JP3973975B2 - 光アイソレータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信や光計測に用いられる光アイソレータに関し、特にファラデー回転子を多段に構成した高光遮断能(逆方向挿入損失)を有する光アイソレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の光ファイバ通信では、高速大容量伝送のために高性能な半導体レーザが光源として用いられる。このレーザはファイバ等からの反射光の影響により発振特性が敏感に影響するため高い逆方向挿入損失を有する光アイソレータが必須のものとなっている。
【0003】
またレーザの高性能、光素子の高集積化に伴い、光アイソレータの入出射偏波方向を同一にする必要に迫られるようになってきている。
従来の多段光アイソレータの構成は、光の進行方向に向かって、
▲1▼互いに磁石の磁極が逆向きの2個のアイソレータを連結させる。
▲2▼1つの磁石で2つのファラデー回転子に逆方向の磁場が与えられるように、ラジアル配向磁石を用いる(特開平1−142525号公報参照)。
▲3▼1つの磁石の磁極の配置を工夫する(特開平2−108017号公報参照)。
といった手法が挙げられる。
【0004】
しかし、上記の手法によれば、
▲1▼では、逆向きの磁石を近接させるという組立て構成上の煩雑さが伴う。
▲2▼では、小型の磁石構成には、不向きな構成形態である。
▲3▼では、磁石磁極構成が複雑となり、組立後の一括磁石磁化が難しい。
といった欠点があり、いずれも量産に適した構成でなく、しかもコスト高になる加工方法を用いることになる。
【0005】
また、入出射透過偏光方向を同一にする手法としては、上記の他に、入射または出射側に旋光子またはファラデー回転子を配置する方法も考えられるが、部品点数の増加、光透過率の減少、光学距離の増加による部品の大型化等が問題となり、有力な解決手段にはなり得ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、高い逆方向挿入損失を有し、かつ入出射透過偏光方向が同一の信頼性が高く、生産性に優れ、低コストの多段光アイソレータを提供することを主たる目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る光アイソレータは、少なくとも光の進行方向に対して3個の偏光子と2個のファラデー回転子を有する光学素子を配置した光アイソレータであって、両端を異極に着磁した磁石を、前記光学素子を挟んで対向配置し、前記光学素子は第1偏光子、第1ファラデー回転子、第2偏光子、第2ファラデー回転子、第3偏光子の順に配置して成り、第1と第3の偏光子の透過偏光方向が同一方向で、且つ、同一磁場方向において、光の進行方向に向かって第1ファラデー回転子のファラデー回転方向と第2ファラデー回転子のファラデー回転方向が異なることを特徴としている。
【0008】
このように、多段の光アイソレータを構成すれば、高い逆方向挿入損失を有し、かつ入出射透過偏光方向が同一で、信頼性が高く、生産性に優れ、低コストの多段光アイソレータを提供することができる。
【0009】
この場合、光学素子は、第1ファラデー回転子と第2ファラデー回転子の間にさらに第4偏光子が配置されて成るものとすることができる。
このように、前記多段光アイソレータの光学素子に第4偏光子を追加配置したものも、入出射透過偏光方向が同一になると共に、より大きな逆方向挿入損失が得られる構成となり、信頼性が高く、生産性に優れ、低コストの多段光アイソレータを提供することができる。
【0010】
さらにこの場合、第1、第2ファラデー回転子をラッチングタイプのファラデー回転子とし、磁石を省略して成るものとすることができる。
このように、磁石不要のラッチングタイプ(自己飽和型)のファラデー回転子を用いた場合は、互いに相反する方向にファラデー回転を起こすように予め着磁してから組立てれば、磁石を省略することができ、高い逆方向挿入損失を有し、かつ入出射透過偏光方向が同一の信頼性の高い光アイソレータをより小型化することができる。
【0011】
そして、上記光アイソレータにおいて、光学素子(偏光子、ファラデー回転子)および/または磁石が平板状の基台の上に固定され、実装時に基台の設置平面に対して、光の進行方向の両端に配置された偏光子の透過偏光方向が平行方向であるものとすることができる。
