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JP3914900B2 - 光レセプタクルおよびその製造方法 - Google Patents

光レセプタクルおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信用モジュール等に使用されるレセプタクルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光信号を電気信号に変換するための光モジュールは、半導体レーザーやフォトダイオード等の光素子をケース内に収納し、光ファイバを通じて光信号を導入又は導出するような構造となっている(特許文献1参照)。
【0003】
上記光モジュールのうちコネクタを接続するようにしたレセプタクル型の光モジュールは、図2に示すような光レセプタクル12の端面9側に光素子20を備えるとともに、端面8に光コネクタ(SCコネクタ)のプラグフェルール10を接続するものである。
【0004】
上記光レセプタクル12は、図2に示すようにジルコニア、アルミナ等のセラミック材料からなるフェルール2と、該フェルール2の貫通孔に石英ガラス等からなる光ファイバ3を挿入固定して得られたファイバスタブ1の後端部17をホルダ5に圧入により固定し、先端部18をスリーブ4の内孔に挿入するとともに、それらをスリーブケース6に圧入又は接着固定することによって構成されている。
【0005】
近年、高密度実装の要求から光モジュールの小型化が求められており、光レセプタクルの全長も短くすることが求められている。そこで図3に示すように、フェルール2の貫通孔に光ファイバ3を挿入固定したファイバスタブ1、ファイバスタブ1の先端部18に接続されるプラグフェルール10を保持するためのスリーブ4、スリーブ4の後端部17のL3の外周側面19に圧入されたスリーブ4の自由な変形を拘束する把持リング14からなる光レセプタクル15が考案された。上記ファイバスタブ1を保持したスリーブ4の外周側面19に把持リング14を圧入し、スリーブ4の自由な変形を拘束することによって、ファイバスタブ1がスリーブ4に保持されている長さL2を短くしても十分なファイバスタブ1の保持力を得ている(特許文献2参照)。
【0006】
又、図4に示すように、図3の把持リング14にストッパ部16を付ける事により、ファイバスタブ1の抜けを防止する構造のものも考案されている。
【0007】
(特許文献3参照)
図4のように、上述の光レセプタクル17を用いて光モジュールを構成する場合は、光レセプタクル17のファイバスタブ1の後端部17側に、光素子20とレンズ21を備えたケース22を溶接により接合し、光レセプタクル17のもう一方の端面8側よりスリーブ4内にプラグフェルール10を挿入し、光ファイバ端面8を当接させ、光信号のやりとりを行うことができる。
【0008】
このときプラグフェルール10の外径は、SCコネクタを接続するタイプのものがφ2.5mm程度、LCコネクタを接続する小型タイプのものがφ1.25mm程度で、外径公差は±1μm以下で、その貫通孔に備えられた光ファイバの外径は125μm程度で、外径公差は±1μm程度とJIS規格やIEC規格等で規定されているが、従来から、光ファイバの中心に形成された光信号を伝搬する直径10μm程度のコア(不図示)同士を損失の少ない接続とするため、それぞれの部品(スリーブ4、プラグフェルール10等)は高精度に加工されており、スリーブ4によってファイバスタブ1及びプラグフェルール10を安定且つ高精度に保持する構造となっている。
【0009】
さらに、上記ファイバスタブ1における先端部18は、当接時の接続損失を減らすために曲率半径5〜30mm程度の曲面に鏡面研磨されており、後端部17は、LD等の光素子20から出射された光が反射して光素子に戻る反射光を防止するため、光ファイバ3を挿通したフェルール2とともに4〜10°程度に端面9が鏡面研磨されている。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−66468号公報
【0011】
【特許文献2】
特開平10−332988号公報
【0012】
【特許文献3】
特開2003−43313号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図2に示す従来の光レセプタクル12の場合、小型化の要求に応えるため、スリーブ4の長さL1を短くし、ファイバスタブ1の先端部18の寸法L2を短くする方法を適用した場合、スリーブ4とファイバスタブ1の保持強度が大きく減少するために、プラグフェルール10をファイバスタブ1に接続した後、プラグフェルール10が傾くような加重が掛かった場合に、スリーブ4が傾き、接続損失が生じてしまうという問題があった。
