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JP3901946B2 - 紙おむつ及びその製造方法 - Google Patents

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JP3901946B2
JP3901946B2 JP2001006359A JP2001006359A JP3901946B2 JP 3901946 B2 JP3901946 B2 JP 3901946B2 JP 2001006359 A JP2001006359 A JP 2001006359A JP 2001006359 A JP2001006359 A JP 2001006359A JP 3901946 B2 JP3901946 B2 JP 3901946B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メカニカルファスニングテープを有する紙おむつ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図19に示すように、ファスニングテープ210,210を背側B両側のフラップF、Fにそれぞれ取り付け、おむつ着用時において腹側A外面の所定部位に止着する紙おむつ200が市販されている。このファスニングテープ210,210は、使用後の紙おむつの廃棄にあたり汚物面を内側にして丸めて止着する際にも用いられる。
【0003】
このファスニングテープ210の第1の例としては粘着タイプのもので、図20に示すようにフラップFの側縁から外側に延在する部分の内面側全体に粘着部211を形成し、その粘着力により、腹側A外面に直接あるいはその外面に固定したいわゆるフロントターゲットテープと呼ばれる被着テープ201に対して止着を行うものがある。フラップFの内面には、製品の未使用段階で、ファスニングテープ210の延在部を予め図中二点鎖線矢印で示すように折り返して仮止めしておくための剥離テープ213が設けられている。図示例では粘着部211の先端部に、周囲と区別できる色を有するタブテープ212が貼り付けられている。
【0004】
この先行例1では、被着テープ201に対する繰り返し貼着を行うと、接着力の低下が見られる。また、粘着部211を誤って被着テープ201以外の部位すなわち不織布面に接触させてしまうと、不織布の繊維が粘着部に付着して粘着力が低下し、それ以降は止着に用いることができなくなってしまう。
【0005】
他方、近年の紙おむつにおいては、粘着タイプのファスニングテープに代えて、フック部およびフック受け部からなる面ファスナーテープによる係合により止着するものが上市され、上記の問題を解消している。特に大人用紙おむつにおいては、高い止着強度が要求されるなどの点でこの傾向が大きい。この面ファスナータイプの先行例2としては、図21に示すように、フラップFの側縁から外側に延在する部分の内面にフック部220を設け、フラップF内面にフック受け部を有する剥離テープ221を設け、製品の未使用段階でフック部220を剥離テープ221に仮固定するものがある。また剥離テープ221を設けないで、フック部220をフラップ部Fの内面不織布にからみつかせて仮固定するものもある。この後者の形態では、その絡みつき強度はさほど大きくないため、製造過程や搬送過程で外れてしまう虞がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、先行例1では、前述のとおり剥離テープが必要不可欠であるため、その分コストが嵩む点が問題であった。
【0007】
これに対して先行例2では、面ファスナータイプのファスニングテープは、繰り返し着脱性に優れるが、剥離テープ221を設けない場合には、仮止めしたファスニングテープが、製造過程や搬送過程で外れてしまう虞がある。
【0008】
さらに前記各先行例では、腹側の止着部位表面に被着テープを設けるものであるため、これが腹側の通気性を阻害しており、また見た目がすっきりしないという問題点を有していた。
【0009】
他方、粘着タイプのファスニングテープを得て、これを紙おむつ本体に取り付けるに際して、種々の提案がなされているが、面ファスナータイプのファスニングテープを得て、これを紙おむつ本体に取り付ける提案はごく僅かであり、いずれも生産性が高いものとは言い難い。
【0010】
