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JP3912742B2 - 携帯機器 - Google Patents

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JP3912742B2 JP2002170729A JP2002170729A JP3912742B2 JP 3912742 B2 JP3912742 B2 JP 3912742B2 JP 2002170729 A JP2002170729 A JP 2002170729A JP 2002170729 A JP2002170729 A JP 2002170729A JP 3912742 B2 JP3912742 B2 JP 3912742B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯機器に係わり、特に、三次元立体像を表示可能な三次元表示装置を備える携帯機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、携帯電話機、あるいは携帯情報端末(PDA;Personal Digital Assistant)などの携帯機器が広く普及している。
これらの携帯機器では、一般に、表示部として二次元表示装置、例えば、STN(Super Twisted Nematic)方式の液晶表示装置、あるいは、TFT(Thin Film Transistor)方式の液晶表示装置が使用されている。
一方、三次元立体像を表示可能な三次元表示装置として、例えば、液晶シャッタ眼鏡方式、あるいは、体積型方式等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述したような携帯機器において、ディスプレイ部として、三次元立体像が表示可能な三次元表示装置を使用することにより、例えば、実体地図が表示可能となり、利用者にとってより利便性を向上させることが可能となる。
しかしながら、従来の携帯機器において、ディスプレイ部として使用される表示装置は、例えば、前述した液晶表示装置などの、二次元像を表示する二次元表示装置が一般的であり、三次元立体像を表示する三次元表示装置を使用したものは知られていない。
一方、三次元立体像を表示可能な三次元表示装置は、前述したように、液晶シャッタ眼鏡方式、あるいは、体積型方式等が知られている。
しかしながら、液晶シャッタ眼鏡方式では、液晶シャッタ眼鏡が必須であるため、非常に不自然であるばかりか、立体視の生理的要因の中で、両眼視差、輻輳と、ピント調節との間に大きな矛盾が生じる。
即ち、この液晶シャッタ眼鏡方式では、両眼視差と輻輳はほぼ満足できるが、ピント面が表示面にあるため、この矛盾により、眼精疲労などを生じるという問題点があった。
また、体積型方式では、奥行き方向に位置が離散的であるため、その中間位置の三次元物体や奥行き方向に大きく変化している三次元物体を再現するのが困難であるという問題点があった。
【0004】
このように、従来、携帯機器の表示部として、三次元立体像を表示可能な表示装置で、しかも、立体視の生理的要因間での矛盾を抑制し、かつ、眼鏡を用いないでカラー画像の三次元立体像が表示可能な三次元表示装置を備えたものは知られていない。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、ディスプレイ部として、立体視の生理的要因間での矛盾を抑制し、かつ、眼鏡を用いないでカラー画像の三次元立体像を表示可能な三次元表示装置を用いた携帯機器を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的及び新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本願の発明者は、立体視の生理的要因間での矛盾を抑制し、かつ、眼鏡を用いないでカラー画像の三次元立体像を表示可能な三次元表示方法および三次元表示装置を、特願2001−12668号で提案している。
本発明は、前述した三次元表示装置を、携帯機器のディスプレイ部として使用するものである。
【0006】
即ち、本発明は、三次元表示装置を備える携帯機器であって、前記三次元表示装置は、表示される二次元像の偏光方向を変更可能な第1の透過型表示装置と、利用者から見て前記第1の透過型表示装置の後方に配置され、表示される二次元像の偏光方向を変更可能な第2の透過型表示装置と、前記第1の透過型表示装置と前記第2の透過型表示装置との間に配置されるレンズと、前記各透過型表示装置に表示される二次元像の偏光方向を、各透過型表示装置毎にそれぞれ独立に変化させる第1の手段と、前記第1および第2の透過型表示装置を挟むように配置される一対の偏光板とを有し、前記第1および第2の透過型表示装置の少なくとも一方は、カラーフィルタを有するとともに、前記各透過型表示装置は、前記利用者から見て異なった奥行き位置にある複数の表示面に対して表示対象物体を前記利用者の視線方向から射影した二次元像を表示し、前記第1の手段は、各透過型表示装置に表示される二次元像の偏光方向を前記各透過型表示装置毎にそれぞれ独立に変化させて、前記各透過型表示装置に表示される二次元像の前記利用者から見た透過度を前記各透過型表示装置毎にそれぞれ独立に変化させ、前記レンズは、前記第1の透過型表示装置に近接して配置され、前記第2の透過型表示装置に表示される二次元像を、前記第1の透過型表示装置よりも前記利用者側に実像として結像させることを特徴とする。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態では、前記第1および第2の透過型表示装置の少なくとも一方は、内部にカラーフィルタを有することを特徴とする。
本発明の好ましい実施の形態では、前記三次元表示装置は、前記第1の透過型表示装置と第2の透過型表示装置との間に配置される散乱板を有し、前記第1および第2の透過型表示装置は、カラー画像の二次元像を表示することを特徴とする。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態では、前記三次元表示装置は、前記第1の透過型表示装置と前記第2の透過型表示装置との間に配置される透明基板を有することを特徴とする。
