JP3991170B2 - Scroll compressor - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和機、冷凍機等に用いられるスクロール圧縮機であって、固定スクロールを軸方向に変位可能としたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
図11は従来のこの種のスクロール圧縮機の一例として、特開昭63−80088号公報に記載されたスクロール圧縮機を示している。図中、1は固定スクロールであり、その台板1aの一方の面に板状の渦巻歯1bが突設されている。2は揺動スクロールであり、その台板2aの一方の面に板状の渦巻歯2bが突設され、渦巻歯2b突設面と反対側の面には主軸7の一端部と係合する係合ボス部2cが突設されている。これら固定スクロール1及び揺動スクロール2は、互いの渦巻歯1b及び2bを対向状に組み合わせて圧縮室6を形成している。
【0003】
3はその外周部で密閉容器9に固着されたフレームである。このフレーム3は揺動スクロール2の台板2aを渦巻歯2b突設面と反対側から摺動自在にスラスト支持するとともに、主軸7の一端近傍部を回動自在に支持している。10は板バネである。この板バネ10にはボルト穴(不図示)が4つ穿設されており、その両端の2つのボルト穴にそれぞれ挿入されたボルト(不図示)により固定スクロール1の台板1aの延長部分1eの上面に固定されている。また、板バネ10中央部の2つのボルト穴にそれぞれ挿入されたボルト(不図示)によりフレーム3の上端面に固定されている。したがって固定スクロール1とフレーム3とは板バネ10を介して連結されており、板バネ10が弾性変形することにより固定スクロール1はフレーム3に対して主軸7の軸方向に変位可能であるとともに、周方向及び径方向には本質的に変位しない状態に支持されている。15は密閉容器9外部の低圧ガスを内部に吸入する吸入管である。23は油溜めで、ここに貯留された潤滑油が圧縮機の軸受け等の摺動部に供給されるようになっている。
【0004】
固定スクロール1の台板1a上部には第1ピストン31及び第2ピストン32が同心状に形成され、それぞれ覆い部材33に同心状に形成された第1シリンダ室36及び第2シリンダ室37に軸方向に摺動自在に嵌合されている。また、第1シリンダ室36は第1ピストン31の外周面に設けられた可撓性を有する第1シール材34により第2シリンダ室37とシールされ、第2シリンダ室37は第2ピストン32の外周面に設けられた可撓性を有する第2シール材35により低圧側とシールされている。1cは固定スクロール1の台板1aのほぼ中央に形成された圧縮ガスの吐出ポートである。
【0005】
このスクロール圧縮機では、電動機8により主軸7が回転駆動されると、主軸7に係合ボス部2cで係合した揺動スクロール2がフレーム3に支持されながら旋回動し、これに伴い圧縮室6で圧縮された冷媒ガスは吐出ポート1cを経て第1シリンダ室36に入り、次いで第1シリンダ室36の上部周壁面に複数形成された開口38を経て第1シリンダ室36外側のガス吐出室39に入り、さらに吐出管(不図示)を経て密閉容器9外へ吐出される。
【0006】
なお、1dは圧縮途中の圧縮室と第2シリンダ室37とを連通し、中間圧力の圧縮ガスを第2シリンダ室37へ導入するための抽気孔である。前記スクロール圧縮機では、固定スクロール1が板バネ10の弾性変形により軸方向に変位可能とされているため、第1シリンダ室36内のガス圧(吐出圧力)が第1ピストン31に作用し、第2シリンダ室37内のガス圧(中間圧力)が第2ピストン32に作用し、これら作用した圧力により固定スクロール1が揺動スクロール2側に押圧付勢され、この付勢力により固定スクロール1と揺動スクロール2との間の密封状態が保たれるようになっている。
【0007】
しかし、以上のように構成された前記従来のスクロール圧縮機にあっては、第1シール材34及び第2シール材35が、ともに固定スクロール1の台板1aと一体形成された第1ピストン31及び第2ピストン32に外嵌して設けられているので、圧縮機の組み立て時に固定スクロール1と覆い部材33とを組み合わせる際に円筒面嵌合部が2カ所あることになって、組み立て性が悪いという問題があった。また、加工誤差に起因して嵌合部のクリアランスにばらつきが生じ、シール箇所のシール不良が起こりやすかった。
【0008】
そこで、前記組み立て性を改善するため図12に示すようなスクロール圧縮機が提案されている。同図において、前記図11のスクロール圧縮機と同様もしくは相当する構成要素には同一符号を付して説明を省略する。4はフレーム3の上端面に固設された静止部材であり、静止部材4はその下面が、固定スクロール1の台板1aの渦巻歯1b突設面と反対側の面に隙間を隔てて対面している。11は吐出ポート1cの外側を囲んで固定スクロール1の台板1aと静止部材4との隙間をシールする内側シール手段、12は内側シール手段11の外側を囲んで前記台板1aと静止部材4との隙間をシールする外側シール手段であり、内側シール手段11の内方には高圧室13が、内側シール手段11と外側シール手段12との間には中間圧室14が、それぞれ形成されている。そして、吐出ポート1cからの高圧の圧縮ガスを高圧室13に導入するとともに、圧縮室6で圧縮途中の中間圧の圧縮ガスを抽気孔1dを通じて中間圧室14に導入し、これら導入されたガスの圧力によって固定スクロール1を揺動スクロール2側に押圧付勢し、この付勢力により固定スクロール1と揺動スクロール2との間の密封状態を保つように構成されている。
【0009】
内側シール手段11は、図13(a)に示す圧力シール材101と、図13(b)に示すバックアップ材102とを組み合わせて構成されている。
圧力シール材101は例えばテフロン(デュポン社の商標)樹脂からなり、図13(c)に示したように、固定スクロール1の台板1aに向かって拡径する内向きの第1テーパ面103を有する五角形断面の環状に形成されている。また、図13(a)に示したように圧力シール材101の円周上の1カ所には合わせ目104が形成され、この合わせ目104において圧力シール材101の直径が調整できるようになっている。
【0010】
他方、バックアップ材102は弾性材料から図13(b)に示したように一部が切り欠かれた環状に形成され、その切り欠き部105の幅が広くなったり狭くなったりするように弾性変形することで、バックアップ材102の直径が変化するようになっている。また、図13(c)に示したようにバックアップ材102は静止部材4に向かって縮径する外向きの第2テーパ面106を有する三角形断面に形成されている。
【0011】
以上のように形成された圧力シール材101及びバックアップ材102は、図13(c)に示すように、台板1aの上面に形成された環状の溝1fに先ずバックアップ材102を第2テーパ面106が上になるように収容し、次いで第1テーパ面103が第2テーパ面106と重なるように圧力シール材101を収容することにより、第1テーパ面103と第2テーパ面106とが係合した状態に組み合わされて、内側シール手段11を構成している。
【0012】
