JP3901047B2 - 位置検出システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、任意の物体に添着した送信局の位置を検出するシステムに関し、特に、店舗、事務所等の屋内においても、送信局が置かれた周囲の環境から大きな影響を受けることなく、高い精度で送信局の位置を検出し、管理できる位置検出システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
無線を利用したタグ(送信局)は非常に広範囲な分野で使われている。例えば図1に示すように、店舗内にゲート121a、121bを設け、タグ123a、123bを付けた商品122a、122bが会計をせずにゲート121を通ると警報が鳴るシステムが、多くの店舗で既に稼働している。このような無線送信局は、通常パッシブタグと呼ばれるタイプが用いられており、ゲート121から放射される電波を送信局で変調して送信し、それをゲート121で受信する形式を採用している。ゲート式「パッシブタグシステム」においては、送信局に電源が無いため保守性に優れているが、通信距離が数十センチ程度に限られ、送信局の位置を広域で検出できる無線標識システムとしては適していないという問題がある。
【0003】
一方、広域で使用する標識として、図2に示すように、送信局に電源を持たせて通信距離を長くしたアクティブタグと呼ばれるタイプが知られている。一般に特定小電力に割り当てられた周波数帯を用いて、数メートルから十数メートルの範囲で通信が可能である。このような電波標識は、特定の受信局124a、124bに関して、その通信エリア125a、125b内に送信局127a〜127f(タグ1、…、タグ6)が存在するかしないかを同定する機能のみを持つ。「アクティブタグシステム」では、送信局と受信局の組み合わせで送信局の位置を固定しようとすると、位置推定精度は通信距離すなわち通信エリアサイズ以上になる。位置精度を上げるには送信局の送信出力を低くするか、受信局の感度を低くして、受信局がカバーするエリアを狭め、受信局数を多くする必要がある。
【0004】
この問題点を解決する手法として、図3に示すように、特開平9−161177号公報に開示される位置検出システムが提案されている。このシステムは所定の時間間隔で、自己の識別コードおよび現在時刻を含む信号を電波により送信する送信局131と、送信局から受信した信号にその受信時刻および自己の識別コードを付加した信号を電波により送信する少なくとも3つ以上の基地局132と、基地局から受信した情報をもとにして送信局と基地局との間の距離をそれぞれ算出して送信局の位置を特定するセンター局133とを有している。送信局131は、常時所定の時間間隔で、自己の識別コードおよび現在時刻を含む信号を、電波により送信する。各基地局132は、送信局131からの電波を受信するたびに、送信局131から受信した信号にその受信時刻および自己の識別コードを付加した信号を、電波によりセンター局133へ送信する。センター局133は各基地局132から受信した情報をもとにして、送信局131と各基地局132との間の距離をそれぞれ算出し、送信局131の位置を特定する。具体的には、送信局131の送信時刻と各基地局132での受信時刻から、送信局131から基地局132までの電波の到達時間を求め、送信局131と各基地局132間の距離をそれぞれ計算することによって、各基地局132に対する関係で送信局131の位置を特定する。これによって、送信局131を取り付けた検出対象の位置を検出することができる。センター局133では、電波の到達時間に電波の速度を掛け算することによって距離を求めている。
【0005】
このシステムでは、時間を正確に計測することにより位置を正確に推定することが可能になる。しかし、送信局では常時所定の時間間隔で電波を送信しているため、電源の寿命を長く持たせるためには送信間隔を長くとる必要があり、位置情報が必要な時に正確な位置情報の入手が困難になるという問題点を有していた。また、位置を特定するためには、少なくとも3つ以上の基地局を固定して設置しなければならず、基地局の受信エリア外に出た場合には位置を特定できないという問題点を有していた。さらに、送信局がどのような環境下で設置されているかを知ることができないという問題点を有していた。
【0006】
さらに別の公知の位置検出システムとして、図4に示すように、特開平9−159746号公報に開示されるシステムがある。図4の公知システムは、電波を発信する送信局131と、送信局131からの電波を受信してその強度を測定する少なくとも3つ以上の基地局132と、各基地局132によって測定された受信強度データにより送信局131と各基地局132との間の距離をそれぞれ求め、送信局131の位置を特定するセンター局133とを有する。このシステムでは、送信局131は検出動作の間、電波を発信する。各基地局132は送信局131からの電波を受信してその受信強度を計測し、結果をセンター局へ送信する。センター局133は各基地局132から受信した受信強度データにより送信局131と基地局132との間の距離をそれぞれ求め、各基地局132の位置に対する関係で送信局131の位置を特定する。センター局133では、受信強度と距離との関係を示すテーブルがあらかじめ記憶されており、受信強度をこのテーブルに当てはめることで距離を求めている。このシステムでは、受信強度と距離との関係を示すテーブルを正確に作製することにより位置を正確に推定することが可能になるが、位置を特定するためには少なくとも3つ以上の基地局を固定して設置しなければならず、基地局の受信エリア外に出た場合には位置を特定できないという問題点を有していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、「パッシブタグシステム」においては、通信距離が数十センチ程度であるため、送信局の位置を広域で検出できる無線標識としては適していない。
【0008】
「アクティブタグシステム」においては、位置精度を上げるには、受信局数を多くする必要がある。
【0009】
送信時間に基づいて距離を特定する従来の「位置検出システム」(図3)では、送信局の電源の寿命を長く持たせるために、送信局から電波を送信する時間間隔を長くする必要があり、位置情報が必要な時に正確な位置情報の入手が困難になる。また、位置を特定するためには少なくとも3つ以上の基地局を固定して設置しなければならず、基地局の受信エリア外に出た場合には位置を特定できない。さらに、送信局がどのような環境下で設置されているかを知ることができない。
【0010】
受信強度に基づいて距離を特定する従来の「位置検出システム」(図4)においては、位置を特定するために少なくとも3つ以上の基地局を固定して設置しなければならず、基地局の受信エリア外に出た場合には位置を特定できない。
【0011】
さらに付け加えると、屋外であればGPSを用いた手段も有効であるが、屋内環境では反射波の影響があるため、GPSのような絶対時間差を用いる手法では誤差が大きくなり不適切である。また、振幅情報を用いて位置を推定する場合でも、距離と受信強度の関係はフリスの公式に合致しない場合が多い。
【0012】
フリスの式は、よく知られているように、式(0)で表わされる。
【0013】
【数32】
ここで、Lは伝搬損失、dは距離、λは波長である。
【0014】
屋内伝搬の場合にフリスの公式が成立しない理由は、受信局が物陰にある、あるいは反射波の影響で受信強度に局地的な強弱が発生するためである。
【0015】
本発明は、上述した従来の課題に鑑みて成されたものであり、パッシブタグシステムが有する通信範囲が制限されるという問題点を克服し、アクティブタグシステムが有する位置精度を上げるための受信局数の増大という問題点を排除した位置検出システムの提供を目的とする。
【0016】
また、送信局が置かれている環境を把握することによって、屋内にあっても送信局の位置を高い精度で特定できる位置検出システムの提供を目的とする。
【0017】
さらに、位置情報が必要な時に正確な位置情報の入手が可能な位置検出システムの提供を目的とする。
【0018】
さらに、位置を特定するために、少なくとも3つ以上の基地局(あるいは受信局)を固定する必要のない位置検出システムの提供を目的とする。
【0019】
さらに、固定基地局の受信エリア外に出た送信局の位置も特定することのできる位置検出システムの提供を目的とする。
【0020】
このような位置検出システムは、店舗などでの盗難防止や危険物の監視のみならず、倉庫や事務所内にある任意の資産について、その存在の有無と存在位置とを、効率よく、かつ高い精度で管理することができる。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の第1の側面において、位置検出システムは、第1の標識番号を含む第1標識信号を周期的に送信するとともに、外部から供給される起動信号に応じて第2の標識番号を含む第2標識信号を送信する送信局と、前記標識信号を受信して受信信号の強度を求めるとともに、第1の標識番号を判読する受信局と、受信局から供給される前記受信強度と第1の標識番号とを関連付けて管理するデータ管理部と、データ管理部で管理されるデータを用いて、送信局の位置を算出する位置計算機とを含む。
【0022】
位置計算機は、送信局と受信局との間の距離dと、受信した信号の強度eの関係について、第1の補正関係式を用いて定義し、既知の位置情報を用いて、第1の補正関係式から未知の送信局の位置を算出する。
【0023】
第1の補正関係式は、式(1)の距離の関数として式(2)’で表わされる。すなわち、i番目の送信局の位置を(xi, yi)、j番目の受信局の位置を(uj, vj)、i番目の送信局から送信された信号をj番目の受信局で受信したときの受信強度をeijとすると、送信局iから受信局jまでの距離dijは
【0024】
【数33】
であり、第1の補正関係式は、
【0025】
【数34】
で表わされる。ここでS1,S2は補正係数である。
【0026】
好ましくは、第1の補正関係式は、受信局における環境係数Krjと送信局における環境係数Ktiの少なくとも一方をさらに含む。これにより、周囲環境を考慮したより正確な位置推定が可能になる。
【0027】
好ましくは、受信局は、送信局が信号の送信を開始するための起動信号を生成する起動信号生成器をさらに有する。受信局は起動信号を送信局に対して送信し、送信局は起動信号を受信すると、第2の標識番号を含む標識信号を受信局に送信する。
【0028】
送信局は外部から受ける変化を探知するセンサをさらに備え、変化を探知したときに受信局に対して、第3の標識番号を含む第3標識信号を送信する。外部からの変化は、たとえば外部から印加される力による振動(あるいは加速度)、入射光、温度、湿度などの変化である。
【0029】
このような構成により、位置情報が必要なとき、たとえば受信局が積極的に送信局を探す場合や、送信局が異なる環境の場所へ物理的に移動したときなどに、環境の変化を考慮して正確な位置情報を入手することができる。また、送信局の電源の寿命を長くすることができる。
【0030】
受信部はまた、起動信号と標識信号との送受信に要した時間を測定する時間計測部を有する。この場合、位置計算機は、空気中での信号の伝搬時間と、送信局と受信局との間の距離との関係について、第2の補正関係式を用いて定義し、既知の位置情報および、第2の補正関係式から送信局の位置を算出する。
【0031】
第2の補正関係式は、送信局iの位置を(ui,vi)、受信局jの位置を(uj,vj)、受信強度をeij、送受信に要する時間をtij、送信局と受信局との間の距離をdij、空気中における信号の伝搬時間をpijとすると、
【0032】
【数35】
で表わされる。ここで、B,g、hは補正係数、Kは比例定数である。
【0033】
第2の補正関係式では、電磁波や超音波による信号の空気中での伝搬速度を、実測値(eij、tij)に基づき近似関数を用いて定義するため、補正のために別途空気中の温度や湿度を測定する必要がない。また、実測値から補正するので、例えば低消費電力化を図るために高速な受信動作ができない場合にも推定精度を上げることができる。
【0034】
基地局として機能する固定受信局の数を低減し、受信局の受信エリア外に出た送信局の位置も的確に特定するために、位置検出システムは、一の固定受信局(第1の受信局)と、一の移動受信局(第2の受信局)を含む構成を採用することができる。この場合、位置計算機は、固定受信局(第1の受信局)から供給される既知の送信局についての位置情報を用いて、第1および第2の補正関係式の少なくとも一方を決定し、(A)既知または位置が推定された送信局から送信され移動受信局(第2の受信局)で受信された信号情報と、前記既知または推定された送信局の位置情報と、前記決定された補正関係式とを用いて、移動受信局の位置を推定し、(B)未知の送信局から送信され、固定受信局または位置が推定された移動受信局で受信された信号情報と、前記固定または位置が推定された移動受信局の位置情報とから、前記未知の送信局の位置を推定する。位置計算機は、処理(A)と(B)を繰り返し、移動受信局の移動にしたがって、順次未知の位置にある送信局の位置情報を得る。
【0035】
さらに受信局の数を低減する構成として、単一の移動受信局を受信局として用いる構成を採用することができる。この場合、位置が未知の移動受信局から供給される既知の送信局についての位置情報を用いて第1および第2の補正関係式の少なくとも一方を決定し、
(A)位置が既知または推定済みの送信局から前記移動受信局に送信された信号情報と、前記位置が既知または推定済みの送信局の位置情報と、前記決定された補正関係式から、前記移動局の現在の位置を推定し、
(B)位置が未知の送信局から前記現在の位置が推定された移動受信局に送信された信号情報と、前記現在の位置が推定された移動受信局の位置情報とから、前記未知の送信局の位置を算出する。位置計算機は、処理(A)と(B)を繰り返し、移動受信局の移動にしたがって、順次未知の位置にある送信局の位置情報を得る。
【0036】
移動受信局を単独で、または固定受信局と組み合わせて用いることにより、広範囲にわたって、管理対象である複数の送信局の所在と位置座標の双方を正確に把握することが可能になる。また、多数の受信局を固定設置する必要がなく、システムのコストが大幅に低減される。
【0037】
送信局と受信局が送受信する信号のキャリヤとして、無線(radio wave)や赤外線を含む任意の電磁波、あるいは超音波や可聴波を含む音波を用いることができる(本明細書において、「音波」という場合は、超音波も可聴音波も含むものとする)。送信局が送信する起動信号と、受信局が送信する標識信号のキャリヤの種類は同じであっても、異なっていてもよい。
【0038】
本発明の第2の側面では、位置検出方法を提供する。この位置検出方法は、送信局から送信された第1の標識番号を含む第1標識信号を受信局で受信するステップと、受信局において受信した第1標識信号の強度eを測定するステップと、強度eと距離dとの関係を、補正係数を含む第1の補正関係式で定義するステップと、既知の位置情報を用いて補正係数を決定し、決定された補正係数を含む第1の補正関係式を用いて、未知の送信局の位置を求めるステップとを含む。
【0039】
