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JP3972925B2 - 内燃機関の触媒劣化検出装置 - Google Patents

内燃機関の触媒劣化検出装置 Download PDF

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JP3972925B2 JP2004234562A JP2004234562A JP3972925B2 JP 3972925 B2 JP3972925 B2 JP 3972925B2 JP 2004234562 A JP2004234562 A JP 2004234562A JP 2004234562 A JP2004234562 A JP 2004234562A JP 3972925 B2 JP3972925 B2 JP 3972925B2
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Description

本発明は、排気ガスを浄化すべく内燃機関(エンジン)の排気通路に設けられた触媒の劣化を検出する装置(触媒劣化検出装置)に関する。
従来より、自動車用エンジンにおいては、排気ガス浄化対策として、排気ガス中の未燃成分(HC,CO)の酸化と窒素酸化物(NOx )の還元とを同時に促進する三元触媒が利用されている。そのような三元触媒による酸化・還元能力を高めるためには、エンジンの燃焼状態を示す空燃比(A/F)を理論空燃比近傍(ウィンドウ)に制御する必要がある。そのため、エンジンにおける燃料噴射制御においては、排気ガス中の残留酸素濃度に基づき空燃比が理論空燃比よりもリッチかリーンかを感知するO2 センサ(酸素濃度センサ)(図1参照)を設け、そのセンサ出力に基づいて燃料量を補正する空燃比フィードバック制御が行われている。
かかる空燃比フィードバック制御では、酸素濃度を検出するO2 センサをできるだけ燃焼室に近い箇所、すなわち触媒コンバータより上流側に設けているが、そのO2 センサの出力特性のばらつきを補償するために、触媒コンバータより下流側に第2のO2 センサを更に設けたダブルO2 センサシステムも実現されている。すなわち、触媒下流側では、排気ガスは十分に攪拌されており、その酸素濃度も三元触媒の作用によりほぼ平衡状態にあることにより、下流側O2 センサの出力は、上流側O2 センサよりも緩やかに変化し、従って混合気全体のリッチ/リーン傾向を示す。ダブルO2 センサシステムは、触媒上流側O2 センサによるメイン空燃比フィードバック制御に加え、触媒下流側O2 センサによるサブ空燃比フィードバック制御を実施するものであり、メイン空燃比フィードバック制御による空燃比補正係数を、下流側O2 センサの出力に基づいて修正することにより、上流側O2 センサの出力特性のばらつきを吸収し、空燃比制御精度の向上を図っている。
以上のような精密な空燃比制御を実施しても、排気ガスの熱や鉛等の被毒の作用により触媒が劣化してくると、十分な排気ガス浄化性能を得ることはできない。そこで、従来より、種々の触媒劣化検出装置が提案されている。その一つは、触媒下流側O2 センサによって暖機後のO2 ストレージ効果(過剰の酸素を保持し未燃焼排気物の浄化に利用する機能)の低下を検出することにより、触媒の劣化を診断するものである。すなわち、触媒の劣化は暖機後の浄化性能の低下に結果するが、この装置は、O2 ストレージ効果の低下を浄化性能の低下と推定し、下流側O2 センサの出力信号を使用して、軌跡長、フィードバック周波数等を求め、O2 ストレージ効果の低下を検出し、触媒の劣化を検出するものである。例えば、下記特許文献1に開示された装置は、理論空燃比へのフィードバック制御中において下流側O2 センサの出力の軌跡長を求め、それに基づき触媒劣化を検出する装置である。
