JP3980097B2 - 遊技機島 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、島下段上に略水平な天板を支持し、該天板上に複数の遊技機を並設してなる遊技機島に関する。ここで遊技機とは主としてパチンコ機を指すものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、パチンコ遊技店等の新築や改装に際し、新たに遊技機島を構築するには、先ず見取り図に基づきフロア上に、島全体の骨組ベースとなる島柱を一本毎にアンカーで立設する。そして各々の島柱の水平、垂直を割り出すレベル調整を綿密に行なった後、島中央となる位置に前記島柱にぶつからないよう注意しながらパチンコ球の研磨揚送装置を立設したり、該研磨揚送装置の両側に貯留タンクを配設していた。
【0003】
ここで両側の貯留タンクは、研磨揚送装置の下部にある左右に出っ張る下部タンク等に干渉しないように、通常研磨揚送装置の両側にて島中央より少し離れた位置にそれぞれ配設していた。その後、島柱を中心とする島の枠組を島全体の高さに合わせて組み上げ、枠組内外に順次、島下段、島中段、それに島上段をなす各種関連設備を組み付ける。先ず最初に島全体の土台となる島下段では、前記研磨揚送装置の下部や貯留タンクを配設する他、外壁をなす腰板やパチンコ機等を載置する天板を組み付けていた。
【0004】
また島中段では、天板上の枠組にパチンコ機や球貸し機を島前方より嵌め込むようにしてボルト等で固定していた。ここで前記研磨揚送装置の前後となるパチンコ機列中の島中央位置には、遊技者の利便性を考慮し通常は景品球計数機を介装していた。島構築後において、各パチンコ機から排出される球は貯留タンクに受け入れられ、また景品球計数機には一度に多量の球が持ち込まれるが、計数後に貯留タンクに受け入れられていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したような従来の遊技機島では、島下段の骨組ベースともなる島柱を、一本毎にフロア上にアンカーで立設する作業に時間がかかるし、精度出しにも手間を要し、しかも各島柱の水平、垂直を割り出すレベル調整が非常に面倒であるため、施工現場での島の土台作りの段階で多大な労力を要することになり、工期の長期化を招く等して、コスト高を招いていた。
【0006】
また、各島柱を立設して水平出し等のレベル調整を行なった後で、各島柱で囲まれた枠内に研磨揚送装置を立設したり、貯留タンクを配設するから、狭い範囲内での作業を強いられ、島全体の土台ともなる島下段の施工能率が上がらないと共に、作業中に周りの島柱にぶつかり易く、各島柱のレベル調整を再度行なわなければならない事もあった。
【0007】
更にまた、従来の遊技機島によれば、景品球計数機から排出された球は、該計数機から長く延びた案内樋を介して貯留タンクに受け渡されるのだが、計数機とタンクの間の距離が離れている関係上、球の受け渡しに手間取り時間もかかった。従って、景品球計数機に一度に多量の球が持ち込まれると、計数済の多量の球を貯留タンク側へ円滑に受け渡すことが難しく、かかる球の排出処理に限界があり、今迄は計数機の計数処理自体の能力を十分に活かし切れなかった。
【0008】
計数機の計数処理に係る能力を十分に発揮させるべく、島中央の景品球計数機の真下に計数機専用の貯留タンクを別途設けて、一時的にこのタンクに計数済の多量の球を貯留してから、通常の貯留タンクに受け渡すことも考えられるが、タンクを余分に設ける分だけコスト高を招いてしまう。ところで、従来貯留タンクは、研磨揚送装置の下部タンク等に干渉しないように、研磨揚送装置の両側より少し離れた位置に配されていたが、研磨揚送装置の下部上方には特に配設すべき機器もなく、いわゆるデッドスペースになっていた。
【0009】
本発明は、以上のような従来技術の有する問題点に着目してなされたもので、島全体の土台ともなる島下段の構築作業が極めて簡単であり、能率的に工事を行なうことができ、島全体の工期も大幅に短縮され、コストダウンを図ることができ、また、計数機により計数された遊技媒体を貯留タンクに迅速に受け渡すことができ、計数機の計数処理能力を大幅に向上させることができる遊技機島を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の項に存する。