したがって、本発明の第1の課題は、面ファスナータイプのファスニングテープの利点を備えるとともに、その係合部より先端側に粘着部を設けることで、その粘着部を製品の側部内面にからみつかせて仮固定することができるようにすることにある。第2の課題は、予めテープ基材の基端部を製品の側部に固定する基端側粘着部と、係合部を固定する固定用粘着部と、製品の側部内面に接着により仮固定する先端側粘着部とを、テープ基材の片面(製品の内面側)に形成しておき、その後に係合部を固定し、続いて切断工程を経て個別化されたファスニングテープを得るようにすることにより、ファスニングテープの生産性を高め、しかもこのファスニングテープを半製品の背側両側部にそれぞれ取り付ける取付工程の生産性を高めることにある。他の課題は、以下の説明から明らかになるであろう。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
係合部をテープ基材に設けてなるファスニングテープが、製品の背側両側部にそれぞれ取り付けられ、前記係合部が腹側の外面にメカニカルに係合される紙おむつであって、
前記テープ基材は、前記側部に固定される基端部と、前記側部より外側に延在する外側延在部とを有し、前記基端部に基端側粘着部を、前記外側延在部に粘着部をそれぞれ有し、
前記テープ基材の基端部は前記基端側粘着部により前記側部に固定され、
前記係合部は前記外側延在部の粘着部上に固定され、前記係合部からの粘着部の食み出した部分が前記側部の内面に接着可能とされており、
前記基端側粘着部は、テープ基材の内面に長手方向にそれぞれ間隔をおいて設けられた第1基端側粘着部及び第2基端側粘着部である、
ことを特徴とする紙おむつ。
【0012】
(作用効果)
請求項1記載の発明によれば、係合部を有するので、面ファスナータイプのファスニングテープと同様に繰り返し止着を行うことができる。しかも、テープ基材は、先端側に粘着部を有し、係合部は前記粘着部上に固定され、前記係合部からの粘着部の食み出した部分が製品の側部の内面に接着可能とされている。したがって、係合部を粘着部上に固定したときに、その食み出し部分が側部の内面への接着部分とされるので、製造工程ラインにおいて粘着部上への係合部の固定位置を厳格に制御する必要はなく、生産管理上きわめて好ましい。また、係合部の幅と粘着部の幅とを同幅に予め設定しておき、製造ライン上で一致させることは困難であり、通常ならば係合部の幅より粘着部の幅を狭く予め設定するのに対して、本発明では、積極的に食み出した部分を設定し、係合部の幅より粘着部の幅を広く設定するものであるから、係合部を粘着部上に固定したとき、係合部の側縁も常に粘着部に固定されるので、係合部がその側縁から剥がれることがない。
【0013】
<請求項2記載の発明>
係合部をテープ基材に設けてなるファスニングテープが、製品の背側両側部にそれぞれ取り付けられ、前記係合部が腹側の外面にメカニカルに係合される紙おむつであって、
前記テープ基材は、前記側部に固定される基端部と、前記側部より外側に延在する外側延在部とを有し、前記基端部に基端側粘着部を、前記外側延在部に固定用粘着部及びその外側に先端側粘着部をそれぞれ有し、
前記テープ基材の基端部は前記基端側粘着部により前記側部に固定され、前記固定用粘着部に前記係合部が固定され、前記先端側粘着部が前記側部の内面に接着可能とされており、
前記基端側粘着部は、テープ基材の内面に長手方向にそれぞれ間隔をおいて設けられた第1基端側粘着部及び第2基端側粘着部である、
ことを特徴とする紙おむつ。
【0014】
(作用効果)
請求項2記載の発明によれば、係合部を有するので、面ファスナータイプのファスニングテープと同様に繰り返し止着を行うことができる。しかも、係合部より先端側に先端側粘着部を設けることで、係合部の製品の側部内面への絡みつきに加えて、先端側粘着部の接着による固定が過重されるので、製品の側部内面への仮固定を確実に行わせることができる。
また、ファスニングテープを得るに際して、予めテープ基材の基端部を側部に固定する基端側粘着部と、係合部を固定する固定用粘着部と、製品の側部内面に接着させて仮固定する先端側粘着部とを、テープ基材の片面(製品の内面側)に形成しておき、その後に係合部を固定する形態を採ることができるので、後に説明するように目的の構造をもったファスニングテープを容易に得ることができる。
【0015】
【0016】
請求項記載の発明によれば、さらに次記の利点を有する。すなわち、テープ基材の片面(製品の内面側)に、第1基端側粘着部、第2基端側粘着部、固定用粘着部及び先端側粘着部をそれぞれ形成し、第1基端側粘着部及び第2基端側粘着部によりテープ基材の基端部を製品の背側両側部に固定し、固定用粘着部に係合部を固定することにより、係合部より先端側の先端側粘着部の存在により、係合部の製品の側部内面への絡みつきと、先端側粘着部の粘着による固定とが相俟って製品の側部内面への仮固定を確実に行わせることができる。
