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JP3998002B2 - ハイブリッド自動車およびその制御方法 - Google Patents

ハイブリッド自動車およびその制御方法 Download PDF

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JP3998002B2 JP2004125947A JP2004125947A JP3998002B2 JP 3998002 B2 JP3998002 B2 JP 3998002B2 JP 2004125947 A JP2004125947 A JP 2004125947A JP 2004125947 A JP2004125947 A JP 2004125947A JP 3998002 B2 JP3998002 B2 JP 3998002B2
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Description

本発明は、ハイブリッド自動車およびその制御方法に関する。
従来、この種のハイブリッド自動車としては、遊星歯車機構のキャリア,サンギヤ,リングギヤにそれぞれエンジン,ジェネレータ,駆動軸が接続されると共に駆動軸にモータが接続され、ジェネレータおよびモータと電力をやり取りするバッテリが設けられたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この自動車では、アクセルペダルの操作量に応じて車両に要求される出力とエンジンの効率が最も高くなる動作ラインとの交点におけるポイント(回転数とトルク)をエンジンの動作点として設定して制御することにより、車両を効率よく運転することができるとしている。
特開2003−199207号公報
上述のハイブリッド自動車では、アクセルペダルとブレーキペダルとが共に踏み込まれた状態でエンジンを動作させることについては何ら考慮されていない。低速走行時や発進時には、通常、エンジンの回転数が比較的低い状態にあり、この状態からアクセルペダルとブレーキペダルとを共に踏み込んでからアクセルペダルの踏み込みを維持しながらブレーキペダルのみを離したときの加速を得ようとしても車両の慣性重量に加えてエンジンの出力軸の回転慣性重量による走行抵抗により十分な加速性を得ることができない場合が生じる。一方、停車時には、エンジンからの動力によりジェネレータは発電するが回転数がゼロのモータは電力消費(損失分のみ消費)されないから、加速のためにエンジンからの動力を大きくするとバッテリに過充電や過大な電力による充電が生じる場合がある。
本発明のハイブリッド自動車およびその制御方法は、こうした問題を解決し、アクセルとブレーキとが共にオン操作されたときの車両の加速性をより向上させることを目的の一つとする。また、本発明のハイブリッド自動車およびその制御方法は、アクセルとブレーキとが共にオン操作されたときの蓄電装置の過充電や過大な電力による充電を抑制することを目的の一つとする。
本発明のハイブリッド自動車およびその制御方法は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明のハイブリッド自動車は、
内燃機関と、
該内燃機関の出力軸と車軸に接続された駆動軸とに接続され、電力と動力の入出力により該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力する電力動力入出力手段と、
前記車軸または該車軸とは異なる車軸に動力を入出力可能な電動機と、
前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力をやり取り可能な蓄電手段と、
前記車軸および/または該車軸とは異なる車軸に制動力を出力する制動力出力手段と、
少なくともアクセルとブレーキとが共にオン操作されたときを条件として、前記蓄電手段の入力制限の範囲内で前記内燃機関から出力すべき目標動力を設定し、該設定した目標動力を出力可能な前記内燃機関の動作点のうち燃費よりも加速を優先した動作点を設定し、該設定した動作点で該内燃機関が運転されるよう該内燃機関を駆動制御すると共に前記ブレーキのオン操作に応じた制動力が出力されるよう前記制動力出力手段を駆動制御し、前記アクセルのオン操作が維持された状態で前記ブレーキがオン操作からオフ操作されたときに該アクセルのオン操作に基づく駆動力が前記車軸および/または該車軸とは異なる車軸に出力されるよう該内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを駆動制御すると共に前記制動力の出力が解除されるよう前記制動力出力手段を駆動制御するアクセルブレーキオン操作時制御手段と
を備えることを要旨とする。
この本発明のハイブリッド自動車では、少なくともアクセルとブレーキとが共にオン操作されたときを条件として、蓄電手段の入力制限の範囲内で内燃機関から出力すべき目標動力を設定し、設定した目標動力を出力可能な動作点のうち燃費よりも加速を優先した動作点を設定し、設定した動作点で内燃機関が運転されるよう内燃機関を駆動制御すると共に前記ブレーキのオン操作に応じた制動力が出力されるよう前記制動力出力手段を駆動制御し、その後にアクセルのオン操作が維持された状態でブレーキがオン操作からオフ操作されたときにアクセルのオン操作に基づく駆動力が出力されるよう内燃機関と電力動力入出力手段と電動機とを駆動制御すると共に前記制動力の出力が解除されるよう前記制動力出力手段を駆動制御する。従って、アクセルとブレーキとが共にオン操作された後のブレーキのオフ操作時の車両の加速性をより向上させることができる。また、蓄電手段の入力制限の範囲内で内燃機関を制御するから、蓄電手段の過充電や過大な電力による充電を抑制することができる。