【0012】
このように、平板型基台に光学素子を配置し組立てれば、光学素子の位置合わせを容易に正確に行うことができ、精度が高く、信頼性の高い光アイソレータを得ることができる。
また、基台下面をLD(レーザダイオード)モジュールに実装することにより、LDチップの入射偏光方向に正確に合致させることが可能となる。さらに出射偏光方向が入射偏光方向と同一方向であるため、出射後に導波路等の偏光依存性を有する部品を配置しても光結合効率が劣化することはない。
【0013】
加えて、上記の光アイソレータにおいて、少なくとも入射側の偏光子が傾斜配置されていることが望ましく、上記光学素子の傾斜配置が、光学素子の切断面を傾斜加工して成り、この光学素子の傾斜配置は、傾斜方向が光学素子と基台の接面に垂直な方向から、光の進行方向に沿って傾斜しているのが好ましい。
【0014】
このように、入射面の光反射をさけるために、光学素子を入射方向に対して傾けて配置してもよく、この場合に光学素子の切断面を傾斜加工したものを使用すれば、高コストで精度の確保が困難な基台の傾斜加工を行わないですむ。また、その傾斜方向を光学素子と基台の接面に垂直な方向から、光の進行方向に沿って傾斜しているものとすれば、光学素子の有効面積が減少することなく、光透過率を確保でき、高い逆方向挿入損失を有し、かつ入出射透過偏光方向が同一の信頼性の高い光アイソレータを得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明では、多段光アイソレータの光学素子を構成するファラデー回転子に、同一磁場方向で各々ファラデー回転方向の異なる化学組成を有する材料を用いることで、
▲1▼磁石構成を簡素化でき、
▲2▼組立調整後一括磁石着磁が可能であり、
▲3▼かつ入出射透過偏光方向を同一とすることが可能であり、
▲4▼異なる組成のファラデー回転子を用いることで、高い逆方向挿入損失を有し、多段光アイソレータの光学特性の温度依存性、波長依存性が軽減される。
ようにした。
【0016】
すなわち、本発明の第1の態様は、少なくとも光の進行方向に対して3個の偏光子と2個のファラデー回転子を有する光学素子を配置した光アイソレータであって、両端を異極に着磁した直方体の磁石を、前記光学素子を挟んで対向配置し、前記光学素子は第1偏光子、第1ファラデー回転子、第2偏光子、第2ファラデー回転子、第3偏光子の順に配置して成り、第1と第3の偏光子の透過偏光方向が同一方向で、光の進行方向に向かって第1ファラデー回転子のファラデー回転方向と第2ファラデー回転子のファラデー回転方向が異なることを特徴としている。
【0017】
この本発明の第1の態様を図1に示した。
図1(a)は平面図、(b)は光の透過方向に沿ったA−A線断面図である。
この光アイソレータは、基台101の上に光の進行方向に対して3個の偏光子105、106、107と2個のファラデー回転子103、104を有する光学素子を配置し、両端を異極に着磁した直方体の磁石110、111を、前記光学素子を挟んで対向配置している。この光学素子は第1偏光子105、第1ファラデー回転子103、第2偏光子106、第2ファラデー回転子104、第3偏光子107の順に配置して成り、第1と第3の偏光子の透過偏光方向が同一方向で、光の進行方向に向かって第1ファラデー回転子のファラデー回転方向と第2ファラデー回転子のファラデー回転方向が異なるように構成されている。
【0018】
そして、入射側の光学素子である第1偏光子105、第1ファラデー回転子103を傾斜配置させるために基台101の入射側の面を傾斜加工してある。第1偏光子105と第3偏光子107の透過偏向方向は基台に対して水平方向に透過偏向方向を有している。磁石110、111は光の進行方向(または逆方向)に磁化(アイソレータ組立後に着磁する)されており、その同一方向の磁場において、第1ファラデー回転子103と第2ファラデー回転子104は互いに逆方向にファラデー回転方向を持つ化学組成の異なる材料を配置している。
【0019】
図3(a)は各光学素子表面での光の透過偏光方向(▲1▼面に入射した光が▲6▼面に透過していく状態) を示しており、▲1▼と▲6▼面の透過偏光方向は同一となる。