【0011】
[1] 島下段(10A)上に略水平な天板(26)を支持し、該天板(26)上に複数の遊技機(11)を並設してなる遊技機島(10)において、
フロア上に立設した遊技媒体の研磨揚送装置(50)の両側近傍に、該研磨揚送装置(50)を島中央とする島両側でそれぞれ遊技媒体を貯留して、前記研磨揚送装置(50)の下部に遊技媒体を送る一対の貯留タンク(30)を設置し、
前記一対の貯留タンク(30)のうち少なくとも何れか一方は、島中央側を向く一端部が前記研磨揚送装置(50)の下部の上方に重なるように競り出し、該一端部が遊技機列中の島中央位置に介装される遊技媒体計数機(60)の背面側に近接して配置されるとともに、島中央側を向く一端部から島端側を向く他端部にかけて底面(31)が下方に傾斜するよう形成され、最下端となる他端部に遊技媒体の排出口(35)を設け、該排出口(35)を案内樋(36)を介して前記研磨揚送装置(50)の下部に連通させたことを特徴とする遊技機島(10)。
【0016】
次に前述した解決手段に基づく作用を説明する。
1項記載の遊技機島(10)によれば、各貯留タンク(30)のうち少なくとも何れか一方は、島中央側を向く一端部が前記研磨揚送装置(50)の下部の上方に重なるように競り出すから、従来デッドスペースだった研磨揚送装置(50)の下部上方も遊技媒体の貯留スペースとして有効に活用でき、貯留タンク(30)の一端部が研磨揚送装置(50)の下部に干渉することなく、島中央位置に近づくことになる。
【0020】
この貯留タンク(30)の一端部を、遊技機列中の島中央位置に介装される遊技媒体計数機(60)の背面側に近接させることで、計数機(60)とタンク(30)の間の距離が縮まり、計数機(60)からタンク(30)への遊技媒体の受け渡しを迅速に効率良く行なえる。従って、計数機(60)に一度に多量の遊技媒体が持ち込まれても、計数済の多量の遊技媒体を貯留タンク(30)側へ短時間に受け渡すことができ、かかる排出処理との関係上従来は抑えられていた遊技媒体計数機(60)の計数処理能力を十分に活かし切ることができる。
【0021】
そして、1項記載の遊技機島(10)によれば、前記遊技媒体計数機(60)の背面側に一端部が近接する貯留タンク(30)を、島中央側を向く一端部から島端側を向く他端部にかけて底面(31)が下方に傾斜するよう形成したので、遊技媒体計数機(60)から一度に多量の遊技媒体が貯留タンク(30)の一端部に導入されても、遊技媒体が島中央寄りの一端部に過度に集中してしまうことなく、島端側の他端部にかけてうまく分散される。そして、貯留タンク(30)の最下端となる他端部まで底面(31)上を流下した遊技媒体は、排出口(35)から案内樋(36)を介して研磨揚送装置(50)の下部にスムーズに案内される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明を代表する各種実施の形態を説明する。
図1〜図9は本発明の第1の実施形態を示している。
図3および図4に示すように、遊技機島10は、島土台となる島下段10Aに略水平な天板26を支持し、該天板26上に複数のパチンコ機(遊技機)11を背中合わせに2列に並設して島中段10Bを構築し、島中段10Bの上に島上段10Cを配置してなる。
【0026】
島全体の土台となる島下段10Aは、予め組み立てられた島下段枠組20を主要部としており、図2に示すように、施工の際は先ずフロア上に研磨揚送装置50を立設し、その両側近傍にパチンコ球を貯留する一対の貯留タンク30A,30Bを設置し、島下段枠組20を各貯留タンク30A,30Bの上から被せるようにフロア上に設置してなる。ここで島下段枠組20は、その上端側が水平になるよう配設状態が調節されており、上端側に略水平な天板26が支持されている。また、島下段枠組20の側面側には、後から腰板29が装着される。
【0027】
