JP3984663B2 - 2液系記録用のインク、該インクを用いたインクセット及び該インクセットによる記録方法並びに該記録方法に用いる装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2つの異なる組成の液体を組合せたインクセットによって記録を行う記録方法及び該記録方法に必要な各種装置や部材、例えば記録装置、インクセット等に関する。すなわち、本発明は、従来では予想できなかった画期的な液体組成物の特性を合理的且つ総合的に画像形成システムに適用した発明に関し、より具体的には、インクによる記録の分野に用いられるインク等の液体組成物、これを用いる画像形成方法、装置、複合システム等、プリンティングシステム、販売システム等、あるいはこれを用いたプリンタ、ファクシミリ、通信システム、表示・展示システム等に関する。
【0002】
また、本発明は、特にインクを紙やオーバーヘッドプロジェクタ(OHP)用紙等の記録媒体に対して飛翔させる方式を用いるインクジェットシステムに極めて有効な発明を提供するものでもある。
【0003】
【従来の技術】
従来、インクでの記録による画像形成には、インク供給手段を記録媒体の所望の部分に接触させて画像を形成する接触型インク供給による画像形成と、インク供給手段と記録媒体とを非接触状態としてインクを記録媒体の所望位置に付与して画像を形成する非接触型インク供給による画像形成とが主に知られている。特に、後者は、インクジェットシステムとして近年多用されるようになってきている。なお、このインクジェットシステムは、熱エネルギーをインク吐出に利用するバブルジェット方式と、機械的変動を利用したピエゾ方式とに大別される。
【0004】
これらに用いられるインクには、紙やOHP用紙等の記録媒体に対して、画像を鮮明に記録する目的で、あるいは、インクジェットヘッドからの吐出状態やヘッド内におけるインクの挙動を安定化させるための組成的な改良が加えられているのが一般的である。近年におけるインクジェットシステムの多種多用な分野への適用の中で、インクの性能に対しても種々の高度な要求がなされるようになってきており、これらの改良技術もより高度なものとなりつつある。しかしながら、インクジェット用のインクは、種々の物性の微妙なバランスによってそのインクジェット特性を維持しているものが多く、所望の特性の改良を試みた場合に、他の特性が低下する場合も多い。そのような場合には、低下する特性の低下の程度が実用上問題とならないように、所望の特性の改良幅が制限されてしまう。このように、インクジェット用インク自体の改良には、一長一短がある。
【0005】
そこで、インクの物性自体のより高度な改良は行わずに、良好な記録特性を得るための種々の試みがなされている。例えば、画像の耐水性の向上を図る目的で、インク中の色材を記録媒体上で不溶化する技術が提案されいる。
【0006】
その具体例として、例えば、特開昭63−60783公報には塩基性ポリマーを有する液体を記録媒体に付着させたあとに、アニオン性染料を含有するインクを付与して記録する方法が、また、特開昭63−22681号公報には反応性化学種を含む第1の液体と該反応性化学種と反応を起す化合物を含む第2の液体を記録媒体上で混合する記録方法が開示されている。更に、特開昭63−299971号公報には1分子あたり2個以上のカチオン性基を有する有機化合物を含有する液体を付着させた後、アニオン性染料を含有したインクを記録する方法が開示されている。また、特開昭64−9279号公報には、コハク酸を含有した酸性液体を付着させた後、アニオン性染料を含有したインクを付与して記録を行う方法が開示されている。
【0007】
更に、特開昭64−63185号公報には、染料を不溶化させる液体(不溶化剤)をインクの付与に先だって記録媒体に付与しておく方法が開示されている。この不溶化剤を用いる方法としては、本願出願人によるヨーロッパ特許公開663299号に、不溶化剤としてのカチオン性物質又はノニオン性物質を含有する液体組成物に記録インクを併用した高品位な画像形成が可能な画像記録方法が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らの検討によれば、上記従来技術のように、耐水性向上のために、記録媒体への不溶化剤の付与後に、この不溶化剤と接触するようにインクを記録媒体に付与した場合、最初に記録媒体表面上に付着した不溶化剤の液滴上に、後発のインク滴が着弾する際に、着弾するインク滴の速度が高速であればある程、これらの衝突による液滴のはね返りにより飛沫が発生し、それが記録ヘッドに付着する現象が観察された。このはね返りの主たる範囲は、500μm〜1000μmとバラツキがあった。そして、このはね返り現象が、インク用のヘッドでのインクの吐出不良や吐出不能といった問題の一因となる場合があることが新たに判明した。すなわち、このはね返り飛沫に不溶化剤が含まれていると、これがインク用の記録ヘッドにおけるインク吐出時に発生する極小のインクミストと一体化して反応する。そして、最悪の場合、これらの反応によって生成したインク成分(主に色材)の不溶化物の塊がインク吐出口付近で成長し、インク吐出口を狭めたり、塞いだりすることによって、インク吐出方向を所望としない方向に曲げたり、インク吐出を一時的にも中断してしまう。
【0009】
すなわち、従来の不溶化剤とインクとの2液を用いる記録方法において、記録速度を更に上げるためにインク滴をより高速で作用させる場合、上記のような問題が発生し易くなることが判明した。そして、より高速での良好な記録を達成する上で、上記のはね返りによる飛沫の発生を抑えるための技術が必要であるとの結論を得た。
【0010】
このような2液系の記録方法における新たな課題の達成を目的として、インクやその不溶化剤について本発明者らは更に検討を行った。その過程において、従来のインクや不溶化剤の組成分として使用されている各種公知成分の範囲内での組成変更では、十分に満足できる結果が得られなかった。このような状況において、本発明者らの一人が、2つの物質の水中での反応性について種々検討を行っている際に、ビーカー中に2種の反応性物質を入れて安定した混濁状態を形成し、これにガラス棒を入れてかき回した時に、混濁した溶液が透明になり、且つ反応物がガラス棒に付着するという現象を観察した。この現象から、インク中で不活性で、インクの物性等への影響がなく、あるいはほとんど無視できる程度に少なく、しかも、不溶化剤との接触において急激な色材の凝集反応を生じさせる物質が、上記の課題を達成する上で有効であるとのヒントを得た。そして、かかるヒントに基づいて、更なる検討を行った結果、例えば、脂環式含窒素複素環を有する水溶性高分子化合物にこのような性質があるという新たな知見を得るに至った。
【0011】
本発明は、かかる本発明者らによる新たな知見に基づきなされたものであり、その目的は、インク特性を変化させずに2液系の記録特性を最大限に発揮させ、記録画像の高品質化とともに先に述べた液体のはね返りをも抑えることができる記録インクを提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、複数の液体、例えば不溶化剤とインク、あるいは複数のインク等を記録媒体上に付与して画像の1要素を形成させる画像形成方法において、記録媒体上での複数の液体の合体時に、少なくとも1つの液体が飛散することを抑え、高品位な画像を安定して記録できる画像形成方法を提供することを目的とする。
【0013】
更にまた、本発明は、高品位な画像を安定して記録可能な画像形成装置とそれに用いるインクセットを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を解決し得る本発明の実施態様の1つとしての記録インクは、カチオン性物質を含有する液体組成物と共に画像記録に用いられる記録インクであって、色材及びインク中でノニオン特性を呈し且つ脂環式含窒素複素環を有する水溶性高分子化合物を含有することを特徴とする。
【0015】
本発明の実施態様の1つとしての画像記録方法は、カチオン性物質を含有する液体組成物と、上記構成の記録インクとを併用して記録媒体の画像形成領域に画像を記録する方法であって、
(A)該液体組成物を前記記録媒体の少なくとも前記画像形成領域に付与する工程と、
(B)該記録インクを前記画像形成領域に付与する工程と、
を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の実施態様の1つとしてのインクセットは、i)カチオン性物質を含有する液体組成物と、ii)色材及びインク中でノニオン特性を呈し且つ脂環式含窒素複素環を有する水溶性高分子化合物を含有する記録インクを組合せたインクセットであって、該記録インクが、前記色材としてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、レッド、ブルーまたはグリーン用の色材を用いたカラーインクであり、これらのカラーインクの少なくとも1色を前記液体組成物と組合せたことを特徴とする。
