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JP3904160B2 - 像構造予測処理方法 - Google Patents

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JP3904160B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、刷版が装着されたカラー印刷機により網点画像(網画像ともいう)によるカラー印刷物を実際に作成する前に、カラープリンタやCRTディスプレイ等の画像出力装置により校正のためのカラー印刷プルーフ(カラー印刷校正刷りともいう)を作成するシステムに適用して、モアレやローゼット等の像構造をカラー印刷プルーフに表現可能な像構造予測処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、製品としての網点画像からなるカラー印刷物をカラー印刷機により作成する前に、色等の校正用のカラー印刷プルーフを、濃度階調方式(連続階調方式ともいう)により画像毎の画素を形成するカラープリンタで作成していた。
カラー印刷プルーフを作成するために、カラープリンタを使用するのは、カラープリンタが比較的簡易な構成であって廉価であり、また、カラープリンタでは、周知のように、カラー印刷機に係る製版フイルムの作成、刷版等の作成が不要であり、短時間に複数回、シート上に画像が形成されたハードコピーを容易に作成できるからである。
【0003】
図16は、カラープリンタを利用した従来の技術によるカラー印刷プルーフの作成方法のフローを示している。
まず、画像原稿2上の画像がCCDリニアイメージセンサ等を有するカラースキャナ等の画像読取装置によって二次元的に読み取られ、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色毎の階調(連続調)画像データIaが作成される(ステップSl:画像読取工程)。
【0004】
次に、このRGBの階調画像データIaが色変換処理ルックアップテーブル等によりC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(墨)の各色毎の4版の網点面積率データ(網%データまたは原画画素網%データともいう)。aj(j=0、1、2、3:ここで、数値0はC色に、数値1はM色に、数値2はY色に、数値3はK色に、それぞれ対応するものとする。)に変換される(ステップS2)。この変換は、後に説明するカラー印刷機との関係により種々の変換が可能であり、通常、そのカラー印刷機に対応して各印刷会社それぞれのノウハウになっている。
【0005】
このカラー印刷機により作成される画像は網点画像であり、そのため、実際にカラー印刷物を作成する際には、色変換処理後の網点面積率データajをビットマップデータに展開し、これを基に製版フイルム等の作成等を行うが、自動現像機(自現機)等が必要とされ、製版フイルム作成処理工程以降の工程が相当に煩雑である。
【0006】
そのため、カラー印刷プルーフを簡易に作成するために、上述した理由により、カラープリンタ(以下、カラーデジタルプリンタともいい、DPともいう)3が使用されている。DP3は、濃度階調方式により、例えば、3原色に対応するLED(発光ダイオード)またはレーザの発光強度と時間を画素毎にデジタル的に制御してドナーフイルムに画像を形成し、これを受像シートに転写し、そのシート上に画像を形成するものであり、刷版を作成し、これを利用して印刷するカラー印刷機に比較して相当に廉価である。また、体積も小さく、重量も軽い。
【0007】
そこで、DP3を使用するために、ステップS2で作成したCMYKの4版の網点面積率データajを、一旦、いわゆるデバイス(印刷、CRT、写真、LED等)に依存しない(デバイス非依存の)画像データ(共通色空間データとも呼ばれる)である、例えば、3刺激値データX、Y、Zに変換することが必要になる。
このため、CMYKの4版の網点面積率データajを3刺激値データX、Y、Zに変換する画像データ処理を画像データ処理部で行う(ステップS4)。この画像データ処理としては、従来、ノイゲバウア式を用いる処理が採用されている。
【0008】
この場合、予め、測色計により色毎の測色値データXi、Yi、Zi(iは、CMYKの4版の場合には、24 色=16色に対応し、i=0〜15とする。)を測定しておく(ステップS3)。この測定に際しては、まず、カラー印刷機によりカラー印刷物を作成する際の印刷紙、いわゆる本紙上に16色の各色を予め印刷する(通常、べた刷りという。)ことで、いわゆるカラーパッチを作成する。この16色とは、具体的には、C色、M色、Y色、K色のそれぞれの有無に対応しており、前部で24 色=16色になる。
【0009】
すなわち、何も印刷しないときの印刷紙の地色であるW(白)色、原色であるC、M、Yのみの各色、K(墨)色、その他、混色であるC+M、C+Y、C+K、M+Y、M+K、Y+K、C+M+Y、C+M+K、C+Y+K、M+Y+K、C+M+Y+Kの各色の合計16色(16基本色ともいう。)である。印刷紙上に形成されたこれらの反射色を測色計、例えば、分光計で測定して測色値データXi、Yi、Ziを得ておく。
【0010】
ノイゲバウア式を用いる処理では、次の(4)式に示すように、この測色値データXi、Yi、Ziのそれぞれの係数として面積率データbi(i=0〜15)が掛けられて画像データ処理後の3刺激値データX、Y、Zが作成される(ステップS4)。
X=Σi=0 15 bi・Xi
Y=Σi=0 15 bi・Yi
Z=Σi=0 15 bi・Zi …(4)
ここで、係数である16基本色の面積率データbiは、網点面積率データajから次の(5)式に示す確率計算により求められる。
【0011】
b0 =(1−c)(1−m)(1−y)(1−k)
b1 = c ・(1−m)(1−y)(1−k)
b2 =(1−c)・ m ・(1−y)(1−k)
b3 = c ・ m ・(1−y)(1−k)
b4 =(1−c)(1−m)・ y ・(1−k)
b5 = c ・(1−m)・ y ・(1−k)
b6 =(1−c)・ m ・ y ・(1−k)
b7 = c ・ m ・ y ・(1−k)
b8 =(1−c)(1−m)(1−y)・k
b9 = c ・(1−m)(1−y)・k
b10=(1−c)・ m ・(1−y)・k
b11= c ・ m ・(1−y)・k
b12=(1−c)(1−m)・ y ・k
b13= c ・(1−m)・ y ・k
b14=(1−c)・ m ・ y ・k
b15= c ・ m ・ y ・k …(5)
【0012】
(5)式では、直感的な理解が得やすいように、網点面積率データaj(j=0〜3)を、a0=c、a1=m、a2=y、a3=kと置いている。この場合、c、m、y、kは各単版の網点面積率データである。(5)式において、例えば、b3は、C+M色の面積率であるが、これは、C版の存在する確率cと、M版の存在する確率mと、Y版の存在しない確率(1−y)と、K版の存在しない確率(1−k)を確率計算的に掛け合わせることで求められる。したがって、(5)式に示すノイゲバウア式は確率論に基づく式であると解することができる。
【0013】
(4)式に基づいて作成された画像データ処理後の3刺激値データX、Y、ZがDP3に供給され、DP3では、この3刺激値データX、Y、Zをルックアップテーブル(LUT)に基づき前記レーザ等に係る3原色毎のデータ(いわゆるデバイスに依存する画像データであって固有色空間データとも呼ばれる)に色変換処理した後、シート上に画像を形成したハードコピーであるカラー印刷プルーフCPaを作成する(ステップS4)。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述のように、ノイゲバウア式を使用してDP3用の3刺激値データX、Y、Zを作成した場合には、カラー印刷機によって作成されるカラー印刷物上に形成される画像の色を測色計で測定した測色値を使用しているため、カラー印刷物の色を前記ハードコピー上の画像に忠実に再現することはできるが、カラー印刷物上に現れる像構造、例えばモアレやローゼット等の干渉縞に起因する特異パターンを前記ハードコピー上の画像に再現することができないという問題があった。
【0015】
カラー印刷物上で、これらの像構造が現れるのであれば、DP3から出力されるカラー印刷プルーフCPa上にもその像構造を忠実に再現したいという要請に基づくものであり、像構造が現れない従来の技術によるカラー印刷プルーフCPaは、この点に関して、カラー印刷物用の正確な(忠実な)プルーフであるということができない。
【0016】
なお、DP3のハードコピー上の画像に特異パターンが現れないのは、ノイゲバウア式が上述したように確率論に基づく式であることを原因とするものと考えられる。
そこで、本発明者等は、このノイゲバウア式を用いないでカラープリンタ用の入力画像データを構成する画素データを作成すれば、カラー印刷プルーフ上で、印刷物特有のモアレ、ローゼット等の像構造を正確かつ忠実に再現することができるのではないかという観点に立ち鋭意考究した結果、特願平7−5257号明細書において、印刷の色を忠実に再現できるとともに、網点画像に係るモアレ、ローゼット等の像構造をも再現することのできる技術を提案している。
【0017】
ここに開示された技術は、連続調プリンタを使って網起因の像構造をシミュレーションすることを可能にするものではあるが、処理に時間がかかるという問題があった。この技術において処理速度が遅い理由は、個々の画素に対する演算の量が多いことに起因しており、この個々の画素に対する演算の量が多いのは網点をシミュレーションするために印刷の網展開と同じ計算を1画素1画素について行っているからである。
【0018】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、比較的廉価で、比較的低解像度のカラープリンタ等の画像出力装置を使い、その利点である手軽さと材料、機械の安さを保ちながらも、高級機のように、高解像度のカラー印刷物上に現れる網点起因のモアレ、ローゼット等の像構造を予測し、より一層忠実に再現することを可能にするとともに、この像構造の予測処理、すなわちシミュレーション処理を高速に行うことのできる像構造予測処理方法を提供するにある。
【0019】
また、本発明の他の目的は、上記目的に加え、網点起因の像構造のシミュレーション処理の際に、印刷物の色の忠実なシミュレーションをも同時に達成することのできる像構造予測処理方法を提供するにある。
さらに、本発明の他の目的は、上記各目的に加え、印刷物の色のシミュレーション精度を上げること、および/または、モアレや、ローゼット等の像構造のシミュレーション上のコントラストの強さを印刷機や印刷物の見かけにあわせて調節することを可能にする像構造予測処理方法を提供するにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、原画像を少なくとも3原色を含むn版の網点面積率データに変換し、これらの網点面積率データを用い、カラー印刷機により作製されるカラー印刷物のカラー印刷プルーフを画像出力装置によって出力するために、前記カラー印刷物の像構造を予測するための階調画像データに変換するに際し、
予め、各版の0%〜100%の網点面積率データをN段に分け、全Nn 色の各単色画像に対して前記像構造を予測するための前記階調画像データを求めて、前記像構造予測に必要な繰り返し画素サイズを持ち、位置パラメータとn個の色パラメータとを引き数とするルックアップテーブルを作成しておき、
前記原画像のn版の網点面積率データを前記ルックアップテーブルを参照して前記階調画像データに変換することを特徴とする像構造予測処理方法を提供するものである。
【0021】
ここで、前記原画像の各版の網点面積率データは、前記階調画像データに変換される前に、前記像構造を強調するために、印刷の線数および網角度により決定される格子の周期に依存した調整可能な重みにより近傍画素と重み付け平均されるのが好ましい。
【0022】
また、前記格子の周期に依存した重みを、前記近傍画素と同一マスクサイズの加重マトリクスの各要素に配列するとともに、この加重マトリクスの各要素に配列される重みをF(i,j,k,l)とし、E(k,l)を中心の係数が1、その他が0である、前記加重マトリクスと同サイズの係数マトリックスとし、前記重みの調整率をαとするとき、調整された前記加重マトリクスの各要素に配列される重みF’(i,j,k,l)は、下記式(1)で与えられるのが好ましい。
Figure 0003904160