【0014】
更に、図3や図4に示すような光レセプタクル15、光レセプタクル17の場合、把持リング14がスリーブ4を同時圧入することでプラグフェルール10をファイバスタブ1に接続した後、プラグフェルール10が傾くような加重が掛かった場合でもスリーブ4の傾きが発生しにくいため、接続損失が生じないと考えられる。しかし、プラグフェルール10の脱着の繰り返しや接続時に掛かり続けるプラグフェルール10側のバネ圧により、ファイバスタブ1に対して加重が掛かるため、把持リング14はファイバスタブ1とスリーブ4に対して十分な把持力と、ホルダ13への十分な固定が必要である。そのため、スリーブ4が変形したり、プラグフェルール10をスリーブ4に挿入、抜去した際のスリーブ4の変形が不均一となるので挿入力、抜去力が不安定となり、着脱再現性を重視する用途には不向きな構造であった。
【0015】
又、スリーブ4は構造的に薄いため、強く圧入しすぎると割れや歪が発生する場合もあり、図3のように把持リング14のようにストッパーの無い構造である場合においては特に、ファイバスタブ1の抜け防止のために圧入で強固に固定する把持力を十分に管理をする必要があった。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑みて本発明の光レセプタクルは、貫通孔に光ファイバを有するフェルールからなるファイバスタブと、該ファイバスタブの先端部が挿入された割スリーブと、上記ファイバスタブの後端部が圧入固定されたホルダと、上記スリーブの上記ファイバスタブが挿入された部位の外周側面と上記ホルダとの間に充填された樹脂からなる保持リングと、を備えたことを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の光レセプタクルの製造方法は、フェルールの貫通孔に光ファイバを挿入してファイバスタブを作製する工程と、上記ファイバスタブの後端部をホルダに圧入して固定する工程と、上記ファイバスタブの先端部に割スリーブを挿入して配設する工程と、上記スリーブの上記ファイバスタブが挿入された部位の外周側面と上記ホルダとの間に樹脂を充填する工程と、を含んでなることを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面にもとづいて説明する。
【0020】
図1(a)は、本発明の光レセプタクル7の一実施形態を示す断面図であり、フェルール2に光ファイバ3を挿入固定してなるファイバスタブ1と、ファイバスタブ1の後端部17を固定するホルダ5及びスリーブケース6と、ファイバスタブ1の先端部18に接続されるプラグフェルール10を保持するためのスリーブ4とからなり、該スリーブ4はファイバスタブ1の先端部18に挿入保持されている。
【0021】
ここで、上記スリーブ4のファイバスタブ1の相重なる外周側面19に樹脂を充填することにより、保持リング11を形成する。これにより、上記スリーブ4が傾くことが無く、かつ、弾性体であるため、スリーブ4が変形したり、傾いたりすることを低減する効果がある。
【0022】
以下、スリーブ4の長さをL1、スリーブ4とファイバスタブ1の重なる長さをL2、ホルダ5とファイバスタブ1の重なる長さをL3、ファイバスタブ1と保持リング11の重なる長さをL4として説明する。
【0023】
スリーブ4の外周に寸法L4の範囲で保持リング11を有することにより、ファイバスタブ1とスリーブ4の重なる寸法L2は、スリーブの長さ寸法L1に対して、1/2以下になっても急激にスリーブ4が変形したり、傾いたりすることはないが、1/3以上の長さであることが好ましい。
【0024】
スリーブ4の材質としては弾性体であればよく、ステンレス、銅、鉄、ニッケル、プラスチックなどの幅広い材料が用いられる。
【0025】
保持リング11は樹脂を充填する代わりに樹脂や金属の割スリットの入った弾性リングをホルダ5に嵌め込み、固定することで、スリーブ4の傾きを防止することも可能である。
【0026】
又、スリーブケース6のホルダ挿入側に、スリットを入れる等して保持リング11と一体化することも可能である。
【0027】
ファイバスタブ1を構成するフェルール2はステンレス、りん青銅等の金属、エポキシ、液晶ポリマー等のプラスチックス、アルミナ、ジルコニア等のセラミックスからなり、特にジルコニアセラミックで形成することが好ましい。具体的には、ZrO2を主成分とし、Y23、CaO、MgO、CeO2、Dy23などの少なくとも一種を安定化剤として含み、正方晶の結晶を主体とする部分安定化ジルコニアセラミックスを用いることが好ましく、このような部分安定化ジルコニアセラミックスは、優れた耐摩耗性を有するとともに、適度に弾性変形することから、圧入によって固定する際に有利である。
