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JP3912375B2 - サスペンション、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッド支持機構、ヘッドアームアセンブリ及びサスペンションの製造方法 - Google Patents

サスペンション、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッド支持機構、ヘッドアームアセンブリ及びサスペンションの製造方法 Download PDF

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JP3912375B2 JP2003427193A JP2003427193A JP3912375B2 JP 3912375 B2 JP3912375 B2 JP 3912375B2 JP 2003427193 A JP2003427193 A JP 2003427193A JP 2003427193 A JP2003427193 A JP 2003427193A JP 3912375 B2 JP3912375 B2 JP 3912375B2
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Description

本発明は、サスペンション、このサスペンションに薄膜磁気ヘッドや光ヘッドなどの記録及び/又は再生ヘッド素子を支持するための浮上型のヘッドスライダを装着してなるヘッドジンバルアセンブリ(HGA)、サスペンションと支持アームとを組み合わせてなるヘッド支持機構、このヘッド支持機構にヘッドスライダを装着してなるヘッドアームアセンブリ(HAA)、及びサスペンションの製造方法に関する。
磁気ディスクドライブ装置では、HGA又はHAAの先端部に取り付けられた磁気ヘッドスライダを、回転する磁気ディスクの表面から浮上させ、その状態で、この磁気ヘッドスライダに搭載された薄膜磁気ヘッド素子により磁気ディスクへの記録及び/又は磁気ディスクからの再生が行われる。
HGAは、磁気ヘッドスライダと、この磁気ヘッドスライダを支持する弾性を有するフレクシャ、このフレクシャを先端部で支持する弾性を有するロードビーム及びこのロードビームの後端部を支持するベースプレートからなるサスペンションとを主に備えており、磁気ヘッドスライダの磁気ディスク面方向への荷重はサスペンションのロードビームの途中に設けられた板ばね部で発生している。
HAAは、剛性を有する支持アームと、上述したごときHGAとから主に構成されるか、又は剛性を有する支持アームと、支持アームの支持点を支点として天秤構造を有するサスペンションと、磁気ヘッドスライダとから主として構成される。
このようなHGA又はHAAにおいて、サスペンションの一部部材、例えばロードビームの剛性を高くすることによって固有振動数の1次曲げモード周波数(以下、1次曲げ周波数と称する)を高め、これによって耐衝撃性を向上させることが検討されている。
ロードビームの剛性を高めるためには、その両側端を折り曲げるという一般的な方法の他に、ダンパ材料を貼り合わせる(例えば、特許文献1、特許文献2)、樹脂製補強部を設ける(例えば、特許文献3)など種々の方法が知られているが、最近は、複数の金属薄板を樹脂接着剤で貼り合わせたラミネート板部材を用いる方法も提案されている(例えば、特許文献4)。
いずれの方法もある程度の効果は得られるが、増加する重量と補強強度とのトレードオフの関係により、所望の特性を得るまでには至っていない。
特開平1−162212号公報 特開平5−334826号公報 特開平8−263946号公報 特開2003−059223号公報
増加する重量と補強強度との関係から、熱可塑性エンジニアリングプラスチックと呼ばれる熱可塑性の高性能樹脂を補強部材として固着することが望ましいが、この熱可塑性樹脂は、次の理由から、磁気ディスクドライブ装置用のサスペンションに使用することが難しかった。
熱可塑性エンジニアリングプラスチックは、一般に、射出成型を利用するという製造工程ゆえに、製造時の樹脂流動性を確保しなければならないので、ある程度の肉厚を必要とする。一方、サスペンションは、その厚みに制限があり、またその使用時の振動特性を確保する必要から磁気ディスク表面側の高さに制限がある。しかも、磁気ディスク面には、潤滑剤がコーティングされている。このため、熱可塑性エンジニアリングプラスチックによる補強部材は、磁気ディスクとは反対側の片面のみに形成することが信頼性を高める上で好ましい。しかしながら、熱可塑性エンジニアリングプラスチックは、熱硬化性の樹脂とは異なり、接合界面に対して、収縮性の力は働くが接着効果のような結合力をほとんど生じないため、ロードビームに使用される金属などの異種材料の板部材に対して全体を包み込むように固着することは可能であるが、その片面のみに固着することは極めて困難である。