一方、近年においては、三元触媒が常に一定の安定した浄化性能を発揮しうるように空燃比を制御する内燃機関も開発されている。すなわち、O2 ストレージ能力は、排気ガスがリーン状態にあるときに過剰分の酸素を吸着し、排気ガスがリッチ状態にあるときに不足分の酸素を放出することにより、排気ガスを浄化するものであるが、このような能力は有限なものである。従って、O2 ストレージ能力を効果的に利用するためには、排気ガスの空燃比が次にリッチ状態又はリーン状態のいずれとなってもよいように、触媒中に貯蔵されている酸素の量を所定量(例えば、最大酸素貯蔵量の半分)に維持することが必要であり、そのように維持されていれば、常に一定のO2 吸着・放出作用が可能となり、結果として触媒による一定の酸化・還元能力が常に得られる。
このように触媒の浄化性能を維持すべくO2 ストレージ量を一定に制御する内燃機関においては、空燃比をリニアに検出可能な空燃比(A/F)センサ(図2参照)が用いられ、比例及び積分動作(PI動作)によるフィードバック制御(F/B制御)が行われる。すなわち、
次回燃料補正量=Kp *(今回の燃料差)+Ks *Σ(これまでの燃料差)
ただし、燃料差=(実際に筒内で燃焼せしめられた燃料量)
−(吸入空気をストイキとする目標筒内燃料量)
実際に燃焼せしめられた燃料量=空気量検出値/空燃比検出値
p =比例項ゲイン
s =積分項ゲイン
なる演算により、フィードバック燃料補正量が算出される。
上記した燃料補正量の演算式からわかるように、その比例項は、O2 センサによるフィードバック制御と同様に、空燃比をストイキに維持すべく作用する成分であり、積分項は、定常偏差(オフセット)を消去するように作用する成分である。すなわち、この積分項の作用により、触媒におけるO2 ストレージ量が一定に維持される結果となる。例えば、図3に示されるように、急加速等でリーンガスが発生した場合には、かかる積分項の作用により、リッチガスが発生せしめられ、リーンガス発生の効果が相殺される。このようなO2 ストレージ量を一定に維持するため故意に空燃比を変動させる制御は、カウンタ制御と呼ばれる。
上述したO2 ストレージ量一定制御システムにおいても、A/Fセンサの出力特性のばらつきを補償するために、触媒下流側にO2 センサが設けられることがある。従って、この場合にも、ダブルO2 センサシステムと同様に、触媒のO2 ストレージ効果の低下をO2 センサで検出することにより、触媒の劣化を検出することが考えられる。
しかし、O2 ストレージ量一定制御システムでは、前述したようにカウンタ制御が随時実行される。その実行時には、図4(A)に示されるように、A/Fセンサ出力電圧VAFすなわち空燃比が大きく変動する(実際に触媒に入るガスの空燃比はウィンドウ内に入っているため、エミッションが荒れることはない)。しかも、O2 センサによるサブフィードバックは、O2 センサ出力がストイキ近辺となるように制御しているため(図1参照)、図4(B)に示されるように、空燃比変動に伴ってO2 センサの出力電圧VOSは大きく変化することとなる。また、O2 センサへのガス当たり急変によって過応答となる。従って、O2 センサ出力の軌跡長等により、触媒劣化を判定した場合、誤判定となる可能性がある。
特開平5−98948号公報
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、A/Fセンサを用いたO2 ストレージ量一定制御システムの内燃機関において触媒下流側O2 センサによる触媒劣化判定を正確に実行する手法を確立することにある。ひいては、本発明は、排気ガス浄化性能の向上を図り、大気汚染防止に寄与することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明によれば、内燃機関の排気通路に設けられた、O2ストレージ能力を有する三元触媒と、前記三元触媒の上流側に設けられ、前記三元触媒の入りガスの空燃比をリニアに検出する空燃比センサと、前記空燃比センサの出力に基づいて、空燃比を理論空燃比に収束させるための比例項及び空燃比と理論空燃比との偏差の積分値を零に収束させるための積分項からなるフィードバック補正量を演算する空燃比フィードバック制御手段と、前記三元触媒の下流側に設けられ、前記三元触媒からの出ガスの空燃比がリッチかリーンかを検出するO2センサと、前記空燃比フィードバック制御手段による空燃比フィードバック制御中の期間内での前記O2センサの出力の軌跡長に基づき前記三元触媒の劣化を判定する触媒劣化判定手段と、前記空燃比センサの出力が所定範囲内の値にない期間及びその後前記空燃比センサの出力が該所定範囲内の値になった時点から所定期間、前記触媒劣化判定手段による軌跡長の演算を中断せしめる軌跡長演算中断手段と、を具備する、内燃機関の触媒劣化検出装置が提供される。
