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JP3989948B1 - 複数ワイヤ同時巻線方法及びその巻線装置 - Google Patents

複数ワイヤ同時巻線方法及びその巻線装置 Download PDF

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JP3989948B1
JP3989948B1 JP2007154628A JP2007154628A JP3989948B1 JP 3989948 B1 JP3989948 B1 JP 3989948B1 JP 2007154628 A JP2007154628 A JP 2007154628A JP 2007154628 A JP2007154628 A JP 2007154628A JP 3989948 B1 JP3989948 B1 JP 3989948B1
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Abstract

【課題】簡単な構造で捩れのない巻線を可能にし、装置の小型化と高速巻線及び巻線品質の向上を可能にする。
【解決手段】外周に複数の環状溝53aを並列に形成したストックリング53を、巻枠54の周囲を公転するガイドローラ52の公転軸心Oと同心の回転軸心に対して回転可能に配設し、そのストックリング53の複数の環状溝53aに予め複数のワイヤ51を巻き付けてストックし、ガイドローラ52を公転させてストックリング53にストックした複数のワイヤ51を同時に引き出しながら巻枠54に巻き付けてコイルを形成し、そのコイルをコイル挿入治具55に受け渡す。
【選択図】 図2

Description

この発明は自動車、工作機械、輸送機器等に用いられる大型モータのステータコイルを作製するために、複数本のワイヤを同時に巻線する複数ワイヤ同時巻線方法及びそれを実施する巻線装置に関する。
この種のコイル巻線装置は、上方に向かって次第に巻径が漸増する複数の巻段を有する巻枠が一段ずつ下降することにより、回転するフライヤから供給されるワイヤを順次その巻枠の各段に巻き付けながらコイルを形成し、その形成されたコイルを上記巻枠の下方に配設されたコイル挿入治具に挿入するようになっている。
図35は、例えば特許文献1に従来技術として記載されている従来の巻線装置の概略をコイル挿入治具とともに示す要部の斜視図である。
この巻線機の巻枠1は左巻枠1aと右巻枠1bとで構成され、それぞれ上方に向かって次第に巻径が漸増する複数の巻段1aa,1ab,1ac,1ad及び巻段1ba,1bb,1bc,1bdを有し、左右巻枠1a,1bは上下に移動する支持板2に装着されている。
左右巻枠1a,1bには、各巻段の外側に4本の押棒3を上下に移動自在に設けてあり、それぞれの押棒3の下端部には、左右巻枠1a,1bに設けた図示してない間隙内を上下に挿通可能な押板4が放射状に固設され、押棒3が下方に移動することにより、巻枠1に巻線されているコイルを下方に放出する。
そして、これらの外側にはコイル形成用のワイヤ5を挿通するフライヤ6を設けており、そのフライヤ6が巻枠1の外周を旋回することにより、巻枠1にワイヤ5が巻き付けられてコイルが形成される。
このようにして形成されたコイルは、押板4により下方に放出され、多数のブレード7aを円周上に配設したコイル挿入治具7によってそのコイルが受け取られ、次の工程でモータのステータコアに挿入される。
実際の巻線に際しては、図35に示す状態から、巻枠1が下降して左巻枠1aの最下端にある巻段1aaがコイル挿入治具7の先端部に若干くい込んだ状態でフライヤ6が回転する。これにより、ワイヤ5が巻段1aa,1baに巻き付けられてコイルが形成されるが、同時に押棒3と一体の押板4が上下し、形成されたコイルを順次下方へ移動させて巻段1aa,1baから排出する。排出されたコイルは、コイル挿入治具7のブレード7aの間隙内に挿入され、この第1段の巻線の最終段階では、形成されたコイルは一部を残して大部分がコイル挿入治具7に挿入される。
第1の巻段1aa,1baに所定の巻線が行われると、巻枠1が一段下降して第2の巻枠1ab,1bbが巻線位置になり、巻段1aa,1baで形成された第1段のコイルの終端部を形成するワイヤは、第2の巻段1ab,1bb上に導かれて第2段のコイルが形成されるが、この第2段のコイルも一部を残して大部分がコイル挿入治具7内に挿入される。
同様にして、第3、第4の巻段1ac,1bc,1ad,1bdにもコイルが巻線され、これらの大部分もコイル挿入治具7内に挿入される。
所定の段数の巻線が終ると、押棒3が最下部まで下降し、各巻段に残されている一部のコイルは押板4に押圧されて完全にコイル挿入治具7内に挿入され、第1極のコイル巻線が終了する。
次いで、第1極のコイルの最終端を形成するワイヤが図示しないグリッパにより把持され、コイル挿入治具がステータコアの極数に応じて所定角度旋回し、次極のコイル巻線が同様にして行われ、所定の極数のコイル巻線がすべて終了すると、ワイヤ5が切断されてステータコア1個分の巻線が完了する。
しかしながら、大型のモータでは大電流を流すために導体断面積を大きくする目的で、複数のワイヤ(電線,導線,銅線)を同時に巻線するのが一般的であり、上記の巻線方法では複数の電線を同時に巻線すると電線に捩れが発生して束になってしまい、コイルを挿入するためのツールに移し変えることが困難になる。
そこで、特許文献1では、縦型巻線機を用いて複数本のワイヤを連続して巻線する際にワイヤに捩れを防止するための捩れ防止装置を提案しているが、構造が複雑で機械が大きくなるため、より簡単な構造の巻線機が求められている。
また、この種の複数のワイヤを同時に巻線する巻線装置では、1本でもワイヤが無くなったときは新しい素線ワイヤボビンに交換する必要があり、その際は機械が停止してしまう。しかし、素線ワイヤボビンより巻線を行うフライヤのワイヤ出口部までは長く複雑な径路であり、その閉じた経路で、連続体であるワイヤをその整列を崩さずに自動で交換することは困難を極める。手動によるワイヤ交換作業も、機械の構造上高所であることもあって容易ではなく、同時に巻線するワイヤの本数が増えるほど設備停止時間は増え、他の工程に時間のロスをもたらすことになる。
また、コイルを巻線するワイヤの本数が違う仕様に対応する際も、上記と同様にワイヤの本数変更のために機械を停止させなければならない。
そこで、巻線するワイヤを一旦貯線リング又はボビンに巻き付けてストックし、それを引き出して巻線することによってワイヤの捩れを防ぐようにし、ワイヤの交換も容易にする巻線方法及び巻線装置が、例えば特許文献2及び特許文献3に提案されている。
しかし、これらの巻線方法及び巻線装置では、貯線リング又はボビンが巻枠の中心から離れているため、巻線時にその公転と自転が発生する。そのため、貯線リング又はボビンを大きくして充分な量のワイヤをスットクすることができず、また外部から駆動力を伝えるのが困難で正確なテンションをかけることもできないという問題があった。
そのため、ワイヤの緩みや過剰テンションが発生して、ワイヤの伸びや傷付き、断線等による品質の低下が避けられず、高速化が困難で量産性にも問題があった。
特許第3691222号公報 特許第2670078号公報 特許第3762929号公報
この発明は、複数のワイヤを同時に巻線する巻線方法及び巻線装置におけるこれらの問題を解決するためになされたものであり、従来に比べて簡単な構造で捩れのない巻線を可能にし、装置の小型化も容易にすること、さらにワイヤにかかるテンションを正確にコントロールして高速巻線を可能にし、巻線品質も向上させることを目的とする。
