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JP3994740B2 - ポリウレタン樹脂を製造するためのイミダゾール触媒 - Google Patents

ポリウレタン樹脂を製造するためのイミダゾール触媒 Download PDF

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JP3994740B2 JP2002007516A JP2002007516A JP3994740B2 JP 3994740 B2 JP3994740 B2 JP 3994740B2 JP 2002007516 A JP2002007516 A JP 2002007516A JP 2002007516 A JP2002007516 A JP 2002007516A JP 3994740 B2 JP3994740 B2 JP 3994740B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軟質、硬質、半硬質、エラストマー等のポリウレタン樹脂製造用の触媒、及びそれを用いたポリウレタン樹脂又はポリウレタンフォームの製造方法に関する。更に詳しくは、揮発性のアミンを殆ど排出しないポリウレタン樹脂又はポリウレタンフォームを製造するための触媒及び方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタン樹脂は、ポリオールとポリイソシアネートとを触媒及び必要に応じて発泡剤、界面活性剤、架橋剤等の存在下に反応させて製造される。従来このポリウレタン樹脂の製造に数多くの金属系化合物や第3級アミン化合物を触媒として用いることが知られている。これら触媒は単独で又は併用することにより工業的にも多用されている。
【0003】
これらの触媒のうち、とりわけ第3級アミン化合物は生産性、成形性に優れることよりポリウレタン樹脂製造用の第3級アミン触媒として広く用いられている。このような化合物としては、例えば、従来公知のトリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N−メチルモルフォリン、N−エチルモルフォリン、N,N−ジメチルエタノールアミン等の化合物が挙げられる。
【0004】
金属系触媒は生産性、成形性が悪化することより、ほとんどの場合第3級アミン触媒と併用されることが多く単独での使用は少ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した第3級アミン触媒は一般に不快な臭気を有し、また高い揮発性を有する。このためフォーム製造工程で種々の問題を引き起こす。例えば、自動車内におけるポリウレタンフォーム製品から排出される揮発性アミンの臭気問題や、近年ポリウレタンフォーム中の揮発性分が自動車の窓ガラスに被着し窓ガラスを曇らせ商品価値を落とす原因となっている、いわゆるフォギングと呼ばれる問題、その他、ポリウレタン製品から排出される揮発性アミンによる他の材料への汚染問題等である。
【0006】
前記した従来の第3級アミン触媒に対して、例えば、分子内にポリイソシアネートと反応し得る1級及び2級のアミノ基又はヒドロキシアルキル基を有するアミン触媒を使用する方法が提案されている(特開昭46−4846号公報、特公昭61−31727号公報、特公昭57−14762号公報等参照)。特公昭61−31727号公報には、このような触媒を用いた場合、他の材料への汚染が防止できる旨の記載はあるが、これらの触媒は一般に高い揮発性や不快な臭気を有しており、作業環境の上で難点がある。
【0007】
また、分子内にウレイド基(例えばNHCONH2)を有する特定のアミン触媒を使用する方法が提案されている(特開昭61−85431公報参照)。同公報によれば、これらのウレイド基を有する特定のアミン触媒は、この官能基を欠くアミン触媒に比べ揮発性が少なく、これら特定のアミン触媒を用いた場合、他の材料への汚染が防止できる旨の記載はある。しかしながら、同公報に記載のアミン触媒は、ゲル化(ポリオール−ポリイソシアネート)及び泡化(水−ポリイソシアネート)反応の両方を同時に促進するため、発泡剤として水を多く使用した場合、反応初期に泡化反応が必要以上に進んでしまい、ポリウレタンフォームの成形性のプロセスレンジが狭くなる等の問題が生じる。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、発泡剤として水を多く使用する処方においても、従来技術の問題点を解決し得るポリウレタン樹脂を製造するための触媒、及びそれを用いたポリウレタン樹脂の製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、ポリウレタン樹脂製造の際にアミン触媒として、イミダゾールの尿素付加物を用いると、揮発性及び臭気がほとんどないポリウレタン樹脂を成形性、生産性良く得られ、また発泡剤として水を多く使用する処方においても上記問題を解決できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち本発明は、下記一般式(1)