このように構成した光アイソレータを用いることで、容易に入出射透過偏向方向を同一とすることが可能となり、基台下面をLDモジュールに実装することにより、LDチップの入射偏光方向に正確に合致させることが可能となる。さらに出射偏光方向が入射偏光方向と同一方向であるため、出射後に導波路等の偏光依存性を有する部品を配置しても光結合効率が劣化することはない。
【0020】
次に本発明の第2の態様を図2に示した。
この光アイソレータは、基台201の上に光の進行方向に対して4個の偏光子205、206、207、208と2個のファラデー回転子203、204を有する光学素子を配置し、両端を異極に着磁した直方体の磁石210、(211不図示)を、上記光学素子を挟んで対向配置している。この光学素子は第1偏光子205、第1ファラデー回転子203、第2偏光子206、第4偏光子207、第2ファラデー回転子204、第3偏光子208の順に配置して成り、第1と第3の偏光子の透過偏光方向が同一方向で、光の進行方向に向かって第1ファラデー回転子のファラデー回転方向と第2ファラデー回転子のファラデー回転方向が異なるように構成されている。
【0021】
図2では第1と第2ファラデー回転子の間に第2偏光子206、第4偏光子207と2個の偏光子を配置してあるが、この場合も、図3(b)に示したように、▲1▼と▲8▼面の透過偏光方向は同一となる。また、入射側の光学素子である第1偏光子205、第1ファラデー回転子203、第2偏光子206を傾斜配置させるために基台201の入射側の面を傾斜加工してある。
この機構と作用効果は第1の態様の場合と同様に説明出来る(図3(b)参照)。
このように、前記多段光アイソレータの光学素子に第4偏光子を追加配置したものも、入出射透過偏光方向が同一になると共に、より大きな逆方向挿入損失が得られる構成となり、信頼性が高く、生産性に優れ、低コストの多段光アイソレータを提供することができる。
【0022】
図4に本発明の第3の態様を示した。
図4(a)は平面図、(b)は光の透過方向に沿ったB−B線断面図である。この光アイソレータは、基台401の上に光の進行方向に対して3個の偏光子405、406、407と2個のファラデー回転子403、404を有する光学素子を配置し、両端を異極に着磁した直方体の磁石410、411を、前記光学素子を挟んで対向配置している。
そして、入射側の光学素子である第1偏光子405、第1ファラデー回転子403を傾斜配置させるために光学素子の基台接面に傾斜加工を施し、その傾斜方向を光学素子と基台の接面に垂直で、光の進行方向に沿って傾斜しているようにした。
この態様における光の透過偏光方向は、第1の態様の場合と同様に説明出来る(図3(a)参照)。
【0023】
近年平板型の光アイソレータ(特開平10−227996号公報参照)のような構成が用いられるようになってきているが、本発明においても平板状の基台を用いることで、光学素子の位置合わせを容易に正確に行うことができ、精度が高く、信頼性の高い光アイソレータを得ることができるようにしている。
また、本発明では、上記光アイソレータにおいて、光学素子(偏光子、ファラデー回転子)および/または磁石が平板状の基台の上に固定され、実装時に基台の設置平面に対して、光の進行方向の両端に配置された偏光子の透過偏光方向が平行方向になるようにしている。
こうすることによって、基台下面をLD(レーザダイオード)モジュールに実装することにより、LDチップの入射偏光方向に正確に合致させることが可能となる。さらに出射偏光方向が入射偏光方向と同一方向であるため、出射後に導波路等の偏光依存性を有する部品を配置しても光結合効率が劣化することはない。
【0024】
さらに、上記本発明の態様においては、平板型基台に光学素子を配置する場合に、入射面の光反射をさけるために、光学素子を入射方向に対して傾けて配置するようにしている。この場合、単に垂直切断した素子を用いて、光学素子と基台の接面と平行方向に傾けると、光学素子の有効面積が少なくなってしまう。また必要な有効径を確保しようとすると光アイソレータの横方向の寸法が大きくなってしまう。従って、第1、第2の態様のように、光学素子を基台の接面と垂直な方向から光の進行方向に傾斜させるのが好ましい。但し、第1、第2の態様のように、基台自体を傾けるとすると、基台加工費用の増大や、位置合わせをするのが難しくなるという問題が発生することがある。
【0025】
