JP3991405B2 - インクジェット記録ヘッド用ノズル板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプリンタやファクシミリ等の画像記録装置に使用されるインクジェット記録ヘッド及びそれに使用されるノズル板の製造方法に関する。特に、本発明はインクジェット記録ヘッドにおいて一度に噴射されるインク量が微小(例えば20pl以下)なノズルを有するノズル板に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばプリンタにおいては、ワイヤを駆動し、インクリボン及び用紙を介してプラテンに押圧することで印字を行うワイヤ駆動型の記録ヘッドと、インクをノズルから噴射するインクジェット記録ヘッドとがある。後者のタイプは前者のタイプと比べて騒音が発生せず、オフィス内での使用に適しているとして注目されている。
【0003】
従来のインクジェックト記録ヘッドは、ノズルと、圧力室と、インク供給系と、インクタンクと、トランスデューサとを備え、トランスデューサで発生した変位を圧力室に伝達することによってノズルからインクを噴射させ、紙等の記録媒体上に文字や画像を記録する。
一般によく知られている方式は、トランスデューサとして圧力室の外壁に接着された圧電素子ユニットを用いる。この圧電素子ユニットにパルス状の電圧を加え、圧力室の内壁を形成する加圧板を撓ませ、加圧板の撓みを圧力室内に伝達するものである。
【0004】
従来のインクジェット記録ヘッドに用いられるノズル板の製造方法の一例が図13に示されている。図13に示されるノズル板1は電鋳法により製造される。すなわち、(A)に示されるように、導電性を有する平板2の上に数μm以下の厚さの絶縁性のマスク(レジスト)3を形成し、(B)に示されるように、オーバーハングによる電鋳にてNiメッキ板4を形成し、(C)に示されるようにNiメッキ板4を平板2及びマスク3から剥離してノズル板1とする。マスク3の跡の部分がノズル5となる。
【0005】
また、図14に示されるノズル板1はプレス法により製造される。すなわち、(A)に示されるように、金属板6に所望の形を有するピン7をプレスし、(B)に示されるように、金属板6の表面を研磨してプレスによるバリ等を除去してノズル板1とする。ピン7の跡の部分がノズル5となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
いずれの場合にも、ノズル板1のノズル5は非常に小さく、インク噴射側の穴径が例えば35μm以下になる。このように非常に小さな穴径のノズル5を有するノズル板1を製造する場合、ノズル板1の厚さをある程度に確保するのが難しかった。所望の厚さのノズル板1を得ようとする場合、次のような問題点があった。
【0007】
マスクを用いた電鋳法では、ノズル穴径の制御はメッキ時間、電流、メッキ液内のNi濃度等を制御しなければならず、全てを適切に制御することは非常に困難である。ノズル板の厚さは形成するノズルの穴径とノズルピッチにより一義的に決定されるので、ノズルの穴径が小さいほど、ノズル板の厚さは薄くなる。ノズル形状がホーン状に変化するため、設計が困難である。また、ノズル形状はメッキ槽内の液の流れにより形が変形する。
【0008】
また、プレス法では、ノズルの穴径が小さいほど、プレス用のピンが細くなり、ピン先端の寿命が短い。加工可能な金属板の厚さtmはプレスに用いるピンの径dpに依存し、tm≦1.6×dpの式の範囲で制限される。従って、ノズルの穴径が小さいと、金属板の厚さを厚くすることができない。
さらに、電鋳法及びプレス法のどちらの方法においても、ノズル板のインク飛翔側の表面に撥水膜を形成する場合、ノズル板のノズル内に撥水膜の材料がつまらないようにしなければならず、撥水膜を形成に際してノズル内にレジスト等を埋め込むことが必要になる。これは、ノズル内でのレジスト先端の位置制御が困難である。撥水膜形成後に穴内にレジストが残留する。
【0009】