【0011】
【化3】
Figure 0003994740
(上記式中、R1、R2、R3は各々独立して水素原子又は炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝状のアルキル基を表し、R4は炭素数が1〜4の直鎖又は分枝状のアルキレン基を表す。)
で示される化合物を含有してなるポリウレタン樹脂製造用の触媒、並びにそれを用いたポリウレタン樹脂又はポリウレタンフォームの製造方法である。
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】
本発明の触媒は、上記一般式(1)で示される化合物を含有してなる。また、本発明の触媒は、上記一般式(1)で示される化合物に、更に下記一般式(2)
【0014】
【化4】
Figure 0003994740
(上記式中、R5、R6、R7は各々独立して水素原子又は炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝状のアルキル基を表し、R8は炭素数が1〜4の直鎖又は分枝状のアルキレン基を表す。)
で示される化合物を含有してもよい。
【0015】
本発明の触媒は、上記一般式(1)で示される化合物と上記一般式(2)で示される化合物との総量に対し、上記一般式(1)の化合物を50〜100重量%、及び上記一般式(2)の化合物を0〜50重量%含有することが好ましい。上記一般式(1)の化合物が50重量%より小さい場合、触媒活性が低く、ポリウレタン樹脂の生産性が低下するおそれがある。
【0016】
本発明において、上記一般式(1)で示される化合物としては、触媒活性及び製造の容易さの点から、R1が水素原子又はメチル基であり、R2、R3が水素であり、R4がプロピレン基であることが好ましい。また、上記一般式(2)で示される化合物としては、触媒活性及び製造の容易さの点から、R5が水素原子又はメチル基であり、R6、R7が水素であり、R8がプロピレン基であることが好ましい。
【0017】
本発明の上記一般式(1)で示されるアミン化合物としては、具体的には、1−{3’−(イミダゾリニル)プロピル}尿素、1−{3’−(2”−メチルイミダゾリニル)プロピル}尿素、1−{2’−(イミダゾリニル)エチル}尿素、1−{2’−(2”−メチルイミダゾリニル)エチル}尿素、1−{2’−(イミダゾリニル)−1’−メチルエチル}尿素、1−{2’−(2”−メチルイミダゾリニル)−1’−メチルエチル}尿素等が挙げられる。これらのうち、合成の容易さの点から、1−{3’−(イミダゾリニル)プロピル}尿素、1−{3’−(2”−メチルイミダゾリニル)プロピル}尿素がより好ましい。
【0018】
本発明の上記一般式(2)で示されるアミン化合物としては、具体的には、1,3−ビス{3’−(イミダゾリニル)プロピル}尿素、1,3−ビス{3’−(2”−メチルイミダゾリニル)プロピル}尿素、1,3−ビス{2’−(イミダゾリニル)エチル}尿素、1,3−ビス{2’−(2”−メチルイミダゾリニル)エチル}尿素、1,3−ビス{2’−(イミダゾリニル)−1’−メチルエチル}尿素、1,3−ビス{2’−(2”−メチルイミダゾリニル)−1’−メチルエチル}尿素等が挙げられる。これらのうち、合成の容易さの点から、1,3−ビス{3’−(イミダゾリニル)プロピル}尿素、1,3−ビス{3’−(2”−メチルイミダゾリニル)プロピル}尿素がより好ましい。
【0019】
上記一般式(1)及び上記一般式(2)で示される化合物は、例えば、尿素及び1−(3’−アミノプロピル)イミダゾール類を適当なモル比で、加温し反応させることにより製造することができる。このため、本発明の触媒組成物は20重量%までの未反応の尿素を含むことがあり得る。上記一般式(1)で示される化合物及び上記一般式(2)で示される化合物は個々にクロマトグラフィー、再結晶、昇華等により単離することができる。
【0020】
