JP3915114B2 - 光記録媒体の反射膜形成用銀合金スパッタリングターゲット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、光記録ディスク(CD−RW,DVD−RAM)などの光記録媒体の反射膜を形成するための銀合金スパッタリングターゲットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、光記録ディスク(CD−RW,DVD−RAM)などの光記録媒体の反射膜としてAg反射膜が使用されており、このAg反射膜は400〜830nmの幅広い波長域での反射率が高く、特に他の金属の反射膜にくらべて、青色レーザー光などの短波長のレーザー光に対する反射率が優れているところから広く使用されている。
しかし、記録媒体が書き換え可能な相変化形タイプの場合は、反射膜は記録媒体の線速に応じて熱伝導率を容易に制御できることが必要であるが、Ag反射膜は熱伝導率が良すぎるという欠点がある。したがって反射率が高くかつ熱伝導率の低い反射膜が求められており、その反射率が高くかつ熱伝導率の低い反射膜の例としてAgにCu,Mg,Zn,Sn,Bi,In、Ti、Zr、Au、Pd、Ptのうちの1種以上を含むAg合金からなる反射膜が知られており(特開2001−35014号公報参照)、さらにAg−In,Ag−V,Ag−Nbなどの合金からなる反射膜が知られている(特開平6−243509号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これら従来のAg合金反射膜は、いずれも表面の耐候性が不十分であるところから、時間が経つにつれて反射率が低下し、特に波長の短い青色レーザー光に対する反射率の低下が著しく、短期間に光記録媒体の反射膜としての性能が低下するという問題点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、経時変化の少ないAg合金反射膜を得るべく研究を行なっていたところ、
(イ)In:0.5〜15質量%を含み、さらにCr,Co,Niの内の1種または2種以上を合計で0.01〜5質量%を含み、残部がAgである組成の銀合金からなるターゲットを用いてスパッタリングすることにより得られた銀合金反射膜は、経時変化による反射率の低下が極めて少なくなる、
(ロ)Agに含まれるSnはInと同じ作用を有するので、(イ)における銀合金に含まれるInの一部をSnで置換することもできる、
という研究結果が得られたのである。
【0005】
この発明は、かかる研究結果に基づいて成されたものであって、
(1)InまたはInおよびSnを合計で0.5〜15質量%を含み、さらにCr,Co,Niの内の1種または2種以上を合計で0.01〜5質量%を含み、残部がAgである組成の銀合金からなる光記録媒体の反射膜形成用銀合金スパッタリングターゲット、
(2)前記(1)記載のターゲットをスパッタリングして形成する光記録媒体の反射膜の製造方法。
【0006】
この発明の銀合金反射膜を形成するためのスパッタリングターゲットは、高純度Agを真空または不活性ガス雰囲気中で溶解し、得られた溶湯にInまたはInおよびSnを添加してAg合金溶湯を作製し、このAg合金溶湯に、予め作製しておいたCr−Ag母合金、Co−Ag母合金、Ni−Ag母合金を添加して所定の成分組成のAg合金となるように真空または不活性ガス雰囲気中で溶解し、このようにして得られた溶湯を真空または不活性ガス雰囲気中で鋳造してインゴットを作製し、得られたインゴットを熱間加工したのち機械加工することにより製造することができる。
【0007】
次に、この発明のAg合金からなるスパッタリングターゲットおよびこのターゲットを用いて形成したAg合金反射膜の成分組成を前記の如く限定した理由を説明する。
【0008】
InまたはInおよびSnの合計:
InまたはInおよびSnの合計は、Ag合金反射膜の反射率が経時変化するのを防止する効果があるが、これらInまたはInおよびSnの合計が0.5質量%未満含んでも十分な耐候性が得られず、一方、15質量%を越えて含有すると、Ag合金反射膜の初期反射率が低下するようになるので好ましくない。したがって、Ag合金反射膜およびこのAg合金反射膜を形成するためのスパッタリングターゲットに含まれるInまたはInおよびSnの合計を0.5〜15質量%(一層好ましくは5〜10質量%)に定めた。