ここで(i,j)は前記変換しようとする画素の前記原画像座標の位置を示し、(k,l)は前記近傍画素と同一マスクサイズの加重マトリクス座標の位置を示す。
【0023】
また、前記ルックアップテーブルの作成は、
前記単色画像の各n版分の網点面積率データのそれぞれに対して前記カラー印刷物の解像度よりも高い解像度を有する閾値マトリクスを参照し、前記n版分の網点面積率データをそれぞれビットマップデータに変換し、
このn版分のビットマップデータを同時に参照して、各n版の有無についての2n 色の各色毎の面積率を前記ビットマップデータの一定範囲毎に数え上げ、
予め求めておいた前記2n 色の各色毎の測色値データに対してこの一定範囲毎に数え上げた面積率を重み係数として第1の平均測色値データを計算し、
この第1の平均測色値データに対して、前記画像出力装置の画素より大きい範囲で順次アンチエリアジングフィルタ処理を行い前記画像出力装置の画素に対応する第2の平均測色値データに変換し、
この第2の平均測色値データを前記階調画像データとすることによって得られるのが好ましい。
【0024】
また、前記ルックアップテーブルを構成する階調画像データを前記第1の階調画像データとし、
前記各単色画像について、この第1の階調画像データに基づいて前記画像出力装置で当該単色画像のテストプルーフを出力した後、このテストプルーフの色を測色計で計測し、
得られた測色値データと前記繰り返し画素サイズの全画素に亘る前記第1の階調画像データの平均値の目標値データとを用いて前記繰り返し画素サイズの全画素の前記第1の階調画像データを色補正処理して第2の階調画像データを得、
この第2の階調画像データを用いて前記ルックアップテーブルを構成するのが好ましく、前記単色画像について、共通色空間の表色値の1つに関し、前記測色値データをXout、前記目標値データをXa、前記第1の階調画像データをXi、前記第2の階調画像データをXpiとし、前記繰り返し画素サイズをmT ×nT 画素とする時、前記色補正処理は、下記式(2)で表わされるのが好ましい。
Xpi=(Xi/Xout)×Xa(i=1〜mT ×nT ) …(2)
【0025】
また、前記ルックアップテーブルを構成する前記階調画像データを第3の階調画像データとし、
前記各単色画像について、この第3の階調画像データを前記繰り返し画素サイズの全画素に亘って平均してその平均値を求め、
前記像構造の強度を調整するために、この平均値を中心に各画素の前記第3の階調画像データと前記平均値との距離を調整して、前記像構造の強度調整処理を行い、第4の階調画像データを得、
この第4の階調画像データを用いて前記ルックアップテーブルを構成するのが好ましく、前記単色画像について、共通色空間の表色値の1つに関し、前記平均値をXave、前記第3の階調画像データをXqi、前記第4の階調画像データをXriとし、前記繰り返し画素サイズをmT ×nT 、像構造の強調割合をγとする時、前記像構造の強度調整処理は、下記式(3)で表わされるのが好ましい。
Xave=(Σi Xqi)/(mT ×nT
Xri=Xave×(Xqi/Xave)^γ) …(3)
ここで、i=1〜mT ×nT であり、Σi Xqiは、Xqiをiが1からmT ×nT までの和を表し、(Xqi/Xave)^γは、(Xqi/Xave)のγ乗を表すものとする。
【0026】
また、前記色補正処理および前記像構造の強度調整処理は、この順序で少なくとも1回行われるのが好ましい。また、前記色補正処理および前記像構造の強度調整処理は、この順序で1回行われた後、前記色補正処理のみが少なくとも1回繰り返されるのが好ましい。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明に係る像構造予測処理方法を添付の図面に示す好適実施例に基づいて、以下に詳細に説明する。
図1は、本発明の像構造予測処理方法を実施するカラー印刷プルーフ作成システムの一実施例および一般的なカラー印刷システムの一例のフロー図である。なお、以下に参照する図面において、図16に示す従来のカラー印刷プルーフ作成方法と対応するものには同一の符号を付け、その説明は適宜省略する。
【0028】
本発明の像構造予測処理方法を実施するカラー印刷プルーフ作成システム10の説明に先立って、まず、一般的にカラー印刷機によりカラー印刷物を作成するカラー印刷システム11を説明する。
図1において、符号11は一般的なカラー印刷システムの構成を示している。一般的なカラー印刷システム11では、画像原稿2上の画像がCCDリニアイメージセンサ等を有するカラースキャナ等の画像読取装置によって2次元的に読み取られ、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色毎の階調画像データIaが作成される(ステップS1:画像読取工程)。この場合、CCDリニアイメージセンサ等のイメージセンサの解像度(第1の解像度)Relとしては、例えば、Re1=400dpi(Dot Per Inch)程度が選択される。ここでいう、1dot(ドット)は、1画素に対応し、256等の階調を有する濃度階調方式による画素を意味している。
【0029】
次に、このRGBの階調画像データIaを構成する各画素データが色変換ルックアップテーブル等を用いてC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(墨)の各色毎の4版の網点面積率データ(上述したように、網%データまたは原画画素網%データともいう)ajに変換される(ステップS2:色変換工程)。この変換は、後に説明するカラー印刷機との関係により種々の変換が可能であるので、通常、そのカラー印刷機に対応して各印刷会社それぞれのノウハウになっている。なお、UCR(under−color removal)処理を行なわない場合には、RGBの階調画像データIaをC、M、Yの3版の網点面積率データajに変換すればよい。また。カラー印刷物12上に、例えば、Y色が依存しない場合には、C、Mの2版の網点面積率データajに変換すればよいことはもちろんである。
【0030】
次いで、画素単位で作成されたCMYK4版分の網点面積率データajに対して、解像度(第2の解像度)Re2がRe2=2000dpi程度(ここでは、理解を容易にするためにRe2=1600dpiとする)でCMYK4版のそれぞれに対して所定の網角度を有する4つの印刷用の閾値マトリクス(閾値テンプレートまたは網点テンプレートともいう)14を参照し、閾値マトリクス14の各要素中の各閾値と網点面積率データajの値とを図示していない比較部により比較して、値「0」または値「1」をとる2値データ、すなわちビットマップデータbjに変換する(ステップS5:比較工程)。なお、通常、網角度は、例えば、Y版用の閾値マトリクス14とM版用の閾値マトリクス14とでは45°等の角度差を有しており、実際上、網角度は、例えば、CMYKの4版では、基準に対し、それぞれ、75°、45°、0°、15°等の角度差を有している。
【0031】
図2は、このステップS5の比較工程(ビットマップ展開工程)について詳しく説明するために閾値マトリクス14等を模式的に描いた線図である。
図2において、最上段の左右に描いた2つの線図は、400dpiの網点面積率データajの1ドットが、1600dpiのビットマップデータbjの16ドットに変化されることを表している。
【0032】
網点面積率データajの1ドットが、例えば、C版であって、網点面積率データajが256階調で表され、その値がaj=77(%表示では30%に相当するが、比較処理を行う場合には、通常、77等、階調値で表される)であるとすると、これと、C版用の閾値マトリクス14とが参照される。閾値マトリクス14は、例えば、図2に示すような閾値Tがマトリクスの要素中に渦巻き状に配されている。なお、この発明とは直接的に関係ないので、詳しく説明しないが、この閾値マトリクス14は仮想的に設定したものであり、例えば、0、1、2…254、255の8ビット階調の閾値Tが中心から渦巻き状に配された1個の網点に対応する閾値、または、いわゆるスーパーセル(例えば、9個の網点に対応する1個の閾値)のそれぞれ相当する一部分を抽出して再構成したものである。
【0033】
図2において、ビットマップデータbjへの展開、すなわち、2値データ化は、周知のように、次の(6)式、(7)式に示すように行われる。
aj≧T → 1 …(6)
aj<T → 0 …(7)
このようにして図2の最下段に示すC版の当該1画素(網点面積率データajがaj=30%の画素)に対するビットマップデータbjが作成される。なお、上述のように、C版用の閾値マトリクス14に対してM、Y、K版用の閾値マトリクス14は選択可能な所定の網角度を有している。
【0034】
次に、このようにして作成したビットマップデータbjに基づき、写植機、自動現像機等による各処理を行い(ステップS6:版作成工程)、版下としての網点画像を有する4版の製版フイルム16、PS版(刷版ともいう)17を作成する。
最後に、この刷版17を用いて輪転機等を有するカラー印刷機により網点画像で形成されたカラー印刷物12を作成する(ステップS7:印刷工程)。
このカラー印刷物12上の網点画像には、網角度の異なる閾値マトリクス14を用いたことによって発生するモアレ、ローゼット等の像構造が現れる。
一般的なカラー印刷機によりカラー印刷物を作成するカラー印刷システムは以上のように構成される。
【0035】
次に、本発明の像構造予測処理方法を実施するカラー印刷プルーフ作成システム10について説明する。
図1に示すカラー印刷プルーフ作成システム(以下、単にプルーフシステムという)10では、まず、予め、例えば400dpiのCMYKの網点面積率データajから連続調プリンタでローゼットなどの像構造を予測するための共通色空間データ、例えば400dpiの3刺激値データXYZを得るための位置依存性を持つ6次元ルックアップテーブル(以下、単に6D−LUTという)を作成しておく必要がある(ステップS8:6D−LUT作成工程)。この後、カラー印刷プルーフの作成を開始するが、本プルーフシステム10は、カラー印刷システム11と、画像読取工程(ステップS1)および色変換工程(ステップS2)を共有する。
【0036】
次に、プルーフシステム10においては、色変換工程S2によって変換された網点面積率データaj(400dpi)にモアレなどの(第1の)像構造を予測する処理を施し、予測される像構造の強度を調整する(ステップS9:第1像構造予測処理工程(以下、モアレ強調工程ともいう))。次いで、このモアレ強調工程S9によってモアレ等の像構造が強調された網点面積率データa´j(例えば400dpi)を位置依存6D−LUTを用いた補間処理等によってローゼットなどの(第2の)像構造を予測する処理を施し、予測される像構造の強度が調整された共通色空間上の3刺激値データXYZ(400dpi)に変換する(ステップ10:第2像構造予測処理工程(以下、ローゼット強調工程または6D−LUT処理工程ともいう))。
【0037】
最後に、このローゼット強調工程S10を経てモアレおよびローゼット等の像構造が強調された3刺激値データXYZ(400dpi)が連続調プリンタ(デジタルカラープリンタ;DP)3に供給され、このDP3において、それらの3刺激値データXYZを図示しない色変換ルックアップテーブル等に基づいて出力デバイス(DP)3に依存する、例えば400dpiの3原色RGBデータ(デバイスデペンデントデータ)に変換し(ステップS11:色変換処理工程)、DP3の解像度である400dpiの色変換された3原色データに基づいてDP3によってカラー印刷プルーフCPbを出力する。
こうして、得られたカラー印刷プルーフCPbは、カラー印刷機によって作製されたカラー印刷物12とほぼ同様にモアレおよびローゼット等の像構造が忠実に再現され、かつカラー印刷物と色が一致するもので、カラー印刷物の正確なプルーフである。
【0038】
まず、本発明の特徴であるステップS8の6D−LUTの作成工程について説明する。
本発明法の特徴とするところは、本発明者らが特願平7−5257号明細書において提案した、処理に時間はかかるが、印刷の像構造の正確なシミュレーションが可能なカラー印刷プルーフの作成方法における像構造予測演算処理を代表的な色について適用し、その演算処理を行い、その結果を位置依存6D−LUTに保存しておき、実際のカラー印刷プルーフの作成に際しては、原画像から得られた網点画像(面積率)データに対して、上記演算処理を行う代わりに、位置依存6D−LUTを適用し、これを補間して用い、上記演算処理を上記原画像の網点画像データに行った結果と同様の結果を得ることにある。その結果、本発明法による実際の計算時間は、6D−LUTから補間する時間だけですむようになり、特願平7−5257号明細書に提案した像構造予測のためのデータ処理技術(以下、単に先行処理技術または先行データ処理技術という)に比し、大幅な時間短縮が図れることになる。
