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JP3912118B2 - 無線通信システム、無線通信端末および制御局 - Google Patents

無線通信システム、無線通信端末および制御局 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
少なくとも2つの制御局と少なくとも2つの移動局から構成される時分割復信方式を採用した無線通信システムに関し、特に、移動局間の干渉を除去するシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
HiperLAN/type2あるいはHiSWANa等の無線LANシステムでは、送受信の多重化方式として、時分割復信(TDD:Time
Division Duplex)方式を採用している。これは、一つの周波数を制御局から移動局へのダウンリンクと移動局から制御局へのアップリンクとで時間的に分割して共用する方式である。前記HiperLAN/type2、HiSWANa等のシステムでは、ダウンリンク区間とアップリンク区間の境界は可変となっている。このことにより、ユーザートラフィックの多寡に応じて、最適な資源(アップリンク、ダウンリンクトラフィックチャネル)の割り当てができるという利点を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ダウンリンク区間、アップリンク区間のタイミングが必ずしも複数の移動局間で一致していないため、或る移動局のアップリンク送信信号が、同一周波数を使用する他の移動局の受信に対して干渉を与えうるという問題が存在する。
【0004】
当然ながら、この同一チャネル干渉問題は、制御局の送信信号同士でも存在しうる。この問題に関しては、制御局同士の干渉が生じない、或いは制御局同士の干渉が最小限となるように制御局を配置(地理的配置を意味する)することで、干渉を最小限に抑えることができる。
【0005】
しかし、移動局間の通信の干渉に関しては、移動局の配置(地理的配置)をあらかじめ決定しておくことはできないため、移動局間の干渉の方が重要な問題となる。すなわち、移動局間で干渉が生じた結果、受信特性が劣化し、スループットが低下するという問題が発生する。
【0006】
本発明は、この問題を解消し、時分割復信方式を採用する無線通信システムにおいても、良好な通信路を保証することができるシステムならびにそのための無線通信端末および制御局を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による無線通信システムは、少なくとも2つの制御局と少なくとも2つの移動局から構成される時分割復信方式を採用した無線通信システムにおいて、第1の制御局と直接通信を行っている第1の移動局は、自己の通信が他の移動局による通信と干渉が生じていることを検知したとき、当該干渉が生じていることを示す情報および受信可能な第2の制御局の識別情報を前記第1の制御局に通知し、通知を受けた第1の制御局は第2の制御局と通信し、第1の制御局と第1の移動局間の通信を、第1の制御局と第2の制御局との通信、第2の制御局と第2の移動局の通信、及び第2の移動局と第1の移動局間の直接通信に置き換えることにより、前記第2の移動局及び第2の制御局を介して前記第1の制御局と前記第1の移動局間の通信が実行されることを特徴とする。これは、移動局間の干渉が発生した際に、一方の移動局と制御局の間の通信を他方の移動局の通信フレーム内に包含させることにより、当該一方の移動局と制御局間の通信をなくし、これによって干渉を回避するものである。
【0008】
第1の移動局は移動局間の干渉を検知したとき、自己の制御局である第1の制御局にその旨を報告して、干渉の原因となっている第2の移動局の属する制御局である第2の制御局に対して、第2の移動局の送信タイミングの変更を要請する。これにより、移動局間の干渉が回避される。
【0009】
当該干渉が生じた時期を示すタイミング情報は、前記第1の移動局が、前記干渉が生じていることを検知したとき、前記第1の制御局に通知する以外に、第1の制御局が生成することも可能である。
【0010】
制御局統括局をさらに備える場合には、前記第1の移動局から前記通知を受けた第1の制御局は、前記第2の制御局に対して直接通知を行うのではなく前記制御局統括局を介して前記通知を行うことも可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。本発明の移動局を制御する制御局として,基地局を例示することができる。また,本発明の制御局を統括する制御局統括局として,基地局制御局を例示することができる。本実施形態においては,制御局を基地局として,制御局統括局を基地局制御局として以下説明する。
【0015】