本発明の触媒をポリウレタン樹脂の製造に用いる際の使用量は、使用されるポリオ−ルを100重量部としたとき、通常0.01〜10重量部であるが、触媒量が多い場合、触媒がターミネーターとしてポリウレタン樹脂中に取り込まれる量が多いため、樹脂の物性(機能性)が低下するおそれがあり、好ましくは0.05〜5重量部である。
【0021】
本発明の触媒は揮発性及び臭気が極めて小さい。更にポリウレタン樹脂原料であるポリイソシアネートと反応し、ポリウレタン樹脂骨格中に固定化される。即ち、本発明の触媒を用いた場合、ポリウレタン製造の作業環境が改善され、更にはポリウレタン樹脂製品では前述した種々の問題、例えば、揮発性アミンによる臭気やフォギング等を防止することが可能となる。
【0022】
本発明の触媒を用いたポリウレタン樹脂の製造方法は、ポリオールとポリイソシアネートとを、本発明の触媒、及び必要に応じて発泡剤、界面活性剤、架橋剤等の存在下で反応させポリウレタン樹脂製品を得る方法である。製品としては、発泡剤を用いて製造される軟質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム及び硬質ポリウレタンフォーム、更に発泡剤を用いないエラストマー製品等が挙げられる。本発明の方法は、これらのうち、発泡剤を用いて製造される軟質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム及び硬質ポリウレタンフォームに好ましく適用される。
【0023】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法に使用されるポリオールとしては、従来公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、更には含リンポリオールやハロゲン含有ポリオール等の難燃ポリオール等が使用できる。これらのポリオールは単独で使用することもできるし、適宜混合して併用する事もできる。
【0024】
本発明の方法において、ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類、エチレンジアミン等のアミン類、エタノールアミン及びジエタノールアミン等のアルカノールアミン類等の、少なくとも2個以上の活性水素基を有する化合物を出発原料として、これとエチレンオキシドやプロピレンオキシドに代表されるアルキレンオキサイドとの付加反応により、例えば、Gunter Oertel、「Polyurethane Handbook」(1985年版) Hanser Publishers社(ドイツ)第42〜53頁に記載の方法により製造することができる。
【0025】
本発明の方法において、ポリエステルポリオールとしては、二塩基酸とグリコールの反応から得られるものや、更には、岩田敬治、「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987年初版)日刊工業新聞社、117頁に記載されている、ナイロン製造時の廃物、トリメチロールプロパン、ペンタエリストールの廃物、フタル酸系ポリエステルの廃物、廃品を処理し誘導したポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0026】
本発明の方法において、ポリマーポリオールとしては、例えば、前記ポリエーテルポリオールとエチレン性不飽和単量体、例えば、ブタジエン、アクリロニトリル、スチレン等をラジカル重合触媒の存在下に反応させた、重合体ポリオールが挙げられる。
【0027】
本発明の方法において、難燃ポリオールとしては、例えば、リン酸化合物にアルキレンオキシドを付加して得られる含リンポリオール、エピクロルヒドリンやトリクロロブチレンオキシドを開環重合して得られる含ハロゲンポリオール、フェノールポリオール等が挙げられる。
【0028】
これらポリオールの分子量(Mw)としては62〜15000のものが使用される。
【0029】
軟質ポリウレタンフォームの場合、通常、分子量(Mw)が1000〜15000のものが使用されるが、好ましくは、分子量(Mw)が3000〜15000のポリエーテルポリオール及びポリマーポリオールである。分子量が3000より小さい場合、物性(弾力性)等が劣る場合があるため、3000以上のものが望ましい。さらに好ましくは、ポリエーテルポリオールとポリマーポリオールを併用して用いる軟質ポリウレタンフォームである。ポリマーポリオールは樹脂の強度(硬度、弾性)を上げる効果があり、分子設計(硬度、弾性)が容易になる。
【0030】