図6および図7に示すように、島下段枠組20は、角柱部材を組合せて島長手方向に延びた立方体形状に組み立てられ、その下端となり島長手方向に延びた両側の角柱部材21,21には、所定間隔おきにフロアに接地した際の高さ位置を調節するアジャスター23が複数設けられている。図8に示すように、アジャスター23は、島下段枠組20の上端側が水平になるよう配設状態を調節するためのものであり、角柱部材21に固設するナット24と、該ナット24に回転可能に螺合して、上端のハンドル25aの回転操作により、下端のバンカー25bの相対的な高さ位置を調整できるスクリュー25とから構成されている。
【0028】
島下段枠組20の上端となり島長手方向に延びた両側の角柱部材は一対の嵌合レール22,22となっている。図3および図5に示すように、天板26の下面部には、前記島下段枠組20の一対の嵌合レール22,22が嵌合する一対の嵌合溝27,27が形成されており、この天板26の嵌合溝27を島下段枠組20の嵌合レール22に嵌込むようにして、天板26は島下段枠組20上に一体的に支持されている。天板26の中央部には長手方向に延びる開口溝28が形成され、開口溝28の両脇には、各パチンコ機11に対応するアウト球タンク19が配設されている。
【0029】
図1および図2に示すように、一対の貯留タンク30A,30Bは、何れも島中央側を向く一端部が研磨揚送装置50の下部の上方に重なるように競り出し、各一端部がパチンコ機列中の島中央位置に介装される景品球計数機(遊技媒体計数機)60の背面側に近接して配置されている。詳しく言えば、貯留タンク30Aは、島長手方向に傾斜して延びる底面部31と、島中央側を向く前壁32、島端側を向く後壁33、それに両側壁34とから箱型に形成され、略水平な上面側は大きく開口し、各パチンコ機11から排出された球を受入れられるようになっている。
【0030】
貯留タンク30Bも、前記貯留タンク30Aとほぼ同様の構成であるが、貯留タンク30Aよりも多少全長が短く設定されている。また、何れの貯留タンク30A,30Bも、島中央側を向く一端部から島端側を向く他端部にかけて底面部31が下方に傾斜するよう形成され、最下端となる後壁33下側には排出口33aが開設され、該排出口33aは案内樋36を介して研磨揚送装置50の下部タンク51に連通接続されている。なお、貯留タンク30A,30Bは、支持脚35によってフロア上に直接支持されている。
【0031】
研磨揚送装置50は、前記貯留タンク30A,30B内の球を島上段10A側へと研磨しながら揚送するための装置である。研磨揚送装置50の下部はベースカバー54で覆われている。詳しく言えば、研磨揚送装置50は、下部タンク51にて、球と研磨材貯留部52に貯留された研磨材とを混合し、この混合物を移送管53を介して研磨筒55の下端に送り、研磨筒55内にて上下に延びる螺旋体の回転駆動により球と研磨材を混合しながら揚送する装置である。研磨筒55の上端には、球と研磨材とを分離する機構を備えた上部タンク56が配設されている。
【0032】
天板26の下面部には、島両側にてそれぞれ一対ずつ延びる回収樋40が配設されている。島両側における一対の回収樋40,40は、各パチンコ機列に対応して互いに平行に延びつつ、島端に位置する始端側から島中央へ向う終端側にかけて下方へ傾斜するように、天板26の下面部に支持部材等を介して取付けられている。各回収樋40は、複数のパチンコ機11から排出された球を各パチンコ機列別にそれぞれ回収するため、従来の幅広の回収樋に比して容量的には小さくてすむ。
【0033】
すなわち、図3および図5に示すように、回収樋40を幅狭で小さな流路面積に構成しても、球の受入れ能力に何ら支障を来さず、球を効率よく流下させることができることが確かめられている。各回収樋40の終端口41は、研磨揚送装置50の両側に配された貯留タンク30A,30Bに連通接続している。
【0034】
図3および図5に示すように、島中段10Bは、前記天板26上に所定間隔おきに立設されて島上段10Cを下から支える複数の中段支持体16,16…と、各中段支持体16を間にして背中合わせに前後2列に配設される複数のパチンコ機11とから構成されている。中段支持体16は、その下端を天板26の上面部にビス止めしたり、あるいは天板26の上面部にアリ溝を切削し、このアリ溝に中段支持体16の下端を嵌合させてビス止めしてもよい。また、各中段支持体16は、それらの間に架設された複数のパイプ部材17,17…により互いに連結されている。