i番目の送信局の位置を(xi, yi)、j番目の受信局の位置を(uj, vj)とすると、送信局iから受信局jまでの距離dijは、式(1)で表される。
【0040】
【数36】
第1の補正関係式は、補正係数S1,S2を用いて式(2)’で表される。
【0041】
【数37】
第1の補正関係式は、受信局における環境係数と、送信局における環境係数の少なくとも一方を含むのが好ましい。受信局における環境係数Krjを用いた場合は、第1の補正関係式は式(2)’’で表わされる。
【0042】
【数38】
この場合、既知の位置情報に基づいて未知数S1,S2、Krjを決定し、決定した係数値を用いてターゲットとする送信局iの位置を求める。
【0043】
送信局における環境係数Ktiを用いた場合は、第1の補正関係式は式(2)’’’で表わされる。
【0044】
【数39】
この場合、既知の位置情報に基づいて未知数S1,S2、Ktiを決定し、決定した係数値を用いてターゲットとする送信局iの位置を求める。
【0045】
位置検出方法はまた、受信局から送信局に起動信号を送信するステップと、起動信号に応じて第2の標識番号を含む第2標識信号を送信局から受信するステップと、前記起動信号と第2標識番号の送受信に要した時間tを計測するステップをさらに含む。この場合、未知の送信局の位置は、既知の位置情報に基づき、空気中を信号が伝搬する伝搬時間pと、送信局と受信局との間の距離dとに関する第2の補正関係式により求められる。
【0046】
具体的には、送信局iの位置を(xi,yi)、既知の位置に設置された受信局jの位置を(uj,vj)、受信局jで測定された送信局iからの受信信号の強度eij、受信局jで計測された送受信に要した時間tij、送信局iと受信局jとの間の距離dij、空気中を信号が伝搬する伝搬時間pijとすると、第2の補正関係式
【0047】
【数40】
を用いて、未知の送信局の位置を算出する。
【0048】
本発明のその他の特徴、効果については、以下で図面を参照して述べる詳細な説明により、いっそう明確になる。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
[第1実施形態]
図5は、本発明の第1実施形態に係る位置検出システム1の構成図であり、図6は、図5に示すシステムで用いられる送信局21と受信局31の構成図である。第1実施形態の位置検出システム1は、送信局21(T1〜T8)と、受信局31(R1〜R4)と、受信局31に接続されたデータ管理部としてのサーバ12と、サーバ12に接続された位置計算機11とを含む。位置検出システム1はまた、位置計算機11に接続された利用者端末3a〜3cを含む。これらの構成要素は、LAN2を介して接続されている。
【0050】
図5の例では、受信局31(R1〜R4)は固定された受信局であり、その位置は既知である。送信局T1〜T4は受信局R1〜R4に取り付けられており、受信局R1〜R4とほぼ同位置にあるとみなされる。既知であるj番目の受信局の場所を(uj,vj)とする。送信局T5〜T8の位置は未知であり、i番目の未知の送信局の位置を(xi,yi)とする。各送信局21は、受信局31に対して固有の信号を送信し、受信局31は送信局21からの信号を受信する。受信局jで受信された送信局iからの信号の受信強度をeijとする。また、受信局jから送信局iまでの距離はdijとする。たとえば、未知の位置(x5, y5)にある送信局T5に着目すると、送信局T5から受信局R1までの距離はd51で表され、受信局R1で受信される送信局T1からの信号の強度はe51である。
【0051】
送信局21は、図6に示すように、マイクロコントローラ22と、送信部23と、標識信号発生部25と、モーションセンサ13とを有する。標識信号発生部25は、一定周期ごとに、送信局21に固有の標識番号(ID)を付した信号を生成する。また、モーションセンサ13が送信局21の任意の動きを検出したときに、送信局の標識番号を付した信号を生成する。
【0052】
図7は、モーションセンサ13の構成例を示す。この例では、モーションセンサ13は、倒立振り子14を用いた加速度センサと、加速度センサに接続される保持回路とを含む。保持回路15は送信局21の発振器16に接続され、加速度センサの電極14a,14bが接触したとき(あるいは離れたとき)のみ発振器16の電源17を数分間ONにする。保持回路15は、加速度センサのON/OFF動作にかかわらず長周期の発信間隔を設定する機能を有する。この機能は、発信局のメンテナンスに有効に働く。発信周期は完全に一定である必要はなく、周期の数%ほどの幅でランダムに変化させることによって送信局同士の信号の衝突を回避する。モーションセンサ13を設けることにより、一定の発信間隔を長くとることができる。位置検出システムでは、送信局の位置を知ることが目的なので、送信局が静止しているときには、頻繁に信号を発する必要がないからである。このような構成により、電力の消費を低減して電池の寿命を長くできるだけでなく、ログファイルを小さくすることができる。
【0053】
なお、送信局T1〜T8のすべてについて、図6に示す構成の送信局を用いてもよいし、2種類の送信局を用意してもよい。後者の場合、位置が未知の送信局T5〜T8については図6のモーションセンサ13付きの送信局とし、受信局31に設置される固定送信局T1〜T4については、モーションセンサ13を有さない短周期発生機能を持つ送信局としてもよい。
【0054】
図6にもどって、受信局31は、マイクロコントローラ32と、受信部33と、アンチコリジョン判読部36とを有する。受信部33は、受信した信号の強度を測定するとともに、受信信号をアンチコリジョン判読部36へ送る。アンチコリジョン判読部36は受信信号の中から送信局の標識番号を判読する。各受信局31は、送信局21から受信した信号の強度と、判読した標識番号とを、タイムスタンプとともにサーバ12に送信する。サーバ12は、受信強度を送信局の標識番号と関連付けてタイムスタンプとともに記録する。タイムスタンプは、サーバが受信局31から情報を受け取った時点で、サーバ12側で生成してもよい。
【0055】
位置計算機11は、サーバ12に格納された送信局(たとえばT5)に関する情報を参照して送信局T5の位置を算出し、算出結果をサーバ12に格納する。ユーザは、利用者端末3を介して位置を知りたい送信局の標識番号を入力することにより、サーバ12を検索してその位置を知ることができる。
【0056】
位置計算機11は、屋内環境で送信局または受信局の位置を精度良く求めるために、距離と受信強度との関係についての第1の補正関係式を用い、屋内の伝搬状況下で実際に受信強度eijを測定しながら、送信局21から受信局31までの距離dijと、受信強度eijとの関係を求める。第1の補正関係式は、環境係数を含む補正係数を用いて、フリスの公式を補正したものである。補正要因を考慮しながら実測値に基づいて距離、さらには送信局の位置座標を割り出すことにより、特に屋内での位置特定の精度を向上することができる。
【0057】
以下で、受信強度と距離に関するフリスの公式の補正アルゴリズム(第1の補正関係式)について説明する。なお、説明の簡便のため、2次元座標を用いて説明するが、位置計算機11は、実際には3次元の空間座標を用いるものとする。<フリスの公式の補正アルゴリズム>
j番目の既知の受信局の位置を(uj、vj)、i番目の送信局の位置を(xi、yi)とすると、送信局iから受信局jまでの距離dijは、式(1)で表される。
【0058】
【数41】
ここで、受信局jの環境係数Krjを定義する。環境係数Krjは、受信局が理想状態に置かれたときから考えて、どれだけ感度が変化するかという指標である。同様に送信局iに対しても環境係数Ktiを定義する。
【0059】
まず、受信局の既知の位置情報(実測値)を用いて、フリスの式の補正を試みる。フリスの式の補正は、補正係数S1、S2と、受信局の環境係数Krjを用いて、距離dと受信強度eの関係を推定する。基本的には、距離と受信強度は対数関係にあると前提し、フリスの公式を補正して式(2)のように第1の補正関係式を定義する。
【0060】
【数42】
このとき、第1段階として、受信局に取り付けられた(すなわち位置が既知である)送信局T1〜T4からの実測された受信強度eijと、対応する距離dijを用いて、補正係数S1,S2,および環境係数Krjを求める。誤差を最小にするこれら未知数の解は式(3)で与えられる評価関数qを最小化することによって求められる。
【0061】
【数43】
式3で、rnは位置が既知の受信局の数、tnは位置が既知の送信局の数である。図5の例では、rn、tnともに4であり、4×4の連立方程式が成立し、S1,S2,Kr1〜Kr4という6つの未知数をすべて解くことができる。分かりやすくするために未知数に^印をつけた。式(3)を解くには様々な方法がある。詳細に説明することは控えるが、たとえば、qをそれぞれの変数で偏微分し、それぞれが0になる値を、ニュートン法等を用いて解くことができる。その他、シンプレツクス法、最急降下法、ニューラルネツトワークを用いる方法等がある。これらにより、距離と受信強度との間の補正関係式である式2の補正係数S1、S2および受信局の環境係数Krjを求めることができる。
【0062】
なお、位置が既知の受信局または送信局の数が少ないため方程式が十分に連立しない場合は、式(2)および式(3)において環境係数Krjを用いずに補正係数S1、S2を用いるだけでも十分な補正効果がある。
【0063】
次に、位置が未知であるターゲットの送信局の環境係数Ktiについて考える。送信局の送信強度は一定であるが、それぞれの場所によって環境係数が異なり、受信状態が変化するからである。この場合、既知の受信局(たとえばR1)で受信される未知の送信局(たとえばT5)からの受信信号の強度は、式(2)の第1の補正関係式において、補正係数S1,S2および受信局R1での環境係数Kr1に加えて、送信局での環境係数Kt5も加味されることになる。このときの距離と受信強度との関係式を、式(3)で求めた受信局の環境係数Krjと、補正係数S1、S2を用いて式(4)のように考える。
【0064】
【数44】
ここで、mdijは実測した受信強度から導かれる距離である。送信局iの位置とその環境係数はKtiは、式(5)で表わされる評価関数hiを最小化することで求められる。
【0065】
【数45】
わかりやすくするために、未知数に^印をつけた。以上述べた方法で送信局の位置を推定することができる。
【0066】
このようにして求めた送信局の位置は、サーバ12に記録される。上述したように、特定の送信局の位置を知るには、ユーザ(あるいは管理者)はLAN2を介してサーバ12に、位置を知りたい送信局の標識番号を問い合わせることによって、該当する送信局の位置情報を入手できる。
【0067】
送信局が受信局に対して、自由空間損失で考えると十分に通信可能な領域にある場合でも、ある特定の受信局に対しては見通しの悪い位置にある場合は、その受信局で信号を受信できないことがある。この場合は、受信局は送信局からの信号を受信していないため、通常は位置推定には使えない。
【0068】
しかし、ある特定の受信局で受信できないということは他の受信局よりも遠いことを意味するので、位置推定における情報としての価値は有すると考えられる。そこで、本発明ではこのような不可視情報を拘束条件の中に入れて、有効に活用する。例えば、送信局T2からの信号を受信局R1、R2、R3では受信できたがR4では受信できなかった場合は、
d21<d24
d22<d24
d23<d24
の拘束条件を付加することによって、不可視データを捨てることなく有効に位置推定に用いることができる。
【0069】
上述したように、送信局21はモーションセンサ13を備え、物理的に移動したときに信号を発信する機能を有する。したがって、位置計算機11は移動した送信局、すなわち信号を送信した送信局の位置を再計算してアップデートする。
【0070】
図8は、第1実施形態に係る位置検出システム1の制御フローを示す。受信局に設置された送信局T1〜T4は、一定時間経過のたびに固有の標識番号を含む信号(標識信号)を発信する(S101、S102)。一方、送信局T5〜T8では、マイクロコントローラ22がモーションセンサ13をモニタして、加速度が加えられたか否かを判断する(S103)。加速が加えられ(S103でYES)、一定時間経過した場合(S101でYES)に、送信局T5〜T8は標識番号を含む信号(標識信号)を発信する。
【0071】
受信局31は、送信局からの受信信号強度を計測し、受信強度をタイムスタンプとともにサーバ12に送信する。このとき送信局の標識番号と受信局の標識番号も送信する。(上述したようにタイムスタンプはサーバで生成してもよい。)位置計算機11は、サーバ12に蓄積されたデータのタイムスタンプに基づいて前回のデータと比較し(S131)、今回のデータが更新されているかどうかを判断する(S132)。前回のデータに対して更新されているデータがある場合には(S132でYES)、更新されたすべてのデータの中から既知の位置に設置された送信局(図5の例ではT1〜T4)のデータを抽出し(S133)、式(3)を最小にする環境係数Krjおよび補正係数S1、S2を導出する(S134)。次に、固定位置にないすべての送信局(T5〜T8)のデータに対して、式(5)を解いてそれぞれの送信局の位置を算出し、これをサーバに記録する(S135)。さらに、算出した位置を前回の結果と比較し、一定値以上位置が変化した送信局と(S136でYES)、どの受信局でも受信できなくなった送信局と(S137でYES)を抽出する。抽出された送信局のデータをサーバに記録した後(S138)、関係がある利用者端末に警告メッセージを送信する(S139)。
【0072】
受信局31からのデータを記録するサーバ12内のデータ構造は、例えば表1に示すとおりである。
【0073】
【表1】
また、位置計算機11で計算した結果を保存するデータ構造は、表2に示すとおりである。
【0074】
【表2】
環境係数は送信局がおかれている環境に依存するため、実際に送信局を探すときには情報として有用である。すなわち、環境係数が大きいと受信局との見通しが悪いことを示すため、送信局は物陰にある場合が多い。逆に環境係数が小さい場合は見通しが良い場所にあることになる。これらの情報を警報に付加して送れば送信局を見つけだすときに非常に有用である。
【0075】
利用者端末3は、S139で位置計算機11から送られてくる警報メッセージを受信する機能とともに、検索機能を有する。ユーザがある送信局の情報を得たいときに、その送信局の標識番号(ID)を利用者端末に入力する(S121)。入力端末はこの標識番号をサーバに送信し(S122)、該当する送信局の標識番号について保存されている履歴、すなわちタイムスタンプ、位置情報、送信局の環境係数を検索し、端末に表示する(S123)。これにより、ユーザは、タイムスタンプで記述された時間の位置情報や、履歴を知ることができる。さらに送信局の環境係数を見ることによって、その送信局が見通しのよい場所にあるか否かを知ることができる。また、一定時間の履歴を見ることによっていつ加速度が加えられたかも知ることができる。
【0076】
