JP3988464B2 - 光学装置、複合光学素子、光ピックアップ装置及び光学ディスク装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、往復光路を分離する複合光学素子と、この複合光学素子を有する、例えば、光磁気ディスク、光ディスク等の光学ディスクに対して情報を記録及び/又は再生する光ピックアップ装置と、この光ピックアップ装置を備える光学ディスク装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば光ディスク、光磁気ディスク等の光学ディスクに対して情報を記録及び/又は再生する光ピックアップ装置が知られている。
【0003】
図9に示すように、この種の光ピックアップ装置が備える光学系101は、光路順に、光学ディスク104にレーザ光を出射する光源111と、この光源111から出射された出射光を分割する回折格子112と、出射光と光学ディスク104からの戻り光とを分離するビームスプリッタ113と、出射光を所定の開口数NAに絞るための開口絞り114と、光学ディスク104に出射光を集光する対物レンズ115と、光学ディスク104からの戻り光を受光する受光部116とを有している。
【0004】
光源111は、半導体レーザが用いられており、レーザ光を出射する。回折格子112は、いわゆる3ビーム法によってトラッキングエラー信号を得るために、光源111から出射された出射光を0次光及び±1次光からなる3ビームに分割する。ビームスプリッタ113は、光源111からの出射光を反射するとともに光学ディスク104からの戻り光を透過するハーフミラー119を有し、出射光と戻り光とを分離する。
【0005】
受光部116は、図示しないが、戻り光のうち回折格子112で分割された0次光を受光するメインビーム用フォトディテクタと、戻り光のうち回折格子112で分割された±1次光をそれぞれ受光する一組のサイドビーム用フォトディテクタとを有している。
【0006】
光学系101には、フォーカシングエラー信号を検出する検出方法として、いわゆる非点収差法が用いられている。このため、図10(a),図10(b),図10(c)に示すように、メインビーム用フォトディテクタ121は、戻り光を受光する受光面が略方形状に形成されており、受光面の中央を通り互いに直交する一組の分割線により4等分割された各受光領域a2,b2,c2,d2を有する分割パターンとされている。また、図示しないが、サイドビーム用フォトディテクタは、メインビーム用フォトディテクタ121を間に挟んで対向する位置にそれぞれ配設されている。
【0007】
そして、光学系101は、図9に示すように、光源111から光学ディスク104までの往路において、光源111の発光点を物点として、その共役点である像点が、光学ディスク104の記録面105上に位置するように各光学部品がそれぞれ配設されている。
【0008】
また、光学系101は、光学ディスク104から受光部116までの復路において、光学ディスク104の記録面105上の点を物点として、その共役点である像点が受光部116のメインビーム用フォトディテクタ121の受光面上に位置するように各光学部品がそれぞれ配設されている。
【0009】
したがって、光学系101は、光源111の発光点と受光部116のメインビーム用フォトディテクタ121の受光面上の点も、また互いに共役な関係とされている。
【0010】
上述したメインビーム用フォトディテクタ121の各受光領域a2,b2,c2,d2により、フォーカシングエラー信号を得る方法を以下説明する。
【0011】
まず、光学ディスク104の記録面105に対して対物レンズ115が最適な位置とされて、光学ディスク104の記録面105に対して合焦された、いわゆるジャストフォーカスの状態であれば、メインビーム用フォトディテクタ121の受光面上のビームスポットの形状は、図10(b)に示すように、円形となる。
【0012】
しかし、対物レンズ115が光学ディスク104の記録面105に近づき過ぎた場合、ジャストフォーカスの状態から外れて、戻り光がビームスプリッタ113を通過することによって発生した非点収差によって、メインビーム用フォトディテクタ121の受光面上のビームスポットの形状は、図10(a)に示すように長軸が受光領域a2及び受光領域c2に跨った楕円形状になる。
【0013】
さらに、対物レンズ115が光学ディスク104の記録面105から遠ざかり過ぎた場合、ジャストフォーカスの状態から外れて、戻り光がビームスプリッタ113を通過することによって発生した非点収差によって、メインビーム用フォトディテクタ121の受光面上のビームスポットの形状は、図10(c)に示すように長軸が受光領域b2及び受光領域d2に跨った楕円形状になり、上述した図10(a)に示すビームスポットの形状に比して長軸方向が90度だけ傾いた楕円形状になる。
【0014】
メインビーム用フォトディテクタ121は、各受光領域a2,b2,c2,d2による戻り光の出力を各々Sa2,Sb2,Sc2,Sd2とすると、フォーカシングエラー信号FEは、以下に示す式2で計算される。
FE=(Sa2+Sc2)−(Sb2+Sd2)・・・・(式2)
すなわち、図10(b)に示すように、メインビーム用フォトディテクタ121は、対物レンズ115が合焦位置に位置された、いわゆるジャストフォーカスの状態の場合、上述した式2により演算されるフォーカシングエラー信号FEが0となる。
【0015】
また、メインビーム用フォトディテクタ121は、対物レンズ115が光学ディスク104の記録面105に近づき過ぎた場合、フォーカシングエラー信号FEが正となり、また対物レンズ115が光学ディスク104の記録面105から遠ざかり過ぎた場合、フォーカシングエラー信号FEが負となる。
【0016】
トラッキングエラー信号TEは、回折格子112で分割された±1次光をサイドビーム用フォトディテクタがそれぞれ受光して、各サイドビーム用フォトディテクタの各出力の差分を演算することにより得られる。
【0017】
以上のように構成された光学系101を備える光ピックアップ装置は、受光部116のメインビーム用フォトディテクタ121によって得られたフォーカシングエラー信号FE、及びサイドビーム用フォトディテクタによって得られたトラッキングエラー信号TEに基づいて、対物レンズ115を駆動変位させることによって、光学ディスク104の記録面105に対して対物レンズ115が合焦位置に移動されて、出射光が光学ディスク104の記録面105上に合焦されて、光学ディスク104から情報が再生される。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した光ピックアップ装置が備える光学系101は、上述した受光部116によってフォーカシングエラー信号FEを得る場合、メインビーム用フォトディテクタ121の受光面上に照射されるビームスポットの中心が、図11に示すように、メインビーム用フォトディテクタ121の中央からいずれかの方向に少しでも外れることにより、ジャストフォーカスの状態の場合の出力が0でなくなるため、結果的にフォーカシングエラー信号FEにオフセットがかかることになる。