こうした本発明のハイブリッド自動車において、前記アクセルブレーキオン操作時制御手段による制御は、車速が略値0のときに行なわれる制御であるものとすることもできる。こうすれば、発進時の加速性を向上させることができる。
また、本発明のハイブリッド自動車において、前記アクセルブレーキオン操作時制御手段は、前記内燃機関の動作点として、燃費が良好となるように前記内燃機関を運転するための動作点よりも高い回転数の動作点を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関から駆動軸に駆動力が出力される際の内燃機関の回転上昇に伴って生じる慣性による抵抗を小さくできるから、アクセルとブレーキとが共にオン操作された後のブレーキのオフ操作時の車両の加速性をより向上させることができる。
さらに、本発明のハイブリッド自動車において、前記アクセルブレーキオン操作時制御手段は、前記内燃機関の動作点として、前記内燃機関から最大トルクを出力可能な回転数における動作点を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、車両の加速性をさらに向上させることができる。
また、本発明のハイブリッド自動車において、前記アクセルブレーキオン操作時制御手段は、前記内燃機関の目標動力として、前記蓄電手段の入力制限の範囲内で前記内燃機関から出力可能な動力の最大値を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、車両の加速性をさらに向上させることができる。
本発明のハイブリッド自動車において、前記制動力出力手段は、前記駆動軸を直接または間接に制動力を出力するブレーキ装置であるものとすることもできる。
本発明のハイブリッド自動車において、前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と第3の回転軸の3軸に接続され該3軸のうちいずれか2軸に入出力した動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記第3の軸に動力を入出力する発電機とを備える手段であるものとすることもできるし、前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸に取り付けられた第1の回転子と前記駆動軸に取り付けられた第2の回転子とを有し、該第1の回転子と該第2の回転子との電磁作用による電力の入出力を伴って該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に伝達する対回転子電動機であるものとすることもできる。
本発明のハイブリッド自動車の制御方法は、
内燃機関と、該内燃機関の出力軸と車軸に接続された駆動軸とに接続され電力と動力の入出力により該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力する電力動力入出力手段と、前記車軸または該車軸とは異なる車軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力をやり取り可能な蓄電手段と、前記車軸および/または該車軸とは異なる車軸に制動力を出力する制動力出力手段と、を備えるハイブリッド自動車の制御方法であって、
(a)少なくともアクセルとブレーキとが共にオン操作されたときを条件として、前記蓄電手段の入力制限の範囲内で前記内燃機関から出力すべき目標動力を設定し、該設定した目標動力を出力可能な前記内燃機関の動作点のうち燃費よりも加速を優先した動作点を設定し、該設定した動作点で該内燃機関が運転されるよう該内燃機関を駆動制御すると共に前記ブレーキのオン操作に応じた制動力が出力されるよう前記制動力出力手段を駆動制御し、
(b)前記ステップ(a)の後に前記アクセルのオン操作が維持された状態で前記ブレーキがオン操作からオフ操作されたときに該アクセルのオン操作に基づく駆動力が前記車軸および/または該車軸とは異なる車軸に出力されるよう該内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを駆動制御すると共に前記制動力の出力が解除されるよう前記制動力出力手段を駆動制御する
ことを要旨とする。
この本発明のハイブリッド自動車の制御方法によれば、少なくともアクセルとブレーキとが共にオン操作されたときを条件として、蓄電手段の入力制限の範囲内で内燃機関から出力すべき目標動力を設定し、設定した目標動力を出力可能な動作点のうち燃費よりも加速を優先した動作点を設定し、設定した動作点で内燃機関が運転されるよう内燃機関を駆動制御すると共に前記ブレーキのオン操作に応じた制動力が出力されるよう前記制動力出力手段を駆動制御し、その後にアクセルのオン操作が維持された状態でブレーキがオン操作からオフ操作されたときにアクセルのオン操作に基づく駆動力が出力されるよう内燃機関と電力動力入出力手段と電動機とを駆動制御すると共に前記制動力の出力が解除されるよう前記制動力出力手段を駆動制御する。従って、アクセルとブレーキとが共にオン操作された後のブレーキのオフ操作時の車両の加速性をより向上させることができる。