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JP3913084B2 - 生涯連結車歴管理センター、生涯連結車歴集中管理センター及び車両データ管理装置 - Google Patents

生涯連結車歴管理センター、生涯連結車歴集中管理センター及び車両データ管理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、車両修理及び整備の生涯連続履歴を管理する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
我が国における自動車保有台数は現時点で7,600万台ともいわれているが、この自動車の点検・修理・部品交換のメンテナンスデータもまた膨大な量となっている。
【0003】
この履歴データは車両所有者の自動車自己管理、そして業者の修理概算見積り、点検修理、作業指示等において必要欠くべからざるものとなっている。もし、この履歴データが不明である場合は的確な事前見積りと修理が行えないだけでなく、修理に要する時間が長くなって作業効率が著しく低下する。その結果、所有者の修理代にも影響し、所有者・業者とも大きな損失を受けることになる。
【0004】
そこで、業者は自己の使用しているコンピュータに市販の自動車整備ソフトウェア等をインストールし、過去の履歴データを保存しておいて、必要に応じこれを参照して修理箇所の判定・部品交換の要否、故障原因の推定などに利用している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ここで問題となるのは、所有者が何等かの理由で修理依頼業者を取り替えたり、この自動車を中古車として転売した場合にはこの履歴データは分断され、部分的なものとなって連続性を失ってしまうという点である。このような業者の取替えや転売のケースは非常に多い。
【0006】
さらに、この業界は自動車整備業と事故車修理を専門とする鈑金塗装業の2つがあり、それぞれ別個の資格要件と、異なる技術・設備を有している。そのため、所有者も両者に修理を依頼している場合が多い。このような場合、履歴が2分されるという問題がある。また、修理整備業者が使用するソフトウェア−を他社開発のものに取り替えた場合も、互換性がないため車歴が分断されるケースも少なくない。
これが、いま非常に重要性が強調されている車両の統一された連続生涯履歴管理が不可能となってしまっている原因である。
【0007】
もちろん、法令による自動車整備記録簿の保存という手段もあるが、紙ベースでは紛失、汚損されるケースも少なくないだけでなく、修理料金は含まれておらず、保存期間も1年又は2年に限定され、有効なデータベースとして利用することは事実上不可能である。
このように考えてくると、どうしても業界を網羅した統一修理履歴管理システムが必要となってくる。
【0008】
そこで本発明は、新車購入から廃車までの車両の生涯に渡って連続した履歴データを統一された形式で管理することができる生涯連結車歴管理センター及び複数ある生涯連結車歴管理センター間のデータ中継を行う生涯連結車歴集中管理センターそして、生涯連結車歴管理センター及び生涯連結車歴集中管理センターと履歴データの送受信を行う車両データ管理装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明の生涯連結車歴管理センターは、登録された複数の修理整備業者のPCと通信回線により接続可能で,各PC内に保有されている車両の修理整備記録のデータであって一定の形式にフォーマットしてコンバートされた履歴データを受け取り、同一車両毎に連結して日付順の連結車歴データベースを形成するとともに、データ検索処理部を設けて、上記修理整備業者を含むユーザが通信回線を通じて上記連結車歴データベースを閲覧又はダウンロード可能な構成とした。
【0010】
また、上記一定の形式にフォーマットするフォーマット変換処理部を備えた構成としたり、上記連結車歴データベースが履歴データ1件毎に車歴番号を交付し、上記データ検索処理部がユーザから入力された車歴番号を優先キーとして上記連結車歴データベースを検索し、当該車歴番号が付与された日以前の履歴データのみを検出することとしたり、送信された上記履歴データの信頼性について格付けを行う構成としたり、上記連結車歴データベースを定期的に分類解析する分析処理部を有する構成としたり、上記生涯連結車歴管理センターが問合処理部を有し、上記データ検索処理部がユーザから入力された車歴番号を優先キーとして自己の連結車歴データベースを検索した結果、当該車歴番号に該当するデータを有しない場合には、上記問合処理部が複数の生涯連結車歴管理センターと通信回線で接続可能な生涯連結車歴集中管理センターに問い合わせるとともに、該生涯連結車歴集中管理センターが複数の生涯連結車歴管理センターのいずれかから得た該当するデータを受け取って問い合わせたユーザに送信することとしたり、劣化度及び減耗度等の使用データを送信する電子センサチップを備えた部品を取り付けた車両から通信回線を介して使用データを受信し、該使用データを分析する使用データ分析処理部を設けた構成とすることもできる。
【0011】
上記目的を達成するために本発明の生涯連結車歴集中管理センターは、複数の前記生涯連結車歴管理センターと通信回線で接続可能なコンピュータを備え、該コンピュータが上記ユーザのPCとも通信回線により接続可能で、ユーザのPCから指定された条件を複数の生涯連結車歴管理センターに問い合わせ、ユーザの求めるデータを有する生涯連結車歴管理センターを探し出して中継する中継処理部を有する構成とした。
【0012】
また、上記各生涯連結車歴管理センターが保有する連結車歴データベースを定期的に分類解析する分析処理部とを有する構成とすることもできる。
【0013】
上記目的を達成するために本発明の車両データ管理装置は、通信回線によって前記生涯連結車歴管理センター又は前記生涯連結車歴集中管理センター及び顧客等に接続可能な通信処理部を有し、ネット上で展示する1以上の中古車データと、各中古車に対応する車歴番号を記録したファイルとを有し、顧客が1の中古車を指定すると当該中古車に対応する車歴番号を選出して上記生涯連結車歴管理センターから送られた当該中古車の履歴データを通信回線により顧客に送信する構成とした。
【0014】
また、通信回線によって前記生涯連結車歴管理センターに接続可能な通信処理部と、修理整備業者が自己の行った車両の修理整備記録を履歴データとして記録する整備記録データベースと、検索条件を入力し検索結果を表示するインターフェース処理部と、を有し、車両を特定する情報と当該車両の整備記録データとを一定の形式にフォーマットしてコンバートされた履歴データとして上記生涯連結車歴管理センターに送信することとしたり、上記生涯連結車歴管理センターから上記車両の過去の履歴データを受け取り、該履歴データを上記整備記録データベースに書き加える構成とすることもできる。
【0015】