これらの問題を解決するには、第3の態様のように、予め光学素子を所定角度に傾斜した端面を有するよう加工を施すことが好ましい。
上記光学素子を傾斜配置させるために光学素子の基台接面に傾斜加工を施したことにより、
▲1▼基台の傾斜加工の精度確保の困難性から解放される、
▲2▼基台の水平方向の寸法が抑えられ小型化できる、
▲3▼また磁石間の距離が狭められ、ファラデー回転子に必要十分な磁場が供給でき、
▲4▼基台平面に傾斜面を合致させることで、側面方向の磁石を基準面とするより傾斜角度の精度が向上し、
量産時の光学距離の一致や光出射軸の一致等、結合に際して好都合な効果が得られる。
【0026】
さらに、本発明の第4の態様(不図示)として、第1、第2ファラデー回転子をラッチングタイプのファラデー回転子とし、磁石を省略したものとすることができる。
このように、磁石不要のラッチングタイプ(自己飽和型)のファラデー回転子を用いた場合は、互いに相反する方向にファラデー回転を起こすように予め着磁してから組立てれば、高い逆方向挿入損失を有し、かつ入出射透過偏光方向が同一の信頼性の高い光アイソレータを得ることができる。
【0027】
尚、従来例として、図5に示したように偏光子505、ファラデー回転子503、偏光子506を貼り合わせ、入出射端部が正方形である直方体状に切断加工した光学素子を基台501に光透過軸から傾けて配置し、光透過方向に平行に棒状磁石510、511を配置し光アイソレータを形成した。
図からも明らかなように光学素子を直方体状に加工すると、その入射面を傾斜配置させた時、入射端面および出射端面で直進する光に対して有効領域が狭くなる。また基台を平板状に加工した場合は、基台と水平方向に傾斜配置する必要があり、水平方向のアイソレータ外形が大きくなってしまう。また磁石間距離が広がり、ファラデー回転子に必要十分な磁場が供給されない恐れがある。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示したような本発明の光アイソレータを構成した。
本実施例においては、偏光子の偏光材料として、コーニング社製偏光ガラスPolarcorを用いた。またファラデー回転子の材料としては、(TbEuBi)3(FeGa)5O12、あるいは(GaBi)3(FeGa)5O12を用いた。
【0029】
まず、サイズ15×15×0.5mmであり、片面に対空気ARコート、もう一方の片面に対接着剤ARコートを施した偏光ガラスから成る偏光子105の接着剤ARコート面に、サイズ15×15×0.6mmであり、片面に対接着剤ARコート、もう一方の片面に対空気ARコートを施した(GaBi)3(FeGa)5O12から成るファラデー回転子103の対接着剤ARコート面をエポキシ接着剤を介して接合固定し、その後に1.25×1.25mmのサイズに切断した。
【0030】
次に、サイズ15×15×0.5mmであり、片面に対空気ARコート、もう一方の片面に対接着剤ARコートを施した偏光ガラスから成る偏光子106,107を2つ用意した。そして偏光子106,107の各々の対接着剤ARコート面を、サイズ15×15×0.6mmであり、両面に対接着剤ARコートを施した(TbEuBi)3(FeGa)5O12から成るファラデー回転子104の両面にエポキシ接着剤を介して接合した。この時の両端の偏光ガラスはその透過偏光方向が相対的に45度になるように設定し、接合固定した後、1.25×1.25mmのサイズに切断した。
【0031】
片側に8度傾斜加工を施した基台101にSm−Co磁石110,111、及び1.25×1.25mmのサイズに切断した上記光学素子である、偏光子105−ファラデー回転子103、偏光子106−ファラデー回転子104−偏光子107を接合固定し、図1(b)の光透過方向と同じ方向に磁化方向を有するように、磁石を着磁し、アイソレータを組み立てた。基台101を傾斜加工することで偏光子105方向からの入射光に対し偏光子105の対空気ARコート面の残存反射を入射光とは異なる方向(角度)に除去可能となる。
【0032】
