JP3989306B2 - 耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物、及びそれからなる絶縁被覆層を持つ電力ケーブル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧屋外電力ケーブルに使用される耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物、及びそれからなる絶縁被覆層を持つ電力ケーブルに関し、更に詳しくは、機械的特性、成形加工性に優れ、かつ耐候性と耐トラッキング性のバランスに優れた水架橋性の耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物、及びそれからなる絶縁被覆層を持つ電力ケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレン系樹脂は、絶縁性能、耐摩耗性、強度、低温脆性等の機械的特性、及び成形加工性に優れており、例えば電線や通信ケーブルの絶縁被覆材として広く用いられている。
特に、6000V程度の高圧屋外用電線、例えば、OC(架橋ポリエチレンを絶縁材とする屋外用電線)、PDC(高圧引下げ架橋ポリエチレン線)などの絶縁材には、架橋ポリエチレンが用いられている。
屋外に布設される電線には、このように架橋することにより機械的強度が優れたもの、特に実使用の際に暴露される50〜90℃程度での機械的特性が強化された絶縁被覆材(絶縁体やシース材料の用途に)が使われ、この機械的強度に加えて、ブツやゲルを形成し得るスコーチ(早期架橋)から生じる表面荒れのなさ等の成形加工性が要求されるが、その他に、長期にわたり日光に曝されるので耐候性が求められ、また、海岸付近に布設された電線には、海風等によって海水から塩分が絶縁被覆材に付着し、この状態で絶縁被覆材に降雨により水分が付着すると、漏洩電流が流れ、ジュール熱により付着水分が蒸発すると、漏洩電流の流れが遮断され、その結果放電が生じ、この放電により、絶縁被覆材表面が炭化し、そしてこの炭化は累積すると、導電路が形成されるトラッキングが発生し、絶縁破壊を導き、電線の寿命が短くなり、新たな布設による交換が必要となるので、これに対する耐トラッキング性が求められている。
【0003】
例えば、特開平8−311241号公報には、熱可塑性樹脂、水酸化マグネシウム及び再凝固炭素微粉からなる耐トラッキング性樹脂組成物が提案されているが、これは、高圧屋外用電線としての機械的特性が不十分と考えられ、かつ耐候性と耐トラッキング性のバランスにも、更なる向上が必要である。
また、特開2000−133048号公報には、ポリオレフィン系又はゴム系ベース樹脂、金属水酸化物、シランカップリング剤、架橋剤、触媒を配合した樹脂を押出成形してなる耐トラッキング性絶縁電線が提案されているが、これは、機械的強度は満足するが、耐候性が不十分で、成形加工時の熱処理によりブツやゲルが生じる場合があり、絶縁性能に影響があることとなり、これを絶縁被覆材として用いた電線を海岸近い所等に布設すると、耐候性と耐トラッキング性のバランスも不十分であり、その結果、電線の寿命が短くなるという問題が指摘されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、優れた機械的特性、表面荒れのない、よって均一な絶縁性能を得る成形加工性を持ち、かつ耐候性と耐トラッキング性のバランスに優れた耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物、及びそれからなる絶縁被覆層(絶縁体やシース体の層)を持つ電力ケーブルを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定のエチレン系樹脂が機械的特性に優れ、かつ耐候性付与のために配合するカーボンブラックと、また耐トッラキング性付与剤として配合する水酸化マグネシウムとの相溶性が良好であり、更にこれら耐候性付与剤や耐トラッキング性付与剤の配合割合を最適化することにより、耐候性と耐トラッキング性が更に改善され、その上架橋法として、水架橋法を採用することにより、ブツやゲルなどの表面荒れがなく、よって絶縁性能の均一性に優れた成形加工品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、メルトマスフローレート0.8〜5.8g/10分のエチレン−α−オレフィン二元共重合体及び/又は三元共重合体を主成分とするエチレン系樹脂(A)100重量部に対して、水酸化マグネシウム(B)8〜40重量部、カーボンブラック(C)0.2〜1.1重量部、不飽和アルコキシシラン(D)0.1〜10重量部、有機過酸化物(E)0.01〜1重量部、及びシラノール縮合触媒(F)0.001〜1重量部を配合させてなることを特徴とする耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、エチレン−α−オレフィン二元共重合体及び/又は三元共重合体の密度は、0.880〜0.935g/cm3であることを特徴とする耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、エチレン系樹脂(A)は、密度0.880〜0.935g/cm3及びメルトマスフローレート0.8〜5.8g/10分であるエチレン−α−オレフィン二元共重合体及び/又は三元共重合体100〜50重量%と、密度0.910〜0.930g/cm3及びメルトマスフローレート0.1〜15g/10分である高圧法エチレン単独重合体0〜50重量%未満からなることを特徴とする耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物が提供される。