図13(c)は、圧縮機の停止時及び定常運転時の状態を示しており、停止状態においては、弾性材料からなるバックアップ材102が外周側へ広がろうとする力で圧力シール材101が押し上げられ、これにより圧力シール材101の上端面が静止部材4に軽く圧接されている。この状態で圧縮機を起動させると、起動直後から高圧室13と中間圧室14との間がシールされるので、バックアップ材102の第2テーパ面106の背後側に高圧の圧縮ガスが回り込み、これによりバックアップ材102は図13(c)において右向きに押され、圧力シール材101はより確実に静止部材4に圧接される。なお、定常運転時も図13(c)の状態となっている。
【0013】
また、圧縮室6内の圧力が異常に大きくなった場合には、固定スクロール1が上方に変位して静止部材4に接近するのに伴い、バックアップ材102は切り欠き部105の幅が狭く、その直径が小さくなるように弾性変形する。これによりバックアップ材102は図13(d)において溝1f内を左側に移動することになり、このようなバックアップ材102の変形によって固定スクロール1の変位を許容し、圧力シール材101及びバックアップ材102が静止部材4と固定スクロール1との間に挟み込まれることがないように構成されている。そして、前記固定スクロール1の変位により、渦巻歯1b及び2bの先端とそれぞれに対面する台板1a及び2aとの間に隙間が生じ、この隙間から高圧ガスが圧縮室6外へリリーフされることで、異常高圧による渦巻歯1b及び2bの破損等が防止されるようになっている。
なお、以上は内側シール手段11について説明したが、外側シール手段12についても同様に構成されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のように構成された従来のスクロール圧縮機にあっては、圧力シール材101と静止部材4とのシール長さを大きくとってシールをより確実にするためには、図14のように圧力シール材101の幅Wを大きくすることが必要となるが、この場合、バックアップ材102の第2テーパ面106上端の内周エッヂ部107が圧力シール材101の第1テーパ面103に食い込んで、バックアップ材102の弾性変形が阻害されることがあった。そして、このような場合には、固定スクロール1が静止部材4に近づこうとしてもバックアップ材102が径方向内向きに移動してその直径を小さくすることは不可能となり、したがって固定スクロール1が変位できずにリリーフ不良による渦巻歯1b,2bの破損等を引き起こす危険性が生じた。
【0015】
また、図13(b)に示すように、バックアップ材102の切り欠き部105に臨む両端エッヂ部108も鋭利に尖った形状になっているため、この両端エッヂ部108が圧力シール材101の第1テーパ面103に食い込むこともあった。そして、この場合にもバックアップ材102の径方向内側への移動が規制され、リリーフ不良を招くことがあった。
【0016】
また、前記のようにバックアップ材102の内周エッヂ部107や両端エッヂ部108が第1テーパ面103に食い込んでバックアップ材102の径方向への移動が規制されると、固定スクロール1が静止部材4から離れる方向に変位した場合にバックアップ材102の直径が変位に追随して大きくならず、静止部材4と圧力シール材101上端面との間又は台板1aとバックアップ材102下端面との間に隙間が生じ、シール不良を招くことがあった。そして、このようなシール不良により高圧室13内の高圧の圧縮ガスが中間圧室14に流入すると、中間圧室14の圧力が正常時よりも高くなり、そのため固定スクロール1に対する揺動スクロール2側への付勢力が過大となり、固定スクロール1の渦巻歯1b及び揺動スクロール2の渦巻歯2bが異常摩耗を起こす危険性が生じた。また、シール不良に起因する圧縮室6からのガス漏れにより圧縮効率が低下することもあった。
【0017】
本発明は以上のような問題点を解決するためになされたものであって、リリーフ不良から渦巻歯の損傷を招いたり、シール不良による固定スクロールへの付勢力の増大から渦巻歯の異常摩耗を招いたりすることがなく、高効率で信頼性の高いスクロール圧縮機を得ることを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は、それぞれ台板の一方の面に板状の渦巻歯が突設され互いの渦巻歯を対向状に組み合わせて圧縮室を形成する固定スクロール及び揺動スクロールと、揺動スクロール台板を渦巻歯突設面の反対側から摺動自在にスラスト支持するフレームと、フレームに回転自在に支持されるとともに一端部が揺動スクロール台板の渦巻歯突設面と反対側の面に形成された係合部に係合して揺動スクロールを固定スクロールに対して旋回動させる主軸と、固定スクロール台板の渦巻歯突設面と反対側の面に隙間を隔てて対面する状態でフレームに支持固定された静止部材と、固定スクロールをフレームに対して主軸の軸方向に変位可能に支持する支持手段と、固定スクロール台板のほぼ中央に形成された圧縮ガス吐出ポートの外側を囲んで固定スクロール台板と静止部材との隙間をシールする内側シール手段と、内側シール手段の外側を囲んで固定スクロール台板と静止部材との隙間をシールする外側シール手段とを備え、内側シール手段の内方に形成される高圧室に圧縮室で圧縮された高圧の圧縮ガスを導入するとともに、内側シール手段と外側シール手段との間に形成される中間圧室に圧縮室で圧縮途中の圧縮ガスを導入して、これらの圧縮ガスの圧力により固定スクロールを揺動スクロール側に押圧付勢するようにしたスクロール圧縮機であって、内側シール手段及び外側シール手段を、固定スクロール側に向かって拡径する内向きの第1テーパ面を有する環状の圧力シール材と、弾性材料により一部が切り欠かれた環状に形成され第1テーパ面と係合する外向きの第2テーパ面を有するバックアップ材との組み合わせから構成したものにおいて、圧力シール材の第1テーパ面の内周側若しくはバックアップ材の第2テーパ面の内周側に第1の逃げ部を形成したものである。
【0019】
また、バックアップ材の切り欠き部に臨む両端部にそれぞれ第2の逃げ部を形成したものである。
【0020】
また、バックアップ材の第2テーパ面又は前記圧力シール材の前記第1テーパ面のいずれかに摩擦係数の小さい材料からなるコーティング層を被着したものである。
【0023】
また、内側シール手段及び外側シール手段を、それぞれ筒状部の一端に内向きの鍔部が連設されたL字状断面の環状に形成され、互いの筒状部を内外に重ね合わせて離接摺動自在に組み合わされた第1シール材及び第2シール材で構成したものである。
【0024】
また、前記構成において、第1シール材と第2シール材とのうち、その筒状部が内側に配されるいずれか一方を他方よりも軟質な材料で形成したものである。
【0025】
また、固定スクロールの揺動スクロール側への変位量を規制する変位量規制手段を前記固定スクロールの外周部に備えるとともに、前記変位量規制手段と当接させる段部を前記フレームに備えたものである。
【0026】
また、静止部材と固定スクロール台板との少なくともいずれか一方に、中間圧室内の圧力が所定圧力を上回った場合に中間圧室内の圧縮ガスを低圧空間に逃がす圧力リリーフ弁を設けたものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態1.