従って本発明の目的は、補強又はその他の用途に熱可塑性樹脂を使用可能なサスペンション、HGA、ヘッド支持機構、HAA及びサスペンションの製造方法を提供することにある。
本発明によれば、複数の層を積層して形成されており、少なくとも片面に開口し開口部の径より内部の径が大きい複数の孔を有する多層板部材と、多層板部材の片面の少なくとも一部に被着されており、複数の孔内にその一部が充填されている熱可塑性樹脂層とを備えたサスペンションが提供される。
スペンションの板部材として多層板部材を使用し、開口部の径より内部の径が大きい複数の孔をこの多層板部材に設けておき、これら孔の内部に一部が充填されている熱可塑性樹脂層を多層板部材の片面に被着しているため、孔の内部で硬化した樹脂が固着界面でかしめられる。その結果、この板部材の片面のみに熱可塑性樹脂層を固着することができる。
多層板部材が、外側の層と内側の層とではエッチングレートの異なる複数の層を積層して形成されていることが好ましい。
多層板部材が、第1の金属層と、第2の金属層と、第1及び第2の金属層間に形成された中間樹脂層とを有していることが好ましい。
この場合、複数の孔の各々が、第1の金属層及び中間樹脂層を貫通しており、第2の金属層を非貫通しているか、複数の孔の各々が、第1の金属層、中間樹脂層及び第2の金属層を貫通していることが好ましい。
後者の場合、複数の孔の各々は、第1の金属層内においては、第2の金属層内における径より大きい径を有していることがより好ましい。
複数の孔の各々は、中間樹脂層内においては、第1の金属層内における径より大きい径を有していることが好ましい。
複数の孔の各々は、中間樹脂層内においては、第1の金属層方向に向かって拡がるテーパ状の径を有していることも好ましい。
第1及び第2の金属層がステンレス鋼薄板であり、中間樹脂層がポリイミド樹脂層であることがさらに好ましい。
多層板部材がロードビームであり、熱可塑性樹脂層がロードビームの両側端に沿って被着された補強部材であることも好ましい。
少なくとも1つのヘッド素子を有するヘッドスライダを支持するための弾性を有しており、ロードビームに固着されたフレクシャをさらに備えたことも好ましい。
ロードビームが、ヘッドスライダを記録媒体表面の方向へ押圧するための荷重を発生する荷重発生部を備えていることが好ましい。
本発明によれば、さらに、上述したサスペンションと、サスペンション上に装着された少なくとも1つのヘッド素子を有するヘッドスライダとを備えたHGAが提供される。
本発明によれば、さらにまた、剛性の高い支持アームと、支持アームとの間で設定されている荷重支持点を支点として記録媒体表面と交差する方向に揺動可能な天秤構造をなしている上述したサスペンションと、ヘッドスライダを記録媒体表面の方向へ荷重支持点を介して押圧するための荷重を発生する荷重発生部とを備えたヘッド支持機構が提供される。
サスペンションが、ロードビームと、ロードビームの後端部に固着されたウェイトビームとを備えていることが好ましい。
ウェイトビームに固着されており、ヘッドスライダを含むサスペンションの重心を荷重支持点に一致させるためのウェイト部材をさらに備えており、熱可塑性樹脂層がこのウェイト部材であることも好ましい。
荷重発生部が、サスペンションと一体的に形成されており、支持アームに連結された板ばねからなることも好ましい。
支持アーム及びサスペンションを記録媒体表面と平行な方向に回動可能に支承する水平回動軸受手段をさらに備えたことも好ましい。
水平回動軸受手段に固着されており、支持アーム及びサスペンションを記録媒体表面と平行な方向に回動させるためのアクチュエータ手段をさらに備えたことも好ましい。
本発明によれば、上述したヘッド支持機構と、ヘッド支持機構のサスペンション上に装着された少なくとも1つのヘッド素子を有するヘッドスライダとを備えたHAAが提供される。
本発明によれば、さらに、複数の層を積層してなる多層板部材を用意し、多層板部材の片面よりエッチングすることにより少なくとも片面に開口し開口部の径より内部の径が大きい複数の孔を形成し、熱可塑性樹脂を多層板部材の前記片面の少なくとも一部に被着させることにより、複数の孔内にその一部が充填された熱可塑性樹脂層を形成するサスペンションの製造方法が提供される。