また、ノズル板の厚さを増加するために、穴あきの複数の板を積層してノズル板を形成した場合、各板の穴を整合させるのが難しく、ノズル内に複数の板を接合するときのずれからくる段差が発生するという問題がある。
本発明の目的は、微小な穴径のノズルをもち、十分な厚さをもったノズル板を備えたインクジェット記録ヘッドを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によるインクジェット記録ヘッド用ノズル板の製造方法は、インクを噴射するノズルに相当する複数の穴を形成してある金属板に該金属板とは反対側に予め撥水膜を形成した該樹脂シートを接合し、該金属板側よりレーザ照射を行うことにより該樹脂シートに該金属板の穴と連通するテーパー形状の内壁を有する穴を形成することを特徴とする。
【0012】
この場合、金属板に樹脂シートを接合し、金属板側から全面にレーザー光を照射する。レーザー光としてはエキシマレーザー等の加工性のあるものとし、金属板が樹脂シートへのレーザ照射の際のマスクとして作用し、金属板の微小穴を通過したレーザ光が接合してある樹脂シートに当たり、樹脂シートの照射された部分のみを加工する(削る)。よって、複数の微小な穴径のノズルを有するノズル板がノズル内に段差がなく得られる。
【0013】
上記構成とともに次の構成を採用することができる。
該ノズル板の該金属板と該樹脂シートとの接合部において、該ノズル板の表面と平行をなす該樹脂シート面が該金属板の穴から露出していない。
該樹脂シートの穴の内壁のノズルの中心と平行な線に対する角度と該金属板の穴の内壁のノズルの中心と平行な線に対する角度との差がが30度以下である。
【0014】
該ノズル板の該金属板と該樹脂シートの厚さの比は、50:1〜0.4:1の範囲内にある。
該ノズル板の該金属板の厚さ(tm)は、該ノズルとして形成する穴の直径(D)に対して、0.002D≦tm≦1.0×Dの範囲内の厚さである。
該樹脂シートとして用いる材料としては、PEN、PET、PES等の耐インク性のあるもの、並びにドライフィルムレジストのいずれかを用いる。
【0015】
ドライフィルムレジストを用いる場合、該樹脂シートを該金属板にラミネートし、加熱硬化を行った後に、レーザ照射にてノズル穴形成を行う。
該金属板と該樹脂シートとの接合面に熱硬化性接着剤が塗布してある。
該樹脂シートには該金属板とは反対側に撥水膜が形成してある。
【0016】
【発明の実施の形態】
図10は、インクジェット記録ヘッド10を有するプリンタ12を示す側面図である。図10において、プリンタ12はキャリッジ14を有し、インクジェット記録ヘッド(以下単にヘッドと言う)10とインクタンク16とがキャリッジ14に取り付けられている。プリンタ12はさらに送りローラ18及びそのピンチローラ20、ヘッド10と対向するプラテン22、排出ローラ24及びそのピンチローラ26、並びにスタッカ28を有する。印刷用紙等の記録媒体30は、送りローラ18及びピンチローラ20によってヘッド10とプラテン22の間へ搬送され、ヘッド10によってインクを噴射され、印字等の処理を行われた後、排出ローラ24及びそのピンチローラ26によってスタッカ28へ排出される。
【0017】
図11はヘッド10を示す分解斜視図である。図12はヘッド10を示す部分断面図である。図11において、ヘッド10は、ノズル32を有するノズル板34と、インク流露形成板36、38と、加圧板40と、トランスデューサとしての圧電素子ユニット42とからなる。圧電素子ユニット42はホルダ44に配置され、ノズル板34とインク流露形成板36、38と加圧板40は順番に重ねられてホルダ44に取り付けられる。ピン46はこれらの板部材をホルダ44に対して位置決めする。
【0018】
ホルダ44はインクタンク16に通じるインク通路48を含み、このインク通路48は加圧板40に設けられた穴状のインク通路40a、流露形成板36、38に設けられた穴状のインク通路36a、38aを介して、流露形成板36に設けられた溝状のインク通路36iに連通する。さらに、流露形成板36、38はノズル板34のノズル32と対応して形成された小孔36p、38pを有し、これらの小孔36p、38pは図12に示される圧力室Pを形成する。各圧力室Pは溝状のインク通路36iに通じている加圧板40は切り欠きによって分離された振動壁部40qを有する。加圧板40の振動壁部40qは図12に示されるように圧力室Pの外壁を形成し、隣接する振動壁部40qは弾性部40rで接続される。圧電素子ユニット42は接着剤50によって振動壁部40qに固着される。