【0035】
パチンコ機11は、ハンドルの回転操作によってパチンコ球を盤面上に打ち出し、打球の入賞を競い楽しむものである。また、各パチンコ機11間には球貸し機11Aが介装されている。この球貸し機11Aは、後述する貨幣識別装置77からの信号を受けた際に、相当数の球を計数しつつ払い出す関連機器である。
【0036】
図5に示すように天板26上には、前記中段支持体16を間にした前後位置に、各パチンコ機11の下端が所定範囲で前後左右に移動可能に支持される載置レール12が設けられている。載置レール12の奥側にはパチンコ機11下端が島長手方向に移動可能に嵌合する突起12aが突設されており、また載置レール12の手前側は球貯留箱台となっている。また、後述する島上段10Cの支持基板71には、各パチンコ機11の上端に突設した被嵌合レール11aが前後方向に回動可能かつ島長手方向にも移動可能に内嵌する吊下レール14が設けられている。
【0037】
吊下レール14は略C字形断面であり図5の紙面に垂直に延びており、かかる吊下レール14は、島上段10Cの支持基板71に島奥行方向にスライド可能に装着された上方ブラケット13に対して、高さ位置を調整できるようねじ軸を介して吊下げられている。更に上方ブラケット13には、上下に進退可能なねじ状の角度調整部材15が螺合している。この角度調整部材15は、各パチンコ機11上端の前端縁側を適度に押圧することにより、前記被嵌合レール11aを回動中心とした各パチンコ機11の微妙な傾き角度を調整するための部材である。
【0038】
載置レール12の下面にはスプリング付きベアリング(図示せず)が取付けられており、かかる載置レール12は、天板26上を島長手方向及び島奥行方向に移動できるようになっている。また、スプリングの弾性変形により、載置レール12上のパチンコ機11下端は、その傾斜角度に応じて略水平面に対して適宜変位できるように設定されている。なお、島上段10Cの荷重は、中段支持体16のみならず前後2列に配設された各パチンコ機11でも受けるように構成されている。
【0039】
研磨揚送装置50の前後に位置するパチンコ機列中の中央位置には、景品球計数機60が介装されている。景品球計数機60は、遊技客が球受部62に投入した景品球を内部の球計数機やコンピューターで計数し、その結果を表示部61に目視可能に表示したり、計数された球数を印刷したレシート、あるいはリサイクルカードを払い出すための関連機器である。
【0040】
景品球計数機60の背面側下端には、計数済の球を排出する球出口63が設けられており、この球出口63は前述した一対の貯留タンク30A,30Bの島中央側を向く一端部に近接している。図2に示すように、景品球計数機60の球出口63は、従来に比べて極めて短く設定された案内樋64を介して、各貯留タンク30A,30Bの一端部に連通接続されている。
【0041】
島上段10Cは、パチンコ機列上に沿って延びる支持基板71と、該支持基板71上に所定間隔おきに島長手方向と略直交するよう垂設される複数の仕切板72と、各仕切板72間に架設されるパイプ部材73とから予め組み立てた島上段枠組70からなる。島上段枠組70には各種遊技関連設備が組み付けられており、その外側を覆うように幕板80が装着されている。
【0042】
図5および図9に示すように、前記島上段枠組70の各仕切板72の両側部間には、それぞれ2本ずつ蛍光灯84が架設されている。各仕切板72は蛍光灯84の取付ブラケットの役目も果している。また、仕切板72の略中央には、給配樋90が上下に移動可能に挿通する中空部72aが形成されている。給配樋90は、各パチンコ機11へ球を供給する部材である。
【0043】
また、仕切板72には、中空部72aに挿通させた給配樋90を所望の高さ位置に支持するための樋支持部材72bが装着されている。給配樋90の途中箇所には、図示省略したが各パチンコ機11および各球貸し機11Aに対応した配給シュートと称される球の供給部材が取付けられている。