組立てた光アイソレータの機能を図3を用いて説明する。▲1▼面に入射したレーザ光は基台101と平行な偏波成分のみ偏光子105を透過し▲2▼に至る。ここでファラデー回転子103で偏光方向が45度時計方向に回転し、偏光子106に至る。偏光子106の透過偏光方向を、予め組立時に▲3▼の偏光方向と一致させることで、レーザ光はファラデー回転子104に至る。このファラデー回転子104で偏光方向はファラデー回転子103とは反対方向(反時計方向)に45度回転し、透過する。偏光子107は、前記のように偏光子106と相対角度が45度となるように設定されており、▲5▼の透過偏光方向と偏光子107の透過方向が一致し、▲6▼のように基台101と透過偏光方向が平行となり、入射時の透過方向▲1▼と一致した形である。このため入射時の透過偏光方向は、アイソレータ出射後も同一となり偏波方向は維持される。
【0033】
【0034】
試作したアイソレータの特性を測定したところ、このアイソレータの1550nmにおける特性は、偏光子105方向から入射した入射光の順方向挿入損失は0.30dBで、偏光子105と偏光子107の透過偏光方向は同一であり、偏光子107方向から入射した入射光の逆方向挿入損失は64dBであった。
【0035】
(実施例2)
図2に示したような本発明の光アイソレータを構成した。各光学素子の材料は、実施例1と同様の材料を用いた。
サイズ15×15×0.5mmであり、片面に対空気ARコート、もう一方の片面に対接着剤ARコートを施した偏光ガラスから成る偏光子205,206の各々の接着剤ARコート面に、サイズ15×15×0.6mmであり、両面に対接着剤ARコートを施した(GaBi)3(FeGa)5O12から成るファラデー回転子203の対接着剤ARコート面をエポキシ接着剤を介して、偏光子の相対角度が45度(偏光子205から見て偏光子206の透過偏光方向が時計方向に45度回転)となるよう接合固定し、その後に1.25×1.25mmのサイズに切断した。
【0036】
次に、サイズ15×15×0.5mmであり、片面に対空気ARコート、もう一方の片面に対接着剤ARコートを施した偏光ガラスから成る偏光子207,208の各々の対接着剤ARコート面に、サイズ15×15×0.6mmであり、両面に対接着剤ARコートを施した(TbEuBi)3(FeGa)5O12から成るファラデー回転子204の両面にエポキシ接着剤を介して接合し、この時の両端の偏光ガラスはその透過偏光方向が相対的に45度(偏光子207から見て偏光子208が反時計方向に回転)になるように設定し、接合固定した後、1.25×1.25mmのサイズに切断した。
【0037】
片側8度に傾斜加工を施した基台201にSm−Co磁石、及び1.25×1.25mmに切断した上記光学素子である、偏光子205−ファラデー回転子203−偏光子206、偏光子207−ファラデー回転子204−偏光子208を接合固定し、図2の光透過方向と同じ方向に磁化方向を有するように、磁石を着磁し、アイソレータを組み立てた。
【0038】
試作したアイソレータの特性を測定したところ、このアイソレータの1550nmにおける特性は、偏光子205方向から入射した入射光の順方向挿入損失は0.34dBで、偏光子205と偏光子208の透過偏光方向は同一であり、偏光子208方向から入射した入射光の逆方向挿入損失は78dBであった。
【0039】
(実施例3)
実施例1におけるファラデー回転子103,104にラッチングタイプファラデー回転子を用い、実施例1同様の接合加工工程を経た後、ファラデー回転子103が時計方向に45度ファラデー回転を起こすよう磁化し、ファラデー回転子104が反時計方向に45度回転するよう磁化させるようにして光アイソレータを組立てた。
ラッチングタイプファラデー回転子は、実施例1における磁石110,111を配置する必要は無いため、この実施例3においては磁石は配置しなかった。
【0040】
試作したアイソレータの特性を測定したところ、このアイソレータは、順方向挿入損失0.24dBで偏光子105,107の透過偏光方向は同一であり、逆方向挿入損失67dBであった。
なお、本発明では、実施例2の光アイソレータにおいても、ファラデー回転子203,204をラッチングタイプとし、磁石無しの配置にすることも可能である。
【0041】
(実施例4)
図4に示したような本発明の光アイソレータを構成した。実施例1同様の光学材料を用いて偏光子405,ファラデー回転子403の材料を貼り合せ、切断時に偏光子405−ファラデー回転子403が基台401と接する面及びその対となる面を8度傾斜するように切断加工した。磁石も実施例1と同様のものである。なお基台401は傾斜加工させず平板状の加工とした。それ以外は実施例1と同様にして光アイソレータを製作した。