また、硬質ポリウレタンフォームの場合、通常、分子量(Mw)が62〜8000のものが使用されるが、好ましくは、分子量(Mw)が62〜1500のポリエーテルポリオールである。硬質ポリウレタンフォーム用のポリオールとしては、官能基数が多く(4〜8)、低分子量のものが好まれる。
【0031】
本発明に使用されるポリイソシアネートは、従来公知のものであればよく、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフチレンジイシシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート及びこれらの混合体が挙げられる。TDIとその誘導体としては、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物又はTDIの末端イソシアネートプレポリマー誘導体を挙げることができる。MDIとその誘導体としては、MDIとその重合体のポリフェニル−ポリメチレンジイソシアネートの混合体、及び/又は末端イソシアネート基をもつジフェニルメタンジイソシアネート誘導体を挙げることができる。これらポリイソシアネートのうち、TDIとMDIが好ましく使用される。
【0032】
本発明の方法において、これらポリイソシアネートとポリオールの使用比率としては、特に限定されるものではないが、イソシアネートインデックス(イソシアネート基/イソシアネート基と反応しうる活性水素基)で表すと、一般に軟質フォーム、半硬質フォームの製造では一般に60〜130の範囲であり、硬質フォーム及びウレタンエラストマーの製造においては一般に60〜400の範囲である。
【0033】
本発明のポリウレタンの製造方法に使用される触媒は、上記一般式(1)で示される化合物を含有する触媒であるが、それ以外にも本発明の効果を逸脱しない範囲で他の触媒を併用して用いることができる。このような他の触媒としては、例えば、従来公知の有機金属触媒、第3級アミン類や第4級アンモニウム塩類等を挙げることができる。
【0034】
有機金属触媒としては、例えば、スタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジラウレート、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト等が挙げられる。
【0035】
第3級アミン類としては、従来公知のものであればよく、例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチル−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン、1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ジメチルアミノプロピルイミダゾール等の第3級アミン化合物類が挙げられる。また、本発明以外の反応性基を持つ第3級アミン化合物も使用でき、例えば、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルヘキサノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N−ジメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、3−キヌクリジノール等が挙げられる。
【0036】
第4級アンモニウム塩類としては、従来公知の、テトラメチルアンモニウムクロライド等のテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、水酸化テトラメチルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム水酸化物、テトラメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムギ酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩等のテトラアルキルアンモニウム有機酸塩類が挙げられる。