サスペンションの板部材として複数の層を積層してなる多層板部材を使用し、孔エッチングを行うことにより開口部の径より内部の径が大きい複数の孔をこの多層板部材に形成する。次いで、この多層板部材の片面に熱可塑性樹脂を射出モールドすることによって、流動する樹脂をこれら孔の内部に侵入させ、硬化させる。これにより、孔の内部で硬化した樹脂が固着界面でかしめられるので、この板部材の片面のみに熱可塑性樹脂層を固着することができる。
多層板部材として、外側の層と内側の層とではエッチングレートの異なる複数の層を積層した多層板部材を用意することが好ましい。
多層板部材として、第1の金属層と、第2の金属層と、第1及び第2の金属層間に形成された中間樹脂層とを有する多層板部材を用意することが好ましい。
この場合、各々が、第1の金属層及び前記中間樹脂層を貫通しており、第2の金属層を非貫通している複数の孔を形成するか、又は各々が、第1の金属層、中間樹脂層及び第2の金属層を貫通している複数の孔を形成することがより好ましい。
後者の場合、各々が、第1の金属層内においては、第2の金属層内における径より大きい径を有している複数の孔を形成することが好ましい。
各々が、中間樹脂層内においては、第1の金属層内における径より大きい径を有している複数の孔を形成することも好ましい。
各々が、中間樹脂層内においては、第1の金属層方向に向かって拡がるテーパ状の径を有している複数の孔を形成することも好ましい。
第1及び第2の金属層がステンレス鋼薄板であり、中間樹脂層がポリイミド樹脂層である多層板部材を用意することが好ましい。
本発明によれば、板部材の片面のみに熱可塑性樹脂層を固着することができるので、サスペンションの補強又はその他の用途に熱可塑性樹脂を使用することが可能となる。
図1は本発明の一実施形態として、磁気ディスクドライブ装置の要部の構成を概略的に示す斜視図であり、図2は本実施形態におけるHGA全体を表す斜視図であり、図3は本実施形態におけるロードビーム及びベースプレートの構成を示す斜視図であり、図4は本実施形態におけるロードビーム及びベースプレートの構成を示す分解斜視図である。ただし、いずれの図においても、配線部材は図示が省略されている。
図1において、10は軸11の回りを回転する複数の磁気ディスク、12は磁気ヘッドスライダをトラック上に位置決めするためのアセンブリキャリッジ装置をそれぞれ示している。アセンブリキャリッジ装置12は、軸13を中心にして角揺動可能なキャリッジ14と、このキャリッジ14を角揺動駆動する例えばボイスコイルモータ(VCM)からなるアクチュエータ15とから主として構成されている。
キャリッジ14には、軸13の方向にスタックされた複数の支持アーム16の基部が取り付けられており、各支持アーム16の先端部にはHGA17が固着されている。各HGA17は、その先端部に設けられている磁気ヘッドスライダが、各磁気ディスク10の表面に対して対向するように支持アーム16の先端部に設けられている。
図2に示すように、HGAは、サスペンション20の先端部に、磁気ヘッド素子を有する磁気ヘッドスライダ21を固着して構成される。
サスペンション20は、ロードビーム22と、このロードビーム22の先端部に設けられた弾性を有するフレクシャ23と、ロードビーム22の後端部に固着されたベースプレート24と、ロードビーム22の一部に固着された補強部材25と、フレクシャ23及びロードビーム22上に形成又は固着された図示されていない配線部材とから主として構成されている。
ロードビーム22は、本実施形態においては、図4の分解斜視図に明瞭に示されているように、例えばステンレス鋼板(例えばSUS304TA)による第1の金属薄板22aと、ポリイミド樹脂層である樹脂中間層22bと、例えばステンレス鋼板(例えばSUS304TA)による第2の金属薄板22cとを積層して形成された3層構造の多層板部材を加工して構成されている。
ロードビーム22の剛性が要求される部分は、この3つの層を全て残し、弾性が要求される部分は第2の金属薄板22cのみが残されて他の層は除去されている。この第2の金属薄板22cのみが残された部分に、フレクシャ23を介して磁気ヘッドスライダ21を磁気ディスク方向に押えつける荷重を発生するためのばね部26が形成されている。
補強部材25は、例えば液晶ポリマー(LCP)やポリフェニルサルファイド(PPS)などの熱可塑性樹脂をロードビーム22の片面(磁気ディスクに対向する面とは反対側の面)の両側端部を含む一部領域上にモールドすることによって形成されている。