【0039】
従って、本発明においては、原画像からのカラー印刷プルーフの作成に先立って6D−LUTを作成しておく必要がある。図3は、本発明の特徴であるステップ8の6D−LUTの作成方法のフローの一実施例を示す図である。
まず、図3に示すように6D−LUT作成工程S8においては、先行データ処理技術を適用する代表色として、少なくとも3原色を含むn色(版)、例えば、ここではCMYKの4色(版)の各色(版)をN段、例えば、ここでは6段づつに分けて、全Nn 色、ここでは64 =1296色を決める(ステップS12:代表色決定工程)。ここで、6D−LUTを作用させる画像データは、網点面積率データaj(%)であるので、CMYKの4色の各々の各段の網点面積率データは、N段として、0%、100/(N−1)、2×100/(N−1)、・・・、(N−2)×100/(N−1)、100%、6段として、0%、20%、40%、60%、80%、100%である。以下、CMYK各色(版)の分段数は6段として説明する。
【0040】
ところで、本発明においては、この先行データ処理技術で行う網展開には有理数網を使用する。これは、有理数網を使うことにより、ローゼット等の像構造の繰り返しパターンを、モアレ等の像構造の場合と同様にmT ×nT 個の有理数網の長方形のブロックの画素の繰り返しにすることができるからである。ここで、mT ,nT は有理数網のサイズを、例えば400dpiに換算したものである。その結果、繰り返し網サイズ(画素サイズ)mT ×nT 個のデータを記録すれば全部の空間の網のローゼットの形を表現することが可能になるのである。こうして、6D−LUTのサイズを決めることができる。
従って、mT ×nT 個の長方形の大きさを持つ1296(Nn )個の各色単色画像に対して、このmT ×nT 周期を持つ網に相当する網展開を使うようにして先行データ処理技術を作用させる。なお、具体例としては、印刷線数175線、Y版網角度0度、C版網角度15度、M網版角度45度、K版網角度75度の印刷を400dpiの連続調プリンタでシミュレーションするのに、必要な繰り返し網サイズmT ×nT は43×43となる。
【0041】
その結果得られる6次元ルックアップテーブル(6D−LUT)は、1296個の各単色原画像の画素(ピクセル)の位置座標(x,y)(x=0〜mT −1、y=0〜nT −1)と、CMYK各色の段数(ステップ)を引数とするものであって、例えば、6DLUT[i][j][k][y][m][c]と表わすことができ、この各々にその色データ、例えば3刺激値データXYZを対応させたものである。
ここで、i=0〜42、j=0〜42、c=0〜5、m=0〜5、y=0〜5、k=0〜5であって、iは原画のx座標、jは原画のy座標、k、y、m、cは、各々KYMC版の段数を示し、段数が0段なら0%、1段なら20%、2段なら40%、3段なら60%、4段なら80%、5段なら100%に相当するものとする(なお、階調をN段に分けた場合のMN ステップ目は、一般にM×100/(N−1)(%)(ただし、MN は0〜N−1である)と表すことができる)。
【0042】
このような6DLUT[i][j][k][y][m][c]に対応する3刺激値データXYZは、1296個の単色画像のうちの1個の単色画像について、以下に説明する特願平7−5257号明細書に記載の先行データ処理技術を適用して、繰り返しサイズ43×43個の対応画素位置座標の3刺激値データXYZを求めればよい。
【0043】
ここで、この先行データ処理技術を説明するが、その理解の容易化のために、まず、アンチエリアジングフィルタ処理工程(ステップS17)について説明する。
このアンチエリアジングフィルタ処理工程は、DP3の解像度(第3の解像度または出力解像度ともいう)Re3(この実施の形態では、Re3=400dpi)でカラー印刷プルーフCPbを作成しようとするとき、このDP3の解像度Re3を原因とするエリアジング雑音(折り返し雑音)の発生を予め回避するために挿入した工程である。アンチエリアジングフィルタ処理を有効に行うためには、アンチエリアジングフィルタがかけられる原信号である画像データの解像度(第5の解像度)Re5がDP3の解像度Re3=400dpiより高い解像度になっていることが必要である。この実施の形態では、その解像度(中間解像度ともいう)Re5をRe5=1600dpiとする。
【0044】
アンチエリアジングフィルタのマトリクス(ここでは、要素数がn×nの正方マトリクスを考える)の構成について考える。
解像度1600dpi(=Re5)の画像データを解像度400dpi(=Re3)の画像データに変換する場合、400dpiの1ドット(1画素)が1600dpiの16ドット(4画素×4画素)に対応することからアンチエリアジングの効果を考えない場合のフィルタの最小限の要素数は4×4である。
そして、エリアジング雑音をできるだけ小さくするためには、アンチエリアジングフィルタの要素数は大きければ大きいほど望ましいが、演算速度、ハードウェア等との関係で限界がある。
【0045】
一方、色情報はノイゲバウア式によって再現できることからも類推されるように、直流成分を含む比較的低周波の成分を通過させる必要性から、直流成分の近傍ではできるだけ挿入損失が発生しないような周波数特性にする必要がある。したがって、マトリクスの中心の応答が0dBになることが理想である。
また、モアレ等の干渉縞成分{網周波数(スクリーン線数)成分の1/2以下の成分}はアンチエリアジングフィルタ処理を行ってもすべて残すようにしたい。
さらに、アンチエリアジングフィルタの減衰特性が急峻であると、このアンチエリアジングフィルタ処理を行うことによる新たな特異パターンが現れてしまうことも考慮しなければならない。
【0046】
図4は、このような観点を総合して作成した要素数が9×9のアンチエリアジングフィルタAFの構成を示している。なお、各要素をd(i,j)で表すとき、各要素d(i,j)の値(フィルタ係数ともいう)は全部加えて1.0にする必要性があることから、各要素d(i,j)の実際の値は各要素d(i,j)の総和{Σi=-4 4 Σj=-4 4 d(i,j)}で割っておく。このように構成したアンチエリアジングフィルタAFのフィルタ係数の配置は、図4から分かるように、その中央部分から外方に向かうにしたがってほぼ釣り鐘状的に単調減少的に減衰する周波数特性になっている。
【0047】
図5は、このアンチエリアジングフィルタAFの周波数特性を示している。図5において、横軸は解像度を示し、DP3の解像度Re3=400dpiを値1.0に規格化している。したがって、網周波数であるスクリーン線数(175線)は、値0.44(175/400)に規格化される。縦軸は応答を示し、図4中、中央の要素d(5,5)=121を値1.0に規格している。
図4例では、図5から分かるように、解像度1.0において、応答は約0.23であり、解像度0.44において、応答は約0.77である。
【0048】
なお、種々の例を検討した結果、解像度が網周波数(スクリーン線数に相当する)のときに応答が0.5(50%)以上で、解像度がカラーデジタルプリンタであるDP3の解像度1.0であるときに応答が0.3(30%)以下であれば、カラー印刷物12に現れるモアレ等の特異パターンをカラー印刷プルーフCPbで再現できることが分かり、かつエリアジング雑音を視認できない程度にできることが分かった。
以上の説明がアンチエリアジングフィルタAFのマトリクス{ここでは、要素数がn×n(9×9)の正方マトリクスとする}の構成の説明である。
【0049】
ステップS17のアンチエリアジングフィルタ処理工程後に得られる画像データは、解像度が400dpi(=Re3)である共通色空間上の画像データ(デバイス非依存の画像データ)、ここでは3刺激値データX,Y,Z(第2の3刺激値データX′、Y′、Z′という)になる。
アンチエリアジングフィルタAFによる処理がかけられる画像データ(3刺激値データX、Y、Z)の解像度は1600dpiに選択しているが、この画像データの1ドットは、2値データではなく、共通色空間上の画像データ、ここでは、3刺激値データ(第1の3刺激値データという)X、Y、Zである。
【0050】
この第1の3刺激値データX、Y、Zをノイゲバウア式を用いないで作成するため、ステップS12の代表色決定工程で得られた1296色中の1色の単色画像43×43画素の網点面積率データajと閾値マトリクス(これも、閾値テンプレートまたは網点テンプレートともいう)24を構成する各閾値とを比較器25で比較して、印刷のビットマップデータbj(=1600dpi)より高い解像度の2値データであるビットマップデータb′jに変換する(ステップS13)。
【0051】
この場合、閾値マトリクス(閾値テンプレート)24は、有理数網テンプレートを使用する。なお、閾値マトリクス24に係るスクリーン線数は印刷の場合と同じスクリーン線数であることがモアレ等を再現するために必須である。ここでは、スクリーン線数は175線とする。一方、解像度を上げるために、網点を作成するための閾値マトリクス24として要素数256×256=65536の閾値マトリクス24を用いる。なお、各要素中の閾値Tとしては、例えば、値0〜255をとるようにする。このようにして作成したCMYK4版分のビットマップデータb′jの解像度(第4の解像度)Re4はRe4=44800(256×175)dpiである。
【0052】
44800dpiのビットマップデータb′jを解像度Re5=1600dpiの第1の3刺激値データX、Y、Zに変換するためには、ビットマップデータb′jの28×28ドットを第1の3刺激値データX、Y、Zの1ドットに変換すればよい。この変換のために、データ処理部26を設けている(ステップS14)。
このステップS14を分かり易く説明するために、C版のビットマップデータb′jの28×28ドット分を図6(A)に示し、M版のビットマップデータb′jの28×28ドット分を図6(B)に示す。図6(A)、図6(B)中、図示していない要素の値は全て値「0」であると仮定する。また、残りのY版、K版のビットマップデータb′jの各要素もすべて値「0」であると仮定する。
【0053】
そこで、28×28ドットについて、CMYK4版分のビットマップデータb′j(ここでは、C版とM版の2版分のビットマップデータb′jでよいことはいうまでもない)を同時に参照して、色毎(版数が4版であるので24色の各色毎)の面積率ciを数え上げ部22で数え上げる処理を行う(ステップS15:数え上げ工程)。
【0054】
図6(A)、図6(B)例の画素(28×28ドット対応)において、色毎の面積率ciは、次のように算出される。
C色:ci=cC =3/784
(面積率cC はC版とM版とを重ねて透過的に見た場合、C色のみが存在している部分を表し、C色とM色の重複している部分はC+M=B色の面積率cC+M とする)
C+M色:cC+M =2/784
W色:cW =779/784
(C版とM版とを重ねて透過的に見た場合、C色とM色のいずれの色も存在しない部分)
残りの色(Y色、K色等の13色分)についての面積率ciはゼロ値である。このようにして1600dpiの第1の3刺激値データX、Y、Zを作成する。
【0055】
次に、従来の技術の項で詳しく説明したステップS3の処理(カラー印刷物12上に印刷された16色のべた色を測色計により測色する処理)により予め測色しておいた色毎の測色値データXi、Yi、Zi(iは、CMYKの4版の場合には、24 色=16色)に対してステップS15で数え上げた色毎の面積率ciを重み係数として加重平均部23により平均測色値データである第1の3刺激値データX、Y、Zを(8)式に示すように求める(ステップS16)。言い換えれば、測色値データXi、Yi、Ziを色毎の面積率ciで加重平均して第1の3刺激値データX、Y、Zを求める。
【0056】
Figure 0003904160
784(28×28)ドット毎の数え上げ処理(ステップS15)と加重平均処理(ステップS16)を44800dpiのビットマップデータb′jの全範囲で行うことにより、1600dpiの第1の3刺激値データX、Y、Zが得られる。
【0057】
次に、このようにして得られた1600dpiの第1の3刺激値データX、Y、Zに上述のアンチエリアジングフィルタAFを使用したアンチエリアジングフィルタ処理を行い、アンチエリアジングフィルタ処理後のDP3の解像度に等しい400dpiの第2の3刺激値データX′、Y′、Z′を作成する(ステップS17)。