また、並列巻線する複数のワイヤのいずれかがなくなったとき、あるいはワイヤの本数仕様を変更する際などに、ワイヤの補充や交換を簡単に短時間で行えるようにして、巻線装置の停止時間を大幅に短縮し、生産ラインの設備稼働率を向上させることも目的とする。
この発明による複数ワイヤ同時巻線方法は、巻枠と、その巻枠の周囲を公転するガイドローラと、巻枠の下方に配置されるコイル挿入治具とを用い、ガイドローラが巻枠の周囲を公転することによって、複数のワイヤを同時に並列して上記巻枠に巻き付けてコイルを形成し、そのコイルをコイル挿入治具に受け渡す複数ワイヤ同時巻線方法である。
そして、上記の目的を達成するため、外周に複数の環状溝を並列に形成したストックリングを、その回転軸心を上記ガイドローラの公転軸心と同心にして回転可能に配設し、そのストックリングの複数の環状溝に予め複数のワイヤを巻き付けてストックし、その後上記ガイドローラを公転させて上記ストックリングにストックした複数のワイヤを同時に引き出しながら上記巻枠に巻き付けることを特徴とする。
さらに、上記ストックリングとガイドローラとを、それぞれ個別のモータで独立して回転駆動し、そのストックリングから複数のワイヤを同時に引き出しながら上記巻枠に巻き付けるための、上記ガイドローラの公転中における加減速パターンに同期して、上記ストックリングにトルク制御の駆動を行うとよい。
その場合、上記ガイドローラの公転中における加減速パターンに同期して、上記ストックリングの慣性モーメントを加減速するために必要なトルクと、上記巻枠に巻線するのに必要なテンションを加えるためのトルクと、そのストックリングの軸受における摩擦トルクとを加算したトルクを該ストックリングに与えるのが望ましい。
これらの複数ワイヤ同時巻線方法において、上記ストックリングに予めストックする複数のワイヤを、ワイヤ1本毎に独立した供給径路を有するワイヤ供給装置から供給するとともに、予め予備のワイヤを保持したホルダを用意し、使用中の複数の供給径路のいずれかから供給するワイヤの残量がコイル1個分に必要な量に満たなくなったときに、上記ホルダを上記予備のワイヤを供給し得る位置に移動させ、上記供給するワイヤの残量がコイル1個分に必要な量に満たなくなった供給径路を上記ホルダが保持する予備のワイヤを供給する径路に変更するとよい。
また、これらの複数ワイヤ同時巻線方法において、上記ストックリングに予め供給してストックするワイヤの本数を変更することによって、並列に巻線するワイヤの本数を切り換えることができる。
この発明による複数ワイヤ同時巻線装置は、巻枠と、該巻枠の周囲を公転するガイドローラと、前記巻枠の下方に配置されるコイル挿入治具とを備え、前記ガイドローラが前記巻枠の周囲を公転することによって、複数のワイヤを同時に並列して前記巻枠に巻き付けてコイルを形成し、そのコイルを前記コイル挿入治具に受け渡すように構成した複数ワイヤ同時巻線装置である。
そして、前述の目的を達成するため、外周に複数の環状溝を並列に形成したストックリングを、その回転軸心を上記ガイドローラの公転軸心と同心にして回転可能に配設し、該ストックリングの複数の環状溝に予め複数のワイヤを巻き付けてストックする機構と、上記ガイドローラを公転させて上記ストックリングにストックした複数のワイヤを同時に引き出しながら上記巻枠に巻き付ける機構とを設けたものである。
この複数ワイヤ同時巻線装置において、さらに、上記ストックリングとガイドローラとをそれぞれ独立して回転駆動する個別のモータと、そのストックリングから複数のワイヤを同時に引き出しながら上記巻枠に巻き付けるための上記ガイドローラの公転中における加減速パターンに同期して、上記ストックリングにトルク制御の駆動を行うように上記個別のモータをそれぞれ駆動制御する駆動制御部とを設けるとよい。
その場合、上記駆動制御部が、上記ガイドローラの公転中における加減速パターンに同期して、上記ストックリングの慣性モーメントを加減速するために必要なトルクと、上記巻枠に巻線するのに必要なテンションを加えるためのトルクと、該ストックリングの軸受における摩擦トルクとを加算したトルクを該ストックリングに与えるように、上記個別のモータをそれぞれ駆動制御するのが望ましい。
これらの複数ワイヤ同時巻線装置において、上記ストックリングに予めストックする複数のワイヤを、ワイヤ1本毎に独立した供給径路で供給するワイヤ供給装置と、予備のワイヤを保持したホルダとを備え、そのワイヤ供給装置は、使用中の複数の供給径路のいずれかから供給するワイヤの残量がコイル1個分に必要な量に満たなくなったときに、上記ホルダを上記予備のワイヤを供給し得る位置に移動させ、上記供給するワイヤの残量がコイル1個分に必要な量に満たなくなった供給径路を上記ホルダが保持する予備のワイヤを供給する径路に変更する機能を有するとよい。
上記ワイヤ供給装置は、上記ストックリングにストックさせるために供給するワイヤの本数を自動変更する機構を有するとなおよい。
この発明による複数ワイヤ同時巻線方法及びその巻線装置によれば、同時に巻線する複数本のワイヤを予めストックリングの外周の溝にワイヤを巻き付けてストックし、その後ガイドローラ(従来のフライヤに相当する)を巻枠の周囲で公転させて、ストックリングにストックした複数本のワイヤを同時に引き出しながら巻枠に巻き付けるので、複数本のワイヤを捩れることなく並列して巻枠に巻き付けてコイルを形成することができる。
そして、上記ストックリングの回転軸心と上記ガイドローラの公転軸心とが同心であるから、ガイドローラの公転に伴ってストックリングが公転することはなく、ストックリングの径を大きくしても大きな公転空間が不要であり、装置の小型化を図りながら充分なワイヤ量を短時間でストックすることができ、大型モータのコイルの巻線にも容易に対応することができる。
さらに、上記ストックリングとガイドローラとを、それぞれ個別のモータで独立して回転駆動することができ、上記ガイドローラの公転中における加減速パターンに同期して、上記ストックリングにトルク制御の駆動を行うことにより、ワイヤにかかるテンションを正確にコントロールして高速巻線を可能にし、巻線品質も向上させることができる。
また、上記ストックリングに予めストックする複数のワイヤを、ワイヤ1本毎に独立したホルダを有するワイヤ供給装置から供給するようにして、並列巻線する複数のワイヤのいずれかがなくなったとき、あるいはワイヤの本数仕様を変更する際などに、ワイヤの補充や交換を簡単に短時間で行えるようにして、巻線装置の停止時間を大幅に短縮し、生産ラインの設備稼働率を向上させることもできる。
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
〔巻線装置の構造の説明〕
まず、図1及び図2によってこの発明による複数本同時巻線方法を実施する巻線装置の一実施例の構造の概略を説明する。図1はその巻線装置の全体を示す正面図、図2はその駆動部を一部断面にして示す拡大図である。
この巻線装置は、基台70の上方に立壁71を介して水平に延びる基板72を設け、巻線装置本体を構成している。その基板72にブシュ73を介してシャフト11を上下に貫通して設け、そのシャフト11の下端部に巻枠54を装着している。
その巻枠54を囲むようにストックリング53を配置し、その外側に、ストックリング53から引き出した複数本のワイヤ(電線,導線,銅線)を揃えて同時に繰り出すためのガイドローラ(従来のフライヤに相当する)52を公転自在に配置し、図2に示すように、ストックリング53の回転用軸受58とガイドローラ52の公転用軸受59とを同じ中間軸18に配置している。