また、本発明によれば、好ましくは、前記所定範囲は、前記O2センサが過応答しない範囲として設定される。
また、本発明によれば、好ましくは、前記所定期間は、前記空燃比センサと前記O2センサとの間の距離を考慮して設定される。
本発明によれば、A/Fセンサを用いたO2 ストレージ量一定制御システムにおいて、カウンタ制御に伴う誤判定が防止されつつ、触媒下流側O2 センサによる触媒劣化判定が実行されることとなる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図5は、本発明の一実施形態に係る触媒劣化検出装置を備えた電子制御式内燃機関の全体概要図である。エンジン20の燃焼に必要な空気は、エアクリーナ2でろ過され、スロットルボデー4を通ってサージタンク(インテークマニホルド)6で各気筒の吸気管7に分配される。なお、その吸入空気流量は、スロットルボデー4に設けられたスロットル弁5により調節されるとともに、エアフローメータ40により計測される。また、吸入空気温度は、吸気温センサ43により検出される。さらに、吸気管圧力は、バキュームセンサ41によって検出される。
また、スロットル弁5の開度は、スロットル開度センサ42により検出される。また、スロットル弁5が全閉状態のときには、アイドルスイッチ52がオンとなり、その出力であるスロットル全閉信号がアクティブとなる。また、スロットル弁5をバイパスするアイドルアジャスト通路8には、アイドル時の空気流量を調節するためのアイドル回転速度制御弁(ISCV)66が設けられている。
一方、燃料タンク10に貯蔵された燃料は、燃料ポンプ11によりくみ上げられ、燃料配管12を経て燃料噴射弁60により吸気管7に噴射される。
吸気管7では、空気と燃料とが混合され、その混合気は、吸気弁24を介してエンジン本体すなわち気筒(シリンダ)20の燃焼室21に吸入される。燃焼室21において、混合気は、ピストン23により圧縮された後、点火されて爆発・燃焼し、動力を発生する。そのような点火は、点火信号を受けたイグナイタ62が、点火コイル63の1次電流の通電及び遮断を制御し、その2次電流が、点火ディストリビュータ64を介してスパークプラグ65に供給されることによりなされる。
なお、点火ディストリビュータ64には、その軸が例えばクランク角(CA)に換算して720°CAごとに基準位置検出用パルスを発生させる基準位置検出センサ50、及び30°CAごとに位置検出用パルスを発生させるクランク角センサ51が設けられている。なお、実際の車速は、車速を表す出力パルスを発生させる車速センサ53によって検出される。また、エンジン20は、冷却水通路22に導かれた冷却水により冷却され、その冷却水温度は、水温センサ44によって検出される。
燃焼した混合気は、排気ガスとして排気弁26を介して排気マニホルド30に放出され、次いで排気管34に導かれる。なお、排気管34には、排気ガス中の酸素濃度に基づき空燃比をリニアに検出するA/Fセンサ45が設けられている。さらにそれより下流の排気系には、触媒コンバータ38が設けられており、その触媒コンバータ38には、排気ガス中の未燃成分(HC,CO)の酸化と窒素酸化物(NOx )の還元とを同時に促進する三元触媒が収容されている。こうして触媒コンバータ38において浄化された排気ガスが大気中に排出される。
また、このエンジンは、A/Fセンサ45の出力特性のばらつきを補償すべくサブ空燃比フィードバック制御を実施するエンジンであり、触媒コンバータ38より下流の排気系には、O2 センサ46が設けられている。