先ず最初に、図1及び図2に基づいて本発明の実施の形態1を説明する。図において、1は固定スクロールであり、その台板1aの一方(下側)の面には板状の渦巻歯1bが突設されている。2は揺動スクロールであり、その台板2aの一方(上側)の面には板状の渦巻歯2bが突設されており、他方(下側)の面には主軸7の一端部と係合して駆動力を受ける係合ボス部2cが突設されている。主軸7は、電動機8により回転駆動される。固定スクロール1の渦巻歯1bと揺動スクロール2の渦巻歯2bとは180度の位相をもって対向状に組み合わされ圧縮室6を形成している。3はその外周部が密閉容器9に固着されたフレームであり、このフレーム3は揺動スクロール2の台板2aを渦巻歯2b突設面と反対側(下側)から摺動自在にスラスト支持するとともに、主軸7の一端近傍部分を軸受を介して回転自在に支持している。
【0028】
4は静止部材であり、上方に円筒形状の凹部4aが形成されており、その下面が固定スクロール1の台板1aの渦巻歯1b突設面と反対側(上側)の面に隙間を隔てて対面する状態で、後述する板バネ10とともにフレーム3の上端面にボルトにより固定されている。5はマフラーであり、静止部材4の凹部4aの外側の上端面にシール材(不図示)を介してボルトにより固定されている。マフラー5内には固定スクロール1の台板1aのほぼ中央に形成された圧縮ガスの吐出ポート1c及び静止部材4のほぼ中央に形成された圧縮ガスの吐出ポート4bを通じて圧縮室6の最内側に圧縮された高圧ガスが導入され、マフラー5内が高圧空間、その外部が低圧空間となっている。
【0029】
10は固定スクロール1の支持手段を構成する板バネで、板状の弾性材料からなり、固定スクロール1の台板1aの外周部とフレーム3の外周部で挟まれた位置に設けられている。板バネ10には4つのリーマ穴(不図示)が形成されている。両端の2つのリーマ穴にはリーマボルト(不図示)がそれぞれ挿入され、これらのリーマボルトにより板バネ10が固定スクロール1の台板1aの外周部に固定されている。また、中央部の2つのリーマ穴にもリーマボルト(不図示)がそれぞれ挿入され、これらのリーマボルトにより板バネ10がフレーム3の外周部の上端面に固定されている。つまり、固定スクロール1は板バネ10を介してフレーム3に連結されており、板バネ10が弾性変形することにより固定スクロール1はフレーム3に対して主軸7の軸方向に変位可能であるとともに、周方向及び径方向には本質的に変位しないように、フレーム3に支持されている。なお、固定スクロール1は、上方へは静止部材4に当接するまで、また、下方へは渦巻歯1bが揺動スクロール2の台板2aの圧縮室6側の面に当接するまでの範囲で軸方向に変位できる。
【0030】
固定スクロール1の台板1aの渦巻歯1b突設面と反対側(上側)の面には、高圧と中間圧を仕切る内側シール手段11及び中間圧と低圧を仕切る外側シール手段12を収容する環状の溝がそれぞれ設けられている。そして、固定スクロール1、静止部材4及び内側シール手段11で囲まれた隙間は、固定スクロール1の最内側の圧縮室6に開口する吐出ポート1cと連通していて、吐出ポート1cから高圧の圧縮ガスが導入される高圧室13となっている。また、固定スクロール1、静止部材4、内側シール手段11及び外側シール手段12で囲まれた隙間は、圧縮途中の中間圧の圧縮室6に開口する抽気孔1dと連通していて、抽気孔1dから中間圧力の圧縮ガスが導入される中間圧室14となっている。
【0031】
内側シール手段11は、図2(a)に示した圧力シール材101aと、図2(b)に示したバックアップ材102とを組み合わせて構成されている。
圧力シール材101aは、例えばテフロン(デュポン社の商標)樹脂等からなり、図2(c)に示したように、ほぼ直角な2面(上面及び外周面)と、それに対向する第1テーパ面103及び第1の逃げ部109とを有する六角形断面の環状に形成されている。第1テーパ面103は固定スクロール1の台板1a側に向かって拡径する内向きのテーパ面となっている。また、第1の逃げ部109は、第1テーパ面103の内周側に連続して形成された内向きのテーパ面で構成されており、そのテーパは第1テーパ面103のテーパよりも緩く設定されている。また、図2(a)に示したように圧力シール材101aの円周上の1カ所には合わせ目104が形成され、この合わせ目104において圧力シール材101aの直径が調整できるようになっている。
【0032】
他方、バックアップ材102は弾性材料から図2(b)に示したように一部が切り欠かれた環状に形成され、その切り欠き部105の幅が広くなったり狭くなったりするように弾性変形することで、バックアップ材102の直径が変化し得るようになっている。また、バックアップ材102は、図2(c)に示したように、ほぼ直角な2面(下面及び内周面)と、それに対向する第2テーパ面106とを有する三角形断面に形成されている。第2テーパ面106は静止部材4側に向かって縮径する外向きのテーパ面となっている。
【0033】
図2(c)は、固定スクロール1の台板1a上端面に設けた溝1fに高圧室13と中間圧室14とを仕切る内側シール手段11を構成する圧力シール材101aとバックアップ材102とを装着した状態を示し、先ず溝1fにバックアップ材102を第2テーパ面106を上にして装着し、その第2テーパ面106と第1テーパ面103とが重なり合うように圧力シール材101aを第1テーパ面103を下にして装着している。なお、この実施形態では、圧力シール材101aと静止部材4とのシール長さを大きくとるため、図2(c)の状態において、圧力シール材101aの内径がバックアップ材102の内径よりも小さくなるように構成されている。以上は内側シール手段11について説明したが、外側シール手段12も同様に圧力シール材101aとバックアップ材102との組み合わせから構成されている。
【0034】
図1において、13はオルダム継手であり、揺動スクロール2の自転を拘束するとともに揺動スクロール2とフレーム3との位相を決めている。20はガラス端子であり、圧縮室6の上方で密閉容器9の上部の低圧空間に固着されており、電動機8のリード線と結線されている。15は電動機8の上部近傍に開口した吸入管であり、密閉容器9に固着され、低圧の圧縮用ガスを密閉容器9内へ導入するようになっている。16は高圧の圧縮ガスを密閉容器9外へ吐出する吐出管であって、静止部材4に形成された連通路4cを介して凹部4aと連通している。23は密閉容器9底部に形成された油溜めであり、ここに貯留された潤滑油が主軸7の下端に設けられた送油ポンプ22及び主軸7を貫通して形成された送油孔21によって軸受け等の摺動部に供給されるようになっている。
【0035】
次にこの実施の形態のスクロール圧縮機の動作について説明する。
電動機8により主軸7が回転駆動され、主軸7により揺動スクロール2が旋回駆動されると、吸入管15から導入された低圧の冷媒ガスは電動機8を冷却しながら密閉容器9内を下部から上部に移動し、固定スクロール1及び揺動スクロール2の渦巻歯1b,2bで形成される圧縮室6に入り、圧縮室6の外側から中心側へ移動しつつ高圧に圧縮され、固定スクロール1の吐出ポート1c及び静止部材4の吐出ポート4bを経て、静止部材4の凹部4aとマフラー5とに囲まれた高圧空間に入り、マフラー効果により脈動を抑えられて、吐出管16より密閉容器9外へ吐出される。
【0036】