【0017】
本発明の実施態様の1つとしての画像記録装置は、上記構成の記録インクを収納する記録インク収納部と、該記録インクを記録媒体に付与する記録インク付与手段と、を具備する第1の記録ユニットと、
カチオン性物質を含有する液体組成物を収納する液体組成物収納部と、該液体組成物を記録媒体に付与する液体組成物付与手段と、を具備する第2の記録ユニットと、
を有することを特徴とする。
【0018】
本発明の実施態様の1つとしてのインク容器は、インクを収納したインク収納部を有するインク容器において、このインクとして上記構成の記録インクが前記インク収納部に収納されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の実施態様の1つとしての記録ユニットは、上記構成の記録インクを収納する記録インク収納部と、該記録インクを記録媒体に付与する記録インク付与手段と、を具備することを特徴とする。
【0020】
これらの本発明の実施態様によれば、上記のカチオン性物質、色材及び水溶性高分子化合物による反応を画像記録に適用するための材料や手段を提供するもので、記録インク側に、脂環式含窒素複素環を有する水溶性高分子化合物を含有させ、これらの成分の反応を利用することで、色材の不溶化を効果的に行って、各種記録特性を良好な範囲に維持しつつ、ブリーディングやフェザリングを十分に抑えた高品質な画像記録を行うことができるとともに、本発明者らが新たに解明した従来の2液系を用いた場合の課題、すなわち、記録媒体上に予め付与した液体に更に他の液体を重ね打ちする場合の液体の記録ヘッド側へのはね返りを有効に防止して、長時間の安定した画像記録を行う、という課題を達成できる。
【0021】
本発明の実施態様の1つとしての更なる記録インクは、インクジェット記録方法を用いてカチオン性物質を含有する液体組成物と共に記録媒体上に付与して画像の一要素を形成させて画像を記録する方法に用いる記録インクであって、
該記録インクは色材及び水溶性高分子化合物を含み、且つ
記録媒体上に付与された該液体組成物上に該水溶性高分子化合物を含まない記録インクが付与されたときにはその衝撃により該記録媒体上の液体組成物からの飛沫を生じそれが記録インクの吐出面に付着するような記録条件のもとで、該水溶性高分子化合物を含む記録インクが該記録媒体上の液体組成物上に付与されたときには該液体組成物の飛沫によるインク吐出面への付着が実質的に無いことを特徴とする。
【0022】
本発明の実施態様の1つとしての更なる画像記録方法は、記録インク及びカチオン性物質を含む液体組成物を用いてインクジェット記録方法で画像を記録する方法であって、
該液体組成物を記録媒体の少なくとも画像形成領域に付与する工程(A);及び該記録インクを記録媒体の画像形成領域に付与する工程(B)を有し、
該記録インクとして色材及び水溶性高分子化合物を含み、且つ
記録媒体上に付与された該液体組成物上に該水溶性高分子化合物を含まない記録インクが付与されたときにはその衝撃により該記録媒体上の液体組成物からの飛沫を生じそれが記録インクの吐出面に付着するような記録条件のもとで、該水溶性高分子化合物を含む記録インクが該記録媒体上の液体組成物上に付与されたときには該液体組成物の飛沫によるインク吐出面への付着が実質的に無い記録インクを用いることを特徴とする。
【0023】
このインクジェット用の記録インクを収納した記録インク収納部と、該記録インクを記録媒体に付与する記録インク付与手段とを備えた第1の記録ユニットと、
カチオン性物質を含有する液体組成物収納部と、該液体組成物を記録媒体に付与する液体組成物付与手段とを備えた第2の記録ユニットによって画像記録装置を構成することができる。
【0024】
更に、i)カチオン性物質を含有する液体組成物と、ii)このインクジェット用の記録インクとを組合せることでインクセットを構成することができ、前記記録インクとして、前記色材としてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、レッド、ブルーまたはグリーンの色材を用いたカラーインクであり、これらのカラーインクの中から少なくとも一色を該液体組成物と組合せることができる。
【0025】
更に、このインクジェット用の記録インクを、インク容器のインク収納部に収納することでインク容器を提供できる。また、このようなインク収納部と、この記録インクを記録媒体に付与する記録インク付与手段とによって記録ユニットを構成することができる。また、このインクジェット記録用の記録インクを収納する記録インク収納部と該記録インクを記録媒体に付与する記録インク付与手段とを備えた第1の記録ユニットと、カチオン性物質を含有する液体組成物収納部と、該液体組成物を記録媒体に付与する液体組成物付与手段とを備えた第2の記録ユニットとを具備し、該記録インク付与手段及び該液体組成物付与手段の少なくとも一方がインクジェット記録方法によって記録媒体に液体を付与せしめる為の手段である画像記録装置を提供できる。
【0026】
これらの本発明の実施態様によれば、画像記録工程中に記録インクあるいは液体組成物のインクジェット方式による記録ヘッドからの不吐出の発生を有効に抑えることができ、長時間の安定した画像記録が可能となる。なお、ここで、カチオン含有液体組成物及び記録インクの少なくとも一方の液体の記録ヘッドの吐出面への付着が実質的に無いとは、吐出面にこれらのはね返りが全く付着しないか、または付着しても通常のクリーニング手段で除去できる場合をいう。
【0027】
また、上記の構成において記録インクまたはカチオン性物質を含有する液体組成物の組成をバブルインクジェット用に好適なものとし、これらの少なくとも一方の記録媒体への付与をバブルインクジェット方式によって行うことで、本発明の効果をより一層高めることができる。特に、記録インク及びカチオン性物質を含有する液体組成物のいずれか一方を先に記録媒体に付与した後に、他方を記録媒体に付与する際に、少なくとも後の付与工程をバブルインクジェットにより行うことで、上記のはね返り防止効果をより一層向上させることができる。
【0028】
また、カチオン性物質を含有する液体組成物としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分子量分布を測定したときに分子量1000以下および分子量1000を超えるフラクションを有し、該分子量1000以下および1000を超えるフラクションのそれぞれにカチオン性物質を含有する液体組成物を用い、これに色材としてアニオン性色素を用いた記録インク(脂環式含窒素複素環を有し、液体中でノニオン特性を示す水溶性高分子化合物も含有する)を組合せることで、これらのより高い反応性が得られ、本発明の効果をより一層向上させることができる。
【0029】
また、本発明のブリーディング防止、フェザリング防止、耐水性の向上、はね返り防止等の諸効果は、第1の極性を有する化合物を有する液体組成物と共に画像記録に用いられる記録インクであって、該第1の極性とは反対の第2の極性を有する色材および分子内に分極を生じさせる基を有する、液体中でノニオン特性を示す水溶性高分子化合物を含有することを特徴とする記録インクによっても達成することができる。この記録インクを用いた画像形成方法は、第1の極性を有する化合物を含有する液体組成物と、該第1の極性と反対の第2の極性を有する色材および分子内に分極を生じさせる基を有する、液体中でノニオン特性を示す水溶性高分子化合物を含有する記録インクとを併用して記録媒体に画像を記録する方法であって、
(A)該液体組成物を記録媒体の少なくとも画像形成領域に付与する工程;及び
(B)該記録インクを記録媒体の画像形成領域に付与する工程
を有することを特徴とする。
【0030】
更に、この記録インクを用いた画像記録装置は、第1の極性を有する液体組成物を収納した液体組成物収納部と、該液体組成物を記録媒体に付与する液体組成物付与手段を具備する第1の記録ユニット、及び
該第1の極性と反対の第2の極性を有する色材及び分子内に分極を生じさせる、液体中でノニオン特性を示す水溶性高分子化合物を含有する記録インクを収納した記録インク収納部と、該記録インクを記録媒体に付与する記録インク付与手段とを具備する第2の記録ユニット
を有することを特徴とする。
【0031】
また、この記録インクを用いて、先に述べた各構成と同様に、インク容器、
記録ユニット、インクセット等を構成することができる。
【0032】