図7は、このアンチエリアジングフィルタ処理の説明に供される線図である。図7(A)に示すように、1600dpiの第1の3刺激値データX、Y、Zの左上の9×9ドット分(中心画素要素e(5,5))に対して図4に示した要素がd(k,l)で表される9×9のアンチエリアジングフィルタAFを対応させ、対応する各要素を掛け算して、それらの総和を求めてアンチエリアジングフィルタ処理を行い、400dpiの第2の3刺激値データX′、Y′、Z′の要素e(1,1)を求める。すなわち、9×9ドット分の中心画素位置を(i´,j´)とし、第1の3刺激値データX、Y、Zの各要素をe(i´,j´,k,l)(X、Y、Zそれぞれについて、k,l=−4〜4)と表すとき、第1の3刺激値X、Y、Zのそれぞれに対してΣl=-4 4 Σl=-4 4 (d(k,l)×e(i´,j´,k,l)を求め、それぞれの値を解像度400dpiの第2の3刺激値データX′、Y′、Z′とする。なお、上述したようにアンチエリアジングフィルタAFの総和はΣl=-4 4 Σl=-4 4 d(k,l)=1(k,l=’4〜4)に規格化しているが、少数を含む掛け算は時間がかかるので、アンチエリアジングフィルタAFの各要素の値は図4に示した値をそのまま用いて、d′(k,l)とするとき、Σl=-4 4 Σl=-4 4 (d′(k,l)×e(k,l))/Σl=-4 4 Σl=-4 4 d′(k,l)(k´,l=−4〜4)としてアンチエリアジングフィルタ処理後の値を求めてもよい。
【0058】
この場合、アンチエリアジングフィルタ処理では、解像度1600dpiの第1の3刺激値データX、Y、Zを解像度400dpiの第2の3刺激値データX′、Y′、Z′に変換するのであるから、第1の3刺激値データX、Y、Zに対するアンチエリアジングフィルタ処理は、図7(B)に示すように、アンチエリアジングフィルタAFを第1の3刺激値データX、Y、Zの4ドット分を、例えば、右側または下側にずらして行えばよい。こうして、1600dpiの第1の3刺激値データX、Y、Zの解像度を低下させて400dpiの第2の3刺激値データX′、Y′、Z′を得ることができる。この時、400dpiの第2の刺激値データX´、Y´、Z´の各要素を、その位置座標を(i+1,j+1)(i,j=0〜42)としてe´(i+1,j+1)で表わし、これと対応し、9×9のアンチエリアジングフィルタAFで処理される9×9ドット分の1600dpiの第1の刺激値データX、Y、Zの要素を、その中心要素の位置座標を(i´,j´)とし、9×9ドット分の各位置を(k,l)(k,l=−4〜4)としてe(i´,j´,k,l)で表わし、9×9アンチエリアジングフィルタAFの各要素をd(k,l)(k,l=−4〜4)で表わすと、i´=4i+5,j´=4j+5となるので、下記式(9)が得られる。
Figure 0003904160
【0059】
上記式(9)に従って、400dpiの第2刺激値データX´、Y´、Z´の各要素e´(i+1,j+1)をi,j=0〜42までの繰り返し単位(サイズ)の43×43要素について求めることにより、1個の単色画像(例えば、K=20・k0%、Y=20・y0%、M=20・m0%、C=20・c0%)についてのルックアップテーブル、例えば6DLUT[i][j][k0][y0][m0][c0]を求めることができる。このようなルックアップテーブルを1296個の単色画像について求めることにより、6DLUT[i][j][k][y][m][c](i,j=0〜42、k,y,m,c=0〜5)を作成することができる。
【0060】
図3に示すように、こうして特願平7−5257号明細書記載の先行データ処理方式によって1296色についてmT ×nT 画素のサイズで計算して得られた低解像度(出力解像度、400dpi)の3刺激値データXYZを対応付けて蓄えておくことにより、6D−LUT27を作成することができるが、さらに、色の精度を上げたい場合やローゼット等の像構造のコントラストを調整したい場合には、6D−LUT27にさらに以下の2つの後加工処理を施しておくのが好ましい。
【0061】
図3に示すように6D−LUT27に対してまたは後述する後加工処理2を施した後に、色の精度を上げるために、後加工処理1として色合わせ工程(ステップS18)を行う。この色合わせ工程S18は、1296色の個々の色の43×43の領域での平均を目標の色にあわせる工程である。この工程S18は、各色を目標の色の色にあわせるために、1296色の43×43の領域の全画素について行う。この処理は各色(1296色)を1まとまりにして行い、1296回に分けて行う。この色合わせ工程S18は、以下の2つのステップからなる。
(1ステップ)各色の6D−LUTの適用結果をプルーフプリンタで出力する。
この色を測色計で計測し、計測結果をXout,Yout,Zoutとする。
【0062】
(2ステップ)各色を領域43×43の平均の色が目的の色にあうように次の式(10)によって演算を行う。43×43の領域のどこかの点の色をXi,Yi,Zi(i=1〜43×43)とし、処理結果をXi´,Yi´,Zi´(i=1〜43×43)、目標にしている色をXa,Ya,Zaとすると、次の式(10)で表わされる。
Xi´=(Xi/Xout)×Xa
Yi´=(Yi/Yout)×Ya
Zi´=(Zi/Zout)×Za …(10)
こうして得られた3刺激値データX´、Y´、Z´を6D−LUT27に蓄えられていた3刺激値データと入れ換えて、色合わせされた調整6D−LUT28を得ることができる。この色合わせされた調整6D−LUT28を用いることにより、モアレや像構造の再現の忠実性はもちろん色の再現性の精度も高いカラー印刷プルーフを作製することができる。
【0063】
図3に示すように、6D−LUT27あるいは後加工処理1を施した後に、ローゼットのコントラストを強調するために、後加工処理2として、ローゼット強調工程(ステップS19)を行う。ローゼット強調工程S19は、ローゼット等の像構造のコントラストを強調する工程である。この工程S19では、色合わせ工程S18と同様に1296色の43×43個の各画素に対して演算を行い、個々の処理は各色を単位に1296回に分けて行う。このローゼット強調工程S19は、以下の2つのステップからなる。
【0064】
(3ステップ)先ず、各色の43×43の領域の色の平均値を求める。ここで、個々の色をXi’,Yi’,Zi’(iは43×43の領域のどこかの点を示す)とすると、平均値Xave、Yave、Zaveは、下記式(11)で表される。なお、i=1〜43×43である。
Xave=(ΣXi’)/(43×43)
Yave=(ΣYi’)/(43×43)
Zave=(ΣZi’)/(43×43) …(11)
ここで、Σは、i’が1から43×43までの和を意味する。
【0065】
(4ステップ)次に個々の色に対し、平均値Xave、Yave、Zaveを各々中心としてそれぞれ個々の色Xi’,Yi’,Zi’と平均値Xave、Yave、Zaveとの距離を拡大する。ここで、処理結果をXi’’,Yi’’,Zi’’すると,これらは下記式(12)で表される。なお、i=1〜43×43である。
Xi’’=Xave×{(Xi’/Xave)^γ}
Yi’’=Yave×{(Yi’/Yave)^γ}
Zi’’=Zave×{(Zi’/Zave)^γ} …(12)
ここで、γはローゼットの強調度合である。また、記号^は、ベキ乗を示すものとする。すなわち、A^γはAのγ乗をあらわす。
【0066】
このローゼットの強調度合γは、その大きさに特に制限はないが、通常、0.8〜3.0で変化させ、その値が大きいほどローゼットは鮮明なものとなる。しかし、ローゼットの強調度合γを大きくすると、その適用結果は個々のXi’’,Yi’’,Zi’’をプルーフプリンタの色再現域の外の色に変換してしまうことが多くなる。そこで、目標色Xaがプルーフプリンタの再現域の外にある場合や再現域の境界に近い場合はローゼットの強調度合γを小さくするのがよい。ローゼットの強調度合γによるγ乗の適用結果がプリンタの色再現域の中か外かは、3刺激値データXYZをプルーフプリンタのデバイス依存RBGに変換することで調べることができる。
その結果、43×43個の画素の色のうちどれだけの色(割合)が、どれくらいの量(距離)だけ再現域から出るかを計算して、これらの割合や距離やこの2つを組み合わせた判断基準が一定量以下になるように、ローゼットの強調度合γを決めなおすことで、43×43個の点の平均色が目標色からのずれ量を小さくすることができる。
【0067】
これらの後工程処理において、色合わせ工程S18およびローゼット強調工程S19のいずれか一方のみを実施した調整6D−LUTによって、モアレ等の像構造が忠実に再現され、かつ、高精度に色が調整された、またはローゼットの強度が調整されたカラー印刷プルーフを得ることができるが、これらの両工程S18およびS19をこの順序で1回行えば、忠実なモアレに加え、強度調整されたローゼットとともに高い色精度を得ることができる。
また、上述の両工程S18およびS19をこの順序で複数回行うことにより、または、これらの両工程S18およびS19をこの順序で1回行った後、色合わせ工程S18のみを複数回繰り返すことにより、無限に印刷物に近い色再現を実現することができる。
【0068】
こうして得られた6DLUT[i][j][k][c][m][y]が、例えば、6DLUT[1][2][3][4][5][0]であったとすると、この項には、画像の座標が(1,2)であって、K版60%、Y版80%、M版100%、C版0%である色の400dpiの3刺激値データXYZ値が対応している。
また、有理数網の定義から、座標(x,y)=(47,91)、K,C,M,Y=(20%,20%,20%,20%) の色は、6DLUT[4][5][2][2][2][2]の項に記録してあるXYZ値と同じである。その理由は、この43×43サイズの有理数網を使うことにより、43画素毎に同じ色の画素が繰り返されるので、4画素目と47画素目のデータとは同じデータであるからである。一般に(x,y)=(i0,j0)の画素のデータは出力機の解像度で数えた有理数網のサイズをmT ×nT とすると(x,y)=(i0%mT ,j0%nT )画素のデータと同じである。なお、この場合の%は剰余演算(割ったときの余りを出す演算)を意味する。
このようにして、予め、代表的な色についての6D−LUTは、準備される。この後、実際のカラー印刷プルーフの作成に際しては、この6D−LUT27を参照し、補間して用いることにより、従来に比し大幅な時間短縮を図ることができる。
【0069】
ところで、この6D−LUTによる変換処理については後述するが、この6D−LUTによる処理は、処理(計算)時間を短縮できる反面、6D−LTUの適用結果は、個々の画素に対して演算を行っていた上述の先行データ処理方式に較べてモアレのコントラストが低下するという副作用があり、モアレ等の像構造が忠実に再現されない恐れがある。これは、この先行データ処理方式では非常に細かい解像度(1600dpi)で計算していたが、本発明方式では原画像の画素単位(解像度400dpi)でしか計算しなくなったために、原画像と絵柄の干渉(これがモアレの原因であるが)のうちの高周波成分が失われたことが原因である。
しかし計算時間を短縮するためには、計算の画素密度を高める(1600dpiとする)ことはできない。そこで、その補償手段としてモアレ等の像構造強調フィルタ処理を適用し、まず、原画像の中のモアレ成分だけを強調し、その後で6D−LUTを作用させるのが好ましい。こうすることにより、モアレ等の像構造もローゼット等の像構造のいずれも忠実に再現することができる。
【0070】
次に、ステップS9のモアレ等の像構造強調処理工程(以下、単にモアレ強調工程という)について説明する。図1に示すように、モアレ強調工程S9は、画像原稿から得られ、色変換処理工程S2おいて変換された各版(例えばCMYK)の各画素の網点面積率データajを、本発明の特徴とする6D−LUTに作用させる前に、印刷線数(スクリーン線数)と網角度と原画像の絵柄等との組み合わせに依存して印刷画像に表れるモアレ等の像構造が強調された網点面積率データaj’に変換するもので、変換しようとする画素(以下、計算対象画素ともいう)を含む近傍画素の画素値の重みを印刷の線数LPI、網角度θにより決定される格子の周期に依存して求め、この重みを印刷画像を出力する印刷機に応じた発生強度のモアレ等の像構造となるようにモアレの強度の強調率αにより調整し、調整された重みにより重み付け平均して変換するものである。
【0071】