【0028】
上記フェルール2の加工方法としては、先ず、フェルール2を例えばジルコニアセラミックスから形成する場合、予め射出成形、プレス成形、押出成形等の所定の成形法によってフェルール2となる円柱状もしくは直方体形状の成形体を得、その後、該成形体を1300〜1500℃で焼成し、所定の寸法に切削加工または研磨加工を施す。なお、成形体に切削加工等によって予め所定の形状を形成しておき、その後焼成を行ってもよい。
【0029】
ファイバスタブ1の先端部18の端面8は、光コネクタとの接続損失を低減させるため曲率半径5〜30mm程度の曲面状に加工され、後端部17の端面9はLD等の光素子から出射された光が光ファイバ3の端面9で反射して光素子20に戻る反射光を防止するため4〜10°程度の傾斜面に鏡面研磨されている。
【0030】
さらにスリーブ4はジルコニア、アルミナ、銅などの材料からなっている。主には耐摩耗性を考慮して、ジルコニアなどのセラミックス材料からなることが多い。その加工方法としては、たとえばジルコニアなどのセラミックス材料により、形成する場合、予め射出成形、プレス成形、押出成形等の所定の成形法によってスリーブ4となる円筒状もしくは円柱状の成形体を得、その後、該成形体を1300〜1500℃で焼成し、所定の寸法に切削加工または研磨加工を施して形成する。
【0031】
また、スリーブ4の内径の表面荒さは挿入性を考慮して、算術平均粗さ(Ra)0.2μm以下が望ましく、ファイバスタブ1の外径とスリーブ4の内径公差は低い接続損失を得るため、±1μm以下が望ましく、スリーブ4の内径寸法はファイバスタブ1を確実に保持するために、0.98N以上の挿入力になるよう設計することが望ましい。
【0032】
ファイバスタブ1はプラグフェルール10の脱着の繰り返しや、接続時に掛かり続けるプラグフェルール10側のバネ圧により加重が掛かるため、十分な固定強度が必要である。このため、ファイバスタブ1はホルダ5に十分な圧入、又は接着、又は圧入と接着を併用する固定方法にすることで、これを達成することが出来る。
【0033】
さらにホルダ5は光モジュールとしてケース22(図3参照)と溶接することが多いため、ステンレス、銅、鉄、ニッケルなどの溶接が可能な材料からなっている。主には耐腐食性と溶接性を考慮して、ステンレスが用いられる。
【0034】
さらにまた、スリーブケース6は耐摩耗性、溶接性を配慮する必要がないため、ステンレス、銅、鉄、ニッケル、プラスチック、ジルコニア、アルミナなどの幅広い材料が用いられる。
【0035】
本発明の光レセプタクル7では、スリーブ4を弾性体にて保持するため、極端な応力がかからず、傾くことが無いため、プラグフェルール10をスリーブ4に挿入、抜去において、良好な着脱性を得ることが出来る。また短尺化のためにファイバスタブ1のスリーブ4への挿入長を短くすることも可能であり、ファイバスタブ1を直接ホルダ5に圧入や接着でしっかり固定することが出来るため、プラグフェルール10脱着時などの押し込み加重でファイバスタブ1がずれることが無い。
【0036】
【実施例】
本発明の実施例を説明する。
【0037】
先ず、本発明実施例として図1(a)に示す光レセプタクル7を作製した。なお光レセプタクル7に接続される光コネクタはLCコネクタとした。
【0038】
ファイバスタブ1に用いたフェルール2は、ジルコニアセラミックスからなり、押し出し成形によって円筒状のセラミックス成形体を得て焼成工程で焼き固め、切削加工を行って図1に示す形状のフェルール2を得た。
【0039】
こうして得られたそれぞれのフェルール2の貫通孔に光ファイバ3を挿入固定し、先端部18を曲率半径20mm程度の曲面に鏡面研磨し、反対側の後端部17は、LD等の光素子20から出射された光が、光ファイバ3の先端部18で反射して光素子20に戻る反射光を防止するため、8°の傾斜面に鏡面研磨を行い、ファイバスタブ1とした。
【0040】
ファイバスタブ1の後端部17はホルダ5へ圧入には圧力センサ付きハンドプレスにて、十分な加重を確認しつつ圧入した。このとき、このサンプルの固定位置付近での圧入強度は150N程度あった。従って、それ以下の加重であればファイバスタブ1が動くことが無いため、プラグフェルール10のバネによる押し圧や、着脱時の衝撃に対して十分な強度があることが明白である。
【0041】
その後、ジルコニアセラミックスからなる、フェルール2の外形に対して、1um大きい精度を持つように内径を研磨した精密なスリーブ4を、ホルダ5に圧入固定されたファイバスタブ1へ挿入し、ホルダ5迄当て付けた。
【0042】