【0044】
仕切板72間に架設された複数のパイプ部材73には、それぞれ長手方向に延びるスリットが形成され、該スリットよりパイプ部材73内に関連設備の各種信号線が束ねられるように収納されている。また、島上段10Cの島上段枠組70には、前記給配樋90の他、貨幣識別装置77や貨幣搬送装置78等の関連設備も組み付けられている。
【0045】
貨幣識別装置77は、紙幣や硬貨の投入口79に投入された紙幣や貨幣を磁気・光方式で特定する各種センサの他、CPU,RAM,ROM等を含むマイクロコンピューターを備えている。貨幣搬送装置78は、前記貨幣識別装置77から排出された紙幣や硬貨を搬送するために、島長手方向に延びるように張設されるコンベヤベルトを具備して成る。
【0046】
幕板80は、所定の長さに設定された幕板ユニット81に分割されており、各幕板ユニット81を島長手方向に複数連設して、前記島上段枠組70や関連設備に単に被せるようにして支持基板71上に装着できるように形成されている。図5に示すように、幕板ユニット81は、前記島上段枠組70を前後から覆う一対のパネル体82,82を備え、島上段10Cの最頂端に向って延びた各パネル体82の上端縁同士をヒンジ83で互いに開閉可能に連結して成る。
【0047】
更に詳しく言えば、各パネル体82は、それぞれ下端縁から上端縁に向って弧状に湾曲した正面パネル82aと背面パネル82b、それに両側板82c,82cから組立てられている。正面パネル82aと背面パネル82bは、ともに透明アクリル樹脂等の透光性を有する材質で成形されている。相対向する各パネル体82の上端縁は、軸ピンを挿通した円筒管から成るヒンジ83で互いに開閉可能に連結されている。
【0048】
また、各パネル体82の要所には、各パチンコ機11毎に対応して設けられた貨幣識別装置77の投入口79が挿通可能な嵌合溝82dが予め開設されている。幕板ユニット81は、前後のパネル体82,82を島上段10Cの島上段枠組70上に覆い被せ、ヒンジ83を各仕切板72の上端に設けた切欠部74に嵌合させることで簡単に装着できるようになっている。なお、各パネル体82の下端縁は少し平面状に広がる面積を備え、図示省略した簡易ロック機構によって支持基板71上に動かぬように固定したり、必要に応じて外したりできるようになっている。
【0049】
次に本遊技機島10の構築方法について説明する。
図2において先ず研磨揚送装置50を立設し、続いて研磨揚送装置50の両側近傍に一対となる貯留タンク30A,30Bを最初に設置してしまう。そして後から、図1に示すように、予め工場等で組立てておいた島下段枠組20を、前記各貯留タンク30A,30Bの上から単に被せるようにフロア上に設置し、該島下段枠組20の上端である嵌合レール22が水平になるよう配設状態を調節すればよい。
【0050】
図7に示すように島下段枠組20は、角柱部材を組合せて島長手方向に延びた立方体形状に組み立てられるから、構造的に極めて簡易であり十分な剛性も備えた単体ユニットとすることができる。島下段枠組20の下端となる角柱部材21の要所にはアジャスター23を設けたから、上端の嵌合レール22が水平になるように簡易かつ確実にレベル調整できる。この時の水平の出し方は、従来よりある水平調節器具や光センサー等を用いながら、図8に示すアジャスター23のハンドル25aを回転させて、アンカー25bの高さ位置を適宜調節することによって行なう。
【0051】
以上で島全体の土台をなす島下段10Aはほぼ構築される。この場合、島全体の骨組ベースとなる島下段枠組20の設置作業が極めて簡単となる。島下段枠組20は予め組み立てられ単体ユニットをなすから、従来の如く施工現場における枠組構成部材間の精度出しも不要となり、各枠組構成部材を逐一水平にするようなレベル調整の手間も省ける。
【0052】
また、フロア上に島の骨組等が一切ない状態で、研磨揚送装置50を立設したり、貯留タンク30A,30Bを配設するから、これらの作業を広いスペースで骨組等との干渉を気にすることなく行なうことができる。このように、従来施工現場で最も時間のかかった島下段10Aの組み立てが極めて簡易かつ容易となり、施工時間を大幅に短縮することができる。