また、本発明の車両データ管理装置は、車両の修理整備記録としての履歴データ1件毎に車歴番号を交付して記録する整備記録データベースに接続可能な通信処理部を有し、ネット上で展示する1以上の中古車データと、各中古車に対応する車歴番号を記録したファイルとを有し、顧客等が1の中古車を指定すると当該中古車に対応する車歴番号を選出して上記整備記録データベースに送信し、当該中古車の履歴データを通信回線により顧客等に送信する構成とすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の生涯連結車歴管理センター及び車両データ管理装置を示した構成図である。本発明の生涯連結車歴管理センターは、ホストコンピュータ1からなり、インターネット11等の通信回線によって車両データ管理装置であるPC12と接続されている。
【0017】
ホストコンピュータ1は、連結車歴データベース2と車両情報データベース3、データベース入出力処理部4、検索処理部5、追加更新処理部6、車歴番号認証処理部7、分析処理部8及び通信処理部9とを有する。連結車歴データベース2は、車両毎に、その車両が廃車処分になるまでの修理及び整備の記録を格納しているデータベースである。図2は連結車歴データベース2のデータ構造を示した図である。図2では、データベースとしてリレーショナルデータベースを想定しているが、これに限定するものではない。
【0018】
車両テーブルは車両情報を格納しており、車両情報として車両登録番号、車名及び車台番号等、主として車検証に記載されている事項が格納され、車両1台に付き1レコードが生成される。車台番号は製造時に車両につけられた番号である。車両1台ごとに違った番号が付与されており、車両登録番号が変更されても車台番号は不変であるため、この番号で車両を特定することができる。
【0019】
履歴テーブルは、車両毎の修理及び整備の履歴が格納されている。修理及び整備をした部位又は交換した部品1つにつき1レコードが生成される。車歴番号はキー項目であり、修理・整備記録を記録した履歴データの1件毎に異なった値を連結車歴データベース2側で自動的に付与する。車台番号は車両テーブルにある車台番号と同じものであり、車両テーブルをこの車台番号で検索することにより、修理または整備を行った車両の詳細な履歴データを得ることができる。走行距離の欄には、その履歴データに関する修理又は整備を行った時までの走行距離が格納されており、期間燃料消費量の欄には、前回の修理又は整備から今回の修理又は整備までの間に消費した燃料の総量が格納されている。これらの値から、前回の整備又は修理から今回の整備又は修理までの間の燃費を算出することができる。
車両テーブル及び履歴テーブルは、キー項目である車台番号及び車歴番号を使用して検索することもできるし、それ以外の項目によっても検索することが可能である。
【0020】
車両情報データベース3は、連結車歴データベース2を使用することができるユーザに関する情報を格納したデータベースである。ユーザは予め車両情報データベース3に登録されている。連結車歴データベース2を使用できるユーザには、整備業者や修理業者の他に、中古車販売業者や車両の所有者も含まれる。図3は車両情報データベース3のデータ構造を示す図である。識別IDはユーザの登録番号で、車歴番号と共に見積書、納品書、請求書等に表示する権利が与えられ、これにより車両所有者に告知するものである。車両情報データベース3は、車歴番号認証処理部7で識別IDと車歴番号のチェックを行う時に使用される。識別IDと車歴番号の対が車両情報データベース3内に存在していれば正規のユーザとして、連結車歴データベース2へのアクセスが許可される。
【0021】
データベース入出力処理部4は、連結車歴データベース2及び車両情報データベース3へのアクセスを行う。検索処理部5、追加更新処理部6、車歴番号認証処理部7及び分析処理部8は、データベース入出力処理部4を介して履歴データの格納や取り出しを行う。通信処理部9はインターネット11を通じて、PC12との間で履歴データの送受信を行うものである。
【0022】
図1ではホストコンピュータ1は1台だけであるが、必ずしも1台である必要はなく、地方別・管轄陸運局別にそれぞれサーバを用意してもよい。これは、データ量が増大する対策としても有効である。
【0023】
PC12は修理整備業者の使用する車両データ管理装置であり、通信処理部13とフォーマット変換処理部14、インターフェース処理部15、整備記録データベース16によって構成されている。
【0024】
通信処理部13はインターネット11を通じて、ホストコンピュータ1との間で履歴データの送受信を行うものである。インターフェース処理部15は、連結車歴データベース2を検索した結果等を表示又は、検索条件等の入力を行う。これには、WWW(World Wide Web)ブラウザが使用できる。
整備記録データベース16は、従来から市販されている各種の自動車整備ソフトウェアにより作成されるデータベースである。
【0025】
フォーマット変換処理部14は、整備記録データベース16で生成された履歴データを、ホストコンピュータ1にある連結車歴データベース2へ格納するのに都合のよいデータ形式(以下標準フォーマットという)に変換、又はその逆に、連結車歴データベース2に格納されていた履歴データを整備記録データベース16で使用しているデータ形式にコンバートするソフトウェアである。
【0026】
このフォーマット変換処理部14は、生涯連結車歴管理センター若しくは自動車整備ソフトェアを開発したソフトウェア開発業者から、有料又は無料で提供されることが望ましい。このとき標準フォーマットや通信プロトコル等は、本発明の生涯連結車歴管理センターを運営するセンターからソフトウェア開発業者へ有料又は無料で提供される。なお、実施例ではこのフォーマット変換処理部14をPC12に設けているが、ホストコンピュータ1に設けてもよい。
【0027】
図4は、標準フォーマットの項目の例を示した図である。標準フォーマットは、ヘッダー部とディテール部とから構成されており、ヘッダー部には、車両登録番号及び車台番号等の、整備又は修理を行った車両に関する情報と、作業を行った業者の所在地を特定するコード及び作業の実施日などが格納される。ディテール部には、作業名、交換部品名称及び料金などの実際に行った作業の詳細な履歴データが格納される。
【0028】
図5は標準フォーマットのレコード構成を示す図である。1つのヘッダー部に対して1レコード以上のディテール部がある。実施日で示された日に、車台番号等で特定される車両に対して行った作業の全てがひとつのまとまりとして扱われる。
【0029】
PC12には、修理整備業者が車両データ管理装置として使用するものと、車両所有者、中古車販売業者等が履歴データを参照するために使用するものとがある。フォーマット変換処理部14と整備記録データベース16は、整備業者又は修理業者が使うPC12にのみインストール又は構築されているもので、車両所有者等が使用するPC12には、インストールされている必要はない。
【0030】
次に本発明の生涯連結車歴管理センターの利用例を説明する。
図6は本発明の生涯連結車歴管理センター全体のデータフローダイアグラムであり、図7は整備及び修理履歴が、データコンバートされ連結車歴データベース2に格納されるまでの手順を示したシーケンス図である。