発明の好ましい実施の形態では、前記三次元表示装置は、利用者から見て前記第1の透過型表示装置の前面、または、利用者から見て前記第2の透過型表示装置の後面、あるいは、前記第1の透過型表示装置と前記第2の透過型表示装置との間の位置に、一定の方向に対して視域幅を持った光を透過する透過制限装置を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態では、前記利用者から見て前記第2の透過型表示装置の後方に配置される光源を有し、前記各透過型表示装置は、前記光源からの照射光の偏光方向を変化させて、表示される二次元像の偏光方向を可変することを特徴とする。
本発明の好ましい実施の形態では、前記各透過表示装置は、一対の基板と、前記一対の基板間に狭持される液晶層とを有し、前記各透過型表示装置は、液晶層に印加する電圧を変化させて、前記表示される二次元像の偏光方向を可変することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
なお、実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1の携帯電話機の概略構成を示す図である。
同図に示すように、本実施の形態の携帯電話機は、ディスプレイ部として、第1の透過型表示装置101と第2の透過型表示装置102とで構成される三次元表示装置を用いたものである。
この2つの透過型表示装置(101,102)は、外部筐体10の内部に配置される。
【0011】
[本発明の基本となる三次元表示装置の表示原理]
図2〜図7は、本発明の基本となる三次元表示装置の原理を説明するための図である。
図2に示す三次元表示装置では、観察者100の前面に、2つの透過型表示装置、例えば、透過型表示装置(101,102)(透過型表示装置101が透過型表示装置102より観察者100に近い)と、種々の光学素子と、光源110を用いて光学系103を構築する。
前記透過型表示装置(101,102)としては、例えば、ツイストネマティック型液晶ディスプレイ、イン・プレイン型液晶ディスプレイ、ホモジニアス型液晶ディスプレイ、強誘電液晶ディスプレイ、あるいはこれらの組み合わせなどを使用する。
また、光学素子としは、例えば、レンズ、全反射鏡、部分反射鏡、曲面鏡、プリズム、偏光素子、波長板などを用いる。
本実施の形態では、一例として光源110が、観察者100から見て最も後方に配置された場合を示す。
【0012】
次に、図3に示すように、観察者100に提示したい三次元物体104を、観察者100から見て、前記透過型表示装置(101,102)へ射影した像(以下、「2D化像」と呼ぶ。)である2D化像(105,106)を生成する。
この2D化像の生成方法としては、例えば、観察者100の視線方向から三次元物体104をカメラ撮影した二次元像を用いる方法、あるいは別の方向から撮影した複数枚の二次元像から合成する方法、あるいはコンピュータグラフィックによる合成技術やモデル化を用いる方法など種々の方法がある。
前記2D化像(105,106)を、図2に示すように、各々透過型表示装置101と透過型表示装置102との双方に、観察者100の右眼と左眼を結ぶ線上の一点から見て重なるように、2D化像(107,108)として表示する。
これは、例えば、2D化像(105,106)の各々の中心位置や重心位置の配置と、各々の像の拡大/縮小率を制御することで可能となる。
【0013】
前記構成を有する装置上で、観察者100が見る像は、2D化像108を透過し、さらに2D化像107を透過した光によって生成される。
本発明における重要な要点は、その観察者100が見る像の輝度を、表示しようとする三次元物体104の輝度と同じになるように一定に保ちつつ、2D化像107と2D化像108の透過度の配分を変えることで、観察者100の感じる像の奥行き位置を変えることである。
その変え方の一例を以下に述べる。
なお、ここでは、白黒図面であるため、分かりやすいように図面上では透過度が低い方を濃く示してある。
【0014】
例えば、三次元物体104が透過型表示装置101上にある場合には、図4に示すように、透過型表示装置101上の透過度を、2D化像107の輝度が三次元物体104の輝度に等しくなるように設定し、透過型表示装置102上の2D化像108の部分の透過度を、例えば、その透過型表示装置102の最大値とする。
次に、例えば、三次元物体104が観察者100より少し遠ざかって、透過型表示装置101より透過型表示装置102側に少し寄った位置にある場合には、図5に示すように、透過型表示装置101上の2D化像107の部分の透過度を少し増加させ、透過型表示装置102上の2D化像108の部分の透過度を少し減少させる。
【0015】
さらに、例えば、三次元物体104が観察者100よりさらに遠ざかって、透過型表示装置101より透過型表示装置102側にさらに寄った位置にある場合には、図6に示すように、透過型表示装置101上の2D化像107の部分の透過度をさらに増加させ、透過型表示装置102上の2D化像108の部分の透過度をさらに減少させる。
遂に、例えば、三次元物体104が透過型表示装置102上にある場合には、図7に示すように、透過型表示装置102上の透過度を、2D化像108の輝度が三次元物体104の輝度に等しくなるように設定し、透過型表示装置101上の2D化像107の部分の透過度を、例えば、透過型表示装置101の最大値とする。
このように表示することにより、人の生理的あるいは心理的要因あるいは錯覚により、表示しているのが2D化像(107,108)であっても、観察者100にはあたかも透過型表示装置(101,102)の中間に三次元物体104が位置しているように感じられる。
即ち、例えば、透過型表示装置(101,102)の2D化像(107,108)の部分の透過度をほぼ同じに設定した場合には、透過型表示装置(101,102)の奥行き位置の中間付近に三次元物体104があるように感じられる。
【0016】
[本実施の形態の三次元表示装置の構成]
図8は、本発明の実施の形態1の三次元表示装置の概略構成を示す図である。
本実施の形態の三次元表示装置では、偏光板203と、偏光板213との間に、透過型表示装置101と、散乱板204と、透過型表示装置102とが配置される。
透過型表示装置101は、偏光可変装置として機能する液晶表示パネル201と、カラーフィルタ202とで構成され、同様に、透過型表示装置102は、偏光可変装置として機能する液晶表示パネル211と、カラーフィルタ212とで構成される。
また、偏光板213の後方(偏光板213の透過型表示装置102と反対の側)に、光源(バックライト)205が配置される。