熱可塑性樹脂からなる補強部材25をロードビーム22の片面に堅固に固着するために、ロードビーム22には、複数のモールド用孔がエッチングによってあらかじめ形成されている。即ち、図4に示すように、第1の金属薄板22aには複数の貫通孔27が形成されており、中間樹脂層22bには貫通孔27と同じ位置に複数の貫通孔28が形成されている。第2の金属薄板22cには、本実施形態では、モールド用孔は形成されていない。第1の金属薄板22aに形成された貫通孔27の径は中間樹脂層22bに形成された貫通孔28の径より小さくなっている。
これらモールド用孔内に熱可塑性樹脂が流入し、硬化することによってその硬化した樹脂が固着界面でかしめられ、これにより、ロードビーム22の片面のみに熱可塑性樹脂による補強部材25が堅固に固着されることとなる。
図5は本実施形態におけるモールド用孔及び熱可塑性樹脂による補強部材の構造を示す断面図である。
同図に示すように、第1の金属薄板22aに貫通孔27が形成されており、その下層である中間樹脂層22bには貫通孔27より径の大きい貫通孔28が形成されており、第2の金属薄板22cには孔が形成されていない。このようなモールド用孔に熱可塑性樹脂の一部25aが流れ込んで硬化することによって、補強部材25は、片面であってもしっかり固着可能となるのである。
図2及び図3に示すように、フレクシャ23は、ロードビーム22に設けられたディンプル29によって押圧される適切なスティフネスを有する舌部23aを有しており、この舌部23a上には、磁気ヘッドスライダ21が固着されている。フレクシャ23は、ステンレス鋼板(例えばSUS304TA)によって構成されており、舌部23aで磁気ヘッドスライダ21を柔軟に支えるような弾性を持っている。なお、フレクシャ23とロードビーム22との固着は、レーザビーム溶接によってなされている。
フレクシャ23上には、図示されていないが、配線部材として、薄膜磁気ヘッド素子用のトレース導体及び接続パッド等が形成されている。このトレース導体及び接続パッド等は、フレクシャ23の表面に直接積層しても良いし、樹脂層上にトレース導体を積層して形成したフレキシブルプリント回路(FPC)をフレクシャ23の表面に接着しても良い。
磁気ヘッドスライダ21には、本実施形態では書込みヘッド素子及び磁気抵抗効果(MR)読出しヘッド素子による1つの薄膜磁気ヘッド素子が形成されている。
ベースプレート24は、剛性の高いステンレス鋼板又は鉄板で構成されており、ロードビーム22の基部に溶接によって固着されている。このベースプレート24が図1に示した支持アーム16に取り付けられる。
本実施形態におけるサスペンションを製造するには、第1の金属薄板22aと、樹脂中間層22bと、第2の金属薄板22cとを積層して形成された3層構造の多層板部材に対して、エッチング(ウェットエッチング又はドライエッチング)により、ロードビームの形状及び板厚加工を行うと共にその片面からモールド用孔を形成する。樹脂中間層22bに、第1の金属薄板22aの孔27より大きな径の孔28を開けることは、エッチングレートが異なることを利用し、エッチング方法及び条件を適切に選べば極めて簡単に実現できる。なお、この場合のエッチング方法は問わない。
次いで、射出成型を行って、流動状の熱可塑性樹脂を多層板部材の片面の所望領域に流し込むことにより、この樹脂がモールド用の孔には入り込み、硬化する。これにより、孔の内部で硬化した樹脂が固着界面でかしめられるので、ロードビーム22の片面のみに強固に固着した熱可塑性樹脂による補強部材25を形成することができる。
以後のサスペンションの製造工程は、公知の一般的な工程と同様である。
図6は、上述した実施形態の一変更態様におけるモールド用孔及び熱可塑性樹脂による補強部材の構造を示す断面図である。
同図に示すように、この変更態様においては、中間樹脂層22b′内のモールド用孔が、第1の金属薄板22a′方向に向かって拡がるテーパ状の径を有している。即ち、第1の金属薄板22a′には貫通孔27′が形成されており、その下層である中間樹脂層22b′には貫通孔27′より径が大きくその径がテーパ状に拡がる貫通孔28′が形成されており、第2の金属薄板22c′には孔が形成されていない。このようなモールド用孔に熱可塑性樹脂の一部25a′が流れ込んで硬化することによって、補強部材25′は片面により強固に固着可能となる。
図7は、上述した実施形態の他の変更態様におけるモールド用孔及び熱可塑性樹脂による補強部材の構造を示す断面図である。