このようなスクロール圧縮機の通常運転時、固定スクロール1には、圧縮室6内のガス圧に起因して上側へ押し上げる力が作用する。他方、固定スクロール1の背面では、内側シール手段11よりも内側の高圧室13には吐出ポート1cを通じて高圧(吐出圧力)の圧縮ガスが、内側シール手段11と外側シール手段12との間の中間圧室14には抽気孔1dを通じて中間圧力の圧縮ガスがそれぞれ導入されており、これらの圧縮ガス圧に起因して固定スクロール1には下側へ押し下げる力が作用する。したがって、固定スクロール1の台板1aの高圧室13、中間圧室14に臨む部分の面積をそれぞれ適宜に設定することにより、全体として固定スクロール1は適正な圧力で下側すなわち揺動スクロール2側に押圧付勢される。
【0037】
図2(c)は、圧縮機の停止時の圧力シール材101a及びバックアップ材102の状態を示しており、この状態においては、弾性材料からなるバックアップ材102が外周側に広がろうとする力で圧力シール材101aが押し上げられ、圧力シール材101aの上面が静止部材4に均一に接触している。この状態から圧縮機を起動させると、バックアップ材102の第2テーパ面106の背後側に圧縮ガスが回り込み、このガス圧でバックアップ材102が図2(c)において右側に押圧され、圧力シール材101aはより確実に静止部材4に圧接される。なお、定常運転時も図2(c)の状態となっている。
【0038】
また、圧縮機の起動時等に、潤滑油に溶け込んでいる冷媒により液圧縮が生じる等の理由で、圧縮室6内の圧力が異常に上昇したような場合には、固定スクロール1が上側に押し上げられ、渦巻歯1b,2bの先端と、それぞれ相手側の台板2a,1aの圧縮室6側の面との間に隙間が生じ、この隙間から高圧圧力を逃がす(リリーフする)ことにより渦巻歯1b,2bの破損等が防止される。
【0039】
このようなリリーフ動作時には、固定スクロール1の静止部材4への接近に伴い圧力シール材101aはそのままの形状で相対的に下方に移動する(沈む)のに対し、バックアップ材102は切り欠き部105の幅が狭くなるように弾性変形する。つまり、バックアップ材102は図2(d)において左側(径方向内向き)に移動し、その直径が小さくなることで、固定スクロール1の変位を許容する。
【0040】
この際、圧力シール材101aの第1の逃げ部109がバックアップ材102の第2テーパ面106上端の内周エッヂ部107を逃がしているので、内周エッヂ部107が圧力シール材101aに食い込んでバックアップ材102の移動が阻害されることはない。したがって、圧力シール材101a及びバックアップ材102が静止部材4と固定スクロール1との間に挟み込まれて固定スクロール1が変位できなくなり、リリーフ不良から渦巻歯1b,2bの破損等を招くようなことがない。
【0041】
また、内周エッヂ部107の圧力シール材101aへの食い込みがないので、固定スクロール1が静止部材4から離れる方向に変位した場合には、これに追随してバックアップ材102の直径が大きくなり、圧力シール材101aが常に適正な力で静止部材4に圧接された状態で運転される。したがって、圧力シール材101aと静止部材4とのシール長さを大きくとっていることと相まってシール性が良好であり、シール不良により中間圧室14の圧力が正常時よりも高くなって固定スクロール1に対する揺動スクロール2側への付勢力が過大となり、渦巻歯1b,2bが異常摩耗を起こすようなことがない。そして、通常運転時には、固定スクロール1が常に所定の力で揺動スクロール2側に押圧付勢され、渦巻歯1b,2bは、それぞれ相手側の台板2a,1aの圧縮室6側の面と適正な圧力で圧接されるので、圧縮時に渦巻歯1b,2bと台板2a,1aとの隙間からガラス漏れを起こすことも防止され、効率の良いスクロール圧縮機が得られる。
【0042】
なお、この実施形態では、固定スクロール1を変位可能に支持する支持手段として、固定スクロール1の台板1aの外周部とフレーム3の外周部とを連結する板バネ10を挙げたが、支持手段がこれに限るものではなく、例えば、静止部材4の下方に円筒形状の凹部を形成し、この凹部に固定スクロール1の台板1aを嵌合させ、固定スクロール1をこの凹部をガイドとして軸方向に摺動させるようにしても良い。
また、圧力シール材101aの第1の逃げ部109は必ずしもテーパ面でなくてもよく、バックアップ材102の内周エッヂ部107を逃がすことさえできれば、どのような形状であってもよい。
【0043】
また、前記では第1の逃げ部109を圧力シール材101aの第1テーパ面103の内周側に形成したが、第1の逃げ部は必ずしも圧力シール材に形成しなくてもよく、例えばバックアップ材102の内周エッヂ部107を面取りすることにより、第2テーパ面106の内周側に第1の逃げ部を形成してもよい。
また、圧力シール材101a及びバックアップ材102を収容するための溝を固定スクロール1の台板1aに設けずに、これに対面する静止部材4の固定スクロール1側の面に設けてもよい。
【0044】
さらに、前記では圧力シール材101a及びバックアップ材102を平面視円形の環状に形成したが、圧力シール材101a及びバックアップ材102を平面視において楕円形、長円形、あるいは略多角形の環状に形成してもよい。このことは、以下の各実施形態で内側シール手段及び外側シール手段を構成する各部材についても同様である。
【0045】
発明の実施の形態2.
図3に基づいて本発明の実施の形態2の説明を行う。図において102aはバックアップ材であって、弾性材料からほぼ直角な2面と第2テーパ面106とを有する三角形断面に形成され、図に示すように第2テーパ面106を外側にしてリング状にして使用されることは前記実施形態と同様であるが、この実施形態では第2テーパ面106に例えばテフロン材等の摩擦係数の小さい(摺動性の良い)材料からなるコーティング層110が被着されている。したがって、圧力シール材101aの第1テーパ面103とバックアップ材102aの第2テーパ面106との摺動性が良くなり、従来のように固定スクロール1のリリーフ不良に起因する渦巻歯1b,2bの破損等がなくなる。また、通常運転時も、圧力シール材101a及びバックアップ材102aが静止部材4と固定スクロール1との間で突っ張って固定スクロール1の押し付け力が過大となり固定スクロール1、揺動スクロール2の渦巻歯1b,2bが異常摩耗するようなこともなくなる。
さらに、この実施の形態ではバックアップ材の第2テーパ面106にコーティング層を被着したが、別にバックアップ材でなくても良く、シール材の第1テーパ面103にコーティング層を被着しても同様の効果が得られる。
【0046】
発明の実施の形態3.
図4に基づいて本発明の実施の形態3の説明を行う。図において102bはバックアップ材、105は切り欠き部であり、この切り欠き部105に臨む両端部111をそれぞれ第2テーパ面106から斜め下向きに切り欠くことにより、第2の逃げ部112が形成されて、前記圧力シール材101が前記両端部111と接触しないように構成されている。したがって、従来のようにバックアップ材102の両端エッヂ部が圧力シール材101に食い込み、固定スクロール1のリリーフ不良に起因する渦巻歯1b,2bの破損等を招くようなことがなくなる。また、通常運転時も、圧力シール材101及びバックアップ材102bが静止部材4と固定スクロール1との間で突っ張って固定スクロール1の押し付け力が過大となり固定スクロール1、揺動スクロール2の渦巻歯1b,2bが異常摩耗するようなこともなくなる。
【0047】
発明の実施の形態4.