さらに、下部にストックリング53を一体に設けた回転円筒軸25をシャフト11と同心に設け、その上部にガイドローラ52とストックリング53をそれぞれ駆動するためのタイミングプーリ19,26を配置し、それぞれ独立したモータ9,10のタイミングプーリ22,28との間にタイミングベルト21,27を張装している。そのモータ9,10は基板72の下面側に取り付けられている。
このように、この実施例ではストックリング53とガイドローラ52とをそれぞれ独立して回転駆動する個別のモータ9,10を設けており、後述するように、ストックリング53から複数のワイヤを同時に引き出しながら巻枠54に巻き付けるためのガイドローラ52の公転中に、その加減速パターンに同期して、ストックリング53にトルク制御の駆動を行うように、個別のモータ9,10をそれぞれ駆動制御する駆動制御部100を設けている。図1では、その駆動制御部100を巻線装置本体の基板72上に設けているが、この駆動制御部100はこの巻線装置全体の制御装置内に設けてもよく、その設置位置は特に限定されない。
ストックリング53は、軸受58によって支持された回転円筒軸25を介してタイミングプーリ26と一体化している。ガイドローラ52は、シャフト20を軸として自転可能であり、そのシャフト20が軸受58,59の間に支持されて回転するリング状の中間軸18のアーム18aに支持されており、その中間軸18を介してタイミングプーリ19と一体化している。
したがって、ストックリング53の回転軸心とガイドローラ52の公転軸心は、いずれもシャフト11の軸心Oと同心である。
これらの駆動部は図1に示すように、巻線装置本体の基板72に、支柱16、ベースプレート17によって吊り下げられている。その下側には、コイルを挿入するためのコイル挿入治具55が、巻線装置本体の基台70上に矢示X方向に摺動するスライド台75に載置されている。また、側方にはワイヤを供給するためのワイヤ供給装置56が立壁71に装着されており、そのワイヤ供給装置56には複数の素線ワイヤボビン8(図1では1個しか示されていないが、紙面に垂直な方向に複数個並んでいる)からそれぞれワイヤ51が引き出されている。その各素線ワイヤボビン8はそれぞれ重量計80上に載置されており、ワイヤ供給装置56とストックリング53の間にはカッタ装置14が、基板72から垂下されて設けられている。
巻枠54の付近には、XYZ全方向に自在に動作する線処理グリッパ57を有する。巻枠54は前側巻枠29と後側巻枠30で構成されており、シャフト11に支持され、図1に示すモータ13の動力でスライド機構63により上下に可動して、巻線時のピッチ送りを行う。後側巻枠30は軸76によって前側巻枠29に対して矢示α方向に回動可能であり、エアシリンダ12によりシャフト11の内部を伝達する推力で開閉動作を行う。そのエアシリンダ12は、基板14の上部に固設されたスライド機構63に取り付けられたブラケット74の上部にに装着されている。
ストックリング53は、外周面に軸線方向に所定のピッチでワイヤストック用の複数の環状溝53aを形成しており、その内周面から回転円筒軸25の内周面を通して図2に破線で示す所定の位置には、巻き始めのワイヤを保持するワイヤクランパ15を備えている。そのワイヤクランパ15は、上端部にカムフォロア24を有するレバー23を設けているが、その詳細を図3によって説明する。
図3は、回転円筒軸25(図2参照)の中心部からみたストックリング53の巻き始めワイヤ保持部の拡大正面図である。
ワイヤクランパ15は、回転円筒軸25の内周面に取り付けられたスライドガイド31にガイドされてスライドするレバー23を有し、そのレバー23の下端部が二股になっており、その各アーム部23a,23bに、それぞれ対のピン33a,33bとリンク32a,32bとピン34a,34bを介して、一対のクランパ35a,35bを開閉可能に係着している。
このワイヤクランパ15は、レバー23の上端部に設けたカムフォロア24が追従する図示しないカムの回動による外力によって、レバー23が矢示A方向に押下されると、リンク32a,32bの回動によってクランパ35a,35bが、ストックリング53の内周面に取り付けられた上下のスライドガイド36に沿って矢示B方向にスライドして閉じる。そして、ワイヤ供給装置56からストックリング53に預けられ、図8及び図9に示すように各環状溝53aの底面の一部に形成された透孔53bを通して挿入された複数本のワイヤの巻き始め端部51aを、クランパ35a,35bの挟持力によって同時に保持する。
〔巻線動作の説明〕
次に、この巻線装置による巻線動作を、図4〜図17によって順を追って説明する。
図4と図5、図6と図7、および図8と図9は、それぞれワイヤ供給装置56からストックリング53へワイヤ51を供給する動作のワイヤ供給前、供給中、供給したワイヤの巻き始めワイヤ端部をワイヤクランパで15保持した各段階の状態を示す要部平面図とそのストックリング53を断面にして示す正面図である。なお、これらの図においてワイヤクランパ15は、実際には図3で説明した構成を有するが、図示が困難であるため簡略化して破線で囲んで示している。
まず図4及び図5に示すように、ワイヤ供給装置56のワイヤガイド39から所定本数(この例では5本)のワイヤ51を引き出してワイヤ供給ノズル37に挿通し、その各巻き始め端部51aをワイヤ供給ノズル37から突出させ、その各ワイヤ51を共通のハンド38で保持する。そして、そのワイヤ供給装置56を図5の矢示C方向へ移動させて、図6及び図7に示すようにワイヤ供給ノズル37をストックリング53に接近させる。そして、各ワイヤ51の巻き始め端部51aをストックリング53の各環状溝53a(図5にも明示)に挿入した後、ワイヤガイド39とハンド38を図7の矢示D方向へ移動させて、図8及び図9に示すようにその各ワイヤ51をストックリング53の透孔53bを通してその内周部に設けられたワイヤクランパ15のクランパ35a,35b間に送り込む。
それをワイヤクランパ15のクランパ35a,35bが図8の矢示E方向(図3の矢示B方向と同じ)に閉じてクランプし、各巻き始め端部51aを固定した後、ストックリング53を図10の矢示F方向に回転させて、その各環状溝53a内にそれぞれコイル1個分のワイヤ51を巻き取る。
その巻き取りを完了したらワイヤ供給ノズル37を後退させ、図11に示す線処理グリッパ57で各ワイヤ51を保持してから、カッタ40でそれを切断する。
次に、図12に示すようにワイヤ51をガイドローラ52に預けるために、ストックリング53を矢示G方向へ回転させながらグリッパ57を矢示H方向へ移動すろ。
そして、図13に示すように、そのガイドローラ52の上側ワイヤガイド42の外周にに巻き付いた5本の並列なワイヤ51を、矢示Iで示すように移動させて、自転するローラ41と回転しない下側ワイヤガイド43との隙間に滑り込ませ、そこから外れないように、上側ワイヤガイド42を図14に矢示Jで示すように上から下へ下げる。この状態で図15に示すように巻枠54を矢示K方向に下降させながら、ガイドローラ52を公転させて巻枠54にワイヤ51を整列して巻き付ける。
この時、ガイドローラ52の公転の加減速に同期したトルク制御を行うことによって、高速で高品質な巻線を行うことができる。その詳細は後述する。
巻枠54に1個分のコイル巻きつけた後、図16に示すようにコイル押板44にてコイル65を押さえながら前側巻枠29に対して後側巻枠30を矢示M方向に閉じて、その巻枠54を矢示L方向に上昇させ、コイル挿入治具55にそのコイル65を受け渡した後、次の巻線を行う。
