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JP3980784B2 - ブレーキ用摩擦材 - Google Patents

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JP3980784B2
JP3980784B2 JP04023399A JP4023399A JP3980784B2 JP 3980784 B2 JP3980784 B2 JP 3980784B2 JP 04023399 A JP04023399 A JP 04023399A JP 4023399 A JP4023399 A JP 4023399A JP 3980784 B2 JP3980784 B2 JP 3980784B2
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friction
friction material
brake
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creep
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要助 佐々木
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Akebono Brake Industry Co Ltd
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Akebono Brake Industry Co Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車に用いるブレーキ用摩擦材に関するものであり、特にブレーキノイズ、なかでもオートマチック車における発進時のクリープグー音の低減されたブレーキ用摩擦材に関する。
【0002】
【従来の技術】
主としてブレーキなどに用いる摩擦材は、最近耐フェード性の向上、高速効力の向上のために、摩擦材の気孔率が10〜30%と高いものを使用するようになっている。
ところで、そのために、雨天時の運転、水溜まりを通過などにより、摩擦材が水に濡れたり、夜間屋外に車両を止めておいた時には、摩擦材がその内部に水分を吸収し易くなっている。
そして、その水分を吸った摩擦材は、その水が乾く過程でブレーキ時の停止直前、概ね5km/h以下の時、又はオートマチック車における発進時、すなわちブレーキペタルを踏み、Dレンジに入れてブレーキペタルを緩めてブレーキが完全に開放される途中において、クリープ力でブレーキが引きずられて微速で発進中に、低周波異音が出る。この低周波異音は「クリープグー音」ともいわれ、不快感がするので嫌われているものである。
この低周波異音は、摩擦材の気孔率が大きい程多くの水を吸収するので大きくなる。また、摩擦材が吸湿すると、ブレーキ時にスキール音が発生したり、あるいは摩擦係数が高くなり過ぎて、異常効きが発生するなどの問題がある。
【0003】
ブレーキ用摩擦材は、通常繊維基材、摩擦調整材及び結合材などよりなり、補強材となる繊維基材には強度も大きく、耐熱性が大きいことからアラミド繊維を使用したものが提案されている(特開平9−59597号公報)。
しかし、使用されていたアラミド繊維は吸湿性が大であるため、夜間等長時間駐車した場合には摩擦パッドが吸湿し、また洗車等でロータや摩擦パッドが濡れた場合にはクリープグー音が発生した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、繊維基材としてアラミド繊維を使用したブレーキ用摩擦材において、ブレーキノイズ、特にオートマチック車における発進時のクリープグー音の低減をもつブレーキ用摩擦材を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、繊維基材としてアラミド繊維を使用したブレーキ用摩擦材において、夜間等長時間駐車した場合には摩擦パッドが吸湿し、また洗車等でロータや摩擦パッドが濡れた場合にはクリープグー音が発生するのは、アラミド繊維の吸水性が大であることによるのではないかと考え、アラミド繊維全体の平均平衡水分率を3%以下とすることによって、クリープグー音の発生が極めて少なくなることがわかり、本発明に到達した。 すなわち、本発明は、下記の手段により前記の課題を解決した。
(1)繊維基材、摩擦調整材及び結合材よりなり、繊維基材としてアラミド繊維を有するブレーキ用摩擦材において、アラミド繊維全体の平均平衡水分率が3%以下であることを特徴とするブレーキ用摩擦材。
【0006】
【発明の実施の形態】
ブレーキ用摩擦材では、繊維基材、摩擦調整材及び結合材などから構成され、繊維基材として有機繊維、金属繊維や無機繊維が使用され、その有機繊維の1種として、強度が大でかつ耐熱性が大であるという利点からアラミド繊維が使用されている。
ところで、アラミド繊維として使用されていた代表的なデュポン社製のケブラー(Kevlar)29は、平均平衡水分率が7.0%であり、またケブラー(Kevlar)49は、平均平衡水分率が4.5%である。なお、前記「ケブラー(Kevlar)」は商品名である。
【0007】
本発明では、前記したアラミド繊維とは異なってアラミド繊維全体の平均平衡水分率が3%以下のものを用いるものであり、このようなアラミド繊維全体の平均平衡水分率を3%以下とすることにより、ブレーキ用摩擦材の吸湿性を低減させることができた。
アラミド繊維全体の平均平衡水分率を3%以下とするためには、具体的には、市販されているケブラー(Kevlar)149が挙げられ、その平衡水分率は1.5%である。このアラミド繊維全体の平均平衡水分率が3%以下とするためには、前記ケブラー(Kevlar)149を単独で使用するか、又は例えば平衡水分率が4.5%であるケブラー(Kevlar)49を併用して、全体として平均平衡水分率が3%以下であるようにすればよい。その配合割合は所望とする平均平衡水分率の値によって決めればよい。