【0053】
島下段枠組20の上端側には略水平な天板26を支持する。図3および図5に示すように、天板26の下面部には、前記島下段枠組20の一対の嵌合レール22,22が嵌合する一対の嵌合溝27,27を形成したから、嵌合レール22に嵌合溝27を一体的に嵌込むだけで、天板26の組付け作業は簡単に行なうことができる。
【0054】
続いて、天板26の下面部には一対の回収樋40,40を取付ける。ここでは天板26自体を回収樋40の支持基板71として活用でき、また、各回収樋40は天板26の下面部近傍に沿うので、島下段10A内部にて各回収樋40が邪魔にならない空きスペースを確保することができる。なお、一対の回収樋40,40は1本として構成しても構わないが、本実施形態の如くパチンコ機列に対応させて一対設ければ後述する効果が得られる。
【0055】
図3および図9に示すように、島下段10Aの天板26上には複数の中段支持体16,16…を立設する。各中段支持体16は、その下端を天板26の上面部に直接ビス止めしたり、あるいは天板26の上面部にアリ溝を切削し、このアリ溝に中段支持体16の下端を嵌合させてビス止めするとよい。また、各中段支持体16間には、パイプ部材17を架設して互いに連結させる。
【0056】
各中段支持体16により、島下段10Aと島上段10Cとの間に極めて簡易に、前後2列に並ぶ各パチンコ機11の取付けスペースを確保することができる。ここで各中段支持体16は、あくまで背中合わせに並ぶ各パチンコ機列間に配されるので、たとえ各パチンコ機11の横幅や背面側の出っ張り具合等が多少異なっていても、従来の定形的な枠組の如く、枠組自体がパチンコ機11の組付け作業に支障を来す虞れはない。従って、島中段10Bの構造は極めて簡易となり、パチンコ機11の組付け作業も容易となる。
【0057】
各中段支持体16上には、天板26上にパチンコ機11を並設する前に、各中段支持体16上には島上段10Cを安定した状態で設置することができる。島上段10Cの島上段枠組70も、前記島下段10Aの島下段枠組20と同様に、独立の構造体として工場等で規格化して量産することができる。すなわち、島上段枠組70は、搬入に十分耐え得る剛性を備えるように組立てられ、予め蛍光灯84や給配樋90等の各種関連設備を組み付けておくことができる。また、遊技店等の施工現場へはユニットとして容易に搬入でき、施工現場では図3に示す如く各中段支持体16上に積み上げるようにして、簡単に設置できる。
【0058】
島中段10Bをなす各パチンコ機11の取付けは、その上端にある被嵌合レール11aを前記島上段10C側の吊下レール14に嵌合させ、また、各パチンコ機11の下端を天板26上の載置レール12上に設置すればよい。パチンコ機11上端の被嵌合レール11aは、吊下レール14に嵌合した状態でレール長手方向に移動可能であり、また、パチンコ機11下端も載置レール12上を島長手方向に移動できる。従って、各パチンコ機11を移動させつつ、島端から順次並ぶように配置させることができる。
【0059】
各パチンコ機11を適所に配置させた後、島上段10C側の上方ブラケット13に螺合する角度調整部材15によりパチンコ機11上端の前端縁側を適度に押圧すれば、パチンコ機11は前記吊下レール14に嵌合している被嵌合レール11aを回動中心として微妙に傾動するため、パチンコ機11の傾き角度を容易に調整することができる。
【0060】
更に、前記上方ブラケット13は、島上段10Cの支持基板71に対して島奥行方向に一定範囲でスライド可能であり、しかも前記載置レール12は天板26上を島奥行方向に移動できる。従って、各パチンコ機11をそれぞれ島奥行方向における最適な位置に後から調整することができる。なお、島上段10Cの荷重は、各中段支持体16のみならず2列の各パチンコ機11でも受けられるから、島上段10Cの荷重が分散される分、中段支持体16に過度に荷重が集中するのを防ぐことができる。
【0061】