以上述べたように、第1実施形態の位置検出システムによれば、第1の補正関係式を用い、受信強度と既知の位置情報に基づいて、同時に複数の送信局の位置を精度よく推定することが可能になる。
【0077】
図9は、第1実施形態の位置検出システム1を用いて実際に送信局の位置を推定した結果を示す。受信局はP1〜P6で示す位置に設置してあり、これらの受信局を用いて、送信局1〜16の位置を推定した結果である。送信局の実際の位置は*印で示し、推定結果(測定値)は長方形で示してある。実際の位置と推定位置とを結ぶ線は、電波状況を示しており、破線は電波状況がよく、太い実線は電波状況が悪いことを示す。グラフの格子単位はフロア上を所定エリアに分割する単位であり、1マスは1.35mである。
【0078】
この検出結果によれば、最小誤差はわずか13.5cm、最大誤差でも約4.5mである。自乗誤差平均は2.3mであるが、比較的電波状況のよい場所にある送信局1、2、12については、誤差が1m以内である。このように、第1の補正関係式を用いることによって、複数の送信局の各々が置かれている環境も考慮して、各送信局の具体的な位置を精度よく特定することが可能になる。
【0079】
なお上記の説明では、位置を検出する対象を送信局(タグ)としているが、送信局は、送信のみの機能を有するものに限定されず、例えば、携帯可能な電話機などのように送受信機能を有する機器の送信機能を利用するものであってもよい。この場合、電話機を所持する人の位置を特定することができる。
[第2実施形態]
図10は本発明の第2実施形態にかかる位置検出システムの構成図であり、図11は、図10のシステムで用いられる送信局21と受信局31の構成図である。第2実施形態の位置検出システムでは、受信局は送信局に対して、定期的に起動信号を送信する。送信局は起動信号を受信したときに、標識番号(ID)を含む信号を送信する。また、送信局は、(1) 一定間隔で送信する信号(第1標識信号)、(2) 起動信号に応じて送信する信号(第2標識信号)、(3) 外部の変化を検知したときに送信する信号(第3標識信号)のそれぞれに応じて、異なる種類の標識番号を付して信号を送信する。
【0080】
なお、図10に示す例では、受信局が送信する起動信号と、送信局が送信する標識信号の双方を、電磁波により搬送する。LAN2を介して接続される受信局(R1〜R4)、サーバ12、位置計算機11、利用者端末3a〜3cの接続関係、および利用者端末の動作については第1実施形態と同様であり、その説明を省略する。
【0081】
図11に示すように、送信局21は、送信局の演算制御を司りROM、RAM等のメモリを内蔵したマイクロコントローラ22と、その内部メモリにあらかじめ格納したソフトウェアにより受信局からの起動信号を受信して伝送する受信部24と、外乱の変化を起動信号として検出して伝送するセンサ26と、起動信号を受けて送信局に個別に割り当てられた固有の標識番号(ID)を含む信号を生成する標識信号発生部25と、標識信号を前記受信局に送信する送信部23とを含む。標識信号発生部25は、外乱の変化を検出したときの他、受信局からの起動信号を受信した場合と、比較的長い所定間隔ごとにも、それぞれ異なる種類の固有の標識信号を生成する。
【0082】
第2実施形態では、センサ26は送信局に加えられた加速度(動き)だけではなく、光、温度、湿度といった環境の変化をも検知する。たとえば、送信局(あるいは物品に添付されたタグ)が書庫などの暗い場所から明るい場所に移動した場合、センサが起動して、送信局から電磁波による標識信号が送信される。この標識信号は受信局で受信されてサーバ12に送られるので、位置計算機11は、明るい場所に移動した送信局(すなわち標識信号を送信した送信局)の位置を再計算してアップデートする。同様に、空調の効いた場所から外部に移動したときも、温度や湿度の変化を探知して標識信号を送信する。この構成は、例えば、入力光の変化を検出する光センサや、温度センサ、湿度センサなどにより実現できる。
【0083】
受信局31は、受信局の演算制御を司りROM、RAM等のメモリを内蔵したマイクロコントローラ32と、その内部メモリにあらかじめ格納したソフトウェアにより起動信号を発生する起動信号発生部35と、起動信号を受けて送信局に送信する送信部34と、送信局からの標識信号を受信して受信強度を測定し伝送する受信部33と、標識信号を判読するアンチコリジョン判読部36とを有する。受信部33は、受信した標識信号(第1〜第3標識信号)のそれぞれの強度を測定する。アンチコリジョン判読部36は、各標識信号から、それぞれの標識番号(第1〜第3の標識番号)を判読する。
【0084】
図12は、第2実施形態にかかる送信局21の動作の流れを示す図である。送信局21は、3通りの場合に標識信号を生成し、送信する。そして、標識信号を生成する要因となった種類に応じて、異なる種類の標識番号を付与する。具体的には、受信局から振動信号を受信した場合(S201でYES)に、それが予定していた所定の起動信号であることを確認し(S202でYES)、“Type a”の標識信号を送信する(S203)。また、一定時間経過するごとに(S204でYES)、周期起動により“Type b”の標識信号を送信する(S205)。さらに、センサが外部の変化を検出した場合(S206でYES)は、一定時間経過したことを確認したうえで(S207でYES)、センサ起動の要因に応じて異なる標識信号を生成する(S208)。たとえば、動きの変化により標識信号を送信する場合は“Type c”の標識信号を、入力光によるセンサの起動によって送信した場合は“Type d”、温度によるセンサの起動によって送信した場合は“Type e”、湿度によるセンサの起動によって送信した場合は“Type f”の標識信号を送信する。
【0085】
このように、起動信号に応じて標識信号を送信することにより、送信局の位置が知りたいときに場所を推定することが可能になるとともに、送信局のバッテリーの消耗を防止することができる。また、環境の変化に応じて異なる標識信号を生成することによって、送信局がおかれた環境の変化を推定することができ、位置検出の効率と精度が向上する。
【0086】
図13は、第2実施形態にかかる受信局31の動作の流れを示す。受信局31は、起動信号の送信が必要な場合に(S211でYES)、送信局21に対して起動信号を送信する(S212)。この起動信号に応じて送信局が送信した標識信号(Type a)を受信すると(S213でYES)、その標識信号の受信強度を測定する(S214)。一方で、起動信号による以外の標識信号の受信も常時チェックし、Type a以外の標識信号を受信した場合にも(S215でYES)、その受信強度を測定する(S216)。S214とS216で受信強度を測定したならば、その信号の受信強度と標識番号をタイムスタンプと共にサーバ12に送信する(S217)。タイムスタンプはサーバ12で生成してもよいことは、第1実施形態と同様である。
【0087】
図14は、第2実施形態に係る位置検出機11の処理フローを示す。第2実施形態においても、送信局の位置推定にあたって、フリスの公式の補正アルゴリズム(第1の補正関係式)を用いる。まず、位置計算機11は、サーバ12に蓄積されたデータのタイムスタンプを見て、一定時間経過したかどうかを調べる(S231)。これは送信局が間欠動作をするため、信号の重複によって受信できない場合があるため、一定のサンプル時間を定義することによって見落としを防止するためである。一定時間経過した場合は(S231でYES)、受信局からのデータに含まれる送信局のデータを、その標識番号の種類ごとに前回のデータと比較し(S232)、前回のデータに対して更新されたものがあるかどうかを調べる(S233)。更新されたデータがある場合は(S233でYES)、送信局の内、既知の位置に設置された送信局(T1〜T4)のデータを抽出する(S234)。すなわち、既知の位置の送信局から、既知の位置の受信局へ送信された信号の電磁界の伝搬特性(強度)eijと、距離dijについて、式(2)の関係を仮定する。
【0088】
【数46】
ここで、S1、S2は補正係数、Krjは受信局での環境係数である。
【0089】
次に、式(3)を最小にする環境係数Krjおよび補正係数S1、S2を導出する(S235)。
【0090】
【数47】
こうして求めた補正係数S1,S2,および環境係数を用いて、その他の送信局(T5〜T8)のデータについて、式(4)の関係を仮定し、式(5)を解いて、これらの送信局の位置を算出する(S236)。
【0091】
【数48】
算出した送信局の位置をサーバ12に記録する。さらに、算出した位置を前回の結果と比較し、一定値以上位置が変化した送信局と(S237でYES)、どの受信局でも受信できなくなった送信局(S238でYES)とを抽出する。抽出された送信局のデータをサーバに記録した後(S239)、関係がある利用者端末3に警告メッセージを送信する(S240)。
【0092】
第2実施形態において、受信局についてのデータを記録するサーバ12内のデータ構造は、例えば表3に示すとおりである。
【0093】
【表3】
また、位置計算機11で計算した結果を保存するデータ構造は、たとえば表4に示すとおりである。
【0094】
【表4】
環境係数は送信局がおかれている環境に依存するため、実際に送信局を探すときには情報として有用である。すなわち、環境係数が大きいと受信局との見通しが悪いことを示すため、送信局は物陰にある場合が多い。逆に環境係数が小さい場合は見通しが良い場所にあることになる。これらの情報を警報に付加して送れば送信局を見つけだすときに非常に有用である。
【0095】
第2実施形態では、標識信号が生成される要因の種類に応じて異なる種類の標識番号を付与する。したがって、位置検出の精度が、第1実施形態以上に向上する。また、受信局から起動信号を発信し、送信局側では起動信号に応じて標識信号を生成、送信するので、定期的に発信する標識信号の間隔を長くとることができ、電源電力を節約することができる。
【0096】
また、第2実施形態においても、受信できなかった送信局の情報を拘束条件として有効利用する。例えば、送信局T2からの信号を受信局R1、R2、R3では受信できたがR4では受信できなかった場合は、
d21<d24
d22<d24
d23<d24
の拘束条件を付加することによって、不可視データを捨てることなく有効に位置推定に用いることができる。
【0097】
送信局はタグに限定されず、携帯可能な電話機などのように受信機能を有する送受信機の送信機能を利用してもよい。
(変形例1)
図15および16は、第2実施形態に係る位置検出システムの変形例1を示す。変形例1では、受信局31は、超音波により起動信号を送信局21へ送信する。一方送信局21では、受信部24で超音波による起動信号を受信した場合に、標識信号発生部25において標識信号Type aを生成し、この標識信号を電磁波(たとえば無線)により受信局31に送信する。それ以外の送信局の構成は、上述した構成と同様である。したがって、外部の変化を探知し、探知した種類によって、異なる標識番号を付した信号を生成する。
【0098】
受信局31では、送信局からの標識信号を受信すると、受信した信号の受信強度を測定するとともに、受信信号に含まれる標識番号を判読する。そして、受信強度、送信局の標識番号、および受信局自体の標識番号を、タイムスタンプとともにサーバ12に供給する(タイムスタンプは、サーバ12で生成してもよい)。位置計算機11は、受信信号について、電磁界の伝搬特性(強度)と距離に関するフリスの補正アルゴリズムを用いて、送信局の位置を算出する。フリスの補正アルゴリズムと、位置計算機11の動作については、図14を参照しながら先に述べたとおりである。
(変形例2)
図17および18は、第2実施形態に係る位置検出システムの変形例2を示す。変形例2では、受信局31は、電磁波により起動信号を送信局21へ送信し、送信局21は、起動信号に呼応して、標識信号発生部25で標識信号Type aを生成する。この標識信号を超音波により受信局31へ送信する。
【0099】
受信局31は、超音波信号の強度を測定し、判読した送信局の標識番号とともに測定結果をサーバ12に供給する。位置計算機11は、サーバに蓄積されたデータから、超音波伝搬特性と距離との関係について、フリスの補正アルゴリズムを用いて、最終的に未知の送信局の位置を算出する。本発明によるフリスの補正アルゴリズムは、電磁界についても超音波についても、同様に適用することができる。
【0100】
すなわち、既知であるj番目の受信局の場所を(uj,vj)とし、任意のi番目の送信局の位置を(xi,yi)とする。送信局から受信局まで超音波で信号を伝送し、受信局jで受信される送信局iの受信強度をeij、受信局jから送信局iまでの距離をdijとする。距離dijは式(1)で与えられる。
【0101】
【数49】
超音波を用いた場合も、受信局jの環境係数Krjと、送信局iの環境係数Ktiを定義する。まず、受信局の既知の位置情報を用いて、超音波の強度と距離の関係式の導出を試みる。変形例2においても、送受信局間の実測値を用いて距離と受信強度の関係を推定する。空気中を伝搬する超音波の強度は、回折現象により球面状に拡散する拡散損失と、媒質にエネルギーを吸収される損失によって、距離が長くなるほど減衰していく。そのため、基本的に距離と超音波の受信強度は対数関係にあるとして、式(2)を仮定する。式(2)において、S1、S2は補正係数である。
【0102】
【数50】
この場合の受信強度eijは、位置が既知の送信局T1〜T4から送信されてきた超音波信号の受信強度である。誤差を最小にするこれら未知数の解は、式(3)で示される評価関数qを最小化することによって求められる。
【0103】
【数51】
式(3)において、rnは位置が既知の受信局の数、tnは位置が既知の送信局の数であり、未知数を全て解くためには、rn×tn≧rn+2が成立すればよい。図17の例では、rn、tnはそれぞれ4であり、これらの未知数を全て解くことができる。
【0104】
次に、送信局の環境係数を導入し、式(3)で求めた受信局の環境係数Krjと補正係数S1、S2を用いて、距離と受信強度の関係を式(4)のように考える。
【0105】
【数52】
式(4)において、mdijは超音波の受信強度によって導かれる距離である。電磁波を用いた場合と同様にして、未知の送信局iの位置は評価関数hiを最小化することにより求められる。
【0106】
【数53】
算出された送信局の位置はサーバ12に記録される。なお、超音波を用いた変形例2でも、受信できなかった情報を拘束条件として、位置推定に有効利用する。
【0107】
図19は、変形例2における位置計算機11の処理フローを示す。標識信号に電磁波を用いた場合の図14の処理フローと同様のステップには、同様の番号を付してある。位置計算機11はサーバ12に蓄積されたデータのタイムスタンプを見て、一定時間経過したかどうかを調べる(S231)。これは送信局が間欠動作をするため、信号の重複によって受信できない場合があるため、一定のサンプル時間を定義することによって見落としを防止するためである。一定時間経過後(S231でYES)、送信局の標識番号別にタイムスタンプをみて、今回のデータを前回のデータと比較する(S232)。前回のデータに対して更新されたものがあれば(S2332でYES)、全データの中から既知の位置に設置された送信局(T1〜T4)のデータを抽出する(S234)。そして、式(3)を最小にする環境係数Krjおよび補正係数S1、S2を導出して、超音波の伝搬特性と距離との関係式を決定する(S241)。さらに、算出した超音波伝搬特性の関係式を用いて、その他の送信局に関するデータに対して式(5)を解くことによってそれぞれの送信局の位置を算出し、これをサーバに記録する(S243)。