図5に基づいて本発明の実施の形態4の説明を行う。この実施形態では前記内側シール手段11及び外側シール手段12が、弾性材料により内周側が開口したU字状断面の環状に形成された弾性シール材113で、それぞれ構成されている。
圧縮機が運転されると、それぞれ内周側の開口部側が高圧となるので、この圧力により溝1f内の弾性シール材113は上下に拡開しようとして、その上端縁部及び下端縁部が静止部材4、固定スクロール1に圧接される。また、固定スクロール1の軸方向への変位には、弾性シール材113がその厚み方向に伸縮することによって追従できる。したがって、良好なシール性が得られるのに加え、内側シール手段11及び外側シール手段12が1本ずつの弾性シール材113で構成されるので圧力シール材とバックアップ材とを組み合わせた場合に比べて部品点数を削減できる。また、弾性シール材113を固定スクロール1の溝1f内に置くだけでよいので組み立て性が良く、さらに、加工誤差に起因するシール不良も生じない等、低コストで信頼性の高いスクロール圧縮機が得られる。
【0048】
発明の実施の形態5.
図6は、本発明の実施の形態5に係るスクロール圧縮機の要部断面図である。図において114はテフロン等の材料から偏平な環状に形成された耐摩耗部材であり、この実施形態ではこのような耐摩耗部材114が内側シール手段11及び外側シール手段12を構成する各弾性シール材113と静止部材4との間に介装されている。したがって、固定スクロール1が静止部材4に対して微少に変位しても耐摩耗部材114が配設されているので弾性シール材113が摩耗することはなく、信頼性の高いスクロール圧縮機が得られる。
また、この実施形態では、各弾性シール材113の内周側の開口部115が固定スクロール1の台板1aと静止部材4との隙間(すなわち高圧室13または中間圧室14)に臨むように、台板1a側の溝1fの深さと静止部材4側の溝4dの深さとをそれぞれ設定したので、高圧室13及び中間圧室14内の圧縮ガスの圧力が各弾性シール材113の開口部115に直接的に作用することになり、各弾性シール材113が確実に拡開して台板1a及び静止部材4に密着するために、一層良好なシール性が得られる。
【0049】
なお、前記では弾性シール材113と静止部材4との間に耐摩耗部材114を介装したが、例えば静止部材4側の溝4dを溝1fよりも深くして、この溝4dに弾性シール材113の大部分を収容させるように構成した場合等には、弾性シール材113と台板1aとの間に介装してもよい。また、静止部材4及び台板1aの両方と弾性シール材113との間にそれぞれ耐摩耗部材114を介装してもよい。
【0050】
発明の実施の形態6.
図7は、本発明の実施の形態6に係るスクロール圧縮機の要部断面図である。この実施形態では、内側シール手段11及び外側シール手段12が、ともに第1シール材と第2シール材との組み合わせから構成されている。先ず内側シール手段11について説明すると、図において116は筒状部117の上端に内向きの鍔部118を連設してL字状断面の環状に形成された第1シール材であり、119は筒状部120の下端に内向きの鍔部121を連設してL字状断面の環状に形成された第2シール材である。第1シール材116の筒状部117の内径は第2シール材119の筒状部120の外径よりも僅かに大きく形成されている。そして、筒状部117内に筒状部120が嵌合した状態に第1シール材116と第2シール材119とを組み合わせることにより、内周側に開口した”コ”字状断面の環状に形成されている。なお、台板1aに形成された溝1fに収容された前記第1シール材116及び第2シール材119は、組み合わされた状態における高さが溝1fの深さ以下に設定されている。以上では内側シール手段11について説明したが、外側シール手段12も前記と同様の第1シール材116及び第2シール材119の組み合わせから構成されている。
【0051】
圧縮機が運転されると、内周側に高圧力がかかるので前記第1シール材116は上方へ押圧され、第2シール材119は下方に押圧される。また、第2シール材の筒状部120は第1シール材116の筒状部117に押圧されるので、静止部材4と固定スクロール1との間に隙間が存在しても第1シール材116が上方に押圧されるので追従してシールされる。そして、圧縮機の起動時等に、冷媒が潤滑油に溶け込み液圧縮が生じ、圧縮室6内の圧力が異常に上昇したような場合には、筒状部117と筒状部120との間がスムーズに摺動するので固定スクロール1の上方への変位を妨げることなく確実にリリーフでき、かつ、図8のように静止部材4との隙間がなくなるまで固定スクロール1が上昇した場合にも、第1シール材116及び第2シール材119が固定スクロール1と静止部材4とに挟まれて破損することはない。また、組み付け時には、第1シール材116の筒状部117内に第2シール材119の筒状部120を嵌合し組み合わせた状態で溝1f内に置くだけでよいので組み立て性がよく、さらに、加工誤差に起因するシール性の不良も生じない信頼性の高いスクロール圧縮機が得られる。
【0052】
なお、この実施形態において、組み合わせた状態で筒状部117が外側に配される第1シール材116をLCP等の硬質な材料から形成し、筒状部120が内側に配される第2シール材119をそれよりも軟質な例えばテフロン等の材料から構成すれば、高圧圧力により軟質な第2シール材119の筒状部120を径方向外向きに膨出させて第1シール材116の筒状部117に押し付けることができ、これにより筒状部117と筒状部120とを密着させて、シール性のより一層の向上を図ることができる。この実施形態とは反対に、第1シール材の筒状部が内側に配される場合は、第1シール材を第2シール材よりも軟質な材料で形成すればよい。
【0053】
発明の実施の形態7.
図9は、本発明の実施の形態7に係るスクロール圧縮機の要部断面図である。図において、1gは固定スクロール1の外周部1hに設けられたストッパ部(変位量規制手段)であり、通常の運転中はストッパ部1gはどこにも接触せず、固定スクロール1は揺動スクロール2に軸方向に適正な所定の力で常に押圧付勢され、渦巻歯1b,2bは、それぞれ相手側の台板2a,1aの圧縮室6側の面に適正圧力で圧接摺動する。したがって、渦巻歯1b,2bと台板2a,1aとの間には隙間が生じず、圧縮時のガス漏れを防止し効率の良い運転が行われる。他方、異物の噛み込み等によるシール性不良や運転条件の変動等により固定スクロール1に対する付勢力が過大となって固定スクロール1の渦巻歯1b及び揺動スクロール2の渦巻歯2bが所定長さ以下に摩耗すると、固定スクロール1に設けられたストッパ部1gが、フレーム3に設けられた段部3gに当接するため、その時点から固定スクロール1が下方に変位することはなくなり、渦巻歯1b,2bの摩耗もそれ以上進行しなくなる。したがって、異常摩耗のない信頼性の高いスクロール圧縮機が得られる。
【0054】
発明の実施の形態8.