最後に、島上段10Cの外壁をなす幕板80を設置するには、各幕板ユニット81毎に、一対のパネル体82,82を前記島上段枠組70の前後を覆うように上から被せ、各パネル体82の連結箇所にあるヒンジ83を各仕切板72の上端の切欠部74に嵌合させればよい。このような簡易な幕板80により、島上段10Cを全体的に囲んで、その島上段枠組70内に配設した給配樋90や貨幣識別装置77等の関連設備を隠蔽することができる。
【0062】
次に島構築後における作用を説明する。
図2に示すように、各貯留タンク30A,30Bは何れも、島中央側を向く一端部が研磨揚送装置50の下部(ベースカバー54)の上方に重なるように競り出すから、従来デッドスペースだった研磨揚送装置50の下部上方も球の貯留スペースとして有効に活用でき、貯留タンク30A,30Bの一端部が研磨揚送装置50の下部に干渉することなく、島中央位置に近づくことになる。
【0063】
各貯留タンク30A,30Bの一端部を、パチンコ機列中の島中央位置に介装された景品球計数機60の背面側に近接させることで、計数機60とタンク30A,30Bとを結ぶ案内樋64を極力短くすることが可能で、計数機60の球出口63からタンク30A,30Bへの球受け渡しを迅速に効率良く行なえる。従って、景品球計数機60に一度に多量の球が持ち込まれても、計数済の多量の球を貯留タンク30A,30B側へ短時間に受け渡すことができ、かかる排出処理との関係上従来は抑えられていた景品級計数機60の計数処理能力を十分に活かし切ることができる。
【0064】
また、パチンコ機11から直接排出された球は、天板26上のアウト球タンク19に一旦貯留された後、真下に位置する各回収樋40内にそれぞれ落下する。各回収樋40は、それぞれパチンコ機列別にパチンコ機11から排出された球を回収するため、従来技術の如く島幅方向に広がるような幅広で1本だけ延びるような回収樋に比して、容量的には小さく設計できる。すなわち、図3に示すように、各回収樋40を幅狭で小さな流路面積に設定することが可能となる。
【0065】
各回収樋40に回収された球は、その幅狭の底面上をむやみに広がることなく、むしろ幅広の回収樋に比して効率良く下流側へ流下する。このように各回収樋40上を流下した球は、終端口41が連通接続している貯留タンク30A,30Bにそのまま受け渡される。何れの貯留タンク30A,30Bも、島中央側を向く一端部から島端側を向く他端部にかけて底面部31が下方に傾斜するよう形成したので、景品球計数機60から一度に多量の球が貯留タンク30の一端部に導入されても、球が島中央寄りの一端部に過度に集中してしまうことなく、島端側の他端部にかけてうまく分散される。
【0066】
貯留タンク30A,30Bの最下端となる他端部まで底面部31上を流下した球は、排出口35から案内樋36を介して研磨揚送装置50の下部タンク51ヘスムーズに受け渡される。そして、研磨揚送装置50の下部タンク51に取込まれた球は、研磨されつつ島上段10Cまで揚送され、給配樋90内を流下して再び各パチンコ機11へ供給される。島上段10Cの外壁をなす幕板80は、その一対のパネル体82,82をヒンジ83を回動中心として、大きく上方まで開くことができる。それにより、島上段10A内部の最頂端付近をも、パネル体82の開閉だけで容易に直接覗いて点検したり、メンテナンスを行うことも可能となる。
【0067】
図10は本発明の第2の実施の形態を示している。
本実施の形態では、各貯留タンク30C,30Dを、それらの島中央側に位置する一端部同士を互いに連通するよう一体成形している。すなわち、各貯留タンク30C,30Dには前壁34はなく、連結部分は研磨揚送装置50の下部上方に競り出すと共に、研磨筒55等に干渉しないように位置をずらして配されている。また、各貯留タンク30C,30Dの連結部分に研磨筒55等の挿通する中空部を形成してもよい。
【0068】
このように各貯留タンク30C,30Dは、それぞれの島中央側に位置する一端部同士が互いに連通するよう一体成形されたから、パチンコ球の貯留容量をより一層と大きくすることができる。なお、前記第1の実施の形態と同種の部位については同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0069】