これらの動作を繰り返し、最後のコイルを巻き終わった状態でストックリング53のワイヤクランパ15を開放し、各ワイヤ51の巻き始め端部51aを含む残りの線を図17に示すようにグリッパ57で引き出す。
以上によって1サイクルの巻線が完了する。
〔ワイヤ交換動作の説明〕
ストックリング53に全コイル分のコイル65の巻線を終え、ストックリング53とワイヤ供給ノズル37の間のワイヤ51をカッタ40で切断する。その際、図1に示した各素線ワイヤボビン8を載置した重量計80のいずれかがワイヤ不足を示す信号を出力していたら、その重量計80上に載置されている素線ワイヤボビン8内のワイヤ51の残量がモータ1個分の巻線量に対して不足していることが検知されたことになる。各重量計80には、そこに載置される素線ワイヤボビン8内のワイヤ51の残量がモータ1個分の巻線量に対して不足となる重量値がそれぞれ予め設定されており、計測重量がその設定値以下になったとき、ワイヤ不足を示す信号を出力するようになっている。
そこで、この信号が出力された重量計80上の素線ワイヤボビン8から供給されるワイヤ51を、予め予備に用意した素線ワイヤボビンのワイヤと自動交換することによって、稼働率を下げずに巻線作業を行うことができる。その場合の自動ワイヤ交換の動作を、図18〜図28によって順を追って説明する。
図18は、図11に示したようにストックリング53に巻き取りを終えたワイヤ51をカッタ40で切断した後の、ワイヤ供給装置56の状態を示す正面図である。
このワイヤ供給装置は56は、通常の巻線時に巻線を行うワイヤ51を、図示しない素線ワイヤボビンからチューブホルダ48内の各チューブ49、ワイヤガイド39、及びワイヤ供給ノズル37を通してストックリング53に供給するが、その複数本のワイヤ51の1本ごとにその供給経路を独立して保持している。
また、このワイヤ供給装置56は、ワイヤ51を保持するハンド38と予備のワイヤを保持したホルダであるスペアチューブホルダ47を有する。そのスペアチューブホルダ47は、予備の素線ワイヤボビンから引き出した予備のワイヤであるスペアワイヤ46を供給するスペアチューブ50を保持して矢示N、Pで示すように上下方向に可動である。このスペアチューブホルダ47はチューブホルダ48と干渉しないように配置されている。
ここで、ワイヤ供給装置56のワイヤガイド39とチューブホルダ48及びスペアチューブホルダ47の構成の詳細を、図19〜図22によって説明する。
図19は、図18に示したワイヤガイド39とチューブホルダ48及びスペアチューブホルダ47を径路切替用シリンダ81及び戻し用シリンダ82と共に示す右側面図(図18の右側から見た図)である。
図20の(a)〜(e)はそのワイヤガイド39を構成する上から1段目から5段目までの各ワイヤガイドプレート391〜395の平面を、それぞれチューブホルダ48及び対応する位置に移動したスペアチューブホルダ47の水平断面と共に示す図である。
図21は図19に示したワイヤガイド39の要部とチューブホルダ48及びスペアチューブホルダ47との関係を示す平面図である。
図22は図20の(d)に示した4段目のワイヤガイドプレート394を矢示方向に所定ストロークだけ移動させた状態を示す図である。
ワイヤガイド39は、図19に示すように支持ガイド枠39a内に、1段ずつ独立した複数段(この例では5段)のワイヤガイドプレート391〜395が積み重なっている。その各ワイヤガイドプレート391〜395は、それぞれ図19で左右方向に所定ストロークだけ独立してスライド可能である。そして、図19で左側には径路切替用シリンダ81が、スペアチューブホルダ47と同期して矢示N及びP方向に上下動可能に設けられ、右側には戻し用シリンダ82が固定されて設けられている。支持ガイド枠39aも図示していない部材によって固定されている。
チューブホルダ48には、各ワイヤガイドプレート391〜395に対応する高さ位置に、それぞれ図20で左右方向に位置をずらして各段用のチューブ49を挿入して保持する貫通孔481〜485を、図21に破線で示すように水平方向に傾斜して形成している。
スペアチューブホルダ47にもスペアチューブ50を挿入して保持する貫通孔481〜485を水平方向に傾斜して形成している。
1段目から5段目までの各ワイヤガイドプレート391〜395には、図20の(a)〜(e)に示すようにそれぞれ2本ずつの溝、すなわち通常径路の溝391a〜395aとスペア径路の溝391b〜395bが形成されている。通常径路の溝391a〜395aは、各ワイヤガイドプレート391〜395が通常位置にあるとき、その各先端部は図18に示したワイヤ供給ノズル37の各透孔の軸線37cと一致する位置に並び、後端はチューブホルダ48に保持された各段のチューブ49の先端と一致する位置になるように形成されている(図22も参照)。
スペア径路の溝391b〜395bは、各ワイヤガイドプレート391〜395が図19で右方へ所定ストロークだけスライドしたとき、その各先端部が図18に示したワイヤ供給ノズル37の各透孔の軸線37cと一致する位置になり、後端はスペアチューブホルダ47に保持されたスペアチューブ50の先端と一致する位置になるように形成されている。図19における一点鎖線37dは、ワイヤ供給ノズル37の各透孔の軸線37cの上下の配列方向を示す。
ここで、一例として上から4段目のワイヤガイドプレート394を通して供給されるワイヤが不足した場合のワイヤ交換動作を図22も参照して説明する。
図18において、そのワイヤ(下から2番目のワイヤ)を仮に不足ワイヤ45とすると、ハンド38を開いて不足ワイヤ45の保持を開放し、その不足ワイヤ45を図1に示した素線ワイヤボビン8側に配置された図示しないワイヤ送り戻し装置によって素線ワイヤボビン8側に巻き戻し、図23に示すように、ワイヤ供給ノズル37及びワイヤガイド39から取り除く。
その後、図示しないモータの駆動により、図19に示したスペアチューブホルダ47と径路切替用シリンダ81とを同期して4段目のワイヤガイドプレート394に対応する位置に移動させる。
そして、径路切替用シリンダ81を作動させてそのピストンロッド81aを突出させ、4段目のワイヤガイドプレート394を図19で右方へ所定ストロークだけスライドさせる。それによって、ワイヤガイドプレート394は図22に示す位置になり、そのスペア径路の溝394bの先端部がワイヤ供給ノズル37の透孔の軸線37cと一致する位置に、後端がスペアチューブホルダ47に保持されたスペアチューブ50の先端と一致する位置になる。これにより、ワイヤの供給径路をスペアチューブ50からワイヤ供給ノズル37への径路に変更する。
図23では、ワイヤの供給径路を切り替えた4段目のワイヤガイドプレート394と、それに対応する位置に移動したスペアチューブホルダ47を斜線を施して示している。
次に、図23に示したハンド38を閉じてワイヤ51を保持して、ハンド38及びワイヤガイド39を図24の矢示P方向に前進させ、ワイヤ供給ノズル37に干渉する直前で前進を一時停止してハンド38を開き、再び矢示P方向へ前進させて、図25に示すようにワイヤガイド39をワイヤ供給ノズル37に密着させる。
これにより、ワイヤをワイヤ供給ノズル37に送れる状態となるので、図1に示した素線ワイヤボビン8側に配置された図示しないワイヤ送り戻し装置によって、スペアワイヤ46をスペアチューブホルダ47に保持されたスペアチューブ50とワイヤガイドプレート394の図22に示した溝394bを経由してワイヤ供給ノズル37に送り、図26に示すようにワイヤ供給ノズル37を通過させた任意の位置で止める。