次に、本発明の作用について説明する。本発明においては、カチオン含有液体組成物及び記録インクのどちらか一方を予め記録媒体に付与した後に、残りの一方が重ね打ちされる。その際、これら2液の成分が記録媒体上で反応することで、はね返りが防止され、かつ、色材成分の固定化も瞬時に始動し、画質の低下の原因となる、例えば、記録インクが記録媒体の繊維に沿ってにじむことによるドットの円周部に羽毛状の模様が発生し、ドット輪郭がぼやけてしまうフェザリングや、異色のドットが隣接して打たれた場合にこれらのドットの境界において混色が起きるブリーディングを防止することができる。本発明において、脂環式含窒素複素環を有し、液体中でノニオン特性を示す水溶性高分子化合物を用いることによる上記の作用は、例えばアニオン性染料、脂環式含窒素複素環を有する水溶性高分子化合物及びカチオン性物質を共存させた場合にこれらの反応が高速で生じるという現象から、以下のように推定することができる。
【0033】
すなわち、脂環式含窒素複素環を有する水溶性高分子化合物では、脂環式含窒素複素環が結合している分岐鎖中に正極に分極した部位が生じている。しかし、この分極は弱いため、記録インク中においてこの正極部分にアニオン性染料が多少局在化したとしても、アニオン性染料と該水溶性高分子化合物とが結合することはなく、且つ該水溶性高分子化合物は溶液中でノニオン特性を呈するため、該水溶性高分子化合物の添加による記録インクの特性の大きな変化はない。このような状態の記録インクに、カチオン含有液体組成物を接触させると、該液体組成物中に含まれるカチオン性物質とアニオン性染料とのイオン結合を生じ、これらの反応液中でのアニオン性染料の動きが規制されるとともに、カチオン性物質とイオン結合した状態のアニオン性染料の反応性にも変化が生じ、該水溶性高分子化合物の分極部分と反応し易くなる。その結果、カチオン性物質と該水溶性高分子物質とがアニオン性染料を媒介として結合した形の巨大化した水不溶性凝集物が形成される。
【0034】
そして、この凝集物の形成反応は、記録インクに脂環式含窒素複素環を有する水溶性高分子化合物を添加しない従来の2液系の記録方法における凝集物の形成よりも極めて速く、それゆえこの反応を、例えば、インクジェット記録方法に用いた画像記録方法に適用した場合、記録インクがカチオン含有液体組成物に接触した瞬間からこれらの接触界面でこの凝集物形成反応が瞬時に始動し、この凝集物の形成が、粘性の上昇等の液特性の変化の要因となったり、はね返り自体に対する障害物となることで、効果的にはね返りを防止できるようになる。
【0035】
更に、この水不溶性凝集物の瞬時の形成によって、記録媒体上で、そこに付与された色材と液媒体との急速な分離が生じ、それによってブリーディングやフェザリングが効果的に抑えられ高品質な画像形成が可能となる。しかも、この凝集物は水不溶性であることから、得られる画像の耐水性も極めて優れたものとなる。
【0036】
以上の推定は、例えば、色材を含有させない以外は上記と同じ構成の反応系、すなわちカチオン含有液体組成物と、脂環式含窒素複素環を有する水溶性高分子化合物は含むが、色材は含まない液体組成物とを反応させても上記のような凝集物の形成は観察されないという事実を見れば、正しいものと考えられる。
【0037】
そして、このような推定からアニオン性物質を含有する液体組成物と、分極を生じさせる基を有し、液体中ではノニオン性である水溶性高分子化合物及びカチオン性染料(色素)を含む記録インクとを組合せて用いた2液系の画像形成方法も良好な効果を奏すると考えられる。
【0038】
また、先に述べたバブルインクジェット方式を適用することによるはね返り防止効果の一層の向上に関するメカニズムについても、以下のように推定することができる。
【0039】
すなわち、記録インク及びカチオン含有液体組成物の一方を先に記録媒体に付与した後に他方を付与する際にバブルインクジェット方式を適用すると、後に記録媒体に付与される液体の温度上昇による粘度の低下が生じる。その結果、後に付与された液体によって、先に付与された液体の表面のより広い範囲が被覆されこれらの接触面積はより広くなり、より広範囲で上述の凝集物形成反応が生じ、より一層のはね返り防止効果が得られる。
【0040】
なお、本発明において、カチオン性物質として分子量1000以下のものと、分子量1000を超えるもの2種を併用するとより効果的である。その理由としては、分子量の小さなカチオン性物質の存在によって染料とカチオン物質とのイオン的相互作用による凝集反応の始動が速められ、更に分子量の大きなカチオン性物質によってこの凝集物の成長による不溶化が促進されるためと考えられる。
【0041】
【発明の実施の形態】
本発明の実施態様の1つとしての記録インクは、少なくとも脂環式含窒素複素環を有する水溶性高分子化合物と色材を含有して構成される。また、この記録インクは、その液性を維持する上で、水、または、水と水溶性有機溶剤との混合溶媒等からなる水性媒体を含有することができる。更に、記録媒体への付与方法の種類に応じて各種の添加剤を含むことができる。例えば、インクジェット方式に用いる場合には、インクジェット用インクに通常用いられるいる各種組成分、例えば、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、酸化防止剤等を適宜選択して用いることができる。なお、本発明で記録インク中に添加する脂環式含窒素複素環を有する水溶性高分子化合物は、分極部分を有するものの、記録インク中での反応性は低く、通常は、他のインク組成分と反応してインク特性を実質的に変化させることはない。しかしながら、他のインク組成分の種類によっては、これらが反応してインクの特性が大きく低下する場合は、そのような組合せを避けた別の組合せに変更すればよい。
【0042】
本発明においては、脂環式含窒素複素環を有し、インク中でノニオン特性を呈する水溶性高分子化合物として、下記一般式(1)
【0043】
【化13】
(但し、R1は、水素原子、メチル基、エチル基または以下に示す脂環式含窒素複素環のいずれか1つを示し、R5は以下に示す脂環式含窒素複素環のいずれか1つを示し、
【0044】
【化14】
R2〜R4は互いに独立に水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、L1〜L4は互いに独立に−A−O−(−A−は、メチル基またはエチル基で置換されていても良い炭素数2〜4のアルキレン基を示す)で示す構造を有する2価の基を示し、
s、t及びqは共重合比でsとtの合計は該水溶性高分子化合物全体の90〜99重量%であり、qは1〜10重量%であり、
nとkは整数でありその合計は10〜30の範囲にあり、mは15〜30の整数であり、pは1〜5の整数である)
で示される繰返し単位を有する水溶性高分子化合物を用いる。
【0045】
この一般式(1)の化合物の中では、(a)置換モルホリンのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド付加物のアクリル酸エステル、(b)アクリル酸及び(c)下記一般式(2)
【0046】
【化15】
(上記式中、R1、R2、L2〜L4、n、m及びkは前記一般式(1)と同様に定義される)
で表される化合物の共重合体を、より好ましいものとして挙げることができる。
【0047】
また、R1及びR5が共にモルホリン環:
【0048】
【化16】
であるのが、カチオン性物質を含有する液体組成物(以下カチオン含有液体組成物という)に含まれているカチオン性物質と、記録インク中の脂環式含窒素複素環を有する水溶性高分子化合物及び色材との反応性が極めて良好となり、且つ記録インク自体の安定性がより一層優れたものとなるので、より好ましい。
【0049】
脂環式含窒素複素環を有する水溶性高分子化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(GPC カラムTSG−gel GMHXLポリスチレン換算)で測定した分子量(重量平均分子量)の上限が30万、その下限が5000であるものが好ましく、分子量の上限は5万であるものがより好ましい。これは、これらの分子量範囲のものを用いた場合に、記録インクとカチオン性物質との接触時における凝集物の形成がより高速で行われ、ブリーディングをほぼ完全に防止することができ、しかもはね返りを防止するという技術課題をより十分に達成できるためと考えられる。更に、これらの分子量範囲にあるものを含む記録インクを発熱素子を用いるインクジェット記録方法、すなわち熱エネルギーを作用させて液体を吐出させるバブルインクジェット方式による記録方法に適用した場合にも、発熱素子上に堆積物が付着したり、それによって記録インクの不吐出が生じるといった問題の発生をより効果的に防止できる。すなわち、かかる分子量範囲のものを用いた記録インクは、発熱素子を用いたインクジェット記録方法を適用する場合に特に好適である。
【0050】
脂環式含窒素複素環を有する水溶性高分子化合物の記録インクへの配合量は、記録インクの記録媒体への付与方法の種類等に応じて適宜選択されるが、例えば色材の濃度とほぼ同程度とすることで、記録インクとカチオン含有液体組成物との接触時における凝集物の形成の更なる高速化及び発熱素子を用いたバブルインクジェット方式の適用が容易となるという利点がある。
