膜厚ti2 :300nm
第1絶縁下層31の誘電率εi1 :約7.6
第1絶縁上層32の誘電率εi2 :約27
第2絶縁下層61の膜厚ti3 :100nm
第2絶縁中間層62の膜厚ti4 :200nm
第2絶縁上層63の膜厚ti5 :100nm
第2絶縁下層61の誘電率εi3 :約8.0
第2絶縁中間層62の誘電率εi4 :約27
第2絶縁上層63の誘電率εi5 :約7.6
従って、ti/εiは100/7.6+300/27+100/8.0+200/27+100/7.6≒57.3となる。
【0028】
これらの数値に基づいて、単層部10と積層部20との発光開始電圧を求めると、次のようになる。
前記数式1より、
Figure 0003915246
前記数式2より、
Figure 0003915246
これらの値を検算すれば、以下のようである。
【0029】
前記数式3より、
Figure 0003915246
上述したように、単層部10の発光開始電圧は200.8[V]となり、積層部20の発光開始電圧は273.4[V]となる。単層部10と積層部20との駆動電圧に対する発光輝度との関係を示したのが図3である。この図3に示すように、単層部10の発光開始電圧は図中のa点で示す電圧(第1電圧)になり、積層部20の発光開始電圧は、単層部10の発光開始電圧より高い図中のb点の電圧(第2電圧)になる。
【0030】
そして、第1電極2、第2電極7間に印加する駆動電圧が単層部10の発光開始電圧を超えた電圧(図3のc点の電圧)になると、EL表示装置は、単層部(第1発光層4)10の発光色である所定輝度の緑色に発光し、駆動電圧が積層部20の発光開始電圧を超えた電圧(図3のd点の電圧)になると、EL表示装置は、単層部10の緑色と積層部20の黄色(第1発光層4と第2発光層5との積層部分では緑色とオレンヂ色との混色の黄色が発光する)との混色である所定輝度のレモン色に発光する。なお、図3中のc点の電圧では、単層部10のみの発光であるため、発光ドットの中しか発光していない。すなわち、ドット全体から見ると低輝度発光となる。また、図3中のd点の電圧では、単層部10と積層部20の両方が発光しているため、ドット全体から見ると高輝度発光となる。
【0031】
そして、夜間時には、単層部10のみの発光色とすれば視覚的に優しい緑色の表示が得られる。また、昼間のように直射日光等の影響があるときには、単層部10と積層部20との混色である輝度の高いレモン色の表示が得られる。
図4に、EL表示装置の駆動電圧と色純度(y座標)の関係を示す。この図から分かるように、駆動電圧を上げていくと、緑色を示す色純度(約0.61)から黄色を示す色純度(約0.47)に向けて順次変化する。従って、駆動電圧を変化させるだけで、2種類以上の発光色に変化させることができる。
【0032】
なお、発光色は、第2発光層5の面積を変えることによって変化させることができる。例えば、第2発光層5のパターニング幅を小さくすると、緑色の発光が強くなるため、発光色は緑色から黄緑色へと小さな変化になり、第2発光層5のパターニング幅を大きくすると、発光色は緑色からレモン色へと大きな変化になる。図5に、積層部20の面積を変化させたときの色純度(y座標)の変化を示す。なお、EL表示装置の駆動電圧は、通常の駆動電圧(発光開始電圧+40V)としている。
【0033】
この図5に示すように、積層部20の面積を1画素(第1電極2と第2電極7で挟まれた1つの発光領域)の面積の半分にしたとき、色純度の変化は最大となり、積層部20の面積を1画素の面積の30%以上80%以下にしたとき、色純度の変化がy座標値で0.15以上となり、色の変化が明らかに認識できる。
また、第2発光層5の膜厚を変化させることによっても発光色を変えることができる。例えば、第2発光層5の膜厚を薄くすると、単層部10と積層部20の発光開始電圧の差は少なくなるため、発光色の変化は大きくなる。逆に、第2発光層5の膜厚を厚くすると、単層部10と積層部20の発光開始電圧の差が大きくなるため発光色の変化は小さくなる。
【0034】
次に、上記したEL表示装置の製造方法について説明する。
ガラス基板1上にITOを一様にDCスパッタリングした後、ストライプ形状にエッチングして反射膜の第1電極2を形成する。
次に、SiOx y からなる第1絶縁下層31、6wt%のAl2 3 を含むTa2 5 からなる第1絶縁上層32をスパッタにより形成する。具体的には、ガラス基板1の温度を300℃に保持し、スパッタ装置内にアルゴン(Ar)と窒素(N2 )と少量の酸素(O2 )の混合ガスを導入し、ガス圧を0.5Paに保持し、3KWの高周波電力でシリコンをターゲットとしてSiOx y 膜を成膜し、次いで、Ta2 5 :Al2 3 複合膜をArとO2 をスパッタガスとしてガス圧0.6Pa に保持し、Ta2 5 に6wt%のAl2 3 を含ませた混合焼結ターゲットを用いて4KWの高周波電力の条件で成膜する。
【0035】