【0108】
位置計算機11は、算出した位置を前回の結果と比較し、一定値以上位置が変化した送信局と(S237でYES)、どの受信局でも受信できなくなった送信局(S238でYES)を抽出する。抽出された送信局のデータをサーバ12に記録した後(S239)、関係がある利用者端末に警告メッセージを送信する。
【0109】
サーバ12内において、受信局のデータを記録するデータ構造、および位置計算機11により計算された結果を保存するデータ構造は、表3および表4に示した構造と同様である。
【0110】
利用者端末3の構成、動作については、第1実施形態と同様である。
(変形例3)
図20および21は、第2実施形態に係る位置検出システムの変形例3を示す。変形例3では、受信局31は、超音波により起動信号を送信局21へ送信する。送信局21は、超音波の起動信号に呼応して、標識信号発生部25で標識信号Type aを生成し、この標識信号を、同じく超音波により受信局31へ送信する。
【0111】
受信局31は、超音波信号の強度を測定し、判読した送信局の標識番号とともに測定結果をサーバ12に供給する。位置計算機11の処理フローについては、変形例2と同様であり、説明を省略する。
【0112】
このように、第2実施形態によれば、受信局31から起動信号を送信し、送信局21は起動信号に応じて標識信号を生成、送信する。また送信局21は、この送信局に加えられた振動(加速度)に加え、光、温度、湿度などの環境の変化に応じても、標識信号を生成する。これにより、位置情報が必要なときに正確な位置情報を獲得することができる。また、電源の寿命を長くすることができる。
【0113】
また、標識信号が生成される要因に応じて異なる種類の標識番号を付与することにより、送信局が現在おかれている環境をより正確に把握することができる。
[第3実施形態]
図22は本発明の第3実施形態にかかる位置検出システムの構成図であり、図23は、図22のシステムで用いられる送信局21と受信局31の概略構成図である。第3実施形態では、第2実施形態の構成に加え、受信局は、送信局との間で起動信号および標識信号の送受信に要する時間を測定する手段を有する。たとえば、図22において受信局R1は、送信局T5から送信されてくる信号の強度e51に加えて、信号送受信時間t51を測定する。その他の固定受信局R2〜R4も同様に、受信信号の強度と、送受信時間とを測定する。
【0114】
第3実施形態ではまた、第1および第2実施形態で用いた第1の補正関係式に加え、伝搬時間と距離に関する第2の補正関係式を用いて、より正確な位置推定を実行する。なお、第3実施形態では、送信局からの標識信号は電磁波により送信される。
【0115】
サーバ12は、受信局31から受け取った測定時間と送信局の固有の標識番号のデータとを対で管理している。位置計算機11は、送受信に要する実測時間から、補正係数を用いて受信局と送信局との間の空気中を電磁波が伝搬する伝搬時間を求める。さらに、求めた伝搬時間と所定の比例定数との比から、送信局の位置を求める。第3実施形態では、関係式の補正を行う際に、電磁波の空気中での速度を、近似関数を用いて実測値から補正するため、補正のために空気中の温度や湿度を測定する必要がない。
【0116】
図23に示すように、第3実施形態に係る送信局21は、第2実施形態と同様に、送信局の演算制御を司るマイクロコントローラ22と、その内部メモリにあらかじめ格納したソフトウェアにより受信局からの起動信号を受信して伝送する受信部24と、外乱の変化を起動信号として検出して伝送するセンサ26と、起動信号を受けて送信局に個別に割り当てられた固有の標識番号を標識信号として発生する標識信号発生部25と、標識信号を受信局に送信する送信部23とを含む。マイクロコントローラ22は、ROM、RAM等のメモリを内蔵している。センサ26は、たとえば第1実施形態で説明した図7に示すモーションセンサと、入力光や温度、湿度の変化を検出する光センサ、温度センサ、湿度センサを組み合わせることによって実現できる。送信局21はまた、センサ26のON/OFFにかかわらず非常に長周期の送信間隔を設定して、定期的に標識信号を送信する。送信周期は完全に一定ではなく、周期の数%ほどの幅でランダムに変化させることによって、送信局同士の信号の衝突を回避する。
【0117】
送信局21は、第2実施形態と同様に、標識信号の生成要因に応じて、異なる種類の標識番号を生成する。例えば、受信局から起動信号を受信して送信した場合はType aの標識信号を、周期起動によって標識信号を送信する場合はType bの標識信号を、振動あるいは加速度を検出したセンサの起動によって送信する場合はType cの標識信号を、入力光によるセンサの起動によって送信する場合はType dの標識信号を、温度によるセンサの起動によって送信した場合はType eの標識信号を、湿度によるセンサの起動によって送信した場合はType fの標識信号を生成し、送信する。
【0118】
受信局31は、受信局の演算制御を司りROM、RAM等のメモリを内蔵したマイクロコントローラ32と、その内部メモリにあらかじめ格納したソフトウェアにより起動信号を発生する起動信号発生部35と、起動信号を受けて送信局に送信する送信部34と、送信局からの標識信号を受信して受信強度を測定し伝送する受信部33と、標識信号を判読するアンチコリジョン判読部36と、送信局21との間で信号の送受信に要した時間を測定する時間測定部37を有する。第3実施形態において、送受信に要した時間とは、受信局31が起動信号を生成してから、標識信号を受信してそこに含まれる標識番号を判読するまでに要した時間とする。しかし、時間測定部37を送信部34と受信部33との間に配置して、起動信号を送信してから標識信号を受信するまでの時間を送受信に要した時間とすることも可能である。
<送受信に要する時間の補正アルゴリズム>
上述したように、位置計算機11は、受信局31で実測された送受信時間に基づき、第2の補正関係式を用いて、補正係数を用いて受信局と送信局との間の空気中を電磁波が伝搬する伝搬時間を定義し、伝搬時間から送信局の位置を推定する。
【0119】
図22において、送信局T1〜T4は受信局R1〜R4に設置されており、その位置は既知である。受信局R1〜R4は、それぞれ送信局T1〜T4とほぼ同位置とみなすことができる。送信局T5〜T8は固定されておらず、その位置は未知である。既知であるj番目の受信局の場所を(uj,vj)とし、i番目の送信局の位置を(xi,yi)とする。送信局から受信局へ電磁波で信号を伝送し、受信局jで受信される送信局iの受信強度をeijとする。受信局jから送信局iまでの距離はdijとする。距離dijは式(1)で与えられる。
【0120】
【数54】
まず、受信局の既知の位置情報を用いて、送受信に要する時間の補正を試みる。このとき、送受信に要する時間tijは、式(6)で表わされるように、空気中を電磁波が伝搬する伝搬時間pij、受信局内での信号の伝搬時間A、送信局内での信号の伝搬時間bとの和になる。
【0121】
【数55】
これらの項目のうち、受信局31内での信号の伝搬時間Aは、消費電力の点で高速な受信動作が許容されるため、どの受信局でも一定であるとみなすことができる。これに対して、送信局21内での信号の伝搬時間bは、起動信号の受信検出回路の構成法により、伝搬の可逆性を考慮して受信強度eijに強い相関を持つと考えられる。この相関の関係は起動信号の検出方法によって異なり、多項式を用いた近似式や指数関数を用いた近似式などを適用できる。たとえば、受信した起動信号をダイオード検波し、キャパシタを充電して所定の電圧に達したときに起動信号を検出したとみなす場合には、送信局内での信号の伝搬時間bと受信強度eijとの相関関係として、式(7)の指数関数を用いた近似式を仮定することができる。式(7)において、f、g、hの値は補正係数である。
【0122】
【数56】
式(7)を式(6)に代入して、
【0123】
【数57】
送信局21と受信局31との間の距離dijは、空気中を電磁波が伝搬する伝搬時間pijと比例関係にあるため、式(8)より、式(9)が成り立つ。式(9)が第2の補正関係式である。ここで、Kは比例定数である。
【0124】
【数58】
この場合、受信強度eijは、位置が既知の送信局T1〜T4からの信号の受信強度である。未知数はA、f、g、h、Kの5個であるが、Aとfは個別に求めないで1つの未知数B(=A+f)とみなせば、未知数は4個となる。誤差を最小にするこれら未知数の解は、式(10)で表わされる評価関数qqを最小化することによって求められる。
【0125】
【数59】
式(10)において、rnは位置が既知の受信局の数、tnは位置が既知の送信局の数であり、未知数を全て解くためには、rn×tn≧4が成立すればよい。図22の場合はそれぞれ4であり、これらの未知数を全て解くことができる。分かりやすくするために未知数に^印をつけた。式(10)を解くには様々な方法がある。ここでは詳しく述べないが、たとえば、qqをそれぞれの変数で偏微分して、それぞれが0になる値をニュートン法等を用いて解くことができる。その他、シンプレツクス法、最急降下法、ニューラルネツトワークを用いる方法等がある。これらにより、補正係数B、g、h、空気中を電磁波が伝搬する伝搬時間pijと送受信局間の距離dijとの比例定数Kを求めることができる。
【0126】
式(10)を用いて求めた空気中での電磁波の伝搬時間pijと、未知の送信局から受信局までの距離dijとの関係を、比例定数Kを用いて式(11)のように考える。
【0127】
【数60】
式(11)において、ndijは実測された送受信に要する時間から導かれる距離である。未知の送信局iの位置は、式(12)で表わされる評価関数hhiを最小化することで求めることができる。
【0128】
【数61】
わかりやすくするために未知数に^印をつけた。以上述べた方法で、送受信に要した時間から、送信局iの位置(xi,yi)を推定することができる。
【0129】
さらに、この推定した位置情報を用いて、未知の送信局iの環境係数Ktiの推定精度を上げることができる。
【0130】
まず、第2実施形態で説明した例と同様に、受信局jの環境係数Krjを定義する。この係数は受信局が理想状態に置かれたときから考えてどれだけ感度が変化するかという指標である。同様に送信局iに対しても環境係数Ktiを定義する。
【0131】
そして、受信局の既知の位置情報を用いてフリスの式の補正を試みる。第2実施形態と同様に、第1段階として、位置が既知である送信局T1〜T4と、受信局R1〜R4の間での実測値を用いて、距離dと受信強度eの関係を推定する。基本的に距離と受信強度は対数関係にあるとし、式(2)を仮定する。式(2)において、S1、S2は補正係数である。
【0132】
【数62】
この場合の受信強度eijは、位置が既知である送信局T1〜T4からの信号の受信強度である。誤差を最小にするこれら未知数の解は、式(3)で示される評価関数qを最小化することによって求められる。
【0133】
【数63】
式(3)において、rnは位置が既知の受信局の数、tnは位置が既知の送信局の数であり、未知数を全て解くためには、rn×tn≧rn+2が成立すればよい。図22の場合はそれぞれ4であり、これらの未知数を全て解くことができる。分かりやすくするために未知数に^印をつけた。式(3)の解法は、第2実施形態でも述べたように、qをそれぞれの変数で偏微分して、それぞれが0になる値をニュートン法等を用いて解く、シンプレツクス法、最急降下法、ニューラルネツトワークを用いる等の方法がある。これにより、式(2)における未知数Krj、S1、S2を求めることができる。
【0134】
次に、送信局の環境係数の求め方について説明する。送信局の送信強度は一定であるが、それぞれの場所によって環境係数が異なり受信状態が変化する。そこで距離と受信強度の式を、式(3)を用いて求めた受信局の環境係数Krjと補正係数S1、S2を用いて、別の送信局からの信号の受信強度と距離との関係を、式(4)のように考える。
【0135】
【数64】
式(4)において、mdijは受信強度によって導かれる距離である。この送信局の環境係数Ktiは、式(13)で表わされる評価関数hhhiを最小化することで求めることができる。
【0136】
【数65】
わかりやすくするために、未知数に^印をつけた。ここで、送信局iの位置(xi,yi)は、送受信時間の補正アルゴリズムを用いて式(12)で求めた値を用いる。以上述べた方法で、送信局iの環境係数Ktiの推定精度を上げることができる。
【0137】
なお、第1実施形態、第2実施形態と同様に、ある受信局で信号が受信されなかった場合に、受信できなかったという情報を拘束条件として付加することによって、不可視データを捨てることなく有効に位置推定に用いることができる。
【0138】
図24は、第3実施形態に係る受信局31の動作の流れを示す図である。受信局31は起動信号を送信するタイミングになると(S311でYES)、送信局21に対して起動信号を送信する(S312)。そして、送信局から起動信号に応じた標識信号を受信したかどうかを確認する(S313)。標識信号を受信したならば(S313でYES)、起動信号と標識信号の送受信に要した時間(たとえば起動信号の生成から標識番号の判読までに要した時間)を計測する(S314)。さらに、受信した標識信号の強度を計測する(S315)。計測した送受信時間と、受信強度、送信局標識番号,受信局標識番号を、タイムスタンプとともにサーバ12に供給する(タイムスタンプはサーバ12で生成してもよい)。
【0139】
一方、送信局は起動信号を受信した場合のみならず、周期発信された場合や外部変化を検出した場合も、それぞれ対応する種類の標識番号をつけて信号を送信する。したがって、受信局31は、Type a以外の標識信号を送信局から受信したかどうかを確認する(S317)。Type a以外の標識信号を受信した場合は(S317でYES)、その標識番号を判読して、受信信号の強度を計測する(S318)。計測された受信強度、送信局標識番号、受信局標識番号は、タイムスタンプとともにサーバ12に供給される(S319)。
【0140】
図25および26は、第3実施形態における位置計算機11の処理フローを示す。図26は図25から引き続く工程を示す図である。位置計算機11はまず、サーバ12に蓄積されたデータのタイムスタンプを見て、一定時間経過したかどうかを調べる(S331)。これは送信局が間欠動作をするため、信号の重複によって受信できない場合があるため、一定のサンプル時間を定義することによって見落としを防止するためである。さらに、タイムスタンプに基づき、受信局から送られてきたデータに含まれる送信局の標識番号別のデータを、前回のデータと比較して(S332)、前回のデータに対して一定のサンプル時間が経過し更新されたものがあるかどうかをチェックする(S333)。更新されたデータがある場合には(S333でYES)、更新されたすべてのデータの中から、既知の位置に設置された送信局のデータを抽出し、式(10)を最小にする補正係数B、g、h、空気中を電磁波が伝搬する伝搬時間pijと送受信局間の距離dijとの比例定数Kを導出する(S335)。また、式(3)を最小にする環境係数Krjおよび補正係数S1、S2を求めて、電磁界の伝搬公式を決定する(S336)。