なお、本発明に係る遊技機島の具体的構成は、前記実施の形態にて図示したものに限定されるものではない。例えば、貯留タンクの配置や形状は様々なバリエーションが考えられるものである。図11に一例を示すように、前記第1の実施の形態における片方の貯留タンク30Bを前後逆向きとなるように配置させてもよい。すなわち、必ずしも両側の貯留タンクの一端部が研磨揚送装置の下部上方に重なるように競り出す必要はなく、何れか一方のみでもかまわない。また、遊技機はパチンコ機に限定されるものではなく、コインやメダルを遊技媒体とするスロットマシンであってもよい。
【0070】
【発明の効果】
本発明に係る遊技機島によれば、遊技媒体計数機により計数された遊技媒体を貯留タンクに迅速に受け渡すことができ、計数機の計数処理能力を大幅に向上させることができる。
また、前記遊技媒体計数機の背面側に一端部が近接する貯留タンクを、島中央側を向く一端部から島端側を向く他端部にかけて底面が下方に傾斜するよう形成したので、遊技媒体計数機から一度に多量の遊技媒体が貯留タンクの一端部に導入されても、遊技媒体が島中央寄りの一端部に過度に集中してしまうことなく、島端側の他端部にかけてうまく分散される。そして、貯留タンクの最下端となる他端部まで底面上を流下した遊技媒体は、排出口から案内樋を介して研磨揚送装置の下部にスムーズに案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る遊技機島の製造工程において、フロア上に研磨揚送装置と貯留タンクを設置した状態を示す正面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る遊技機島の製造工程において、島下段枠組を各貯留タンクの上から被せるようにフロア上に設置した状態を示す正面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る遊技機島のフレーム構造を示す斜視図である。
【図4】第1の実施の形態に係る遊技機島を示す正面図である。
【図5】第1の実施の形態に係る遊技機島を示す断面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る遊技機島の島下段枠組の拡大斜視図である。
【図7】第1の実施の形態に係る遊技機島の島下段枠組の全体を示す斜視図である。
【図8】第1の実施の形態に係る遊技機島の島下段枠組のアジャスターを示す正面図である。
【図9】第1の実施の形態に係る遊技機島のフレーム構造を示す正面図である。
【図10】第2の実施の形態に係る遊技機島の製造工程において、島下段枠組を各貯留タンクの上から被せるようにフロア上に設置した状態を示す正面図である。
【図11】他の実施の形態に係る遊技機島の製造工程において、島下段枠組を各貯留タンクの上から被せるようにフロア上に設置した状態を示す正面図である。
【符号の説明】
10…遊技機島
10A…島下段
10B…島中段
10C…島上段
11…パチンコ機
20…島下段枠組
26…天板
30A,30B,30C,30D…貯留タンク
36…案内樋
40…回収樋
50…研磨揚送装置
60…景品球計数機
64…案内樋
Claims (1)
- 島下段上に略水平な天板を支持し、該天板上に複数の遊技機を並設してなる遊技機島において、
フロア上に立設した遊技媒体の研磨揚送装置の両側近傍に、該研磨揚送装置を島中央とする島両側でそれぞれ遊技媒体を貯留して、前記研磨揚送装置の下部に遊技媒体を送る一対の貯留タンクを設置し、
前記一対の貯留タンクのうち少なくとも何れか一方は、島中央側を向く一端部が前記研磨揚送装置の下部の上方に重なるように競り出し、該一端部が遊技機列中の島中央位置に介装される遊技媒体計数機の背面側に近接して配置されるとともに、島中央側を向く一端部から島端側を向く他端部にかけて底面が下方に傾斜するよう形成され、最下端となる他端部に遊技媒体の排出口を設け、該排出口を案内樋を介して前記研磨揚送装置の下部に連通させたことを特徴とする遊技機島。
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