次に、第1絶縁上層32上に、ZnSを母体材料とし、発光中心としてTbOFを添加したZnS:TbOFからなる層を一様に形成する。具体的には、ガラス基板1の温度を250℃に保持し、Ar及びヘリウム(He)をスパッタガスとして、ガス圧3.0Pa、2.2KWの高周波電力の条件でスパッタ成膜する。
【0036】
次に、第1発光層4上に、ZnSを母体材料とし、発光中心としてMnを添加したZnS:Mnからなる第2発光層5を一様に形成する。具体的には、ガラス基板1の温度を一定に保持し、蒸着装置内を5×10-4Pa以下に維持し、堆積速度0.1〜0.3nm/secの条件で電子ビーム蒸着を行う。次に、この層をドライエッチングして第2発光層5を得る。具体的には、ガラス基板1の温度を70℃に保持しRIE装置内にArとCH4(メタン)の混合ガスを導入し、圧力を7Paに保持し、1KWの高周波電力でドライエッチングを行う。
【0037】
このエッチングを行った後、真空中400〜600℃で発光層4、5の熱処理を行う。
次に、発光層4の上に、Si3 4 からなる第2絶縁下層61、6wt%のAl2 3 を含むTa2 5 からなる第2絶縁中層62、SiOx y からなる第2絶縁上層63を、それぞれ、第1絶縁層3の形成と同様に形成する。但し、Si3 4 膜はSiOx y 膜と異なりスパッタガスとしてO2 を導入せず成膜する。
【0038】
次に、第2絶縁上層63上にZnO:Ga2 3 からなる層を一様に形成する。蒸着材料として、ZnO粉末にGa2 3 を加えて混合し、ペレット状に形成したものを用い、成膜装置としてはイオンプレーティング装置を用いる。具体的には、ガラス基板1の温度を一定に保持したままイオンプレーティング装置内を真空に排気した後、Arガスを導入して圧力を一定に保ち、成膜速度が6〜18nm/minの範囲となるようなビーム電力及び高周波電力を調整し成膜する。次に、この膜をエッチングして第2電極7を得る。
【0039】
このようにして図1に示すEL表示装置を得ることができる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、図2に示すように、1画素内において単層部10と積層部20を平行に並べるものを示したが、図6に示すように、単層部10と積層部20の外形を相似形状(正方形)にしてもよい。この場合、1画素当たりの表示において、単層部10の発光時と積層部20の発光時のいずれにおいても正方形の画素表示となるため、表示の違和感をなくすことができる。
(第3実施形態)
この第3実施形態においては、図7に示すように、第1実施形態、第2実施形態における積層部20の第2電極7の上方に赤色フィルタ8を形成している。積層部20はレモン色に発光するが赤色フィルタ8を形成することで、積層部20での発光色は赤色になる。また、単層部10の発光色は緑色であるため、高輝度発光時には赤色と緑色の混合すなわち黄色の発光となる。
【0040】
なお、この実施形態において、赤色フィルタ8に変えて、緑色フィルタ、青色フィルタを用いてもよい。また、積層部20の上方に色フィルタを設けるものに限らず、単層部10の上方に色フィルタを設けるようにしてもよい。例えば、単層部10の第2電極7の上方に青色フィルタを形成すれば、低輝度発光時に青色で発光させ、高輝度発光時に青色と黄色の混色すなわち白色で発光させることができる。
(第4実施形態)
この第4実施形態においては、図8に示すように、発光層を第1発光層4のみとし、第1電極2と第2電極7とで挟まれた発光領域の第2電極7の上方に部分的に赤色フィルタ8が形成されている。この場合、赤色フィルタ8を形成した部分は赤色に発光し、赤色フィルタ8を形成していない部分は緑色に発光する。従って、低輝度発光時には緑色に発光し、高輝度発光時には、緑色と赤色の混色、黄色の発光となる。
【0041】
なお、赤色フィルタ8以外に他の色フィルタを用いてもよい。例えば、青色フィルタを用いた場合は、低輝度発光時に緑色、高輝度発光時に青緑色に発光させることができる。
(第5実施形態)
この実施形態においては、図9に示すように、第4実施形態における第1発光層4の膜厚を、第1電極と第2電極で挟まれた1つの発光領域内で部分的に薄くしている。そして、第1発光層4のうち膜厚が厚い部分4aの第2電極7の上方に赤色フィルタ8が形成されている。
【0042】
この場合、第1発光層4のうち膜厚が厚い部分4aにおいては、薄い部分に比べて発光開始電圧が高くなるため、発光輝度が高くなり、赤色フィルタ8での光の減衰を補うことができる。
なお、この実施形態においても、第1発光層4のうち膜厚が厚い部分4aと薄い部分の外形を、第2実施形態と同様、相似形状にすれば、表示の違和感をなくすことができる。
【0043】
上述した種々の実施形態においては、第1発光層4をTbOFが添加されたZnSで構成し、第2発光層5をMnが添加されたZnSで構成するものを示したが、第1発光層4の母体材料であるZnSに含ませる添加剤としてはTbOF以外に、TbF3 、TbCl3 を用いてもよく、また第2発光層5の母体材料であるZnSに含ませる添加剤としてはMn以外に、MnF2 、MnCl2 を用いてもよい。