【0009】
Cr、Co、Ni:
これら成分は、InおよびSnの内の1種または2種を合計で0.5〜15質量%を含むAg合金反射膜の耐候性を一層強化して反射率が経時変化するのを防止する成分であるが、これら成分の1種または2種以上を合計で0.01質量%未満含んでも一層の耐候性が得られず、一方、これら成分の1種または2種以上を合計で5質量%を越えて含有すると、耐候性は一層優れたものとなるものの、Ag合金反射膜の初期反射率が低下するようになるので好ましくない。したがって、Ag合金反射膜およびこのAg合金反射膜を形成するためのスパッタリングターゲットに含まれるこれら成分の含有量は0.01〜5質量%(一層好ましくは0.5〜3質量%)に定めた。
【0010】
【発明の実施の形態】
原料として、Ag、In、SnをAr雰囲気にて高周波誘導加熱炉により溶解し、得られた溶湯に予めプラズマアーク溶解炉を使用して作製しておいたCr−Ag母合金、Co−Ag母合金、Ni−Ag母合金を添加してAg合金溶湯を作製し、これらAg合金溶湯をAr雰囲気中で鋳造することにより直径:100mm、長さ:90mmの寸法を有するインゴットを作製した。
このインゴットを輪切り状に切断して直径:100mm、厚さ:30mmの寸法を有する円板を作製し、さらにこの円板を600℃にて熱間圧延することにより厚さ:6mmの寸法を有する圧延板を作製し、これを機械加工することにより直径:200mm、厚さ:5mmの寸法を有し表1〜2に示される成分組成を有する本発明銀合金スパッタリングターゲット(以下、本発明ターゲットという)1〜15、比較銀合金スパッタリングターゲット(以下、比較ターゲットという)1〜4および従来銀合金スパッタリングターゲット(以下、従来ターゲットという)を作製した。
【0011】
この様にして得られた本発明ターゲット1〜15、比較ターゲット1〜4および従来ターゲットをそれぞれ厚さ:10mmの無酸素銅製冷却板にIn−Sn共晶はんだを用いてはんだ付けしたのち、通常の直流マグネトロンスパッタリング装置に取り付け、さらに直径:120mm、厚さ:1.2mmの寸法を有するポリカーボネート樹脂板をターゲットと基板の距離が7cmとなるようにセットし、チャンバー内を1×10-4Paまで真空に引いた後、アルゴンガスをチャンバー内に0.5Paになるまで入れ、直流電力:100Wの条件で40秒間スパッタリングし、膜厚:100nmの反射膜を形成した。
【0012】
これら反射膜に、波長が405nmおよび650nmのレーザー光を照射してエリプソメータにより反射率を測定し、その後反射膜を恒温恒湿槽容器(80℃、85%)に200時間保持した後、同様にして波長が405nmおよび650nmのレーザー光を照射してエリプソメータにより反射率を測定し、その結果を表1〜2に示すことにより反射膜の耐候性を評価した。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
表1〜2に示される結果から、この発明の本発明ターゲット1〜15を用いてスパッタリングを行うことにより得られた反射膜は、比較ターゲット1〜4および従来ターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより得られた反射膜に比べて反射率の低下が少ないところから、耐候性に優れていることがわかる。
【0016】
【発明の効果】
上述のように、この発明の光記録媒体の反射膜形成用銀合金スパッタリングターゲットを用いて作製した反射膜は、従来の光記録媒体の反射膜形成用銀合金スパッタリングターゲットを用いて作製した反射膜に比べて、経時変化による反射率の低下が少なく、長期にわたって使用できる光記録媒体を製造することができ、メディア産業の発展に大いに貢献し得るものである。
Claims (2)
- InまたはInおよびSnを合計で0.5〜15質量%を含み、さらにCr,Co,Niの内の1種または2種以上を合計で0.01〜5質量%を含み、残部がAgである組成の銀合金からなることを特徴とする光記録媒体の反射膜形成用銀合金スパッタリングターゲット。
- 請求項1記載のターゲットをスパッタリングして形成することを特徴とする光記録媒体の反射膜の製造方法。
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