同図に示すように、この変更態様においては、第2の金属薄板22c″にも同じ位置に貫通孔30が形成されている。ただし、その貫通孔30の径は第1の金属薄板22a″の貫通孔27″の径より小さい。即ち、第1の金属薄板22a″には貫通孔27″が形成されており、その下層である中間樹脂層22b″にも貫通孔27″より径が大きい貫通孔28″が形成されており、さらに、第2の金属薄板22c″にも貫通孔30が形成されている。この貫通孔30は、モールド用孔への樹脂の流入時の空気抜き孔として働けば良いため及びロードビームの反対側の面に樹脂が流れ出ないようにするため、貫通孔27″より小さい径となっている。このようなモールド用孔に熱可塑性樹脂の一部25a″が流れ込んで硬化することによって、補強部材25″は片面固着であっても強固に固着可能となる。
図8は本発明の他の実施形態における磁気ディスクドライブ装置の要部の構成を概略的に示す平面図であり、図9は本実施形態の磁気ディスクドライブ装置に装着されるHAAを上方(磁気ヘッドスライダ装着側とは反対側)から見た斜視図であり、図10はこのHAAを下方(磁気ヘッドスライダ装着側)から見た斜視図であり、図11はこのHAAにおけるフレクシャ、ロードビーム及びウェイトビームの構成を示す斜視図であり、図12はこのHAAにおけるロードビーム及びウェイトビームの構成を示す分解斜視図であり、図13はこのHAAにおけるウェイトビームの構成を示す分解斜視図である。ただし、いずれの図においても、配線部材は図示が省略されている。
図8において、80は軸81の回りを回転する磁気ディスク、82は磁気ディスク80の表面に対向する磁気ヘッドスライダを支持アーム83及びロードビーム84を介して先端部に装着し、後端部にVCMコイル部85を装着したHAA、86はHAA82の支持アーム83を磁気ディスク80の表面と平行に(水平方向に)回動させるためのベアリングハウジングを示している。
VCMは、コイル部85と図示しないヨーク部とから構成されており、ベアリングハウジング86の軸方向にスタックされた単数又は複数のHAA82をこの軸を中心にして磁気ディスク80の表面と平行に回動させ、これによってその先端部に取り付けられた磁気ヘッドスライダのシーク動作が行われる。
図9〜図13に示すように、本実施形態におけるHAA82は、剛性の非常に高い支持アーム83と、ロードビーム84、このロードビーム84の支持アーム83とは反対側の面の後端部にその先端部が重畳して固着されているウェイトビーム87、フレクシャ88及び図示されていない配線部材から主として構成されるサスペンションと、このサスペンションの先端部に装着された磁気ヘッドスライダ89と、荷重を発生するための板ばね90と、ウェイトビーム87の支持アーム83側の面上の両側端部に固着されており、回転モーメントの釣り合いを取るためのウェイト部材91とを備えている。
サスペンション、磁気ヘッドスライダ89及びウェイト部材91は、1対の突起からなる荷重支持点92を支点として磁気ディスク表面と略垂直方向に揺動する先端部天秤構造となっている。なお、サスペンションは、板ばね90によって支持アーム83に連結されており、この板ばね90及び突起92を除いては支持アーム83にも他の部材にも連結されていない、いわゆる浮動状態となっている。
支持アーム83は非常に剛性の高い部材、例えば150〜250μm程度と厚いステンレス鋼板で構成されている。
ロードビーム84は、本実施形態では、フレクシャ88より剛性の高い例えば厚さ約30〜50μmのステンレス鋼板(例えばSUS304TA)等の単一の金属板で構成されている。このロードビーム84の先端部には、フレクシャ88を介して磁気ヘッドスライダ89に荷重を印加するための荷重ディンプル(突起)93が形成されている。さらに、本実施形態においては、このロードビーム84に、板ばね90と1対の突起からなる荷重支持点92とが一体的に形成されている。より具体的には、板ばね90は、ロードビーム84と同じ板部材を切り抜いて、又は、ロードビーム84に別部材を溶接することによって形成されている。この板ばね90はロードビーム84の後端部において曲げられ、その前方へ向かって自由端が伸長している。板ばね90のこの自由端を支持アーム83の裏側にレーザビーム溶接などで固着することによって、ロードビーム84及びウェイトビーム87は支持アーム83に連結されている。1対の突起からなる荷重支持点92は、ロードビーム84と同じ板部材にプレスによるディンプル加工で形成されている。