この工程における近傍画素の重み付け平均処理は、図8に示すように、まず、位置依存の重みを印刷の線数LPIと網角度θにしたがって決定するステップ(ステップS21)、その位置依存重みをモアレ強度の強調率αにしたがって調整するステップ(ステップS23)、および調整された重みにしたがって近傍画素の値を重み付けで平均して各画素の値を求めるステップ(ステップS24)からなる3つのステップによる第1の処理によるものと、位置依存の重みを印刷の線数LPI、網角度θにしたがって決定するステップ(ステップS21)、その重みをさらに強調するステップ(ステップS22)、強調された重みをモアレ強度の強調率αにしたがって調整するステップ(ステップS23)、および調整された重みにしたがって近傍画素の値を重み付けで平均して各画素の値を求めるステップ(ステップS24)とからなる4つのステップによる第2の処理によるものとが基本的に考えられる。
【0072】
この場合、ステップS21における位置依存の重みの決定処理は、ある関数により発生する方法としてもよいが、重みの発生に時間がかかるので、ルックアップテーブルを参照する方法としてもよい。
また、ステップS23における位置依存の重みの調整処理は、決定された位置依存の重みを調整するもので、決定された位置依存の重みと変換しようとする画素位置では1、それ以外の位置では0である関数とをモアレ強度の強調率αを使って内分または外分する方法としているが、他の強調割合の調整方法を採用してもよい。
また、ステップS24における重み付け平均処理は、あるマスクサイズをもった畳み込み積分による加重マトリクス(以下、加重フィルタまたは重み付けフィルタともいう)を用いた処理(以下、フィルタ処理ともいう)、すなわち、積和処理で行うことにより、処理の高速化を図ることができる。なお、重み付け平均処理を加重マトリクスフィルタ処理で行う場合には、重み調整処理された加重マトリクスフィルタ処理とするのがよい。
【0073】
また、加重マトリクスを設計する場合には、フィルタ処理後の画素による画像(絵柄)のつながりを滑らかに(自然に)するために、図8にステップS25で示すように、近隣画素の位置重みが計算対象画素から遠ざかるにしたがい低減する減少フィルタ(以下、減衰フィルタともいう)処理、すなわちアンチエリアジング処理を行うようにしてもよい。
また、プルーフHP、SP上の画像の鮮鋭度(シャープネス、いわゆるシャープ感)が印刷物上の画像と同じ鮮鋭度となるようにするために、図8にステップS26で示すように、減少フィルタ処理後の加重フィルタにシャープネスフィルタ(以下、強調フィルタともいう)を作用させた加重マトリクスフィルタを重み付け平均処理用のマトリクスフィルタとして利用するようにしてもよい。通常、プリンタによりシート上に形成されるドットは、レーザ光等による記録ドットの形状がガウシャン等の形状になっていることから、記録ドットによる画像エッジがなまり(画像エッジがぼけ)、このようなステップS26の鮮鋭(シャープ)化処理が有用である。
【0074】
また、ステップS27におけるシャープネス強度の調整処理は、減少フィルタ処理後の加重フィルタにシャープネスフィルタの強調割合を調整するもので、シャープネスフィルタとフィルタ中心位置では1、それ以外の位置では0であるフィルタとをシャープネス強調の割合βを使って内分または外分する方法としているが、他の強調割合の調整方法を採用してもよい。
ところで、図8に示す例においては、ステップS23の重みの調整処理後にステップS24の重み付け平均処理を行って調整された重みによって重み付け平均された画素値を求めているけれども、本発明はこれに限定されるわけではなく、ステップS21またはS22において求められた位置依存の重みを用いて、先にステップS24の重み付け平均処理を行って重み付け平均された画素値を求め、この重み付け平均画素値と元の原画像の画素値とをモアレ強度の強調率αを使って内分または外分することにより、調整重みによる重み付け平均画素値を求めるようにして、結果的にステップS23の重みの調整の効果を得るようにしてもよい。
【0075】
次に、モアレ強調工程S9の説明においては、網点面積率データajおよびaj’(j=C,M,Y,K)を、それぞれ代表してDおよびD’で表すものとする。重み付け平均処理は、上述したように、出力解像度(プルーフ解像度)上の座標(i,j)の画素データ(画素値)をD(i,j)とし、近傍画素の重み付け平均処理後の座標(i,j)の画素データ(画素値)をD’(i,j)としたとき、ステップS24における畳み込み積分処理後(変換後)の画素値D’(i,j)は、次の(13)式で表すことができる。
Figure 0003904160
ここで、W(i,j,k,l,LPI,θ)は重み(重み関数ともいう)であり、その合計値が1.0になるように正規化されている。k,lは、計算対象画素D(i,j)の重み付け平均処理を行う(2m+1)×(2n+1)の矩形範囲の近傍画素の座標を示す(2m+1および2n+1は自然数で、計算対象画素座標位置(i,j)を中心とする近傍画像の幅および高さ(サイズ)を示す)。
【0076】
(13)式中、重み関数W(i,j,k,l,LPI,θ)は、いわゆる周波数干渉を起こさせるための関数であって、原画像を構成する画素のうち、ある周期的なピッチ(印刷の線数LPIに依存するピッチ)およびある傾き(網角度θに相当する傾き)を持つ格子上の特定の点に相当する位置にある画素値の重みを高める処理を行う関数である。印刷の場合、印刷の線数LPIおよび網角度θが決定されれば、各版のLPIおよびθは定数と考えることができるので、この重み関数W(i,j,k,l,LPI,θ)は、CMYK版のいずれについても重み関数W(i,j,k,l)(以下、単にWともいう)とすることができる。そこで、以下の説明においては、ステップS21またはステップS22で求められた位置依存重み関数WをCMYK版のいずれについても位置依存フィルタF(i,j,k,l)で表し、ステップS23で求められたモアレ強度が調整された重み関数WをCMYK版のいずれについてもモアレ強度調整フィルタF’(i,j,k,l)で表すものとする。上記式(13)は下記式(14)で表される。
Figure 0003904160
【0077】
ここで、強度が調整されたフィルタF’(i,j,k,l)は下記式(15)で表すことができる。
Figure 0003904160
ただし、E(k,l)は、中心の係数が1.0でそれ以外が0.0の係数マトリックス(Eは画素座標位置(i,j)に依存しない)である。
αは、モアレの強度の強調率である。なお、α=1ならば強調をする前と同じ状態、すなわちF(i,j,k,l)に等しく、α=0ならばモアレの強度は0になり、モアレシミュレーションを行わない場合(原画そのもの)に等しい。
i,jは、画像の画素の位置座標であって、矩形画像のサイズ(ピクセル数)をwidth × height とするとi=0〜height−1、j=0〜width −1である。
k,lは、畳み込み積分を行う際の補助変数である。
ところで、本発明においては、強度調整フィルタF’(i,j,k,l)による重み付け平均画素値D’(i,j)を以下のようにして求めてもよい。
ここで、位置依存フィルタF(i,j,k,l)による重み付け平均画素値をDa(i,j)とする時、画素値Da(i,j)は下記式(16)によって与えられるので、上記式(14)に上記式(15)を代入し、得られた式に下記式(16)を代入することにより、変換画素値D’(i,j)は下記式(17)によって与えられることになる。
Figure 0003904160
【0078】
次に、図8のステップS21の処理における重み付け用の重み(ウエイト)を計算する(決定する)方法の基本的な例として以下の2つの方法がある。
第1の方法は、印刷の網展開用のCMYK各版の閾値マトリクス(閾値テンプレートまたは有理数網テンプレートともいい、通称スーパーセルとも呼ばれる)を直接的に、換言すれば、ルックアップテーブルとして使用して重みを計算する方法である。第2の方法は、重みを計算するために、網格子座標系の各格子点(格子と格子の交点)、もしくは格子点の中点、または格子中の任意の所定の1点を中心に、各中心から外側に向かって重みが単調に減少するかまたは増加する関数を用いる方法である。
なお、重み付け用の重みとしては、いずれの方法で計算した重みを用いても同様なモアレ等の像構造予測(像構造シミュレーション)結果が期待できる。
【0079】
次に、図9のフローチャートを参照して、重みを計算する方法を説明するが、以下の説明においては、計算の簡便さと、計算時間の短さとを考慮して、印刷の網展開用の各版の閾値マトリクスTM′を直接的に使用して重みを計算する方法を用い、C版の加重マトリクスの作成例を代表例として具体的に説明する。なお、他の版の加重マトリクスも以下に説明するC版と全く同様の手順で作成することができる。
ここでは、画像出力装置として、出力解像度が400dpi、RGB各色の濃度階調が256階調の、いわゆる濃度階調方式の連続調カラープリンタを用い、また、原画像データの解像度は、図1に示すステップS2に色変換処理工程において網点面積率データに変換された時には、出力解像度と同じ400dpiになっているものとする。
【0080】
また、用いられるカラーデジタルプリンタ(DP)3から出力されるカラー印刷プルーフ(ハードプルーフ)上でシミュレーションしようとする印刷のモアレ、線切れ、直線のがたつき等の像構造予測に対する印刷線数LPI、網角度θは任意であるが、ここでは、印刷線数LPIがLPI=175線、CMYK各版の網角度θは、θ=75度、45度、0度、15度であるものとして説明する。
なお、印刷では0度〜180度で網角度を取り扱うが、これは、網の形状が90度回転に対して対称性を持たないからである。しかし、網点の配列だけに注目すれば、網空間は90度で直交した座標系であるから、印刷の像構造予測の場合には、網角度θが90度〜180度の網は90度回転した値を用いればよく、0度〜90度のみを使用すればよい。
【0081】
加重マトリクス(以下、加重フィルタともいう)のマスクサイズは、1つの格子(網)中に、出力解像度に対応する画素が少なくとも1つ入るように決めれば、像構造を表現することができると考えられるので、ここでは、出力解像度を印刷線数で割って切り上げた値を意味する下記の(18)式によって規定される3×3のマスクサイズを有する加重マトリクスを作成するものとする。
INT(出力解像度/印刷線数)+1=INT(400/175)+1=3…(18)
なお、(18)式において、INT(X)は、Xの整数部分のみを残す演算を示す。
【0082】
図9に示すように、3×3加重マトリクスの各要素の値を決定する場合、印刷に用いられる閾値マトリクスである有理数網(有理網ともいう)テンプレートを利用することができる(ステップS31)。
図10に有理数網テンプレートの一例として、解像度が2000dpiで有理数網テンプレートサイズMMsizeが215(要素数を215×215)の有理数網テンプレートTM0′を示す。この有理数網テンプレートTM0′上での座標系を(i′,j′)とすると、座標i′および座標j′は、0〜214の値を取り、閾値th0′は215×215の要素に割り当てられ、その値は、例えば8ビットデータであるとすると、0から255のいずれかの値をとる。
この2000dpiの有理数網テンプレートTM0′から、原画像データIに作用させるための400dpi用の3×3の加重マトリクスを作成する場合には、2000dpiの5×5ドット(要素)が400dpiの1ドットに対応することを考慮すれば、まず、各5×5の要素からなる部分有理数網テンプレートの中央の閾値を抽出した43×43個の閾値からなる閾値テンプレートを作成することが考えられる(ステップS32)。
【0083】
図11は、このようにして作成した43×43個の閾値th0(i,j)からなる閾値テンプレートTM0の例を示している。なお、図11における閾値テンプレートTM0のマスクサイズMsizeは43である。
この場合の3×3加重マトリクスをwgt0(i,j,k,l)とすれば、これは、次の(19)式で表すことができる(ステップS33)。
Figure 0003904160
ここで、k,lは、k,l=−1,0,1であり、Σk Σl は、kおよびlについての−1〜1の総和を意味する。
【0084】
実際上、3×3加重マトリクスwgt0は、網位置座標(i,j)に対応した数分、この例では、Msize×Msize=43×43個だけ用意する必要があり、Msize×Msize個の場合には、これに制限された網位置座標が、(i%Msize,j%Msize)となる。なお、i%Msizeは、余剰演算であり、iをMsizeで割った余剰を意味する(例えばi=1、44、87の場合には、i%Msizeは、全て同じ値でi%Msize=1となる。)。なお、原画像データ中、4辺に存在する画素は、加重マトリクスの要素が存在しない部分を使用しなければならないので、その要素を決める計算が繁雑になり、また、4辺部分には、通常、重要な絵柄が存在しないので、この実施の形態においては、重み付け平均処理を行わないで、原画像データをそのまま使用するようにしている。