アラミド繊維の平衡水分率は、温度23℃、相対湿度55%の条件下での水分平衡の重さと絶乾重量との差の、絶乾重量に対する百分率である。
【0008】
本発明は、上記構成の摩擦材を用いることにより、夜間等長時間駐車して摩擦パッドが吸湿した時(以下単に「吸湿時」という)のみならず、洗車時等でロータ、摩擦パッドが水濡れした時(以下単に「水濡れ時」という)におけるクリープグー音を効果的に低減することができる。
本発明のブレーキ用摩擦材を製造するには、繊維基材、摩擦調整材、潤滑材、結合材からなる摩擦材において、前記原料を配合し、その配合物を通常の製法に従って予備成形し、熱成形することにより製造することができる。
【0009】
無機充填材としては、例えば銅やアルミニウム、亜鉛等の金属粒子、バームキュライトやマイカ等の鱗片状無機物、硫酸バリウムや炭酸カルシウム等の粒子が挙げられ、有機充填材としては、例えば合成ゴムやカシュー樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂バインダとしては、例えばフェノール樹脂(ストレートフェノール樹脂、ゴム等による各種変性フェノール樹脂を含む)、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂等を挙げることができる。
また、摩擦調整材としては、例えばアルミナやシリカ、マグネシア、ジルコニア、酸化クロム、石英等の金属酸化物等を、固体潤滑剤としては、例えばグラファイトや二硫化モリブデン等を挙げることができる。
摩擦材の組成としては、種々の組成割合を取ることができるが、第1表に示す範囲とすることが好適である。
【0010】
【表1】
Figure 0003980784
【0011】
図1は、ディスクブレーキ用摩擦パットの製造工程を示し、板金プレスにより所定の形状に成形され、脱脂処理及びプライマー処理が施され、そして接着剤が塗布されたプレッシャープレートと、耐熱性有機繊維や無機繊維、金属繊維等の繊維基材と、無機・有機充填材、摩擦調整材及び熱硬化性樹脂バインダ等の粉末原料とを配合し、攪拌により十分に均質化した原材料を常温にて所定の圧力で成形(予備成形)して作製した予備成形体とを、熱成形工程において所定の温度及び圧力で熱成形して両部材を一体に固着し、アフタキュアを行い、最終的に仕上げ処理を施すそれまでの工程は従来法と同一である。
【0012】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0013】
実施例
(摩擦材の組成)
摩擦材の試料を製造する際の摩擦材の組成として、配合割合を以下の第2表に示すとおりのものとした。
ただし、各試料におけるアラミド繊維としては、以下のものを使用した。
▲1▼比較例1:デュポン社製アラミド繊維(Kevlar29、平衡水分率7.0%)を使用
▲2▼比較例2:同社製アラミド繊維(Kevlar49、平衡水分率4.5%)を使用
▲3▼実施例1:同社製アラミド繊維(Kevlar49、平衡水分率4.5%とKevlar149、平衡水分率1.5%)を各同量(各4重量%)を使用してアラミド繊維全体の平均平衡水分率を3.0%とした
▲4▼実施例2:同社製アラミド繊維(Kevlar149、平衡水分率1.5%)を使用
【0014】
【表2】
Figure 0003980784
【0015】
(摩擦材の試料作製)
試料のパッドを従来の製法により作成し、クリープグー音の発生状況について次の試験方法により試験した。
【0016】
(試験方法)
新品ロータを用いたディスクブレーキを取付けた車両を1km走行毎に初速50km/hでブレーキをかけて停車させ、計200回の制動により摩擦パッドとロータとの十分な摺り合わせが得られた後に、次の試験を行った。
(1)吸湿時試験
車両を20℃の室温、温度95%(クリープグー音の最も発生しやすい湿度)の環境室に12時間放置して、初速20km/h、0.2Gの減速度でブレーキをかけて、クリープグー音の発生について官能試験を行った。
(2)水濡れ時試験
ロータと摩擦パッドに、ホースで毎分10リットルの水を左右輪にそれぞれ1分づつ、計2回(計2分間)かけた後に、初速20km/h、減速度0.2Gでブレーキをかけて、クリープグー音の発生について、官能試験を行った。
(試験結果)
試験結果を第3表に示す。なお、温度23℃、湿度80%の条件下で摩擦パッドを2日間放置し、放置前に対する重量増により摩擦パッド全体の平衡水分率を求めた。
【0017】
【表3】
Figure 0003980784
【0018】
・上記表中、「大/中」はクリープグー音レベルが、吸湿時に(大)であり、水濡れ時に(中)であることを示し、吸湿時は(微小)以下が、水濡れ時は(小)以下が許容レベルである。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、夜間等長時間駐車して摩擦パッドが吸湿した時のみならず、洗車時等でロータ、摩擦パッドが水濡れした時における摩擦材から出ることがあるクリープグー音を効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の摩擦材の製造工程の1例を示すフローシートである。

Claims (1)

  1. 繊維基材、摩擦調整材及び結合材よりなり、繊維基材としてアラミド繊維を有するブレーキ用摩擦材において、アラミド繊維全体の平均平衡水分率が3%以下であることを特徴とするブレーキ用摩擦材。
JP04023399A 1999-02-18 1999-02-18 ブレーキ用摩擦材 Expired - Lifetime JP3980784B2 (ja)

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