図1に本発明による無線通信システムの概略構成を示す。本図では、各基地局に対しそれぞれ1つの移動局(無線通信端末)が接続される移動体通信システムを示している。このシステムは、少なくとも2つの基地局11,14および少なくとも2つの移動局12,15を備えている。基地局11、14は、それぞれのサービスエリア13,16を有している。以降、基地局11、移動局12から構成される無線通信システムを「システムA」と呼び、基地局13、移動局15から構成される無線通信システムを「システムB」と呼ぶ。
【0016】
基地局11、13は自基地局に接続されている移動局に関する情報を、お互いに交換するための機構を有している。本図では、通信路17がこれに供される基地局間通信のための通信路を示す。
【0017】
基地局間の通信方法として、図1に示すような基地局間直接リンクを用いる方法と、図2に示すような、基地局制御局(基地局統括局)18を用いる方法がある。基地局制御局は、アクセスポイントコントローラ(Access Point Controller:APC)とも呼ばれる。さらに基地局の個数が増加した場合を想定すれば分かるように、図1の方法はメッシュ型のシステムを構成するのに対し、図2の方法はスター型のシステムを構成する。図1の構成では基地局制御局18を必要としないが、基地局の個数が増加すると通信路17の個数が飛躍的に増大する。これに対して、図2の構成では基地局制御局18を必要とするが、基地局の個数が増加しても通信路27の個数は基地局の個数分のみで済む。どちらの方法を採用するにしても、基地局間で移動局の情報を交換し、自基地局に接続する移動局を制御するという本質には変わりが無い。したがって、以降は図2の構成を用いて説明することとする。
【0018】
なお、本システムでは、移動局から基地局への送信をアップリンクと呼び、基地局から移動局への送信をダウンリンクと呼ぶ。また移動局と移動局の通信を直接リンクと呼ぶ。
【0019】
図11に、移動局としての無線通信端末の構成例を示す。移動局の全体の動作を制御するのが制御部125であり、その内部に、図示しないが、後述する各種タイマを有している。基地局からの信号は、アンテナ111から共用器112を経てRF受信部113、復調部114および復号部115で示される各受信ブロックで処理され、プロトコル処理部116に渡される。ここで、受信したメッセージから所定の情報を取り出し、制御線126を介し制御部125に伝達する。基地局への信号は、符号部121、変調部120およびRF送信部119で示される各送信ブロックで処理され、共用器112およびアンテナ111を介して発信される。受信される音声信号は音声処理部122で処理され、スピーカ124から音声として出力される。マイク123から入力される音声は音声処理部122で処理され、符号部121へ音声信号として入力される。プロトコル処理部116と接続されたユーザーインターフェイス部117は操作キーやディスプレイを含む操作部118に接続され、ユーザとのインターフェイスを司る。
【0020】
なお、基地局の構成は、一部不要な要素もあるが、基本的には移動局(無線通信端末)の構成と同じである。
【0021】
図3に本システムで使用される無線チャネルのフォーマットを示す。本システムでは前述した時分割復信方式を採用しており、一つの無線周波数チャネルを基地局から移動局へのダウンリンクと、移動局から基地局へのアップリンクで時分割で共用する。図3中、ブロードキャストチャネル(BCH)31は、本システムに属するすべての移動局が受信しなければならないチャネルである。本チャネルには、同期情報、および基地局を識別するための識別子が含まれる。フレームコントロールチャネル(FCH)32には本システムに属する移動局に対するページング情報が格納される。このページング情報としては、自移動局が受信すべきダウンリンクトラフィックチャネルの開始位置が格納されている。アクセスフィードバックチャネル(ACH)33には、ランダムアクセスチャネル36に対する基地局からの応答が格納されている。ダウンリンクトラフィックチャネル34には、基地局から移動局への送信データが格納されている。複数の移動局がある場合には、ダウンリンクトラフィックチャネルはそれぞれ移動局1用のトラフィックチャネル、移動局2用のトラフィックチャネル、というように時間的に分割される。アップリンクトラフィックチャネル35には、移動局から基地局への送信データが格納されている。アップリンクトラフィックチャネル35は、ダウンリンクトラフィックチャネル34と同様に、複数の移動局がある場合、時間軸で複数の移動局に分割される。ランダムアクセスチャネル(RCH)36は、トラフィックチャネルの割り当てを受けたい移動局が基地局に割り当て要求を行うために用いるチャネルである。
【0022】