また、蓄電手段の入力制限の範囲内で内燃機関を制御するから、蓄電手段の過充電や過大な電力による充電を抑制することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態としての動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、動力出力装置全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、駆動輪63a,63bに取り付けられたブレーキ装置65a,65bの図示しないアクチュエータへの駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に発進時の動作について説明する。図2は、実施例のハイブリッド自動車20のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される発進時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、車速Vが値0の状態でアクセルペダル83が踏み込まれて車両の発進が要求されたたときに実行される。以下、停車中の状態からアクセルペダル83が踏み込まれて車両が徐々に加速していく状態に至るのを順を追って説明する。
発進時制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダル83からのアクセル開度Accやブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキポジションBP,車速センサ88からの車速V,エンジン22およびモータMG1,MG2の各回転数Ne,Nm1,Nm2,モータMG2のトルク制限Tlim,バッテリ50の残容量SOC,バッテリ50の入力制限Winなどのデータを入力する処理を行なう(ステップS100)。ここで、回転数Neは、エンジン22の回転数を検出する図示しない回転数センサにより検出されたものを入力するものとした。また、回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出された回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。トルク制限Tlimは、モータMG2やインバータ42の温度に基づいて設定、例えば、モータMG2やインバータ42の温度が所定温度を上回ったときにモータMG2の定格トルクの50%や60%の値として設定されたものを入力するものとした。残容量SOCは、電流センサにより検出されたバッテリ50の充放電電流に基づいて演算されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。入力制限Winは、バッテリ50の残容量SOCや温度センサ51により検出された電池温度に基づいて設定されたものを入力するものとした。なお、入力制限Winは、バッテリ50に入力可能な電力の大きさが大きいほど小さくなるよう負の値として定めた。
各データを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*と要求パワーPr*とを設定する(ステップS110)。要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め求めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると要求トルク設定用マップから対応する要求トルクTr*を導出することにより設定するものとした。要求トルク設定用マップの一例を図3に示す。また、要求パワーPr*は、設定した要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じて導出したものを設定するものとした。なお、リングギヤ軸32aの回転数Nr*は、車速Vに換算係数kを乗じることにより求めることができる。
要求パワーPr*を設定すると、設定した要求パワーPr*に入力制限Winを減じたものにロス(Loss)を加えることによりエンジン22から出力すべきエンジン要求パワーPe*を設定する(ステップS120)。停車中はリングギヤ軸32aの回転数Nrが値0であるから、ステップS110で設定される要求パワーPr*は値0となる。従って、停車中では、エンジン要求パワーPe*は、入力制限Winの絶対値にロスを加えたものが設定されることになる。
次に、車速Vが値0であるか否か、アクセル開度AccがアクセルONの状態であるか否か、ブレーキポジションBPがブレーキONの状態であるか否かを判定する(ステップS130)。車速Vが値0でないときや、アクセル開度AccがアクセルONの状態でないとき、あるいはブレーキポジションBPがブレーキONの状態でないときには、フラグFの値を調べる(ステップS140)。ここで、フラグFは、後述するストール発進の要求されたときにステップS170の処理に伴って値1が設定されるフラグであり、初期値としては値0が設定されている。フラグFが値0のときには、通常の発進であると判断し、エンジン要求パワーPe*が一定の曲線とエンジン22を効率よく運転できる燃費用動作ラインとの交点の回転数とトルクをエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*として設定して(ステップS150)、フラグFを値0に設定する(ステップS160)。エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を図5に示す。