エンジン電子制御ユニット(エンジンECU)70は、燃料噴射制御、点火時期制御、アイドル回転速度制御などに加え、本発明に係る触媒劣化検出を実行するマイクロコンピュータシステムであり、そのハードウェア構成は、図6のブロック図に示される。リードオンリメモリ(ROM)73に格納されたプログラム及び各種のマップに従って、中央処理装置(CPU)71は、各種センサ及びスイッチからの信号をA/D変換回路75又は入力インタフェース回路76を介して入力し、その入力信号に基づいて演算処理を実行し、その演算結果に基づき駆動制御回路77a〜77dを介して各種アクチュエータ用制御信号を出力する。ランダムアクセスメモリ(RAM)74は、その演算・制御処理過程における一時的なデータ記憶場所として使用される。また、バックアップRAM79は、バッテリ(図示せず)に直接接続されることにより電力の供給を受け、イグニションスイッチがオフの状態においても保持されるべきデータ(例えば、各種の学習値)を格納するために使用される。また、これらのECU内の各構成要素は、アドレスバス、データバス、及びコントロールバスからなるシステムバス72によって接続されている。
以上のようなハードウェア構成を有する内燃機関(エンジン)において実行されるECU70のエンジン制御処理について、以下、説明する。
点火時期制御は、クランク角センサ51から得られるエンジン回転速度及びその他のセンサからの信号により、エンジンの状態を総合的に判定し、最適な点火時期を決定し、駆動制御回路77bを介してイグナイタ62に点火信号を送るものである。
また、アイドル回転速度制御は、アイドルスイッチ52からのスロットル全閉信号及び車速センサ53からの車速信号によってアイドル状態を検出するとともに、水温センサ44からのエンジン冷却水温度等によって決められる目標回転速度と実際のエンジン回転速度とを比較し、その差に応じて目標回転速度となるように制御量を決定し、駆動制御回路77cを介してISCV66を制御して空気量を調節することにより、最適なアイドル回転速度を維持するものである。
以下、燃料噴射制御とともに、本発明に係る触媒劣化検出について詳細に説明する。前述のように、本発明は、A/Fセンサを用いたO2 ストレージ量一定制御システムにおいて触媒下流側O2 センサによる触媒劣化判定を、カウンタ制御に伴う誤判定を防止しつつ実行しようというものである。以下、本発明の実施形態につい説明する。
この実施形態は、図7にその原理を示すように、A/Fセンサ45の出力絶対値が、O2 センサ46が過応答するような限界値(上限a、下限b)を超えた場合に、両センサ間の距離(ガスがA/FセンサからO2 センサに達するまでの遅延時間)を考慮し、一定時間、触媒劣化判定のためのデータ(O2 センサ46の出力VOS)の積算を中断しようというものである。
図8は、本実施形態に係る筒内空気量推定及び目標筒内燃料量算出ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。本ルーチンは、所定のクランク角ごとに実行される。まず、本ルーチンの前回までの走行により得られている筒内空気量MCi 及び目標筒内燃料量FCRi を更新する。すなわち、第i(i=0,1,…,n−1)回前のMCi 及びFCRi を、第(i+1)回前のMCi+1 及びFCRi+1 とする(ステップ102)。これは、図9に示されるように、過去n回分の筒内空気量MCi 及び目標筒内燃料量FCRi のデータをRAM74内に記憶し、今回新たにMC0 及びFCR0 を算出するためである。
次いで、バキュームセンサ41、クランク角センサ51、及びスロットル開度センサ42からの出力に基づいて、現在の吸気管圧力PM、エンジン回転速度NE、及びスロットル開度TAを求める(ステップ104)。次いで、これらのPM、NE、及びTAのデータより、筒内に供給される空気量MC0 を推定する(ステップ106)。なお、一般に、筒内空気量は、吸気管圧力PM及びエンジン回転速度NEから推定可能であるが、本実施形態では、スロットル開度TAの値の変化より過渡状態を検出し、過渡状態においても精密な空気量が算出されるようにしている。