【0007】
本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、カーボンブラック(C)がファーネスブラック、不飽和アルコキシシラン(D)がビニルトリメトキシシラン、有機過酸化物(E)がジクミルパーオキシド、及びシラノール縮合触媒(F)がジブチル錫ジラウレートであることを特徴とする耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物が提供される。
一方、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明に係る耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物からなる絶縁被覆層が構成されていることを特徴とする電力ケーブルが提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物、及びそれからなる絶縁被覆層を持つ電力ケーブルについて、各項目毎に詳細に説明する。
【0009】
1.エチレン系樹脂(A)
本発明において使用されるエチレン系樹脂(A)は、そのメルトマスフローレートが0.8〜5.8g/10分、好ましくは1〜5g/10分、更に好ましくは2〜3g/10分であるエチレン−α−オレフィン(炭素数3〜12)二元共重合体及び/又は三元共重合体を主成分とするエチレン系樹脂である。
エチレン系樹脂(A)のメルトマスフローレートが0.8g/10分未満であると、成形加工性が劣り、押出加工時に不整流が生じて表面状態が劣化し、表面荒れを形成し、絶縁性能の均一性に悪影響がでることがあり、一方、メルトマスフローレートが5.8g/10分を超えると、押出加工後樹脂が垂れ下がり、成形自体が困難となり、また充分な機械的強度が得られないことがあるので望ましくない。
【0010】
エチレン−α−オレフィン二元共重合体及び/又は三元共重合体を主成分とするとは、エチレン系樹脂(A)の樹脂成分の50重量%以上、好ましくは55重量%以上、更に好ましくは60重量%以上がエチレン−α−オレフィン二元共重合体及び/又は三元共重合体によって構成されていることを意味する。
エチレン系樹脂(A)が、上記の条件を満たさなければ、得られる樹脂組成物の機械的特性が劣り望ましくない。
【0011】
本発明では、密度が0.880〜0.935g/cm3、好ましくは0.900〜0.925g/cm3であり、及びメルトマスフローレートが0.8〜5.8g/10分、好ましくは1〜5g/10分、更に好ましくは2〜3g/10分であるエチレン−α−オレフィン二元共重合体及び/又は三元共重合体のみからなるものを、エチレン系樹脂(A)として好適に使用できる。
また、エチレン系樹脂(A)に配合できるエチレン−α−オレフィン二元共重合体及び/又は三元共重合体以外のマイナー配合量の樹脂成分としては、エチレン単独重合体、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸(あるいはそのエステル誘導体)共重合体、エチレン−カルボン酸ビニルエステル共重合体などが挙げられ、これらは、エチレン系樹脂(A)に所望の特性を付与する目的で配合される。
これらを具体的に例示すると、高圧法エチレン単独重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などを挙げることができる。これらの中では、絶縁性能の優れた高圧法エチレン単独重合体を好適に使用できる。
例えば、樹脂組成物調製時や押出加工時の負荷圧の上昇を軽減し、不整流の発生を防止し安定した表面荒れのない成形加工性を得るために、密度0.910〜0.930g/cm3、及びメルトマスフローレート0.1〜15g/10分の高圧法エチレン単独重合体の配合を挙げることができ、その配合量が50重量%未満、好ましくは45重量%未満、更に好ましくは40重量%未満であるものを例示できる。
【0012】
本発明で使用されるエチレン−α−オレフィン二元共重合体及び/又は三元共重合体は、温度0〜250℃、圧力50MPa以上(高圧の場合)、10〜50MPa(中圧の場合)あるいは常圧〜10Mpa(低圧の場合)のいずれかの条件で、溶液重合法、懸濁重合法、スラリー重合法、気相重合法等の方法で、チーグラー触媒、フィリップス触媒、スタンダード触媒、又はシングルサイト(メタロセンあるいはカミンスキーとも呼ばれる。)触媒等を用いて製造される、いわゆる直鎖状低密度品に該当するものが好適である。
【0013】
コモノマーとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等炭素数3〜12のアルケンが使用できる。二元共重合体の場合は、コモノマーを1種用い、三元共重合体の場合は、コモノマーを2種用いて重合されるが、具体的にはエチレン−ブテン−1二元共重合体、エチレン−ヘキセン−1二元共重合体、エチレン−オクテン−1二元共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体、エチレン−プロピレン−ヘキセン−1三元共重合体等を例示できる。
なお、エチレン−α−オレフィン二元共重合体及び/又は三元共重合体は、1種あるいは2種以上を同時に使用することができる。
【0014】
2.水酸化マグネシウム(B)
本発明において使用される水酸化マグネシウム(B)は、耐トラッキング性を付与するために配合される。
一般に金属水和物や金属水酸化物、具体的には水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ジルコニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等は、耐トラッキング性を付与できるが、本発明では、機械的特性が優れて、耐候性と耐トラッキング性の優れたバランスを得るためには、熱暴露に対して安定で、表面荒れのない絶縁被覆層を得ることができ、よって絶縁性能の均一性の良い組成物を得ることができる分解開始温度の高い水酸化マグネシウムでなければならない。
【0015】
水酸化マグネシウム(B)としては、海水等から製造された合成水酸化マグネシウム、又は天然産ブルーサイト鉱石を粉砕して製造された水酸化マグネシウムを主成分(水酸化マグネシウム含有量85〜95重量%)とする天然水酸化マグネシウムのいずれも好適に使用することができる。
【0016】
水酸化マグネシウム(B)の表面は、分散性や流動性を向上するために、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級アルコール、硬化油、チタネートカップリング剤又はシランカップリング剤等から選ばれた少なくとも1種の表面処理剤0.5〜5重量%で、表面被覆されていることが望ましい。
表面処理剤として、具体的には、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸;これらの高級脂肪酸のナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩;これらの高級脂肪酸のメチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、オクチルエステル;これらの高級脂肪酸のアミド;オクチルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;牛脂硬化油;イソプロピル−トリ(ジオクチルホスフェート)チタネート;ビニルトリエトキシシラン等を例示できる。表面処理法としては、合成品では湿式法、天然品では乾式法を好適に用いることができる。
【0017】
水酸化マグネシウム(B)の平均粒子径は、樹脂への分散性、耐トラッキング性への効果から、40μm以下が好ましく、特に0.2〜6μmのものが好ましい。
【0018】
水酸化マグネシウム(B)の配合量は、エチレン系樹脂(A)100重量部に対して、8〜40重量部、好ましくは10〜40重量部、更に好ましくは20〜30重量部である。これが、上記下限値(8重量部)未満であると、耐トラッキング性が不十分となり、一方、これが上記上限値(40重量部)を超えると、機械的特性及び耐候性が低下すると共に、成形加工性が落ち、ブツ等が生じ表面荒れを形成することがあるので望ましくない。
【0019】
3.カーボンブラック(C)
本発明で使用されるカーボンブラック(C)の主たる作用は、耐候性付与にあるが、同時に耐トラッキング性も付与する。
カーボンブラック(C)としては、公知のカーボンブラックであればよく、特に制限はない。例えば、黒鉛化カーボン、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が例示できる。
これらの中では、ファーネスブラックが、耐候性と絶縁性能のバランスが良く好適に使用できる。
【0020】
カーボンブラック(C)の平均粒子径は、樹脂への分散性、耐トラッキング性への効果から10〜80μmが好ましく、特に15〜30μmのものが好ましい。
【0021】
カーボンブラック(C)の配合量は、エチレン系樹脂(A)100重量部に対して、0.2〜1.1重量部、好ましくは0.3〜1.0重量部、更に好ましくは0.3〜0.8重量部である。カーボンブラック(C)の配合量が上記下限値(0.2重量部)未満であると、耐候性が不十分となり、一方、これが上記上限値(1.1重量部)を超えると、絶縁性能が低下する場合があると共に、耐トラッキング性も悪くなり、更に成形加工性も落ち、ブツ等が形成し表面荒れが認められることがあり、望ましくない。
なお、カーボンブラック(C)は、1種あるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0022】