図4に、図1の構成において移動局間の通信の干渉が発生する場合のシステムA,Bのフレームフォーマットの例を示す。本構成において、システムA,Bとも同一周波数を使用しているとする。基地局同士は、基地局間の干渉が起こらない程度に距離を離して設置されるが、移動局が基地局のサービスエリアの縁(フリンジ)に居る場合、システムAの移動局の送信信号はシステムBの移動局に対し干渉を与える場合がある。またその逆にシステムBの移動局の送信信号がシステムAの移動局に対し干渉を与える場合がある。図4は、そのような干渉が生じた場合の例を示している。システムAのダウンリンク区間内の所定の位置には移動局12に受信タイミングが割り当てられ、その位置に受信バースト41を示している。同じくシステムAのアップリンク区間内の所定の位置には移動局12に対して送信タイミングが割り当てられ、その位置に送信バースト42を示している。同様に、システムBのダウンリンク区間内の所定の位置には移動局15に受信タイミングが割り当てられ、その位置に受信バースト43を示している。同じくシステムBのアップリンク区間内の所定の位置には移動局15に対して送信タイミングが割り当てられ、その位置に送信バースト44を示している。このような割当可能な送受信タイミングの時間幅は、予め定められており、例えばHiperLAN/type2では4μS単位のn倍である。
【0023】
システムA,BのTDDでの送受信切り替えタイミングは、それぞれ、ダウンリンク区間とアップリンク区間の境界46,45で示されており、これが両システムでは一致してない。この状態では、斜線で示した区間47で、移動局15と移動局12の送受信タイミングが重なっているために、移動局15の送信信号が移動局13の受信信号に対し干渉を与えていることが分かる。
【0024】
本発明は、このような移動局間の干渉を避ける為の機構(手段)を提供するものである。
【0025】
この機構を図5を用い説明する。無線通信システムA,Bにそれぞれ属する基地局A,Bは、自局を同定するための識別子をブロードキャストチャネルを用いて送っている(51、52)。それぞれシステムA,Bに属する移動局A,Bは、このブロードキャストチャネル中の基地局識別子を復号することで、自局がどの基地局に接続しているのかを判断できる。ここで、システムAの移動局Aのように、システムAの基地局AとシステムBの基地局Bのいずれの送信信号も受信可能な状況にある場合を想定する(53)。このとき、当該移動局Aは自基地局Aのブロードキャストチャネルと同様の手順で他基地局Bのブロードキャストチャネルを受信・復号することで、『自基地局と同一周波数で受信できる他の基地局の存在の有無、および存在している場合にその他基地局の基地局識別子』を判断することができる。
【0026】
移動局が複数の受信装置を備えている場合、自基地局からの信号を受信すると同時に、他基地局からのブロードキャストチャネルを受信することができる。しかし、複数の受信装置を備えていない場合は、自チャネルの受信を間歇的に休止し、その期間に他基地局の信号をモニタするという処理を行う必要がある。
【0027】
移動局は、基地局からの受信信号の信号強度がある閾値より高く、かつ、遅延プロファイルがある閾値より良好であるにもかかわらず、自送信信号に対する基地局からの応答(Acknowledge)が帰ってこない場合、移動局間の干渉(58)が発生したと判断する。
【0028】
以上の処理により、移動局には、
(1)移動局の近傍に受信可能な他基地局が存在しているかどうか。
(2)存在している場合にはその基地局識別子
(3)移動局の近傍に自局に対する干渉源となりうる他システムの移動局が存在しているかどうか。
の情報が蓄積されることになる。この情報を、定期的に現在接続している自基地局に報告する(54)。この報告の対象となる情報には、干渉の発生したタイミング情報(この場合、当該移動局の受信タイミング)も含みうる。但し、この干渉の発生したタイミングは、その基地局が当該移動局に割り当てたものなので、基地局に既知である。したがって、移動局から基地局へ報告する情報には必ずしも含まれなくてもよい。但し、基地局から同じ移動局に対して複数のチャネルを割り当てる場合には、そのいずれのチャネルで干渉が生じたかを識別するために、報告情報にタイミング情報を含めることが好ましい。
【0029】
移動局Aから『干渉が発生した』旨の報告を受けた基地局Aは、当該移動局Aが受信可能であると認識した他移動局の識別子(すなわち基地局Bの識別子)、および当該移動局Aと基地局Aの間の送受信タイミングとしての送受信時刻(フレーム内の相対時刻)を基地局統括局に報告する。
【0030】
報告を受けた基地局統括局は、当該移動局Aが受信可能と報告した基地局(すなわち基地局B)に対し、その基地局が干渉源となった移動局と接続していると判断し、自身で確認した、または、移動局から報告を受けた
(1)基地局Aと移動局Aの送受信タイミング
を通知し、このタイミングで基地局Bと移動局B(基地局Bが他の移動局と通信している場合にはその移動局も含む)の送受信を行わないように指示する。