しかも、請求項のように、テープ基材の片面にそれぞれ幅方向に関し、左基端側粘着剤部、左先端側粘着剤部、固定用粘着剤部、右先端側粘着剤部、右基端側粘着剤部を、長手方向に連続的に塗布した後、切断工程を経ることにより、前記左基端側粘着剤部を請求項3記載の発明で定義する一方のファスニングテープの第1基端側粘着部、右基端側粘着剤部を他方のファスニングテープの第1基端側粘着部として、前記左先端側粘着剤部を一方のファスニングテープの第2基端側粘着部、右先端側粘着剤部を他方のファスニングテープの第2基端側粘着部として、前記固定用粘着部を一方及び他方のファスニングテープの固定用粘着部として得ることができる。
このように、請求項記載の発明に従って、第1基端側粘着部、第2基端側粘着部、固定用粘着部及び先端側粘着部をそれぞれ形成し、第1基端側粘着部及び第2基端側粘着部によりテープ基材の基端部を製品の背側両側部に固定する形態では、一方のファスニングテープと他方のファスニングテープとを長手方向に沿って千鳥形態で、材料に無駄を生じさせることなく、採取できる。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
<請求項記載の発明>
腹側の外面における係合部が係合される係合部位に、前記係合部とメカニカルに係合する係合受け部を有する被着テープが取り付けられた請求項1または2記載の紙おむつ。
【0024】
(作用効果)
本発明では、腹側外面におけるファスニングテープが止着される部位にフック受け部等を有する被着テープを設けることができ、これによりおむつ装着時や廃棄時において、ファスニングテープの係合部を強固に腹側の外面に止着できる。
【0025】
<請求項記載の発明>
請求項1〜のいずれか1項に記載のものと、下記の少なくとも1つの条件との組み合わせを満足するように形成された請求項1〜のいずれか1項に記載の紙おむつ。
(A)つまみ部の面積が、つまみ部を除く先端延在部の面積に対して10〜40%とされること。
(B)係合部の面積が、前記ファスニングテープの全面積に対して10〜40%とされること。
(C)先端側粘着部または食み出した部分の面積が、係合部の面積に対して5〜40%とされること。
(D)先端側粘着部または食み出した部分の面積が、外側延在部の面積に対して2〜15%とされること。
(E)第2基端側粘着部面積が、基端部の面積に対して2〜10%とされること。
(F)基端部の面積が、ファスニングテープの全面積に対して40〜80%とされること。
【0026】
(作用効果)
本発明のファスニングテープが上記条件を満たすと、機能的に優れたものとなる。
【0027】
<請求項記載の発明>
前記係合部の腹側の外面に対する係合力が、係合部幅25mmあたり50〜1000gとされた請求項1〜のいずれか1項に記載の紙おむつ。
【0028】
<請求項記載の発明>
食み出した部分または先端側粘着部の粘着力が、幅25mmあたり50〜300gとされた請求項1または2に記載の紙おむつ。
【0029】
(作用効果)
先端側粘着部の粘着力をかかる範囲とすることで、必要十分な仮止めが可能になるとともに、使用時の剥離も容易に行うことができる。
【0030】
【0031】
【0032】
<請求項記載の発明>
ファスニングテープが製品の背側両側部にそれぞれ取り付けられ、腹側の外面にメカニカルに係合される紙おむつを得るに際して、
テープ基材の片面にそれぞれ幅方向に関し、左基端側粘着剤部、この左基端側粘着剤部から幅方向に間隔をおいて設けられる左先端側粘着剤部、固定用粘着剤部、右先端側粘着剤部、この右先端側粘着剤部から幅方向に間隔をおいて設けられる右基端側粘着剤部を、長手方向に連続的に塗布した巻き取り状態のテープ基材ロールを得る工程、
このテープ基材ロールを繰り出して、前記固定用粘着剤部にメカニカルに係合する関係を示す係合部を長手方向に連続的に接合する工程、
左先端側粘着剤部、固定用粘着剤部及び右先端側粘着剤部の領域のみを横断する波形の第1切断線を入れる第1切断工程、
第1切断線の波形の山の頂部とこれに最も近いテープ基材の側縁とを繋ぐ幅方向の第2切断線を入れる第2切断工程、
前記第1切断工程及び第2切断工程を経て個別化された左方のファスニングテープにおける前記左基端側粘着剤部及び左先端側粘着剤部半製品の背側の左側部にそれぞれ取り付けるとともに、右方のファスニングテープにおける前記右基端側粘着剤部及び右先端側粘着剤部を、半製品の背側の右側部にそれぞれ取り付ける工程、
を含むことを特徴とする紙おむつの製造方法。
【0033】
(作用効果)