【0141】
次に、データが更新されている送信局について、
送信局からの標識番号(ID)がType aの場合(すなわち受信局からの起動信号に応じて送信された場合)、と
送信局からの標識番号(ID)がType b〜fの場合(すなわち外乱の変化の検出などにより自発的に送信された場合)
に応じて、適切なアルゴリズムを用いて送信局の位置を算出する。
【0142】
すなわち、データが更新された送信局からの標識信号がType aであるか否かを判断し(S337)、Type aならば(S337でYES)、式(12)を解いて、送受信に要した時間から各送信局の位置を算出し、これをサーバに記録する(S338)。さらに、式(13)を解いて、先に求めた送信局の推定位置と受信強度から各送信局の環境係数Ktiを算出し、これをサーバに記録する(S339)。
【0143】
一方、データが更新された送信局の標識信号が、Type b〜fの場合(S337でNO)は、送信局の位置も未知数として式(13)を解いて、それぞれの送信局の位置と環境係数を算出し、これをサーバに記録する(S340)。
【0144】
更新されているデータがさらに他にあれば(S341でYES)、S337〜S340の処理を繰り返して最新のデータについて送信局の位置と環境係数を求める。更新された送信局がなければ、算出した位置を前回の結果と比較し、一定値以上位置が変化したものと(S342でYES)、どの受信局でも受信できなくなったものと(S343でYES)を抽出する。抽出された送信局のデータをサーバに記録した後(S344)、関係がある利用者端末に警告メッセージを送信する(S345)。
【0145】
受信局からのデータを記録するサーバ12内のデータ構造は、たとえば表5に示すとおりである。
【0146】
【表5】
位置計算機11で計算した結果を保存するデータ構造は、たとえば表6に示すとおりである。
【0147】
【表6】
環境係数は送信局がおかれている環境に依存するため、実際に送信局を探すときには情報として有用である。すなわち、環境係数が大きいと受信局との見通しが悪いことを示すため、送信局は物陰にある場合が多い。逆に環境係数が小さい場合は見通しが良い場所にあることになる。これらの情報を警報に付加して送れば送信局を見つけだすときに非常に有用である。
【0148】
利用者端末は、第1および第2実施例と同様に、2種類の動作をする。1つは位置計算機11から警報メッセージを受信する機能、もう1つは、検索機能である。ユーザがある送信局の情報を得たいときに、その送信局の標識番号を利用者端末に入力する。入力端末はこの標識番号をサーバに送信し、該当する送信局の標識番号について保存されている履歴、すなわちタイムスタンプ、位置情報、送信局の環境係数を検索し、端末に表示する。
【0149】
ユーザは、タイムスタンプで記述された時間の位置情報、これらの履歴を知ることができる。さらに、送信局の環境係数を見ることによって、その送信局が見通しの良い場所にあるか否かを知ることができる。また、一定時間の履歴を見ることによっていつ外乱あるいは起動信号を加えられたかも知ることができる。
【0150】
第3実施形態では、受信強度に加え、送受信に要した時間を位置推定に用いる。これにより、受信強度だけを用いる場合に比べ、位置推定がより正確に行われる。
【0151】
また、送受信に要する時間と、送信局と受信局との間の距離との関係式を補正して、送信局と受信局の位置情報を推定する。関係式を補正する際に、空気中での信号の伝搬速度を、近似関数を用いて実測値から補正するため、補正のために空気中の温度や湿度を測定する必要がない。
【0152】
さらに、受信強度と時間との関係も近似関数を用いて実測値から補正する。これにより、たとえば受信局において、低消費電力を図るために高速な受信動作ができない場合に、効率的に位置推定精度を向上することができる。
[第4実施形態]
図27、本発明の第4実施形態にかかる位置検出システムの構成図、図28は、第4実施形態で用いる送信局21と受信局51の構成を示す図である。第4実施形態では、第1〜第3実施形態と異なり、単一の受信局を既知の位置に固定し、もう1つの移動受信局を移動させるだけで、送信局の位置推定を可能にする。
【0153】
図27に示すように、第4実施形態の位置検出システムは、位置が固定された第1の受信局51a(R1)と、移動可能な第2の受信局51b(R)と、送信局21(T1〜T8)と、サーバ12と、位置計算機11と、利用者端末3を含む。位置計算機11、サーバ12、利用者端末3は、LAN2を介して相互に接続される。第4実施形態では、移動受信局R2を用いるため、受信局51とサーバ12との間は無線通信される。このため、サーバ12は無線LANの基地局41を有しており、受信局51は、図26および27に示すように、無線LANの子局40を有する。
【0154】
受信局51はまた、受信局の演算制御を司りROM、RAM等のメモリを内蔵したマイクロコントローラ32と、その内部メモリにあらかじめ格納したソフトウェアにより起動信号を発生する起動信号発生部35と、起動信号を受けて送信局に送信する送信部34と、送信局からの標識信号を受信して受信強度を測定し伝送する受信部33と、受信局との間で信号の送受信に要した時間を測定する時間測定部37と、標識信号を判読するアンチコリジョン判読部36とを有する。第4実施形態において、信号の送受信に要した時間とは、起動信号を生成発信してから、標識信号を受信し判読するまでに要した時間とする。しかし、時間測定部37を送信部34と受信部33の間に配置することによって、実際に起動信号を送信し、標識信号を受信するまでに要した時間を送受信に要した時間とすることも可能である。
【0155】
送信局21は、第2実施形態および第3実施形態と同様である。すなわち、送信局の演算機能を司りROM、RAM等のメモリを内蔵したマイクロコントローラ22と、その内部メモリにあらかじめ格納したソフトウェアにより受信局からの起動信号を受信して伝送する受信部24と、外乱の変化を起動信号として検出して伝送するセンサ26と、起動信号を受けて送信局に個別に割り当てられた固有の標識番号を標識信号として発生する生成部25と、標識信号を前記受信局に送信する送信部23とを備える。送信局21は、受信局51からの起動信号を受信した場合および長周期発信による場合に加え、物理的に移動することによって振動が加えられたときや、環境の変化を検出した場合に、その種類に応じた標識信号を送信する。これにより、必要な場合に標識信号を送信することができ、電池の無駄な消費を防止し、ログファイルを小さくすることができる。センサ26は、第2および第3実施形態と同様に、たとえば倒立振り子を用いた加速度センサ、光センサ、温度センサ、湿度センサなどを組み合わせて実現できる。
【0156】
位置計算機11は、無線LANを介してサーバ12に蓄積されたデータに基づき、第1の補正関係式および第2の補正関係式を用いて、以下に示すアルゴリズムにより送信局の位置を算出する。
<送受信に要する時間の補正アルゴリズム>
図27の例では、送信局T1〜T4の位置は既知である。受信局R1は送信局T1とほぼ同じ位置に固定設置され、その位置を(u1,v1)とする。受信局R2は破線の矢印で示すようにその位置が可変であり、位置算出の便宜上、移動後の位置での受信局をR3、R4とする。したがって、受信局R2のj番目の場所を(uj,vj)とする。送信局T5〜T8の位置は未知でありi番目の送信局の位置を(xi,yi)とする。送信局から受信局まで電磁波で信号を伝送し、受信局jで受信される送信局iの受信強度をeijとする。また、受信局jから送信局iまでの距離はdijとする。距離dijは、式(1)で与えられる。
【0157】
【数66】
まず、第1段階として、受信局の既知の位置情報を用いて、送受信に要する時間の補正を試みる。このとき、送受信に要する時間tijは、空気中を電磁波が伝搬する伝搬時間pij、受信局内での信号の伝搬時間A、送信局内での信号の伝搬時間bとの和になる。
【0158】
【数67】
これらの項目のうち、受信局内での信号の伝搬時間Aは、消費電力の点で高速な受信動作が許容されるため、どの受信局でも一定であるとみなすことができるが、送信局内での信号の伝搬時間bは、起動信号の受信検出回路の構成法により、伝搬の可逆性を考慮して受信強度eijに強い相関を持っていると考えられる。この相関の関係は、起動信号の検出方法によって異なり、多項式を用いた近似式や指数関数を用いた近似式などを適用できる。例えば、受信した起動信号をダイオード検波し、キャパシタを充電して所定の電圧に達したときに起動信号を検出したとみなす場合には、送信局内での信号の伝搬時間bと受信強度eijとの相関関係として、式(7)の指数関数を用いた近似式を仮定することができる。式(7)において、f、g、hの値は補正係数である。
【0159】
【数68】
式(7)を式(6)に代入して、
【0160】
【数69】
送受信局間の距離dijは、空気中を電磁波が伝搬する伝搬時間pijと比例関係にあるため、式(8)より、式(9)が成り立つ。ここでKは比例定数である。
【0161】
【数70】
この場合受信強度eijは、位置が既知である送信局T1〜T4からの信号の受信強度である。未知数はA、f、g、h、Kの5個であるが、Aとfは個別に求めないで1つの未知数B(=A+f)とみなせば、未知数は4個となる。誤差を最小にするこれら未知数の解は、式(14)で示される評価関数qqqを最小化することによって求められる。
【0162】
【数71】
式(14)において、rnはこの段階で位置が既知の受信局の数、tnは位置が既知の送信局の数であり、未知数を全て解くためには、rn×tn≧4が成立すればよい。図27の場合は、それぞれ1(R1)と4(T1〜T4)であり、これらの未知数を全て解くことができる。分かりやすくするために未知数に^印をつけた。式(14)を解くには様々な方法がある。ここでは詳しく述べないが例えば、qqqをそれぞれの変数で偏微分して、それぞれが0になる値をニュートン法等を用いて解くことができる。その他、シンプレツクス法、最急降下法、ニューラルネツトワークを用いる方法等がある。これらにより、補正係数B、g、h、空気中を電磁波が伝搬する伝搬時間pijと送受信局間の距離dijとの比例定数Kを求めることができる。
【0163】
送受信に要する時間tijと距離dijとの関係を、式(14)を使って求めた空気中を電磁波が伝搬する伝搬時間pijと送受信局間の距離dijとの比例定数Kを用いて式(15)のように考える。
【0164】
【数72】
式(15)において、nndijは送受信に要する時間によって導かれる距離である。また、式(3)を解いて、受信局の環境係数Krjおよび補正係数S1、S2を求める。
<受信局の位置を移動させた場合の動作アルゴリズム>
次に、受信局R2をR3に、さらにR3からR4に移動させた場合に、位置が既知である送信局T1〜T4のうち少なくとも3つの送信局の位置を利用して、式(16)で表わされる評価関数hhhhjを最小化することによって、受信局jの移動後の位置(uj,vj)を求めることができる。
【0165】
【数73】
式(16)において、ttnは位置が既知として利用できる送信局の数である。わかりやすくするために未知数に^印をつけた。
【0166】
さらに、移動後の位置における受信局から、未知の位置に設置された送信局iへも起動信号を送信し、少なくとも3ケ所における受信局jの位置(既知の位置の受信局R1および移動中に推定された位置における移動受信局の位置R2,R3…を含む)を利用して、未知の送信局iの位置(xi,yi)を求める。未知の送信局の位置は、式(17)で表わされる評価関数hhhhhiを最小化することで、求めることができる。
【0167】
【数74】
式(17)において、rrnは位置が既知として利用できる受信局の数である。わかりやすくするために未知数に^印をつけた。
<既知の位置に固定された送信局がエリア外になった場合のアルゴリズム>
受信局の移動が進むと、既知の位置に固定された送信局T1〜T4が、順次受信局の通信エリア外になってゆく。このため、先に位置を推定した送信局を、新たに受信局の位置を推定するための送信局として利用する。
【0168】
位置が未知である送信局T5〜T8の位置は、上述したように、第2の補正関係式を用いた送受信に要する時間の補正アルゴリズムと、受信局の移動に従った動作アルゴリズムによって、順次推定することができる。さらに、この推定した位置情報を用いて、第1の補正関係式における送信局iの環境係数Ktiの推定精度を上げることができる。
【0169】
まず、受信局jの環境係数Krjを定義する。この係数は受信局が理想状態に置かれたときから考えてどれだけ感度が変化するかという指標である。同様に送信局iに対しても環境係数Ktiを定義する。
【0170】
受信局の既知の位置情報を用いてフリスの式の補正を試みる。本発明では送信局21と受信局51の間での実測値を用いて、距離と受信強度の関係を推定する。基本的に距離と受信強度は対数関係にあるとして式(2)を仮定する。式(2)において、S1、S2は補正係数である。
【0171】
【数75】
この場合の受信強度eijは、位置がすでに推定された送信局からの信号の受信強度である。誤差を最小にするこれら未知数の解は、式(3)で示される評価関数qを最小化することによって求められる。
【0172】
【数76】
式(3)において、rnは位置が既知の受信局の数、tnは位置が既知の(あるいは推定されて既知となった)送信局の数であり、未知数を全て解くためには、rn×tn≧rn+2が成立すればよい。図27の場合はそれぞれ1と4であり、これらの未知数を全て解くことができる。分かりやすくするために未知数に^印をつけた。
【0173】
式(3)を解くには様々な方法がある。ここでは詳しく述べないが例えば、qをそれぞれの変数で偏微分して、それぞれが0になる値をニュートン法等を用いて解くことができる。その他、シンプレツクス法、最急降下法、ニューラルネツトワークを用いる方法等がある。これらにより、式(2)における未知数Krj、S1、S2を求めることができる。
【0174】
次に送信局の環境係数の求め方について説明する。送信局の送信強度は一定であるが、それぞれの場所によって環境係数が異なり、受信状態が変化する。そこで距離と受信強度の式を、式(3)で求めた受信局の環境係数Krjと補正係数S1、S2を用いて、式(4)のように考える。
【0175】
【数77】
式(4)において、mdijは受信強度によって導かれる距離である。受信局の場合と同様にして、Ktiは式(18)で表わされる評価関数hhhhhhiを最小化することで求めることができる。
【0176】
【数78】
わかりやすくするために、未知数に^印をつけた。ここで、送信局iの位置(xi,yi)は、送受信時間と受信強度の実測値に基づいて式(17)で求めた値を用いる。以上述べた方法で送信局iの環境係数Ktiの推定精度を上げることができる。