【0051】
記録インクに含有させる色材としては、先に述べた、カチオン性物質及び脂環式含窒素複素環を有する水溶性高分子化合物との反応によって凝集物の形成が可能であるもので、所望とする記録特性を得られるものであれば制限なく使用できる。このようなものとしては、各種の色素を用いることができ、例えば、カラーインデックス(COLOR INDEX)に記載されている水溶性の酸性染料、直接染料、反応性染料、また、カラーインデックスに載っていないものでも、例えばスルホン酸基、カルボキシル基等のアニオン性基を有する水溶性染料等を挙げることができる。ここでいう水溶性染料の中には、溶解度にpH依存性のあるものも含まれる。色材としては、なかでもアニオン性染料が好ましい。色材の配合は、所望とするインクの色に応じて選択すれば良く、例えば、色材を選択することで、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、レッド、ブルーまたはグリーンのインクを調製することが、これらの少なくとも1色の記録インクをカチオン含有液体組成物と組合せてインクセットとして用いることができる。色材の含有量としては、通常1〜8重量%が好ましく、布、金属(アルマイト)等への記録には3〜10重量%が好ましく、更に、記録画像に濃淡が必要な場合は0.01〜10重量%が好ましい。
【0052】
一方、本発明における記録インクに用いる得る水性媒体としては、水、水と水溶性有機溶媒の混合溶媒等を用いることができる。水としては、イオン交換水や脱イオン水が好ましい。
【0053】
また、その他、水と混合して使用される水溶性有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類:ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類:アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン類またはケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類:グリセリン、エチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングルコールモノメチル(またはエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等があげられる。これらの多くの水溶性有機溶剤の中でもジエチレングリコール等の多価アルコールの低級アルキルエーテルが好ましい。
【0054】
さらに、吐出安定性を得るためにはエタノール、あるいはイソプロピルアルコールを1重量%以上添加することが効果的である。これは、例えば、記録インクの記録媒体への付与を発熱素子を用いたインクジェット記録方法で行った場合、これら溶剤を添加することにより記録インクの薄膜抵抗体(発熱素子)上での発泡をより安定に行うことができるからと考えられる。しかし、これら溶剤を過剰に加えると、印字物の印字品位が損なわれるという欠点が生じるため、これら溶剤の、より適切な濃度は3〜10重量%である。さらにこれら溶剤の効果として、分散液にこれら溶剤を添加することにより、分散時における泡の発生を抑え、効果的な分散が行えることがあげられる。
【0055】
本発明における記録インク中の上記水溶性有機溶剤の含有量は、一般には記録インク全量の3〜50重量%の範囲であり、好ましくは3〜40重量%の範囲であり、使用する水は記録インクの全重量の10〜90重量%、好ましくは30〜80重量%の範囲である。
【0056】
本発明において記録インクと併用されるカチオン含有液体組成物としては、その分子量分布をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグライー)で測定した時に分子量1000以下の領域及び分子量1000を超える領域に該カチオン性物質を含むフラクションを有するものが好ましい。係る液体組成物としては例えばその分子量をGPCで測定した時にカチオン性物質の複数のフラクションを有するものが好ましく、図10及び図11に示したように分子量の異なる領域、具体的には例えば分子量で1000以下及び1000を超えるフラクションのそれぞれに分子量のピークを有し、そのピークがカチオン性物質由来のものである液体組成物や、図12や図13に示した様に分子量1000以下及び1000を超えるフラクションを有し、且つその分子量1000以下のフラクション及び分子量1000を超えるフラクションにカチオン性物質を含む液体組成物が挙げられる。
【0057】
また、本発明を実施するにあたっては、従来技術で用いられているような分子量の大きいカチオン性高分子物質を使用する必要がない。従って、カチオン含有液体組成物の粘度が増大することがないので、該液体組成物をインクジェット記録ヘッド、特にオンデマンド型のバブルインクジェット記録ヘッドを使用して記録媒体に付着させようとした場合に、周波数応答性、安定した吐出体積、安定した吐出速度等の吐出特性に対して有利であり、また、多価の金属塩を使用する必要がないので、コゲーションの問題も発生しない等の利点も本発明の別の効果として挙げられる。
【0058】
上記分子量の異なるカチオン性物質を含有するカチオン含有液体組成物としては、前記したようにGPCで測定した時に複数のフラクション、例えば低分子領域と高分子領域とにフラクションを有し、そのそれぞれのフラクションにカチオン性物質が含まれていることが好ましく、例えば図10、図11に示したように低分子領域と高分子領域のそれぞれに少なくとも1つのカチオン性物質由来のピークを有する液体組成物や、図12、図13に示したように単一のピークを有し、且つ低分子領域から高分子領域にわたり広い分子量分布を示す液体組成物であって低分子領域と高分子領域のフラクションの両方にカチオン性物質を含む液体組成物や、単一のピークを有し且つ低分子領域から高分子領域にわたり広い分子量分布を示す液体組成物であって低分子領域から高分子領域まで連続的な分子量分布を示すカチオン性物質を含有する液体組成物が挙げられる。
【0059】
ここで図10に示した様な分子量分布を有するカチオン含有液体組成物において、複数のフラクションのうち低分子側のフラクションに含まれるカチオン性物質として、例えば該液体組成物の分子量分布において分子量1000以下、特には200以上800以下、更には300以上800以下のフラクションに含まれる様な物質とした場合、高品位のインク画像を得る上で好ましい。
【0060】
これは、記録インクに含まれる色材、例えばアニオン性基を有する水溶性染料及び脂環式含窒素複素環を有する水溶性高分子化合物と該カチオン含有液体組成物が接触した場合に速やかに結合体を形成し、該インクの移動度を急速に制限し、はね返りを防止し、溶媒の記録媒体への浸透に追随してインクが記録媒体中に拡散、浸透して行くのを抑えることができるためであると考えられる。
【0061】
また、該低分子成分としてその分子量分布が単分散に近いものが好適に使用でき、例えば、分子量1000以下の領域にピークを有するものが好適に用いられる。なお、カチオン性物質の低分子成分として分子量分布を持たない物質を用いる場合には化学式から求められる分子量を分子量分布のピークの位置とみなす。
【0062】
次に、カチオン性物質の低分子量成分の具体例としては、例えば、1級〜3級アミン塩型の化合物、具体的にはラウリルアミン、ヤシアミン、ステアリルアミン、ロジンアミン等の塩酸塩、酢酸塩等の他、第4級アンモニウム塩型の化合物、具体的にはラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、セチルトリメチルアンモニウムクロライド等があり、更に、ピリジニウム塩型化合物、具体的にはセチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムブロマイド等、更には、イミダゾリン型カチオン性化合物、具体的には2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン等があり、更に、第2級アルキルアミンのエチレンオキシド付加物、具体的にはジヒドロキシエチルステアリルアミン等が好ましい例として挙げられる。
【0063】
さらに本発明では、あるpH領域においてカチオン性を示す両性界面活性剤も使用でき、具体的には、アミノ酸型両性界面活性剤、RNHCH2−CH2COOH型の化合物があり、ベタイン型の化合物、例えばステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン等が挙げられる。もちろんこれらの両性界面活性剤を使用する場合にはそれらの等電点以下のpHになるようにカチオン含有液体組成物を調整するか、記録媒体上で記録インクと混合した場合に該等電点以下のpHになるように調整するかのいずれかの方法をとることが好ましい。