【0037】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法に用いられる発泡剤は、水と低沸点有機化合物である。低沸点有機化合物としては、炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系の化合物である。炭化水素系化合物としては、従来公知のメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等が使用できる。ハロゲン化炭化水素系化合物としては、従来公知のハロゲン化メタン、ハロゲン化エタン類、フッ素化炭化水素類が使用でき、具体的には、塩化メチレン、HCFC−141b、HFC−245fa、HFC−356mfc等が使用できる。これら発泡剤の使用においては、水と低沸点有機化合物をそれぞれ単独使用してもよいし、併用してもよいが、環境上特に好ましい発泡剤は水である。その使用量は目的とする製品の密度により変わり得るが、通常、ポリオール100重量部に対して0.1重量部以上であり、好ましくは0.5〜10重量部である。
【0038】
本発明において必要であれば、界面活性剤を用いることができる。本発明において使用される界面活性剤としては、従来公知の有機シリコーン系界面活性剤であり、その使用量は、ポリオール100重量部に対して0.1〜10重量部である。
【0039】
本発明において、必要であれば架橋剤又は鎖延長剤を添加することができる。架橋剤又は鎖延長剤としては、低分子量の多価アルコール(例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等)、低分子量のアミンポリオール(例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)、低分子量のポリアミン(例えば、エチレンジアミン、キシリレンジアミン、メチレンビスオルソクロルアニリン等)等を挙げることができる。これらのうち、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが好ましい。
【0040】
本発明においては、必要に応じて、着色剤、難燃剤、老化防止剤、その他公知の添加剤等も使用できる。これらの添加剤の種類、添加量は公知の形式と手順を逸脱しないならば通常使用される範囲で十分使用することができる。
【0041】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法にて製造される製品は種々の用途に使用できる。軟質フォームとしては、例えば、クッションとしてのベッド、カーシート、マットレス等が挙げられる。半硬質フォームとしては、例えば、自動車関連のインスツルメントパネル、ヘッドレスト、ハンドル等が挙げられる。硬質フォームとしては、例えば、冷凍庫、冷蔵庫、断熱建材等が挙げられる。エラストマー製品としては、例えば、接着剤、床材、防水材等が挙げられる。
【0042】
以下、実施例、比較例に基づいて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0043】
【実施例】
調製例1 1−{3’−(2”−メチルイミダゾリニル)プロピル}尿素組成物60%溶液の調製
1−(3’−アミノプロピル)−2−メチルイミダゾール139.2gに尿素60.0gを加え、これを160℃で10時間反応させ、反応後、揮発成分を除去し、1−{3’−(2”−メチルイミダゾリニル)プロピル}尿素及び1,3−ビス{3’−(2”−メチルイミダゾリニル)プロピル}尿素を含有する組成物を176.1g得た。これにジプロピレングリコール117.4gを加え、1−{3’−(2”−メチルイミダゾリニル)プロピル}尿素組成物60%溶液(IZUM)を調製し、以下の発泡実験に用いた。表1にこの溶液の組成を示す。
【0044】
【表1】
Figure 0003994740
調製例2 1−{3’−(2”−メチルイミダゾリニル)プロピル}尿素60%溶液の調製
上記反応例と同様にして得られた反応液を液体クロマトグラフィーにて分離し、1−{3’−(2”−メチルイミダゾリニル)プロピル}尿素を得た。これにジプロピレングリコールを加え、1−{3’−(2”−メチルイミダゾリニル)プロピル}尿素60%溶液(IZU)を調製し、以下の発泡実験に用いた。
【0045】
なお、上記触媒組成物は共に結晶化防止のためにジプロピレングリコール溶液で希釈しているが、溶媒種及び溶媒の重量比は本調製例に限定されるものではない。
【0046】
実施例1〜実施例2及び比較例1〜比較例6
本発明の触媒及び比較例の触媒を用い軟質ポリウレタンフォーム(エステルスラブ処方)を製造した例を示す。
【0047】