ここで、液晶表示パネル(201,211)は、ツイストネマティック型液晶ディスプレイ、イン・プレイン型液晶表示装置、ホモジニアス型液晶表示装置、強誘電液晶表示装置、反強誘電液晶表示装置などから偏光板を取り除いた装置で構成される。
【0017】
液晶表示パネル(201,211)は、各画素単位で、偏光の方向を変化できるので、出射光の偏光方向と、出射側の偏光板の偏光方向により、出射する光の強度を変化でき、全体として光の透過度を変化させることができる。
したがって、液晶表示パネル(201,211)の各画素単位に、通過する光の偏光方向を制御することにより、液晶表示パネル201および液晶表示パネル211毎に、独立に透過度を変化させることができる。
但し、本実施の形態では、透過型表示装置(101,102)上に表示される2D化像(107,108)は、カラー画像の二次元像である必要がある。
【0018】
これにより、前記[本発明の基本となる三次元表示装置の表示原理]で説明した原理により、透過型表示装置(101,102)上、あるいは、透過型表示装置101と透過型表示装置102との間の任意の位置に、三次元立体像を表示することが可能である。
しかも、本実施の形態では、各液晶表示パネル(201,211)の各画素単位に、赤(R)・緑(G)・青(B)の3色から成るカラーフィルタ(202,212)を配置するようにしたので、カラー画像の三次元立体像を表示することができる。
但し、本実施の形態では、偏光方向が、液晶表示パネル201と液晶表示パネル21とを通過する間に変化することを考慮して、各液晶表示パネル(201,212)の偏光方向の制御を行う必要がある。
【0019】
なお、図10に示すように、透過型表示装置101として、両側に偏光板(203,2031)を設けた液晶表示パネル201、および、透過型表示装置102として、両側に偏光板(213,2131)を設けた液晶表示パネル211を使用する場合には、光源205からの照射光の光路中に4枚の偏光板(203,2031,213,2131)が挿入されることになるので、全体としての透過度が低くなり、表示が暗くなる欠点がある。
これに対して、本実施の形態では、透過型表示装置(101,102)を、2枚の偏光板(203,213)で挟むようにしたので、表示が暗くなるのを防止することができる。
その上、本実施の形態では、液晶表示パネル(201,211)における輝度を実質的に大きな自由度で制御できる利点も有する。
【0020】
すなわち、図10に示す透過型表示装置(101,102)の場合には、光源205からの照射光は、各透過型表示装置(101,102)を通過する間に変化しない、あるいは減少するしかなく、各透過型表示装置(101,102)における輝度は、変化しない、あるいは、減少するしかない。
これに対して、本実施の形態の三次元表示装置では、出射側の偏光板203までは、光量は実質的にほとんど変化せず、各液晶表示パネル(201,211)ではその偏光方向のみが変化している。
しかも、偏光方向は、各液晶表示パネル(201,211)でほぼ加算されて回転していくが、出射側の偏光板203の外から観察した場合、出射側の偏光板203の透過偏光方向を基準として0〜90度までは各液晶表示パネル(201,211)の輝度は減少し、90〜180度までは輝度は上昇し、180〜270度までは輝度は減少し、270〜360度までは輝度は上昇するというように輝度の上昇、減少を繰り返せる。
【0021】
したがって、各液晶表示パネル(201,211)の輝度は、その直前の偏光可変装置の輝度に比べて、上昇することも、変化しないことも、減少することも可能となる。
但し、実際には、例えば、ツイストネマティック型液晶表示装置などにおいては、最大の角度変化が90度である場合が多いため、これを考慮して設計を行う必要がある。
本実施の形態では、各透過型表示装置(101,102)は、偏光可変装置として機能する液晶表示パネル(201,211)と、カラーフィルタ(202,212)とで構成される。
そのため、カラーフィルタ202と、カラーフィルタ212とにおける、赤(R)・緑(G)・青(B)の各フィルタの配列方向、配列ピッチ等の違いにより、モアレが発生する恐れがある。
そのため、本実施の形態では、カラーフィルタ202とカラーフィルタ212との間に、散乱板204を配置し、前述したモアレが発生するの防止するようにしている。
【0022】
本実施の形態では、図9に示すように、基地局20から、前述した2D化像、即ち、図3に示すように、携帯電話機を使用する人(以下、利用者という)に提示したい三次元物体を、利用者から見て、透過型表示装置(101,102)へ射影した二次元像を表示する映像信号を、携帯電話器に送出し、各透過型表示装置(101,102)に表示することにより、カラー画像の三次元立体像(例えば、実体地図、立体キャラクタなど)を、利用者に表示することができる。
本実施の形態の携帯電話機では、ディスプレイ部として二次元表示装置を使用する従来の携帯電話器とは異なり、奥行きを持った三次元立体像を表示することが可能である。
そのため、例えば、実体地図を表示する場合には、利用者は、目的の場所をより早く、且つ正確に把握することが可能であり、また、例えば、立体キャラクタを表示する場合には、実際の三次元物体と同じような立体像を観察することができるので、利用者は、より親近感を持って三次元立体像を観察することができる。
さらに、例えば、携帯電話機を使用してネットワークゲームを行う場合には、より臨場感を伴うゲームを行うことが可能となる。
【0023】
[本実施の形態の三次元表示装置の変形例]
図11は、本発明の実施の形態1の三次元表示装置の変形例の概略構成を示す図である。
図11に示す三次元表示装置は、透過型表示装置101のカラーフィルタ202が省略され、透過型表示装置101が白黒(モノクロ)表示の透過型表示装置である点で、図8に示す三次元表示装置と異なっている。
また、図11に示す三次元表示装置では、前述したカラーフィルタ202と、カラーフィルタ212とにおける、赤(R)・緑(G)・青(B)の各フィルタの配列方向、配列ピッチ等の違いにより、モアレが発生する恐れがないので、散乱板204も省略されている。
【0024】
図11に示す三次元表示装置でも、前記[本発明の基本となる三次元表示装置の表示原理]で説明した原理により、透過型表示装置(101,102)上、あるいは、透過型表示装置101と透過型表示装置102との間の任意の位置に、カラー画像の三次元立体像を表示することが可能である。