この時、ファイバスタブ1の先端部18とスリーブ4の相重なる寸法L2は、レセプタクルの短尺化のため、精密なスリーブ4の長さ寸法L1に対して1/3の位置になるように設計されている。そして、精密なスリーブ4とファイバスタブ1の相重なる位置の寸法L4の間で、樹脂を充填し、オーブンにて加熱硬化し、保持リング11を形成した。最後にスリーブケース6をホルダ5に圧入することによって図1に示す様な光レセプタクル7を作製した。
【0043】
次に比較例として、上記の様に作製した光レセプタクル7と上記の作製手順の内、樹脂の充填をせずに保持リング11を形成せず、そのままスリーブケース6を圧入した図2に示す様な光レセプタクル12を作製した。
【0044】
ここで、図5(b)の様に、この2つのレセプタクルに発光素子をつけてモジュール化した後、電源26を駆動させ発光させる。そして、レセプタクルに対して、プラグフェルール10を接続して光を導出した後、光出力測定器25にて光出力を測定する。その後、プラグフェルール10に横加重27を加えて、傾きが発生したときの接続損失を光出力測定器25により計測して算出し、測定比較した。
図5(a)に横加重対損失の比較グラフを示す。この結果より、保持リング11によって傾きが制限されることにより、横加重27に対して損失が抑えられることが明確となった。又、図1(b)のスリーブ4が弾性変形する様にスリット24の入った割スリーブ23においても、保持リング11をスリット24の入った割スリーブ23の弾性変形を大きく妨げることの無い弾性体にすることで、スリーブ23に対して、大きな応力をかけたり、変形させることなく、プラグフェルール10の斜めの傾きに対して効果を持たせることが可能となる。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、本発明の光レセプタクルによれば、フェルールの貫通孔に光ファイバを挿入固定したファイバスタブの後端部を寸法L3でホルダに固定し、ファイバスタブの先端部に接続されるプラグフェルールを保持するためのスリーブに、上記ファイバスタブを保持してなる光レセプタクルにおいて、スリーブの外周に寸法L4の範囲で保持リングを有することにより、ファイバスタブとスリーブの重なる寸法L2が、スリーブの長さ寸法L1に対して、1/2より短い構造になっても、スリーブが傾くことなく、プラグフェルールの傾き加重に対して強い構造とすることが出来るだけでなく、小型の光レセプタクルとすることが可能となる。
【0046】
又、該保持リングは弾性体であるため、スリーブが弾性体であっても、その形状変化を大きく妨げることがなく、スリーブが変形してプラグフェルールを挿入、抜去した際に挿入力、抜去力が不安定となり、着脱性が悪くなるという問題が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の光レセプタクルの一実施形態を示す断面図、(b)は弾性変形する様にスリットの入った割スリーブの斜視図である。
【図2】従来の光モジュールを示す断面図である。
【図3】従来の光モジュールを示す断面図である。
【図4】従来の光モジュールを示す断面図である。
【図5】(a)は保持リング有、無での横方向加重に対する接続損失を示すグラフ、(b)は横加重に対する接続損失の測定方法である。
【符号の説明】
1:ファイバスタブ
2:フェルール
3:光ファイバ
4:スリーブ
5:ホルダ
6:スリーブケース
7:光レセプタクル
8:端面
9:端面
10:プラグフェルール
11:保持リング
12:光レセプタクル
13:ホルダ
14:把持リング
15:光レセプタクル
16:ストッパ部
17:後端部
18:先端部
19:外周側部
20:光素子
21:レンズ
22:ケース
23:割スリーブ
24:スリット

Claims (2)

  1. 貫通孔に光ファイバを有するフェルールからなるファイバスタブと、
    該ファイバスタブの先端部が挿入された割スリーブと、
    上記ファイバスタブの後端部が圧入固定されたホルダと、
    上記スリーブの上記ファイバスタブが挿入された部位の外周側面と上記ホルダとの間に充填された樹脂からなる保持リングと、を備えた光レセプタクル。
  2. フェルールの貫通孔に光ファイバを挿入してファイバスタブを作製する工程と、
    上記ファイバスタブの後端部をホルダに圧入して固定する工程と、
    上記ファイバスタブの先端部に割スリーブを挿入して配設する工程と、
    上記スリーブの上記ファイバスタブが挿入された部位の外周側面と上記ホルダとの間に樹脂を充填する工程と、を含んでなる光レセプタクルの製造方法。
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