4.不飽和アルコキシシラン(D)
本発明で使用される不飽和アルコキシシラン(D)は、次の一般式:
RR’nSi(OR”)3−n
(式中、nは、0又は1であり、Rは、ポリエチレン系樹脂中に発生した遊離ラジカルと反応性を有する脂肪族不飽和炭化水素基又はヒドロカーボンオキシ基であり、R’は、アルキル基又はフェニル基であり、R”は、アルキル基又は置換アルキル基である。)
で表わされるアルコキシシラン化合物である。式中、Rの脂肪族不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基又はシクロペンタジエニル基が挙げられ、ビニル基が特に望ましい。(OR”)は、例えば、メトキシ基、エトキシ基又はブトキシ基が挙げられる。好適な不飽和アルコキシシランは、γ−メタアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、又はビニルトリメトキシシランである。
【0023】
不飽和アルコキシシラン(D)の配合量は、エチレン系樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.4〜5重量部、更に好ましくは0.5〜2.0重量部である。不飽和アルコキシシラン(D)の配合量が上記下限値(0.1重量部)未満であると、架橋度が低くなり機械的特性が不十分で、かつ耐熱変形性が悪くなり、一方、これが上記上限値(10重量部)を超えて多量に配合しても、架橋度の向上が顕著に表れず、不飽和アルコキシシランは高価であるのでコストアップとなり、また成形加工時にガスを発生し、ボイドが形成され表面荒れが起こることと共に余剰の不飽和アルコキシシラン(D)のゲル化によるスコーチ(早期架橋)、これに伴うブツが形成し易くなるので望ましくない。
なお、不飽和アルコキシシラン(D)は、1種あるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0024】
5.有機過酸化物(E)
本発明で使用される有機過酸化物(E)は、加熱下においてエチレン系樹脂(A)に遊離ラジカル部位を生成させ、不飽和アルコキシシラン(C)をグラフト付加させるために配合されるもので、公知のものであればよく、特に制限はない。
【0025】
有機過酸化物(E)として、具体的には、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ビス−t−ブチルパ−オキシブタン、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン、t−ブチルクミルパ−オキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキシン−3、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド等を挙げることができる。これらの中では、使用実績や1分間半減期を得るための分解温度など使用のしやすさから、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキシドを好適に使用することができる。
【0026】
有機過酸化物(E)の配合量は、エチレン系樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜1重量部、好ましくは0.02〜0.8重量部、更に好ましくは0.03〜0.15重量部である。
有機過酸化物(E)の配合量が上記下限値(0.01重量部)未満であると、有効なグラフト付加が得られず、一方、これが上記上限値(1重量部)を超えて多量に配合すると、ゲル等を発生し、絶縁性能の均一性が劣りはじめ、また表面荒れを生じるので望ましくない。
なお、有機過酸化物(E)は、1種あるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0027】
6.シラノール縮合触媒(F)
本発明で使用されるシラノール縮合触媒(F)は、エチレン系樹脂(A)にグラフト付加された不飽和アルコキシシラン同士を加水分解し、脱水縮合(水架橋)反応を促進する触媒であり、公知のものであればよく、特に制限はない。
シラノール縮合触媒(F)として、具体的には、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオリテート、酢酸第一錫、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、カプリル酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸鉄、チタン酸エステル、チタン酸テトラブチルエステル、チタン酸テトラノニルエステル、ビス(アセチルアセトニトリル)ジ−イソプロピルチタン−エチルアミン、へキシルアミン、ジブチルアミン、ピリジン等を挙げることができる。これらの中では、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテートを好適に使用することができる。
【0028】