【0064】
以上、カチオン性物質の低分子成分の例を挙げたが、本発明に使用することのできるカチオン性物質は必ずしもこれらに限定されないことは言うまでもない。
【0065】
他のカチオン性物質の低分子成分の例としては、例えば、後述するカチオン性高分子成分のモノマーやオリゴマーを挙げることができる。
【0066】
次ぎに、カチオン性物質の高分子成分としては、カチオン含有液体組成物の分子量分布をGPCを用いて測定したときに分子量が1000を超えた領域、特に1500以上、更には1500以上10000以下の領域のフラクションに含まれる様なカチオン性物質であることが、記録インクの高速での定着及び高品位のインク画像を得る上で好ましい。
【0067】
ここでカチオン性物質の高分子成分としては、例えば分子量1500以上の領域に分子量のピークを有する様な単分散に近いものが好適に使用できる。
【0068】
カチオン性物質の高分子成分の具体例としては、ポリアリルアミン、ポリアミンスルホン、ポリビニルアミン、キトサン及びこれらの塩酸、酢酸等の酸による中和物又は部分中和物を挙げることができるが、これらに限定されないとは言うまでもない。例えば、これらの高分子物質の分子量分布のピークの位置が1000を超える領域、例えば1500以上10000以下の領域に少なくとも1つ存在すれば、本発明を実施する際にその効果は十分である。
【0069】
なお、本発明における高分子物質の分子量とは、特に断わらない限り、GPCを使用して求めた平均分子量のことを指し、ポリエチレンオキサイド換算の重量平均分子量のことをいう。
【0070】
また、カチオン性高分子物質の別の具体例として、ノニオン性高分子物質の一部をカチオン化した化合物を用いてもよい。具体的には、ビニルピロリドンとアミノアルキルアルキレート4級塩との共重合体、アクリルアマイドとアミノメチルアクリルアマイド4級塩との共重合体等を挙げることができるが、もちろんこれらの化合物に限定されないことは言うまでもない。更に、このカチオン性の高分子物質は水溶性であれば申し分ないが、ラテックスやエマルジョンの様な分散体であってもかまわない。
【0071】
次に、図12及び図13に示した様な分子量分布のカチオン性物質を含有する液体組成物について説明する。
【0072】
図12に示した分子量分布を有する液体組成物の実施態様は、分子量1000以下に分子量分布のピークを有し且つ分子量1000を超える領域にもフラクションを有し、分子量1000以下及び分子量1000を超えるフラクションにカチオン性物質を含むものである。そしてこのようなカチオン含有液体組成物に用いるカチオン性物質としては、分子量が低分子領域から高分子領域まで広く分布している物質が好適に用いられる。具体的には該液体組成物の分子量分布を測定したときに、低分子領域の側では分子量1000以下、特に分子量800程度、更には分子量300程度のフラクションにもカチオン性物質が含有され、また高分子領域の側では分子量1000を超える領域、特に1500以上、更には1500以上10000以下の領域のフラクションにもカチオン性物質が含有されている様な液体組成物を与えるカチオン性化合物が好ましい。そして係るカチオン性化合物は、単一の繰り返し単位を有する1種類のカチオン性の多分散ポリマーで達成してもよく、または2種若しくはそれ以上の異なる構造のカチオン性ポリマーの混合物で達成しても良い。そしてこのようなカチオン性物質としては、例えば上記のカチオン性物質の高分子成分として用いられるポリマーであって分子量分布が広くなる様に合成したポリマー、あるいはポリマーとオリゴマーの混合物などが挙げられる。
【0073】
カチオン含有液体組成物において、カチオン性物質の低分子成分と高分子成分との混合割合は、材料に応じて適宜選択すれば良いが、例えば重量基準で10:1〜1:10、特には5:1〜1:5、更には1:1〜1:5の範囲とした場合、カチオン含有液体組成物や記録インク、またはそれらの混合物のはね返りによる不吐出の問題を十分解決でき、また画像の耐水性も一層向上させることができる。また、ブリーディングを十分抑制でき、更には、画像のエッジシャープネスを向上させることができる。
【0074】
カチオン含有液体組成物中のカチオン性物質の含有量も、材料に応じて該液体組成物が上記の作用を奏する様に適宜決定することができるが、例えば、重量基準で0.05〜20重量%、特に0.5〜5重量%とした場合、インクジェット記録に適したカチオン含有液体組成物の物性、例えば粘度や表面張力などを制御する上で好ましい。
【0075】
次に、本発明で用い得るカチオン含有液体組成物を構成するその他の成分について具体的に述べる。このカチオン含有液体組成物は、前述したカチオン性物質の他に、水、水溶性有機溶剤及びその他の添加剤を含んでもよい。水溶性有機溶剤としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレングリコール類、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の1価アルコール類の他、グリセリン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、トリエタノールアミン、スルホラン、ジメチルサルホキサイド等が用いられる。
【0076】
上記水溶性有機溶剤の含有量について特に制限はないが、カチオン含有液体組成物全重量の5〜60重量%、好ましくは5〜40重量%が好適な範囲である。この他、必要に応じて、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、酸化防止剤、蒸発促進剤等の添加剤を配合してもかまわない。界面活性剤の選択は、液体の浸透性を調整する上で特に重要である。
【0077】
本発明を実施するにあたって使用する記録媒体については特に制限されるものではなく、従来から使用されているコピー用紙、ボンド紙等のいわゆる普通紙が好適に使用される。もちろんインクジェット記録用に特別に作成したコート紙や、OHP用透明フィルムも好適に使用されるし、一般の上質紙や光沢紙も好適に使用可能である。
【0078】
本発明における画像形成方法としては、記録媒体上で前記カチオン含有液体組成物と記録インクが共存できる方法であれば良く、カチオン含有液体組成物と記録インクのいずれを先に記録媒体に付与するかは問題ではない。しかし、先にカチオン含有液体組成物を記録媒体に付与し、後に記録インクを付与する画像形成方法によれば、はね返り防止の効果が極めて高く、優れた画像の記録を安定して行うことができる。
【0079】
本発明でいう画像の形成領域とは、記録インクのドットが付着する領域のことであり、画像形成領域の近傍とは、記録インクのドットが付着する領域の外側の1〜5ドット分程度離れた領域のことを指す。
【0080】
カチオン含有液体組成物を記録媒体に付与する方法としては、スプレー、ローラ等によって、記録媒体の全面にこれを付着させる方法があるが、記録インクが付着する画像形成領域及び画像形成領域の近傍にのみ選択的かつ均一にこれを付着させることが可能なインクジェット方式による方法が好ましい。カチオン含有液体組成物を記録媒体に付着させてから、記録インクを付着させるまでの時間については特に制限されるものではないが、本発明をより一層効果的に実施するために、数秒以内、特に好ましくは1秒以内であることが望ましい。これは、記録インクを先に記録媒体に付着させてからカチオン含有液体組成物を付着させる場合についても同様である。
【0081】
記録インクの記録媒体への付着方法についても、目的とする画像形成に応じて適宜選択することができる。記録インク及びカチオン含有液体組成物の少なくとも一方の記録媒体への付与にインクジェット方式を採用する場合、例えば種々のインクジェット方式を用いることができ、具体的には、熱エネルギーによって発生した気泡を用いて液滴を吐出する、いわゆるオンデマンド型のバブルインクジェット方式、あるいはピエゾ素子を用いたインクジェット方式が挙げられる。そして、本発明においてはバブルインクジェット方式は特に好適に用いられる。すなわち、記録媒体への記録インクの付与工程と、カチオン含有液体組成物の付与工程のうち、少なくとも後に行われる工程で用いられる液体の記録媒体への付与をバブルインクジェット方式によって行なった場合、先に付与されている液体のはね返り防止効果がより一層高められる。
【0082】
なお、本発明に用いるカチオン性物質の分子量分布は予め各々単独でGPC測定を行っても良いし、カチオン含有液体組成物そのものの分子量分布を測定した後、少なくともアニオン性基を有する染料が含まれる十分な量のインクとカチオン含有液体組成物をビーカー等の容器内で混合攪拌し、沈澱物を取り除いた後に再びGPC測定を行い、インク混合前とインクを混合して沈澱物を取り除いた後のGPC測定結果を比較してインク中の染料によって沈澱して系内から取り除かれた成分の分子量分布から求めても良い。