【0031】
車両修理履歴データは整備記録データベース16に記録された履歴データであり、PC12の内部に保存されている。フォーマット変換処理部14は、PC12の内蔵タイマによって一定時間毎に起動される(U01)。フォーマット変換処理部14は、車両修理履歴データを読み込み(U02)、標準フォーマットへコンバートする(U03)。コンバートした履歴データはホストコンピュータ1側の追加更新処理部6へ送信される(U04)。追加更新処理部6は受信した標準フォーマットを連結車歴データベース2に格納する(U05)。フォーマット変換処理部14の起動(U01)は内蔵タイマによらずに、PC12の操作者が直接起動するようにしてもよい。しかし、定期的に連結車歴データベース2の履歴データを更新できるので、内蔵タイマによる起動のほうが望ましい。
車両所有者や業者が、連結車歴データベース2を使用する場合、事前にホストコンピュータ1に対してログインしなければならない。
【0032】
図8はログインの手順を示したシーケンス図である。
ユーザはインターフェース処理部15に対して、ログイン画面のURL(Uniform Resource Locator)を指定する(L01)。インターフェース処理部15は、指定されたURLをもとに車歴番号認証処理部7に対してログイン画面を要求する(L02)。車歴番号認証処理部7は、インターフェース処理部15にログイン画面を送信する(L03)。
【0033】
図9はログイン画面の一例を示した図である。ログイン画面には、識別IDと車歴番号を入力する欄と、それらのデータを車歴番号認証処理部7に送信するためのログインボタンがある。ユーザは、生涯連結車歴管理センターを運営する集中管理センターから付与された識別IDと車歴番号を、識別ID入力欄と車歴番号入力欄に入力し、ログインボタンを押す(L04)。インターフェース処理部15は識別IDと車歴番号を車歴番号認証処理部7へ送信する(L05)。識別IDと車歴番号を受信した車歴番号認証処理部7は、車両情報データベース3内に受信した識別IDと車歴番号の組み合わせを持ったレコードがあるかどうか検索する(L06,L07)。レコードが存在した場合は、メニュー画面をインターフェース処理部15に送信し(L08)、存在しなかった場合は、図示しないエラーメッセージを表示する。
【0034】
図10はメニュー画面の一例を示した図である。図10では、大きく検索処理と分析処理を行うためのメニューが表示されている。画面の右側にあるログアウトというリンクをクリックすると、再び図9のログイン画面が表示される。
【0035】
図11は検索処理の手順を示したシーケンス図である。
ユーザは、図10のメニュー画面から検索処理を選択する(S01)。メニュー画面には、車両検索と部品名・作業項目・作業名検索の2種類が用意されている。車両検索では、一台の車両に関する修理及び整備の履歴が一覧でき、部品名・作業項目・作業名検索では、部品名や作業名を指定して、各業者の料金を一覧することができる。
【0036】
インターフェース処理部15は、検索処理部5に検索画面を要求する(S02)。この時、どちらの検索画面を要求するのかを示す画面種別データを送信する。検索処理部5は、受信した画面種別データによって、車両検索画面又は部品名・作業項目・作業名検索画面をインターフェース処理部15に送信する(S03)。ユーザが検索条件を入力後、検索開始ボタンを押すと(S04)、インターフェース処理部15は、入力された条件を、検索処理部5へ送信する(S05)。検索条件を受信した検索処理部5は、連結車歴データベース2内を検索し(S06)、検索結果を受け取る(S07)。検索条件に該当する履歴データが存在した場合は、検索種別データによって検索結果画面をインターフェース処理部15へ送信する(S08)。
【0037】
図12は車両検索画面の一例を示した図である。これは、図10のメニュー画面から「車両検索」を指定したときに表示される画面である。図12には、自動車登録番号、車台番号、修理日及び車歴番号を入力する欄と、入力された条件を検索処理部5へ送信する検索開始ボタン、入力した条件を消去するクリアボタンがある。自動車登録番号と車台番号のうち、少なくともどちらか一方は必ず指定しなければならない。車歴番号又は修理や整備を行った日付を指定するとその日の作業内容を検索する。車歴番号又は日付を省略すると、該当する車両に関する履歴データ全てを検索する。
【0038】
図13は、車両検索結果画面の一例を示した図である。この画面は、図12の検索開始ボタンが押されたときに表示されるものである。図13の車両検索結果画面は、車両情報と履歴情報の2つの情報に分かれている。車両情報では、自動車登録番号、車台番号の他に、メーカー名や車種名等も表示される。履歴情報では、車両情報に示した車両に対する履歴が表示され、日付、部位、作業項目、交換部品名称及び料金の各欄で構成されている。各履歴データは、日付の新しい順に表示されている。部位欄は作業を行った部位を示す。これは、エンジン又は助手席ドア等の名称が表示される。作業項目欄には、交換、調整等といった作業項目の名称が表示される。作業項目で示した作業で交換された部品があればその部品名称が交換部品名称欄に表示される。交換した部品がない場合は空欄になる。料金にはその作業の料金が部品代を含めた形で表示される。
【0039】
図14は部品名・作業項目・作業名検索画面の一例を示した図である。この画面は、図10のメニュー画面から「部品名・作業項目・作業名検索」を指定したときに表示される。図14には、部品名と作業項目名を指定する欄と、作業名を入力する欄及び指定された条件を検索処理部5へ送信する検索開始ボタンがある。部品名と作業項目名は、メニューで示された中から選択する形式になっており、少なくとも一つは指定しなければならない。指定しない場合は、メニューから指定しないを選ぶ。
【0040】
図14で検索条件を入力した後に検索開始ボタンを押すことによって、部品名・作業項目・作業名での検索結果画面が表示される。図15は部品名・作業項目・作業名検索結果の一例を示した図である。図15では、スパークプラグを交換したときの料金が、業者毎に一覧表形式で表示されている。この一覧表の各項目は料金の安い順に表示されている。このような検索処理を提供することにより車両所有者は、同一部品、同一作業の料金の業者間比較ができるようになり、従来不可能とされてきた請求書又は見積書のチェックが可能となる。
【0041】
図13では、左上にダウンロードボタンが用意されている。図11のS09で、このボタンを押すと、インターフェース処理部15は検索処理部5に対して、検索結果の送信を要求する(S10)。検索処理部5は、検索結果を標準フォーマットに編集して、インターフェース処理部15へ送信する(S11)。ダウンロードした履歴データは、フォーマット変換処理部14によって逆コンバートされ、整備記録データベース16で使用することが可能となる。
【0042】
ホストコンピュータ1の分析処理部8は、連結車歴データベース2に格納された履歴データを用いて、車種年式・型式別、走行距離別等の修理内容、部品毎の交換サイクル、修理パターン、生涯修理費用合計、1台当りの平均修理代、走行1km当り保守料金、事故発生率等の分析を行う。