このように、テープ基材の片面にそれぞれ幅方向に関し、左基端側粘着剤部、この左基端側粘着剤部から幅方向に間隔をおいて設けられる左先端側粘着剤部、固定用粘着剤部、右先端側粘着剤部、この右先端側粘着剤部から幅方向に間隔をおいて設けられる右基端側粘着剤部を、長手方向に連続的に塗布し、固定用粘着剤部にメカニカルに係合する関係を示す係合部を長手方向に連続的に接合した後、切断工程を経ることにより、それぞれ、左方のファスニングテープと右方ファスニングテープとを、材料に無駄を生じさせることなく、長手方向に沿って千鳥形態で採取できる。そして、左方のファスニングテープについては左基端側粘着剤部及び左先端側粘着剤部により製品の背側左側部に固定、固定用粘着剤部及び係合部は製品の腹側の表面に係合するための部分を、右先端側粘着剤部については製品の左側部内面への係合部の仮固定を補完する接着部分として形成できる。同様に、右方のファスニングテープについては右基端側粘着剤部及び右先端側粘着剤部により製品の背側右側部に固定、固定用粘着剤部及び係合部は製品の腹側の表面に係合するための部分を、左先端側粘着剤部については製品の右側部内面への係合部の仮固定を補完する接着部分として形成できる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳説する。
<紙おむつの全体構成例>
図1は紙おむつの全体構成例の展開状態平面図であり、図2はその横断面図、図3は要部縦断面図である。本例の紙おむつでは、不織布などからなる外形シート1の内面に吸収主体2を配置固定している。吸収主体2は、図2の縦断面図に示されるように、不織布などからなる長方形形状の透液性トップシート3とポリエチレンなどの不透液性バックシート4との間に、ティッシュペーパ5などにより包装された砂時計形状の吸収体6を介在させ、周縁をホットメルト接着剤等により固定して形成されている。背側Bの両側部は吸収体6が存在しないフラップF,F…となっている。図示例においては吸収主体2の両側に起立カフス7,7が形成されている。この起立カフス7は、起立シート7Sに糸ゴムなどからなる伸縮部材7Gが伸縮可能に固定されたものである。胴回り部Wには、糸ゴムなどからなる複数の伸縮部材8,8が、外形シート1間に介在させた補強シート9,9間にホットメルト接着剤などにより伸縮可能に固定されている。
【0035】
そしてかかる紙おむつに対して、本発明に従って剥離テープを有しない、面ファスナータイプ(メカニカルに係合するタイプ)のファスニングテープ10,10が取り付けられている。
【0036】
<第1の実施形態>
本第1実施形態のファスニングテープ10は、図4及び図5に詳細に示すように、テープ基材10Bの内面(製品の使用面側の面)に長手方向にそれぞれ間隔をおいて第1基端側粘着部11と第2基端側粘着部12とを有する基端側粘着部、固定用粘着部13及びその一部である先端側粘着部13Aをそれぞれ有している。テープ基材10Bの基端部は第1基端側粘着部11及び第2基端側粘着部12により背側Bの側部フラップFに固定されている。さらに、側部フラップFの側縁F1より外側に延在する外側延在部10Eに固定用粘着部13及びこれより外側にその一部である先端側粘着部13Aをそれぞれ有し、固定用粘着部13によりメカニカルに係合する関係を示す係合部15が固定され、その係合部15の外側縁から食み出して先端側粘着部13Aが位置している。なお、図示の形態では係合部15とフラップ側縁F1との間には粘着部を有しないものとされている。
【0037】
係合部15はポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート等の樹脂からなる多数の茸状等の微小フックが形成されたシートからなり、例えばその裏面の中央部においてテープ基材10B上の固定用粘着部13により接着される。
【0038】
ファスニングテープ10の外側延在部10Eにおける先端側粘着部13Aよりも先端側の部分が係合部および粘着部等の止着要素を有しないテープ基材10Bがそのままで露出するつまみ部16とされている。このつまみ部16としては、周囲と区別できる色のタブテープを貼り付けたり、それ自体を周囲と区別できる色に着色したりして、目立つように構成することができる。またつまみ部16の基端側境界を目立たせるために、先端側粘着部13Aを周囲と区別できる色の粘着剤により形成することもできる。
【0039】
以上のように構成された紙おむつにおいては、ファスニングテープ10の外側延在部10Eは、製品の未使用状態で図1の右方、図5(B)および図6の左方に示されるように、フラップFの内面側(おむつ使用面側)に折り重ねられ、内面の係合部15および先端側粘着部13Aが対向するフラップF内面にそれぞれ係合・接着(粘着)され仮止めされる。また、第2基端側粘着部12はフラップFにおける不織布からなる外形シート1外面に接着される。