次いで、筒内空気量MC0 及び理論空燃比AFTに基づき、
FCR0 ←MC0 /AFT
なる演算を実行して、混合気をストイキとするために筒内に供給されるべき目標燃料量FCR0 を算出する(ステップ108)。このようにして算出された筒内空気量MC0 及び目標筒内燃料量FCR0 は、今回得られた最新のデータとして、図9に示されるようにRAM74内に記憶される。
図10は、本実施形態に係るメイン空燃比フィードバック制御ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。このルーチンは、所定の時間周期で実行される。まず、フィードバックを実行すべき条件が成立するか否かを判定する(ステップ202)。例えば、冷却水温が所定値以下の時、機関始動中、始動後増量中、暖機増量中、A/Fセンサ45の出力信号変化がない時、燃料カット中、等はフィードバック条件不成立となり、その他の場合は条件成立となる。条件不成立のときには、フィードバック制御による燃料補正量DFを0とし(ステップ220)、本ルーチンを終了する。
フィードバック条件成立時には、本ルーチンの前回までの走行により得られている燃料量差(実際に燃焼せしめられた燃料量と目標筒内燃料量との差)FDi を更新する。すなわち、第i(i=0,1,…,m−1)回前のFDi を第(i+1)回前のFDi+1 とする(ステップ204)。これは、過去m回分の燃料量差FDi のデータをRAM74内に記憶し、今回新たに燃料量差FD0 を算出するためである。
次いで、A/Fセンサ45の出力電圧値VAFを検出する(ステップ206)。次いで、後述するサブ空燃比フィードバック制御により算出されているA/Fセンサ出力電圧補正量DVにより、
VAF←VAF+DV
なる演算を実行して、A/Fセンサ出力電圧VAFを補正する(ステップ208)。次いで、補正後のVAFに基づき図2の特性図を参照することにより、現在の空燃比ABFを決定する(ステップ210)。なお、図2の特性図は、マップ化されてROM73にあらかじめ格納されている。
次に、筒内空気量推定及び目標筒内燃料量算出ルーチンにより既に算出されている筒内空気量MCn 及び目標筒内燃料量FCRn (図9参照)に基づき、
FD0 ←MCn /ABF−FCRn
なる演算により、実際に燃焼せしめられた燃料量と目標筒内燃料量との差を求める(ステップ212)。なお、このようにn回前の筒内空気量MCn 及び目標筒内燃料量FCRn を採用する理由は、現在A/Fセンサにより検出されている空燃比と実際の燃焼との時間差を考慮したためである。換言すれば、過去n回分の筒内空気量MCi 及び目標筒内燃料量FCRi を記憶しておく必要があるのは、そのような時間差のためである。
次いで、
DFP←Kfp*FD0
なる演算により、比例・積分制御(PI制御)の比例項を算出する(ステップ214)。なお、Kfpは比例項ゲインである。次いで、
DFS←Kfs*ΣFDi
なる演算により、PI制御の積分項を算出する(ステップ216)。なお、Kfsは積分項ゲインである。最後に、
DF←DFP+DFS
なる演算により、メイン空燃比フィードバック制御による燃料補正量DFが決定される(ステップ218)。
図11は、本実施形態に係るサブ空燃比フィードバック制御ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。このルーチンは、メイン空燃比フィードバック制御ルーチンの場合よりも長い所定の時間周期で実行される。まず、メイン空燃比フィードバックの場合と同様に、サブ空燃比フィードバック制御を実行すべき条件が成立するか否かを判定する(ステップ302)。条件不成立の場合には、A/Fセンサ出力電圧補正量DVに0を設定し(ステップ312)、本ルーチンを終了する。
フィードバック条件成立時には、本ルーチンの前回までの走行により得られている電圧差(目標O2 センサ出力電圧と実際に検出されたO2 センサ出力電圧との差)VDi を更新する。すなわち、第i(i=0,1,…,p−1)回前のVDi を第(i+1)回前のVDi+1 とする(ステップ304)。これは、過去p回分の電圧差VDi のデータをRAM74内に記憶し、今回新たに電圧差VD0 を算出するためである。