【0043】
図16は、分析処理部8が行った走行距離別修理内容についての分析結果画面の一例を示す図であり、図17はオイルフィルタの交換サイクル一覧の一例を示す図で、図18はエンジンオイルの交換サイクル一覧の一例を示す図である。
【0044】
図16には、車台番号、車種、年式、型式、走行距離及び修理内容の欄があり、車台番号で表された車両が修理を行ったときの、走行距離が一覧で表示される。この一覧は、車台番号及び走行距離の昇順に並べられている。
図17,18には、日付、車台番号、車種、年式、型式、走行距離の欄があり、車台番号で表された車両が、部品交換したときの走行距離が一覧で表示される。
【0045】
例えば図16の履歴データを車種別、年式順に並べれば、車種・年式毎に、走行距離別の故障原因を得ることができる。このような情報を自動車メーカーに提供することにより、新車開発のきわめて重要な資料となり、早期のリコール対策も支援することができるようになる。自動車損害保険会社にとってこの情報は、車両状況、走行運転パターン、月当たり平均走行距離等による自動車保険の商品化に極めて大きな効用がある。また、自動車損害保険会社が、生涯連結車歴管理センターのユーザであれば、事故車修理見積金額の査定において、交換部品が事故によるものか、事故以前に劣化していたものかの判定が、正確かつ迅速に行うことができるようになる。
【0046】
車両所有者が業者を代えたとき、新業者は旧業者が行った修理及び整備の履歴を必要とする。しかし、旧業者には新業者が行った修理及び整備の履歴を参照させる必要はない。一方、上記の実施例では、識別IDと車歴番号を持っている業者は、車台番号又は自動車登録番号が分かれば、全ての車両について全ての履歴を検索することができてしまう。
【0047】
そこで、第2の実施例では、車両検索時に車台番号または自動車登録番号ではなく、車歴番号を使用する。
【0048】
図19は車歴番号を付与する手順を示したシーケンス図である。
整備業者又は修理業者は、新規の顧客からの依頼の場合に車両テーブルに格納される車両情報を、自己のPC12内にある整備記録データベース16に入力する(N01)。車両情報と履歴テーブルに格納するための履歴情報の入力が完了した時点で、フォーマット変換処理部14を起動する(N02)。フォーマット変換処理部14は整備記録データベース16が保存した車両情報と履歴データを読み込み(N03)、標準フォーマットへ変換する(N04)。変換された車両情報等は、通信回線を通してホストコンピュータ1の追加更新処理部6へ送信される(N05)。追加更新処理部6は、受信した車両情報を元に連結車歴データベース2を検索し、該当する車両情報の車両に今回の履歴データを追加記入する(N06)。連結車歴データベース2は、この時新しい車歴番号を生成し今回の履歴データに車歴番号を付与すると共に、業者に通知する(N07,N08,N09)。本実施例の連結車歴データベース2が生成する車歴番号は、それ以前の車歴番号と異なった値であるだけでなく、それ以前のどの車歴番号よりも大きい値が生成される。
新しい車歴番号の通知を受けた業者は、修理・整備を行って、履歴データを記入する。その後、識別IDと共に車歴番号を、納品書、請求書にプリントし、車両所有者に告知する。
【0049】
図20は連結車歴データベース2に格納されている履歴データの一例を示した図である。車両テーブルの項目は、図2で示した項目の中から必要なものだけを抜き出して示している。履歴データの内容も車台番号FK415H−1234567890に関するものだけを抜き出している。上記車台番号で示される車両は、5回の整備又は修理を実施されており、実施された順に、09000,10000,12345,13000,20000という車歴番号が付与されている。
【0050】
図21は車歴番号を使用した車両検索画面の一例を示す図であり、図22はその検索結果の一例を示す図である。
図21では、車台番号と自動車登録番号に代わって車歴番号を入力する欄が用意されている。車歴番号欄は優先キーであり、必ず入力しなければならない。日付欄、検索開始ボタン、クリアボタンは、図12で示したものと同じものである。
【0051】
検索開始ボタンを押すと、車歴番号で指定された履歴データを履歴テーブルから検索する。検索の結果得られたレコードから車台番号を取りだす。車歴番号が、10000以下のもののうち、車台番号がFK415H−1234567890であるものという条件でもう一度、履歴テーブルを検索する。その結果、車歴番号10000以前のレコードのみが抽出される。車歴番号を修理・整備ごとに大きな番号にしておけば、1つの車歴番号が指定されたとき、それより大きな値の車歴番号を持つ履歴データは検索条件に該当しなくなるので、前の修理業者は後の修理業者の履歴データを読むことができない。
【0052】
あるいは、車歴番号とこの車歴番号を付与した日付をセットにして入力して、1つの車歴番号が指定されたとき、当該日付より新しい履歴データはヒットしないようにしてもよい。
【0053】
図22の車両情報は、図13の車両情報に車歴番号欄が追加されているもので、車両情報のその他の欄と履歴情報及びダウンロードボタンは、図13と同じである。
【0054】
このように、整備業者、修理業者にとって、他からの転入客の生涯連続履歴を自社ソフトウェアに取り込め、事前見積書や事前の作業指示書の発行、予防整備提案書の作成が迅速かつ正確に行われ、転入新規客の管理にも即時対応できるようになる。また、従来は、整備業者及び修理業者が他社製の自動車整備ソフトに切り替えると過去の履歴データが利用できなかったが、連結車歴データベース2から履歴データをダウンロードすることによって、完全に解決する。
【0055】
履歴データが、連結車歴データベース2と整備記録データベース16に重複した形で格納されているので、整備記録データベース16で使用している履歴データが破壊されたような場合でも、連結車歴データベース2からダウンロードすることで修復することができる。
【0056】
さらに、下取り車を加修して転売する場合に、この履歴データ付きであれば、取引上の信用性も高くなる。とくに事故車ではないこと、メータの巻き返し等の不正行為がないことなどが証明できることにより非常に有利に販売できる。これは、中古車を仕入れる中古車販売業者にとっても利便性が高まる。
【0057】
図23は、本発明の生涯連結車歴管理センター、生涯連結車歴集中管理センター及び車両管理装置を示す構成図である。
図23の実施例では、ホストコンピュータ21を複数台使用する。ホストコンピュータ21は、図1のホストコンピュータ1から分析処理部8がなくなり、フォーマット変換処理部14と問合処理部22が追加されたものである。問合処理部22は、自動車整備業者からの検索条件に該当する履歴データが存在しない場合に、集中管理コンピュータ23へ問合せを行うものである。複数あるホストコンピュータ21を管理するのが、集中管理コンピュータ23である。ホストコンピュータ21は、例えば地方、陸運局又は整備業者が所属している組合毎に生涯連結車歴管理センターを設けそこで管理する。集中管理コンピュータ23は生涯連結車歴管理センターとは別に、生涯連結車歴集中管理センターを設けて、そこで管理を行う。生涯連結車歴集中管理センターの集中管理コンピュータ23と生涯連結車歴管理センターのホストコンピュータ21は、インターネット等の通信回線によって接続されている。