一方、車速Vが値0であり且つアクセル開度AccがアクセルONの状態であり且つブレーキポジションBPがブレーキONの状態であると判定されると、いわゆるストール発進が要求されていると判断し、エンジン要求パワーPe*を出力可能なエンジン22の運転ポイントのうちエンジン要求パワーPe*が一定の曲線と燃費用動作ラインとの交点の回転数よりも高い回転数の運転ポイントにおける回転数とトルクを目標回転数Ne*と目標トルクTe*として設定して(ステップS170)、フラグを値1に設定する(ステップS180)。ストール発進が要求されたときに燃費に優先してエンジン22の回転数を高い回転数に保持するのは、後にブレーキペダル85が解除されたときの車両の発進時にエンジン22からリングギヤ軸32aにトルクが出力されて加速する際のエンジン22の回転上昇に伴う回転慣性重量による抵抗を小さくして、車両の加速性を向上させるためである。目標回転数Ne*は、エンジン22やモータMG2により定めることができ、実施例では、エンジン22の最大トルクTemax発生時の回転数(例えば、3000rpm)Netmaxに設定した(図5参照)。目標トルクTe*は、エンジン要求パワーPe*を設定した目標回転数Ne*で除して得られたものを設定した。
こうして目標回転数Ne*と目標トルクTe*が設定されると、設定した目標回転数Ne*とリングギヤ軸32aの回転数Nr(=k・V)とに基づいてモータMG1の目標回転数Nm1*を設定し、設定した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づいてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する(ステップS200)。図6に、動力分配統合機構30の各回転要素におけるトルクと回転数の力学的な関係を示す共線図を示す。図中、左のS軸はサンギヤ31の回転数を示し、C軸はキャリア34の回転数を示し、R軸はリングギヤ32の回転数(リングギヤ軸32aの回転数Nr)を示す。前述したように、サンギヤ31の回転数はモータMG1の回転数であり、キャリア34の回転数はエンジン22の回転数Neであるから、エンジン22の目標回転数Ne*とリングギヤ軸32aの回転数Nrとに基づいてモータMG1の目標回転数Nm1*を設定することができる。従って、モータMG1が目標回転数Nm1*で回転するようフィードバック制御における関係式を用いてトルク指令Tm1*を設定してモータMG1を駆動制御すれば、エンジン22を目標回転数Ne*で回転させることができる。
トルク指令Tm1*を設定すると、要求トルクTr*とトルク指令Tm1*を動力分配統合機構30のギヤ比ρで除したものとの和を減速ギヤ35のギヤ比Grで除することによりモータMG2から出力すべき仮モータトルクTm2tmpを設定すると共に(ステップS210)、設定した仮モータトルクTm2tmpとステップS100で入力したトルク制限Tlimとのうち小さい方をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定する(ステップS220)。
こうして目標回転数Ne*や目標トルクTe*,目標回転数Nm1*,トルク指令Tm1*,Tm2*が設定されると、目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、目標回転数Nm1*とトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信すると共に(ステップS230)、ブレーキポジションBPに応じたブレーキトルクでブレーキ装置65a,65bの図示しないアクチュエータを駆動制御して(ステップS240)、本ルーチンを終了する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*を受信したエンジンECU24は、目標回転数Ne*と目標トルクTe*における運転ポイントで運転されるよう吸入空気量調節制御や燃料噴射制御,点火制御などを行なう。また、目標回転数Nm1*,トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*,Tm2*で運転されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。停車時では、モータMG2はその回転数が値0であるからトルクを出力しても損失(銅損)分以外のパワーは消費しない。従って、モータMG1で発電された電力は、基本的には、モータMG2の損失分を除いてすべてバッテリ50に入力されることになる。このとき、エンジン要求パワーPe*は、入力制限Winの範囲内で定めているから、バッテリ50に過充電や過大な電力による充電は生じない。