【0019】
光学系101は、フォーカシングエラー信号FEが0になるようにフォーカシング制御が行われるため、対物レンズ115を正確な合焦位置に駆動制御することができなくなるという問題がある。
【0020】
したがって、上述した光ピックアップ装置は、対物レンズ115を適正な位置に制御することが可能とされる適正なフォーカシングエラー信号FEを得るために、光源111の発光点に対して共役な位置に高精度にメインビーム用フォトディテクタ121の受光面が4分割される中心を位置させるように配設する必要がある。
【0021】
上述したように光源111に対する受光部116の位置精度を高く確保するためには、メインビーム用フォトディテクタ121の製造時に、例えばパッケージの位置基準に対してメインビーム用フォトディテクタ121の受光面の位置精度を厳密に管理する等の必要がある。
【0022】
このため上述したような光学系101は、メインビーム用フォトディテクタ121等の受光素子の製造コストを低減する妨げになるとともに、光ピックアップ装置の組立工程の生産性を向上する妨げにもなり、結果的に光ピックアップ装置自体の製造コストの低下の妨げや品質低下の大きな要因となり得るという問題がある。
【0023】
そこで、本発明は、生産性を向上し、製造コストの低減を図り、フォーカシングエラー信号の信頼性を向上することができる複合光学素子、光ピックアップ装置及び光学ディスク装置を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、本発明に係る光学装置は、光源から出射された出射光を透過させ光学ディスクからの戻り光を回折させる回折素子と、回折素子で回折された戻り光が入射される位置に配置され、この戻り光を分割しビーム形状を変形させるビーム形状変形手段と、ビーム形状変形手段で変形された戻り光が略合焦位置で入射される位置に配置され、この戻り光を略合焦位置で複数に分割して複数の受光領域を有する受光手段に導く光分割手段とを備え、上記光分割手段は、それぞれに対応する上記受光領域の領域内にビームスポットを形成するように上記戻り光を複数に分割することを特徴とする。
【0025】
以上のように構成された本発明に係る光学装置は、光源から出射された出射光を光学ディスクに導き、光学ディスクからの戻り光を回折素子により回折し、回折素子で回折された戻り光をビーム形状変形手段で分割してビーム形状を所定のパワーで変形し、ビーム形状変形手段で変形された戻り光を略合焦位置でさらに光分割手段で複数に分割し、光ピックアップ装置がフォーカシングエラー信号を得るために、光分割手段でその合焦位置で分割された各戻り光を複数の受光領域を有する受光手段に導く。
【0026】
また、上述した目的を達成するため、本発明に係る複合光学素子は、光源から出射された出射光を透過させ光学ディスクからの戻り光を回折させる回折素子と、回折素子で回折された戻り光が入射される位置に配置され、この戻り光を分割しビーム形状を変形させるビーム形状変形手段と、ビーム形状変形手段で変形された戻り光が略合焦位置で入射される位置に配置され、この戻り光を略合焦位置で複数に分割して複数の受光領域を有する受光手段に導く光分割手段とを備え、上記光分割手段は、それぞれに対応する上記受光領域の領域内にビームスポットを形成するように上記戻り光を複数に分割することを特徴とする。
【0027】
以上のように構成された本発明に係る複合光学素子は、光源から出射された出射光を光学ディスクに導き、光学ディスクからの戻り光を回折素子により回折させ、回折素子で回折された戻り光をビーム形状変形手段で分割してビーム形状を所定のパワーで変形し、ビーム形状変形手段で変形された戻り光を略合焦位置でさらに光分割手段で複数に分割し、光ピックアップ装置がフォーカシングエラー信号を得るために、光分割手段でその合焦位置で分割された各戻り光を複数の受光領域を有する受光手段に導く。
【0028】
また、上述した目的を達成するため、本発明に係る光ピックアップ装置は、所定の波長の光を出射する光源と、光学ディスクに光源から出射された出射光を集光するとともに光学ディスクからの戻り光を集光する対物レンズと、光源から出射された出射光を透過させ光学ディスクからの戻り光を回折させる回折素子と回折素子で回折された戻り光が入射される位置に配置され戻り光を分割しビーム形状を変形させるビーム形状変形手段とビーム形状変形手段で変形された戻り光が略合焦位置で入射される位置に配置され戻り光を略合焦位置で複数に分割して複数の受光領域を有する受光手段に導く光分割手段とを有する複合光学素子と、光分割手段で分割された各戻り光を、フォーカシングエラー信号を得るために複数の受光領域で受光する受光手段とを備え、上記光分割手段は、それぞれに対応する上記受光領域の領域内にビームスポットを形成するように上記戻り光を複数に分割することを特徴とする。
【0029】
以上のように構成された光ピックアップ装置は、光源から出射した出射光を対物レンズにより光学ディスクに集光し、光学ディスクからの戻り光を複合光学素子内の回折素子により回折させ出射光の光路と分離する。そして、光ピックアップ装置は、複合光学素子内において、回折素子で回折された戻り光をビーム形状変形手段により分割してビーム形状を所定のパワーで変形し、ビーム形状変形手段で変形された戻り光を光分割手段で略合焦位置で複数に分割し、この略合焦位置で分割した各戻り光を受光部が複数の受光領域で受光することによりフォーカシングエラー信号を得る。
【0030】
また、上述した目的を達成するため、本発明に係る光学ディスク装置は、光学ディスクに対して情報を記録及び/又は再生する光ピックアップと、光学ディスクを回転駆動するディスク回転駆動手段とを備える光学ディスク装置であって、光ピックアップは、所定の波長の光を出射する光源と、光学ディスクに光源から出射された出射光を集光するとともに光学ディスクからの戻り光を集光する対物レンズと、光源から出射された出射光を透過させ光学ディスクからの戻り光を回折させる回折素子と回折素子で回折された戻り光が入射される位置に配置され戻り光を分割しビーム形状を変形させるビーム形状変形手段とビーム形状変形手段で変形された戻り光が略合焦位置で入射される位置に配置され戻り光を略合焦位置で複数に分割する光分割手段とを有する複合光学素子と、光分割手段で分割された各戻り光をフォーカシングエラー信号を得るために複数の受光領域で受光する受光手段とを有し、上記光分割手段は、それぞれに対応する上記受光領域の領域内にビームスポットを形成するように上記戻り光を複数に分割することを特徴とする。