【0085】
次に、3×3加重マトリクスの他の例を説明する。この他の例は、図8を参照して説明した重みの強調ステップS22を実施するためのものである。
重みを強調する場合には、図10に示した2000dpiの閾値テンプレートTM0′を構成する各閾値th0′をそれぞれ空間的に強調してから3×3加重マトリクスwgt1を作成してもよいが、ここではすでに作成している図11に示した400dpiの閾値テンプレートTM0から3×3加重マトリクスwgt1を次の(21)式に従って、まず3乗の正規化演算を行うことで、強調後の閾値th1を作成し(ステップS34)、次にこれを下記式(22)に従って正規化処理して求めることができる(ステップS35)。
Figure 0003904160
ここで、k,l=−1〜1を意味する。
なお、図12は、強調後の閾値th1から構成される400dpiの閾値テンプレートTM1を示す。
【0086】
ここで、出力画像の400dpiを構成する各画素と隣り合う画素との間のつながりの滑らかさ、および僅かに目立つ400dpi以上の周期に相当する周波数成分の除去を望む場合には、、中心から周囲に向かって重みが減少(減衰)する3×3ローパスフィルタ(中心を低減成分と考えた場合の表現)を強調後の3×3加重マトリクスwgt1に作用させた3×3加重マトリクスwgt2を作成すればよい。3×3ローパスフィルタ(減少フィルタという)は、ぼかしフィルタまたはアンチエリアジングフィルタであると考えることができ、ここでは、図13に示す3×3ガウシャンフィルタGauss1(k,l){k,l=−1〜1}を使用する。
ガウシャンフィルタ処理施した3×3加重マトリクスwgt2は、(23)式で表すことができる(ステップS36)。
Figure 0003904160
ここで、k,l=−1〜1、i,j=0〜Msize−1を意味する。
【0087】
画素間をさらに滑らかにつなげたい場合には、図10に示す2000dpiの閾値テンプレートTM0の各閾値を3乗して正規化した閾値テンプレート(図示せず)(ステップS41)に対して、図14に示す中央の値が最も大きく周囲にいくにしたがって値が徐々に減衰するガウシャン特性に近似した要素の配列となっている2000dpiの解像度に対応した15×15のガウシャンフィルタGauss2(m,n)を出力解像度400dpiになるように作用させ(いわゆる解像度変換である)、下記式(24)に従って400dpiの重みマトリクスwgt3をまず作成する(ステップS42)。
Figure 0003904160
ここで、m,nは−7〜7、(i,j)は、400dpi空間上の座標で、i,j=0〜Msize−1、(5×i+m,5×j+n)および(m,n)はそれぞれ2000dpi空間上の座標(i′,j′)で、i′,j′=0〜MMsize−1である。i,jの乗数は、解像度変換のための定数である。
【0088】
次に、この43×43個(Msize=43)のアンチエリアジング処理後の重みマトリクスwgt3(i,j)を3×3加重マトリクスの43×43個に変換するためには、15×15の要素からなる重みマトリクスwgt3(i,j)の1個が3×3要素の加重マトリクスwgt4(i,j,k,l)の1個の対応するように変換し、下記式(25)に従って座標(i,j)を中心座標とする43×43個の3×3加重マトリクスwgt4の各要素を求めればよい(ステップS43)。
wgt4(i,j,k,l)
=Σm=5k-2 5K+2Σn=5l-2 5l+2wgt3(i,j,m,n)…(25)
この和は、m=5k−2〜5k+2,n=5l−2〜5l+2の5×5要素の総和、すなわち、ここではk、l=−1〜1より、m=−7〜7、n=−7〜7の要素、すなわち、15×15の要素を5×5部分の9個分に単純に分割したときの各5×5部分の総和である。
この3×3加重マトリクスwgt4に正規化処理を行って、下記式(26)により画素間をさらに滑らかにつなげることのできる3×3加重マトリクスwgt5を作成することができる(ステップS44)。
Figure 0003904160
ここで、(k,l)は、400dpi空間上のフィルタの中心からのシフト量を意味する。
【0089】
ところで、印刷物のシャープ感に近似したシャープ感を得るためには、上述の3×3の加重マトリクスwgt4に対してGauss2の逆の特性を有する空間強調フィルタ(シャープネスマトリクスまたはシャープネスフィルタともいう)による処理、またはGauss2の逆の特性より強い特性を有する空間強調フィルタによる処理を行った加重マトリックスwgt7を作成すればよい。
図15(a)は、Gauss2の逆の特性を有する逆フィルタであるシャープネスフィルタShp=Shp1の構成例を示している。
図15(b)は、シャープネスフィルタShp1よりさらに強い特性を有するシャープネスフィルタShp=Shp2の構成例を示している。
図15(c)は、シャープネスフィルタShp2よりさらに強い特性を有するシャープネスフィルタShp=Shp3の構成例を示している。
なお、各フィルタShp1、Shp2、Shp3の横軸と縦軸とをそれぞれi,k,r,j,l,sで表しているのは、後述する式を使用する際の見通しの良さを得るためであり、いずれも400dpi上の座標系(i,j)と同一の座標系上のものである。また、各フィルタShp1、Shp2、Shp3毎の要素の総和は1となっている。
【0090】
まず、加重マトリクスwgt7を作成するには、まず、下記式(27)に従って、加重マトリクスwgt4に対してシャープネスフィルタShpを施した加重マトリクスwgt6を作成する(ステップS45)。
Figure 0003904160
ただし、wgt4(i+r,j+s,k−r,1−s)のうち、k−r,l−sが値−1〜1の範囲を超えるものについては、wgt4(i+r,j+s,k−r,l−s)=0とみなす。また、Shp(r,s)は、図15(a)、図15(b)、図15(c)のそれぞれに示したシャープネスフィルタのいずれかである。
次に、このwgt6を正規化することにより、下記式(28)に従って3×3加重マトリクスwgt7を作成することができる(ステップS46)。
Figure 0003904160
ここで、k,lは、k,l=−1,0,1である。
【0091】
ところで、シャープネスの強さを原画像や印刷条件(線数、網角度、印刷濃度)に加え、対象とする印刷機に応じて、プルーフのシャープネスの強度を調整する場合には、通常の3×3または5×5程度のシャープネスフィルタ処理を行う場合のシャープネスフィルタ強度、例えば、USM(アンシャープネスマスク)処理を行う場合のUSMの強度を調整すればよい。ここで、シャープネスフィルタShp1、Shp2、Shp3などの100%強度時のUSMをU(k,l)とする時、U’(k,l)を強度調整後のUSM(フィルタ)とし、βをシャープネス強調の割合とすると、シャープネス強度調整フィルタは、下記式(29)で求めることができる(ステップS47)。
U’(k,l)=β(−E(k,l)+U(k,l))+E(k,l)…(29)
ここで、(k,l)は、フィルタの座標を示し、U(k,l)およびU’(k,l)が3×3シャープネスフィルタであるとすると、k,l=−1〜1である。E(k,l)は上述したように中心が1.0、その余が0.0である係数マトリックスである。
【0092】
こうして得られた強度調整シャープネスフィルタU’(k,l)を位置依存フィルタF(i,j,k,l)やF’(i,j,k,l)、例えば、具体的にはwgt0、…wgt4、wgt5またはこれらの加重フィルタをモアレ強度調整した加重フィルタなどに組み込み、最終的にはシャープネス強度が調整されたシャープネスフィルタU’(k,l)とモアレ強度が調整された位置依存フィルタF’(i,j,k,l)などとを1つの重み平均処理用のフィルタに合成し、合成フィルタによって計算対象画素を変換するのが好ましい。
この合成フィルタの作成の一例を示す。ステップ47で得られた強度調整シャープネスフィルタU’(k,l)と先に求めた3×3加重マトリックスwgt4(i,j,k,l)とを上記式(27)と同様にして合成し、下記式(30)で示す3×3加重マトリックスwgt8(i,j,k,l)を作成する(ステップS48)。
Figure 0003904160
ただし、wgt4(i+r,j+s,k−r,1−s)のうち、k−r,l−sが値−1〜1の範囲を超えるものについては、wgt4(i+r,j+s,k−r,l−s)=0とみなす。
次に、このwgt8を正規化することにより、下記式(31)に示す3×3加重マトリクスwgt9を作成することができる(ステップS49)。
Figure 0003904160
ここで、k,lは、k,l=−1,0,1である。
【0093】
図9に示すように、以上のようにして得られた3×3加重マトリクスwgt0,wgt1,wgt2,wgt5,wgt7,wgt9のいずれかをモアレ強度調整されていない位置依存フィルタF(i,j,k,l)として、上記式(15)に従ってモアレ強度の強調率αによる調整を行うことにより、重み付け平均用の調整3×3加重マトリクスF’(i,j,k,l)を求め(ステップS50)、得られた3×3加重マトリクスF’(i,j,k,l)を(13)式の重み関数Wとすることで、すなわち上記式(15)に従って原画像データ(網点面積率データaj’)を計算することで、1回の演算でシャープネス強度を調整したシャープネス処理とモアレ強度を調整した像構造シミュレーションとを同時に行うことができる。
こうして、ステップS9のモアレ強調工程においては、この3×3加重マトリクスF’(i,j,k,l)を使用して、原画像データ(網点面積率データaj)を重み付け平均処理したモアレ強度調整画像データ(網点面積率データaj’)を求めることができる。
【0094】
ところで、本発明においては、シャープネスおよびモアレ強度の調整は以下のように行うのが好ましい。
モアレシミュレーションの強度の強調率αを60%〜180%(0.6〜1.8)とすることでプルーフ上のモアレの強度が大きく変化することを目視で確認した。通常の印刷物に対しては120%程度で見かけが近くなるため、60%〜180%にしておけば多くの印刷物に対応することが可能であることから、このような場合、モアレの強度の強調率αは、0.6〜1.8であるのが好ましい。
【0095】
一方、シャープネスの強調に関しては、連続調プリンタの印字ドットがガウシアン関数に似た空間分布を持つために連続調プリンタでプリントした画像は多少ぼやけることと、印刷が細かい点で構成されることに起因して視覚的にシャープに見えてしまうことは上述したとおりである。従って、これを修正するためには実際の印刷物に対してわざとシャープネスをかけないとプルーフと印刷物を見かけ上同じシャープネスにすることはできない。5×5のUSMマスクを使用し、400dpiの連続調プリンタ、ピクトログラフィー3000(富士写真フイルム社製)を使用し、175線印刷物をシミュレーションするプルーフを作成した場合には、シャープネスの強調割合(強度)βが0%〜80%で大きなシャープネスの変化を目視で観察でき、50%程度で印刷物に近いシャープネスを得ることができた。通常の印刷に対しても0%〜80%を使用することで多くの印刷物に対応するプルーフを作ることができることから、このような場合、シャープネスの強調割合βは、0.0〜0.8であるのが好ましい。
【0096】
こうしてステップS9のモアレ強調工程で得られたモアレ強度調整画像データ(網点面積率データaj’)は、次のステップS10の6D−LUT処理工程に送られ、ローゼット等の像構造の強調処理に供される。
ステップS10の6D−LUT処理工程(ローゼット強調工程)について説明する。図1に示すように、6D−LUT処理工程S10は、ステップS9のモアレ強調工程によってモアレ等の像構造が強調された網点面積率データa´j(j=CMYK)を、ステップS8の作成工程で予め作成されている6D−LUTを使って補間処理してモアレ等の第1の像構造を残したまま、ローゼット等の第2の像構造を再現し、強調することのできる共通色空間データである3刺激値データXYZに変換する第2像構造予測(シミュレーション)処理工程である。なお、aj’の添字jはCMYKを表わし、位置座標(i,j)とは異なるものであるので、以下の説明では、ja で表すものとする。
【0097】