【0040】
またおむつ装着時には、図6に二点鎖線で示すように、ファスニングテープ10の外側延在部10Eは、先端側粘着部13A及び係合部15による各仮止めが外されて展開され、おむつ腹側Aにおける不織布からなる外形シート1外面の所定位置に、図7に示すように被着テープを介さず直接に止め付けられる。この止め付けにおいては、係合部15が外形シート1の不織布繊維と絡み合うことにより止着力が発揮される。
【0041】
さらにおむつ廃棄時においては、図8に示されるように、腹側Aおよび背側Bを重ねた状態で、股間部を腹側Aに巻き込んで丸め、次いで背側BのフラップF,Fを巻き込み部Rの外面(外形シート1の外面)に折り返すとともに、各フラップF,Fのファスニングテープ10,10の外側延在部を巻き込み部Rの外面に押し当てて、その係合部15を巻き込み部R外面に係合させて本止着する。
【0042】
他方、変形例として、図5の(A)に対応した断面図として示す図9に示す態様を採ることもできる。図9は、テープ基材10Bの内面に、固定用粘着部13の両側に、先端側粘着部14Aと、基部側粘着部14Bとを離間して設けたもので、係合部15の両側縁がそれぞれ先端側粘着部14A及び基部側粘着部14Bに跨るように固定し、両側縁からの食み出し部分(特に先端側粘着部14Aの食み出し部分)を製品の側部内面に接着可能としたものである。
【0043】
<第2の実施形態>
本第2実施形態のファスニングテープ10は、図10及び図11に詳細に示すように、テープ基材10Bの内面(製品の使用面側の面)に長手方向にそれぞれ間隔をおいて第1基端側粘着部11、第2基端側粘着部12、固定用粘着部13及び先端側粘着部14をそれぞれ離間して有するものである。テープ基材10Bの基端部は第1基端側粘着部11及び第2基端側粘着部12により背側Bの側部フラップFに固定されている。さらに、側部フラップFの側縁F1より外側に延在する外側延在部10Eに固定用粘着部13及びこれより外側に先端側粘着部14をそれぞれ有し、固定用粘着部13によりメカニカルに係合する関係を示す係合部15が固定され、その係合部15の外側に離間して先端側粘着部14が位置している。なお、係合部15とフラップ側縁F1との間には粘着部を有しないものとされている。
【0044】
係合部15は第1の実施の形態と同様のもので、その裏面の中央部においてテープ基材10B上の固定用粘着部13により接着される。図示例においては、係合部15の中間にのみ固定用粘着部13を設けてあるが、もちろん係合部15裏面全体を固定用粘着部13によりテープ基材10Bに接着させることもできる。
【0045】
さらに本例では、ファスニングテープ10の外側延在部10Eにおけるフラップ側縁F1よりも内側に位置する基端部10Hの内面側に第1基端側粘着部11及び第2基端側粘着部12を離間して形成することにより、「基端側粘着部」を構成している
【0046】
また本例においても、ファスニングテープ10の外側延在部10Eにおける先端側粘着部14よりも先端側の部分が係合部および粘着部等の止着要素を有しないテープ基材10Bがそのままで露出するつまみ部16とされている。このつまみ部16としては、周囲と区別できる色のタブテープを貼り付けたり、それ自体を周囲と区別できる色に着色したりして、目立つように構成することができる。またつまみ部16の基端側境界を目立たせるために、先端側粘着部14を周囲と区別できる色の粘着剤により形成することもできる。
【0047】
以上のように構成されたファスニングテープ10においては、第1の実施の形態と同様に、外側延在部10Eは、製品状態で図1の右方、図11(B)および図6の左方に示されるように、フラップFの内面側(おむつ使用面側)に折り重ねられ、内面の係合部15および先端側粘着部14が対向するフラップF内面にそれぞれ係合・粘着され仮止めされる。また、第2基端側粘着部12はフラップFにおける不織布からなる外形シート1外面に接着される。
【0048】
またおむつ装着時には、図6に二点鎖線で示すように、ファスニングテープ10の外側延在部10Eは、先端側粘着部14及び係合部15による各仮止めが外されて展開され、おむつ腹側Aにおける不織布からなる外形シート1外面の所定位置に、図12に示すように被着テープを介さず直接に止め付けられる。この止め付けにおいては、係合部15が外形シート1の不織布繊維と絡み合うことにより止着力が発揮される。
【0049】