【0083】
次いで、本発明に用いる記録装置について説明する。本発明には記録ヘッドの記録インクに記録信号を与え、発生した熱エネルギーにより液滴を吐出する、いわゆるオンデマンド型のバブルインクジェット方式が好ましい。その装置の主要部である記録ヘッドの構成を図1、図2及び図3に示す。ヘッド13は、記録インクの流路を形成したガラス、セラミック又はプラスチック等と感熱記録に用いられる発熱抵抗体を有する発熱ヘッド15(図ではヘッドが示されているが、これに限定されるものではない)とを接着して得られる。発熱ヘッド15は、酸化シリコン等で形成される保護膜16、アルミニウム電極17−1、17−2、ニクロム等で形成される発熱低抗体層18、蓄熱層19、アルミナ等の放熱性のよい基板20よりなっている。
【0084】
記録インク21は吐出オリフィス22まで来ており、圧力Pによりメニスカス23を形成している。ここで、電極17−1、17−2に電気信号が加わると、発熱ヘッド15のnで示される領域が急激に発熱し、ここに接しているインク21に気泡が発生し、その圧力でメニスカスが吐出し、オリフィス22より記録インクの液滴24となり、記録媒体25に向って飛翔する。図3には図1に示したノズルを多数並べた記録ヘッドの概略図を示す。該記録ヘッドは多数の流路を有するガラス板等27と図1において説明したものと同様の発熱ヘッド28を密着して作られる。なお、図1はインク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、図2は図1のA−B線での断面図である。
【0085】
図4に該ヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の1例を示す。図4において、61はワイピング部材としてのブレードで、その一端はブレード保持部材によって保持されて固定端となり、カレンチレバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッドによる記録領域に隣接した位置に配置され、記録ヘッドの移動方向と垂直な方向に移動して吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。さらに、63はブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッドの移動経路中に突出した形態で保持される。前記ブレード61、キャップ62、吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及び吸収体63によってインク吐出口面での水分、塵等の除去が行われる。
【0086】
65は、吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する記録媒体に記録インクを吐出する記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行うためのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモータ68によって駆動されるベルト69と接続(図示せず)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。51は、記録媒体を挿入するための給紙部、52はモータ(図示せず)により駆動される送りローラーである。これらの構成によって記録ヘッドの吐出口面と対向する位置へ記録媒体が給送され、記録が進行するにつれて、排紙ローラー53を配した排出部へ排出される。
【0087】
上記構成において、記録ヘッド65が記録終了等でホームポジションに戻る際、ヘッド回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。この結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされる。なお、キャップ62が記録ヘッド65の吐出口面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は前記したワイピング時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。前記の記録ヘッドのホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりではなく、記録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0088】
図5は、ヘッドにインク供給部材、例えばチューブを介して供給される記録インクを収容したインクカートリッジの一例を示す図である。ここで40は供給用の記録インクを収納したインク収納部、例えばインク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(図示せず)を挿入することにより、インク袋40中の記録インクをヘッドに供給することが可能となる。44は廃インクを受容する吸収体である。インク収納部としては、記録インクとの接液面がポリオレフィン、特にポリエチレンで形成されているものが好ましい。
【0089】
本発明で使用されるインクジェット記録装置としては、前記のような記録ヘッドとインクカートリッジが別体となったものに限らず、図6に示すようにそれらが一体となったものも好適に用いられる。図6において、70は記録ユニットであって、この中に記録インクを収容したインク収納部、例えばインク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中の記録インクが複数のオリフィスを有するヘッド部71から記録インクとして吐出される構成になっている。インク吸収体の材料としては、例えばポリウレタンを用いることができる。72は記録ユニット内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニット70は、図4で示す記録ヘッドに代えて用いられるものであって、キャリッジ66に対し着脱自在になっている。なお、本発明に使用する記録装置において、上記では記録インクに熱エネルギーを作用させて記録インクの液滴を吐出するインクジェット記録装置を例に挙げたが、その他に圧電素子を使用するピエゾ方式のインクジェット記録装置でも同様に利用できる。
【0090】
本発明における画像記録方法は、例えば、前記図3に示した記録ヘッドを5つキャリッジ上に並べた記録装置を使用することができる。図7は、その一例である。81、82、83、84はそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の記録インクを吐出するための記録ヘッドである。また、85はカチオン含有液体組成物を吐出するヘッドであり、記録インク吐出用として先に説明したのと同様のインクジェット方式によって液滴を吐出する構成を有する。
【0091】
このヘッドは前記した記録装置に配置され、記録信号に応じて、各色の記録インクを吐出する。また、カチオン含有液体組成物は、少なくとも画像形成領域(記録インクの付与部)に記録インクに先だって予め付与されるか、または、記録インクの後に付与される。図7では、記録ヘッドを5つ使用した例を示したが、これに限定されるものではなく、図8に示した様に1つの記録ヘッドでイエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインク、カチオン含有液体組成物を液流路を分けて吐出させる場合も好ましい。もちろん、カチオン含有液体組成物と記録インクが上記した順序とは逆になるようなヘッドの配置をとっても良い。
【0092】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明する。
実施例1
(記録インク及びカチオン含有液体組成物の調製)
表1〜6に示す各インクセット用の記録インク組成分をそれぞれ個々に混合し、ポアサイズ0.22μmのメンブランフィルター(商品名:フロロポアフィルター、住友電工製)によって加圧濾過し、各インクセットにおける記録インク(イエローインク(Y)、マゼンタインク(M)、シアンインク(C)、ブラックインク(BK))をそれぞれ得た。なお、表1における染料1、2は、以下の構造の染料を含むものであり、
【0093】
【化17】
染料1は特開昭59−78273号公報に記載の方法に従って、また染料2は特開平3−91577号公報に記載の方法に従って得ることができる。
【0094】
また、高分子A〜Fは以下のとおりである。なお、各高分子の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC カラムTSG−gel GMHXLポリスチレン換算)により測定したものである。