但し、図11に示す三次元表示装置では、透過型表示装置101上に表示される2D化像107は、白黒画像の二次元像であり、透過型表示装置102上に表示される2D化像108は、カラー画像の二次元像である必要がある。
また、図11に示す三次元表示装置では、図8に示す三次元表示装置に比して、カラーフィルタが一枚省略されているので、図8に示す三次元表示装置よりも表示が明るくなる。
【0025】
また、本実施の形態において、前記した2D化像を利用者の右眼と左眼を結ぶ線上の一点から見て重なるように表示する場合において、特に、利用者の右眼と左眼とを結ぶ線上の一点として、右眼と左眼の間の一点を用いる場合には、前記した複数の面(即ち、透過型表示装置(101,102)の配置位置)の中間位置における三次元知覚の効果を得られる信頼性が大きくなる(簡単に言うと多くの人が、あるいは多くの場合に効果が得られる)。
さらに、利用者の左右眼の中心位置を前記一点として用いると、さらに効果を得やすくなるとともに、左右眼における、例えば、透過型表示装置(101,102)上に表示される透過二次元像から生じる二重像の大きさを小さくできる利点を有する。
【0026】
その上、前記重なるように表示した2D化像の利用者から見た左右方向の大きさを拡大・縮小することは、知覚される深さや傾きなどを人工的に変化させることに有効である。
また、前記した効果を得るための、前記透過二次元像を表示する面間の奥行き距離(即ち、透過型表示装置101と透過型表示装置102との間の距離)は、同じ表示対象物体(三次元物体104)に対して、それらの面に表示された複数の二次元像(2D化像)が、利用者の右眼と左眼の位置から単眼で見て共通領域を有する範囲である。
即ち、共通領域がない状態では、この効果は消失し、利用者には前記面に奥行き方向に離れて感じられる。
【0027】
本実施の形態の三次元表示装置においては、従来の液晶シャッタ眼鏡方式と異なり、実際に像を表示する面が、その錯覚位置を挟んで少なくとも2つ以上存在するため、従来法にあった両眼視差、輻輳と、ピント調節との間の矛盾を大きく抑制でき、眼精疲労などを抑制できると考えられる。
また、ピント調節自体は、利用者が2つ以上の面を同時に見ることになるため、双方の像を最もぼけさずに見ることができる位置に定位することとなるため、従来法の欠点を大きく改善できる。
この場合、複数の2D化像(107,108)を表示する複数の面の奥行き距離は、利用者から見て表示対象物体の奥行き位置にピントを合わせた方が、前記複数の面にピントを合わせるより画像のぼけが少ない範囲内とする必要がある。
【0028】
また、従来の体積型方式と異なり、面の中間位置に存在する三次元物体(即ち、複数の透過型表示装置の間にある三次元物体)も利用者に対しては三次元的に見えるため、従来の書割り的な立体感ではない利点を有する。
さらに、本実施の形態では、複数の透過型表示装置の間にある三次元物体も表現できることから、三次元表示を行う場合のデータ量を大きく減らせる利点も有する。
また、本実施の形態では、透過度の制御のみによる人の生理的、あるいは心理的要因、あるいは錯覚を利用しているため、光源として、特に、レーザーなどのコヒーレント光源を必要とせず、かつカラー化も容易である利点を有している。
また、本実施の形態は、機械的駆動部を含まないため、軽量化、信頼性の向上などに適している利点を有する。
【0029】
なお、前記説明では、複数の2D化像(107,108)の部分の透過度を変化させる場合について説明したが、例えば、複数の2D化像(107,108)の透過度の変化は前記した通りとし、かつ、利用者から見た総体的な色を変化させない範囲で、各2D化像(107,108)の色を変えても、本発明の効果としては同様な効果が得られる。
本実施の形態の三次元表示装置では、前後の2D化像(107,108)の輝度比で見かけの奥行き位置を変化させている。
したがって、利用者がこれを重ねて見たときに提示したい三次元立体像の色(例えば、黄色)と同じになるように、前方の透過型表示装置101上の2D化像107の色(例えば、赤色)と、後方の透過型表示装置102上の2D化像108の色(例えば、緑色)とを変えることができる。
これは、例えば、輪郭の部分の色が中とは異なり、通常の場合では違和感を感じる要因となるが、例えば背景との色彩的なマッチングなどの点で効果を得られる場合がある。
【0030】
[三次元物体自体が有する奥行きを表現する場合の表示方法]
前述の説明では、例えば、三次元物体104全体の奥行き位置を、例えば、透過型表示装置(101,102)に表示した2D化像を用いて表現する方法および装置について主に述べたが、本実施の形態の三次元表示装置は、例えば、三次元物体自体が有する奥行きを表現する方法及び装置としても使用できることは明らかである。
以下、前述した三次元物体自体が有する奥行きを表現する場合の表示方法について説明する。
この場合における重要な要点は、図2と同様な構成を有する装置上で、2D化像(107,108)の各々の部位の透過度を、利用者100から見た総体的な輝度を一定に保ちつつ、三次元物体104の各部位が有する奥行き位置に対応して変えることである。
その変え方の一例を、図12、図13を用いて以下に説明する。
なお、ここで、白黒図面であるため、図12、図13においては、分かりやすいように輝度が高い方を濃く示してある。
【0031】
図12が、利用者に近い透過型表示装置(例えば、図2の101)に表示される2D化像の一例であり、図13が、利用者から遠い透過型表示装置(例えば、図2の102)に表示される2D化像の一例である。
例えば、三次元物体として、図12、図13に示すようなケーキを例に取ると、上に立てたロウソクを除き、三次元物体(例えば、ケーキ)の上面及び下面は、例えば、ほぼ平坦であり、かつ、その側面は、例えば、円柱状であり、ロウソクは、例えば、上面の円周近傍に配置するとする。
この場合の2D化像では、上面及び下面においては上方の方が奥に位置することとなり、かつその側面では真ん中が手前で端に行くに従って奥に位置し、さらに隠れている上方の真ん中は奥に位置することとなる。
この場合、上面及び下面における輝度変化は、利用者に近い透過型表示装置(例えば、図2の101)においては、図12に示すように、利用者に近い部位(2D化像では、例えば、下方)が透過度が低く、かつ遠い部位(2D化像では、例えば、上方)が透過度が高くなるようにその奥行き位置に対応して徐々に変化させる。
【0032】