さらにおむつ廃棄時においては、図8に示されるように、腹側Aおよび背側Bを重ねた状態で、股間部を腹側Aに巻き込んで丸め、次いで背側BのフラップF,Fを巻き込み部Rの外面(外形シート1の外面)に折り返すとともに、各フラップF,Fのファスニングテープ10,10の外側延在部を巻き込み部Rの外面に押し当てて、その係合部15を巻き込み部R外面に係合させて本止着する。
【0050】
(第1及び第2の実施の形態における関連事項)
係合部15は、図4及び図10に図示するように、その先端幅d1が基端幅d2の10〜90%、特に10〜80%となるように形成するのが望ましい。また係合部15は、対応するフック受け部に対する係合力がフック部幅25mmあたり50〜1000g、特に100〜500gであり、不織布面に対する係合力がフック部幅25mmあたり50〜1000g、特に50〜300gであるものが望ましい。
【0051】
一方、第1基端側粘着部11、第2基端側粘着部12、固定用粘着部13及び先端側粘着部14、先端側粘着部14A、基部側粘着部14Bとしては、例えばスチレン系粘着剤により形成するのが好適であり、その粘着力は各部において同一としたり、相違させることができ、粘着力は適宜重合度やベースポリマーの量により調節できるが、粘着部幅25mmあたり50〜300gであるのが好ましい。
【0052】
なお、第2実施形態では先端側粘着部14は係合部15と離間しており、したがって固定用粘着部13とも離間している。この固定用粘着部13の粘着力は、先端側粘着部14や第2基端側粘着部12の粘着力と同等とすることも、異なるものとすることもできるが、固定用粘着部13は先端側粘着部14及び第2基端側粘着部12よりも強い粘着力を有するものとするのが望ましい。
【0053】
ここに、本発明のファスニングテープのより望ましい寸法構成について列挙すると次のようになる。
(A)つまみ部16の面積が、外側延在部10Eからつまみ部16を除いた部分10Gの面積に対して10〜40%とされること。
(B)係合部15の面積が、ファスニングテープ10の全面積(つまりテープ基材10Bの全面積)に対して10〜40%とされること。
(C)先端側粘着部14の面積または先端側粘着部13Aの面積が、係合部15の面積に対して5〜40%とされること。
(D)先端側粘着部14の面積または先端側粘着部13Aの面積が、外側延在部10Eの面積に対して2〜15%とされること。
(E)第2基端側粘着部12の面積が、ファスニングテープ10におけるフラップ側縁F1よりも内側の基端部10Hの面積に対して2〜10%とされること。
(F)基端部10Hの面積が、ファスニングテープ10の全面積に対して40〜80%とされること。
【0054】
<第3実施形態>
上記の形態では、ファスニングテープ10のフック部を外形シート1の外面に直接止着しているが、本発明においては、図13に示すように腹側A外面におけるファスニングテープ10が止着される部位に、例えばループ状等のフック受けを有する被着テープ20を予め固着しておくこともできる。かかる被着テープ20があると、おむつ装着時においてファスニングテープ10の係合部15がきわめて強力に被着テープ20に止着できる。ただし、この場合には止着テープ部の通気性が阻害される問題は残る。その他は先の実施形態と同様に構成できる。
【0055】
<第4実施形態>
第3の実施形態のように被着テープ20があると、止着力が向上するだけでなく、それが目印となるので止着し易いという利点があるが、前述のとおり、通気性が阻害されるのが難点である。そこで、図14に示すように、外形シート1の外面におけるファスニングテープが止着される部位に、被着テープを設けずに、エンボス加工を施して止着目印部30とするのが望ましい。かかる目印30の存在によりファスニングテープ10を止着し易くなり、また被着テープを設けないので通気性が損なわれることも無い。その他は第1及び第2の実施形態と同様に構成できる。
【0056】
<第5実施形態>
同様に、被着テープを設けずに止着目印部を形成する他の方法として、図15に示すように、前述した不透液性バックシート4の外面における、ファスニングテープ10の止着部位と対応する位置に目印40を印刷し、この目印40が外形シート1の外面から透けて見えるように構成することも提案する。また図示しないが、止着目印部を外形シート1の外面に直接印刷することもできる。
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
<ファスニングテープの製造形態>