なお、この6D−LUTの使用方法は、特に制限的ではなく、他の分野で、違うデバイスや媒体(例えば、CRTモニタとプリンタ間、デジタルスキャナデータとプリンタデータ間)間で見かけが同じ画像を作るためにLUTを使う場合と同じであり、体積補間や線形補間や面積補間や組み合わせ法などがあるが、本発明ではCMYKの4色(版)からなる4次元空間を補間するので、1次元空間を線形補間する場合、2次元空間を面積補間する場合、3次元空間を体積補間する場合の延長と考え、3次元空間での体積に当たる4次元量を4次元空間における4次元体積と定義し、4次元空間をこの4次元体積を使って補間する場合を代表例として説明する。
【0098】
座標(i1,j1)におけるKYMC値がそれぞれ(k,y,m,c)である例について説明する。ここで、k、y、m、cはそれぞれk0とk1,y0とy1,m0とm1,c0とc1の間にあって、k0、y0、m0、c0とk1、y1、m1、c1は全部、N段分けした場合の各段のどれかであって(6段の場合、0か20か40か60か100%のいずれかである)、k0、y0、m0、c0よりk1、y1、m1、c1は各々1つ上の段だとする(例えば、kについてのみ表わすと、k0=20%、k1=40%であり、すなわち、k0≦k≦k1である)。
そして6DLUT[i][j][k][y][m][c]に相当するXYZ値ををそれぞれ[i][j][k][y][m][c].X、6DLUT[i][j][k][y][m][c].Yおよび6DLUT[i][j][k][y][m][c].Zと表わすとすると、まず、原画像の位置座標(i1,j1)でのXYZ値は、有理数網の定義より、次の式(32)を満たす(i2,j2)でのXYZ値に等しい。
i2=i1%mT 、j2=j1%nT …(32)
ただし%は剰余演算であり、i2<mT 、j2<nT となり、mT ×nT は有理数網のサイズであるとする。従って、i2およびj2は6D−LUT内の位置座標となる。
【0099】
ここで、6D−LUTを補間して求めた結果を6DLUT(i、j、k、y、m、c).X〜Zとすると、下記式(33)によって計算することができる。
Figure 0003904160
Figure 0003904160
ここで、i2=i1%mT 、j2=j1%nT であり、YVxxxxは頂点(kw,yw,mw,cw) (これは、(kx,yx,mx,cx)と対角線上にある頂点である)と点(k,y,m,c)を含む4次元単位格子(3次元での立方体に相当するものとして定義される4次元立方体である)の4次元体積である。また、V=(k1−k0)(y1−y0)(m1−m0)(c1−c0)である。
なお、YVxxxxの各々のxは、0か1のどちらかをとり、kw,yw,mx,cwの各wも0か1のどちらかであって、xが0ならwは1、xが1ならwは0となるよう定める。
【0100】
こうして、原画像の位置座標が、(i1,j1)である画像データ(CMYKの網点面積率データaja ´)から6D−LUT27を用いて(参照して)、モアレなどの第1の像構造およびローゼットなどの第2の像構造が強調され、対象とする印刷機などに応じて調整された共通色空間であるCIEXYZ表色系の3刺激値データXYZを求めることができる。この3刺激値データXYZを原画像の全座標位置について求めることにより、全画像の3刺激値データXYZを得ることができる。こうして得られた全画像の3刺激値データXYZは、DP3に送られ、次のステップS11のデバイス依存の色変換処理工程に供される。
【0101】
次にDP3におけるステップS11の色変換処理工程およびカラー印刷プルーフの作成工程に付いて説明する。
ステップS11の色変換処理工程は、ステップS10の6D−LUT処理工程で得られ、モアレおよびローゼットなどの像構造が強調された共通色空間の3刺激値データXYZをデバイス固有色空間データである、DP3などのデバイスに依存した階調画像データに変換する工程である。なお、ステップS8の6D−LUT作成工程において、6D−LUTを作成した時点で、変換データは表現される色空間が定まっており、この場合には、CIEXYZ表色系の3刺激値で表現されている。そこで、この工程では、これに見合う色をプルーフプリンタで出力するために、出力デバイス(連続調カラープリンタやCRTなどのディスプレイ)に依存した値(例えば、デバイス依存のRGB等)に変換する必要がある。この変換処理においては、3刺激値データXYZからデバイス依存RGBデータへ変換するための色変換LUT(ルックアップテーブル)を用いて補間してDP3でカラー印刷プルーフを出力するためのRGB画像データを求める。
【0102】
こうして得られたRGB画像データを用いて、DP3はカラー印刷プルーフを出力する。このようにして作成されたハードコピー上の画像、すなわち、カラー印刷プルーフCPbは、カラー印刷物12と色が一致するのはもちろんのこと、網点画像に現れる特異な像構造をも忠実に再現している。すなわち、カラー印刷プルーフCPb上には、カラー印刷物12上に現れるのとほぼ等しいモアレ、ローゼット等の像構造(特異パターン)が忠実に再現される。
本発明に係る像構造予測処理方法およびこれを実施するカラー印刷作成システムは、基本的に以上のように構成される。
【0103】
なお、上述のステップS8の6D−LUT作成工程の例においては、測色値データXi、Yi、Ziを用いて平均測色値データである第1および第2の3刺激値データX、Y、Z、X′、Y′、Z′を作成しているが、これに代替して色度値データまたは濃度値データ等の他の共通色空間データ(デバイスインディペンデントデータ)を用いて平均測色値データを作成してもよい。要は、ステップS10のローゼット強調工程において、網点面積率データなどの画像データを6D−LUTを用いてローゼットなどの像構造が強調された画像データに変換する際に、これらの画像データを、デバイスに依存しない色空間(共通色空間)上で測定したデータを用いて共通色空間上の平均測色値データで作成するようにすればよい。また、閾値マトリクス14、24の配列としては、網点の配列がランダムな、いわゆるFMスクリーンを用いた場合でも、本発明を適用してカラー印刷プルーフを作成することができる。
【0104】
また、図3を参照して説明したように、ステップS13におけるビットマップデータb′jへの展開処理(網展開処理ともいう)と、これに続くステップS14のデータ処理においては、DP3の解像度Re3=400dpiの解像度画素の大きさの数分の1の大きさ,例えば、中間解像度(Re5=1600DPI)画素の第1の3刺激値データX、Y、Zを求めている。すなわち、まず、中間解像度の1画素をもっと小さい微小エリア[上述の解像度Re4=44800DPIの1ドット]で構成される28ドット×28ドット(図6(A)、図6(B)参照)に分け、その微小エリアの各々が16原色のどの色であるかを調べ、調べた16原色の点の数を中間解像度画素毎に集計し(上述のステップS15の数え上げ処理)、その点の数の重みで予め測定してある16原色の3刺激値データXi、Yi、Ziを重み付け平均化することで中間解像度の1画素の第1の3刺激値データX、Y、Zを求めている。この場合、16原色の色毎の面積率ci、すなわち、存在確率をPiとすると、下記式(34)により第1の3刺激値データX、Y、Zを求めることができる。
X=Σ(Pi×Xi)、(i=1〜16)、Y、Zも同様 …(34)
ところで、この微小エリアの各点が何色であるかは、ステップS13の比較処理として説明したように、閾値マトリクス24の閾値TとCMYKの網点面積率データajの値(網%:網点面積率)を比較することで簡単に求めることができるが、中間解像度画素の色の精度を確保するには、微小エリアの数を28×28ドット等、非常に多くしなければならないため計算に長時間を要している。
このため、本発明者が特願平8−179122号明細書に提案した、累積ヒストグラムを用いる簡便な手法を用いてもよい。
【0105】
この簡便な手法は、中間解像度画素毎に存在確率(網存在確率ともいう。)Piを、例えば、上述したノイゲバウア式のような確率的な近似法で求める。すなわち、次の(35)式により存在確率Pi(i=1〜16)を求める。
P1 =(1−Pc)(1−Pm)(1−Py)(1−Pk)
P2 = Pc ・(1−Pm)(1−Py)(1−Pk)
P3 =(1−Pc)・ Pm ・(1−Py)(1−Pk)
P4 = Pc ・ Pm ・(1−Py)(1−Pk)
P5 =(1−Pc)(1−Pm)・ Py ・(1−Pk)
P6 = PC ・(1−Pm)・ Py ・(1−Pk)
P7 =(1−Pc)・ Pm ・ Py ・(1−Pk)
P8 = Pc ・ Pm ・ Py ・(1−Pk)
P9 =(1−Pc)(1−Pm)(1−Py)・Pk
P10= Pc ・(1−Pm)(1−Py)・Pk
P11=(1−Pc)・ Pm・ (1−Py)・Pk
P12= Pc ・ Pm・ (1−Py)・Pk
P13=(1−Pc)(1−Pm)・ Py ・Pk
P14= Pc ・(1−Pm)・ Py ・Pk
P15=(1−Pc)・ Pm ・ Py ・Pk
P16= Pc ・ Pm ・ Py ・Pk …(35)
このとき用いるC、M、Y、K各色の存在確率Pc、Pm、Py、Pkは、地道な方法では、網点面積率データajと閾値マトリクス24の各閾値Tと比較して求めるのであるが、網点面積率データajの値C(M、YまたはK)は、中間解像度レベルでは同じ値であるが、閾値Tは微小エリアの位置によって変わる。そこで、ステップS13における比較工程を中間解像度毎にまとめて処理することで処理を高速化してもよい。そのためには、中間解像度の1画素分の微小エリアの数、すなわち、28ドット×28ドット(28閾値×28閾値)毎の閾値Tの累積ヒストグラムを作成すればよく、累積ヒストグラムの縦軸は累積度数であり、この累積度数は存在確率Piに対応する。
【0106】
また、印刷における本紙である印刷用紙に存在する紙の質感、例えば、第1に刷版で均一な画像が刷版からインキが転移された本紙上の印刷再生画像では、もやもやとランダムに変化する濃淡パターンとして感じる、いわゆる「むら感」、第2に再生画像のエッジ部分を乱すような細かで(「むら感」より比較的短周期)ランダムに変化する濃淡パターンとして感じる、いわゆる「ざらつき感」、第3に本紙の紙種類毎に特有の濃淡パターンとして感じる、いわゆる「テクスチャー感」などをも、カラー印刷プルーフに再現したい場合、あるいはさらにこのような像構造シミュレーションにおける色ずれなども補正したい場合には、本発明者の出願に係る特願平7−273297号明細書および同8−80283号明細書に記載の方法を本発明の像構造予測処理のステップ9のモアレ強調工程やステップ10のローゼット強調工程などの像構造シミュレーション処理工程、またはその前後に紙の質感の補正処理およびまたは色ずれの補正処理などを付加してもよいことは勿論である。
さらに、本発明において、好ましい処理として追加するモアレ強調工程S9のモアレ強調調整処理やシャープネス強調調整処理なども上述した実施例に限定されるわけではない。
【0107】
実際に、連続調カラープリンタとして、400dpiの写真方式のデジタルプリンタ、富士写真フイルム社製「ピクトログラフィ3000」を用い、印刷の線数が175線、CMYKの網角度がそれぞれ15度、45度、0度、75度である印刷物を本発明の像構造予測処理方法に従った図1に示すカラー印刷プルーフ作成システム10によってシミュレーションして、カラー印刷プルーフCPbを得た。ここでは、網を43×43の大きさの1個の網のパターンの繰り返しで表現し(ピクトログラフィー上で1辺約2.73mmの正方形)、モアレ強調度αを1.2、シャープネス強調割合βを0.5、ローゼット強調割合γを2.0にした(ただし、デジタルプリンタ「ピクトログラフィ3000」の色再現域の境界に近い色は、例外的にγは0.0に近い値とした)。
また、図16に示す従来のカラー印刷プルーフ作成システムを適用して、同様にデジタルプリンタ「ピクトログラフィ3000」でカラー印刷プルーフCPaを作成した。
【0108】
こうして得られたカラー印刷プルーフCPb上の画像と、実際にカラー印刷機を用いて作成した印刷紙上の画像と、従来のカラー印刷プルーフ作成システムを適用して作成されたカラー印刷プルーフCPaとを比較したところ、本発明法が適用されたカラー印刷プルーフCPb上の画像では、カラー印刷機を用いて作成したカラー印刷物12上の画像に現れるモアレ、ロゼット等の特異パターンを忠実に再現でき、その他、ざらつき感、ジャンプ感についても、従来のシステムのノイゲバウア式を用いてデジタルプリンタで作成したカラー印刷プルーフCpa上の画像に比較して、カラー印刷機で作成した印刷紙上の画像により近い画像を作成することができ、良好なシミュレーション結果を得ることができた。