【0031】
以上のように構成された光学ディスク装置は、ディスク回転駆動手段により光学ディスクが回転駆動されて、光ピックアップにより情報の記録及び/又は再生が行われる。このとき光学ディスク装置は、光ピックアップが、光源から出射した出射光を対物レンズにより光学ディスクに集光し、光学ディスクからの戻り光を複合光学素子の回折素子により回折させ出射光の光路と分離する。そして、光ピックアップ装置は、回折素子で回折された戻り光をビーム形状変形手段により分割してビーム形状を所定のパワーで変形し、ビーム形状変形手段で変形された戻り光を略合焦位置で複合光学素子内の光分割手段で複数に分割し、この略合焦位置で分割した各戻り光を受光部が複数の受光領域で受光することによりフォーカシングエラー信号を得る。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が適用された光学ディスク装置について、図面を参照して説明する。
【0033】
光学ディスク装置1は、図1に示すように、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Varsatile Disc)、情報の追記が可能とされるCD−R(Recordable)、情報の書き換えが可能とされるCD−RW(ReWritable)等の光ディスクや、光磁気ディスク等の光学ディスク2に対して情報の記録及び/又は再生(以下では記録再生と記述する。)を行うことができるようにされている。
【0034】
光学ディスク装置1は、光学ディスク2から情報の記録再生を行う光ピックアップ3と、光学ディスク2を回転駆動するディスク回転駆動機構4と、光ピックアップ3を光学ディスク2の径方向に移動させる送り機構5と、これら光ピックアップ3、ディスク回転駆動機構4、送り機構5を制御する制御部6とを備えている。
【0035】
ディスク回転駆動機構4は、光学ディスク2が載置されるディスクテーブル7と、このディスクテーブル7を回転駆動するスピンドルモータ8とを有している。送り機構5は、図示しないが、光ピックアップ3を支持する支持ベースと、この支持ベースを移動可能に支持する主軸及び副軸と、支持ベースを移動させるスレッドモータとを有している。
【0036】
制御部6は、図1に示すように、送り機構5を駆動制御して光学ディスク2の径方向に対する光ピックアップ3の位置を制御するアクセス制御回路9と、光ピックアップ3の二軸アクチュエータを駆動制御するサーボ回路10と、これらアクセス制御回路9、サーボ回路10を制御するドライブコントローラ11とを有している。また、この制御部6は、光ピックアップ3からの信号を復調処理する信号復調回路12と、復調処理された信号を誤り訂正する誤り訂正回路13と、誤り訂正された信号を外部コンピュータ等の電子機器に出力するためのインターフェース14とを有している。
【0037】
以上のように構成された光学ディスク装置1は、ディスク回転駆動機構4のスピンドルモータ8によって、光学ディスク2が載置されたディスクテーブル7を回転駆動し、制御部6のアクセス制御回路9からの制御信号に応じて送り機構5を駆動制御し、光ピックアップ3を光学ディスク2の所望の記録トラックに対応する位置に移動することで、光学ディスク2に対して情報の記録再生を行う。
【0038】
ここで、上述した光ピックアップ3について詳しく説明する。
【0039】
光ピックアップ3は、図2に示すように、光学ディスク2から情報を再生する光学系30と、この光学系30が有する後述する対物レンズを駆動変位させる図示しないレンズ駆動機構とを有している。
【0040】
光ピックアップ3が有する光学系30は、光路順に、レーザ光を出射する光源と光学ディスク2からの戻り光を受光する受光素子とが一体に形成された受発光一体型素子31と、この受発光一体型素子31から出射された出射光を分割し、光学ディスク2からの戻り光を回折するとともに、さらに戻り光を分割する複合光学素子32と、受発光一体型素子31から出射され複合光学素子32を透過した出射光を所定の開口数NAに絞る開口絞り33と、この開口絞り33により絞られた出射光を光学ディスク2の記録面2aに集光させる対物レンズ34とを有している。
【0041】
受発光一体型素子31は、図3に示すように、光源及び受光素子が形成される基板31aと、光源として波長が例えば780nm程度のレーザ光を出射する半導体レーザ31aと、受光素子として光学ディスク2からの戻り光を受光するフォトディテクタ31cとを有している。
【0042】
複合光学素子32は、図4に示すように、例えば樹脂材料を用いた射出成形によってブロック状に形成されており、受発光一体型素子31に臨まされるとともにこの受発光一体型素子31から出射される出射光の光軸に直交する第1の面41と、この第1の面41と平行に対向する第2の面42と、第1の面41及び第2の面42に直交し出射光と平行な第3の面43と、この第3の面43に対して所定の角度だけ傾斜して一辺を接する第4の面44と、第3の面43と平行であり第4の面44と一辺を接する第5の面45とを有している。
【0043】
第1の面41には、受発光一体型素子31から出射された出射光を、0次光(以下では、メインビームと称する。)及び±1次光(以下ではサイドビームと称する。)からなる3ビームに分割する第1の回折格子46が設けられている。光学系30は、トラッキングエラー信号TEを得るために、いわゆる3スポット法(3ビーム法)が適用されており、2つのサイドビームの各出力の差分を検出することによってトラッキングサーボを行うように構成されている。
【0044】
第2の面42には、光学ディスク2からのメインビーム及びサイドビームの各戻り光を、さらに0次光及び±1次光に分割することにより、±1次光のいずれか一方を第3の面43側に導くように各戻り光を回折させる第2の回折格子47が設けられている。
【0045】
第3の面43には、第2の回折格子47で回折された各戻り光を、フォーカシングエラー信号を得るために、例えば各戻り光を0次光及び±1次光に3分割し、所定のパワーを有することでビーム形状を変形するビーム変形ホログラム48が設けられている。なお、以下で分割及び変形された各戻り光の内、メインビームについては、メインビームの0次光、メインビームの+1次光、メインビームの−1次光と記述し、サイドビームについては、サイドビーム0次光、サイドビームの+1次光、サイドビームの−1次光と記述する。
【0046】
このビーム変形ホログラム48は、例えば表面レリーフ型ホログラムであり、入射する各戻り光を全反射するように表面に所定の反射膜が設けられている。なお、ビーム変形ホログラム48は、入射する各戻り光が複合光学素子32内で全反射条件となるように光学系30が設計されていれば、反射膜を設ける必要がなくなる。
【0047】