その後、ハンド38及びワイヤガイド39を矢示Rで示すように後退させる。その際、図24に示した位置で一時停止させてハンド38を閉じてワイヤ51及びスペアワイヤ46を保持し、さらに後退して図27に示すように元の位置に戻る。
このとき、ワイヤ供給ノズル37から突き出るワイヤの長さがばらつくと、次の巻線で不具合を生じる可能性があるため、前述したワイヤ送り戻し装置によってスペアワイヤ46を若干引き戻し、図示しないセンサでその端部46aを検知して、図28に示すようにそのスペアワイヤ46の端部46aを他のワイヤ51の端部51aと揃う適正位置に配置する。その後、図示しないモータの駆動により、図19に示したスペアチューブホルダ47と径路切替用シリンダ81とを同期して最上昇位置に移動させる。
この一連のワイヤ交換動作は、巻枠54に巻線を行っている間の裏作業で行えるため、ワイヤの不足による装置の停止を起こさずに済む。不足して取り替えになった素線ワイヤボビンは速やかに新しいものと交換し、上述した動作手順によって一時的に巻線をアシストする予備の素線ワイヤボビンと再び交代させる。
その場合には、新たにセットされた素線ワイヤボビン8から引き出したワイヤ51の先端部を、チューブ49に挿通してチューブホルダ48の貫通孔484に挿入して保持させる。そして、スペアワイヤ46を図示しないワイヤ送り戻し装置によって素線ワイヤボビン8側に巻き戻した後、図19に示した戻し用シリンダ82を作動させて、戻し用プレート83を左行させ、ワイヤガイドプレート394を左方にスライドさせて他のワイヤガイドプレートと同じ通常の位置(図20の(d)に示した位置)に戻す。
その後、前述した動作手順によって新たにセットされた素線ワイヤボビン8からのワイヤをワイヤ供給ノズル37に供給し、その先端を他のワイヤ51の端部51aと揃える。
ただし、この場合にはスペアチューブホルダ47と径路切替用シリンダ81は使用しない。
この実施例では予備の素線ワイヤボビンは1つであるが、1つに限定されるものではなく、2つ以上配置するとさらに効果が向上する。
上述した実施例によれば、予め複数のワイヤ51を巻きつけるストックリング53にワイヤ51を供給するワイヤ供給装置56は、素線ワイヤボビン8より引き出された複数本のワイヤ51を1本ごとに供給する径路を独立して有し、そのワイヤ供給ノズル37からワイヤ51の巻き始め端部51aを送出して、ストックリング53に必要な本数のワイヤ51の供給を行う。巻線前に、図1に示した重量計によりいずれかの素線ワイヤボビン8に残っているワイヤ量がコイル1個分の巻線に必要な量に対して不足していることが検知された際には、そのワイヤを素線ワイヤボビン8側に引き戻し、予備のワイヤを保持したスペアチューブホルダ47を、その終了したワイヤのチューブ49の位置に移動させ、一時的にワイヤ供給ノズル37からスペアワイヤ46を送出してストックリング53にワイヤの供給を行う。
なお、素線ワイヤボビン8に残っているワイヤ量の検出は、電気抵抗によるセンサ等を用いてもよい。
スペアチューブホルダ47は、予備の素線ワイヤボビンから引き出されたスペアワイヤ46を独立した径路で保持して、ワイヤの不足時に備える。スペアワイヤは1本に限らず2本又は3本と複数用意するとより効果が上がる。
スペアワイヤは、ワイヤ供給ノズル37の不足して引き戻した正規のワイヤの位置に入れ替わるのではなく、正規のワイヤ径路とは別の位置に移動してストックリング53に供給してもよい。しかし、ストックリング53はトルク制御の都合上慣性を最小限にしたいため、ストックリング53にスペアワイヤを専用に巻き取るスペースを確保するのは回避したいので、不足したワイヤと同位置にスペアワイヤを移動させるのが望ましい。
ワイヤの交換はストックリング53にワイヤの巻き取りを行い、巻き取り後ストックリング53とワイヤ供給装置56のワイヤ供給ノズル37との間のワイヤをカッタ装置14で切断した後の、巻枠54に巻線を行っている間の裏作業で行うことができる。
これにより、ワイヤ不足時の機械の停止を回避し、生産ラインの設備稼働率の向上が可能になる。
〔同時巻線本数の自動変更の説明〕
次に、同時に巻線を行うワイヤの本数を自動変更する方法を、図29及び図30を参照して説明する。
図29は、前述した構成のワイヤ供給装置56の図であるが、ワイヤをストックリング53に送り出すためのハンド38は、図示しない機構によって上昇及び下降を行える構造になっている。
仮に仕様Aの巻線仕様で同時に巻線するワイヤの本数を5本とし、仕様Bでは同時に巻線するワイヤの本数を3本とする。
仕様Aで巻線する5本のワイヤはワイヤ60とワイヤ61の合計であり、仕様Bで巻線する3本のワイヤはワイヤ60のみとする。
前述したストックリング53にワイヤ供給装置56からワイヤを預ける状態において、図29では、ワイヤ60とワイヤ61の両ワイヤをハンド38によって保持し、仕様Aに対応する5本のワイヤをワイヤ供給ノズル37からストックリング53に供給する場合を示す。
図30は図示しない機構によってハンド38が矢示Qで示すように上昇され、ハンド38がワイヤ60のみを保持して仕様Bに対応する3本のワイヤをワイヤ供給ノズル37からストックリング53に供給する場合を示す。
このように、コイル巻線時に同時に巻線するワイヤの本数変更に対応する際には、ワイヤ供給装置56内のワイヤをストックリング53に送り出すワイヤ保持用のハンド38を上下移動させることにより、送り出すワイヤの本数を容易に変えることができ、仕様に応じた本数のワイヤをストックリング53に供給することができる。
したがって、同時に巻線するワイヤの本数を自動的に任意に変更して、複数の仕様の巻線を行うことが可能になる。また、前述の自動ワイヤ交換と組み合わせることにより、さらに装置稼働率の向上を図ることができる。
〔ストックリングのトルク制御の説明〕
この発明による上述した複数ワイヤ同時巻線装置は、図1及び図2に示したように、予め複数のワイヤ(電線,導線,銅線)をストックする環状のストックリング53を、ワイヤを巻き付けるために公転するガイドローラ52の駆動部の軸心と同心に配置したことを最も重要な特徴としているが、この実施例ではさらに、そのストックリング53と公転するガイドローラ52とをそれぞれ独立したモータ10とモータ9(図1参照)によって駆動するようにしている。そして、ストックリング53から供給されるワイヤ51を巻枠54に巻き付けるためのガイドローラ52の公転中に、その加減速パターンに同期してストックリング53に対してトルク制御の駆動を行うことにより、高速で高品質な巻線を可能にしている。
図15によって説明したように、ガイドローラ52の公転によってストックリング53から複数本のワイヤを同時に引き出して巻枠54に巻き付ける際に、ストックリング53からワイヤをほどく方向にガイドローラ52を回転させてワイヤ51を引き出して巻枠54に巻き付ける場合と、ストックリング53にワイヤを巻き付ける方向にガイドローラ52を回転させてワイヤを引き出して巻枠54巻き付ける場合とがある。一般に、モータのステータコイルでは一極毎にコイルの巻線方向を反対にするため、上記の巻線をコイル1個ごとに交互に行っている。
そのため、ストックリング53からワイヤをほどく方向にガイドローラ52を回転させて巻線するときには、1回転当たり巻枠54に巻き付ける周長Lに対し、ストックリング53からほどくときの周長Rの方が大きいので、ガイドローラ52と同方向のR−L分の回転角をストックリング53に与える必要がある。
