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JP3994295B2 - 銅または銅合金材の変色防止方法及び銅または銅合金材 - Google Patents

銅または銅合金材の変色防止方法及び銅または銅合金材 Download PDF

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    • H05K3/00Apparatus or processes for manufacturing printed circuits
    • H05K3/22Secondary treatment of printed circuits

Landscapes

  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)
  • Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、銅または銅合金材の変色防止方法に関するものである。特には、リードフレームやプリント配線板などの銅または銅合金素材の変色防止方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、リードフレーム等の電子部品材料には高速部分銀めっきが行われることが多い。例えば、金製のボンディングワイヤーを使用してのボンディングに際しては、その接合性の向上のためにリードフレームのボンディング部分に高速部分銀めっきが施される。この高速部分銀めっきは、通常以下のようにして行われる。先ず、リードフレーム等の電子部品材料に用いられる基材を脱脂及び酸洗後、被覆される銀めっき被膜と基材との密着性を良くするため、銅ストライクめっきが施される。次に、銅ストライクめっきが施された基材は、水洗後基材を銀めっき液に浸漬した時に銀の置換析出を防止するための前処理を行った後、必要部分のみに高速電気銀めっきを行う。
【0003】
ここで、銀の置換析出を防止するための前処理は、被めっき基材を銀置換析出防止液中に浸漬することによって実施されるのが普通であるが、このような前処理が必要な理由は次の通りである。
即ち、高速電気銀めっき液は銀濃度が高いため、これにより銀より卑な金属から成る基材を浸漬すると浸漬しただけで銀が大量に置換析出してしまう。この置換析出層は基材に対する密着性が極めて悪く、この上に銀を電気めっきしても密着性は改善されずにめっき被膜の剥がれ乃至は加熱時の膨れや変色を生じる原因となるので、上記置換析出層を極力抑えるべく前記前処理を施すことが必要となるのである。
なお、前処理で使用する処理液はこのような銀の置換防止剤を含有しており、基材表面に薄い置換防止被膜を形成することにより銀の置換を防止するもので、銀の置換防止剤としては例えば、チオカルボン酸もしくはその塩、2,2’−ジピリジル等の含窒素複素環化合物、2−チオバルビツル酸等のチオウレイレン基を環内に含む化合物等が用いられる。
電子部品材料として用いられる基材の部分的な電気銀めっきは上述のような要領で行われるが、この高速部分銀めっきを実施した場合、種々の理由により、前記基材の銀めっき不要部分にも銀がめっきされたり銀の析出が起きたりすることが多い。このような銀の異常析出部を放置しておくと、銀のマイグレーションが起こる可能性があり、電子材料の信頼性が低下する。従って、このような銀の異常析出部は、銀の剥離液を用いて選択的に溶解除去される。
【0004】
このようにして製造された電子部品材料において、その運搬や貯蔵等を行っている際、異常析出部の銀を剥離した後に露出した銅または銅合金基材表面若しくは銅ストライクめっき処理を施した銅めっき面が変色するという問題点があることが認識されるようになった。なお、この変色は、特に銀を剥離した後に露出した銅または銅合金の露出面が運搬や貯蔵等のために重ねられた部位で著しかった。
この変色の原因については未だ明瞭な結論が出ていないが、変色部に酸化銅が生成していることが確認されていることから、
a)銀を剥離した直後なので該部分の銅または銅合金が活性である、
b)銀と銅または銅合金との間に電位差が発生して銅または銅合金表面が活性となる、
等の理由によって銀を剥離した銅または銅合金の露出面部分が酸化されることが変色の原因であると考えられる。
何れにしろ、この銅または銅合金の酸化変色は、モールディング性、はんだ付け性等のアセンブリ特性に悪影響を与え、電子材料の信頼性を低下させることから大きな問題となるものであった。
【0005】