第4の面44には、ビーム変形ホログラム48で分割及び変形された各戻り光を折り返す全反射ミラー49が設けられており、入射する各戻り光を全反射するように反射膜が施してある。なお、全反射ミラー49は、入射する各戻り光が複合光学素子32内において全反射条件となるように光学系30が設計されていれば、反射膜を施す必要がなくなる。
【0048】
第5の面45には、全反射ミラー49によって全反射された各戻り光のうちメインビームの0次光及び±1次光をそれぞれ3分割し、サイドビームの0次光及び±1次光をそれぞれ屈折させるビーム分割プリズム50が設けられている。
【0049】
このビーム分割プリズム50は、断面が略台形をなす形状に形成されており、上底面50aと2つの傾斜面50b,50cとに各戻り光が入射されることとなり、下底面50dから各戻り光が出射される。ビーム分割プリズム50は、全反射ミラー49によって全反射された各戻り光の焦点又は焦点近傍で、光学ディスク2に対して合焦状態のときにメインビームの0次光及び±1次光が上底面50aと2つの傾斜面50b,50cとに跨るように入射され、サイドビームの0次光及び±1次光がそれぞれ傾斜面50b,50cとに入射されるように配設されている。
【0050】
また、ビーム分割プリズム50は、複合光学素子32の内方に位置して、この内方側に上底面50aを向けて設けられている。なお、ビーム分割プリズム50は、上底面50aと下底面50dとが、全反射ミラー49で全反射された各戻り光の光軸に対して直交するように配設されてもよい。
【0051】
また、複合光学素子32は、ビーム変形ホログラム48で回折及び反射された各戻り光が全反射ミラー49で全反射され、ビーム分割プリズム50により分割されることで、受発光一体型素子31上に複数のビームスポットを形成する。光学系30では、この複数のビームスポットを用いたspot side detection法(以下では、SSD法と称する。)により、受発光一体型素子31から出射された出射光の光軸方向の位置を調動することによって、光学ディスク2に対するデフォーカスを容易に調整することが可能とされる。
【0052】
ここで、複合光学素子32は、樹脂材料を用いた射出成型により形成される。また、その他の形成方法としては、エッチング加工により上述の第1の回折格子46、第2の回折格子47、ビーム変形ホログラム48、ビーム分割プリズム50を形成しても良いし、機械加工により形成してもかまわない。なお、複合光学素子32を形成する材料としては、樹脂材料に限定されるものではなく、硝材等の透光性を有する光学材料を用いることができ、さらにこれらの光学材料の組み合わせにより、部分的に材料構成を変えるようにしてもよい。
【0053】
開口絞り33は、図2に示すように、複合光学素子32の第2の回折格子47を通過した出射光の光軸上に位置して配設されている。
【0054】
対物レンズ34は、少なくとも1つの凸レンズにより構成され、受発光一体型素子31から出射され開口絞り33で絞られた出射光を光学ディスク2に集光するように配設されている。
【0055】
また、受発行一体型素子31は、フォトディテクタ31cが、図5に示すように、第1の回折格子46で分割され、ビーム変形ホログラム48により分割及び変形され、さらにビーム分割プリズム50により分割されたメインビームの0次光及び±1次光を受光する略矩形状のメインビーム用フォトディテクタ51,52,53と、第1の回折格子46で分割され、ビーム変形ホログラム48で分割及び変形され、さらにビーム分割プリズム50により分割されたサイドビームの0次光及び±1次光をそれぞれ受光する一組の略帯状のサイドビーム用フォトディテクタ54,55とを有している。フォトディテクタ31cは、複合光学素子32のビーム分割プリズム50によって分割された各戻り光に対応する位置に配設されている。フォトディテクタ31cには、中央に位置して略帯状のメインビーム用フォトディテクタ51が配設されているとともに、このメインビーム用フォトディテクタ51を挟み込んで両側に位置して一組の略帯状のメインビーム用フォトディテクタ52,53が配設されている。また、このメインビーム用フォトディテクタ51,52,53を間に挟み込んで両側に位置して、一組の略帯状のサイドビーム用フォトディテクタ54,55が、メインビーム用フォトディテクタ51,52,53と直交する向きにそれぞれ配設されている。
【0056】
フォトディテクタ31cのメインビーム用フォトディテクタ51,52,53は、ビーム分割プリズム50によるメインビームの0次光及び±1次光の分割方向にサイドビーム用フォトディテクタ54,55が接するように設けられており、メインビーム用フォトディテクタ51は、メインビームの0次光が入射される受光領域51aを有し、メインビーム用フォトディテクタ52,53は、メインビームの±1次光が入射され、ビーム分割プリズム50の分割方向に3分割された各受光領域52a,52b,52c及び各受光領域53a,53b,53cを有している。
【0057】
フォトディテクタ31cのサイドビーム用フォトディテクタ54,55は、それぞれ受光領域54a,55aを有している。これら各受光領域54a,55aには、ビーム分割プリズム50によって屈折されたサイドビームの0次光及び±1次光がそれぞれ入射される。
【0058】
光ピックアップ3が有するレンズ駆動機構は、図示しないが、対物レンズ34を保持するレンズホルダと、このレンズホルダを対物レンズ34の光軸に平行なフォーカシング方向及び対物レンズ34の光軸に直交するトラッキング方向との二軸方向に変位可能に支持するホルダ支持部材と、レンズホルダを二軸方向に電磁力により駆動変位させる電磁駆動部とを有している。
【0059】
レンズ駆動機構は、フォトディテクタ31cのメインビーム用フォトディテクタ51,52,53が検出するフォーカシングエラー信号及びサイドビーム用フォトディテクタ54,55が検出するトラッキングエラー信号に基づいて、対物レンズ34をフォーカシング方向及びトラッキング方向にそれぞれ駆動変位させて、光学ディスク2の記録面2aの記録トラックに出射光を合焦させる。
【0060】
なお、上述した複合光学素子32は、ビーム分割プリズム50が、第5の面45に対して内方側に設けられたが、第5の面45に対して外方側に突設されてもよい。さらに、複合光学素子32は、ビーム分割プリズム50が、平面を有する角錐に限定されずに、複数の曲面を有する形状とされていてもよい。
【0061】
この場合には、受発光一体型素子31のメインビーム用フォトディテクタ51,52,53及びサイドビーム用フォトディテクタ54,55の各分割領域を対応するように設けることとなる。さらに、複合光学素子32は、第1の回折格子46と第2の回折格子47とがそれぞれホログラム素子として所定のホログラムパターンをエッチング処理等によって形成する構成とされてもよい。このようなホログラムとしては、ブレーズ化ホログラムとすることで、回折効率が向上し迷光が低減するので特に好ましい。