高分子A:
分子量(Mw)=27,000
下記単量体A−1〜A−3の共重合体(配合重量比、A−1:A−2:A−3=90:8:2)
▲1▼単量体A−1:
2−モルホリノオキシエチルメタアクリレート
▲2▼単量体A−2:
【0095】
【化18】
▲3▼単量体A−3:
メタアクリル酸
高分子B
分子量(Mw)=50,000
下記単量体B−1〜B−3の共重合体(配合重量比、B−1:B−2:B−3=50:48:2)
▲1▼単量体B−1:
2−モルホリノオキシエチルメタアクリレート
▲2▼単量体B−2:
【0096】
【化19】
▲3▼単量体B−3:
メタアクリル酸
高分子C
分子量(Mw)=15,000
下記単量体C−1〜C−3の共重合体(配合重量比、C−1:C−2:C−3=90:8:2)
▲1▼単量体C−1:
2−モルホリノオキシエチルメタアクリレート
▲2▼単量体C−2:
【0097】
【化20】
▲3▼単量体C−3:
メタアクリル酸
高分子D
分子量(Mw)=5,000
下記単量体D−1〜D−3の共重合体(配合重量比、D−1:D−2:D−3=80:15:5)
▲1▼単量体D−1:
2−モルホリノオキシブチルメタアクリレート
▲2▼単量体D−2:
【0098】
【化21】
▲3▼単量体D−3:
メタアクリル酸
高分子E
分子量(Mw)=10,000
下記単量体E−1〜E−3の共重合体(配合重量比、E−1:E−2:E−3=80:15:5)
▲1▼単量体E−1:
2−モルホリノオキシブチルメタアクリレート
▲2▼単量体E−2:
【0099】
【化22】
▲3▼単量体E−3:
メタアクリル酸
高分子F
分子量(Mw)=300,000
下記単量体F−1〜F−3の共重合体(配合重量比、F−1:F−2:F−3=80:15:5)
▲1▼単量体F−1:
2−モルホリノオキシブチルメタアクリレート
▲2▼単量体F−2:
【0100】
【化23】
▲3▼単量体F−3:
メタアクリル酸
なお、上記の高分子は次の方法によって得た。すなわち、各高分子調製用の▲1▼〜▲3▼の3種の単量体を所定の重量比で混合し、さらに重合触媒として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル)バレロニトリルを0.1重量部混合したものをアンプルに入れて凍結脱気後密栓し、60℃で8時間重合させて目的とする高分子を得た。
【0101】
また、▲2▼の単量体(A−2、B−2、D−2、E−2、F−2)の合成は次の方法に従って行った。すなわち、まず、窒素含有脂環式化合物にアルカリ金属触媒の存在下、50〜200℃、1〜10気圧でアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド等)を順次付加し、更にエチレンオキシドを付加してポリエーテルモノオールを合成し、このポリエーテルモノオールとメタアクリル酸またはアクリル酸を酸性触媒(硫酸、パラトルエンスルホン酸等)の存在下、50〜200℃、1〜10気圧でエステル化するか、またはエステル化試薬(ジシクロヘキシルカルボジイミド)と共に−10〜50℃、常圧でエステル化させて目的とする単量体を得た。なお、単量体C−2は、窒素含有脂環式化合物の代りにメタノールを用いる以外は、A−2と同様にして合成した。
【0102】
【表1】
【0103】
【表2】
【0104】
【表3】
【0105】
【表4】
【0106】
【表5】
【0107】
【表6】
なお、上記の表1〜6における染料は以下のものを示す。
DY142:C.I.ダイレクトイエロー142
DB199:C.I.ダイレクトブルー199
FB2:C.I.フードブラック2
AY23:C.I.アシッドイエロー23
AR289:C.I.アシッドレッド289
AB9:C.I.アシッドブルー9
DY86:C.I.ダイレクトイエロー86
AR52:C.I.アシッドレッド52
DB86:C.I.ダイレクトブルー86
DB154:C.I.ダイレクトブラック154
一方、以下に示す成分を混合溶解した後、ポアサイズが0.22μmのメンブレンフィルター(商品名:フロロポアフィルター、住友電工製)で加圧濾過し、カチオン含有液体組成物X〜Zをそれぞれ得た。
液体組成物Xの組成
・ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(商品名:エレクトロストリッパーQE、花王(株)製/Mw=340) 2重量部
・ポリアミンスルホン塩酸塩(商品名:PAS−A−1/日東紡績(株)製/分子量分布のピーク位置 2000) 10重量部
・チオジグリコール 10重量部
・イオン交換水 85重量部
液体組成物Yの組成
・ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(商品名:エレクトロストリッパーQE、花王(株)製/Mw=340) 2重量部
・ポリアミンスルホン塩酸塩(商品名:PAS−A−5/日東紡績(株)製/分子量分布のピーク位置 3500) 6重量部
・チオジグリコール 10重量部
・イオン交換水 82重量部
液体組成物Zの組成
・ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(商品名:エレクトロストリッパーQE、花王(株)製/Mw=340) 2重量部
・ポリアミンスルホン塩酸塩(商品名:PAS−92/日東紡績(株)製/分子量分布のピーク位置 5000 ) 4重量部
・チオジグリコール 10重量部
・イオン交換水 84重量部
実施例2
実施例1で調製した記録インクセットとカチオン含有液体組成物とを以下の表7に示す印字プロセスによるバブルインクジェット方式を用いた記録装置に使用して記録を行った。なお、カチオン含有液体組成物と記録インクの記録媒体への付与は、(カチオン含有液体組成物):(記録インクの記録媒体)=0.5〜1:1(容積比)で行った。
【0108】
【表7】
*)先発の成分を先に打ち、後発の成分を先発が打ち込まれた位置に重ね打ちされる。
【0109】
上記の各印字プロセスでの記録で得られた画像の評価を以下の方法で行い、得られた結果を表8に示す。
(1)画像濃度
A4サイズの用紙に1辺が5mmの正方形のブラック(BK)の記録インクによる黒色のベタ部が5箇所あるパターンをプリントし、30分以上経過後、各ベタ部の光学濃度をマクベス反射濃度計RD914で測定し、その平均値をOD値とし、得られたOD値に基づいて以下の評価を行った。なお、ベタ部の記録インク打ち込み量は12nl/mm2である。
○:ODが1.30以上
△:ODが1.25以上1.30未満
×:ODが1.25未満
(2)定着性
イエロー、マゼンタの記録インクを用いてレッドのベタ画像を形成した後、別の白紙をその自重で記録画像の上に重ね、重ねた白紙の裏側に記録した画像の転写がなくなり、地汚れが発生しなくなるまでの時間を記録終了時間を時間ゼロとして、定着性の尺度とした。評価基準は下記のとおりである。
○:10秒未満
△:10〜30秒
×:30秒以上
(3)フェザリング
A4サイズの用紙に記録ヘッドのノズル1本おきに間引いたドットを記録し、30分以上経過したプリントサンプルのドットを拡大鏡で観察し、以下の5段階の評価を行った。
5:真円
4:円周の1/4に「にじみ」が見られるか、変形しているが良好
3:円周の1/2に「にじみ」が見られるか、変形しているがほぼ良好
2:円周の3/4に「にじみ」が見られるか、変形しておりやや不良
1:円弧が観察されず不良
(4)ブリーディング
キヤノン(株)製バプルジェットプリンタBJC−820(商品名)の印字モードE(1PASS、片方向印字)と同じ印字モードで、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色を用いて図9のパターンを印字し、各色の境界部でのブリーディング(混色)の程度を目視により観察して以下の基準により評価した。◎:ブリーディングがほとんど発生しないもの
○:やや発生するが実用上問題ないレベルである
×:それ以外
(5)耐水性
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のベタ画像及び英数文字を印字したプリントサンプルを、印字後1時間放置した後、水温20℃の水道水中へ10秒浸漬した。その後、水中から取り出し、そのまま風乾し、目視で耐水性を以下の基準によって評価した。
◎:余白部分へのインク(染料)の流れ出しがなく、地汚れがほとんどみられない。英数文字のにじみもほとんど発生していない。
○:余白部分への染料の流れ出しがやや発生し、英数文字がややにじんでいるが実用上問題のないレベルである。
×:余白部分への染料の流れ出しがひどく、地汚れが著しい。また、英数文字のにじみもひどい。
なお、表8には各色のうちで一番低い結果を載せた。
(6)ベタ不吐