この問題を解決するために、本出願人は先に、銀めっき不要部分に付着した銀を剥離した後の銀剥離面の銅の変色を防止するための処理液として、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、5,6−ジメチル−1H−ベンゾトリアゾール及び2−メルカプトピリミジンから選ばれる1種または2種以上を含有する無機酸及び/または有機酸の酸性溶液からなり、更に必要に応じてpH緩衝剤をも含有する銅変色防止液を提案した(特開平4−160173号)。
しかしながら、その後の検討により、上記銅変色防止液は通常環境化での変色防止効果には大変優れているものの、処理面の耐熱性がそれほど良好ではなく、例えば大気中で280℃程度に30分間ほど加熱されると変色防止液で処理済みのものであっても銅または銅合金の露出面部分に剥離しやすい酸化被膜が形成されがちであることが明らかとなった。
【0006】
このため、本出願人はさらに、“分子内に窒素又は硫黄あるいはこれら両方を含んでいて銅のインヒビターとして働く複素環状化合物”を含有する溶液に銅よりも貴な金属又はその塩を添加して成る、銅又は銅合金の変色防止液を提案した(特願平8−122343号)。この変色防止液を用いると、「銅よりも貴な金属」(代表的には銀)の置換被膜層が10〜1000Å程度の厚さで均一に薄く形成されるため銅又は銅合金は運搬・貯蔵環境から保護され変色が防止され、しかもこの「銅よりも貴な金属」の置換層被膜は耐熱性に富むため比較的高温の環境下に置かれた場合でも自身の酸化及び銅又は銅合金面の酸化を防止することができ酸化膜の剥離といった不都合を来すことはなかった。
ところが、上記の変色防止処理を行った場合には、変色防止処理直後の耐熱性は上がるものの、数ヶ月の放置後には著しく耐熱性が低下することが指摘された。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐変色性に優れると同時に、長期間の保存の後も耐熱性の低下がないような変色防止処理表面を得るための銅又は銅合金材の変色防止手段を確立することを目的とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、銅または銅合金材の耐熱性低下は、高速部分銀めっきの前に行う銀置換防止剤、銀めっきの添加剤、銀剥離剤等に含まれる有機物が、最終工程まで残留することに起因することがわかった。即ち、銅または銅合金材の表面に吸着した有機被膜の大部分は高速部分銀めっき、不要部の銀剥離処理で除去されるが、銀めっきや銀剥離の条件によっては一部銅面に残留し、その上に銅変色防止被膜が形成されることになる。
そこで、銅の変色防止処理工程の前に残留する有機被膜を酸,アルカリで洗浄することにより、良好な銅変色防止被膜が形成され、良好な耐熱性、耐食性を示すことが明らかになった。
【0009】
本発明は、この知見に基づいて、
1.銅または銅合金の表面に残留する銅変色防止機能を有する被膜以外の有機被膜を実質的に除去し、銅変色防止機能を有する被膜を表面に形成することを特徴とする銅または銅合金材の変色防止方法
2.銅または銅合金材に対して酸洗浄またはアルカリ洗浄を行った後、変色防止処理を行うことを特徴とする請求項1記載の銅または銅合金材の変色防止方法
3.銀置換防止処理とそれに引き続く銀めっきを行った銅または銅合金材に対して、残留する有機被膜を酸またはアルカリで洗浄・除去し、その後変色防止処理を行うことを特徴とする銅または銅合金材の変色防止方法
4.銅または銅合金材に対して、銅のインヒビターに銅よりも貴な金属またはその塩を添加して成る変色防止液による変色防止処理を施す前または後に酸洗浄またはアルカリ洗浄を行うことを特徴とする請求項1記載の銅または銅合金材の変色防止方法
5.銀置換防止処理とそれに引き続く銀めっきを行った銅または銅合金材に対して、銅のインヒビターに銅よりも貴な金属またはその塩を添加して成る変色防止液による変色防止処理を施す前または後に酸洗浄またはアルカリ洗浄を行うことを特徴とする請求項1記載の銅または銅合金材の変色防止方法
6.銅または銅合金の表面に残留する銅変色防止機能を有する被膜以外の有機被膜が実質的に除去され、銅変色防止機能を有する被膜が表面に形成されていることを特徴とする銅または銅合金材
を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における変色防止処理を施される基材としての「銅または銅合金材」とは、銅あるいは銅合金のみからなる無垢の材料はもちろんのこと、鉄または鉄合金、ニッケルまたはニッケル合金等といった金属に銅ストライクめっき処理を施したものなど、銅あるいは銅合金の表面が存在する材料の全てを包含するものである。
【0011】