【0062】
また、複合光学素子32は、ビーム分割プリズム50の代わりに、図6に示すように、3つの領域に分割されたグレーティング55を用いても同等の効果を得ることができる。この場合に、グレーティング55は、ビーム分割プリズム50と同等の効果が得られるように、略帯状の分割領域y1,y2,y3が設けられ、中央の分割領域y1には溝が設けられず、分割領域y1の両側に設けられた各分割領域y2,y3において溝が設けられている。具体的には、分割領域y1に入射したメインビームの0次光及び±1次光が透過して直進し、分割領域y2,y3に入射したメインビームが溝の向き及び格子定数に応じて回折するようにされているので、各分割領域y1,y2,y3に跨ってメインビームの0次光及び±1次光が入射されることで、入射された各メインビームを3分割し、受発光一体型素子31のメインビーム用フォトディテクタ51,52,53に導く。また、グレーティング55は、ブレーズ化ホログラムを用いることで、回折効率が向上し迷光が低減するので特に好ましい。
【0063】
さらに、複合光学素子32は、内部に反射面を有する設計にしてもよく、反射面を利用して光路を曲げることにより光学設計の自由度を向上させることができる。
【0064】
さらにまた、複合光学素子32は、ビーム分割プリズム50に入射する光学ディスク2からの各戻り光の入射角がビーム分割プリズム50の各面に対して45°以下となるようにする、すなわちビーム分割プリズム50の2つの傾斜面50a,50bの傾角を45°以下とすることで、入射する各戻り光が全反射条件に入らずに屈折による分割された各戻り光の進行方向の変化量を大きくすることができ、メインビーム用フォトディテクタ51,52,53内の各分割領域の間隔や、メインビーム用フォトディテクタ51,52,53とサイドビーム用フォトディテクタ54,55との間隔を広く取ることができ、光ピックアップ3の組立精度を緩くすることができる。
【0065】
以上のように構成された光学ディスク装置1は、光学ディスク2からの各戻り光によって光ピックアップ3が検出したフォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号に基づいて、サーボ回路10から光ピックアップ3の二軸アクチュエータに制御信号が出力されて、対物レンズ34がフォーカシング方向及びトラッキング方向にそれぞれ駆動変位されることにより、出射光が対物レンズ34を介して光学ディスク2の所望の記録トラックに合焦される。そして、光学ディスク装置1は、光ピックアップ3によって読み取られた信号が信号復調回路12及び誤り訂正回路13により、復調処理及び誤り訂正処理された後、インターフェース14から再生信号として出力される。
【0066】
ここで、光学ディスク装置1について、光ピックアップ3内の出射光及び戻り光の光路を図面を参照して説明する。
【0067】
光学ディスク装置1は、図2に示すように、光学ディスク2の記録面2aから情報を再生する場合、受発光一体型素子31から出射されたレーザ光が、複合光学素子32の第1の回折格子46によって0次光及び±1次光、すなわちメインビーム及び2つのサイドビームからなる3ビームにそれぞれ分割される。3ビームに分割された出射光は、複合光学素子32の第2の回折格子47を透過されて、対物レンズ34により光学ディスク2の記録面2aに集光される。
【0068】
光学ディスク2の記録面2aからの各戻り光は、複合光学素子32の第2の回折格子47により回折し、ビーム変形ホログラム48に向かう光路に導かれ、ビーム変形ホログラム48によりさらに0次光及び±1次光に分割及び変形されて全反射ミラー49に向かう光路に導かれ、全反射ミラー49で全反射されてビーム分割プリズム50に向かう光路に導かれ、ビーム分割プリズム50の各面に入射される。ビーム分割プリズム50の上底面50aに入射されたメインビームの0次光及び±1次光は、上底面50a及び2つの傾斜面50b,50cに跨って入射されることにより、各面に対応して互いに異なる方向にそれぞれ屈折し、各メインビームがそれぞれ3本の光束に3分割され計9本の光束として、受発光一体型素子31のメインビーム用フォトディテクタ51,52,53の各受光領域51a,52a,52b,52c,53a,53b,53cにそれぞれ照射される。
【0069】
第2の回折格子47で回折され、ビーム変形ホログラム48で0次光及び±1次光に分割及び変形され、全反射ミラー49で全反射された各戻り光がビーム分割プリズム50に入射されるとき、図7(b)に示すように、光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ34が合焦位置に位置されている場合、ビーム分割プリズム50の上底面50a及び傾斜面50b,50cには、ビームスポットが同じ大きさの略円形とされたメインビームの0次光及び±1次光がそれぞれ入射される。なお、図7(b)においては、メインビームの±1次光以外のビームスポットを省略して図示している。
【0070】
一方、メインビームの0次光及び±1次光がビーム分割プリズム50にそれぞれ入射されるとき、図7(a)に示すように、光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ34が近づき過ぎた場合、対物レンズ34が合焦位置から外れるため、ビーム分割プリズム50の上底面50a及び傾斜面50b,50cには、ビームスポットがそれぞれ異なる大きさの略円形とされたメインビームの0次光及び±1次光がそれぞれ入射される。図7(a)においては、右側のビームスポットが大きい径とされ、左側のビームスポットが小さい径とされ2つの傾斜面50b,50cに跨らずに上底面50a上に位置している。なお、図7(a)においては、メインビームの±1次光以外のビームスポットを省略して図示している。
【0071】
また、メインビームの0次光及び±1次光がビーム分割プリズム50にそれぞれ入射されるとき、図7(c)に示すように、光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ34が遠ざかり過ぎた場合、対物レンズ34が合焦位置から外れるため、ビーム分割プリズム50の上底面50a及び2つの傾斜面50b,50cには、ビームスポットがそれぞれ異なる大きさの略円形とされたメインビームの0次光及び±1次光がそれぞれ入射される。図7(c)においては、左側のビームスポットが大きい径とされ、右側のビームスポットが小さい径とされ2つの傾斜面50b,50cに跨らずに上底面50a上に位置している。なお、図7(c)においては、メインビームの±1次光以外のビームスポットを省略して図示している。
【0072】
したがって、対物レンズ34が合焦位置から外れた状態で、ビーム分割プリズム50にメインビームの0次光及び±1次光がそれぞれ入射するとき、ビーム分割プリズム50の2つの傾斜面50b,50cには、メインビームの±1次光のうち一方がより多く入射するとともに、他方が一方よりも少なく入射する。