用いた触媒は、実施例1では調製例1で得た1−{3’−(2”−メチルイミダゾリニル)プロピル}尿素組成物60%溶液(IZUM)を、実施例2では調製例2で得た1−{3’−(2”−メチルイミダゾリニル)プロピル}尿素60%溶液(IZU)を用い、比較例1〜比較例6ではジメチルベンジルアミン(DB)、N−エチルモルホリン(NEM)、1−(3’−アミノプロピル)イミダゾール(API)、1−(2’−ヒドロキシプロピル)イミダゾール(HPI)、ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)、3−(ジメチルアミノ)プロピル−1−尿素(DMAPU)をそれぞれ用いた。これらを表2にあわせて示す。
【0048】
【表2】
Figure 0003994740
ポリオール、水、架橋剤、整泡剤を表3に示した原料配合比にて配合し、プレミックスAを調合した。
【0049】
【表3】
Figure 0003994740
プレミックスA 447.4gを2lポリエチレンカップルタイムで60秒となる量にて添加し、25℃に温度調整した。別容器で25℃に温度調整したポリイソシアネート液(T−80)192.6gをプレミックスAのカップの中に入れ、素早く攪拌機にて6000rpmで5秒間攪拌した。混合攪拌した混合液を40℃に温度調節したモールド(内寸法、25×25×25cmのアルミ製、上蓋なし)内に入れ発泡成形を行った。混合液を入れた時点から20分後にフォームを脱型した。成型フォームからフォームのコア密度及びフォームの臭気を測定し比較した。また触媒の臭気を測定した。その結果を表4に示す。
【0050】
【表4】
Figure 0003994740
なお、各測定項目の測定方法は以下のとおりである。
【0051】
<反応性の測定項目>
クリームタイム:発泡開始時間、フォームが上昇開始する時間を目視にて測定
ゲルタイム:反応が進行し液状物質より、樹脂状物質に変わる時間を測定
ライズタイム:フォームの上昇が停止する時間を目視にて測定。
【0052】
<触媒の臭気>
触媒10gを20ml用サンプル瓶の中に入れ、10人のモニターにサンプルと鼻の距離を10cm開け、臭いを嗅いで貰い、臭いの強さを測定した
○:殆ど臭気無し
△:臭気あり
×:強い臭気有り。
【0053】
<フォームコア密度>
モールド成型フォームの中心部を20×20×20cmの寸法にカットし、この寸法、重量を正確に測定してコア密度を算出した。
【0054】
<反発弾性率>
フォームコア密度を測定したフォームから20×20×5cmの寸法の所定のフォームをカットして試験片とし、JIS K6401−1980に準じて反発弾性試験を実施して、その反発弾性率を測定した。
【0055】
<フォームの硬度(CLD)>
フォームコア密度を測定したフォームを試験片とし、JIS K6401−1980に準じて硬さ試験を実施し、フォームのコア部分の25%圧縮強度と65%圧縮強度を測定した。
【0056】
すなわち、JIS K6401−1980に準じて、試験片を試験機の台上に平らに置き、半径10cmの円形加圧板を試験片の上面に載せて、荷重を0.5kgf(4.9N)にしたときの厚さを測定し、これを初めの厚さとした。次に円形加圧板を初めの厚さの75%押し込んだ後、直ちに荷重を除き、再び直ちに円形加圧板を初めの厚さの25%押し込み、静止後20秒時の荷重を読み取った。さらに、円形加圧板を初めの厚さの75%押し込んだ後、直ちに荷重を除き、再び直ちに円形加圧板を初めの厚さの65%押し込み、静止後20秒時の荷重を読み取った。フォーム硬度は以下の式を用いて算出し、初めの厚さの25%押し込んだときのフォーム硬度を25%圧縮強度、初めの厚さの65%押し込んだときのフォーム硬度を65%圧縮強度とした。
【0057】
フォーム硬度(N/m2)=円形加圧板を用いて得られた荷重(N)÷円形加圧板に接地したフォーム部分の面積(m2
<フォームの伸び>
フォームコア密度を測定したフォームから1×1×10cm寸法の所定のフォームをカットして試験片とし、JIS K7311−1995に準じて引張試験を実施して、その伸びを測定した。
【0058】
<フォームの引張り強度>
フォームコア密度を測定したフォームから1×1×10cm寸法の所定のフォームをカットして試験片とし、JIS K7311−1995に準じて引張試験を実施して、その引張強さを測定し、フォームの引張り強度とした。
【0059】
<フォームの引裂き強度>
フォームコア密度を測定したフォームから1×1×10cm寸法の所定のフォームをカットして試験片とし、JIS K7311−1995に準じて引裂試験を実施して、その引裂強さを測定し、フォームの引裂き強度とした。
【0060】
<湿熱永久圧縮歪>
フォームコア密度を測定したフォームから5×5×2.5cm寸法のフォームをカットして試験片とし、JIS K6401−1980に準じて50℃×22hr、湿度95%、50%圧縮の温熱老化試験を実施し、その硬さ低下率を測定し、湿熱永久圧縮歪とした。