第2実施形態のファスニングテープについては、まず図16に示すように、所定幅の連続帯状テープ基材110を製造ラインにおいて走行させながら、テープ基材110の片面にそれぞれ幅方向に関し、左基端側粘着剤部111L、左先端側粘着剤部112L、固定用粘着剤部113、右先端側粘着剤部112R、右基端側粘着剤部111Rを、長手方向に連続的に塗布し、巻き取り状態のテープ基材ロールを得ることができる。
【0065】
次にこのテープ基材ロールを繰り出して図17に示すように、固定用粘着剤部113に、メカニカルに係合する関係を示す係合部シート115を長手方向に連続的接合する。
【0066】
続いて図18に示すように、左先端側粘着剤部112L、固定用粘着剤部113、右先端側粘着剤部112Rの領域のみを、係合部シート115の部分と一緒に横断する波形の第1切断線131により第1切断する。
【0067】
同時にまたはその後に、第1切断線131の波形の山の頂部とこれに最も近いテープ基材110の側縁とを繋ぐ幅方向の第2切断線132により第2切断する。
【0068】
かかる第1切断線131による第1切断工程及び第2切断線132による第2切断工程を経て、個別化された左側のファスニングテープ10,10…及び右側のファスニングテープ10,10…を得る。
【0069】
かくして、図18に示すように、左側から得たファスニングテープ10については、左基端側粘着剤部111L、及び左先端側粘着剤部112Lを、第2の実施の形態での第1基端側粘着部11、及び第2基端側粘着部12として、半製品の背側左側部に取り付け、固定用粘着剤部113は、第1の実施の形態での固定用粘着部13とし、右先端側粘着剤部112Rは第1の実施の形態での先端側粘着部14とすることができる。他方、右側から得たファスニングテープ10については、右基端側粘着剤部111R、及び右先端側粘着剤部112Rを、第1の実施の形態での第1基端側粘着部11、及び第2基端側粘着部12として、半製品の背側左側部に取り付け、固定用粘着剤部113は、第1の実施の形態での固定用粘着部13とし、左先端側粘着剤部112Lは第1の実施の形態での先端側粘着部14とすることができる。
【0070】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の紙おむつによれば、ファスニングテープは面ファスナータイプの利点を備えるとともに、その係合部より先端側に粘着部を設けることで、その粘着部を製品の側部内面にからみつかせて仮固定することができる。
【0071】
また、本発明の製造方法によれば、予めテープ基材の基端部を側部に固定する基端側粘着部と、係合部を固定する固定用粘着部と、製品の側部内面にからみつかせて仮固定する先端側粘着部とを、テープ基材の片面(製品の内面側)に形成しておき、その後に係合部を固定し、続いて切断工程を経て個別化されたファスニングテープを得るようにすることにより、ファスニングテープの生産性を高め、しかもこのファスニングテープを半製品の背側両側部にそれぞれ取り付ける取付工程の生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 紙おむつの全体構成例の展開平面図である。
【図2】 紙おむつの全体構成例の2−2線矢視図である。
【図3】 紙おむつの全体構成例の3−3線矢視図である。
【図4】 ファスニングテープの第1の実施の形態の平面図である。
【図5】 ファスニングテープ部の引き剥がし及び仮止め状態断面図である。
【図6】 紙おむつの使用状態斜視図である。
【図7】 おむつ装着時のファスニングテープ部の断面図である。
【図8】 廃棄時の紙おむつの斜視図である。
【図9】 ファスニングテープの第1の実施の形態の別の変形例を示す断面図である。
【図10】 ファスニングテープの第2の実施の形態の平面図である。
【図11】 ファスニングテープ部の引き剥がし及び仮止め状態断面図である。
【図12】 おむつ装着時のファスニングテープ部の断面図である。
【図13】 第3の実施形態の紙おむつの斜視図である。
【図14】 第4の実施形態の紙おむつの斜視図である。
【図15】 第5の実施形態の紙おむつの斜視図である。
【図16】 ファスニングテープの製造形態の第1段階を示す図である。
【図17】 ファスニングテープの製造形態の第2段階を示す図である。
【図18】 ファスニングテープの製造形態の第3段階を示す図である。
【図19】 従来例の斜視図である。
【図20】 粘着タイプファスニングテープの側面図である。
【図21】 面ファスナータイプファスニングテープの側面図である。
【符号の説明】
1…外形シート、2…吸収主体、3…透液性トップシート、4…不透液性バックシート、6…吸収体、7…起立カフス、10,10A…ファスニングテープ、10E…外側延在部、10H…基端部、11…第1基端側粘着部、12…第2基端側粘着部、13…固定用粘着部、13A…先端側粘着部、14…先端側粘着部、15…係合部、17…基端側粘着部。