【0019】
ホルダ30の圧電素子ユニット42の後側にはプリント板が設けられており、図示しないインクジェット記録装置本体からの印字信号がプリント板を介して圧電素子ユニット42へ伝えられる。圧電素子ユニット42に電圧を印加すると、圧電素子ユニット42は伸縮し、加圧板40の振動壁部40qを動かして圧力室P内のインクに圧力を発生させ、ノズル板34のノズル32からインク滴Iを噴射させる。図11及び図12においては、ノズル板34は4列のノズル32を有する。
【0020】
図1はヘッド10のノズル板34を製造する手順及びノズル板32の特徴を示す図である。図1においては、(A)に示されるように、所定の厚さの金属板52と所定の厚さの樹脂シート54とが準備される。金属板52は製造すべきノズル板34のノズル32に相当する複数の微小穴径の穴56と、位置決めピン46を挿入するための位置決め穴58とを有する。樹脂シート54は基本的に穴をもたない。
【0021】
図1の(B)に示されるように、樹脂シート54は金属板24に接合される。それから、図1の(C)に示されるように、樹脂シート54と金属板24との積層体に、金属板52側から全面にレーザー光(L)を照射する。レーザー光としてはエキシマレーザー等の加工性のあるものとする。金属板52が樹脂シート54へのレーザ照射の際のマスクとして作用し、金属板52の微小な穴56を通過したレーザ光が接合してある樹脂シート54に当たり、金属板52の穴56を透過したレーザ光が樹脂シート54を加工する(削る)。
【0022】
よって、図2に示されるように、樹脂シート54には金属板52の穴56と連通する穴60が形成される。金属板52と樹脂シート54との積層体がノズル板34となり、穴56と穴60がノズル32となる。使用においては、樹脂シート54がヘッド10の表面側、すなわちインクの飛翔側に配置される。
このように、ノズル板34は、金属板52と樹脂シート54の積層体からなる構成とすることにより、比較的に薄い金属板52にノズル32に相当する穴56を形成し、この金属板52に接合された樹脂シート54に金属板52の穴56に基づいて穴60を形成して、ノズル32をもったノズル板34を製造することができる。こうして、微小な穴径のノズル32をもった、所望の厚さのノズル板34を得ることができる。これによって、ノズル板34のノズル32のインク噴射側の穴径が35μm以下であっても、十分な厚さのノズル板34を得ることができる。さらに、金属板52と樹脂シート54とを接合してノズル板34を形成し、樹脂シート54を外面側に配置して使用することにより、ノズル板34からインクを噴射した後にノズル板34の表面に付着したインクを除去する場合、金属単体のノズル板よりも容易にインクを除去することができる。
【0023】
金属板52と樹脂シート54との接合部において、ノズル板34の表面と平行をなす樹脂シート面が金属板52の穴56から露出していない。つまり、穴56の内壁と穴60の内壁とは段差がなく連続する。もしノズル32の内壁が連続でなく、金属板52と樹脂シート54との接合面の一方がノズル32から露出している場合は、樹脂シート54に形成した穴60と金属板52に形成した穴56との段差に気泡が残留したり、インクのメニスカスの移動時に段差部で挙動が不連続となり、安定したインク飛翔が得られない。
【0024】
金属板52をマスクとしてレーザ光の照射により形成された樹脂シート54の穴60は概してテーパーをもつ形状になる。テーパーの角度はレーザ光の照射の仕方によって制御できる。
図2においては、金属板52の穴56はテーパーをもつ形状に形成され、樹脂シート54の穴60も金属板52の穴56のテーパーと同様のテーパーをもつ形状に形成される。従って、金属板52の穴56と樹脂シート54の穴60とはほぼ単一の円錐面形状の内壁をもったノズル32を形成する。