ステップS130で車速Vが値0でないと判定されたりブレーキポジションBPがブレーキONの状態ではないと判定され、ステップS140でフラグFが値1と判定されたときには、アクセルペダル83とブレーキペダル85が共に踏み込まれた状態からブレーキペダル85のみが解除された状態であると判断し、ステップS100で入力したエンジン22の現在の回転数Neを目標回転数Ne*として設定すると共にエンジン要求パワーPe*を設定した目標回転数Ne*で除したものを目標トルクTe*として設定し(ステップS190)、ステップS200〜S240の処理を行なって、本ルーチンを終了する。ここで、ステップS240の処理ではブレーキポジションBPがブレーキONの状態ではない(ブレーキOFFの状態である)から、ブレーキ装置65a,65bから出力されるブレーキトルクはゼロ、即ちブレーキ解除されることになり車両は発進する。このとき、エンジン22は、エンジン22の回転数がそのまま高回転に維持あるいは若干増加(図5の太線矢印参照)しながらリングギヤ軸32aに比較的大きなトルクが伝達されて車両が加速されることになるから、車両の加速の際のエンジン22の回転上昇に伴う慣性による抵抗は小さなものとなり、十分な加速を得ることができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、停車時にアクセルペダル83とブレーキペダル85が共にONの状態のときに、ストール発進が要求されているとして、バッテリ50の入力制限Winからエンジン22から出力してもよいパワーをエンジン要求パワーPe*として設定すると共にこのエンジン要求パワーPe*と燃費用動作ラインとの交点における回転数よりも高い回転数の運転ポイントを目標回転数Ne*と目標トルクTe*として設定してエンジン22を運転するから、後にブレーキペダル85のON状態が解除されたときにモータMG2からのトルクの出力に加えてエンジン22からリングギヤ軸32aにトルクが出力されて車両が加速する際のエンジン22の回転上昇に伴う回転慣性重量に起因する走行抵抗を小さくでき、発進時の加速性をより向上させることができる。しかも、エンジン要求パワーPe*はバッテリ50の入力制限Winの範囲内で設定されるから、バッテリ50への過充電や過大な電力による充電を防止することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、車速Vが値0であるとき、即ち発進時にアクセル開度AccがアクセルONの状態であり且つブレーキポジションBPがブレーキONの状態であるときに燃費よりも加速を優先した運転ポイントをエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*として設定したが、車速Vに拘わらずアクセル開度AccがアクセルONの状態であり且つブレーキポジションBPがブレーキONの状態であるときに燃費よりも加速を優先した運転ポイントをエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*として設定するものとしてもよい。このとき、エンジン22の回転慣性重量による抵抗を小さくする回転数を考慮する他、その回転数でエンジン22からリングギヤ軸32aに直接伝達できる駆動力の大きさも考慮して加速性を向上させることができる運転ポイントを目標回転数Ne*と目標トルクTe*として設定すればよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、ブレーキポジションBPがブレーキONの状態でないときの発進時には、エンジン22の目標回転数Ne*をエンジン要求パワーPe*と燃費用動作ラインとの交点における回転数に設定したが、目標回転数Ne*としてブレーキポジションBPがブレーキONの状態の発進時と同様の回転数に設定してもよいし、他の回転数を設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、発進時にエンジン要求パワーPe*としてバッテリ50の入力制限Winの絶対値とロス(Loss)との和の値を設定したが、バッテリ50の入力制限Winの範囲内であれば如何なる値を設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図7の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図7における車輪64a,64bに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪63a,63bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図8の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪63a,63bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明の一実施形態としての動力出力装置を搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 実施例のハイブリッド自動車20のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される発進時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 エンジン要求パワーPe*と燃費用動作ラインとに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を示す説明図である。 ストール発進時にエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を示す説明図である。 動力分配統合機構30の各回転要素の力学的な関係を示す共線図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b,64a,64b 駆動輪、65a,65b,66a,66b ブレーキ装置、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ 234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ。