また、ストックリング53にワイヤ51を巻き付ける方向にガイドローラ52を回転させて巻線するときには、1回転当たり巻枠54に巻き付ける周長Lに対してストックリング53に巻き付ける周長Rが追加され、ガイドローラ52と同方向のR+L分の回転角をストックリング53に与える必要がある。
上記はワイヤにかかる張力を考慮しない場合で、巻線を高速化して品質を安定させるためには、ワイヤにかかる張力を一定にする必要があるため、巻線の加速時にはストックリング53の慣性を加速するためのトルクと、ワイヤにテンションを与えるのこのためのトルクと、軸受の摩擦トルクとを加えたトルクをストックリング53に与える必要がある。
巻線の減速時には、ストックリング53の慣性を減速するための逆方向のブレーキトルクと、ワイヤにテンションを与えるのためのトルクと、軸受の摩擦トルクとを加算したトルクをストックリング53に与える必要がある。
また巻線の一定速時には、巻線のために必要なトルクと軸受の摩擦トルクとを加算したトルクを与える必要がある。
これらを式で表わすと、次式の様に2通りの式となり、これにさらに加速時、定速時、減速時の角加速度を代入すると6通りのトルク制御パターンが必要になる。
ストックリングの巻き付け方向のトルク;
T=J×(dω/dt)×{(R+L)/R}+(W/r)−F
ストックリングのほどき方向のトルク;
T=J×(dω/dt)×{(R−L)/R}+(W/r)+F
T:ストックリングに与えるトルク
J:ストックリングの慣性モーメント
ω:ストックリングの公転の角速度
W:巻線に必要なテンション
r:ストックリングの半径
F:ストックリングの軸受の摩擦係数
図31はストックリングの巻き付け方向の、図32はストックリングのほどき方向の、それぞれトルク制御パタ−ンを示す線図であり、ガイドローラ52の速度Vおよび位置Pとストックリング53のトルクTとが時間と共に変化する6通りのトルク制御パターンを示している。
このようなトルク制御は、図1に示した駆動制御部100によって、ガイドローラ駆動用モータ9およびストックリング駆動用モータ10を駆動制御することにより行われる。
この駆動制御部100の具体例を図33にブロック図で示す。図1では図示を省略した操作パネルおよび各モータ9,10を直接駆動するサーボドライバも図33には示している。
駆動制御部100は、判断および演算機能を有する中央処理装置であるCPU101、プログラムメモリであるROM102、データメモリであるRAM103、および入出力部であるI/Oポート104,105,106と、これらを相互に接続するCPUバス107等からなるマイクロコンピュータを構成している。
ROM102には、ガイドローラ駆動用のモータ9とストックリング駆動用のモータ10を、それぞれ駆動制御するための基本的なプログラムであるドライブコントローラAおよびドライブコントローラAと、この発明によるトルク制御を行うための制御プログラムAおよび制御プログラムBを格納している。
一方、RAM103はCPUのワーキングメモリとして使用される揮発性RAM領域と、この発明によるトルク制御を行うためのガイドローラ用データおよびストックリング用データを格納する不揮発性RAM領域103Nとを設けている。
I/Oポート104には、液晶表示器等のディスプレイ111とキーボード(タッチパネルでもよい)112を備えた操作パネル110が接続されている。この操作パネル110から、RAM103の不揮発性RAM領域103Nに格納するガイドローラ用データおよびストックリング用データを入力したり、そのデータを書き換えたりすることができる。
ガイドローラ用データとしては、次の各データを格納する。
ガイドローラ52の巻き付け方向の移動量:P1
ガイドローラ52の巻き付け方向の最高速度:V1
ガイドローラ52の巻き付け方向の加速時間:T1
ガイドローラ52の巻き付け方向の定速時間:T2
ガイドローラ52の巻き付け方向の減速時間:T3
ガイドローラ52のほどき方向の移動量:P2
ガイドローラ52のほどき方向の最高速度:V2
ガイドローラ52のほどき方向の加速時間:T4
ガイドローラ52のほどき方向の定速時間:T5
ガイドローラ52のほどき方向の減速時間:T6
ストックリング用データとしては、次の各データを格納する。
ストックリング53の巻き付け方向の加速時トルク:TQ1
ストックリング53の巻き付け方向の定速時トルク:TQ2
ストックリング53の巻き付け方向の減速時トルク:TQ3
ストックリング53のほどき方向の加速時トルク:TQ4
ストックリング53のほどき方向の定速時トルク:TQ5
ストックリング53のほどき方向の減速時トルク:TQ6
これらの各データを図31および図32のそれぞれ右側に示している。
I/Oポート105には、サーボドライバ120介して位置制御するガイドローラ駆動用のモータ9が接続され、そのモータ9に取り付けたエンコーダ140によって検出される位置情報を、サーボドライバ120を介して入力する。
I/Oポート106には、サーボドライバ130介してトルク制御するストックリング駆動用のモータ10が接続され、そのモータ10に取り付けたエンコーダ150によって検出される位置情報を、サーボドライバ130を介して入力する。
そして、この駆動制御部100のCPU101は、ROM102に格納されている制御プログラムAおよびドライブコントローラAに基いて、RAM103に格納されたガイドローラ用データを参照し、エンコーダ140からの位置情報を確認ながら、サーボドライバ120によってモータ9を駆動制御させて、ガイドローラ52を位置制御する。
同時にそのCPU101は、ROM102に格納されている制御プログラムBおよびドライブコントローラBに基いて、RAM103に格納されたストックリング用データを参照し、エンコーダ150からの位置情報を確認しながら、サーボドライバ130によってモータ10を駆動制御させて、ストックリング53をトルク制御する。
ここで、CPU101が制御プログラムA(以下、単に「プログラムA」という)および制御プログラムB(以下、単に「プログラムB」という)によって実行する処理を、ストックリング53の巻き付け方向でそのトルクを制御する場合について、図34のフローチャートと図31の制御パタ−ン図によって説明する。図34およびその説明において、ステップを「S」と略記する。
CPU101は図34に示すプログラムAおよびプログラムBによる処理を並行して実行する。プログラムAの処理を開始すると、先ずS11でデータの入力をする。そのデータは、図33に示したRAM103に格納された前述したガイドローラ用データおよびストックリング用データのうちの巻き付け方向のデータである。
次に、S12で必要な位置データP1A,P1Bを計算する。これは、前述したガイドローラの最高速度(目標速度)V1と加速時間T1から、加速終了時のガイドローラ52の位置P1Aを、P1A=V1×T1/2の演算によって計算し、その後の最高速度V1による定速時間T2から、定速終了時のガイドローラ52の位置P1Bを、P1B=P1A+V1×T2の演算によって計算する。
そして、S13でスタートフラグをONにし、ガイドローラ駆動用モータ9の駆動をスタートさせ、S14でガイドローラ52をスタート位置P1Sから移動量P1の目標位置P1Eへ移動(公転)させる。その制御は、ガイドローラの最高速度(目標速度)V1、加速時間T1、定速時間T2、および減速時間T3に基いて、ドライブコントローラAによる処理で、サーボドライバ120を制御し、そのサーボドライバ120にモータ9を駆動させて行う。
ガイドローラ52が目標位置に達すると、S15で終了フラグをONにして、処理を終了する。
一方、プログラムBの処理を開始すると、先ずS21でトルク制御モードに切り替える。