シラノール縮合触媒(F)の配合量は、エチレン系樹脂(A)100重量部に対して、0.001〜1重量部、好ましくは0.005〜0.5重量部、更に好ましくは0.01〜0.1重量部である。
シラノール縮合触媒(F)の配合量が上記下限値(0.001重量部)未満であると、水架橋反応が促進されず、一方、これが上記上限値(1重量部)を超えて多量に配合しても、水架橋反応が顕著に向上するものでないばかりでなく、スコーチを生じ易くなり、表面荒れの原因となり、かえって絶縁性能を悪化させることがあるので望ましくない。
なお、シラノール縮合触媒(F)は、1種あるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0029】
7.その他の配合物(G)
本発明の耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物には、上記配合成分の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の各種添加剤や補助資材を配合することができる。この各種添加剤や補助資材としては、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、核剤、滑剤、充填剤、分散剤、銅害防止剤、金属不活性剤、中和剤、難燃剤、加工助剤、離型剤、発泡剤、気泡防止剤、着色剤、殺菌剤、防カビ剤等を挙げることができる。
【0030】
また、本発明の耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、例えば、上記その他の配合物(G)の高濃度マスターバッチの調製に使用する等に、その他のオレフィン系樹脂を少量配合することができる。
【0031】
本発明の耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物には、酸化防止剤を配合することが好ましい。酸化防止剤としては、フェノール系、リン系、アミン系、イオウ系等を挙げることができ、単独でも2種以上を混合して使用してもよく、その配合量は、エチレン系樹脂(A)100重量部に対して、0.001〜5重量部程度である。
【0032】
8.耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物の調製
本発明の耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物は、上述のような電線の絶縁被覆材として用いられるので、機械的強度の強化が必要であり、エチレン系樹脂(A)を架橋することが不可欠である。
【0033】
エチレン系樹脂(A)を架橋する方法としては、化学架橋法と水架橋法がある。化学架橋法は、エチレン系樹脂(A)に有機過酸化物(E)を0.01〜0.5重量%程度配合した樹脂組成物を、例えば120〜150℃程度で導線の周りに押出成形し、絶縁被覆層を形成し、これを300℃程度の架橋管中を通し架橋させるものである。しかし、本発明は、高融点の水酸化マグネシウム(B)を使用するが、化学架橋法では、これさえも280℃程度で分解しはじめるので、これから水が放出され、その配合値の上限値に近づけば近づくほど、得られる絶縁被覆層にブツやゲルが形成され、表面荒れが認められると共に、機械的特性や絶縁性能の均一性も低下するので、本発明のような耐トラッキング性に加えて機械的特性、成形加工性(表面荒れ)、絶縁性能の均一性、耐候性を満たす樹脂組成物が得らない。また、化学架橋法では、高温の熱処理が必要なので、製造効率も悪い。
したがって、本発明の耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物は、架橋方法としては、水架橋法でなければならず、本発明の耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物は水架橋性であり、この製造効率は、化学架橋法より高いという効果も持つ。
【0034】
本発明の耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物の調製方法は、公知の方法であればよく、特に限定されないが、主な方法として以下の2調製方法を例示することができる。
(1)エチレン系樹脂(A)に、それぞれ特定量の不飽和アルコキシシラン(D)及び有機過酸化物(E)を配合し、押出機を用いて180〜220℃程度で混練溶融して、先ず不飽和アルコキシランをグラフト付加させたシラン変性エチレン系樹脂を調製し、次いで、別の押出機に、得られたシラン変性エチレン系樹脂とそれぞれ特定量の水酸化マグネシウム(B)、カーボンブラック(C)、シラノール縮合触媒(F)及びそのほかの配合物(G)を投入し、180〜220℃程度で溶融混練して、金型から押出し、成形体とし、その後水分により架橋させる方法である。この方法は、2工程方式(Sioplas法)とも呼ばれている。
(2)一つの押出機に、すべての原料(エチレン系樹脂(A)、水酸化マグネシウム(B)、カーボンブラック(C)、不飽和アルコキシシラン(D)、有機過酸化物(E)、シラノール縮合触媒(F)、その他の配合物(G))を投入し、180〜220℃で溶融加熱し、金型から押出し、成形体とし、その後水分により架橋させる方法である。この方法は、1工程方式(Monosil法)とも呼ばれている。