【0073】
このように、全反射ミラー49で全反射されたメインビームの0次光及び±1次光は、ビーム分割プリズム50の上底面50a及び2つの傾斜面50b,50cにそれぞれ入射されることにより、各面に対応して互いに異なる方向に屈折されるため、それぞれ3本の光束に分割されて、計9本の光束となり、受発光一体型素子31のメインビーム用フォトディテクタ51,52,53の各受光領域51a,52a,52b,52c,53a,53b,53cにそれぞれ入射する。
【0074】
このため、図8(a)及び図8(c)に示すように、メインビーム用フォトディテクタ52及びメインビーム用フォトディテクタ53の互いに対向する二組の各受光領域52a,52b,52c及び各受光領域53a,53b,53cでは、一方の組の各受光領域が受光する受光量が多くなるとともに、他方の組の各受光領域が受光する受光量が少なくなる。
【0075】
すなわち、図7(a)に示すような大きさの異なるビームスポットとなるようにメインビームの±1次光がビーム分割プリズム50に入射した場合、メインビーム用フォトディテクタ52及びメインビーム用フォトディテクタ53は、図8(a)に示すように、対向する各受光領域52a,52b,52c及び各受光領域53a,53b,53cが受光する受光量がそれぞれ異なる。また、図7(c)に示すような大きさの異なるビームスポットとなるようにメインビームの±1次光がビーム分割プリズム50に入射した場合、メインビーム用フォトディテクタ52及びメインビーム用フォトディテクタ53は、図8(c)に示すように、対向する各受光領域52a,52b,52c及び各受光領域53a,53b,53cが受光する受光量がそれぞれ異なる。
【0076】
また、図7(b)に示すような同じ大きさのビームスポットとなるようにメインビームの±1次光がビーム分割プリズム50に入射した場合、メインビーム用フォトディテクタ52及びメインビーム用フォトディテクタ53は、図8(b)に示すように、対向する各受光領域52a,52b,52c及び各受光領域53a,53b,53cが受光する受光量がそれぞれ等しくなる。
【0077】
したがって、メインビーム用フォトディテクタ52,53において、各受光領域52a,52b,52c,53a,53b,53cがそれぞれ検出する各出力をS52a,S52b,S52c,S53a,S53b,S53cとすると、フォーカシングエラー信号FEは、以下に示す式1で計算することができる。
FE=(S52a−(S52b+S52c))
−(S53a−(S53b+S53c))・・・・(式1)
すなわち、メインビーム用フォトディテクタ51は、光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ34が合焦位置に位置された場合、式1によって演算されるフォーカシングエラー信号FEが0となる。また、メインビーム用フォトディテクタ51は、光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ34が近づき過ぎた場合、フォーカシングエラー信号FEが正となり、また光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ34が遠ざかり過ぎた場合、フォーカシングエラー信号FEが負となる。
【0078】
上述のように受発光一体型素子31のメインビーム用フォトディテクタ52,53は、各受光領域52a,52b,52c,53a,53b,53cにそれぞれ入射された各ビームスポットの出力により、フォーカシングエラー信号FEを得るとともに、メインビーム用フォトディテクタ51は、受光領域51aに入射された各ビームスポットの合計出力より再生信号を得る。
【0079】
また、一組の各サイドビーム用フォトディテクタ54,55は、それぞれ受光領域54a,55aを有し、これら受光領域54a,55aがサイドビームの各受光量を検出し、受光領域54a,55aからの出力をそれぞれS54a,S55aとして、これらS54a,S55aの差分を演算することによってトラッキングエラー信号TEを得る。
【0080】
以上のように光学ディスク装置1は、光ピックアップ3により得られたフォーカシングエラー信号FE及びトラッキングエラー信号TEに基づいて、サーボ回路10がレンズ駆動機構を制御して対物レンズ34をフォーカシング方向及びトラッキング方向にそれぞれ駆動変位させることにより、光学ディスク2の記録面2aに出射光を合焦させて、光学ディスク2から情報を再生する。
【0081】
上述したように、光学ディスク装置1は、光ピックアップ3が、光学ディスク2からの各戻り光を分割及び変形するビーム変形ホログラム48と、このビーム変形ホログラム48により分割及び変形された各戻り光のうちメインビームの0次光及び±1次光を更に3分割するビーム分割プリズム50とを有する複合光学素子32を有することにより、従来に述べた光学系101のようにメインビーム用フォトディテクタの分割線によってビームスポットを分割する形式に比して光路上で戻り光が分割されるため、ビーム分割プリズム50で分割された各3本のメインビームの0次光及び±1次光を受光するようにメインビーム用フォトディテクタ51,52,53の各受光領域51a,52a,52b,52c,53a,53b,53cを所定の大きさに確保することで、メインビーム用フォトディテクタ51,52,53の分割位置等に要求される精度が緩和される。このため、光学ディスク装置1は、光ピックアップ3におけるフォトディテクタ31cの製造コストを低減するとともに、光ピックアップ3の製造工程でフォトディテクタ31cの位置調整を容易に行うことが可能とされて、得られるフォーカシングエラー信号FEの信頼性を向上することができる。
【0082】
また、光学ディスク装置1は、光ピックアップ3において、複合光学素子32のみで、従来に述べた光学系101が有する回折格子112及びビームスプリッタ113の各機能を備えているため、光学部品の点数を必要最小限に留めて、光学系30の構成を簡素化、小型化を図るとともに製造コストを低減することが可能とされる。
【0083】
したがって、光学ディスク装置1は、光ピックアップ3内の光学系30が複合光学素子32有することで、生産性が向上し、製造コストの低減を図り、信頼性を向上させることができる。
【0084】
さらに、光学ディスク装置1は、光ピックアップ3が、光源と受発素子とが一体化された受発光一体型素子31として構成することにより、さらに部品点数を削減し、製造コストの低減を実現することが可能とされる。
【0085】
