JP3905141B2 - オリゴ糖の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はオリゴ糖の製造に関するものである。本発明で得られるオリゴ糖は、テアンデロース、分枝オリゴ糖等である。テアンデロースは、蔗糖のグルコース残基の6位にグルコシル基の1位がα−グルコシド結合した3糖類である。低カロリー、抗う触性であり、食品の補湿剤、甘味剤に利用されている。分枝オリゴ糖は、イソマルトース、パノース、イソマルトトリオース、イソマルトテトラオースなどの分子内にα−1,6グルコシド結合を有し、他にα−1,4結合を有するか、または有しないグルコースよりなるオリゴ糖である。非発酵性糖質として日本酒やみりんのコク味をつけるためのボディ補強剤や、低粘度の物性と難結晶性、難老化性を有するため、菓子などの食品の物性改良材として利用されている。
【0002】
【従来の技術】
従来、テアンデロースは、蔗糖と可溶性澱粉または澱粉分解物にα−グルコシダーゼ、またはグルコシル基を転移させる能力を有する微生物菌体を作用させ、製造している。(例えば、特開平2−128695号、特開平4−148693号)
分枝オリゴ糖は、澱粉分解物や、マルトース、マルトトリオース等にα−グルコシダーゼを作用させ、製造している。(例えば、特開平3−187390号、特開平6−14872号)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
テアンデロースを製造するために、α−アミラーゼによる澱粉分解物を使用するに際し、澱粉分解物の分解度が低いと、α−グルコシダーゼの作用が遅くなり、また分解度が高いものや、マルトースを使用すると、分解物中のグルコースや副生物のグルコースが高濃度となるという欠点がある。グルコースは発酵性の糖でありまた、加熱により着色し易く好ましくない。グルコースを除くため、膜やクロマトグラフにより分画するとコストが高くなる。
澱粉分解物やマルトースにα−グルコシダーゼを作用させた場合、テアンデロースは製造できない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討の結果、マルトトリオースを主成分として生成するアミラーゼまたはマルトテトラオースを主成分として生成するアミラーゼを作用させた澱粉分解物が、分解度が高いにもかかわらず、グルコースとマルトース含量が少なくこの澱粉分解物と蔗糖に、α−グルコシダーゼを作用させることにより、グルコース含量の少ないオリゴ糖のシロップが製造できることを発見し、本発明を完成した。マルトトリオースまたはマルトテトラオースを主成分として生成するアミラーゼを作用させた澱粉分解物と蔗糖に、α−グルコシダーゼを作用させるテアンデロースの製造方法は、これまで試みられていなかった。
【0005】
本発明に使用できるマルトトリオースを主成分として生成するアミラーゼは、例えば、ストレプトマイセス属のアミラーゼやバチルス属のアミラーゼ、ミクロバクテリウム属のアミラーゼが挙げられる。また、マルトテトラオースを主成分として生成するアミラーゼとしては、シュードモナス属のアミラーゼやバチルス属のアミラーゼが挙げられる。また同時に、プルラナーゼ、イソアミラーゼを作用させても良い。
【0006】
本発明に使用する澱粉は、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉等が使用でき、通常、α−アミラーゼや酸により、DE5〜25の範囲に分解したものを使用する。
α−グルコシダーゼはアスペルギルス属やムコール属のものが使用できる。また、グルコシル基を転移する能力を有するムコール属の菌体や菌体抽出液も使用できる。
マルトトリオースまたはマルトテトラオースを主成分として生成するアミラーゼと、α−グルコシダーゼは同時に作用させても良いが、アミラーゼを作用させた後に、α−グルコシダーゼを作用させても良い。
【0007】
基質濃度は、澱粉分解物5〜20%、蔗糖5〜20%の範囲が良く、これよりも低濃度では、効率が悪くなり、高濃度では反応時間が長くなる。アミラーゼの濃度は澱粉1gあたり1〜10u、α−グルコシダーゼは50〜500uの範囲で添加すれば良い。反応温度は40〜60℃、pHは4〜9の範囲が好ましい。反応時間は酵素量によって変わるが、5〜48時間反応させればよい。反応後のシロップは、加熱等による酵素失活後、活性炭処理、脱塩などの通常の方法によりさらに精製しても良い。以上の方法により、グルコース含有量の少ない、テアンデロースや分岐オリゴ糖を高濃度に含むシロップを得ることができる。