【0035】
本発明の耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物は、Monosil法を用いて好適に調製することができる。
また、本発明の耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物の好ましい調製方法としては、不飽和アルコキシシラン(D)、有機過酸化物(E)、シラノール縮合触媒(F)等をエチレン系樹脂(A)に加え、室温〜80℃で密閉容器中でこれらをエチレン系樹脂(A)中に浸透含浸させ、これと、水酸化マグネシウム(B)、カーボンブラック(C)及びその他の配合物(G)を一つの押出機に投入し、180〜220℃で溶融混練し、金型から押出し、成形体とし、その後水分により架橋させる方法を挙げることができる。
更に、耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物の最も好ましい調製方法としては、エチレン系樹脂(A)、これと、水酸化マグネシウム(B)、及びカーボンブラック(C)を押出機に投入し、140〜180℃で溶融混練し、均一な樹脂組成物を得て、これを造粒し、密閉容器に入れ、次いで不飽和アルコキシシラン(D)、有機過酸化物(E)、シラノール縮合触媒(F)、及びその他の配合物(G)等を加え、室温〜80℃で密閉容器中でこれらを該樹脂組成物中に浸透含浸させ、これを押出成形し成形体とし、その後水分により架橋させる方法を挙げることができる。本発明において、この方法は、最小限の熱暴露により均一性の優れた樹脂組成物が得られる。
また、酸化防止剤等、その他の配合物(G)は、他のオレフィン系樹脂を用いて高濃度のマスターバッチを調製し、これを配合しても勿論よい。
【0036】
本発明の耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物は、電力ケーブルの絶縁被覆層として押出成形する作業性から、平均粒径が2〜7mmのペレットであることが好ましい。
本発明に係る電力ケーブルは、公知の方法で導体上に絶縁被覆層を押出成形し形成すればよい。例えば、硬銅撚線等の導体上に、本発明の耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物を、押出成形機を用いて180〜230℃で押出し、得られた電力ケーブルを、80℃の水蒸気で24時間処理し、製造することができる。
【0037】
【実施例】
次に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、本明細書中で用いられた評価は、それぞれ以下の方法によるものである。
【0038】
「評価」
1.メルトマスフローレート
JIS K7210に準拠して行い、評価条件は、温度190℃、荷重2.16kgであった。
2.密度
JIS K7112に準拠して行った。
【0039】
3.成形加工性(表面荒れ)
得られた耐トラッキング性水架橋性樹脂組成物につき、ラボプラストミル(東洋精機製、20C200、スクリュウ外径(D)20mm、スクリュウ外径(D)と長さ(L)の比L/D=24)を用い、押出試験設定温度C1/C2/C3=180℃/200℃/220℃、スクリュウ回転数30rpmとし、直径2mmのダイスを使用して行った。
押出成形体の表面を目視で観察し、不整、ブツ、ゲルによる突起(表面荒れ)の認められないものを「○」と評価し、合格とした。一方、表面荒れの認められるものを「×」とし、不合格とした。
【0040】
4.機械的特性
4−1)引張破壊応力
得られた耐ブロッキング性樹脂組成物を、プレス成形(温度160℃、予熱圧力0.5MPa*5分間、加圧圧力15MPa*3分間)し、厚み1mmのシートを得て、これを沸騰水中で3時間処理し水架橋させ、次いでJIS K6251の4.1に規定する3号ダンベルで打ちぬいた試験片につき、JIS C3005に準拠して行った。評価基準として、15MPa以上を合格とした。
4−2)引張破壊ひずみ
引張破壊応力試験と同様の試験片を用いて、JIS C3005に準拠して行った。評価基準として、400%以上を合格とした。
【0041】
5.耐候性
機械的強度で用いた同様の試験片を、アイスーパーUVテスター(岩埼電機製)を用い、光源として紫外線ランプを使用して、紫外線強度100mW/cm2、試験槽温度64℃に設定し、10時間照射後の試験片の引張破壊応力を測定し、試験前の強度に対する残率を求め評価した。評価基準として、残率40%以上を合格とした。
【0042】
6.耐トラッキング性
汚損液の電気伝導度を規定の3000μS/cmから8500μS/cmに替え、更に電圧を規定の4kVから6.6kVに替え、より過酷な条件とした以外は、JIS C3005に準拠して行った。この条件では、200回以上で良好な耐トラッキング性を持っていると考えられるが、発明の目的からより厳しい400回以上を合格とした。
【0043】
[実施例1、比較例1]