また、利用者から遠い透過型表示装置(例えば、図2の102)においては、図13に示すように、利用者に近い部位(2D化像では、例えば、下方)が透過度が高く、かつ遠い部位(2D化像では、例えば、上方)が透過度が低くなるようにその奥行き位置に対応して徐々に変化させる。
次に、円柱部分の透過度の変化もその奥行き位置に対応して、利用者に近い透過型表示装置(例えば、図2の101)においては、図12に示すように、利用者に近い部位(例えば、真ん中付近)が透過度が低く、かつ遠い部位(例えば、左右の端付近)が透過度が高くなるように徐々に変化させる。
また、利用者から遠い透過型表示装置(例えば、図2の102)においては、図13に示すように、利用者に近い部位(例えば、真ん中付近)が透過度が高く、かつ遠い部位(例えば、左右の端付近)が透過度が低くなるように徐々に変化させる。
このように表示することにより、人の生理的、あるいは心理的要因、あるいは錯覚により、表示しているのが2D化像であっても、利用者(例えば、図2の100)にはあたかも上面、下面がほぼ平らな円柱状のケーキがあるように感じられる。
【0033】
[三次元物体自体が移動する場合の表示方法]
前述の説明では、例えば、三次元物体104全体の奥行き位置を、例えば、透過型表示装置(101,102)に表示した2D化像を用いて表現する方法および装置について主に述べたが、本実施の形態の三次元表示装置は、三次元物体自体が移動する場合にも使用できる。
2D化像が三次元的に移動する場合、利用者の左右上下方向への移動に関しては通常の二次元表示装置の場合と同様に透過型表示装置内での動画再生によって可能であり、奥行き方向への移動に関しては、各透過型表示装置における透過度の変化を時間的に行うことで、三次元像の動画を表現することができることは明らかである。
以下、前述した三次元物体自体が移動する場合の表示方法について説明する。
この場合における要点は、図2と同様な構成を有する装置上で、2D化像(107,108)の各々の部分の透過度を、利用者から見た総体的な輝度を一定に保ちつつ、三次元物体の奥行き位置の時間的変化に対応して変化させることである。
【0034】
その一例として、例えば、三次元物体が透過型表示装置101より透過型表示装置102まで時間的に移動する場合について、図4ないし図7を用いて説明する。
例えば、三次元物体が透過型表示装置101の奥行き位置にある場合には、図4に示すように、透過型表示装置101上の透過度を、2D化像107の輝度が三次元物体の輝度に等しくなるように設定し、透過型表示装置102上の2D化像108の部分の透過度を例えばその透過型表示装置の最大値とする。
次第に、例えば、三次元物体が利用者より時間的に少し遠ざかり透過型表示装置101より透過型表示装置102側に時間的に少し寄ってくる場合には、図5に示すように、三次元物体の奥行き位置の移動に対応させて、透過型表示装置101上の2D化像107部分の透過度を時間的に少しづつ増加させ、かつ透過型表示装置102上の2D化像108の部分の透過度を時間的に少しづつ減少させる。
【0035】
さらに、例えば、三次元物体が利用者より時間的にさらに遠ざかり透過型表示装置101より透過型表示装置102側にさらに寄った位置に時間的に移動する場合には、図6に示すように、三次元物体の奥行き位置の移動に対応させて、透過型表示装置101上の2D化像107の部分の透過度を時間的にさらに増加させ、かつ透過型表示装置102上の2D化像108の部分の透過度を時間的にさらに減少させる。
さらに、例えば、三次元物体が透過型表示装置102の奥行き位置まで時間的に移動してきた場合には、図7に示すように、三次元物体の奥行き位置の移動に対応させて、透過型表示装置102上の透過度を2D化像108の輝度が三次元物体の輝度に等しくなるまで時間的に変化させ、かつ透過型表示装置101上の2D化像107の部分の透過度を、例えば、その透過型表示装置の最大値となるまで変化させる。
このように表示することにより、人の生理的、あるいは心理的要因、あるいは錯覚により、表示しているのが2D化像(107,108)であっても、利用者にはあたかも透過型表示装置(101,102)の間を、透過型表示装置101から透過型表示装置102に三次元物体104が奥行き方向に移動するように感じられる。
【0036】
なお、前述の説明においては、三次元物体104が透過型表示装置101から透過型表示装置102まで移動する場合について説明したが、これが透過型表示装置(101,102)の間の途中の奥行き位置から透過型表示装置102まで移動する場合や、透過型表示装置101から透過型表示装置(101,102)の間の途中の奥行き位置まで移動する場合や、透過型表示装置(101,102)の間の途中の奥行き位置から透過型表示装置(101,102)の間の途中の別な奥行き位置まで移動する場合であっても、同様なことが可能なことは明らかである。
また、利用者に提示する物体が2つの透過型表示装置(101,102)の間を移動する場合について説明したが、提示する三次元物体が複数であっても、同様な構成が可能であり同様な効果が期待できることは明らかである。
【0037】
また、前述の説明では、透過型表示装置101と、透過型表示装置102とは、空間を介して向かい合わせて配置する場合について説明したが、透過型表示装置101と、透過型表示装置102とは、図14に示すように、厚い透明基板30の両側に配置するようにしてもよい。
図14に示す構造の場合には、透過型表示装置101と、透過型表示装置102との間に、塵やゴミが入るのを防止できるばかりでなく、透明基板30の厚さを調整することにより、透過型表示装置101と透過型表示装置102との間の間隔を、簡単に調整することが可能となる。
さらに、本実施の形態における二次元像の表示面は、本発明の趣旨から見て、必ずしも平面である必要はなく、球面や楕円面や二次曲面や他の複雑な曲面であっても同様な効果が得られることは明らかである。
【0038】
[実施の形態2]
図15は、本発明の実施の形態2の携帯電話機の概略構成を示す図である。
同図に示すように、本実施の形態の携帯電話機も、ディスプレイ部として、第1の透過型表示装置101と第2の透過型表示装置102とで構成される三次元表示装置を用いたものであるが、本実施の形態では、第1の透過型表示装置101の利用者と反対の側にレンズ130が配置される。
レンズ130としては、凸レンズ、凹レンズ、マイクロレンズアレイ、ホログラフッィクレンズ、マイクロレンズアレイを2枚重ねることによって倍率1の正立像で、かつ実像を結像させるレンズなどから構成される。
このレンズ130により、透過型表示装置102に表示される二次元像は、図15に示す結像面1021に結像する。