【0031】
以上の処理により、基地局Aと移動局Aの送受信タイミングに、移動局Bの送受信タイミングが重ならないように制御することができる。
【0032】
図6に、移動局の動作フローの一例を示す。
【0033】
移動局における、基地局からの信号の受信処理では、下位レイヤのエンティティからメッセージ受信通知を受け取り(S611)、メッセージ受信処理を行う(S612)。ここで、メッセージ受信処理とは、復調処理、復号処理等を意味している。ついで、受信したメッセージが、後述するステップS621で送信したメッセージに対する応答か否かをチェックする(S613)。そうであれば、メッセージ応答タイマを停止し(S614)、上位レイヤエンティティに対してメッセージ受信通知を行う(S615)。そうでなければ、メッセージ応答タイマの停止を行うことなく、ステップS615へ進む。このような処理は、通常の通信処理と同一である。
【0034】
基地局への信号の送信処理では、上位レイヤのエンティティからメッセージ送信要求を受け取り(S621)、メッセージ送信処理を行う(S622)。ここで、メッセージ送信処理とは、符号化処理、変調処理等を意味している。ついで、メッセージ応答タイマを設定し(S623)、下位レイヤエンティティに対してメッセージ送信要求を行う(S624)。このような処理は、通常の通信処理と同一である。
【0035】
他基地局のモニタ処理では、図5で示したように、或る一定間隔で他の基地局の送信信号が受信できるかどうかをモニタすることにより、自移動局の周辺にある基地局の情報を収集する。本例では、或る一定間隔のタイマを用い、他基地局のモニタを実行している。すなわち、他基地局のモニタタイミングタイマの満了時に(S631)、他基地局BCH受信処理を行う(S632)。この処理は、自基地局のメッセージ受信処理と同等である。ついで、次のモニタタイミングのために他基地局モニタタイミングタイマを設定する(S633)。これにより、周期的に他基地局の送信信号をモニタすることができる。
【0036】
自移動局の情報を自基地局に報告する処理も、本実施の形態では、或る一定間隔のタイマを用い、収集した他基地局情報、および他移動局からの干渉情報を自基地局に周期的に報告する。すなわち、自基地局への報告タイミングタイマの満了時に(S641)、下位レイヤのエンティティに対し、移動局情報の送信要求を行う(S642)。この移動局情報には、前述の様に、受信可能な他基地局の有無およびその識別子、および他移動局からの干渉の有無等の情報が含まれる。その後、次の報告タイミングのために、自基地局報告タイミングタイマの設定が行われる(S643)。
【0037】
干渉の有無の判断処理では、先のステップS623で設定したメッセージ応答タイマを監視し、その満了時に(S651)、以下の判断を行う。すなわち、まず、受信信号強度をチェックし(S652)、それが所定の閾値以上でなければメッセージ応答がない原因は干渉によるものではないと判断して、本処理を終了する。所定の閾値以上であれば、さらに、遅延プロファイルが所定の閾値より良好であるか否かを調べる(S653)。そうでなければ、メッセージ応答がない原因は干渉によるものではないと判断して、本処理を終了する。そうであれば、他移動局との間で干渉が生じていると判断し、他移動局との干渉有りのフラグ設定を行う(S654)。このフラグの情報は、上記ステップS642における移動局情報の「他移動局からの干渉の有無」に反映される。
【0038】
図7に、基地局の動作フローの一例を示す。
【0039】
基地局は、上記移動局の処理と同様、下位レイヤエンティティからのメッセージ受信通知に応じて(S711)、メッセージ受信処理を行う(S712)。移動局からのメッセージが、通常の受信メッセージであるか、あるいは他の基地局情報であるのかを判断する(S713)。ここで、通常の受信メッセージであれば、上位レイヤに対してメッセージ受信通知を行う(S714)。他の基地局情報であった場合、当該他の基地局の識別子とともに、干渉を受けたと報告している移動局に割り当てた送受信タイミングを基地局統括局に通知するための「干渉情報送信要求」を行う(S715,S716)。この干渉情報を受信した基地局統括局は、該当する干渉を与えた移動局が属する(と思われる)基地局に対し、干渉を受けた移動局の送受信タイミングを通知する。
【0040】
基地局は、このような干渉情報の受信処理において、基地局統括局からの干渉情報受信通知に応じて(S731)、干渉回避処理を実行する(S732)。すなわち、被干渉移動局の送受信タイミングを避けて、自移動局に対してその送受信タイミングを割り当てる。
【0041】
なお、図7におけるメッセージ送信シーケンスS721〜S724は、図7のS621〜S624と同一であるので説明は割愛する。
【0042】