図10は、本発明の実施の形態8に係るスクロール圧縮機の要部断面図である。図において、4gは静止部材4に設けられたリリーフポートであり、リリーフポート4gは、固定スクロール1、静止部材4、内側シール手段11、及び外側シール手段12で囲まれ、中間圧の圧縮室6と連通する抽気孔1dから中間圧力の圧縮ガスが導入される中間圧室14に一端が開口するとともに、その他端は圧力リリーフ弁100を介して低圧空間に連通している。圧力リリーフ弁100は弁本体100a、付勢手段100b、及びガイド筒100cからなり、中間圧室14の圧力が予め設定された所定圧力以上になると開弁するように構成されている。
【0055】
すなわち、異物の噛み込み等によるシール性不良や運転条件の変動等により中間圧室14の圧力が付勢手段100bのバネによる付勢力と低圧圧力との合力よりも大きくなると、中間圧室14内の圧縮ガスはリリーフ通路100dを通って低圧空間にリリーフされるので、中間圧室14の圧力は所定の圧力以上にならない。したがって、中間圧室14の圧力異常上昇から固定スクロール1に対する付勢力が過大となることがなく、固定スクロール1は揺動スクロール2に軸方向に適正な所定の力で常に押し付けられるために、渦巻歯1b,2bが異常摩耗することのない信頼性の高いスクロール圧縮機が得られる。
なお、この実施形態では圧力リリーフ弁100を静止部材4に設けた例を説明したが、圧力リリーフ弁100を固定スクロール1側に設けても同様の効果が得られる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るスクロール圧縮機は、圧力シール材の第1テーパ面の内周側若しくはバックアップ材の第2テーパ面の内周側に第1の逃げ部を形成したので、バックアップ材の第2テーパ面の内周エッヂ部が圧力シール材の第1テーパ面に食い込みことが防止され、バックアップ材の径方向への移動が円滑となる。したがって、固定スクロールが静止部材側に変位できずにリリーフ不良から渦巻歯の破損を招いたり、シール不良から固定スクロールに対する付勢力が過大となって渦巻歯の異常摩耗を招いたりすることを防止でき、信頼性及び効率の高いスクロール圧縮機が得られる。また、静止部材と圧力シール材との間のシール長さを大きくとることによりシールを一層確実に行える。
【0057】
また、バックアップ材の切り欠き部に臨む両端部にそれぞれ第2の逃げ部を形成したので、バックアップ材の両端エッヂ部が圧力シール材の第1テーパ面に食い込むことが防止され、バックアップ材の径方向への移動が円滑となる。したがって、固定スクロールが静止部材側に変位できずにリリーフ不良から渦巻歯の破損を招いたり、シール不良から固定スクロールに対する付勢力が過大となって渦巻歯の異常摩耗を招いたりすることを防止でき、信頼性の高いスクロール圧縮機が得られる。
【0058】
また、バックアップ材の第2テーパ面に摩擦係数の小さい材料からなるコーティング層を被着したので、圧力シール材の第1テーパ面とバックアップ材の第2テーパ面との摺動性が良くなり、バックアップ材の径方向への移動が円滑となる。したがって、固定スクロールが静止部材側に変位できずにリリーフ不良から渦巻歯の破損を招いたり、シール不良から固定スクロールに対する付勢力が過大となって渦巻歯の異常摩耗を招いたりすることを防止でき、信頼性の高いスクロール圧縮機が得られる。
【0060】
また、静止部材と固定スクロール台板との少なくともいずれか一方と弾性シール材との間に環状の耐摩耗部材を介装したので、固定スクロールの静止部材に対する変位に起因した弾性シール材の摩耗を防止できるとともに、弾性シール材の内周側の開口部が固定スクロール台板と静止部材との隙間に臨むようにしたので、圧縮ガスの圧力が弾性シール材を固定スクロール台板及び静止部材に押し付けるように作用することになって、シールを一層確実にできる、さらに信頼性の高いスクロール圧縮機が得られる。
【0061】
また、内側シール手段及び外側シール手段を、それぞれ筒状部の一端に内向きの鍔部が連設されたL字状断面の環状に形成され、互いの筒状部を内外に重ね合わせて離接摺動自在に組み合わされた第1シール材及び第2シール材で構成したので、固定スクロールが静止部材側に変位できずにリリーフ不良から渦巻歯の破損を招いたり、シール不良から固定スクロールに対する付勢力が過大となって渦巻歯の異常摩耗を招いたりすることを防止できるとともに、組み立て性が良く、加工誤差に起因するシール不良も生じない、信頼性の高いスクロール圧縮機が得られる。
【0062】
また、第1シール材と第2シール材とのうち、その筒状部が内側に配されるいずれか一方を他方よりも軟質な材料で形成したので、内側の筒状部を圧縮ガスの圧力により外側の筒状部に押し付けることができて、より一層確実なシールが可能となる。
【0063】
また、固定スクロールの揺動スクロール側への変位量を規制する変位量規制手段を前記固定スクロールの外周部に備えるとともに、前記変位量規制手段と当接させる段部を前記フレームに備えたので、例えば異物の噛み込みや運転条件の変動により固定スクロールに対する付勢力が過大となって固定スクロール及び揺動スクロールの渦巻歯が摩耗していった場合、ある時点で固定スクロールの揺動スクロール側への変位が止まり、渦巻歯の摩耗がそれ以上進行することがなくなる。したがって、異常摩耗のない信頼性の高いスクロール圧縮機が得られる。
【0064】
また、静止部材と固定スクロール台板との少なくともいずれか一方に、中間圧室内の圧力が所定圧力を上回った場合に中間圧室内の圧縮ガスを低圧空間に逃がす圧力リリーフ弁を設けたので、例えば異物の噛み込みや運転条件の変動により中間圧室内の圧力が異常上昇を起こしそうになった場合には圧力リリーフ弁が作動し、固定スクロールに対する付勢力は一定範囲内に抑制される。したがって、固定スクロール及び揺動スクロールの渦巻歯が異常摩耗することもなくなり、信頼性の高いスクロール圧縮機が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機の断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態1に係る図であって、(a)は圧力シール材の斜視図、(b)はバックアップ材の斜視図、(c)は通常状態を示す圧縮機の要部断面図、(d)はリリーフ動作状態を示す圧縮機の要部断面図である。
【図3】 本発明の実施の形態2に係る図であって、(a)は圧縮機の要部断面図、(b)はバックアップ材の要部拡大断面図である。
【図4】 本発明の実施の形態3に係る図であって、(a)はバックアップ材の斜視図、(b)はバックアップ材の要部拡大斜視図である。
【図5】 本発明の実施の形態4に係るスクロール圧縮機の要部断面図である。
【図6】 本発明の実施の形態5に係るスクロール圧縮機の要部断面図である。
【図7】 本発明の実施の形態6に係るスクロール圧縮機の通常状態を示す要部断面図である。
【図8】 本発明の実施の形態6に係るスクロール圧縮機のリリーフ動作状態を示す要部断面図である。
【図9】 本発明の実施の形態7に係るスクロール圧縮機の要部断面図である。
【図10】 本発明の実施の形態8に係るスクロール圧縮機の要部断面図である。
【図11】 従来のスクロール圧縮機の断面図である。
【図12】 従来の別のスクロール圧縮機の断面図である。
【図13】 図12のスクロール圧縮機に係る図であって、(a)は圧力シール材の斜視図、(b)はバックアップ材の斜視図、(c)は通常状態を示す圧縮機の要部断面図、(d)はリリーフ動作状態を示す圧縮機の要部断面図である。
【図14】 圧力シール材の幅を広くした従来のスクロール圧縮機の要部断面図である。
【符号の説明】
1 固定スクロール、1a 台板、1b 渦巻歯、1c 吐出ポート、1g ストッパ部(変位量規制手段)、2 揺動スクロール、2a 台板、2b 渦巻歯、3 フレーム、4 静止部材、6 圧縮室、7 主軸、9 密閉容器、10板バネ(支持手段)、11 内側シール手段、12 外側シール手段、13 高圧室、14 中間圧室、100 圧力リリーフ弁、101,101a 圧力シール材、102,102a,102b バックアップ材、103 第1テーパ面、105 切り欠き部、106 第2テーパ面、109 第1の逃げ部、110コーティング層、112 第2の逃げ部、113 弾性シール材、114 耐摩耗部材、115 開口部、116 第1シール材、117 筒状部、118 鍔部、119 第1シール材、120 筒状部、121 鍔部。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a scroll compressor used in an air conditioner, a refrigerator, or the like, in which a fixed scroll can be displaced in an axial direction.