【0177】
第4実施形態では、位置計算機11は、
(1)受信強度と送受信時間に基づき、既知の位置情報を用いて、第1および第2の補正関係式における未知数を決定し、
(2)求めた未知数と、既知の位置にある送信局の位置情報を用いて移動中の受信局の途中位置を求め(アルゴリズムA)、
(3)既知または位置を推定した受信局の位置から、新たな通信エリアで未知の送信局の位置を推定する(アルゴリズムB)
という手順を実行する。移動受信局R2の移動につれてその通信可能エリアも移行する。通信可能エリアの移行にしたがってアルゴリズムAとBを繰り返すことにより、移動先において順次送信局の位置と環境係数を算出できる。結果として、広範囲にわたる高精度の位置検出が実現される。
【0178】
位置計算機11が求めた送信局の位置、および移動受信局R2の位置は、サーバ12に記録される。ターゲットの送信局の位置を知るには、ユーザはLAN2を介してサーバ12に位置を知りたい送信局の標識番号(ID)を問い合わせれば、該当する送信局の位置情報を入手できる。
【0179】
第1〜第3実施形態と同様に、受信局が見通しの悪い位置にあるなどして、送信局からの信号を受信できなかった場合、この不可視情報を、拘束条件の中に入れて有効に活用することができる。例えば、送信局T2の信号を、固定受信局R1または移動受信局の移動位置R2、R3では受信できたが、R4では受信できなかった場合、
d21<d24
d22<d24
d23<d24
という拘束条件を付加することによって、不可視データを捨てることなく有効に位置推定に用いることができる。
【0180】
図29は、第4実施形態に係る受信局51の動作の流れを示す。基本的に、固定受信局51a(R1)も移動受信局51b(R2→R3→R4)も同じ動作をし、その内容は、第3実施形態における受信局31の動作と同じである。
【0181】
すなわち、受信局51は起動信号を送信するタイミングになると(S411でYES)、送信局21に対して起動信号を送信する(S412)。そして、送信局から起動信号に応じた標識信号を受信したかどうかを確認する(S413)。標識信号を受信したならば(S413でYES)、標識番号を判読して、起動信号と標識信号の送受信に要した時間を計測する(S414)。さらに、受信した標識信号の強度を計測する(S415)。計測した送受信時間と、受信強度、送信局標識番号,受信局標識番号を、タイムスタンプとともにサーバ12に供給する(タイムスタンプはサーバ12で生成してもよい)。
【0182】
一方、送信局は起動信号を受信した場合のみならず、周期発信された場合や、外部変化を検出した場合も、それぞれ対応する種類の標識番号をつけて信号を送信する。したがって、受信局51は、Type a以外の標識信号を送信局から受信したかどうかを確認する(S417)。Type a以外の標識信号を受信した場合は(S417でYES)、標識番号を判読して、受信信号の強度を計測する(S418)。計測された受信強度、送信局標識番号、受信局標識番号は、タイムスタンプとともにサーバ12に供給される(S419)。
【0183】
図30および31は、第4実施形態における位置計算機11の処理フローを示す。図31は図30から引き続く工程を示す図である。位置計算機11は、サーバ12に蓄積されたデータのタイムスタンプを見て、受信局R2の移動終了に十分な一定時間が経過したか否かを調べる(S431)。これは受信局R2が移動途中のため受信できない送信局もあり得るので、一定のサンプル時間を定義することによって見落としを防止するためである。受信局(R1、R2)から供給されたデータについて、タイムスタンプに基づき、送信局の標識番号の種類ごとに今回のデータを前回のデータと比較し(S432)、一定のサンプル時間が経過後に前回のデータから更新されたものがあるかどうかを調べる(S433)。更新されたデータがある場合には(S433でYES)、既知の位置に設置された受信局R1からのデータのうち、既知の位置に設置された送信局(T1〜T4)のデータを抽出して、式(14)を最小にする補正係数B、g、h、および空気中を電磁波が伝搬する伝搬時間pijと送受信局間の距離dijとの比例定数Kを導出する。さらに、式(3)を最小にする受信局の環境係数Krjと、補正係数S1、S2を導出する(S434)。
【0184】
(A)次に、未知の位置にある受信局R2から供給されたデータのうち、既知の位置に設置された送信局のデータ、あるいは位置が推定済みの送信局のデータを抽出し(S435)、データが更新された送信局について、その標識信号が起動信号に応じて送信されたType aの標識信号であるか否かを判断する(S436)。標識信号がType aの場合(S436でYES)、送受信に要した時間と受信強度に基づき式(16)を解いて、移動中の受信局の位置を算出し、これをサーバ12に記録する。さらに、式(3)を解いて、各位置での受信局の環境係数Krjを算出し、これをサーバ12に記録する(S437)。
【0185】
一方、標識信号がType b〜fの場合(S436でNO)、移動中の受信局の位置を未知数として、式(3)を解いて、受信局の位置と環境係数を算出し、これをサーバ12に記録する(S438)。ステップS435〜438での処理が、上述したアルゴリズム(A)に対応する。
【0186】
(B)次に、既知の位置に設置された受信局R1あるいは位置が推定済みの受信局データ(R2、R3など)から供給されたデータのうち、未知の位置にある送信局のデータを抽出し(S439)、データが更新された送信局について、標識信号がType aの信号であるか否かを判断する(S440)。標識信号がType aの場合(S440でYES)、未知の送信局との間の送受信に要した時間と受信強度に基づき、式(17)を解いて、各送信局の位置を算出し、これをサーバ12に記録する。さらに、式(18)を解いて各送信局の環境係数Ktiを算出し、これをサーバに記録する(S441)。
【0187】
一方、標識信号がType b〜fの場合(S440でNO)、送信局の位置を未知数として式(18)を解いて、各送信局の位置と環境係数を算出し、これをサーバに記録する(S442)。ステップS439〜442での処理が、上述したアルゴリズム(B)に対応する。
【0188】
データが更新されているすべての送信局について(S443でYES)、ステップS435〜S442(すなわちアルゴリズム(A)および(B))を繰り返して行う。算出した送信局の位置を前回の結果と比較し、一定値以上位置が変化したものと(S444でYES)、どの受信局でも受信できなくなったもの(S445でYES)とを抽出する。抽出した送信局のデータをサーバ12に記録した後(S446)、関係がある利用者端末に警告メッセージを送信する(S447)。
【0189】
受信局51からのデータを記録するサーバ12内のデータ構造は、たとえば表7に示すとおりである。
【0190】
【表7】
位置計算機11で計算した結果を保存するデータ構造は、たとえば表8に示すとおりである。
【0191】
【表8】
環境係数は送信局がおかれている環境に依存するため、実際に送信局を探すときには情報として有用である。すなわち、環境係数が大きいと受信局との見通しが悪いことを示すため、送信局は物陰にある場合が多い。逆に環境係数が小さい場合は見通しが良い場所にあることになる。これらの情報を警報に付加して送れば送信局を見つけだすときに非常に有用である。
【0192】
利用者端末は、第1〜第3実施例と同様に、2種類の動作をする。1つは位置計算機11から警報メッセージを受信する機能、もう1つは、検索機能である。ユーザがある送信局の情報を得たいときに、その送信局の標識番号(ID)を利用者端末に入力する。入力端末はこの標識番号をサーバに送信し、該当する送信局の標識番号について保存されている履歴、すなわちタイムスタンプ、位置情報、送信局の環境係数を検索し、端末に表示する。
【0193】
ユーザは、タイムスタンプで記述された時間の位置情報、これらの履歴を知ることができる。さらに、送信局の環境係数を見ることによって、その送信局が見通しの良い場所にあるか否かを知ることができる。また、一定時間の履歴を見ることによっていつ外乱あるいは起動信号を加えられたかも知ることができる。
【0194】
このように、第4実施形態では、単一の固定受信局と、単一の移動受信局を用いて、広範囲にわたる高精度の位置検出が可能となる。たとえば、4つの既知の位置にある送信局と、1つの既知の位置にある受信局の位置情報を用い、もうひとつの移動受信局を移動させる。既知の位置にある送信局の位置情報、既知の位置にある受信局の位置情報、実測された受信強度、送受信に要する時間から、第1および第2の補正関係式の未知数を決定し、(A)少なくとも3つの既知または位置が推定済みの送信局の位置情報から、未知の位置にある移動受信局の位置を推定し、(B)少なくとも3つの既知または推定された受信局の位置情報から、未知の位置にある送信局の位置を推定する。(A)と(B)
を繰り返すことによって、未知の送信局の位置座標を算出することができる。
【0195】
第4実施形態のシステムの適用として、たとえば、固定受信局51aをゲートとし、移動受信局51bを、掃除機など所定範囲を移動する物体に添着しておく構成が考えられる。
【0196】
なお、第4実施形態では、固定受信局を単一としたが、2つ以上の固定受信局と、移動受信局とを組み合わせてもよい。この場合も、固定受信局の数をrn、位置が既知の送信局の数をtnとしたときに、rn×tn≧4かつrn×tn≧rn+2を満たせばよい。固定受信局を2つ用いた場合は、位置が既知の送信局の数は2つでよいことになる。
[第5実施形態]
図32は、本発明の第5実施形態にかかる位置検出システムの構成図、図33は、第5実施形態で用いる送信局21と受信局51の構成を示す図である。第5実施形態では、第4実施形態と異なり、固定された受信局を用いることなく、単一の移動受信局で送信局の位置推定を可能にする。
【0197】
図32に示すように、第5実施形態の位置検出システムは、移動可能な単一の受信局51と、送信局21(T1〜T10)と、サーバ12と、位置計算機11と、利用者端末3を含む。位置計算機11、サーバ12、および利用者端末3は、LAN2を介して相互接続される。第5実施形態では、単一の移動受信局51を用いるため、受信局51とサーバ12との間は無線通信される。このため、サーバ12は無線LANの基地局41を有しており、受信局51は無線LANの子局40を有する。
【0198】
受信局51はまた、図33に示すように、受信局の演算制御を司りROM、RAM等のメモリを内蔵したマイクロコントローラ32と、その内部メモリにあらかじめ格納したソフトウェアにより起動信号を発生する起動信号発生部35と、起動信号を受けて送信局に送信する送信部34と、送信局からの標識信号を受信して受信強度を測定し伝送する受信部33と、標識信号を判読するアンチコリジョン判読部36と、起動信号と標識信号の送受信に要した時間を測定する時間測定部37とを有する。第5実施形態では、起動信号を発生してから標識信号を受信し、標識番号を判読するまでに要した時間を、送受信に要した時間とする。しかし、時間測定部37を送信部34と受信部33の間に配置する場合は、起動信号を送信し、標識信号を受信するまでに要した時間を送受信時間とすることも可能である。
【0199】
送信局21は、第2〜第4実施形態の送信局と同様の構成である。すなわち、送信局の演算機能を司りROM、RAM等のメモリを内蔵したマイクロコントローラ22と、その内部メモリにあらかじめ格納したソフトウェアにより受信局からの起動信号を受信して伝送する受信部24と、外乱の変化を起動信号として検出して伝送するセンサ26と、起動信号を受けて送信局に個別に割り当てられた固有の標識番号を標識信号として発生する生成部25と、標識信号を前記受信局に送信する送信部23とを備える。送信局21は、受信局51からの起動信号を受信した場合と、長周期発信による場合に加え、物理的に移動することによって振動が加えられたときや、環境の変化を検出した場合に、その種類に応じた標識信号を送信する。これにより、必要な場合に標識信号を送信することができ、電池の無駄な消費を防止し、ログファイルを小さくすることができる。センサ26は、第2〜第4実施形態と同様に、たとえば倒立振り子を用いた加速度センサ、光センサ、温度センサ、湿度センサなどを組み合わせて実現できる。
【0200】
位置計算機11は、無線LANを介して単一の移動受信局51からサーバ12に供給されたデータに基づき、以下に示すアルゴリズムにより送信局の位置を算出する。
<送受信に要する時間の補正アルゴリズム>
図32に示す例において、送信局T1〜T7の位置は既知である。単一の移動受信局51は、破線で示すようにR1→R2→R3→R4と移動する。受信局の位置R1を(u1,v1)とし、j番目の位置を(uj,vj)とする。送信局T8〜T10の位置は未知でありi番目の送信局の位置を(xi,yi)とする。送信局から受信局まで電磁波で信号を伝送し、受信局jで受信される送信局iの受信強度をeijとする。また、受信局jから送信局iまでの距離はdijとする。距離dijは式(1)で与えられる。
【0201】
【数79】
まず、送信局の既知の位置情報を用いて、送受信に要する時間の補正を試みる。受信局で実測される送受信に要した時間tijは、空気中を電磁波が伝搬する伝搬時間pij、受信局内での信号の伝搬時間A、送信局内での信号の伝搬時間bとの和になる。
【0202】
【数80】
これらの項目のうち、受信局内での信号の伝搬時間Aは、消費電力の点で高速な受信動作が許容されるため、どの受信局でも一定であるとみなすことができるが、送信局内での信号の伝搬時間bは、起動信号の受信検出回路の構成法により、伝搬の可逆性を考慮して受信強度eijに強い相関を持っていると考えられる。この相関の関係は、起動信号の検出方法によって異なり、多項式を用いた近似式や指数関数を用いた近似式などを適用できる。例えば、受信した起動信号をダイオード検波し、キャパシタを充電して所定の電圧に達したときに起動信号を検出したとみなす場合には、送信局内での信号の伝搬時間bと受信強度eijとの相関関係として、式(7)の指数関数を用いた近似式を仮定することができる。式(7)において、f、g、hの値は補正係数である。
【0203】
【数81】
式(7)を式(6)に代入して、
【0204】
【数82】
送受信局間の距離dijは、空気中を電磁波が伝搬する伝搬時間pijと比例関係にあるため、式(8)より、式(19)が成り立つ。ここで、Kは比例定数である。
【0205】
【数83】
この場合の信強度eijは、位置が既知である送信局T1〜T7からの信号の受信強度である。未知数はA、f、g、h、K、uj、vjの7個であるが、Aとfは個別に求めないで1つの未知数B(=A+f)とみなせば、未知数の数は6個となる。誤差を最小にするこれら未知数の解は、式(20)で示される評価関数qqqqを最小化することによって求められる。
【0206】
【数84】