【0042】
本実施例では、光学素子を傾斜加工することで、基台を傾斜加工する手間が省け、また入射光に対する偏光子405の対空気ARコート面の残存反射は入射光とは異なる方向へ除去出来た。この場合、図5の従来例のように光学素子を垂直に切り出し、基台501に横方向に傾斜配置した場合は、光透過部分に対して光学素子が有効配置されない状態となり、また磁石510−511間の距離を余分にとる必要があり、アイソレータ小型化には不向きとなる。しかし、図4(b)に示すように、入射側光学素子を傾斜加工することで、磁石間距離を広げることなくアイソレータの小型化を図ることができ、また光学素子材料を無駄に使用することも無いという利点がある。
【0043】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0044】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の光アイソレータは、高い逆方向挿入損失を有し、かつ入出射透過偏光方向が同一の信頼性の高い光アイソレータであり、これを容易に量産し、低コストで供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光アイソレータの第1の態様を示す説明図である。
(a)平面図、(b)A−A線断面図。
【図2】本発明の光アイソレータの第2の態様を示す断面図である。
【図3】図1および図2における各光学素子表面での光の透過偏光方向を示す。
【図4】本発明の光アイソレータの第3の態様を示す説明図である。
(a)平面図、(b)B−B線断面図、(c)正面図、
【図5】従来例として従来の光アイソレータの態様を示す説明図である。
(a)平面図、 (b)側面図、 (c)正面図。
【符号の説明】
101…基台、 103、104…ファラデー回転子、
105、106、107…偏光子、 110、111…磁石、
201…基台、 203、204…ファラデー回転子、
205、206、207、208…偏光子、 210、211…磁石、
401…基台、 403、404…ファラデー回転子、
405、406、407…偏光子、 410、411…磁石、
501…基台、 503…ファラデー回転子、
505、506…偏光子、 510、511…磁石、
▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼、▲5▼、▲6▼、▲7▼、▲8▼…各光学素子の表面。
Claims (6)
- 少なくとも光の進行方向に対して3個の偏光子と2個のファラデー回転子を有する光学素子を配置した光アイソレータであって、両端を異極に着磁した磁石を、前記光学素子を挟んで対向配置し、前記光学素子は第1偏光子、第1ファラデー回転子、第2偏光子、第2ファラデー回転子、第3偏光子の順に配置して成り、第1と第3の偏光子の透過偏光方向が同一方向で、且つ、同一磁場方向において、光の進行方向に向かって第1ファラデー回転子のファラデー回転方向と第2ファラデー回転子のファラデー回転方向が異なることを特徴とする光アイソレータ。
- 前記光学素子は、第1ファラデー回転子と第2ファラデー回転子の間にさらに第4偏光子が配置されて成ることを特徴とする請求項1に記載した光アイソレータ。
- 請求項1または請求項2に記載の光アイソレータにおいて、光学素子(偏光子、ファラデー回転子)および/または磁石が平板状の基台の上に固定され、実装時に基台の設置平面に対して、光の進行方向の両端に配置された偏光子の透過偏光方向が平行方向であることを特徴とする光アイソレータ。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の光アイソレータにおいて、少なくとも入射側の偏光子が傾斜配置されていることを特徴とする光アイソレータ。
- 請求項4に記載の光学素子の傾斜配置が、光学素子の切断面を傾斜加工して成ることを特徴とする光アイソレータ。
- 請求項5に記載の光学素子の傾斜配置は、傾斜方向が光学素子と基台の接面に垂直な方向から、光の進行方向に沿って傾斜していることを特徴とする光アイソレータ。
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