したがって、本実施の形態の三次元表示装置では、三次元立体像は、図15に示すように、透過型表示装置101の前方(透過型表示装置101の利用者側の方向)に、浮かび上がるように表示される。
そのため、本実施の形態では、例えば、立体キャラクタを表示する場合には、実際の三次元物体と同じような立体像を観察することができるので、利用者は、前述の実施の形態1よりも、さらに親近感を持って三次元立体像を観察することができる。
【0039】
[実施の形態3]
図16は、本発明の実施の形態3の携帯電話機の概略構成を示す図である。
本実施の形態の携帯電話機は、ディスプレイ部として、第1の透過型表示装置101と第2の透過型表示装置102とで構成される三次元表示装置を用いたものであるが、本実施の形態では、利用者から見て第2の透過型表示装置102の後ろ面に、例えば、正面付近からの光のみを透過する透過制限装置131を配置した点で前述の実施の形態の携帯電話機と相違する。
この透過制限装置131としては、ルーバーを多数並べたもの、あるいは、ルーバーを多数組み込んだシート、あるいはファイバアレイ、あるいは円形や多角形などの多数の格子状の隔壁で構成される。
これまでに説明した実施の形態の三次元表示装置では、ある一定の方向以外からの斜め横から観察すると、第1の透過型表示装置101に表示された二次元像と、第2の透過型表示装置102に表示された二次元像とが重ならず、違和感のある画像となるが、本実施の形態では、透過制限装置131により、ある一定の方向(例えば、正面付近)では実際の三次元物体と同じような立体像を観察でき、その一定方向付近以外(例えば、正面付近以外)からは画像を観察することができないので、違和感のない表示を実現することが可能である。
なお、透過制限装置131は、利用者から見て第1の透過型表示装置101の前面に配置するようにしてもよく、あるいは、第1の透過型表示装置101と第2の透過型表示装置102との間の任意の位置に配置するようにしてもよい。
【0040】
[実施の形態4]
前述の実施の形態1〜3の液晶表示パネル(201,211)は、ツイストネマティック型液晶ディスプレイ、イン・プレイン型液晶表示装置、ホモジニアス型液晶表示装置、強誘電液晶表示装置、反強誘電液晶表示装置などから偏光板を取り除いた装置で構成される。
図17は、ツイストネマティック型液晶ディスプレイの一例を示す要部断面図である。
ツイストネマティック型液晶ディスプレイの基本構成は、例えば、ITOやSnOxなどで形成される透明導電膜(503,504)で、液晶501を挟み、その外側に偏光板(507,508)を配置した構成である。
ここで、透明導電膜(503,504)上には液晶501を配向させるための配向膜(505,506)が配置されており、配向膜(505,506)の配向方向は、例えば、上下で直交化されている。
透明導電膜(503,504)に電圧を印加しない場合には、液晶501の液晶分子は配向膜(505,506)の配向規制力により、配向膜(505,506)の近傍では、例えば、透明導電膜(503,504)に平行に配向方向に沿って並ぶ。
【0041】
この場合、図18(a)に示すように、液晶分子は、ねじれた構造となり、入射光はこの構造に従って偏光方向が、例えば、90度変化する。
一方、図18(b)に示すように、透明導電膜(503,504)に十分な電圧V5aを印加した場合には、液晶分子は、電界により電界方向例えば透明導電膜(503,504)に垂直に並び、透過する光の偏光は変化しない。
電圧が、電圧V5a以下の場合にはその電圧に応じて偏光方向は連続的に変化する。
このように、ツイストネマティック型液晶ディスプレイでは、透明導電膜(503,504)に印加する電圧により、出射光の偏光方向を変化でき、これにより、光の出射側に設けられた偏光板507により、出射する光の強度を変化できるので、全体として光の透過度を変化させることができる。
前記実施の形態1の液晶表示パネル(201,211)として、この図17に示すツイストネマティック型液晶ディスプレイから偏光板(507,508)を取り除いた装置が使用可能である。
【0042】
図19は、イン・プレイン型液晶ディスプレイの一例を示す要部断面図である。
イン・プレイン型液晶ディスプレイの基本構成は、配向膜(512,514)で液晶513を挟み、配向膜514の外側に、例えば、ITOやSnOxなどで形成される透明導電膜(511,515)を設け、さらに、その外側に偏光板(507,508)を配置した構成である。
ここで、透明導電膜(511,515)は同一平面内にあり、また、配向膜512と配向膜514との配向方向は平行である。
図20(a)に示すように、透明導電膜(511,515)間に電圧を印加しない場合には、液晶513の液晶分子は、配向膜(512,514)の配向規制力により、配向膜(512,514)の配向方向に整列する。
これに対して、図20(b)に示すように、透明導電膜(511,515)間に閾値電圧以上の充分な電圧V5bを印加すると、液晶分子はその印加電圧方向に整列する。
【0043】
このように、複屈折性を有する液晶分子の整列する向きが変化するため、出射光の偏光状態を変化できる。
さらに、透明導電膜(511,515)間に印加する電圧がV5b以下の場合には、その電圧に応じた偏光方向の変化が連続的に得られる。
このように、イン・プレイン型液晶ディスプレイでは、透明導電膜(511,515)間に印加する電圧により、出射光の偏光方向を変化でき、これにより、光の出射側に設けられた偏光板507により、出射する光の強度を変化できるので、全体として光の透過度を変化させることができる。
前記実施の形態1の液晶表示パネル(201,211)として、この図19に示すイン・プレイン型液晶ディスプレイから偏光板(507,508)を取り除いた装置が使用可能である。
【0044】
図21は、ホモジニアス型液晶ディスプレイの一例を示す要部断面図である。ホモジニアス型液晶ディスプレイの基本構成は、例えば、ITOやSnOxなどで形成される透明導電膜(521,525)で、液晶(例えば、ネマティック液晶など)523を挟み、その外側に偏光板(507,508)を配置した構成である。
ここで、透明導電膜(521,525)上には液晶523を配向させるための配向膜(522,524)が配置される。
なお、図21に示す透過型表示装置では、ホモジニアス配向の液晶を用いるため、配向膜522の配向方向と配向膜524との配向方向を同じ(平行)とする。