エチレン系樹脂(A)としてエチレン−プロピレン−ヘキセン−1三元共重合体(メルトマスフローレート2.5g/10分、密度0.910g/cm3)を用いて、この100重量部に対して、水酸化マグネシウム(B)として脂肪酸(ステアリン酸)表面処理水酸化マグネシウム(キスマ5A(登録商標)、協和化学製)25重量部、カーボンブラック(C)としてファーネスブラック0.6重量部を配合し、150℃で溶融混練して得られた樹脂組成物を粒径約4mmに造粒し、ペレットを得た。このペレットを密閉容器に入れ、これに上記エチレン系樹脂(A)100重量部に対して、不飽和アルコキシシラン(C)としてビニルトリメトキシシラン1重量部、有機過酸化物(E)としてジクミルパーオキシド0.05重量部、シラノール縮合触媒(F)としてジブチル錫ジラウレート0.04重量部、及びその他の配合物(G)として酸化防止剤のテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.15重量部となるように加えて、密閉しこれを60℃で3時間攪拌しこれらを浸透含浸させて、実施例1の本発明の耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物を得た。
【0044】
カーボンブラック(C)としてファーネスブッラクの配合量を0.12重量部に替えた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の樹脂組成物を得た。
【0045】
これらの樹脂組成物につき、上述の「評価」による試験を行い、その結果を樹脂組成物の配合割合と共に表1に示した。
結果から明らかなように、実施例1の組成物は、全評価項目に合格したが、カーボンブラックの配合量が本発明の範囲よリ少ない比較例1の組成物は、耐トラッキング性は、非常に高い評価が得られたが、耐候性が劣り不合格となり、結果として、耐候性と耐トラッキング性のバランスの劣る組成物であった。
【0046】
【表1】
【0047】
[実施例2及び3、参考例4]
実施例2では、カーボンブラック(C)としてファーネスブラックの配合量を0.4重量部に替え、実施例3では、水酸化マグネシウム(B)として脂肪酸表面処理水酸化マグネシウムの配合量を11重量部に替え、参考例4では、この配合量を44重量部に替え、各々それ以外は、実施例1と同様にして、実施例2及び3と参考例4の樹脂組成物を得た。
【0048】
これらの樹脂組成物につき、上述の「評価」による試験を行い、その結果を樹脂組成物の配合割合と共に表1に示した。
結果から明らかなように、実施例2及び3と参考例4の組成物は、全評価項目に合格した優れた成形加工性、機械的特性、耐候性、耐トラッキング性を持ち、耐候性と耐トラッキング性のバランスもよいものであった。
実施例1と比べて、実施例2及び3と参考例4の結果を精査してみると、カーボンブラックの配合量が少ない実施例2では、耐候性がやや劣り、しかし耐トラッキング性がやや優れ、水酸化マグネシウムの配合量が少ない実施例3では、耐候性は同レベルであり、しかし耐トラッキング性はやや劣り、これが多い参考例4では、耐候性は同レベルであり、耐トラッキング性はやや優れていたが、機械的特性がやや劣るものであった。
【0049】
[比較例2、3]
比較例2では、カーボンブラック(C)としてファーネスブラックの配合量を1.5重量部に替え、比較例3では、水酸化マグネシウム(B)として脂肪酸表面処理水酸化マグネシウムの配合量を68重量部に替え、各々それ以外は、実施例1と同様にして、比較例2、3の樹脂組成物を得た。
これらの樹脂組成物につき、上述の「評価」による試験を行い、その結果を樹脂組成物の配合割合と共に表1に示した。
結果から明らかなように、カーボンブラックの配合量が本発明の範囲よリ多い比較例2の組成物は、耐候性は高い評価が得られたが、耐トラッキング性が劣り不合格となり、水酸化マグネシウムの配合量が本発明よリ多い比較例3の組成物は、実施例1に比べて機械的特性もやや劣り、耐候性は同等で、耐トラッキング性は非常に高かったが、表面荒れが認められ、成形加工性が不合格であった。
【0050】
[実施例5、比較例4]
実施例5では、エチレン系樹脂(A)として、エチレン−プロピレン−ヘキセン−1共重合体(メルトマスフローレート2.5g/10分、密度0.910g/cm3)75重量%と高圧法エチレン単独重合体(メルトマスフローレート2.0g/10分、密度0.922g/cm3)25重量%とからなる、メルトマスフローレート2.36g/10分のエチレン系樹脂100重量部を用いて、比較例4では、この高圧法エチレン単独重合体のみをエチレン系樹脂として用い、かつ水酸化マグネシウム(B)として脂肪酸表面処理水酸化マグネシウムの配合量を44重量部に替え、各々それ以外は、実施例1と同様にして、実施例5、比較例4の樹脂組成物を得た。
【0051】
これらの樹脂組成物につき、上述の「評価」による試験を行い、その結果を樹脂組成物の配合割合と共に表1に示した。
結果から明らかなように、実施例5の組成物は、全評価項目に合格したが、ベース樹脂としてメルトマスフローレートが本発明の条件を満たす高圧法エチレン単独重合体のみを用いた比較例4の組成物は、参考例4と同量の水酸化マグネシウムを配合しているのに係らず、機械的特性が不合格であった。