式(20)において、rnは受信局の数、tnは位置が既知の送信局の数であり、未知数を全て解くためには、rn×tn≧3×rn+4が成立すればよい。図30の場合はそれぞれ1と7(T1〜T7)であり、これらの未知数を全て解くことができる。分かりやすくするために未知数に^印をつけた。式(20)を解くには様々な方法がある。ここでは詳しく述べないが例えば、qqqqをそれぞれの変数で偏微分して、それぞれが0になる値をニュートン法等を用いて解くことができる。その他、シンプレツクス法、最急降下法、ニューラルネツトワークを用いる方法等がある。これらの方法により、補正係数B、g、h、空気中を電磁波が伝搬する伝搬時間pijと送受信局間の距離dijとの比例定数K、および受信局jの推定位置(uj,vj)を求めることができる。
【0207】
以上より、送受信に要する時間tijと距離dijの式を、式(20)を使って求めた空気中を電磁波が伝搬する伝搬時間pijと、送受信局間の距離dijとの比例定数Kを用いて、式(21)のように考える。
【0208】
【数85】
式(21)においてnnndijは送受信に要する時間によって導かれる距離である。したがって、式(20)で求められたK,B,g、hの値と、位置が求められた受信局で実測された信号強度および送受信時間に基づいて、以下で述べるように、未知の送信局の位置を算出することができる。
<受信局の位置を移動させた場合の動作アルゴリズム>
式(20)を用いて、受信局51をR1からR2に、R2からR3に移動させた場合に、位置が既知である送信局T1〜T7の送信局の位置を利用して、それぞれの受信局jの推定位置(uj,vj)を求めることができる。
【0209】
このとき受信局51は、移動後の位置から未知の位置に設置された送信局iに対しても起動信号を送信する。そこで、少なくとも3つの受信局jの推定位置を利用して、式(22)で表わされる評価関数hhhhhhhiを最小化することで、送信局iの位置(xi,yi)を求めることができる。
【0210】
【数86】
式(22)において、rrrnは位置がすでに推定され、既知として利用できる受信局の位置の数である。わかりやすくするために、未知数に^印をつけた。
<既知の位置に設置して固定された送信局がエリア外になった場合の動作アルゴリズム>
受信局の移動が進むと、既知の位置に設置して固定された送信局T1〜T7がエリア外になる。このため、位置を推定した送信局を、新たに受信局の位置を推定するための送信局として利用する。位置が未知である送信局T8〜T10の位置は、上述した送受信に要する時間の補正アルゴリズムと、受信局の移動に従った動作アルゴリズムによって、順次推定できる。
【0211】
さらに、この推定した位置情報を用いて、ターゲットである送信局iの環境係数Ktiの推定精度を上げることができる。すなわち、受信局jの環境係数Krjを定義する。この係数は受信局が理想状態に置かれたときから考えてどれだけ感度が変化するかという指標である。同様に送信局iに対しても環境係数Ktiを定義する。
【0212】
まず、位置が推定された受信局の位置情報を用いてフリスの式の補正を試みる。本発明では送信局と受信局との間の実測値を用いて、距離と受信強度の関係を推定する。基本的に距離と受信強度は対数関係にあるとして、式(2)を仮定する。式(2)において、S1、S2は補正係数である。
【0213】
【数87】
この場合の受信強度eijは、位置が既知である送信局T1〜T7からの信号の受信強度である。誤差を最小にするこれら未知数の解は、式(3)で示される評価関数qを最小化することによって求められる。
【0214】
【数88】
式(3)において、rnは受信局の数、tnは位置が既知の送信局の数であり、未知数を全て解くためには、rn×tn≧rn+2が成立すればよい。図30の場合はそれぞれ1と7であり、これらの未知数を全て解くことができる。わかりやすくするために未知数に^印をつけた。式(3)を解くには様々な方法がある。ここでは詳しく述べないが例えば、qをそれぞれの変数で偏微分して、それぞれがOになる値をニュートン法等を用いて解くことができる。その他、シンプレツクス法、最急降下法、ニューラルネツトワークを用いる方法等がある。これらにより、式(2)の未知数である受信局の環境係数Krjと補正係数S1、S2を求めることができる。
【0215】
次に、送信局の環境係数の求め方について説明する。送信局の送信強度は一定であるが、それぞれの場所によって環境係数が異なり受信状態が変化する。そこで距離と受信強度の式を、式(3)を使って求めた受信局の環境係数Krjと補正係数S1、S2を用いて、式(4)のように考える。
【0216】
【数89】
式(4)において、mdijは受信強度によって導かれる距離である。受信局の場合と同様にして、Ktiは式(23)で表わされる評価関数hhhhhhhhiを最小化することで求めることができる。
【0217】
【数90】
わかりやすくするために、未知数に^印をつけた。ここで、送信局iの位置(xi,yi)は、送受信時間と受信強度の実測値に基づいて式(22)で求めた値を用いる。以上述べた方法で送信局iの環境係数Ktiの推定精度を上げることができる。
【0218】
なお、第1〜第4実施形態と同様に、送信局からの信号を受信できなかった場合、たとえば、送信局T2からの信号を受信局の位置R1、R2、R3では受信できたがR4では受信できなかった場合は、
d21<d24
d22<d24
d23<d24
という拘束条件を付加することによって、不可視データを捨てることなく有効に位置推定に用いることができる。
【0219】
図34および35は、第5実施形態に係る位置計算機11の処理フローを示す。図35は図34に引き続く工程を示す図である。まず位置計算機11は、サーバ12に蓄積されたデータのタイムスタンプを見て、受信局が移動するのに十分な一定時間が経過したかどうかを調べる(S531)。受信局の移動途中では信号を受信できない送信局があり得るので、一定のサンプル時間を定義することによって見落としを防止するためである。一定時間経過したならば(S531でYES)、移動受信局から供給されたデータのうち、標識番号の種類ごとに、今回の送信局のデータを前回のデータと比較し(S532)、前回のデータに対して一定のサンプル時間が経過し内容が更新されたデータがあるかどうかを確認する(S533)。更新されたデータがあれば(S533でYES)、未知の位置に設置されている受信局R1から供給されたデータのうち、既知の位置に設置された送信局(たとえばT1〜T7)に関するデータを抽出して、式(20)を最小にする補正係数B、g、h、空気中を電磁波が伝搬する伝搬時間pijと送受信局間の距離dijとの比例定数K(K=pij/dij)を求める。また、式(3)を最小にする受信局の環境係数Krjと、補正係数S1、S2を導出する(S534)。
(A)次に、未知の位置に設置された受信局R1からのデータのうち、既知の位置に設置された送信局あるいは位置が推定済みの送信局のデータを抽出する(S535)。抽出したデータの中から、データが更新されている送信局について、標識信号がType aの信号か否かを判断する(S536)。標識信号がType aであれば(S536でYES)、式(20)を解いて、未知の受信局の位置を算出し、これをサーバ12に記録する。さらに、式(3)を解いて、受信局の環境係数Krjを算出し、これをサーバ12に記録する(S537)。
【0220】
一方、送信局からの標識信号がType b〜fの場合(S536でNO)、送受信時間に関する情報がないので、受信局の位置も未知数として式(3)を解いて、受信局の位置と環境係数を算出し、これをサーバ12に記録する(S538)。
(B)次に、位置が推定された受信局からのデータのうち、未知の位置に設置された送信局のデータを抽出する(S539)。抽出したデータの中で、データが更新されている送信局について、標識信号がType aか否かを判断する(S540)。標識信号がType aならば(S540でYES)、式(22)を解いて、各送信局の位置を算出し、これをサーバ12に記録する。さらに、式(23)を解いて、各送信局の環境係数Ktiを算出し、これをサーバ12に記録する(S541)。
【0221】
一方、標識信号がType b〜fの場合(S540でNO)、送信局の位置も未知数として式(23)を解いて、各送信局の位置と環境係数を算出し、これをサーバ12に記録する(S542)。
【0222】
データが更新されているすべての送信局について(S543でYES)、上述したアルゴリズム(A)と(B)を繰り返す。すべての更新されたデータについて処理が終わると(S543でNO)、算出した位置を前回の結果と比較し、一定値以上位置が変化したもの(S544でYES)と、どの受信局でも受信できなくなったもの(S545でYES)とを抽出する。次に、抽出された送信局のデータをサーバ12に記録した後(S546)、関係がある利用者端末に警告メッセージを送信する(S547)。
【0223】
移動受信局51から供給されるデータを記録するサーバ12内のデータ構造は、たとえば表9に示すとおりである。
【0224】
【表9】
位置計算機11で計算した結果を保存するデータ構造は、たとえば表10に示すとおりである。
【0225】
【表10】
環境係数は送信局がおかれている環境に依存するため、実際に送信局を探すときには情報として有用である。すなわち、環境係数が大きいと受信局との見通しが悪いことを示すため、送信局は物陰にある場合が多い。逆に環境係数が小さい場合は見通しが良い場所にあることになる。これらの情報を警報に付加して送れば送信局を見つけだすときに非常に有用である。
【0226】
利用者端末は、第1〜第4実施例と同様に、2種類の動作をする。1つは位置計算機11から警報メッセージを受信する機能、もう1つは、検索機能である。ユーザがある送信局の情報を得たいときに、その送信局の標識番号(ID)を利用者端末に入力する。入力端末はこの標識番号をサーバに送信し、該当する送信局の標識番号について保存されている履歴、すなわちタイムスタンプ、位置情報、送信局の環境係数を検索し、端末に表示する。
【0227】
ユーザは、タイムスタンプで記述された時間の位置情報、これらの履歴を知ることができる。さらに、送信局の環境係数を見ることによって、その送信局が見通しの良い場所にあるか否かを知ることができる。また、一定時間の履歴を見ることによっていつ外乱あるいは起動信号を加えられたかも知ることができる。
【0228】
このように、第5実施形態によれば、単一の移動受信局を用いて、広範囲にわたって従来にない高精度な送信局の位置推定が可能になる。受信局を固定して設置すると、多くの受信局が必要となり、設置コストが高くなるが、第5実施形態では、受信局の設置コストおよび維持管理コストを大幅に低減できる。
【0229】
従来のシステムで受信局を移動させると、送信局の所在は確認できるが位置座標が獲得できない。これに対し、第5実施形態のシステムでは、7つの既知の位置にある送信局の位置情報を用い、単一の受信局を移動させ、(A)少なくとも3つの既知または推定した位置の送信局の情報に基づいて、未知の位置の受信局位置を推定することができる。さらに(B)受信局の移動につれて受信局の推定位置が増えると、3つ以上の既知または推定した受信局位置の情報に基づいて、未知の送信局の位置を推定することができる。(A)と(B)を繰り返すことによって、未知の送信局の位置情報を獲得できる。
【0230】
さらに、環境係数を求めることができるので、送信局を探す有効な情報として、より高精度な位置検出を可能にする。
【0231】
第5実施形態の適用例として、単一の受信機を、たとえば掃除機のように特定の領域を定期的に移動する可動物に装着することによって、位置検出システムを機能させることができる。この場合、可動物の移動に伴って、特定の管理対象領域の全体を、定期的に自動チェックすることが可能になる。広範な領域で物品や資産を管理する場合でも、受信局を多数設ける必要がないので、システム全体のコスト上昇を抑制でき、非常に効率的かつ経済的である。
[その他の実施形態]
以上、良好な実施形態に基づいて本発明を説明してきたが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、当業者にとってなし得る変形、変更、代替などもすべて含む。たとえば、位置検出の対象は、タグとしての送信局に限定されるわけではなく、信号を発信できる任意の形態を取り得る。また、送信局は送信機能を有するものに限定されず、携帯電話などの送受信機の送信機能を利用するものであってもよい。この場合、特定人の位置を検出することが可能になる。さらに、送信局と受信局の双方が送受信機能を持つ構成としてもよい。
【0232】
第2〜第5実施形態において、送信局に送信を開始させるための起動信号を受信局から送信していたが、起動信号を遠隔地の大電力の無線基地局から送信する構成としてもよい。この場合、起動信号を同報送信し、多数の送信局からのデータ情報を遠隔操作により入手することもできる。これにより、人的作業の省力化によるデータ収集効率を向上するとともに、受信局の起動信号発生部を省略することができる。
【0233】
受信局とサーバ(データ管理部)の接続は、有線であっても無線であってもよいが、第4および第5実施形態のように移動受信局を用いる場合は、無線LANなどの無線通信ネットワークを利用するのが望ましい。この場合、複数のフロアあるいは複数のビルにわたって物品を管理するような場合であっても、1つのシステムで全体を管理することが可能になる。さらに、サーバ(データ管理部)に利用者端末を有線または無線で接続してもよい。無線接続とした場合、ユーザは端末から特定したい物品の標識番号を入力するだけで、データ管理部を介して位置計算機に送信局の位置を特定させることができる。
【0234】
また、第1〜第5実施形態において、第1の補正関係式として、
【0235】
【数91】
を用いたが、補正係数S1、S2のみを用いもよい。この場合、第1の補正関係式は式(2)’で表される。
【0236】
【数92】
さらに送信局に対する第1の補正関係式として、式(2)’または以下の式(2)’’を用いることができる。
【0237】
【数93】
受信局と送信局の双方に式(2)’の補正関係式を用いる場合は、位置情報を得るにあたって、実施形態で説明した式(4)および(5)に代えて、式(4)’を用いて式(5)’の評価関数を求めることができる。
【0238】
【数94】
受信局に対して式(2)’を用い、送信局に対して式(2)’’を用いる場合は、位置情報を得るにあたって、式(4)’’を用いて式(5)’’の評価関数を求めることができる。
【0239】
【数95】
受信局に対して式(2)を用い、送信局に対して式(2)’を用いる場合は、位置情報を得るにあたって、式(4)’’’を用いて式(5)’’’の評価関数を求めることができる。
【0240】
【数96】
式(2)’の補正関係式を用いる場合、すなわち補正係数S1、S2のみを用いる場合に位置が既知の送信局がない(tn=0)ときは、位置が既知の受信局の数rnは、rn≧5である必要がある。逆に、位置が既知の受信局がない(rn=0)場合は、位置が既知の送信局の数tnは、tn≧5である必要がある。
【0241】
式(2)’’の補正関係式を用いる場合、すなわち送信局の環境係数Ktiを用いる場合に位置が既知の送信局がない(tn=0)ときは、rn≧6を満たす必要がある。逆に位置が既知の受信局がない(rn=0)ときは、tn≧6を満たす必要がある。
【0242】