【0025】
図3においては、樹脂シート54の穴60の内壁のノズル32の中心と平行な線に対する角度θpと金属板52の穴56の内壁のノズル32の中心と平行な線に対する角度θmとが異なっている。θm≧θpである。
図4においては、樹脂シート54の穴60の内壁のノズル32の中心と平行な線に対する角度θpと金属板52の穴56の内壁のノズル32の中心と平行な線に対する角度θmとの差が30度以下である。すなわち、(θm−θp)<30°である。
【0026】
このように、ノズル板34における金属板52の穴60の内壁と樹脂シート54の穴60の内壁との角度差を30度以下にすることで、インク噴射後のインク飛翔位置がノズル板34に形成したノズル32の中心線上に集まり、記録媒体上の所望の位置に印字が可能となる。金属板52の穴60の内壁と樹脂シート54の穴60の内壁との角度差を小さくすることで、インク飛翔位置のバラツキは小さくなる。
【0027】
図5は、ノズル板34を形成するための金属板52を形成する例を示す図である。図5においては、金属板52は電鋳法により形成される。すなわち、導電性の板62に絶縁性の突起64を形成しておき、導電性の板62を一方の電極としてニッケルメッキを行うと、ニッケルメッキ層として金属板52が形成される。金属板52を導電性の板62の板から剥離すると、穴56は絶縁性の突起64の跡に形成される。
【0028】
図6は、ノズル板34を形成するための金属板52を電鋳法により形成する他の例を示す図である。図6においては、導電性の板62に絶縁性の突起64を形成しておき、突起64が円錐形の形状を有するものとする。導電性の板62を一方の電極としてニッケルメッキを行うと、ニッケルメッキ層として金属板52が形成される。金属板52を導電性の板62の板から剥離する、テーパーをもった穴56が絶縁性の突起64の跡に形成される。金属板52の形成においては、ノズル板34の金属板52がインクに接触してもインク内の成分、例えば染料等に対してこれらを凝集もしくは析出させないように、スルファミン酸系のメッキ液を用いることとする。
【0029】
従来はノズル板全体を電鋳法のみによって形成せしめようとしていたため、形成する所望の穴径に対して板の厚さが得られず、ノズル部でのインク保持力か小さくなっていた。これに対して、本発明では電鋳による金属部分は微小穴径形成のみを目的とし、後に金属板に樹脂シートを接合することから、ノズル部でのインク保持力は接合し、微小穴形成をした樹脂シートから得られることから、ノズルとして有効となる。
【0030】
図7は、ノズル板34を形成するための金属板52をプレス法により形成する例を示す図である。図7においては、金属板52を先端がテーパー形状のピン66でプレスする。テーパーをもった穴56がピン66の跡に形成される。本発明においては、ノズル板34は金属板52と樹脂シート54との積層体として形成されるので、金属板52自体には金属単体でノズル板を形成する場合ほどの厚さは要求されない。そして、図2から図4に示したようにノズルがテーパー形状に形成される場合、樹脂シート54の穴60が小さくても、金属板52の穴56の大きさは金属単体でノズル板を形成する場合よりも微小でなくてもよい。
【0031】
ノズル板34の金属板52と樹脂シート54の厚さの比は、50:1〜0.4:1の範囲内にあるのが望ましい。ノズル32の穴56、60の内壁が形成する角度差の上記条件内において、ノズル板34を形成する金属板52の厚さtmの範囲は、5μm≦tm≦100μmにあるのが好ましい。金属板52の厚さが5μmより薄い場合は樹脂シート54を接合する時にしわや変形が極端に増加し、100μmより厚い場合は微小穴径の加工性が低下する。また、ノズル板34の金属板52に関し、金属板52の厚さtmは、ノズル32として形成する穴56の最小直径(D)に対して、0.002D≦tm≦1.02×D の範囲内の厚さであるのが好ましい。
【0032】