[0002]
[Prior art]
FIG. 11 shows a scroll compressor described in Japanese Patent Laid-Open No. 63-80088 as an example of this type of conventional scroll compressor. In the figure,
[0003]
[0004]
A
[0005]
In this scroll compressor, when the
[0006]
[0007]
However, in the conventional scroll compressor configured as described above, the
[0008]
Therefore, a scroll compressor as shown in FIG. 12 has been proposed to improve the assembly. In the figure, the same or corresponding components as those in the scroll compressor of FIG.
[0009]
The inner sealing means 11 is configured by combining a
The
[0010]
On the other hand, the
[0011]
As shown in FIG. 13C, the
[0012]
FIG. 13C shows a state when the compressor is stopped and during a steady operation. In the stopped state, the
[0013]
Further, when the pressure in the
The inner sealing means 11 has been described above, but the outer sealing means 12 is configured similarly.
[0014]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the conventional scroll compressor configured as described above, in order to make the seal more reliable by increasing the seal length between the
[0015]
Further, as shown in FIG. 13B, since the
[0016]
Further, as described above, when the inner
[0017]
The present invention has been made in order to solve the above-described problems. It causes damage to the spiral teeth due to a defective relief, or abnormal wear of the spiral teeth due to an increase in the biasing force to the fixed scroll due to a defective seal. The purpose is to obtain a highly efficient and highly reliable scroll compressor without inviting.
[0018]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, the present invention provides a fixed scroll and an orbiting scroll, each of which has a plate-like spiral tooth projecting on one surface of a base plate and forms a compression chamber by combining the spiral teeth in an opposing manner. A frame that slidably supports the swing scroll base plate from the opposite side of the spiral tooth projecting surface, and a frame that is rotatably supported by the frame and has one end at the spiral tooth projecting surface of the swing scroll base plate. A main shaft that engages with an engaging portion formed on the opposite surface and pivots the orbiting scroll relative to the fixed scroll, and a surface that is opposite to the spiral tooth projecting surface of the fixed scroll base plate is spaced apart from the main shaft. A stationary member supported and fixed to the frame while facing each other, a support means for supporting the fixed scroll so as to be displaceable in the axial direction of the main shaft with respect to the frame, and a compressed gas discharge formed substantially at the center of the fixed scroll base plate port Inner sealing means for sealing the gap between the stationary scroll base plate and the stationary member surrounding the outside, and outer sealing means for sealing the gap between the stationary scroll base plate and the stationary member surrounding the outer side of the inner sealing means, The high-pressure compressed gas compressed in the compression chamber is introduced into the high-pressure chamber formed inside the inner sealing means, and compressed in the compression chamber into the intermediate pressure chamber formed between the inner sealing means and the outer sealing means. A scroll compressor that introduces compressed gas in the middle and presses and urges the fixed scroll toward the rocking scroll by the pressure of these compressed gases. The inner seal means and the outer seal means are connected to the fixed scroll side. An annular pressure seal material having an inward first tapered surface that expands toward the surface, and an annular portion that is partially cut away by an elastic material, and engages with the first tapered surface. The first relief portion is formed on the inner circumference side of the first taper surface of the pressure seal material or the inner circumference side of the second taper surface of the backup material. Formed.
[0019]
In addition, second relief portions are formed at both ends facing the notch portion of the backup material.
[0020]
In addition, a coating layer made of a material having a small friction coefficient is attached to either the second tapered surface of the backup material or the first tapered surface of the pressure seal material.
[0023]
Further, the inner sealing means and the outer sealing means are each formed in an annular shape having an L-shaped cross-section in which an inward flange is continuously provided at one end of the cylindrical portion, and the cylindrical portions are overlapped with each other inside and outside. The first seal material and the second seal material are combined so as to be freely slidable.
[0024]
Moreover, the said structure WHEREIN: Either the 1st sealing material and the 2nd sealing material which the cylindrical part is distribute | arranged inside are formed with a softer material than the other.
[0025]
Displacement amount regulating means for regulating the amount of displacement of the fixed scroll toward the swing scroll sideOn the outer periphery of the fixed scroll, and the frame has a stepped portion that abuts against the displacement regulating means.Is.
[0026]
Further, at least one of the stationary member and the fixed scroll base plate is provided with a pressure relief valve for releasing the compressed gas in the intermediate pressure chamber to the low pressure space when the pressure in the intermediate pressure chamber exceeds a predetermined pressure. .
[0027]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
First,
[0028]
[0029]
A
[0030]
On the surface opposite to the projecting surface of the
[0031]
The inner sealing means 11 is configured by combining the pressure sealing material 101a shown in FIG. 2 (a) and the
The pressure sealing material 101a is made of, for example, Teflon (trademark of DuPont) resin or the like, and as shown in FIG. 2 (c), two substantially perpendicular surfaces (upper surface and outer peripheral surface) and a first taper surface opposed thereto. 103 and a
[0032]
On the other hand, as shown in FIG. 2B, the
[0033]
In FIG. 2C, the pressure sealing material 101a and the
[0034]
In FIG. 1,
[0035]
Next, the operation of the scroll compressor according to this embodiment will be described.