フレクシャ88は、本実施形態では、弾性を有する1枚の例えば厚さ約20〜30μmのステンレス鋼板(例えばSUS304TA)等の金属板で形成されている。フレクシャ88の先端部には軟らかい舌部が形成されており、この舌部で磁気ヘッドスライダ89を柔軟に支えて浮上姿勢を安定させている。本実施形態では、このフレクシャ88は、ロードビーム84上に例えばレーザビーム溶接により固着されている。
フレクシャ88上には、図示されていないが、配線部材として、薄膜磁気ヘッド素子用のトレース導体及び接続パッド等が形成されている。このトレース導体及び接続パッド等は、フレクシャ88の表面に直接積層しても良いし、樹脂層上にトレース導体を積層して形成したFPCをフレクシャ88の表面に接着しても良い。
磁気ヘッドスライダ89には、本実施形態では書込みヘッド素子及びMR読出しヘッド素子による1つの薄膜磁気ヘッド素子が形成されている。
ウェイトビーム87は、本実施形態では、図13の分解斜視図に明瞭に示されているように、例えばステンレス鋼板(例えばSUS304TA)による第1の金属薄板87aと、ポリイミド樹脂層である樹脂中間層87bと、例えばステンレス鋼板(例えばSUS304TA)による第2の金属薄板87cとを積層して形成された3層構造の多層板部材を加工して構成されている。このウェイトビーム87は、その前端部がロードビーム84の後端部であって支持アーム83とは反対側の面に重畳して例えばレーザビーム溶接により固着されている。
ウェイト部材91は、例えば液晶ポリマー(LCP)やポリフェニルサルファイド(PPS)などの熱可塑性樹脂をウェイトビーム87の片面(磁気ディスクに対向する面とは反対側の面)の両側端部にモールドすることによって形成されている。このモールド位置、その形状及び重量は、磁気ヘッドスライダ89を含むサスペンションの重心が荷重支持点に一致するように決定される。
熱可塑性樹脂からなるウェイト部材91をウェイトビーム87の片面に堅固に固着するために、ウェイトビーム87には、複数のモールド用孔がエッチングによってあらかじめ形成されている。即ち、図13に示すように、第1の金属薄板87aには複数の貫通孔94が形成されており、中間樹脂層87bには貫通孔94と同じ位置に複数の貫通孔95が形成されている。第2の金属薄板87cには、本実施形態では、モールド用孔は形成されていない。第1の金属薄板87aに形成された貫通孔94の径は中間樹脂層87bに形成された貫通孔95の径より小さくなっている。
これらモールド用孔内に熱可塑性樹脂が流入し、硬化することによってその硬化した樹脂が固着界面でかしめられ、これにより、ウェイトビーム87の片面のみに熱可塑性樹脂によるウェイト部材91が堅固に固着されることとなる。
本実施形態においても、図6及び図7の変更態様に準じて、モールド用孔及び熱可塑性樹脂によるウェイト部材の構造を変更することが可能である。
本実施形態におけるサスペンションを製造するには、第1の金属薄板87aと、樹脂中間層87bと、第2の金属薄板87cとを積層して形成された3層構造の多層板部材に対して、エッチング(ウェットエッチング又はドライエッチング)により、ウェイトビームの形状及び板厚加工を行うと共にその片面からモールド用孔を形成する。樹脂中間層87bに、第1の金属薄板87aの孔94より大きな径の孔95を開けることは、エッチングレートが異なることを利用し、エッチング方法及び条件を適切に選べば極めて簡単に実現できる。なお、この場合のエッチング方法は問わない。
次いで、射出成型を行って、流動状の熱可塑性樹脂を多層板部材の片面の所望領域に流し込むことにより、この樹脂がモールド用の孔には入り込み、硬化する。これにより、孔の内部で硬化した樹脂が固着界面でかしめられるので、ウェイトビーム87の片面のみに強固に固着した熱可塑性樹脂によるウェイト部材91を形成することができる。
以後のサスペンションの製造工程は、公知の一般的な工程と同様である。
上述した実施形態では、多層板部材として、第1の金属薄板と、樹脂中間層と、第2の金属薄板とを積層して形成された3層構造の多層板部材を用いて説明しているが、樹脂中間層は、エッチングレートが異なる層であれば、樹脂に限らず金属層であっても良い。また、積層する層数も3層である必要はなく、4層以上のいかなる層数であっても良い。
以上、薄膜磁気ヘッド素子を備えたHAA及び磁気ディスク装置を用いて本発明を説明したが、本発明は、このようなHAA及び磁気ディスク装置にのみ限定されるものではなく、薄膜磁気ヘッド素子以外の例えば光ヘッド素子等のヘッド素子を備えたHAA及びディスク装置にも適用可能であることは明らかである。