さらに、ホモジニアス型液晶ディスプレイでは、図22に示すように、入射光の偏光方向を、この配向膜(522,524)の配向方向とずらして入射する。
例えば、直線偏光の時は0度方向と90度方向の中間方向であり、例えば、特に、45度ずらして入射する、あるいは円偏光あるいは楕円偏光とする。
図23(b)に示すように、透明導電膜(521,525)間に閾値電圧以上の充分な電圧V5cを加えると、液晶523の液晶分子はその印加電圧方向に整列する。このため、入射光の偏光方向はほとんど変化せずに出射していく。
【0045】
これに対して、図23(a)に示すように、透明導電膜(521,525)間に電圧を印加しない場合には、配向膜(522,524)の配向規制力により、液晶分子は、配向膜(522,524)の配向方向に向き、かつ配向膜(522,524)に平行に並ぶ。
このため、入射光はこの液晶分子の複屈折性により偏光方向が変化して出射する。
また、透明導電膜(521,525)間に印加する電圧がV5c以下の場合には、その電圧に応じた偏光方向の変化が連続的に得られる。
このように、ホモジニアス型液晶ディスプレイでは、透明導電膜(521,525)間に印加する電圧により、出射光の偏光方向を可変でき、これにより、光の出射側に設けられた偏光板507により、出射する光の強度を変化できるので、全体として光の透過度を変化させることができる。
前記実施の形態1の液晶表示パネル(201,211)として、この図21に示すホモジニアス型液晶ディスプレイから偏光板(507,508)を取り除いた装置が使用可能である。
【0046】
図24は、強誘電あるいは反強誘電型液晶ディスプレイの一例を示す要部断面図である。
強誘電あるいは反強誘電型液晶ディスプレイの基本構成は、例えば、ITOやSnOxなどで形成される透明導電膜(533,534)で、液晶(例えば、強誘電液晶、あるいは反強誘電液晶など)531を挟み、その外側に偏光板(507,508)を配置した構成である。
ここで、透明導電膜(533,534)上には液晶531を配向させるための配向膜(535,536)が配置される。
図25に示すように、透明導電膜(533,534)間に印加する電界の方向にしたがって、液晶531の自発分極の向きが変化するため、液晶531(強誘電液晶あるいは反強誘電液晶)の厚さを充分に薄く(例えば、1μm〜2μm程度など)しておくと、液晶531の自発分極が透明導電膜(533,534)と同じ平面内で変化する。
【0047】
このように、強誘電あるいは反強誘電型液晶ディスプレイでは、透明導電膜(533,534)間に印加する電圧により、複屈折性を有する液晶分子の整列する向きが変化するため、出射光の偏光状態を変化でき、これにより、光の出射側に設けられた偏光板507により、出射する光の強度を変化でき、全体として光の透過度を変化させることができる。
前述の実施の形態1〜3の液晶表示パネル(201,211)として、この図24に示す強誘電あるいは反強誘電型液晶ディスプレイから偏光板(507,508)を取り除いた装置が使用可能である。
【0048】
前記図8、図11に示す構成では、カラーフィルタ(202,212)は、液晶表示パネル(201,211)の外側に配置される構成であったが、このカラーフィルタは、一般に市販されているTFT方式の液晶表示パネル、あるいはSTN方式の液晶表示パネルのように、カラーフィルタを液晶表示パネル内に設けるようにしてもよい。
図26は、内部にカラーフィルタを設けた液晶表示パネルの概略構成を示す要部断面図である。
この図26において、ガラス基板310上には、赤(R)・緑(G)・青(B)のカラーフィルタ302と、ブラックマトリクス303とが設けられ、これらの上に透明電極から成る対向電極306が形成される。
また、ガラス基板311上には、薄膜トランジスタ(TFT;非晶質シリコンTFT)304と、透明電極から成る画素電極305とが形成される。
なお、実際には、対向電極306上、および画素電極305上には、配向膜、あるいは保護膜などが形成されるが、図26では、それらの図示は省略している。
【0049】
画素電極305には、1水平走査ラインの間オンとなる薄膜トランジスタ304を介して、駆動電圧が印加される。
この画素電極305に印加する電圧を制御し、画素電極305と対向電極306との間の液晶層301に印加される印加電圧を変化させることにより、赤(R)・緑(G)・青(B)の各画素単位に、光の偏光方向を制御することができる。
図8に示す構成において、この図26に示す液晶表示パネルを使用しても、前述したような三次元立体像を得ることができる。
また、図8に示す構成において、この図26に示す液晶表示パネルを使用する場合には、一般に市販されている液晶表示パネルの一方の外側に設けられる偏光板を取り除くだけで使用可能となるという利点を有する。
さらに、前記各実施の形態では、本発明を携帯電話器に適用した実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、携帯情報端末などの携帯機器に適用可能である。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0050】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明によれば、ディスプレイ部として、立体視の生理的要因間での矛盾を抑制し、かつ、眼鏡を用いないでカラー画像の三次元立体像を表示可能な三次元表示装置を用いた携帯機器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の携帯電話機の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の基本となる三次元表示装置の表示原理を説明するための図である。
【図3】本発明の基本となる三次元表示装置の表示原理を説明するための図である。
【図4】本発明の基本となる三次元表示装置の表示原理を説明するための図である。
【図5】本発明の基本となる三次元表示装置の表示原理を説明するための図である。
【図6】本発明の基本となる三次元表示装置の表示原理を説明するための図である。
【図7】本発明の基本となる三次元表示装置の表示原理を説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態1の三次元表示装置の概略構成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態1の携帯電話機の使用例を説明するための図である。