なお、光学ディスク装置1は、上述した光ピックアップ3においてフォーカシングエラー信号FEを得るために、ビーム分割プリズム50の形状を断面が略台形として、いわゆるSSD法が採用されたが、非点収差法やフーコー法等の他の検出方法を用いる場合にビーム分割プリズム50の形状が上述の形状と異なることとなる。例えば、非点収差法とする場合には、複合光学素子32のビーム分割プリズム50の形状を略正四角錐とし、この正四角錐の頂角にメインビームの0次光が入射するように配設する位置を調整して、このメインビームの0次光を正四角錐の4つの傾斜面で4分割することでフォーカシングエラー信号FEを得るようにする。なお、上述のようにメインビームの0次光が4分割される場合には、4分割されたビームに対応してフォトディテクタ31cの各分割領域を設けることとなる。
【0086】
また、光学ディスク装置1は、複合光学素子32のように1つの素子により構成せずに、各光学素子を上述と同じような配置とすることで同様の機能を得ることができることは言うまでもない。
【0087】
【発明の効果】
上述したように本発明に係る光学装置によれば、光学ディスク装置においてこの光学装置を光ピックアップに用いることで、生産性を向上し、製造コストの低減を図り、フォーカシングエラー信号の信頼性を向上することができる。
【0088】
また、本発明に係る複合光学素子によれば、光学ディスク装置においてこの複合光学素子を光ピックアップに用いることで、生産性を向上し、製造コストの低減を図り、フォーカシングエラー信号の信頼性を向上することができる。
【0089】
さらに、本発明に係る光ピックアップ装置によれば、光学ディスク装置においてこの光ピックアップ装置を用いることで、生産性を向上し、製造コストの低減を図り、フォーカシングエラー信号の信頼性を向上することができる。
【0090】
さらにまた、本発明に係る光学ディスク装置によれば、生産性を向上し、製造コストの低減を図り、フォーカシングエラー信号の信頼性を向上することができる。
【0091】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光学ディスク装置の構成を示す概略図である。
【図2】同光学ディスク装置が備える光ピックアップの概略を示す斜視図である。
【図3】上記光ピックアップが有する受発光一体型素子の構成を示す斜視図である。
【図4】上記光ピックアップが有する複合光学素子の構成を示す斜視図である。
【図5】上記光ピックアップにおける受発行一体型素子が有するメインビーム用フォトディテクタ及びサイドビーム用フォトディテクタを示す平面図である。
【図6】上記光ピックアップにおける複合光学素子が有するビーム分割プリズムと同等の機能を有するグレーティングを示す平面図である。
【図7】上記光ピックアップにおける複合光学素子が有するビーム分割プリズムに入射されるメインビームの±1次光を示し、(a)は対物レンズが光学ディスクに近い状態を示し、(b)は対物レンズが合焦位置に位置する状態を示し、(c)は対物レンズが光学ディスクから遠い状態を示す図である。
【図8】上記光ピックアップにおけるメインビーム用フォトディテクタの各受光領域のビームスポットを示し、(a)は対物レンズが光学ディスクに近い状態を示し、(b)は対物レンズが合焦位置に位置する状態を示し、(c)は対物レンズが光学ディスクから遠い状態を示す図である。
【図9】従来の光ピックアップ装置が備える光学系を示す模式図である。
【図10】従来の光学系が有するメインビーム用フォトディテクタの各受光領域のビームスポットを示し、(a)は対物レンズが光学ディスクに近い状態を示し、(b)は対物レンズが合焦位置に位置する状態を示し、(c)は対物レンズが光学ディスクから遠い状態を示す図である。
【図11】従来の光学系のメインビーム用フォトディテクタの受光面の中央に対してビームスポットの中心が外れた状態を示す図である。
【符号の説明】
1 光学ディスク装置、2 光学ディスク、30 光学系、31 受発光一体型素子、32 複合光学素子、33 開口絞り、34 対物レンズ、41 第1の面、42 第2の面、43 第3の面、44 第4の面、45 第5の面、46 第1の回折格子、47 第2の回折格子、48 ビーム変形ホログラム、49 全反射ミラー、50 ビーム分割プリズム
Claims (40)
- 光源から出射された出射光を透過し、光学ディスクからの戻り光を回折する回折素子と、
上記回折素子で回折された戻り光が入射される位置に配置され、上記戻り光を分割しビーム形状を変形させるビーム形状変形手段と、
上記ビーム形状変形手段で変形された戻り光が略合焦位置で入射される位置に配置され、上記戻り光を上記略合焦位置で複数に分割して複数の受光領域を有する受光手段に導く光分割手段とを備え、
上記光分割手段は、それぞれに対応する上記受光領域の領域内にビームスポットを形成するように上記戻り光を複数に分割する光学装置。 - 上記回折素子は、ホログラムであることを特徴とする請求項1記載の光学装置。
- 上記ビーム形状変形手段は、他の回折素子であり、上記回折素子で回折された戻り光を更に回折させて複数に分割することを特徴とする請求項1記載の光学装置。
- 上記他の回折素子は、ホログラムであることを特徴とする請求項3記載の光学装置。
- 上記光分割手段は、複数の平面又は曲面により構成されたプリズムであることを特徴とする請求項1記載の光学装置。
- 上記プリズムは、断面が略台形状に形成されてなり、上記ビーム形状変形手段で変形された戻り光を3分割することを特徴とする請求項5記載の光学装置。
- 上記プリズムは、上記ビーム形状変形手段で変形された戻り光の各面への入射角が45°以下となるようにされていることを特徴とする請求項5記載の光学装置。
- 更に、上記光源と上記回折素子との間の光路上に設けられ、上記光源から出射された出射光を0次光及び±1次光に3分割する更に他の回折素子を備えることを特徴とする請求項1記載の光学装置。
- 上記更に他の回折素子は、ホログラムであることを特徴とする請求項8記載の光学装置。
- 光源から出射された出射光を透過させ、光学ディスクからの戻り光を回折させる回折素子と、
上記回折素子で回折された戻り光が入射される位置に配置され、上記戻り光を分割しビーム形状を変形させるビーム形状変形手段と、
上記ビーム形状変形手段で変形された戻り光が略合焦位置で入射される位置に配置され、上記戻り光を上記略合焦位置で複数に分割して複数の受光領域を有する受光手段に導く光分割手段とを備え、
上記光分割手段は、それぞれに対応する上記受光領域の領域内にビームスポットを形成するように上記戻り光を複数に分割する複合光学素子。 - 上記回折素子と上記ビーム形状変形手段と上記光分割手段とが樹脂材料により一体成型されてなることを特徴とする請求項10記載の複合光学素子。
- 上記回折素子は、ホログラムであることを特徴とする請求項10記載の複合光学素子。
- 上記ビーム形状変形手段は、他の回折素子であり、上記回折素子で回折された戻り光を更に回折させて複数に分割することを特徴とする請求項10記載の複合光学素子。