なお、本発明法による演算をアップル社製のPowerMacintosh9500/132を使用して行った処、A4、1枚につき計算時間は10分であり、従来に比べ、数分の1から数十分の1に短縮でき、演算時間の大幅な短縮を実現することができた。
【0109】
本発明に係る像構造予測処理方法について、種々の実施例を挙げて説明したが本発明は、上述した実施例に限定されず、例えば、画像出力装置として連続調プリンタに限らず、ディスプレイモニタを使用する等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改良や設計の変更が可能なことは勿論である。
【0110】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来、例えば、400DPI程度の低解像度のカラープリンタ等では、2000DPI程度のカラー印刷物に現れる特異パターンを再現することができないとされていたが、画像出力装置用のデバイス非依存の印刷プルーフ用データを作成する際に、ノイゲバウア式を用いないで、印刷網の閾値マトリクスから高解像度のビットマップデータに展開して各色毎の面積率を求め、これを測色データの重み係数として低解像度の平均測色値データを計算することのできる位置依存の多次元、例えば2つの位置パラメータと3つまたは4つの色パラメータの5または6次元のルックアップアップテーブルを用いることにより、手軽で、安定した性能が出せる連続調プリンタなどの画像出力装置、すなわち低解像度のカラープリンタ等を使って、高価な網方式のプルーフと同様な印刷物の網点に起因する現象をシミュレーションすることが可能になり、再現することができる。その結果、本発明法で作成された印刷プルーフ用データをカラープリンタ等の画像出力装置に供給することにより、この画像出力装置の出力画像が担持されたカラー印刷プルーフ上で、カラー印刷物に特有のモアレおよびロゼット等の像構造を正確かつ忠実に、かつ短時間で再現することができる。
【0111】
また、本発明法によれば、像構造シミュレーションの演算時間の大幅な短縮を実現することができる。
また、本発明法によれば、色の再現精度を向上させることができ、より印刷物の色と近いプルーフを作ることができる。
また、本発明法によれば、モアレ等の劣化などの像構造的な副作用や色精度の低下を伴うことなく、像構造シミュレーションでのローゼットなどの像構造の強度を強めることができる。
また、本発明法によれば、像構造シミュレーションでのローゼットの強度を印刷対象毎に最適化するために、ローゼットなどの像構造の強さを調整することができる。
【0112】
さらに、本発明法によれば、モアレ、線切れ等の像構造も、好ましくは、シャープネス性(シャープ感)を損なうことなく、ハードプルーフまたはソフトプルーフ上で正確、簡易かつ短時間に予測することができる。
また、本発明によれば、像構造シミュレーション(プルーフ)上のモアレの強度とシャープネスの強度を調整することが可能であるので、ローゼット等の像構造と共に印刷機に合わせたシャープネスやモアレのシミュレーションが可能になり、より忠実度の高いプルーフを作成することが可能になる。
さらにまた、本発明法によれば、平均測色値データに、色補正と共に平均予測測色値データを中心に広げるような処理を施すようにルックアップテーブルを作成しているので、再現色が純色に近くなり、結果として、ローゼットパターン等の像構造をより一層忠実に再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る像構造予測処理方法を実施するカラー印刷プルーフ作成システムの一実施例およびカラー印刷システムの基本的な流れを説明するフロー図である。
【図2】 図1に示すカラー印刷システムのビットマップデータ作成工程の説明に供される線図である。
【図3】 図1に示すカラー印刷プルーフ作成システムの6次元ルックアップテーブル作成工程の一実施例の基本的な流れを説明するフロー図である。
【図4】 図3に示す6次元ルックアップテーブル作成工程に用いられるアンチエリアジングフィルタの一例の構成を示す線図である。
【図5】 図4に示すアンチエリアジングフィルタの周波数応答の一例を示す線図である。
【図6】 図3に示す6次元ルックアップテーブル作成工程において、比較的高解像度のビットマップデータから平均測色値データを作成する際の説明に供される線図であって、(A)は28×28ドット分のC版のビットマップデータ一例を示す線図であり、(B)は28×28ドット分のM版のビットマップデータ一例を示す線図である。
【図7】 図3に示す6次元ルックアップテーブル作成工程において、平均測色値データに対してアンチエリアジングフィルタをかける際の説明に供される線図であって、(A)はその最初の処理工程に係る線図であり、(B)は次の処理工程に係る線図である。
【図8】 図1に示すカラー印刷プルーフ作成システムのモアレ強調工程の一実施例の基本的な流れを説明するフロー図である。
【図9】 図8に示すモアレ強調工程における種々の加重マトリクスの生成の説明に供給される工程の一例の基本的なフロー図である。
【図10】 図8に示すモアレ強調工程に用いられる2000dpiの有理数網テンプレート(閾値マトリクス)一例の一部を示す線図である。
【図11】 図8に示すモアレ強調工程に用いられる400dpiの加重マトリクスの一例を示す線図である。
【図12】 図8に示すモアレ強調工程に用いられる閾値強調後の400dpiの加重マトリクスの一例を示す線図である。
【図13】 図8に示すモアレ強調工程に用いられる3×3ガウシャンフィルタの一構成例を示す線図である。
【図14】 図8に示すモアレ強調工程に用いられる15×15ガウシャンフィルタの一構成例を示す線図である。
【図15】 (a)は図8に示すモアレ強調工程に用いられるガウシャンフィルタの逆の特性を有する逆フィルタであるシャープネスフィルタの一構成例を示す線図であり、(b)は(a)のシャープネスフィルタよりさらに強い特性を有するシャープネスフィルタの一構成例を示す線図であり、(c)は(b)のシャープネスフィルタよりさらに強い特性を有するシャープネスフィルタの一構成例を示す線図である。
【図16】 従来のカラー印刷プルーフ作成システムのフロー図である。
【符号の説明】
2 画像原稿
3 カラープリンタ
12 カラー印刷物
14、24 閾値マトリクス
27 6次元ルックアップテーブル(6D−LUT)
aj 網点面積率データ
bj ビットマップデータ
ci 面積率
CPb カラー印刷プルーフ

Claims (10)

  1. 原画像を少なくとも3原色を含むn版の網点面積率データに変換し、これらの網点面積率データを用い、カラー印刷機により作製されるカラー印刷物のカラー印刷プルーフを画像出力装置によって出力するために、前記カラー印刷物の像構造を予測するための階調画像データに変換するに際し、
    予め、各版の0%〜100%の網点面積率データをN段に分け、全Nn 色の各単色画像に対して前記像構造を予測するための前記階調画像データを求めて、前記像構造予測に必要な繰り返し画素サイズを持ち、位置パラメータとn個の色パラメータとを引き数とするルックアップテーブルを作成しておき、
    前記原画像のn版の網点面積率データを前記ルックアップテーブルを参照して前記階調画像データに変換することを特徴とする像構造予測処理方法。
  2. 前記原画像の各版の網点面積率データは、前記階調画像データに変換される前に、前記像構造を強調するために、印刷の線数および網角度により決定される格子の周期に依存した調整可能な重みにより近傍画素と重み付け平均されることを特徴とする請求項1に記載の像構造予測処理方法。
  3. 前記格子の周期に依存した重みを、前記近傍画素と同一マスクサイズの加重マトリクスの各要素に配列するとともに、この加重マトリクスの各要素に配列される重みをF(i,j,k,l)とし、E(k,l)を中心の係数が1、その他が0である、前記加重マトリクスと同サイズの係数マトリックスとし、前記重みの調整率をαとするとき、調整された前記加重マトリクスの各要素に配列される重みF’(i,j,k,l)は、下記式(1)で与えられることを特徴とする請求項1または2に記載の像構造予測処理方法。
    Figure 0003904160
    ここで(i,j)は前記変換しようとする画素の前記原画像座標の位置を示し、(k,l)は前記近傍画素と同一マスクサイズの加重マトリクス座標の位置を示す。
  4. 前記ルックアップテーブルの作成は、
    前記単色画像の各n版分の網点面積率データのそれぞれに対して前記カラー印刷物の解像度よりも高い解像度を有する閾値マトリクスを参照し、前記n版分の網点面積率データをそれぞれビットマップデータに変換し、
    このn版分のビットマップデータを同時に参照して、各n版の有無についての2n 色の各色毎の面積率を前記ビットマップデータの一定範囲毎に数え上げ、
    予め求めておいた前記2n 色の各色毎の測色値データに対してこの一定範囲毎に数え上げた面積率を重み係数として第1の平均測色値データを計算し、
    この第1の平均測色値データに対して、前記画像出力装置の画素より大きい範囲で順次アンチエリアジングフィルタ処理を行い前記画像出力装置の画素に対応する第2の平均測色値データに変換し、
    この第2の平均測色値データを前記階調画像データとすることによって得られることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の像構造予測処理方法。
  5. 前記ルックアップテーブルを構成する階調画像データを前記第1の階調画像データとし、
    前記各単色画像について、この第1の階調画像データに基づいて前記画像出力装置で当該単色画像のテストプルーフを出力した後、このテストプルーフの色を測色計で計測し、
    得られた測色値データと前記繰り返し画素サイズの全画素に亘る前記第1の階調画像データの平均値の目標値データとを用いて前記繰り返し画素サイズの全画素の前記第1の階調画像データを色補正処理して第2の階調画像データを得、
    この第2の階調画像データを用いて前記ルックアップテーブルを構成することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の像構造予測処理方法。
  6. 前記単色画像について、共通色空間の表色値の1つに関し、前記測色値データをXout、前記目標値データをXa、前記第1の階調画像データをXi、前記第2の階調画像データをXpiとし、前記繰り返し画素サイズをmT ×nT 画素とする時、前記色補正処理は、下記式(2)で表わされる請求項5に記載の像構造予測処理方法。
    Xpi=(Xi/Xout)×Xa(i=1〜mT ×nT ) …(2)
  7. 前記ルックアップテーブルを構成する前記階調画像データを第3の階調画像データとし、
    前記各単色画像について、この第3の階調画像データを前記繰り返し画素サイズの全画素に亘って平均してその平均値を求め、
    前記像構造の強度を調整するために、この平均値を中心に各画素の前記第3の階調画像データと前記平均値との距離を調整して、前記像構造の強度調整処理を行い、第4の階調画像データを得、
    この第4の階調画像データを用いて前記ルックアップテーブルを構成することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の像構造予測処理方法。
  8. 前記単色画像について、共通色空間の表色値の1つに関し、前記平均値を
    Xave、前記第3の階調画像データをXqi、前記第4の階調画像データを
    Xriとし、前記繰り返し画素サイズをmT ×nT 、像構造の強調割合をγとする時、前記像構造の強度調整処理は、下記式(3)で表わされる請求項7に記載の像構造予測処理方法。
    Xave=(Σi Xqi)/(mT ×nT
    Xri=Xave×(Xqi/Xave)^γ) …(3)
    ここで、i=1〜mT ×nT であり、Σi Xqiは、Xqiをiが1からmT ×nT までの和を表し、(Xqi/Xave)^γは、(Xqi/Xave)のγ乗を表すものとする。
  9. 前記色補正処理および前記像構造の強度調整処理は、この順序で少なくとも1回行われる請求項7または8に記載の像構造予測処理方法。
  10. 前記色補正処理および前記像構造の強度調整処理は、この順序で1回行われた後、前記色補正処理のみが少なくとも1回繰り返される請求項9に記載の像構造予測処理方法。
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