本例では基地局統括局を使用した例を示しているが、基地局統括局を使用しない場合は、直接当該基地局に対して干渉報告を通知することにより、本機構は実現される。
【0043】
図8に、本実施の形態による処理の結果としての、干渉を避けた送受信のフレーム構成を示す。この図から分かるように、移動局12に干渉を与えた移動局15のアップリンクバースト84のタイミングを元の(図4)のタイミングとずらすことにより、移動局12のダウンリンクバースト41と重ならなくなっている。
【0044】
以上は、移動局間の干渉の発生を検知したシステムA側の要請に応じて、システムB側でシステムAに干渉を与えないように送受信のタイミングの変更を行った例であるが、これ以外に干渉を避ける手段が考えられる。
【0045】
その一つは、干渉の発生を検知したシステムA側が自身で送受信のタイミングを変更するものである。この場合、干渉を検知した移動局は自基地局へ干渉の発生およびタイミングを通知すれば足りる。他基地局の情報のモニタおよび報告は必要なくなる。ただし、図4から分かるように、移動局間の干渉が生じるのはフレームフォーマットのダウンリンク区間とアップリンク区間の境界46,45の近傍に送受信タイミングが割り当てられた場合である。前述のように干渉の発生を検知した移動局12に割り当てられたダウンリンク区間内の受信タイミング位置は境界46の近傍である可能性が高い。また、区間内のタイミング位置の割当は前方から行われる場合、干渉が生じるようなときにはダウンリンク区間が満杯でほとんど空きがないという状況となっている。したがって、ダウンリンク区間内での受信タイミングの割当位置の変更が困難となる。一方、アップリンク側の干渉が生じたタイミング位置はアップリンク区間の前方側であり、後方側が空いている可能性がある。このような観点から、上記の実施の形態では相手側システムにおける送信タイミングを変更するようにした。しかし、各区間内の送受信タイミングの割当の方法によって事情は変わりうるので、本発明は、自システム側での受信タイミングを変更することを排除するものではない。
【0046】
さらに別の干渉回避手段について説明する。これは、システムAの基地局Aと移動局B間のメッセージを基地局Bと移動局B間のメッセージに包含させ、かつ、移動局Aには移動局Bからの直接リンクにより転送する方法である。
【0047】
図9に、そのような直接リンクを用いた、本発明の第2の実施の形態におけるシステムA,Bの接続の状態を示す。
【0048】
この状態では、基地局Aから移動局A(移動局12)に送られるべき情報は、基地局制御局を介した経路91、92を介し、基地局B(移動局15)に転送される。さらにこの情報は、基地局Bから移動局Bへの信号94に包含して(Encapsulate)転送され、さらに移動局Bから移動局Aへ直接リンク96を用いて転送される。逆に移動局Aからの信号は直接リンク95、93を経由して、移動局Bおよび基地局Bを介して送信される。その結果、この状態では、最早基地局Aと移動局Aとの間の直接の通信は存在せず、従って、複数の基地局に属する移動局間の干渉は起こりえない。また、移動局Bは直接リンク96により移動局Aに対し情報を転送する必要があるが、送信装置を複数個持たない移動局Bは、基地局Bとの通信と移動局Aとの通信を同時に行うことはできず、必然的に、基地局Bとの通信と移動局Aとの通信を時分割で行うことになる。従ってこの状態では、移動局A,B間の直接リンクと、基地局Bおよび移動局Bとの間の干渉が起こることも無い。
【0049】
図10に、この第2の実施の形態におけるフレームフォーマットを示す。ダウンリンクバースト101およびアップリンクバースト102が基地局Bと移動局B間の通信であり、このフレームの最後にガードタイム103をはさんで移動局Aと移動局B間の直接リンク用のデータ104が転送されている。移動局Bは、受信したフレームを復調し、直接リンク用データを取り出し、移動局Bと移動局Aとの間の直接リンクを用いてデータを転送する。
【0050】
本フォーマットを使用した場合、実質スループットは半減するが、移動局間の干渉の発生を防止することができる。
【0051】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、種々の変形、変更が可能である。例えば、移動局は、他基地局の存在の有無およびその識別子や他移動局との干渉の有無について定期的に現在接続している自基地局に報告するようにしたが、干渉が検知されたときのみ報告するようにしてもよい。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、時分割復信方式を採用する無線通信システムにおいて、移動局間の信号干渉による通信品質の低下または信号スループットの低下が起こるという状況を避けることができる。その結果、良好な通信路を保証することができる。
【0053】