【0061】
<フォームのスコーチ>
モールド成型フォームの中心部を目視し、フォームの着色(焼け)の有無を測定した
○:フォームの着色無し
×:フォームの着色有り。
【0062】
<フォームの臭気>
フォームコア密度を測定したフォームから5×5×5cm寸法のフォームをカットしマヨネーズ瓶の中に入れ蓋をした後、10人のモニターにそのフォームの臭いを嗅いで貰い、臭いの強さを測定した
○:殆ど臭い無し
△:微かに臭気あり
×:強い臭気有り。
【0063】
実施例1、実施例2は本発明の触媒を用いた例であるが、アミン触媒の臭気がほとんどない。加えてスコーチが発生せず、フォームのアミン臭気もない。
【0064】
これに対し、比較例1、比較例2はエステルスラブ処方で汎用的に使用される分子内に反応性基を持たない3級アミン触媒の例であるが、極めて不快なアミン臭気がする。またフォームに不快なアミン臭気がする。比較例3〜比較例5は分子内に1級アミノ基や2級ヒドロキシル基を持つアミン触媒の例であるが、アミン触媒の臭気がする。また比較例5では発泡初期の泡化反応(水−イソシアネートの反応)が必要以上に進むため、スコーチが発生する。比較例6は分子内にウレイド基(NHCONH2)を持つアミン触媒の例であるが、発泡初期の泡化反応が必要以上に進むため、スコーチが発生する。
【0065】
【発明の効果】
本発明の触媒は、ポリウレタン樹脂原料であるポリイソシアネートとウレイド基並びにポリイソシアネートとウレア基とが反応し、ポリウレタン樹脂骨格中に固定され、樹脂表面等に触媒が移行しないため、触媒の移行に起因する自動車インストルパネルのPVC変色、フォームからの揮発成分移行による窓ガラスの曇り現象防止に有効である。また発泡剤として水を多く使用する処方においても優れたポリウレタンフォームを提供する。更には触媒臭気がほとんどなく、生産されたポリウレタン樹脂の臭いも低減され、発泡現場の環境改善に大いに寄与するため軟質、硬質、半硬質、エラストマー等のポリウレタン製造の際に極めて有効である。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0003994740
    (上記式中、R1、R2、R3は各々独立して水素原子又は炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝状のアルキル基を表し、R4は炭素数が1〜4の直鎖又は分枝状のアルキレン基を表す。)
    で示される化合物を含有してなるポリウレタン樹脂製造用の触媒。
  2. 一般式(1)で示される化合物が、R1が水素原子又はメチル基であり、R2、R3が水素であり、R4がプロピレン基である化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン樹脂製造用の触媒。
  3. 更に、下記一般式(2)
    Figure 0003994740
    (上記式中、R5、R6、R7は各々独立して水素原子又は炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝状のアルキル基を表し、R8は炭素数が1〜4の直鎖又は分枝状のアルキレン基を表す。)
    で示される化合物を含有してなる請求項1又は請求項2に記載のポリウレタン樹脂製造用の触媒。
  4. 一般式(2)で示される化合物が、R5が水素原子又はメチル基であり、R6、R7が水素であり、R8がプロピレン基である化合物であることを特徴とする請求項3に記載のポリウレタン樹脂製造用の触媒。
  5. ポリオールとポリイソシアネートとを、請求項1又は請求項2に記載の触媒の存在下で反応させることを特徴とするポリウレタン樹脂の製造方法。
  6. ポリオールとポリイソシアネートとを、請求項1又は請求項2に記載の触媒の存在下、発泡剤として水及び低沸点有機化合物を用いて反応させることを特徴とするポリウレタンフォームの製造方法。
  7. ポリオールとポリイソシアネートとを、請求項3又は請求項4に記載の触媒組成物の存在下で反応させることを特徴とするポリウレタン樹脂の製造方法。
  8. ポリオールとポリイソシアネートとを、請求項3又は請求項4に記載の触媒組成物の存在下、発泡剤として水及び低沸点有機化合物を用いて反応させることを特徴とするポリウレタンフォームの製造方法。
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