金属板52の加工範囲に対する樹脂シート54の厚さの範囲は、金属板52と樹脂シート54との形成するノズル32の毛管力等のインク保持力を考慮し、金属板52の厚さが、50μm≦tm≦100μmの場合には、樹脂シートの厚さtpの範囲は、2μm≦tp≦50μmとするのがよい。また、金属板52の厚さが、5μm≦tm≦50μmの場合には、樹脂シートの厚さtpの範囲は、6μm≦tp≦100μmとするのがよい。
【0033】
樹脂シート54として用いる材料としては、PEN、PET、PES等の耐インク性のあるもの、もしくはドライフィルムレジストを用いるのがよい。樹脂シート54と金属板52との接合面に熱硬化性接着剤が塗布してある。ドライフィルムレジストを用いる場合、金属板52上にラミネート後、加熱硬化を行った後に、レーザ照射にてノズル穴形成を行う。また、樹脂シート54の熱硬化性接着剤の塗布面とは反対側に撥水膜が形成してある。
【0034】
金属板52の形成に電鋳法を用いる場合、図5及び図6に示されるように絶縁性の突起64を用いる場合、形成する金属板52の厚さtmは所望のノズル径に対応する絶縁性の突起(例えばレジスト)64の直径drに対して、tm<drの範囲とする。従来よりの問題点であったメッキ後の成長面の研磨は、電鋳による金属板52の厚さをより厚くとろうとする場合に発生し、本発明における板厚さの範囲内では、微小穴径が35μmの場合に絶縁性の突起64のまわりに形成される金属の厚さの増加は3μm以下であり、これは、後の工程で吸収可能な厚さである。また、本発明では樹脂シート54接合後に金属板52側からレーザ照射を行うために、本過程において金属板52の微小穴内に残留したレジストは除去することが可能である。
【0035】
金属板52に形成する微小穴径に関し、前記金属板52の厚さの範囲内で、金属製のピン66によるプレス加工で形成する場合、本発明では後に金属板52に樹脂シート54を接合することから、ノズル部でのインク保持力は接合し、微小品形成をした樹脂シート54により得られることから、ノズル32として有効になる。
【0036】
従来よりの加工法であるプレス法による微小穴に関し、金属板の厚さを最大限で得ようとするため、使用するピン66の寿命が短くなる。本発明では、金属板52は樹脂シート54に微小穴を形成するためにレーザ照射用のマスクとして樹脂シート54上に接合していればよいので、金属板52にノズル32の長さに対応する厚さを必要としない。このため、微小な穴が精度よく形成されていればよく、金属板52の厚さは使用するピン66に負担を与えない範囲とすることができる。
【0037】
ノズル板34の樹脂シート54に用いる樹脂は、常にインクと接触していることから、インクに対して膨潤あるいは溶解等が発生してはいけない。インクには数パーセント程度のアルコール分が入っており、耐性のあるPEN、PET、PESあるいはインクジェット記録ヘッドのインク流露を形成するために用いるドライフィルムレジストを用いることが望ましい。
【0038】
樹脂シート54を用いる場合には、予め厚さが均一で硬化後に耐インク性を有する接着剤が塗布してあるものとする。厚さの均一性は加工後のノズル32の長さが接着剤部分でばらついた場合、ノズル32のインク保持力(液体の抵抗)がノズル32毎に異なり、結果として噴射するインクの量、速度にバラツキが発生する。
【0039】
図8はノズル板34を形成するための金属板52を取り出すための基板70を示す図である。基板70は複数の(4個の)金属板52を取り出すようになっている。基板70はステンレス板であり、各金属板52は穴56を有する。金属板52の厚さを20μmとし、穴56の直径を20μmとし、穴56の内壁の角度θpを0度として形成した。基板70は金属板52を切り出すための弱め線68を形成してある。
【0040】
図9は樹脂シート54の例を示す図である。樹脂シート54はPEN#26(tp=16μm)を基材とし、樹脂シート54の金属面板52との接合面側にパナック(株)製のポリウレタン系熱硬化型接着剤70を5μm塗布し、樹脂シート54の系熱硬化型接着剤の塗布面とは反対側に(株)永井表面技術研究所製の撥水性膜72を2μmコーティングした。基板70から金属板52をを切り出した後、金属板52と樹脂シート54とを熱硬化型接着剤70を介して接合し、120℃・5kg/cm2 ・0.5m/分でラミネートし、後に150℃にて2時間、10kg/cm2 の圧力下で硬化接着を行った。