- 上記他の回折素子は、ホログラムであることを特徴とする請求項13記載の複合光学素子。
- 上記光分割手段は、複数の平面又は曲面により構成されたプリズムであることを特徴とする請求項10記載の複合光学素子。
- 上記プリズムは、断面が略台形状に形成されてなり、上記ビーム形状変形手段で変形された戻り光を3分割することを特徴とする請求項15記載の複合光学素子。
- 上記プリズムは、上記ビーム形状変形手段で変形された戻り光の各面への入射角が45°以下となるようにされていることを特徴とする請求項15記載の複合光学素子。
- 更に、上記光源と上記回折素子との間の光路上に設けられ、上記光源から出射された出射光を0次光及び±1次光に3分割する更に他の回折素子を備えることを特徴とする請求項10記載の複合光学素子。
- 上記回折素子と上記ビーム形状変形手段と上記光分割手段と上記更に他の回折素子とが樹脂材料により一体成型されてなることを特徴とする請求項18記載の複合光学素子。
- 上記更に他の回折素子は、ホログラムであることを特徴とする請求項18記載の複合光学素子。
- 所定の波長の光を出射する光源と、
光学ディスクに上記光源から出射された出射光を集光するとともに上記光学ディスクからの戻り光を集光する対物レンズと、
上記光源から出射された出射光を透過させ、上記光学ディスクからの戻り光を回折させる回折素子と、上記回折素子で回折された戻り光が入射される位置に配置され、上記戻り光を分割しビーム形状を変形させるビーム形状変形手段と、上記ビーム形状変形手段で変形された戻り光が略合焦位置で入射される位置に配置され、上記戻り光を上記略合焦位置で複数に分割して複数の受光領域を有する受光手段に導く光分割手段とを有する複合光学素子と、
上記光分割手段で分割された各戻り光を、フォーカシングエラー信号を得るために複数の受光領域で受光する受光手段とを備え、
上記光分割手段は、それぞれに対応する上記受光領域の領域内にビームスポットを形成するように上記戻り光を複数に分割する光ピックアップ装置。 - 上記複合光学素子は、上記回折素子と上記ビーム形状変形手段と上記光分割手段とが樹脂材料により一体成型されてなることを特徴とする請求項21記載の光ピックアップ装置。
- 上記回折素子は、ホログラムであることを特徴とする請求項21記載の光ピックアップ装置。
- 上記ビーム形状変形手段は、他の回折素子であり、上記回折素子で回折された戻り光を更に回折させて複数に分割することを特徴とする請求項21記載の光ピックアップ装置。
- 上記他の回折素子は、ホログラムであることを特徴とする請求項24記載の光ピックアップ装置。
- 上記光分割手段は、複数の平面又は曲面により構成されたプリズムであることを特徴とする請求項21記載の光ピックアップ装置。
- 上記プリズムは、断面が略台形状に形成されてなり、上記ビーム形状変形手段で変形された戻り光を3分割することを特徴とする請求項26記載の光ピックアップ装置。
- 上記プリズムは、上記ビーム形状変形手段で変形された戻り光の各面への入射角が45°以下となるようにされていることを特徴とする請求項26記載の光ピックアップ装置。
- 更に、上記複合光学素子は、上記光源と上記回折素子との間の光路上に設けられ、上記光源から出射された出射光を0次光及び±1次光に3分割する更に他の回折素子を有し、
上記更に他の回折素子で分割された0次光を、フォーカシングエラー信号を得るために受光し、上記更に他の回折素子で分割された±1次光を、トラッキングエラー信号を得るために受光することを特徴とする請求項21記載の光ピックアップ装置。 - 上記複合光学素子は、上記回折素子と上記ビーム形状変形手段と上記光分割手段と上記更に他の回折素子とが樹脂材料により一体成型されてなることを特徴とする請求項29記載の光ピックアップ装置。
- 上記更に他の回折素子は、ホログラムであることを特徴とする請求項29記載の光ピックアップ装置。
- 光学ディスクに対して情報を記録及び/又は再生する光ピックアップと、上記光学ディスクを回転駆動するディスク回転駆動手段とを備える光学ディスク装置において、
上記光ピックアップは、所定の波長の光を出射する光源と、
上記光学ディスクに上記光源から出射された出射光を集光するとともに上記光学ディスクからの戻り光を集光する対物レンズと、
上記光源から出射された出射光を透過し上記光学ディスクからの戻り光を回折させる回折素子と、上記回折素子で回折された戻り光が入射される位置に配置され、上記戻り光を分割しビーム形状を変形させるビーム形状変形手段と、上記ビーム形状変形手段で変形された戻り光が略合焦位置で入射される位置に配置され、上記戻り光を上記略合焦位置で複数に分割する光分割手段とを有する複合光学素子と、
上記光分割手段で分割された各戻り光をフォーカシングエラー信号を得るために複数の受光領域で受光する受光手段とを有し、
上記光分割手段は、それぞれに対応する上記受光領域の領域内にビームスポットを形成するように上記戻り光を複数に分割する光学ディスク装置。 - 上記複合光学素子は、上記回折素子と上記ビーム形状変形手段と上記光分割手段とが樹脂材料により一体成型されてなることを特徴とする請求項32記載の光学ディスク装置。
- 上記回折素子は、ホログラムであることを特徴とする請求項32記載の光学ディスク装置。
- 上記光分割手段は、複数の平面又は曲面により構成されたプリズムであることを特徴とする請求項32記載の光学ディスク装置。
- 上記プリズムは、断面が略台形状に形成されてなり、上記ビーム形状変形手段で変形された戻り光を3分割するとともに、
上記受光手段は、上記3分割された各戻り光を受光する受光領域が3分割されたことを特徴とする請求項35記載の光学ディスク装置。 - 上記プリズムは、上記ビーム形状変形手段で変形された戻り光の各面への入射角が45°以下となるようにされていることを特徴とする請求項35記載の光学ディスク装置。
- 更に、上記複合光学素子は、上記光源と上記回折素子との間の光路上に設けられ、上記光源から出射された出射光を0次光及び±1次光に3分割する更に他の回折素子を有し、
上記受光手段は、上記光分割手段で分割された各戻り光のうち、上記更に他の回折素子で分割された0次光を、フォーカシングエラー信号を得るために受光し、上記更に他の回折素子で分割された±1次光を、トラッキングエラー信号を得るために受光することを特徴とする請求項32記載の光学ディスク装置。 - 上記複合光学素子は、上記回折素子と上記ビーム形状変形手段と上記光分割手段と上記更に他の回折素子とが樹脂材料により一体成型されてなることを特徴とする請求項38記載の光学ディスク装置。
- 上記更に他の回折素子は、ホログラムであることを特徴とする請求項38記載の光学ディスク装置。
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