When the
[0036]
During such normal operation of the scroll compressor, a force that pushes upward is applied to the fixed
[0037]
FIG. 2 (c) shows the state of the pressure sealing material 101a and the
[0038]
In addition, when the pressure in the
[0039]
During such a relief operation, the pressure seal member 101a moves downward (sinks) in its original shape as the
[0040]
At this time, since the
[0041]
Further, since there is no biting into the pressure seal material 101a of the inner
[0042]
In this embodiment, the
Further, the
[0043]
In the above description, the
Further, the groove for accommodating the pressure sealing material 101a and the
[0044]
Further, in the above, the pressure seal material 101a and the
[0045]
The second embodiment of the present invention will be described with reference to FIG. In the figure, reference numeral 102a denotes a backup material, which is formed in a triangular cross section having two surfaces substantially perpendicular to the elastic material and a
Further, in this embodiment, the coating layer is applied to the
[0046]
A third embodiment of the present invention will be described with reference to FIG. In the figure, reference numeral 102b denotes a backup material, and
[0047]
A fourth embodiment of the present invention will be described based on FIG. In this embodiment, the inner seal means 11 and the outer seal means 12 are each constituted by an
When the compressor is operated, the opening side on the inner peripheral side becomes a high pressure, so that the
[0048]
FIG. 6 is a cross-sectional view of main parts of a scroll compressor according to
In this embodiment, the
[0049]
Although the wear-
[0050]
FIG. 7 is a cross-sectional view of main parts of a scroll compressor according to
[0051]
When the compressor is operated, high pressure is applied to the inner peripheral side, so that the
[0052]
In this embodiment, in the combined state, the
[0053]
FIG. 9 is a cross-sectional view of main parts of a scroll compressor according to
[0054]
FIG. 10 is a cross-sectional view of main parts of a scroll compressor according to
[0055]
That is, if the pressure in the
In this embodiment, the example in which the
[0056]
【The invention's effect】
As described above, the scroll compressor according to the present invention has the first relief portion formed on the inner peripheral side of the first tapered surface of the pressure seal material or the inner peripheral side of the second tapered surface of the backup material. The inner peripheral edge portion of the second taper surface of the backup material is prevented from biting into the first taper surface of the pressure seal material, and the movement of the backup material in the radial direction becomes smooth. Therefore, it is possible to prevent the fixed scroll from being displaced to the stationary member side, resulting in damage to the spiral teeth due to a defective relief, or excessive biasing force on the fixed scroll due to defective sealing, resulting in abnormal wear of the spiral teeth. A reliable and efficient scroll compressor can be obtained. Further, the sealing can be performed more reliably by increasing the sealing length between the stationary member and the pressure sealing material.
[0057]
In addition, since the second relief portions are formed at both ends facing the notch portion of the backup material, the edge portions of both ends of the backup material are prevented from biting into the first taper surface of the pressure seal material, and the diameter of the backup material is reduced. Smooth movement in the direction. Therefore, it is possible to prevent the fixed scroll from being displaced to the stationary member side, resulting in damage to the spiral teeth due to a defective relief, or excessive biasing force on the fixed scroll due to defective sealing, resulting in abnormal wear of the spiral teeth. A highly reliable scroll compressor can be obtained.
[0058]
In addition, since the coating layer made of a material having a small friction coefficient is applied to the second tapered surface of the backup material, the slidability between the first tapered surface of the pressure seal material and the second tapered surface of the backup material is improved. The movement of the backup material in the radial direction becomes smooth. Therefore, it is possible to prevent the fixed scroll from being displaced to the stationary member side, resulting in damage to the spiral teeth due to a defective relief, or excessive biasing force on the fixed scroll due to defective sealing, resulting in abnormal wear of the spiral teeth. A highly reliable scroll compressor can be obtained.
[0060]
In addition, since an annular wear-resistant member is interposed between at least one of the stationary member and the fixed scroll base plate and the elastic seal material, the elastic seal material is not worn due to the displacement of the fixed scroll with respect to the stationary member. Since the opening on the inner peripheral side of the elastic seal material faces the gap between the fixed scroll base plate and the stationary member, the pressure of the compressed gas presses the elastic seal material against the fixed scroll base plate and the stationary member. As a result, a more reliable scroll compressor can be obtained in which the sealing can be performed more reliably.
[0061]
Further, the inner sealing means and the outer sealing means are each formed in an annular shape having an L-shaped cross-section in which an inward flange is continuously provided at one end of the cylindrical portion, and the cylindrical portions are overlapped with each other inside and outside. Since it is composed of the first seal material and the second seal material combined in a freely slidable manner, the fixed scroll cannot be displaced to the stationary member side, leading to damage to the spiral teeth due to a defective relief, or from a defective seal to the fixed scroll. A highly reliable scroll compressor can be obtained that can prevent the biasing force from becoming excessive and cause abnormal wear of the spiral teeth, has good assemblability, and does not cause a sealing failure due to processing errors.
[0062]
In addition, since either one of the first sealing material and the second sealing material is formed with a material softer than the other, the inner cylindrical portion is formed of a compressed gas pressure. Thus, the outer cylindrical portion can be pressed against the outer cylindrical portion, and a more reliable seal can be achieved.
[0063]
Displacement amount regulating means for regulating the amount of displacement of the fixed scroll toward the swing scroll sideOn the outer periphery of the fixed scroll, and the frame has a stepped portion that abuts against the displacement regulating means.So, for example, if the urging force against the fixed scroll becomes excessive due to the inclusion of foreign matter or fluctuations in operating conditions, and the spiral teeth of the fixed scroll and the orbiting scroll wear out, the fixed scroll and the orbiting scroll Displacement of the spiral teeth stops, and the wear of the spiral teeth no longer proceeds. Therefore, a highly reliable scroll compressor without abnormal wear can be obtained.
[0064]
In addition, since at least one of the stationary member and the fixed scroll base plate is provided with a pressure relief valve that releases the compressed gas in the intermediate pressure chamber to the low pressure space when the pressure in the intermediate pressure chamber exceeds a predetermined pressure, for example, When the pressure in the intermediate pressure chamber is likely to increase abnormally due to foreign matter biting or fluctuations in operating conditions, the pressure relief valve operates and the urging force against the fixed scroll is suppressed within a certain range. Therefore, the scroll teeth of the fixed scroll and the orbiting scroll do not wear abnormally, and a highly reliable scroll compressor can be obtained.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view of a scroll compressor according to
FIGS. 2A and 2B are diagrams according to
3A and 3B are diagrams according to
4A and 4B are diagrams according to
FIG. 5 is a cross-sectional view of a main part of a scroll compressor according to
FIG. 6 is a cross-sectional view of a main part of a scroll compressor according to
FIG. 7 is a cross-sectional view of a main part showing a normal state of a scroll compressor according to
FIG. 8 is a cross-sectional view of a main part showing a relief operation state of the scroll compressor according to
FIG. 9 is a cross-sectional view of main parts of a scroll compressor according to
FIG. 10 is a cross-sectional view of a main part of a scroll compressor according to an eighth embodiment of the present invention.
FIG. 11 is a cross-sectional view of a conventional scroll compressor.
FIG. 12 is a cross-sectional view of another conventional scroll compressor.
13 is a diagram related to the scroll compressor of FIG. 12, in which (a) is a perspective view of a pressure seal material, (b) is a perspective view of a backup material, and (c) is an essential part of the compressor showing a normal state. Partial sectional drawing, (d) is a principal sectional view of the compressor showing a relief operation state.
FIG. 14 is a cross-sectional view of a main part of a conventional scroll compressor in which the width of a pressure seal material is widened.
[Explanation of symbols]
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