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
本発明の一実施形態として、磁気ディスクドライブ装置の要部の構成を概略的に示す斜視図である。 図1の実施形態におけるHGA全体を表す斜視図である。 図1の実施形態におけるロードビーム及びベースプレートの構成を示す斜視図である。 図1の実施形態におけるロードビーム及びベースプレートの構成を示す分解斜視図である。 図1の実施形態におけるモールド用孔及び熱可塑性樹脂による補強部材の構造を示す断面図である。 図1の実施形態の一変更態様におけるモールド用孔及び熱可塑性樹脂による補強部材の構造を示す断面図である。 図1の実施形態の他の変更態様におけるモールド用孔及び熱可塑性樹脂による補強部材の構造を示す断面図である。 本発明の他の実施形態として、磁気ディスクドライブ装置の要部の構成を概略的に示す平面図である。 図8の実施形態の磁気ディスクドライブ装置に装着されるHAAを上方から見た斜視図である。 図8のHAAを下方から見た斜視図である。 図8のHAAにおけるフレクシャ、ロードビーム及びウェイトビームの構成を示す斜視図である。 図8のHAAにおけるロードビーム及びウェイトビームの構成を示す分解斜視図である。 図8のHAAにおけるウェイトビームの構成を示す分解斜視図である。
符号の説明
10、80 磁気ディスク
11、13、81 軸
12 アセンブリキャリッジ装置
14 キャリッジ
15 アクチュエータ
16、83 支持アーム
17 HGA
20 サスペンション
21、89 磁気ヘッドスライダ
22、84 ロードビーム
22a、22a′、22a″、87a 第1の金属薄板
22b、22b′、22b″、87b 中間樹脂層
22c、22c′、22c″、87c 第2の金属薄板
23、88 フレクシャ
23a 舌部
24 ベースプレート
25、25′、25″ 補強部材
26 ばね部
27、27′、27″、28、28′、28″、30、94、95 貫通孔
29、93 ディンプル
82 HAA
85 VCMコイル部
86 ベアリングハウジング
87 ウェイトビーム
90 板ばね
91 ウェイト部材
92 荷重支持点

Claims (29)

  1. 複数の層を積層して形成されており、少なくとも片面に開口し開口部の径より内部の径が大きい複数の孔を有する多層板部材と、該多層板部材の前記片面の少なくとも一部に被着されており、前記複数の孔内にその一部が充填されている熱可塑性樹脂層とを備えたことを特徴とするサスペンション。
  2. 前記多層板部材が、外側の層と内側の層とではエッチングレートの異なる複数の層を積層して形成されていることを特徴とする請求項に記載のサスペンション。
  3. 前記多層板部材が、第1の金属層と、第2の金属層と、該第1及び第2の金属層間に形成された中間樹脂層とを有していることを特徴とする請求項又はに記載のサスペンション。
  4. 前記複数の孔の各々が、前記第1の金属層及び前記中間樹脂層を貫通しており、前記第2の金属層を非貫通していることを特徴とする請求項に記載のサスペンション。
  5. 前記複数の孔の各々が、前記第1の金属層、前記中間樹脂層及び前記第2の金属層を貫通していることを特徴とする請求項に記載のサスペンション。
  6. 前記複数の孔の各々は、前記第1の金属層内においては、前記第2の金属層内における径より大きい径を有していることを特徴とする請求項に記載のサスペンション。
  7. 前記複数の孔の各々は、前記中間樹脂層内においては、前記第1の金属層内における径より大きい径を有していることを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載のサスペンション。
  8. 前記複数の孔の各々は、前記中間樹脂層内においては、前記第1の金属層方向に向かって拡がるテーパ状の径を有していることを特徴とする請求項に記載のサスペンション。
  9. 前記第1及び第2の金属層がステンレス鋼薄板であり、前記中間樹脂層がポリイミド樹脂層であることを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載のサスペンション。
  10. 前記多層板部材がロードビームであり、前記熱可塑性樹脂層が該ロードビームの両側端に沿って被着された補強部材であることを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載のサスペンション。