【0058】
集中管理コンピュータ23は、各ホストコンピュータ21から履歴データを取り込み、車種年式・型式別、走行距離別等の修理内容、部品毎の交換サイクル、修理パターン、生涯修理費用合計、1台当りの平均修理代、走行1km当り保守料金、事故発生率等の分析を行う分析処理部8と、複数のホストコンピュータ21間で、履歴データをやり取りするときに中継を行う中継処理部24と、認証処理部26と、通信処理部25とからなる。
【0059】
PC27は図1のPC12とほぼ同じ構成である。違いとしては、フォーマット変換処理部14がないことである。また、車両所有者が使用するPC27には整備記録データベース16がインストールされている必要はないのも第1及び第2の実施例と同様である。フォーマット変換処理部14がなくなったことで、履歴データをホストコンピュータ21に格納する手順は以下のようになる。
【0060】
図24は履歴データをホストコンピュータ21内の連結車歴データベース2へ格納する手順を示すシーケンス図である。まず、自動車整備業者等はPC27から、インターフェース処理部15であるWWWブラウザを使用して整備記録データベース16内の履歴データを、該業者が所属する生涯連結車歴管理センターのホストコンピュータ21へ送信する(UP01)。ホストコンピュータ21は受信した履歴データを標準フォーマットへ変換する(UP02)。この時フォーマット変換処理部14は、履歴データを調べて、複数ある変換方法から適切なものを選択する。標準フォーマットに変換された履歴データは、追加更新処理部6によって連結車歴データベース2へ格納される(UP03,UP04)。履歴データが格納されると車歴番号が付与され、PC27へ返信される(UP05,UP06)。
【0061】
上記図24及び第1実施例で示した図7のように、修理整備業者が入力した履歴データを、何のチェックも行わずに連結車歴データベース2へ格納する方法では、修理整備業者等は、改変した履歴データをアップロードできてしまう。不正な履歴データが1件でもあることで、連結車歴データベース2に格納された履歴データ全ての信頼性が低くなってしまう。そこで、アップロードされた履歴データは、追加更新処理部6によって格付けが行われる。格付けの方法には、電子帳簿法による方法と、日付による格付け方法と、部品交換パターンによる格付け方法等がある。これらの方法のうちいずれか一つで格付けしても良いし、2つ又は3つを組み合わせて格付けを行ってもよい。
【0062】
電子帳簿法は、会計上の帳簿や書類について、要件を満たせば電磁的方式で記録・保存を認めるという法律である。要件としては、訂正又は削除を行った場合に履歴が残ること、入力漏れとなっていた履歴データを追加した場合にはその事実を確認できるようにしてあること等がある。このような要件を満たし、税務署に申請して承認を受けて初めて電磁的方式での保存が認められる。
【0063】
整備業者の得意先元帳、売上帳等の帳簿や書類は、PC27の整備記録データベース内の履歴データから作成されている。従って、電子帳簿法に基づく申請をして承認を受けた整備業者がアップロードする履歴データは信憑性が高いと考えられ、格付けも上位になる。
【0064】
日付による格付けでは、履歴データ内の実施日と、アップロードを行った日の日付とを比較して、実施日からアップロードまでの日数が経過している履歴データほど格付けを下げるようにする。
部品交換パターンによる格付けは、ある部品を交換すると、それに関連する部品にも調整や交換といった作業が発生することを利用している。追加更新処理部6に格納された交換パターンと、アップロードされた複数の履歴データとを比較して、交換パターンと完全に一致すれば上位の格付けになり、パターンと一致しない部分が多くなるほど格付けが下がる。
【0065】
業者毎に格付けを行う場合は、業者データベースをホストコンピュータ21に用意し、図25(a)に示すような業者テーブル内に格付けフィールドを作成する。また、履歴データ毎に格付けを行う場合は、図25(b)に示すように履歴テーブルに格付けフィールドを追加する。中古車仕入販売業者等は、利用者PC28から履歴データと共に格付けを参照することによって、履歴データの信憑性を判断し、中古車の価格を決定することができる。また、整備業者は自己の格付けデータをPC27から検索することで、業務改善や品質管理に利用することができる。
【0066】
利用者PC28は、中古車仕入販売業者、オークション運営業者、出版業者又は行政当局等の、特定の車両の整備履歴が必要な業者や、分析処理部8で分析された分析結果データを必要とする者等の利用者が使用する。分析結果データの参照のみを行うため、利用者PC28には、インターフェース処理部15と通信処理部13があればよい。
【0067】
特定の車両の整備履歴を取り出すのは図26のような手順になる。
中古車仕入販売業者等は、電話回線等の通信回線で集中管理コンピュータ23に利用者PC28を接続する。中古車仕入販売業者等は、WWWブラウザ等のインターフェース処理部15からIDとパスワードを入力する(SE01)。集中管理コンピュータ23にある認証処理部26は、入力されたIDとパスワードを調べて、正式な利用者かどうか確認する(SE02)。正式な利用者の確認がとれたら、インターフェース処理部15にメニュー画面が表示される(SE03)。ここで、中古車仕入販売業者等が整備履歴の検索を選ぶと(SE04)、インターフェース処理部15に車台番号を入力する画面が表示されるので、履歴を取り出したい車両の車台番号を入力する(SE05)。入力された車台番号は、中継処理部24によって各ホストコンピュータ21へ送信される(SE06)。車台番号に該当する履歴データが見つかったホストコンピュータ21は、その結果を集中管理コンピュータ23へ送信する。集中管理コンピュータ23は受信した結果を利用者PC28へ送信する。最後に、利用者PC28は履歴データをインターフェース処理部15に表示する(SE07)。
【0068】
分析結果を取り出す場合は、整備履歴の取り出しと同様に使用者PC27を集中管理コンピュータ23に接続し、インターフェース処理部15からIDとパスワードを入力する(SE01)。認証処理部26で正式な利用者であると確認できると、インターフェース処理部15にメニュー画面が表示される(SE03)。ここで分析結果の表示を選ぶと(SE04)、図16、図17、図18で示すような分析結果を利用者PC28へ送信する。利用者PC28は受信した分析結果をインターフェース処理部15に表示する(SE08)。
【0069】
自動車整備業者等は、PC27から所属する生涯連結車歴管理センターが管理するホストコンピュータ21に接続する。車両所有者は、整備を行った業者が使用するホストコンピュータ21に、見積書等に表示されている業者のIDと車歴番号を入力して接続することができる。