【図10】両側に偏光板を配置した透過型表示装置を使用する三次元表示装置を説明するための図である。
【図11】本発明の実施の形態1の三次元表示装置の変形例の概略構成を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態1の三次元表示装置において、三次元物体自体が有する奥行きを表現する場合に、前方の透過型表示装置に表示される2D化像の一例を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態1の三次元表示装置において、三次元物体自体が有する奥行きを表現する場合に、後方の透過型表示装置に表示される2D化像の一例を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態の三次元表示装置の他の変形例の概略構成を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態2の携帯電話機の概略構成を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態3の携帯電話機の概略構成を示す図である。
【図17】ツイストネマティック型液晶ディスプレイの一例を示す要部断面図である。
【図18】ツイストネマティック型液晶ディスプレイの動作を説明するための図である。
【図19】イン・プレイン型液晶ディスプレイの一例を示す要部断面図である。
【図20】イン・プレイン型液晶ディスプレイの動作を説明するための図である。
【図21】ホモジニアス型液晶ディスプレイの一例を示す要部断面図である。
【図22】ホモジニアス型液晶ディスプレイの動作を説明するための図である。
【図23】ホモジニアス型液晶ディスプレイの動作を説明するための図である。
【図24】強誘電あるいは反強誘電型液晶ディスプレイの一例を示す要部断面図である。
【図25】強誘電あるいは反強誘電型液晶ディスプレイの動作を説明するための図である。
【図26】内部にカラーフィルタを設けた液晶表示パネルの概略構成を示す要部断面図である。
【符号の説明】
10…外部筐体、20…基地局、30…透明基板、100…観察者、101,102…透過型表示装置、103…光学系、104…3次元物体、105,106,107,108…2D化像、110…光源、130…レンズ、131…透過制限装置、201,211…液晶表示パネル、202,212,302…カラーフィルタ、203,213,507,508,2031,2131…偏光板、204…散乱板、301,501,513,523,531…液晶層、303…ブラックマトリクス、304…薄膜トランジスタ、305…画素電極、306…対向電極、310,311…ガラス基板、503,504,511,515,521,525,533,534…透明導電膜、505,506,512,514,522,524,535,536…配向膜、1021…結像面。

Claims (7)

  1. 三次元表示装置を備える携帯機器であって、
    前記三次元表示装置は、表示される二次元像の偏光方向を変更可能な第1の透過型表示装置と、
    利用者から見て前記第1の透過型表示装置の後方に配置され、表示される二次元像の偏光方向を変更可能な第2の透過型表示装置と、
    前記第1の透過型表示装置と前記第2の透過型表示装置との間に配置されるレンズと、
    前記各透過型表示装置に表示される二次元像の偏光方向を、各透過型表示装置毎にそれぞれ独立に変化させる第1の手段と、
    前記第1および第2の透過型表示装置を挟むように配置される一対の偏光板とを有し、
    前記第1および第2の透過型表示装置の少なくとも一方は、カラーフィルタを有するとともに、前記各透過型表示装置は、前記利用者から見て異なった奥行き位置にある複数の表示面に対して表示対象物体を前記利用者の視線方向から射影した二次元像を表示し、
    前記第1の手段は、各透過型表示装置に表示される二次元像の偏光方向を前記各透過型表示装置毎にそれぞれ独立に変化させて、前記各透過型表示装置に表示される二次元像の前記利用者から見た透過度を前記各透過型表示装置毎にそれぞれ独立に変化させ、
    前記レンズは、前記第1の透過型表示装置に近接して配置され、前記第2の透過型表示装置に表示される二次元像を、前記第1の透過型表示装置よりも前記利用者側に実像として結像させることを特徴とする携帯機器。
  2. 前記第1および第2の透過型表示装置の少なくとも一方は、内部にカラーフィルタを有することを特徴とする請求項1に記載の携帯機器。
  3. 前記三次元表示装置は、前記第1の透過型表示装置と第2の透過型表示装置との間に配置される散乱板を有し、
    前記第1および第2の透過型表示装置は、カラー画像の二次元像を表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の携帯機器。
  4. 前記三次元表示装置は、前記第1の透過型表示装置と前記第2の透過型表示装置との間に配置される透明基板を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の携帯機器。
  5. 前記三次元表示装置は、利用者から見て前記第1の透過型表示装置の前面、または、利用者から見て前記第2の透過型表示装置の後面、あるいは、前記第1の透過型表示装置と前記第2の透過型表示装置との間の位置に、一定の方向に対して視域幅を持った光を透過する透過制限装置を有することを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の携帯機器。
  6. 前記利用者から見て前記第2の透過型表示装置の後方に配置される光源を有し、
    前記各透過型表示装置は、前記光源からの照射光の偏光方向を変化させて、表示される二次元像の偏光方向を可変することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の携帯機器。
  7. 前記各透過表示装置は、一対の基板と、
    前記一対の基板間に狭持される液晶層とを有し、
    前記各透過型表示装置は、液晶層に印加する電圧を変化させて、前記表示される二次元像の偏光方向を可変することを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の携帯機器。
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