第4実施形態および第5実施形態では、初期状態で、位置が既知の送信局の数が、位置が既知の受信局よりも多い場合を例にとって説明した。このため、補正関係式における未知数を決定した後に、まず受信局の位置を推定してから送信局の位置を推定し、さらに次の受信局の位置を推定するアルゴリズムを繰り返す例を説明した。しかし、場合によっては、位置が既知の受信局の数のほうが多くなる状況もあり得る。この場合は、補正関係式を決定した後で、まず送信局の位置を推定し、推定された位置情報を用いて、未知の受信局の位置を推定し、さらに次の送信局の位置を推定するというアルゴリズムを繰り返すことになる。
【0243】
前者の場合、すなわち補正関係式の決定後に、まず受信局の位置を推定する場合は、
(1)既知の位置(ui,vi)に設置された少なくともひとつの送信局iから送信され、第1の未知の位置(xj,yj)にある受信局jで受信された信号の受信強度(eij)と、前記既知の位置に設置された送信局iの位置情報と、送信局iと受信局jとの間の距離(dij)を用いて、第1の補正関係式として第1の近似関数
【0244】
【数97】
を決定して第1の未知の位置にある受信局jの位置(uj,vj)を推定し、
(2)未知の位置(xi,yi)に設置された送信局iから送信され、既知あるいは推定された位置にある受信局jで受信された信号の受信強度(eij)と、既知あるいは推定された受信局jの位置情報(uj,vj)と、決定した第1の補正関係式を用いて、第2の近似関数
【0245】
【数98】
から、未知の位置に設置された送信局iの位置情報(ui,vi)を推定し、
(3)既知あるいは推定した位置(ui,vi)に設置された送信局iから送信され、第2の未知の位置(xj,yj)にある受信局jで受信された信号の受信強度(eij)と、既知または推定された位置に設置された送信局の位置情報と、第1の補正関係式を用いて、第3の近似関数
【0246】
【数99】
から、第2の未知の位置にある受信局jの位置(uj,vj)を推定する。工程(2)と(3)を繰り返すことにより、順次受信局と送信局の位置を求めることができる。
【0247】
後者の場合、すなわち補正関係式の決定後に、まず送信局の位置を推定する場合は、
(1)第1の未知の位置(xi,yi)に設置された送信局iから送信され、既知の位置(uj,vj)にある少なくともひとつの受信局jで受信された信号の受信強度(eij)と、受信局jの位置情報と、送信局iと受信局jとの間の距離(dij)を用いて、第1の補正関係式として第1の近似関数
【0248】
【数100】
を決定して、前記第1の未知の位置に設置された送信局iの位置(ui,vi)を推定し、
(2)既知あるいは推定した位置(ui,vi)に設置された送信局iから送信され、未知の位置(xj,yj)にある受信局jで受信された信号の受信強度(eij)と、既知あるいは推定した位置に設置された送信局iの位置情報(ui,vi)と、決定した第1の補正関係式とを用いて、第2の近似関数
【0249】
【数101】
から、未知の位置にある受信局jの位置(uj,vj)を推定し、
(3)第2の未知の位置(xi,yi)に設置された送信局iから送信され、既知あるいは推定した位置(uj,vj)にある受信局jで受信された信号の受信強度(eij)と、前記既知あるいは推定した位置にある受信局jの位置情報と、前記決定した第1の補正関係式とを用いて、第3の近似関数
【0250】
【数102】
から、前記第2の未知の位置に設置された送信局iの位置(ui,vi)を推定する。この場合も工程(2)と(3)を繰り返すことにより、順次送信局と受信局の位置を求めることができる。
【0251】
同様のことが、信号伝搬時間に関する第2の補正関係式を用いる場合にも当てはまる。すなわち、第4および第5実施形態では、補正関係式の未知数の決定後に、複数の既知の送信局の位置情報に基づいて、まず未知の受信局の位置を決定した。しかし、初期状態で既知または推定された受信局の位置情報のほうが多い場合は、未知数決定後に、まず未知の送信局の位置を推定することとしてもよい。
【0252】
前者の場合は、
(1)少なくとも1つの既知の位置(ui,vi)に設置された送信局iから送信され、第1の未知の位置(xj,yj)にある受信局jで受信された信号の受信強度(eij)と、信号の送受信に要した時間(tij)と、既知の位置に設置された送信局iの位置情報と、送信局iと受信局jの間の距離と、送受信に要する時間(tij)と、送受信局間の距離、空気中を信号が伝搬する伝搬時間(pij)を用いて、第2の補正関係式として、第1の近似関数
【0253】
【数103】
および比例定数Kを決定して、第1の未知の位置にある受信局jの位置(uj,vj)を推定し、
(2)未知の位置(xj,yj)に設置された送信局iから送信され、既知あるいは推定した位置に設置された受信局jで受信された信号の受信強度(eij)と、受信局jの位置情報(uj,vj)と、送受信に要した時間(tij)と、第2の補正関係式を用いて、第2の近似関数
【0254】
【数104】
から、送信局iの位置(ui,vi)を推定し、
(3)既知あるいは推定した位置に設置された送信局iから送信され、第2の未知の位置(xj,yj)にある受信局jで受信された信号の強度(eij)、送信局iの位置情報(ui,vi)、送受信に要する時間(tij)、第2の補正関係式を用いて、第3の近似関数
【0255】
【数105】
から、第2の未知の位置にある受信局jの位置(uj,vj)を推定する。工程(2)と(3)を繰り返すことにより、送受信時間に基づいて、順次送信局と受信局の位置を求めることができる。
【0256】
後者の場合は、
(1)第1の未知の位置(xi,yi)に設置された送信局iから送信され、少なくとも1つの既知の位置(uj,vj)にある受信局jで受信された信号の受信強度(eij)と、既知の位置にある受信局jの位置情報と、送受信に要した時間(tij)と、送信局iと受信局jとの距離と、空気中を信号が伝搬する伝搬時間(pij)とを用い、第2の補正関係式として、第1の近似関数
【0257】
【数106】
および比例係数Kを決定して、第1の未知の位置に設置された送信局iの位置(ui,vi)を推定し、
(2)既知あるいは推定した位置(ui,vi)に設置された送信局iから送信され、未知の位置(xj,yj)にある受信局jで受信された信号の受信強度(eij)と、送信局iの位置情報と、送受信に要した時間(tij)と、決定した第2の補正関係式とを用いて、第2の近似関数
【0258】
【数107】
から、未知の位置にある受信局jの位置(uj,vj)を推定し、
(3)第2の未知の位置(xi,yi)に設置された送信局iから送信され、既知あるいは推定した位置(uj,vj)にある受信局jで受信された信号の受信強度(eij)と、既知あるいは推定した位置の受信局jの位置情報と、送受信に要した時間(tij)と、決定した第2の補正関係式とを用いて、第3の近似関数
【0259】
【数108】
から、第2の未知の位置に設置された送信局iの位置(ui,vi)を推定する。工程(2)と(3)を繰り返すことにより、順次送信局と受信局の位置を求めることができる。
【0260】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、広範囲にわたって複数の送信局の位置を高い精度でほぼ同時に推定することが可能になる。
【0261】
また、送信局が置かれている環境を把握することによって、屋内にあっても伝播状況を考慮した高精度の位置推定が可能になる。
【0262】
さらに、起動信号と外部の変化を探知するセンサの少なくとも一方を用いることにより、位置情報が必要な時に正確な位置情報の入手が可能になる。
【0263】
さらに、位置を特定するために、少なくとも3つ以上の基地局(あるいは受信局)を固定する必要がないので、受信局の数を低減することができる。
【0264】
さらに、固定基地局の受信エリア外に出た送信局の位置も精度よく特定することができる。
【0265】
本発明の位置検出システムおよび方法を用いることにより、倉庫や事務所内にある任意の資産について、その存在の有無と存在位置の双方を効率よく、かつ高い精度で管理することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のゲート式パッシブタグシステムを示す図である。
【図2】従来のアクティブタグシステムを示す図である。
【図3】時刻情報を用いた従来の位置検出システムの構成を示す図である。
【図4】受信強度を用いた従来の位置検出システムの構成を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る位置検出システムの構成を示す図である。
【図6】第1実施形態で用いられる送信局と受信局の構成例を示す図である。
【図7】図6の送信局で用いられるモーションセンサの例を示す図である。
【図8】第1実施形態で用いられる位置検出システムの動作フローを示す図である。
【図9】第1実施形態の位置検出システムを用いて送信局の位置を検出した検出結果を示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る位置検出システムの構成を示す図である。
【図11】第2実施形態で用いられる送信局と受信局の構成例を示す図である。
【図12】第2実施形態で用いられる送信局の動作フローを示す図である。
【図13】第2実施形態で用いられる受信局の動作フローを示す図である。
【図14】第2実施形態で用いられる位置計算機の動作フローを示す図である。
【図15】第2実施形態に係る位置検出システムの変形例1を示す図である。
【図16】図15の変形例1における送信局と受信局の構成例を示す図である。
【図17】第2実施形態に係る位置検出システムの変形例2を示す図である。
【図18】変形例2における送信局と受信局の構成例を示す図である。
【図19】変形例2における位置計算機の動作フローを示す図である。
【図20】第2実施形態に係る位置検出システムの変形例3を示す図である。
【図21】変形例3における送信局と受信局の構成例を示す図である。
【図22】本発明の第3実施形態に係る位置検出システムの構成を示す図である。
【図23】第3実施形態で用いられる送信局と受信局の構成例を示す図である。
【図24】第3実施形態で用いられる受信局の動作フローを示す図である。
【図25】第3実施形態で用いられる位置計算機の処理フローの第1部分を示す図である。
【図26】第3実施形態で用いられる位置計算機の処理フローの第2部分を示す図であり、図25の処理に引き続く処理を示す図である。
【図27】本発明の第4実施形態に係る位置検出システムの構成を示す図である。
【図28】第4実施形態で用いられる送信局と受信局の構成例を示す図である。
【図29】第4実施形態で用いられる受信局の動作フローを示す図である。
【図30】第4実施形態で用いられる位置計算機の処理フローの第1部分を示す図である。
【図31】第4実施形態で用いられる位置計算機の処理フローの第2部分を示す図であり、図30の処理に引き続く処理を示す図である。
【図32】本発明の第5の実施形態に係る位置検出システムの構成を示す図である。
【図33】第5実施形態で用いられる送信局と受信局の構成例を示す図である。
【図34】第5実施形態で用いられる位置計算機の処理フローの第1部分を示す図である。
【図35】第5実施形態で用いられる位置計算機の処理フローの第2部分を示す図であり、図34の処理に引き続く処理を示す図である。
【符号の説明】
1 位置検出システム
2 LAN
3 利用者端末
11 位置計算機
12 サーバ(データ管理部)
13 モーションセンサ
21 送信局
23 送信部
25 標識信号発生部
26 センサ
31 受信局
35 起動信号発生部
36 アンチコリジョン判読部
51a 固定設置受信局
51b 移動受信局
Claims (11)
- 送信局を特定するための固有の標識番号を含む標識信号を送信する位置が未知である送信局と、
別の送信局を特定するための別の固有の標識番号を含む標識信号を送信する位置が既知である送信局と、
前記位置が既知である送信局と隣接して位置する受信局であって、前記位置が未知および既知である送信局から送信された前記標識信号を受信しそれぞれの受信強度を求める手段と、前記各々の標識番号を判読する手段と、前記位置が既知である送信局の前記受信電界強度と位置情報とから距離と受信電界強度の関係を推定する手段とを有する受信局と、
前記受信局から供給される受信強度および対応する標識番号をそれぞれ関連付けて格納し管理するデータ管理部と、
前記データ管理部で管理されるデータを用いて、前記位置が未知の送信局の位置を計算する位置計算機と、から構成され、
i番目の送信局の位置を(xi, yi)、j番目の受信局の位置を(uj, vj)、前記j番目の受信局で受信されたi番目の送信局からの信号の強度をeijとすると、前記i番目の送信局からj番目の受信局までの距離dij
前記位置計算機は、補正係数S1およびS2を用いた第1の補正関係式
ことを特徴とする位置検出システム。 - 請求項1に記載の位置検出システムにおいて、前記位置が未知および既知の送信局の各々は、外部から受ける変化を探知するセンサと、前記受信局から送られる起動信号を受信する受信部と、標識信号発生部とを有し、前記標識信号発生部は、
前回の送信から一定時間経過した時点で前記標識信号を送信する場合には、周期的な送信であることを表す標識番号を含む第1の標識信号を生成し、
前記受信局からの起動信号を受信したことに応じて前記標識信号を送信する場合には、起動信号に応答することを表す標識番号を含む第2の標識信号を生成し、
前記センサが前記変化を探知したときに前記標識信号を送信する場合には、変化の検出を表す標識番号を含む第3の標識信号を生成する
ことを特徴とする。 - 請求項1に記載の位置検出システムにおいて、前記標識信号は、電磁波または音波により送信されることを特徴とする。
- 請求項1に記載の位置検出システムにおいて、前記i番目の送信局から送信された標識信号の強度が、前記j番目の受信局において測定され、m番目の受信局では当該標識信号の強度が測定不能であった場合に、前記位置計算機は、前記i番目の送信局からj番目の受信局までの距離dijと、前記i番目の送信局からm番目の受信局までの距離dimについて、dij<dimという拘束条件を加えて前記第1の補正関係式を解くことを特徴とする。
- 位置が既知の送信局から送信され当該位置が既知の送信局を特定するための固有の標識番号を含む標識信号と、位置が未知の送信局から送信され当該位置が未知の送信局を特定するための固有の標識番号を含む標識信号とを受信局で受信するステップと、
前記受信局において、前記位置が既知の送信局および位置が未知の送信局からそれぞれ送信された標識信号の受信強度を測定するステップと、
任意の信号の受信強度と距離との関係を、補正係数を含む第1の補正関係式であらかじめ定義するステップと、
前記位置が既知の送信局からの標識信号の受信強度と、前記位置が既知の送信局の位置情報とから、前記補正係数を決定し、決定された補正係数を含む前記第1の補正関係式と前記位置が未知の送信局からの標識信号の受信強度を用いて、前記位置が未知の送信局の位置を求めるステップと
を含み、
前記第1の補正関係式は、
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