銅または銅合金材は、その表面に残留する銅変色防止機能を有する被膜以外の有機被膜を実質的に除去され、銅変色防止機能を有する被膜を表面に形成される。
表面に残留する銅変色防止機能を有する被膜以外の有機被膜を除去するために変色防止工程の前に酸洗浄またはアルカリ洗浄を行う。通常、銀置換防止処理とそれに引き続く銀めっきを行った後、酸洗浄またはアルカリ洗浄を行うが、酸洗浄またはアルカリ洗浄工程は、銀めっきの後、さらに銀剥離工程の後に行っても良いし、あるいは銀剥離工程の前に行っても構わない。
酸洗浄またはアルカリ洗浄は、主成分として、酸またはアルカリを0.1%以上、50%以下、好ましくは1〜10%含有する水溶液によって行えば良い。
酸としては、無機酸、有機酸のいずれも使用することが可能であり、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、ホウ酸、スルホン酸、酢酸、クエン酸などが代表的に挙げられる。
アルカリとしては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化ナトリウム等の無機アルカリ、アミン等の有機アルカリが代表的に挙げられる。
酸またはアルカリ濃度が低すぎると効果がなく、濃度が高すぎると素材のエッチングが激しすぎるため好ましくない。
【0012】
なお、洗浄液には必要に応じて、pH緩衝剤として、無機酸、有機酸またはその塩などを1〜500g/L、好ましくは10〜100g/L添加しても良い。pH緩衝剤の濃度が低すぎると、pH緩衝能が低く、濃度が高すぎてもそれ以上の効果が期待できないため好ましくない。
【0013】
また、必要に応じてアニオン系、カチオン系、ノニオン系界面活性剤のいずれかまたはその混合物を1μg/L〜10g/L、好ましくは10μg/L〜1g/L添加しても良い。界面活性剤の濃度が低すぎると、界面活性能が低く、濃度が高すぎてもそれ以上の効果が期待できないため好ましくない。
【0014】
洗浄液のpHは特に限定されない。
洗浄液の液温は5〜80℃、好ましくは10〜50℃とすべきである。液温が低すぎると洗浄能力が低く、液温が高すぎてもそれ以上の効果が期待できず、また、設備の腐食につながるため好ましくない。
【0015】
酸洗浄またはアルカリ洗浄の方法は、銅または銅合金材を洗浄液に浸漬するかまたは、銅または銅合金材に洗浄液を散布(シャワー、スプレー等)することによって行えば良い。
【0016】
酸洗浄またはアルカリ洗浄処理を行った銅または銅合金材は、その後、変色防止処理が施される。変色防止処理は、銅変色防止液に浸漬するかまたは銅変色防止液を銅または銅合金に散布(シャワー、スプレー等)することによって行う。銅変色防止液は、一般的なベンゾトリアゾール系の変色防止剤を含むもの等の他、特願平8−122343号に記載した“分子内に窒素又は硫黄あるいはこれら両方を含んでいて銅のインヒビターとして働く複素環状化合物”を含有する溶液に銅よりも貴な金属又はその塩を添加して成るもの、など公知の銅変色防止液のいずれを用いても構わない。
【0017】
なお、銅または銅合金材に対して、「銅のインヒビターに銅よりも貴な金属またはその塩を添加して成る変色防止液」を用いる変色防止処理を施す場合には、酸洗浄またはアルカリ洗浄はその変色防止処理の後に行っても良い。これは、「銅のインヒビターに銅よりも貴な金属またはその塩を添加して成る変色防止液」を用いた変色防止処理を施した場合には表面に「銅よりも貴な金属」の置換被膜層が形成されることによって変色防止機能が付与されるが、この変色防止機能を有する置換被膜層は、通常の有機化合物による銅変色防止被膜とは異なり、酸洗浄またはアルカリ洗浄によっても銅または銅合金基材上に残留し銅変色防止機能を発揮することが可能だからである。
【0018】
本発明の銅または銅合金材の変色防止方法においては、主に銀置換防止剤などに含まれ、基材表面に残留していた有機物被膜が酸洗浄またはアルカリ洗浄によって洗浄除去されるとともに変色防止処理によって良好な銅変色防止機能を有する被膜が形成されるため、不要有機物の残留に起因する耐熱性、耐食性の低下などを抑制することができる。
【0019】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明の範囲は実施例によって限定されるものではない。
厚さ0.1μmの銅ストライクめっきを施した「25mm幅×40mm×0.2mm厚」の銅合金(Cu:97.77%-Sn:2.0%-Ni:0.2%-P:0.03%)製基材を純水で水洗した後、銀置換防止剤である2−チオバルビツル酸を100mg/L含むとともに、pHが10に調整された銀置換防止液に液温30℃で10秒間浸漬し、続いて純水水流で洗浄した。