Claims (7)

  1. 係合部をテープ基材に設けてなるファスニングテープが、製品の背側両側部にそれぞれ取り付けられ、前記係合部が腹側の外面にメカニカルに係合される紙おむつであって、
    前記テープ基材は、前記側部に固定される基端部と、前記側部より外側に延在する外側延在部とを有し、前記基端部に基端側粘着部を、前記外側延在部に粘着部をそれぞれ有し、
    前記テープ基材の基端部は前記基端側粘着部により前記側部に固定され、
    前記係合部は前記外側延在部の粘着部上に固定され、前記係合部からの粘着部の食み出した部分が前記側部の内面に接着可能とされており、
    前記基端側粘着部は、テープ基材の内面に長手方向にそれぞれ間隔をおいて設けられた第1基端側粘着部及び第2基端側粘着部である、
    ことを特徴とする紙おむつ。
  2. 係合部をテープ基材に設けてなるファスニングテープが、製品の背側両側部にそれぞれ取り付けられ、前記係合部が腹側の外面にメカニカルに係合される紙おむつであって、
    前記テープ基材は、前記側部に固定される基端部と、前記側部より外側に延在する外側延在部とを有し、前記基端部に基端側粘着部を、前記外側延在部に固定用粘着部及びその外側に先端側粘着部をそれぞれ有し、
    前記テープ基材の基端部は前記基端側粘着部により前記側部に固定され、前記固定用粘着部に前記係合部が固定され、前記先端側粘着部が前記側部の内面に接着可能とされており、
    前記基端側粘着部は、テープ基材の内面に長手方向にそれぞれ間隔をおいて設けられた第1基端側粘着部及び第2基端側粘着部である、
    ことを特徴とする紙おむつ。
  3. 腹側の外面における係合部が係合される係合部位に、前記係合部とメカニカルに係合する係合受け部を有する被着テープが取り付けられた請求項1または2記載の紙おむつ。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載のものと、下記の少なくとも1つの条件との組み合わせを満足するように形成された請求項1〜のいずれか1項に記載の紙おむつ。
    (A)つまみ部の面積が、つまみ部を除く先端延在部の面積に対して10〜40%とされること。
    (B)係合部の面積が、前記ファスニングテープの全面積に対して10〜40%とされること。
    (C)先端側粘着部または食み出した部分の面積が、係合部の面積に対して5〜40%とされること。
    (D)先端側粘着部または食み出した部分の面積が、外側延在部の面積に対して2〜15%とされること。
    (E)第2基端側粘着部面積が、基端部の面積に対して2〜10%とされること。
    (F)基端部の面積が、ファスニングテープの全面積に対して40〜80%とされること。
  5. 前記係合部の腹側の外面に対する係合力が、係合部幅25mmあたり50〜1000gとされた請求項1〜のいずれか1項に記載の紙おむつ。
  6. 食み出した部分または先端側粘着部の粘着力が、幅25mmあたり50〜300gとされた請求項1または2に記載の紙おむつ。
  7. ファスニングテープが製品の背側両側部にそれぞれ取り付けられ、腹側の外面にメカニカルに係合される紙おむつを得るに際して、
    テープ基材の片面にそれぞれ幅方向に関し、左基端側粘着剤部、この左基端側粘着剤部から幅方向に間隔をおいて設けられる左先端側粘着剤部、固定用粘着剤部、右先端側粘着剤部、この右先端側粘着剤部から幅方向に間隔をおいて設けられる右基端側粘着剤部を、長手方向に連続的に塗布した巻き取り状態のテープ基材ロールを得る工程、
    このテープ基材ロールを繰り出して、前記固定用粘着剤部にメカニカルに係合する関係を示す係合部を長手方向に連続的に接合する工程、
    左先端側粘着剤部、固定用粘着剤部及び右先端側粘着剤部の領域のみを横断する波形の第1切断線を入れる第1切断工程、
    第1切断線の波形の山の頂部とこれに最も近いテープ基材の側縁とを繋ぐ幅方向の第2切断線を入れる第2切断工程、
    前記第1切断工程及び第2切断工程を経て個別化された左方のファスニングテープにおける前記左基端側粘着剤部及び左先端側粘着剤部半製品の背側の左側部にそれぞれ取り付けるとともに、右方のファスニングテープにおける前記右基端側粘着剤部及び右先端側粘着剤部を、半製品の背側の右側部にそれぞれ取り付ける工程、
    を含むことを特徴とする紙おむつの製造方法。
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