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色について、(記録インク):(カチオン含有液体組成物)=1:1(容量比)の条件で、A4サイズの紙一面にインクジェット記録装置の記録ヘッドのワイピングによる回復操作を併用して、多数枚の連続印字を行い、不吐出の発生レベルを以下の基準によって評価した。◎:ワイピング操作なしで連続印字が可能
○:間欠的に不吐出が発生するが、その都度ワイピングが操作により正常印字に戻る
×:不吐出が発生し、ワイピング操作によっても正常印字に戻らない
【0110】
【表8】
比較例1
実施例1のインクセットA、Bにおいて、高分子A、Bを添加しなかった以外は同じ組成の記録インクを用いて実施例2の印字プロセスNo.1、2と同じ印字試験を行った。さらに、インクセットCにおいて、高分子CをMw=15000のポリエチレングリコールに変えた以外は同じ組成の記録インクを用いて実施例2の印字プロセスNo.3と同じ条件で印字試験を行った。その結果、これらの印字におけるベタ不吐試験において、連続多数枚印字中に不吐出が発生し、ワイピング操作によっても正常印字へ復帰させることができなかった。
【0111】
【発明の効果】
本発明によれば、記録インク側に脂環式含窒素複素環を有する水溶性高分子化合物を含有させたことによって、2液系での記録における高速定着が可能となり、高速印字品位、ブリードレス(ブリーディングがないこと)、より高度な耐水性の画像を得ることができ、かつ記録媒体に先に打ち込んだ液体に次の液体を重ね打ちする際の液体のはね返りによる記録ヘッド面の汚れ、特に凝集物の固着によるインクの吐出不良や不吐出を効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置のヘッド部の縦断面図である。
【図2】インクジェット記録装置のヘッド部の横断面図である。
【図3】インクジェット記録装置のヘッド部の外観斜視図である。
【図4】インクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。
【図5】インクカートリッジの縦断面図である。
【図6】記録ユニットの斜視図である。
【図7】複数の記録ヘッドが並列された記録部を示した斜視図である。
【図8】記録ヘッドの他の構成を示す斜視図である。
【図9】ブリーディング評価パターンを示す図である。
【図10】液体組成物の分子量分布の一例を示す図である。
【図11】液体組成物の分子量分布の一例を示す図である。
【図12】液体組成物の分子量分布の一例を示す図である。
【図13】液体組成物の分子量分布の一例を示す図である。
【符号の説明】
13 ヘッド
15、28 発熱ヘッド
21 インク
25 記録媒体
40 インク袋
44 インク吸収体
45 インクカートリッジ
61 ワイピング部材
65 記録ヘッド
66 キャリッジ
70 記録ユニット
71 ヘッド部
72 大気連通孔
Claims (24)
- カチオン性物質を含有する液体組成物と共に画像記録に用いられる記録インクであって、色材及びインク中でノニオン特性を呈し且つ脂環式含窒素複素環を有する水溶性高分子化合物を含有し、
前記水溶性高分子化合物が、下記一般式(1)
- カチオン性物質を含有する液体組成物と共にバブルインクジェット記録方法を用いた画像記録に用いられる記録インクであって、該記録インクは色材及びインク中でノニオン特性を呈し且つ脂環式含窒素複素環を有する水溶性高分子化合物を含有し、
前記水溶性高分子化合物が、下記一般式(1)
- ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分子量分布を測定したときに分子量1000以下および分子量1000を超えるフラクションを有し、該分子量1000以下および1000を超えるフラクションのそれぞれにカチオン性物質を含有する液体組成物と共に画像記録に用いられる記録インクであって、該記録インクはアニオン性色素及び脂環式含窒素複素環を有する、液体中でノニオン特性を示す水溶性高分子化合物を含有し、
前記水溶性高分子化合物が、下記一般式(1)
- 第1の極性を有する化合物を有する液体組成物と共に画像記録に用いられる記録インクであって、該第1の極性とは反対の第2の極性を有する色材および分子内に分極を生じさせる基を有する、液体中でノニオン特性を示す水溶性高分子化合物し、
前記水溶性高分子化合物が、下記一般式(1)
- 前記水溶性高分子化合物は、前記色材の共存下で前記液体組成物と凝集物を形成し得るものである請求項1〜4の何れかに記載の記録インク。
- 前記色材がアニオン性染料である請求項1〜5の何れかに記載の記録インク。
- 前記水溶性高分子化合物はカルボキシル基を有するものである請求項1〜6のいずれかに記載の記録インク。
- 前記水溶性高分子化合物が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した分子量が5000〜30万である請求項1〜9の何れかに記載の記録インク。
- 前記水溶性高分子化合物が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した分子量が5000〜5万である請求項10に記載の記録インク。
- インクジェット用である請求項1〜11のいずれかに記載の記録インク。
- カチオン性物質を含有する液体組成物と、請求項1〜12のいずれかに記載の記録インクとを併用して記録媒体の画像形成領域に画像を記録する方法であって、
(A)該液体組成物を前記記録媒体の少なくとも前記画像形成領域に付与する工程と、
(B)該記録インクを前記画像形成領域に付与する工程と、
を有することを特徴とする画像記録方法。 - 前記記録媒体に付与した液体組成物上に前記記録インクを付与する請求項13に記載の画像記録方法。
- 前記記録媒体に付与した記録インク上に前記液体組成物を付与する請求項13に記載の画像記録方法。
- 前記記録インク及び前記液体組成物の少なくとも一方の液体の前記記録媒体への付与が、インクジェット記録方法によって行われる請求項13〜15のいずれかに記載の画像記録方法。
- 前記インクジェット記録方法が、オンデマンド型インクジェット記録方法である請求項16に記載の画像記録方法。
- 前記インクジェット記録方法が、前記液体に熱エネルギーを作用させて前記記録媒体に付与するものである請求項16または17に記載の画像記録方法。
- i)カチオン性物質を含有する液体組成物と、ii)色材及びインク中でノニオン特性を呈し且つ脂環式含窒素複素環を有する水溶性高分子化合物を含有する請求項1〜12のいずれかに記載の記録インクを組合せたインクセットであって、該記録インクが、前記色材としてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、レッド、ブルーまたはグリーン用の色材を用いたカラーインクであり、これらのカラーインクの少なくとも1色を前記液体組成物と組合せたことを特徴とするインクセット。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の記録インクを収納する記録インク収納部と、該記録インクを記録媒体に付与する記録インク付与手段と、を具備する第1の記録ユニットと、
カチオン性物質を含有する液体組成物を収納する液体組成物収納部と、該液体組成物を記録媒体に付与する液体組成物付与手段と、を具備する第2の記録ユニットと、を有することを特徴とする画像記録装置。 - 前記記録インク付与手段及び前記液体組成物付与手段のすくなくとも一方が、インクジェット方式によるものである請求項20に記載の画像記録装置。
- インクを収納したインク収納部を有するインク容器において、前記インクとして請求項1〜12のいずれかに記載の記録インクが前記インク収納部に収納されていることを特徴とするインク容器。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の記録インクを収納する記録インク収納部と、該記録インクを記録媒体に付与する記録インク付与手段と、を具備することを特徴とする記録ユニット。
- インクジェット記録方法を用いてカチオン性物質を含有する液体組成物と共に記録媒体上に付与して画像の一要素を形成させて画像を記録する方法に用いる記録インクであって、
該記録インクは色材及び水溶性高分子化合物を含み、且つ
記録媒体上に付与された該液体組成物上に該水溶性高分子化合物を含まない記録インクが付与されたときにはその衝撃により該記録媒体上の液体組成物からの飛沫を生じそれが記録インクの吐出面に付着するような記録条件のもとで、該水溶性高分子化合物を含む記録インクが該記録媒体上の液体組成物上に付与されたときには該液体組成物の飛沫によるインク吐出面への付着が実質的に無く、
且つ、前記水溶性高分子化合物が、下記一般式(1)
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