その後、
KAg(CN)2:130g/L
2HPO4 :100g/L
を含むとともにpHが8.5に調整された高速電気銀めっき液に浸漬して電流密度70A/dm2で10秒間銀めっきを行った。
その後、銀めっきした基材を純水で洗浄してから、中央部(7mm×6mm)を除く他の部位の銀めっき層を市販の銀剥離液を用いて溶解除去し、再度純水で水洗した後、表1に記載の洗浄液に浸漬するかまたは表1に記載の洗浄液を基材表面に散布(シャワー)する処理を行った。
【0020】
【表1】
Figure 0003994295
【0021】
さらに、純水で水洗した後、表1に記載の変色防止液に基材を10秒間浸漬する変色防止処理を行った。
なお、変色防止剤として銅インヒビターに銅よりも貴な金属を添加して成る変色防止液を用いた場合については、該変色防止処理の前に酸洗浄を行った場合(実施例5)だけでなく該変色防止処理の後に酸洗浄を行った場合(実施例7)も併せて示した。
【0022】
このような処理を行った各基材について、「30分間加熱後、テープによるピールテストで銅酸化被膜が完全に剥離する温度」を調べて耐熱性の評価を行った。
なお、変色防止処理を行った後12ヶ月放置した後に同じ試験を行い、長期間保管後の耐熱性を評価した。
また、変色防止処理を行った各基材を煮沸純水中に10分間浸漬し、銅ストライクめっき部(剥離液によって銀めっき層を除去した部位)の変色を目視により判定し、耐変色性の評価を行った。ここで、「煮沸純水中に10分間浸漬する」という前記熱処理は、大気中に放置した場合の加速試験として通常に行われている処理である。
【0023】
なお、比較例として、酸洗浄またはアルカリ洗浄を行わずに実施例1,5,6と同じ変色防止処理を行った場合について、同様の試験を行い、その結果を評価した。これらの結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
Figure 0003994295
【0025】
表1、2に示した結果から、本発明に係る変色防止方法を施した場合には、非常に良好な耐熱性、耐変色性を示すと同時に、12ヶ月放置後の耐熱性は変色防止処理直後と同じ高い耐熱性を示した。
これに対して、比較例では、同じ変色防止を用いて剤理を行った場合でも酸洗浄またはアルカリ洗浄を行った場合に比べて耐熱性が低く、また、12ヶ月放置後の耐熱性は低下するという問題があった。
【0026】
【発明の効果】
本発明の銅または銅合金材の変色防止方法を施すことにより表面に残留する不要有機被膜が実質的に除去され、銅変色防止被膜が表面に形成された銅または銅合金材は、非常に良好な耐熱性、耐変色性を示すと同時に、長期間保管後でも変色防止処理直後と同じ高い耐熱性を示す。従って、高速部分銀めっきが施された電子部品材料(例えばリードフレーム)等の信頼性向上に大きく寄与し得るなど、産業上有用な効果がもたらされる。

Claims (6)

  1. 銅または銅合金に対して銀めっきを行い、さらに変色防止処理を行う処理において、変色防止処理の前に残留する有機被膜を酸またはアルカリで洗浄・除去し、その後に変色防止処理を行うことを特徴とする銅または銅合金材の変色防止方法。
  2. 銅または銅合金材に対して置換防止処理を行い、その後に銀めっきを行うことを特徴とする請求項1記載の銅または銅合金材の変色防止方法。
  3. 銀めっきをおこなった後、銀めっき不要部分に付着した銀を剥離し、その後に変色防止処理を行うことを特徴とする請求項1または2記載の銅または銅合金材の変色防止方法。
  4. 部分銀めっきの前に使用される銀置換防止剤、銀めっきに際して使用される銀めっき添加剤または銀めっき不要部分に付着した銀を剥離するために銀剥離材を用いたそれぞれの処理の後、または全ての処理の後に、前記処理によって残留する有機物を、酸洗浄またはアルカリ洗浄により洗浄・除去し、その後に変色防止処理を行うことを特徴とする銅または銅合金材の変色防止方法。
  5. 前記変色防止処理に際して、銅のインヒビターに銅よりも貴な金属またはその塩を添加した変色防止液により変色防止処理を施す場合には、変色防止処理の前または後に酸洗浄またはアルカリ洗浄を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の銅または銅合金材の変色防止方法。
  6. 前記請求項1〜5の銅または銅合金材の変色防止方法によって銅変色防止機能を有する被膜が表面に形成されていることを特徴とする銅または銅合金材。
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