【0052】
[実施例6、比較例5]
実施例6では、エチレン系樹脂(A)をメルトマスフローレート2.0g/10分、密度0.918g/cm3のエチレン−ブテン−1二元共重合体(これをエチレン−ブテン−1二元共重合体(1)と呼ぶ。)に替えて、比較例5では、メルトマスフローレート0.7g/10分、密度0.920g/cm3のエチレン−ブテン−1二元共重合体(これをエチレン−ブテン−1二元共重合体(2)と呼ぶ。)に、かつ水酸化マグネシウムの配合量を18重量部に替え、各々それ以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
これらの樹脂組成物につき、上述の「評価」による試験を行い、その結果を樹脂組成物の配合割合と共に表1に示した。
結果から明らかなように、実施例6の組成物は、全評価項目に合格したが、メルトマスフローレートの条件が本発明の範囲外である比較例5では、その他の評価では良好な結果を示したが、不整流(メルトフラクチャー)が認められ、表面荒れが発生し、不合格であった。
【0053】
[比較例6]
比較例6では、高圧法エチレン単独重合体(メルトマスフローレート2.0g/10分、密度0.922g/cm3)をエチレン系樹脂(A)として用い、水酸化マグネシウムは配合しないで、ファーネスブラック、ジクミルパーオキシド、酸化防止剤のみの配合にした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について「評価」を行ったが、この際、成形加工性(表面荒れ)については、押出試験設定温度C1/C2/C3=110℃/120℃/120℃に変更し、機械的特性測定の試料のプレス成形は、温度120℃に変更した。
「評価」結果は、表1に示したように成形加工性、機械的特性、耐候性は合格したが、肝心の耐トラッキング性は非常に劣るものであった。
【0054】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明は、メルトマスフローレート0.8〜5.8g/10分のエチレン−α−オレフィン二元共重合体及び/又は三元共重合体を主成分とするエチレン系樹脂(A)100重量部に対して、水酸化マグネシウム(B)8〜40重量部、カーボンブラック(C)0.2〜1.1重量部、不飽和アルコキシシラン(D)0.1〜10重量部、有機過酸化物(E)0.01〜0.8重量部、及びシラノール縮合触媒(F)0.001〜10重量部を配合させてなるので、機械的特性に優れ、かつ成形加工性に秀でると共に、絶縁性能の均一性がよく、更に優れた耐候性と耐トラッキング性を持つと共に、これら両特性のバランスにも秀でた耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物である。さらに、これを絶縁被覆層として持つ電力ケーブルは、屋外、特に海風があたる海岸沿いに布設しても、優れた耐候性、耐トラッキング性、及びこれら両特性のバランスの優秀さにより、長期間の使用に耐える寿命を持つ。
Claims (5)
- メルトマスフローレート0.8〜5.8g/10分のエチレン−α−オレフィン二元共重合体及び/又は三元共重合体を主成分とするエチレン系樹脂(A)100重量部に対して、水酸化マグネシウム(B)8〜40重量部、カーボンブラック(C)0.2〜1.1重量部、不飽和アルコキシシラン(D)0.1〜10重量部、有機過酸化物(E)0.01〜1重量部、及びシラノール縮合触媒(F)0.001〜1重量部を配合させてなることを特徴とする耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物。
- エチレン−α−オレフィン二元共重合体及び/又は三元共重合体の密度は、0.880〜0.935g/cm3であることを特徴とする請求項1に記載の耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物。
- エチレン系樹脂(A)は、密度0.880〜0.935g/cm3及びメルトマスフローレート0.8〜5.8g/10分であるエチレン−α−オレフィン二元共重合体及び/又は三元共重合体100〜50重量%と、密度0.910〜0.930g/cm3及びメルトマスフローレート0.1〜15g/10分である高圧法エチレン単独重合体0〜50重量%未満からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物。
- カーボンブラック(C)がファーネスブラック、不飽和アルコキシシラン(D)がビニルトリメトキシシラン、有機過酸化物(E)がジクミルパーオキシド、及びシラノール縮合触媒(F)がジブチル錫ジラウレートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の耐トラッキング性と耐候性に優れた水架橋性樹脂組成物からなる絶縁被覆層が構成されていることを特徴とする電力ケーブル。
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