自動車整備業者が、特定の車両の履歴データを参照しようとした場合、該自動車整備業者が接続するホストコンピュータ21に当該履歴データが存在すれば、それがそのままPC27に送信される。当該履歴データが存在しなかった場合、問合処理部22は検索条件を、集中管理コンピュータ23に送信し、中継処理部24は、受信した検索条件を他のホストコンピュータ21へ中継する。他のホストコンピュータ21は受信した検索条件で検索を行い、該当する履歴データが存在した場合は、集中管理コンピュータ23へ結果を返す。集中管理コンピュータ23は受信した履歴データをホストコンピュータ21へ中継する。
【0070】
図27は、部品・点検・症状関連テーブルを示した図である。
部品・点検・症状関連テーブルは、コード、部位・部品名、レベル、点検項目、症状、作業名からなる。
このテーブルは、整備及び修理を行う車両の履歴データから各部品毎の最新の履歴を取りだしたものである。各部品には交換サイクル(走行km又は月数等)が定められている。その交換サイクルを基に、交換したばかりであればA、今すぐ交換しなければならない部品にはE等のレベルを自動的に判定し、レベル項目に格納されている。また、各部品毎に発症する可能性のある症状、部品毎に行う点検の内容、交換・調整等の作業名が、症状、点検項目、作業名の項目に格納されている。このテーブルは、整備、修理及び点検等を行う時に、自動車生涯連続履歴データベース内に、整備業者用のPC27からの指示によって作成される。
【0071】
修理や一般整備などを行う場合は、症状が判っているので、部品・点検・症状関連テーブルを症状によって検索することによって、部品名と作業名が書かれた作業指示書や、事前見積書を発行することができる。また、車検のように直接点検から入るときは、レベルと症状で検索することによって、作業名が決まり、作業指示書を発行する。
【0072】
このように、部品、点検、症状の3者を目的に応じて関連させることによって、的確で見落としのない見積り、作業指示及び顧客対応が可能となる。それによって、作業時間の短縮と作業効率の向上、顧客の満足度向上等を達成することができる。
【0073】
交換サイクルによって作業指示書を作成する代わりに、自動車の各部品に取り付けられた電子センサチップから減耗度及び劣化度を取得することにしてもよい。電子センサチップは車両内の制御コンピュータによって制御されており、制御コンピュータは電子センサチップが検知した劣化度及び減耗度を、有線又は無線によって専用の読取装置へ送信する。修理整備業者は、該読取装置が受信した劣化及び減耗の状況をチェックし、必要があれば交換等を行う。部品毎の劣化度および減耗度等の使用データは、読取装置が自動的に集中管理コンピュータ23又は各ホストコンピュータ21の、図示しない使用データ分析処理部へ送信することもできる。
【0074】
使用データ分析処理部は、各部品の標準交換サイクルによる残月数とセンサチップの測定データによる残月数に差があるとき、その差自体をデータとして保存すると共に、他の関連部品の、測定データと標準交換サイクルとの残月数の差とを比較して関連する部品全体の残月数を更新することができる。この履歴データから上記の作業指示書を作成することで、より一層、作業時間の短縮及び作業効率の向上等が達成できる。
【0075】
また、そうして蓄積された使用データから、前回工場入庫時の走行kmと今回入庫時の走行kmとの差を、センサチップで測定した停止時間を除く実際走行時間で除して、その期間の平均速度を算定したり、月当りの平均稼動走行kmを算定したり、前回入庫時の走行kmと今回入庫時の走行kmの差を、燃料タンクに取り付けたセンサチップで測定した、同一期間内の燃料の消費量で除して燃料単位当りの走行kmを算定する等の分析を行う。この分析結果を中古車仕入販売業者等の利用者が利用者PC28によって閲覧できるようにすることで、中古車の査定等がより正確に行うことができる。
【0076】
中古車販売業者は中古車情報誌等に、取り扱っている車両の写真と年式等の簡単な車両情報を出品している。中古車購入希望者は、掲載された車両情報等から購入する車両を決定するのであるが、そのためには、車両についての詳細な情報を比較して検討する必要がある。そこで、中古車情報誌等の内容と連動して、ホストコンピュータ1,21内の連結車歴データベース2に格納された履歴データを参照可能にすることにより、中古車購入希望者により詳細な情報を提供することができる。
【0077】
図28は、車両データ管理装置の構成図である。車両データ管理装置29は、ホストコンピュータ1,21又は集中管理コンピュータ23のいずれかにインターネット等の通信回線を介して接続されている。中古車販売業者は、車両データ管理装置29に情報誌に掲載した車両の一覧表である取扱車両一覧表30を格納しておく。この取扱車両一覧表30は、中古車情報誌に掲載されている車両の車種名、年式及び車両の写真等が記載されているものであり、利用者PC28のインターフェース処理部15によって参照できる形式となっている。この一覧表の代わりに、インターフェース処理部15から、中古車情報誌に掲載されているページ数とそのページ内での番号を入力することによって車両を特定することも可能である。また、車両データ管理装置29には、車歴番号記録ファイル31も格納されている。これは、車種名、年式及び車両写真等の車両を特定する情報と、車歴番号との対応を記録したファイルである。このようなファイルを用意することで、車歴番号が購入希望者や買入業者から秘密にされ、セキュリティーが保たれる。
【0078】
利用者PC28は、図23の利用者PC28と同じものであり、インターフェース処理部15と通信処理部13からなる。図28の利用者PC28は、中古車購入希望者及び買入業者が使用するものである。
【0079】
このような車両データ管理装置29は、中古車販売業者毎に用意されており、それぞれに装置を特定するためのURL等が付与されている。このURLは、中古車情報誌に掲載されており、購入希望者や買入業者は、購入を希望する車両を取り扱っている業者のURLを利用者PC28のインターフェース処理部15から入力することによって、当該車両データ管理装置29へ接続することができる。インターフェース処理部15に取扱車両一覧表30が表示されたら、購入希望者はその一覧の中から詳細情報を必要とする車両を指定する。インターフェース処理部15は指定された車両の車種名、年式等を車両データ管理装置29へ送信する。車両データ管理装置29は、受信した車種名、年式等を基に、車歴番号記録ファイル31から該当する車両の車歴番号を取り出し、その車歴番号をホストコンピュータ1,21又は集中管理コンピュータ23へ送信する。ホストコンピュータ1,21又は集中管理コンピュータ23は、その車歴番号が付与された履歴データと、それ以前に追加された履歴データを連結車歴データベース2から検索し、結果を車両データ管理装置29へ返す。検索結果を受信した車両データ管理装置29は、その履歴データを利用者PC28のインターフェース処理部15へ送信する。インターフェース処理部15は利用者PC28の画面上に履歴データを表示する。このような手順で、中古車購入希望者や買入業者は特定の車両の詳細な情報を閲覧することが可能となる。
【0080】