【0008】
【作用】
マルトトリオースを主成分として生成するアミラーゼ、またはマルトテトラオースを主成分として生成するアミラーゼを澱粉に作用させると、マルトトリオース、マルトテトラオース含量が高く、マルトース、グルコース含量の少ない、分解度の高い澱粉分解物を得ることができる。この澱粉分解物と蔗糖に、α−グルコシダーゼを作用させると、グルコース含量の少ないテアンデロース、分岐オリゴ糖を高濃度に含むシロップを得ることができる。
【0009】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
実施例1
30%のDE15の澱粉液化液(コーンスターチ使用)に、HMT(ミクロバクテリウム属のマルトトリオースを主成分として生成するアミラーゼ、天野製薬(株)製)を澱粉1g当たり5uと、プルラナーゼ「アマノ」(クレブシイエラ属のプルラナーゼ、天野製薬(株)製)を澱粉1g当たり2u添加し、温度50℃、pH7.0で48時間反応した。DEは32となった。加熱失活後、水と蔗糖を添加し、蔗糖濃度10%、澱粉分解物濃度10%になるように調製し、トランスグルコシダーゼL「アマノ」(アスペルギルス属のα−グルコシダーゼ、天野製薬(株)製)を澱粉分解物1g当たり400u添加し、温度55℃、pH5.5で8時間反応させた。加熱失活し、テアンデロース、分岐オリゴ糖を高含量に含むシロップを得た。この組成を表1に示す。
【0010】
比較例1
実施例1の澱粉分解物に変えて、クライスターゼ(バチルス属の液化型α−アミラーゼ、大和化成(株)製)のみにより、DE32まで分解した澱粉(コーンスターチ使用)を使用し、同様の操作を行った。この組成を表1に示す。
【0011】
比較例2
実施例1の澱粉分解物に変えて、マルトースを使用し、同様の操作を行った。この組成を表1に示す。
【表1】
表中の数字は固形分中に占める割合(%)
G1はグルコース、G2はマルトース、G3はマルトトリオース、G4はマルトテトラオース、G5以上は重合度5以上のマルトオリゴ糖、GFは蔗糖、G2Fはテアンデロース、G3Fはテアンデロースにグルコースが1つ付加した4糖類、分枝G2はイソマルトース、分枝G3はパノース、分枝G4はイソマルトテトラオースを示す。
以上の結果より明らかに、マルトトリオースを主成分として生成するアミラーゼを作用させた澱粉分解物を使用した実施例1は比較例1、2に比べて、グルコース含量が少なく、かつテアンデロース、重合度4以上の分岐オリゴ糖の含量が多い組成となっている。
【0012】
実施例2
実施例2のマルトトリオースを主成分として生成するアミラーゼに代えて、シュードモナス属のマルトテトラオースを主成分として生成するアミラーゼを使用して澱粉分解物を得た。これを使用し、実施例1と同様の操作を行った。この組成を表2に示す。
【表2】
表中の数字は固形分中に占める割合(%)
G1はグルコース、G2はマルトース、G3はマルトトリオース、G4はマルトテトラオース、G5以上は重合度5以上のマルトオリゴ糖、GFは蔗糖、G2Fはテアンデロース、G3Fはテアンデロースにグルコースが1つ付加した4糖類、分枝G2はイソマルトース、分技G3はパノース、分枝G4はイソマルトテトラオースを示す。
この結果より明らかに、比較例1、2に比べて、グルコース含量が少ない組成となっている。
【0013】
【発明の効果】
本発明は以上のように、構成されているので、グルコース含量の少ない、テアンデロース、分岐オリゴ糖の含量の高いシロップを得ることができる。また、分岐オリゴ糖も4糖以上の分岐オリゴ糖の含量が高くなる。グルコース含量が少ないため、食品に使用する際、加熱による着色が少ない。
Claims (1)
- ミクロバクテリウム属由来のマルトトリオースを主成分として生成するアミラーゼまたはシュードモナス属由来のマルトテトラオースを主成分として生成するアミラーゼおよびクレブシイエラ属由来のプルラナーゼを作用させた澱粉分解物と蔗糖に、アスペルギルス属由来のα−グルコシダーゼを作用させることを特徴とする、グルコース含有量が10%未満で、かつテアンデロースおよびイソマルトース、パノース、イソマルトテトラオース、テアンデロ−スにグルコース 1 つ付加した4糖(G3F)からなる分岐オリゴ糖の含有量が30%以上であるオリゴ糖の製造方法。
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