Claims (7)

  1. 内燃機関と、
    該内燃機関の出力軸と車軸に接続された駆動軸とに接続され、電力と動力の入出力により該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力する電力動力入出力手段と、
    前記車軸または該車軸とは異なる車軸に動力を入出力可能な電動機と、
    前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力をやり取り可能な蓄電手段と、
    前記車軸および/または該車軸とは異なる車軸に制動力を出力する制動力出力手段と、
    前記蓄電手段の残容量と前記蓄電手段の温度とに基づいて前記蓄電手段の入力制限を設定する入力制限設定手段と、
    車速が略値0のときにアクセルとブレーキとが共にオン操作されたときを条件として、前記設定された前記蓄電手段の入力制限の範囲内で前記内燃機関から出力すべき目標動力を設定し、該設定した目標動力を出力可能な前記内燃機関の動作点のうち燃費が良好となるように前記内燃機関を運転するための動作点よりも高い回転数の動作点を設定し、該設定した動作点で該内燃機関が運転されるよう該内燃機関を駆動制御すると共に前記ブレーキのオン操作に応じた制動力が出力されるよう前記制動力出力手段を駆動制御し、前記アクセルのオン操作が維持された状態で前記ブレーキがオン操作からオフ操作されたときに該アクセルのオン操作に基づく駆動力が前記車軸および/または該車軸とは異なる車軸に出力されるよう該内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを駆動制御すると共に前記制動力の出力が解除されるよう前記制動力出力手段を駆動制御するアクセルブレーキオン操作時制御手段と
    を備えるハイブリッド自動車。
  2. 前記アクセルブレーキオン操作時制御手段は、前記内燃機関の回転数に対する最大トルクの関係としての最大トルクライン上のピークを示すときの回転数を前記内燃機関の動作点における回転数として設定する手段である請求項記載のハイブリッド自動車。
  3. 前記アクセルブレーキオン操作時制御手段は、前記内燃機関の目標動力として、前記蓄電手段の入出力制限の範囲内で前記内燃機関から出力可能な動力の最大値を設定する手段である請求項1または2記載のハイブリッド自動車。
  4. 前記制動力出力手段は、前記車軸および/または該車軸とは異なる車軸に直接または間接に制動力を出力するブレーキ装置である請求項1ないしいずれか記載のハイブリッド自動車。
  5. 前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と第3の回転軸の3軸に接続され該3軸のうちいずれか2軸に入出力した動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記第3の軸に動力を入出力する発電機とを備える手段である請求項1ないしいずれか記載のハイブリッド自動車。
  6. 前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸に取り付けられた第1の回転子と前記駆動軸に取り付けられた第2の回転子とを有し、該第1の回転子と該第2の回転子との電磁作用による電力の入出力を伴って該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に伝達する対回転子電動機である請求項1ないしいずれか記載のハイブリッド自動車。
  7. 内燃機関と、該内燃機関の出力軸と車軸に接続された駆動軸とに接続され電力と動力の
    入出力により該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力する電力動力入出力手段と、前記車軸または該車軸とは異なる車軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力をやり取り可能な蓄電手段と、前記車軸および/または該車軸とは異なる車軸に制動力を出力する制動力出力手段と、を備えるハイブリッド自動車の制御方法であって、
    (a)前記蓄電手段の残容量と前記蓄電手段の温度とに基づいて前記蓄電手段の入力制限を設定し、
    (b)車速が略値0のときにアクセルとブレーキとが共にオン操作されたときを条件として、前記設定された前記蓄電手段の入力制限の範囲内で前記内燃機関から出力すべき目標動力を設定し、該設定した目標動力を出力可能な前記内燃機関の動作点のうち燃費が良好となるように前記内燃機関を運転するための動作点よりも高い回転数の動作点を設定し、該設定した動作点で該内燃機関が運転されるよう該内燃機関を駆動制御すると共に前記ブレーキのオン操作に応じた制動力が出力されるよう前記制動力出力手段を駆動制御し、
    (b)前記ステップ(a)の後に前記アクセルのオン操作が維持された状態で前記ブレーキがオン操作からオフ操作されたときに該アクセルのオン操作に基づく駆動力が前記車軸および/または該車軸とは異なる車軸に出力されるよう該内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを駆動制御すると共に前記制動力の出力が解除されるよう前記制動力出力手段を駆動制御する
    ハイブリッド自動車の制御方法。
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