以上に示したような実施例では、車歴番号が連続した番号となっているため、修理整備業者等は、他社が実施した修理及び整備の履歴データに関する車歴番号を比較的簡単に推測することができる。その結果、本来参照することのできない履歴データを参照できてしまう可能性がある。そこで、車歴番号を業者コードとシーケンス番号の2つのフィールドに分割する形式が考えられる。業者コードは、修理整備業者及び中古車販売業者等の企業毎に割り当てられたコードである。この業者コードは、さらに修理業者なのか販売業者なのかといった業者区分や履歴データを無料で使用できる業者か有料で使用できる業者なのかといった区分等に分割されていてもよい。この業者コードは非公開とし、当該業者と連結車歴管理センター及び連結車歴集中管理センター以外は知ることができないものとする。例として123−1133という車歴番号で説明すると、ハイフンの前の123が業者コードであり、ハイフンより後の1133がシーケンス番号となる。123という業者コードは、ある特定の業者を指し示しているが、このうちの最上位の桁である1が業者区分となり、それ以外の23が業者毎に割り振られた番号となる。この例では業者コードは3桁、シーケンス番号は4桁としているが、これに限定されるものではない。シーケンス番号は業者内の通し番号になっており、新しく履歴データが発生するたびに+1される。車歴番号をこのような仕組みにすることで、車歴番号の推測が難しくなる。また、車歴番号を修理整備業者が使用するPC12又はPC27側で自動生成を行い、ホストコンピュータ1,21では受信した履歴データの重複及び整合性等の検証を、車歴番号を基に行い、検証に合格した場合にのみ連結車歴データベース2へ追加することによって、履歴データの信頼性を高めることもできる。
【0081】
このような車歴番号を使用する場合、車歴番号のうち業者コードの部分は非公開にする必要があるため、修理整備業者にも専用の車両データ管理装置29を用意する。修理整備業者は、見積書、請求書等に自社の車両データ管理装置29のURLと実施した作業に対するシーケンス番号を印刷しておく。車両所有者は、以下のような手順によって、履歴データを参照することができる。
【0082】
車両所有者は利用者PC28から、指定された車両データ管理装置29へ接続し、車台番号とシーケンス番号を入力する。車両データ管理装置29は車歴番号記録ファイル31からシーケンス番号を基に車歴番号を取り出し、ホストコンピュータ1,21又は集中管理コンピュータ23へ車歴番号を送信する。ホストコンピュータ1,21又は集中管理コンピュータ23は、受信した車歴番号に該当する履歴データを履歴テーブルから検索する。検索して得られた履歴データから車台番号と実施日を取り出し、当該車台番号の車両について実施日以前に行われた作業を検索する。その結果抽出された履歴データを車両データ管理装置29へ送信する。車両データ管理装置29は、受信した履歴データを利用者PC28へ送信し、利用者PC28は受信した履歴データを表示する。
【0083】
以上の手順は車両所有者が行うものであったが、車両所有者が修理整備業者を代えた場合も、新しい修理整備業者は車両所有者から古い修理整備業者のURLとシーケンス番号を教えてもらうことによって、同様の手順で履歴データをダウンロードすることが可能となる。
【0084】
【発明の効果】
以上に示すように本発明の生涯連結車歴管理センターによれば、登録された複数の修理整備業者のPCと通信回線により接続可能で,各PC内に保有されている車両の修理整備記録のデータであって一定の形式にフォーマットしてコンバートされた履歴データを受け取り、同一車両毎に連結して日付順の連結車歴データベースを形成するとともに、データ検索処理部を設けて上記修理整備業者を含むユーザが通信回線を通じて上記連結車歴データベースを閲覧又はダウンロードを可能にしたことで、1つの車両について生涯にわたって修理・整備の履歴を記録することができ、ユーザは品質の高い履歴データを得ることができる。
【0085】
上記一定の形式にフォーマットするフォーマット変換処理部を備えた構成とすることで、既存の履歴データを使用して自己のシステムを充実させることができる。
【0086】
上記連結車歴データベースが履歴データ1件毎に車歴番号を交付し、上記データ検索処理部がユーザから入力された車歴番号を優先キーとして上記連結車歴データベースを検索し、当該車歴番号が付与された日以前の履歴データのみを検出することで、ユーザに必要のない履歴データを参照させないようにでき、履歴データの漏洩を防ぐことができる。
【0087】
送信された上記履歴データの信頼性について格付けを行うことで、業者からアップロードされる履歴データの信頼性を高めることができる。
【0088】
上記連結車歴データベースを定期的に分類解析する分析処理部を有する構成としたことで自動車メーカー、中古車販売業及び損害保険業者等のユーザに有用な情報を配信することが可能となる。
【0089】
本発明の生涯連結車歴集中管理センターによれば、複数の前記生涯連結車歴管理センターと通信回線により接続可能なコンピュータを備え、該コンピュータが上記ユーザのPCとも通信回線により接続可能で、ユーザのPCから指定された条件を複数の生涯連結車歴管理センターに問い合わせ、ユーザの求めるデータを有する生涯連結車歴管理センターからデータを受け取ってユーザに送る中継処理部を有する構成とすることで、履歴データが分散されるので、システム全体の信頼性が向上する。
【0090】
本発明の車両データ管理装置によれば、通信回線によって前記生涯連結車歴管理センター又は前記生涯連結車歴集中管理センター及び顧客等に接続可能な通信処理部を有し、ネット上で展示する1以上の中古車データと、各中古車に対応する車歴番号を記録したファイルとを有し、顧客等が1の中古車を指定すると当該中古車に対応する車歴番号を選出して上記生涯連結車歴管理センターに送信し、生涯連結車歴管理センターから送られた当該中古車の履歴データを通信回線により顧客等に送信することで、ユーザに車歴番号を公開する必要がなくなり、履歴データの漏洩を防止することができる。
【0091】
通信回線によって前記生涯連結車歴管理センターに接続可能な通信処理部と、修理整備業者が自己の行った車両の修理整備記録を履歴データとして記録する整備記録データベースと、検索条件を入力し検索結果を表示するインターフェース処理部と、を有し、車両を特定する情報と当該車両の整備記録データとを一定の形式にフォーマットしてコンバートされた履歴データとして上記生涯連結車歴管理センターに送信することで、1つの車両について生涯にわたって修理・整備の履歴を記録することができる。
【0092】
上記生涯連結車歴管理センターから上記車両の過去の履歴データを受け取り、該履歴データを上記整備記録データベースに書き加えることで、既存の履歴データを使用して自己のシステムを充実させることができる。
【0093】
劣化度及び減耗度等の使用データを送信する電子センサチップを備えた部品を取り付けた車両から通信回線を介して使用データを受信し、該使用データを分析する使用データ分析処理部を設けた構成とすることで、整備が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生涯連結車歴管理センター及び車両データ管理装置を示した構成図である。