  11. 少なくとも1つのヘッド素子を有するヘッドスライダを支持するための弾性を有しており、前記ロードビームに固着されたフレクシャをさらに備えたことを特徴とする請求項10に記載のサスペンション。
  12. 前記ロードビームが、ヘッドスライダを記録媒体表面の方向へ押圧するための荷重を発生する荷重発生部を備えていることを特徴とする請求項10又は11に記載のサスペンション。
  13. 請求項から12のいずれか1項に記載のサスペンションと、該サスペンション上に装着された少なくとも1つのヘッド素子を有するヘッドスライダとを備えたことを特徴とするヘッドジンバルアセンブリ。
  14. 剛性の高い支持アームと、該支持アームとの間で設定されている荷重支持点を支点として記録媒体表面と交差する方向に揺動可能な天秤構造をなしている請求項からのいずれか1項に記載のサスペンションと、前記ヘッドスライダを前記記録媒体表面の方向へ前記荷重支持点を介して押圧するための荷重を発生する荷重発生部とを備えたことを特徴とするヘッド支持機構。
  15. 前記サスペンションが、ロードビームと、該ロードビームの後端部に固着されたウェイトビームとを備えていることを特徴とする請求項14に記載のヘッド支持機構。
  16. 前記ウェイトビームに固着されており、前記ヘッドスライダを含む前記サスペンションの重心を前記荷重支持点に一致させるためのウェイト部材をさらに備えており、前記熱可塑性樹脂層が該ウェイト部材であることを特徴とする請求項15に記載のヘッド支持機構。
  17. 前記荷重発生部が、前記サスペンションと一体的に形成されており、前記支持アームに連結された板ばねからなることを特徴とする請求項14から16のいずれか1項に記載のヘッド支持機構。
  18. 前記支持アーム及び前記サスペンションを前記記録媒体表面と平行な方向に回動可能に支承する水平回動軸受手段をさらに備えたことを特徴とする請求項14から17のいずれか1項に記載のヘッド支持機構。
  19. 前記水平回動軸受手段に固着されており、前記支持アーム及び前記サスペンションを前記記録媒体表面と平行な方向に回動させるためのアクチュエータ手段をさらに備えたことを特徴とする請求項18に記載のヘッド支持機構。
  20. 請求項14から19のいずれか1項に記載のヘッド支持機構と、該ヘッド支持機構の前記サスペンション上に装着された少なくとも1つのヘッド素子を有するヘッドスライダとを備えたことを特徴とするヘッドアームアセンブリ。
  21. 複数の層を積層してなる多層板部材を用意し、該多層板部材の片面よりエッチングすることにより少なくとも該片面に開口し開口部の径より内部の径が大きい複数の孔を形成し、熱可塑性樹脂を該多層板部材の前記片面の少なくとも一部に被着させることにより、前記複数の孔内にその一部が充填された熱可塑性樹脂層を形成することを特徴とするサスペンションの製造方法。
  22. 前記多層板部材として、外側の層と内側の層とではエッチングレートの異なる複数の層を積層した多層板部材を用意することを特徴とする請求項21に記載の製造方法。
  23. 前記多層板部材として、第1の金属層と、第2の金属層と、該第1及び第2の金属層間に形成された中間樹脂層とを有する多層板部材を用意することを特徴とする請求項21又は22に記載の製造方法。
  24. 各々が、前記第1の金属層及び前記中間樹脂層を貫通しており、前記第2の金属層を非貫通している前記複数の孔を形成することを特徴とする請求項23に記載の製造方法。
  25. 各々が、前記第1の金属層、前記中間樹脂層及び前記第2の金属層を貫通している前記複数の孔を形成することを特徴とする請求項23に記載の製造方法。
  26. 各々が、前記第1の金属層内においては、前記第2の金属層内における径より大きい径を有している前記複数の孔を形成することを特徴とする請求項25に記載の製造方法。
  27. 各々が、前記中間樹脂層内においては、前記第1の金属層内における径より大きい径を有している前記複数の孔を形成することを特徴とする請求項23から26のいずれか1項に記載の製造方法。
  28. 各々が、前記中間樹脂層内においては、前記第1の金属層方向に向かって拡がるテーパ状の径を有している前記複数の孔を形成することを特徴とする請求項27に記載の製造方法。
  29. 前記第1及び第2の金属層がステンレス鋼薄板であり、前記中間樹脂層がポリイミド樹脂層である多層板部材を用意することを特徴とする請求項23から28のいずれか1項に記載の製造方法。
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