そして、S22でスタートフラグがONになるのを待ち、プログラムAの処理のS13でスタートフラグがONになると、それに同期してS23でストックリング53を加速時トルクTQ1に切り替え、ストックリング駆動用モータ10の駆動をスタートさせる。したがって、ガイドローラ52とストックリング53は図31に示すように同期して回転をスタートする。
実際のストックリング53の回転駆動は、ドライブコントローラBによる処理で、加速時トルクTQ1になるようにサーボドライバ130を制御し、そのサーボドライバ130にモータ10を駆動させて行う。以降の定速時トルクTQ2および減速時トルクTQ3の制御も同様である。
その後、S24でガイドローラ52の現在位置がP1Aに達しているかを判断する。これは、プログラムAの処理のS12で計算された加速終了時のガイドローラ52の位置P1Aと、エンコーダ140からの位置情報の積算値とを比較して判断する。
ガイドローラ52の現在位置がP1Aに達すると、S25でストックリング53を定速時トルクに切り替える。そして、S26でガイドローラ52の現在位置がP1Bに達しているかを判断する。これは、プログラムAの処理のS12で計算された定速終了時のガイドローラ52の位置P1Bと、エンコーダ140からの位置情報の積算値とを比較して判断する。
ガイドローラ52の現在位置がP1Bに達すると、S27でストックリング53を減速時トルクに切り替える。その後、S28で終了フラグがONになるのを待ち、プログラムAの処理のS15で終了フラグがONになると、それに同期してストックリング53のトルクを0に切り替え、モータ10の駆動を停止させる。
このようにして、図31に示すように、位置制御によるガイドローラ52の公転中の加速時、定速時、減速時に対して、ストックリング53がトルクを切れ目なく切り替えながら同期して回動することにとって、所定のトルク制御を実現する。よって、位置制御によるガイドローラの動作に、トルク制御による貯線されたストックリング53が追従することにより巻線を行う。
ストックリング53のほどき方向でそのトルクを制御する場合も、図34に示すプログラムAとプログラムBによる処理と同様の処理を行うが、プログラムAによる処理のS11で入力するデータは、前述したガイドローラ用データおよびストックリング用データのうちのほどき方向のデータである。そして、S12では図32に示す位置データP2A,P2Bを計算し、S14では、ガイドローラ52をスタート位置P2Sから移動量P2の目標位置P2Eへ移動(公転)させる。
プログラムBによる処理のS24,S26で判断するガイドローラ52の現在位置はP2A,P2Bであり、S23で切り替える加速時トルクはTQ4、S25で切り替える定速時トルクはTQ5、S27で切り替える減速時トルクはTQ6となる。
これらのストックリングの巻き付け方向およびほどき方向の何れの場合にも、ストックリング53から複数のワイヤを同時に引き出しながら巻枠54に巻き付けるためのガイドローラ52の公転中における加減速パターンに同期して、ストックリング53に対してトルク制御の駆動を行う。
以上説明してきたように、この発明による複数ワイヤ同時巻線方法及びその巻線装置は、自動車、工作機械、輸送機器等に用いられる大型モータのステータコイルを作製するために、複数本のワイヤを同時に巻線するのに好適であり、巻線装置の小型化、巻線作業の高速化及び巻線品質の向上、装置稼動率の向上などを達成することができる。
この発明による複数本同時巻線方法を実施する巻線装置の一実施例を示す正面図である。 同じくその駆動部を一部断面にして示す拡大図である。 同じくそのストックリングの巻き始めワイヤ保持部の拡大正面図である。 図3におけるワイヤ供給装置56からストックリングへワイヤを供給する動作の供給前の状態を示す要部平面図である。 同じくそのストックリングを断面にして示す正面図である。 ワイヤ供給中の状態を示す要部平面図である。 同じくそのストックリングを断面にして示す正面図である。
供給したワイヤの巻き始めワイヤ端部をワイヤクランパで保持した状態を示す要部平面図である。 同じくそのストックリングを断面にして示す正面図である。 ストックリングへのワイヤ巻き取り動作を説明するための部分的な平面図である。 巻き取り完了後のワイヤ切断動作を説明するためのストックリングの上方から見た要部平面図である。 ワイヤをガイドローラに預けるため動作を説明するための図11と同様な平面図である。
ワイヤをガイドローラのローラと下側ガイドとの隙間に滑り込ませる動作を説明するためのガイドローラと線処理グリッパの正面図である。 ワイヤをローラと下側ガイドとの隙間に保持した状態を示す図14と同様な正面図である。 ガイドローラを公転させて巻枠にワイヤを整列して巻き付ける動作を説明するためのストックリングの一部を断面にして示す要部正面図である。 巻枠に巻いたコイルをコイル挿入治具に受け渡す動作を説明するための図15と同様な要部正面図である。 最後のコイルを巻き終わった状態で各ワイヤの巻き始め端部を含む残りの線をグリッパで引き出す動作を説明するための巻枠を省略した要部正面図である。
自動ワイヤ交換の動作を説明するためのワイヤ供給装置の最初の状態を示す正面図である。 図18に示したワイヤガイドとチューブホルダ及びスペアチューブホルダをワイヤガイドプレートを移動させるシリンダと共に示す右側面図である。 そのワイヤガイドを構成する上から1段目から5段目までの各ワイヤガイドプレートの平面を(a)〜(e)に、それぞれチューブホルダ及び対応する位置に移動したスペアチューブホルダの水平断面と共に示す図である。 図19に示したワイヤガイドの要部とチューブホルダ及びスペアチューブホルダとの関係を示す平面図である。 図20の(d)に示した4段目のワイヤガイドプレートを矢示方向に所定ストロークだけ移動させた状態を示す図である。
図18に示した状態からワイヤ供給装置の不足ワイヤを素線ワイヤボビン側に巻き戻し、スペアチューブからワイヤ供給ノズルへのワイヤの径路を切り替えた状態を示す正面図である。 同じくそのワイヤ供給装置のハンド及びワイヤガイドを前進させ、ワイヤ供給ノズルに干渉する直前で前進を一時停止した状態を示す正面図である。 同じくそのワイヤ供給装置のワイヤガイドをワイヤ供給ノズルに密着させた状態を示す正面図である。 同じくそのワイヤ供給装置のスペアワイヤをワイヤガイドを経由してワイヤ供給ノズルを通過させた任意の位置で止め状態を示す正面図である。 同じくそのワイヤ供給装置のハンド及びワイヤガイドを後退させて元の位置に戻った状態を示す正面図である。 同じくそのワイヤ供給装置のスペアワイヤの端部を他のワイヤの端部と揃う適正位置に配置した状態を示す正面図である。
同時に巻線するワイヤの本数を5本とした場合のワイヤ供給装置の正面図である。 同時に巻線するワイヤの本数を3本とした場合のワイヤ供給装置の正面図である。 ストックリングの巻き付け方向のトルク制御パターンを示す線図である。 ストックリングのほどき方向のトルク制御パターンを示す線図である。 図1に示した駆動制御部100の具体例を示すブロック図である。 図33に示したCPUが制御プログラムAおよびBによって実行する処理のフローチャートである。 従来の巻線機の概略をコイル挿入治具とともに示す要部の斜視図である。
符号の説明
8:素線ワイヤボビン 9:モータ(ガイドローラ駆動用)
10:モータ(ストックリング駆動用) 11:シャフト
12:エアシリンダ 13:モータ(巻枠上下動用)
14:カッタ装置 15:ワイヤクランパ 16:支柱
17:ベースプレート 18:中間軸 18a:アーム