【図2】連結車歴データベースのデータ構造を示した図である。
【図3】車両情報データベースのデータ構造を示す図である。
【図4】標準フォーマットの項目を示した図である。
【図5】標準フォーマットのレコード構成を示す図である。
【図6】本発明の生涯連結車歴管理センター全体のデータフローダイアグラムである。
【図7】整備及び修理履歴が、データコンバートされ連結車歴データベースに格納されるまでの手順を示したシーケンス図である。
【図8】ログインの手順を示したシーケンス図である。
【図9】ログイン画面の一例を示した図である。
【図10】メニュー画面の一例を示した図である。
【図11】検索処理の手順を示したシーケンス図である。
【図12】車両検索画面の一例を示した図である。
【図13】車両検索結果画面の一例を示した図である。
【図14】部品名・作業項目・作業名検索画面の一例を示した図である。
【図15】部品名・作業項目・作業名検索結果の一例を示した図である。
【図16】走行距離別修理内容画面の一例を示す図である。
【図17】オイルフィルタの交換サイクル一覧の一例を示す図である。
【図18】エンジンオイルの交換サイクル一覧の一例を示す図である。
【図19】車歴番号を付与する手順を示したシーケンス図である。
【図20】連結車歴データベースに格納されている履歴データの一例を示した図である。
【図21】車歴番号を使用した車両検索画面の一例を示す図である。
【図22】車歴番号を使用した車両検索結果の一例を示す図である。
【図23】本発明の生涯連結車歴管理センター、生涯連結車歴集中管理センター及び車両管理装置を示す構成図である。
【図24】第3の実施例による履歴データのアップロードの手順を示すシーケンス図である。
【図25】(a)は業者毎に格付けを行った場合の業者テーブルを示す図であり、(b)は履歴データ毎に格付けを行った場合の履歴テーブルを示す図である。
【図26】特定の車両の整備履歴を取り出す手順を示すフローチャートである。
【図27】部品・点検・症状関連テーブルを示した図である。
【図28】車両データ管理装置の構成図である。
【符号の説明】
2 連結車歴データベース
5 検索処理部
6 追加更新処理部
7 車歴番号認証処理部
8 分析処理部
12 PC
14 フォーマット変換処理部
21 ホストコンピュータ
22 問合処理部
23 集中管理コンピュータ
24 中継処理部
29 車両データ管理装置

Claims (11)

  1. 登録された複数の修理整備業者等のPCと通信回線により接続可能で、各PC内に保有されている車両の修理整備記録のデータであって一定の形式にフォーマットしてコンバートされた履歴データを受け取り、該履歴データ1件毎に車歴番号を交付して同一車両毎に連結して日付順の連結車歴データベースを形成するとともに、前記車歴番号を優先キーとして、当該車歴番号が交付された日以前の履歴データを検出するデータ検索処理部を設けて、上記修理整備業者等を含むユーザが通信回線を通じて上記車歴番号により上記連結車歴データベースにアクセスしたとき上記車歴番号が交付された日以前の履歴データのみを閲覧又はダウンロード可能にしたことを特徴とする生涯連結車歴管理センター。
  2. 上記一定の形式にフォーマットするフォーマット変換処理部を備えたことを特徴とする請求項1記載の生涯連結車歴管理センター。
  3. 送信された上記履歴データの信頼性について格付けを行うことを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載の生涯連結車歴管理センター。
  4. 上記連結車歴データベースを定期的に分類解析する分析処理部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の生涯連結車歴管理センター。
  5. 上記生涯連結車歴管理センターが問合処理部を有し、上記データ検索処理部がユーザから入力された車歴番号を優先キーとして自己の連結車歴データベースを検索した結果、当該車歴番号に該当するデータを有しない場合には、上記問合処理部が複数の生涯連結車歴管理センターと通信回線で接続可能な生涯連結車歴集中管理センターに問い合わせるとともに、該生涯連結車歴集中管理センターが複数の生涯連結車歴管理センターのいずれかから得た該当するデータを受け取って問い合わせたユーザに送信することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の生涯連結車歴管理センター。
  6. 請求項1から3のいずれかに記載の複数の生涯連結車歴管理センターと通信回線で接続可能なコンピュータを備え、該コンピュータが上記ユーザのPCとも通信回線により接続可能で、ユーザのPCから指定された条件を複数の生涯連結車歴管理センターに問い合わせ、ユーザの求めるデータを有する生涯連結車歴管理センターからデータを受け取ってユーザに送る中継処理部を有することを特徴とする生涯連結車歴集中管理センター。
  7. 上記各生涯連結車歴管理センターが保有する連結車歴データベースを定期的に分類解析する分析処理部とを有することを特徴とする請求項5又は6記載の生涯連結車歴集中管理センター。
  8. 通信回線によって請求項1から4のいずれかに記載の生涯連結車歴管理センター又は請求項5から7のいずれかに記載の生涯連結車歴集中管理センター及び顧客等に接続可能な通信処理部を有し、ネット上で展示する1以上の中古車データと、各中古車に対応する車歴番号を記録したファイルとを有し、顧客等が1の中古車を指定すると当該中古車に対応する車歴番号を選出して上記生涯連結車歴管理センター又は生涯連結車歴集中管理センターに送信し、生涯連結車歴管理センターから送られた当該中古車の履歴データを通信回線により顧客等に送信することを特徴とする車両データ管理装置。
  9. 通信回線によって請求項1から5のいずれかに記載の生涯連結車歴管理センターに接続可能な通信処理部と、修理整備業者が自己の行った車両の修理整備記録を履歴データとして記録する整備記録データベースと、検索条件を入力し検索結果を表示するインターフェース処理部と、を有し、車両を特定する情報と当該車両の整備記録データとを一定の形式にフォーマットしてコンバートされた履歴データとして上記生涯連結車歴管理センターに送信することを特徴とする車両データ管理装置。
  10. 上記生涯連結車歴管理センターから上記車両の過去の履歴データを受け取り、該履歴データを上記整備記録データベースに書き加えることを特徴とする請求項9記載の車両データ管理装置。
  11. 劣化度及び減耗度等の使用データを送信する電子センサチップを備えた部品を取り付けた車両から通信回線を介して使用データを受信し、該使用データを分析する使用データ分析処理部を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の生涯連結車歴管理センター。
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