【0044】
また、第1実施形態から第3実施形態において、第1発光層4、第2発光層5を上述した発光材料以外で構成してもよい。例えば、第1発光層4をSrS:Ce発光層とすれば、単層部10で青緑発光させることができる。
同様に、第4実施形態、第5実施形態においても、第1発光層4を、視覚的に赤色成分を含まない発光色を発光する他の発光材料で構成してもよい。
【0045】
また、第3実施形態乃至第5実施形態において、ガラス基板1の電極形成側と反対側に黒色顔料を含む樹脂を接合するようにすれば、赤色フィルタ8が視認し難くなり、赤色フィルタ8による不自然さを減少させることができる。なお、上述した赤色フィルタ8は赤色染料又は顔料を有機溶媒内に分散させたレジストフィルタで構成することができる。
【0046】
また、本発明は、第1電極2、第2電極7をストライプ状に形成してドットマトリクス表示を行うものに限らず、第1電極2、第2電極7をパターン状に形成してパターン表示を行うものにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るEL表示装置の縦断面を示した模式図である。
【図2】図1に示すEL表示装置の平面図である。
【図3】図1に示すEL表示装置における単層部10と積層部20それぞれの輝度−電圧特性を示す図である。
【図4】図1に示すEL表示装置の駆動電圧と色純度(y座標)の関係を示す図である。
【図5】図1に示すEL表示装置において、積層部20の面積を変化させたときの色純度(y座標)の変化を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るEL表示装置の平面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係るEL表示装置の縦断面を示した模式図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係るEL表示装置の縦断面を示した模式図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係るEL表示装置の縦断面を示した模式図である。
【符号の説明】
1…ガラス基板、2… 第1電極、3…第1絶縁層、4…第1発光層、
5…第2発光層、6…第2絶縁層、7…第2電極、8…赤色フィルタ。

Claims (6)

  1. 対向配置された第1電極(2)、第2電極(7)間に、絶縁層(3、6)と発光層を備え
    前記発光層は、前記第1電極(2)と前記第2電極(7)とで挟まれた1つの発光領域において、所望の発光色を発光する発光材料で構成された第1発光層(4)のみからなる単層部(10)と、前記第1発光層(4)の発光色とは異なる発光色を発光する発光材料で構成された第2発光層(5)と前記第1発光層(4)とが積層された積層部(20)を有しており、
    前記第1電極(2)、第2電極(7)間に印加する電圧が第1電圧になったとき前記単層部(10)の発光を開始させ、前記第1電圧より高い第2電圧になったとき前記積層部(20)の発光を開始させるようにしたEL表示装置であって、
    前記第1電極(2)はストライプ状を有して互いに間隔を保持して複数平行に存在し、前記第2電極(7)はストライプ状を有して互いに間隔を保持して複数平行に存在し、前記第1電極(2)と前記第2電極(7)とはマトリクス状に互いに交差しており、この交差部が前記1つの発光領域を形成していることを特徴とするEL表示装置。
  2. 前記第1発光層(4)はTbを含むZnSで構成され、前記第2発光層(5)はMnを含むZnSで構成されていることを特徴とする請求項に記載のEL表示装置。
  3. 前記積層部(20)の面積は前記発光領域の面積の30%以上80%以下になっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のEL表示装置。
  4. 前記発光領域において、前記単層部(10)と前記積層部(20)は外形が相似形状になっていることを特徴とする請求項乃至のいずれか1つに記載のEL表示装置。
  5. 前記第2電極(7)のうち前記積層部(20)の上方に位置する部分に色フィルタ(8)が形成されていることを特徴とする請求項乃至のいずれか1つに記載のEL表示装置。
  6. 対向配置された第1電極(2)、第2電極(7)間に、絶縁層(3、6)と発光層(4)とを備え
    前記第1電極(2)と前記第2電極(7)とで挟まれた1つの発光領域において前記第2電極(7)のに部分的に色フィルタ(8)が形成されているEL表示装置であって、
    前記1つの発光領域において前記発光層(4)は膜厚が部分的に異なっており、前記色フィルタ(8)は、前記第2電極(7)のうち前記発光層(4)の膜厚が厚い部分(4a)の上方に位置する部分に形成されていることを特徴とするEL表示装置。
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