本発明で使用される、他基地局信号のモニタ機能は、間歇的に自基地局に代わって他基地局を受信することで実現でき、かつ、これは回路規模を増大させることなく移動局の制御ソフトウェアの変更だけで容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による無線通信システムの概略構成を示す図である。
【図2】基地局制御局(基地局統括局)を用いた、本発明による無線通信システムの概略構成を示す図である。
【図3】本発明による無線通信システムで使用される無線チャネルのフォーマットを示す図である。
【図4】図1の構成において移動局間の通信の干渉が発生する場合のシステムA,Bのフレームフォーマットの例を示す図である。
【図5】本発明による移動局間の干渉を避ける為の機構(手段)を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態における移動局の動作フローの一例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態における基地局の動作フローの一例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態による処理の結果としての、干渉を避けた送受信のフレーム構成を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態におけるシステムA,Bの接続の状態を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態におけるフレームフォーマットを示す図である。
【図11】移動局の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
11,14…基地局、12,15…移動局(無線通信端末)、13,16…サービスエリア、18…基地局制御局(基地局統括局)

Claims (4)

  1. 少なくとも2つの制御局と少なくとも2つの移動局から構成される時分割復信方式を採用した無線通信システムにおいて、
    第1の制御局と直接通信を行っている第1の移動局は、自己の通信が他の移動局による通信と干渉が生じていることを検知したとき、当該干渉が生じていることを示す情報および受信可能な第2の制御局の識別情報を前記第1の制御局に通知し、
    通知を受けた第1の制御局は第2の制御局と通信し、
    第1の制御局と第1の移動局間の通信を、第1の制御局と第2の制御局との通信、第2の制御局と第2の移動局の通信、及び第2の移動局と第1の移動局間の直接通信に置き換えることにより、前記第2の移動局及び第2の制御局を介して前記第1の制御局と前記第 1 の移動局間の通信が実行される、
    ことを特徴とする無線通信システム。
  2. 前記第2の移動局は、前記第1の移動局との間の直接通信と、前記第2の制御局との通信、を時分割にて実行することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  3. 時分割復信方式を採用した無線通信システムにおいて、制御局と接続し通信を行う移動局としての無線通信端末であって、
    制御局と接続し通信を行っている際に、自己に割り当てられた受信タイミングが他の制御局から他の移動局に対して割り当てられた送信タイミングと重複していることにより移動局間干渉が生じていることを検知する手段と、
    当該移動局間干渉が生じていることを検知したとき、当該干渉が生じていることを示す情報および受信可能な他の制御局の識別情報を前記接続している制御局に通知する手段と、
    制御局と接続し通信を行っている際に、自己に割り当てられた送信タイミングが他の制御局から他の移動局に対して割り当てられた受信タイミングと重複していることにより移動局間干渉が生じた場合に、当該他の移動局と他の制御局との間の通信を、前記他の制御局と前記接続している制御局との通信、自移動局と前記接続している制御局との通信、および自移動局と前記他の移動局との間の直接通信に置き換える手段と、
    を備えたことを特徴とする無線通信端末。
  4. 時分割復信方式を採用した無線通信システムにおける制御局であって、
    移動局に対して送受信タイミングを割り当てる手段と、
    自制御局に接続している移動局から、他制御局に接続している移動局との間で干渉が生じていることを示す情報および当該他制御局の識別情報の通知を受けたとき、直接または制御局統括局を介して当該他制御局と通信し、当該他制御局と当該他制御局に接続している移動局との間の通信を、自制御局と前記他制御局との通信、自制御局と前記接続している移動局との通信、および前記接続している移動局と前記他制御局に接続している移動局との間の直接通信に置き換える手段と、
    を備えたことを特徴とする制御局。
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