19:タイミングプーリ 20:シャフト
21:タイミングベルト 22:タイミングプーリ 23:レバー
24:カムフォロア 25:回転円筒軸 26:タイミングプーリ
27:タイミングベルト 28:タイミングプーリ 29:前側巻枠
30:後側巻枠 31:スライドガイド 32a,32b:リンク
33a,33b,34a,34b:ピン 35a,35b:クランパ
36:スライドガイド 37:ワイヤ供給ノズル 38:ハンド
39:ワイヤガイド 39a:支持ガイド枠 40:カッタ
41:ローラ 42:上側ワイヤガイド 43:下側ワイヤガイド
44:コイル押板 45:不足ワイヤ 46:スペアワイヤ
47:スペアチューブホルダ 48:チューブホルダ 49:チューブ
50:スペアチューブ 51:ワイヤ 51a:ワイヤの巻き始め端部
52:ガイドローラ 53:ストックリング
53a:ワイヤストック用の環状溝 54:巻枠
55:コイル挿入治具 56:ワイヤ供給装置
57:線処理グリッパ 58:軸受 59:軸受
60:ワイヤ 61:ワイヤ 62:基板 63:スライド機構
65:コイル 70:基台 71:立壁 72:基板
73:ブシュ 74:ブラケット 75:スライド台
76:後側巻枠の軸 81:径路切替用シリンダ 81a:ピストンロッド
82:戻し用シリンダ 83:戻し用プレート
100:駆動制御部 101:CPU 102:ROM 103:RAM
103N:不揮発性RAM領域 104〜106:I/Oポート
107:CPUバス 110:操作パネル 111:ディスプレイ
112:キーボード 120,130:サーボドライバ
140,150:エンコーダ
391〜395:ワイヤガイドプレート 391a〜395a:通常径路の溝
391b〜395b:スペア径路の溝
470:スペヤチューブを挿入するスペヤチューブホルダの貫通孔
481〜485:チューブを挿入するチューブホルダの貫通孔

Claims (10)

  1. 巻枠と、該巻枠の周囲を公転するガイドローラと、前記巻枠の下方に配置されるコイル挿入治具とを用い、前記ガイドローラが前記巻枠の周囲を公転することによって、複数のワイヤを同時に並列して前記巻枠に巻き付けてコイルを形成し、そのコイルを前記コイル挿入治具に受け渡す複数ワイヤ同時巻線方法であって、
    外周に複数の環状溝を並列に形成したストックリングを、その回転軸心を前記ガイドローラの公転軸心と同心にして回転可能に配設し、該ストックリングの前記複数の環状溝に予め複数のワイヤを巻き付けてストックし、その後前記ガイドローラを公転させて前記ストックリングにストックした複数のワイヤを同時に引き出しながら前記巻枠に巻き付けることを特徴とする複数ワイヤ同時巻線方法。
  2. 請求項1に記載の複数ワイヤ同時巻線方法において、
    前記ストックリングと前記ガイドローラとを、それぞれ個別のモータで独立して回転駆動し、
    前記ストックリングから複数のワイヤを同時に引き出しながら前記巻枠に巻き付けるための前記ガイドローラの公転中における加減速パターンに同期して、前記ストックリングにトルク制御の駆動を行うことを特徴とする複数ワイヤ同時巻線方法。
  3. 請求項2に記載の複数ワイヤ同時巻線方法において、
    前記ガイドローラの公転中における加減速パターンに同期して、前記ストックリングの慣性モーメントを加減速するために必要なトルクと、前記巻枠に巻線するのに必要なテンションを加えるためのトルクと、該ストックリングの軸受における摩擦トルクとを加算したトルクを該ストックリングに与えることを特徴とする複数ワイヤ同時巻線方法。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の複数ワイヤ同時巻線方法において、
    前記ストックリングに予めストックする複数のワイヤを、ワイヤ1本毎に独立した供給径路を有するワイヤ供給装置から供給するとともに、予め予備のワイヤを保持したホルダを用意し、使用中の複数の供給径路のいずれかから供給するワイヤの残量がコイル1個分に必要な量に満たなくなったときに、前記ホルダを前記予備のワイヤを供給し得る位置に移動させ、前記供給するワイヤの残量がコイル1個分に必要な量に満たなくなった供給径路を前記ホルダが保持する予備のワイヤを供給する径路に変更することを特徴とする複数ワイヤ同時巻線方法。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の複数ワイヤ同時巻線方法において、
    前記ストックリングに予め供給してストックするワイヤの本数を変更することによって、並列に巻線するワイヤの本数を切り換えることを特徴とする複数ワイヤ同時巻線方法。
  6. 巻枠と、該巻枠の周囲を公転するガイドローラと、前記巻枠の下方に配置されるコイル挿入治具とを備え、前記ガイドローラが前記巻枠の周囲を公転することによって、複数のワイヤを同時に並列して前記巻枠に巻き付けてコイルを形成し、そのコイルを前記コイル挿入治具に受け渡すように構成した複数ワイヤ同時巻線装置であって、
    外周に複数の環状溝を並列に形成したストックリングを、その回転軸心を前記ガイドローラの公転軸心と同心にして回転可能に配設し、該ストックリングの前記複数の環状溝に予め複数のワイヤを巻き付けてストックする機構と、前記ガイドローラを公転させて前記ストックリングにストックした複数のワイヤを同時に引き出しながら前記巻枠に巻き付ける機構とを設けたことを特徴とする複数ワイヤ同時巻線装置。
  7. 請求項6に記載の複数ワイヤ同時巻線装置において、
    前記ストックリングと前記ガイドローラとをそれぞれ独立して回転駆動する個別のモータと、
    前記ストックリングから複数のワイヤを同時に引き出しながら前記巻枠に巻き付けるための前記ガイドローラの公転中における加減速パターンに同期して、前記ストックリングにトルク制御の駆動を行うように前記個別のモータをそれぞれ駆動制御する駆動制御部とを設けたことを特徴とする複数ワイヤ同時巻線装置。
  8. 請求項7に記載の複数ワイヤ同時巻線装置において、
    前記駆動制御部が、前記ガイドローラの公転中における加減速パターンに同期して、前記ストックリングの慣性モーメントを加減速するために必要なトルクと、前記巻枠の巻線するのに必要なテンションを加えるためのトルクと、該ストックリングの軸受における摩擦トルクとを加算したトルクを該ストックリングに与えるように、前記個別のモータをそれぞれ駆動制御することを特徴とする複数ワイヤ同時巻線装置。
  9. 請求項6から8のいずれか一項に記載の複数ワイヤ同時巻線装置において、
    前記ストックリングに予めストックする複数のワイヤを、ワイヤ1本毎に独立した供給径路で供給するワイヤ供給装置と、予備のワイヤを保持したホルダとを備え、前記ワイヤ供給装置は、使用中の複数の供給径路のいずれかから供給するワイヤの残量がコイル1個分に必要な量に満たなくなったときに、前記ホルダを前記予備のワイヤを供給し得る位置に移動させ、前記供給するワイヤの残量がコイル1個分に必要な量に満たなくなった供給径路を前記ホルダが保持する予備のワイヤを供給する径路に変更する機能を有することを特徴とする複数ワイヤ同時巻線装置。
  10. 請求項9に記載の複数ワイヤ同時巻線装置において、
    前記ワイヤ供給装置は、前記ストックリングにストックさせるために供給するワイヤの本数を自動変更する機構を有することを特徴とする複数ワイヤ同時巻線方法。
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