【0041】
この金属板52と樹脂シート54との積層体を金属板54側からエキシマレーザを用いて樹脂シート54に微小穴60を形成した。エキシマレーザの条件は以下である。出力:50W、パルス幅:16ns、光強度:0.85J/cm2 ・パルスであった。これにより、樹脂シート54に金属板52に形成した微小穴56と同形状の微小穴60が同時に形成できた。
【0042】
本発明のノズル板34を用いた場合、樹脂シート54に形成したノズルの穴60が従来のノズル板よりも長く形成できており、飛翔方向のバラツキも小さくなっている。特に、接着剤70は樹脂シート54に予め塗布する接着剤であるため、接合時に熱により再び溶解し、接着硬化が現れる熱硬化性接着剤であるのが好ましい。さらに、硬化後に耐インク性を有する接着剤としてはポリウレタン系が好ましい。
【0043】
樹脂シート54が金属のみを用いたノズル板よりも撥水性があり、ノズル表面に付着したインクを容易に除去できるが、よりワイピング性を向上させるには、樹脂シート54上に撥水性膜72をコーティングすることが望ましい。この場合、樹脂シート54のノズル板34のインク噴射側となる面の表面全部に予め撥水性膜72を所望の厚さでコーティングしておき、金属板52との接合後、金属板52側からのレーザ照射にて樹脂シート54に形成する穴加工時に同時に開口部を形成する。これにより、形成された微小穴60まわりに均一に開口部のエッジるで撥水性膜72が覆うことになり、良好なインク飛翔とワイピング特性が得られる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数の微小穴を有する金属板を用い、これに樹脂シートを接合後、レーザ照射による微小穴形成によって、微小で長いノズルをもつノズル板を得ることが可能となった。また、加工前にノズル板前面に撥水膜を形成することで、微小穴形成後、穴近傍まで確実に撥水膜が形成され、且つ穴内部のレジスト等の有機付着物も確実に除去可能である。さらに、プレスにて金属板に微小穴を形成する場合でも、金属板の厚さが薄くてよいことからピンの寿命を長くでき、結果としてノズル板のコスト低減にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によりノズル板を製造する手順を示す図である。
【図2】本発明により形成されたノズル板を示す断面図である。
【図3】ノズル板の変化例を示す断面図である。
【図4】ノズル板の変化例を示す断面図である。
【図5】ノズル板を形成するための金属板を作る例を示す図である。
【図6】金属板を作る他の例を示す図である。
【図7】金属板を作る他の例を示す図である。
【図8】ノズル板を形成するための金属板を形成するための基板を示す図である。
【図9】接着剤と撥水性膜を塗布した樹脂シートを示す断面図である。
【図10】インクジェット記録ヘッドを有するプリンタを示す図である。
【図11】インクジェット記録ヘッドを示す分解斜視図である。
【図12】インクジェット記録ヘッドを示す部分断面図である。
【図13】従来技術を説明する図である。
【図14】従来技術を説明する図である。
【符号の説明】
32…ノズル
34…ノズル板
36、38…インク流露形成板
40…加圧板
42…圧電素子ユニット
52…金属板
54…樹脂シート
56…穴
60…穴
70…接着剤
72…撥水性膜
Claims (1)
- インクを噴射するノズルに相当する複数の穴を形成してある金属板に該金属板とは反対側に予め撥水膜を形成した該樹脂シートを接合し、該金属板側よりレーザ照射を行うことにより該樹脂シートに該金属板の穴と連通するテーパー形状の内壁を有する穴を形成することを特徴とするインクジェット記録ヘッド用ノズル板の製造方法。
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