次いで、O2 センサ46の出力電圧VOSを検出する(ステップ306)。次いで、そのVOS及び目標O2 センサ出力電圧VT(例えば0.5V)に基づいて、
VD0 ←VT−VOS
なる演算を実行することにより、最新の電圧差VD0 を求める(ステップ308)。
最後に、
DV←Kvp*VD0 +Kvs*ΣVDi
なる演算により、PI制御によるA/Fセンサ出力電圧補正量DVを決定する(ステップ310)。なお、Kvp及びKvsは、それぞれ比例項及び積分項のゲインである。こうして求められた補正量DVは、前述したように、メイン空燃比フィードバック制御ルーチンにおいて、A/Fセンサの出力特性のばらつきを補償するために使用される。
図12は、本実施形態に係る燃料噴射制御ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。このルーチンは、所定のクランク角ごとに実行される。最初に、前述した筒内空気量推定及び目標筒内燃料量算出ルーチンにおいて算出された目標筒内燃料量FCR0 、及びメイン空燃比フィードバック制御ルーチンにおいて算出されたフィードバック補正量DFに基づき、
FI←FCR0 *α+DF+β
なる演算を実行して、燃料噴射量FIを決定する(ステップ402)。なお、α及びβは、他の運転状態パラメータによって定まる乗算補正係数及び加算補正量である。例えば、αには、吸気温センサ43、水温センサ44等の各センサからの信号に基づく基本的な補正が含まれ、また、βには、燃料の壁面付着量(過渡運転状態において吸気管圧力の変化に伴い変化する)の変化に基づく補正が含まれている。最後に、求められた燃料噴射量FIを燃料噴射弁60の駆動制御回路77aにセットする(ステップ404)。
図13及び図14は、本実施形態に係る触媒劣化検出ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。本ルーチンは、所定の時間周期で実行される。まず、A/Fセンサ45の出力電圧VAFが上限値a以上又は下限値b以下となっているか否かを検出する(ステップ502)。VAF≧a又はVAF≦bの場合には、所定のモニタディセーブルカウンタCMDISに所定値Aをセットして(ステップ504)、本ルーチンを終了する。
a<VAF<bの場合には、モニタディセーブルカウンタCMDISの内容が正か否かを判定し(ステップ506)、CMDIS>0の場合にはステップ508に進み、CMDIS≦0の場合にはステップ512に進む。ステップ508では、CMDISをデクリメントし、次のステップ510では、CMDISが0か否かを判定し、0でない場合には本ルーチンを終了し、0の場合にはステップ512に進む。ステップ512では、劣化判定のためのモニタ条件が成立するか否かを判定し、モニタ条件不成立の場合には本ルーチンを終了し、モニタ条件成立の場合にはステップ514以降に進む。
ステップ514では、A/Fセンサ45の出力VAFの軌跡長LVAFを、
LVAF←LVAF+|VAF−VAFO|
なる演算により算出する。次のステップ516では、次回の実行に備え、
VAFO←VAF
とする。
ステップ518では、O2 センサ46の出力VOSの軌跡長LVOSを、
LVOS←LVOS+|VOS−VOSO|
なる演算により算出する。次のステップ520では、次回の実行に備え、
VOSO←VOS
とする。
次いで、所定のカウンタCTIMEをインクリメントし(ステップ522)、所定値C0 を超えたか否かを判定する(ステップ524)。CTIME>C0 のときにはステップ526に進み、CTIME≦C0 のときには本ルーチンを終了する。ステップ526では、LVAFより劣化判定基準値Lref を決定する。なお、この劣化判定基準値Lref は、O2 センサ46の出力VOSの軌跡長LVOSに基づいて触媒劣化判定を実行するに際して正常品と劣化品とを判別するための判定基準値がA/Fセンサ45の出力VAFの軌跡長LVAFにより異なってくるため、その判定基準値をLVAFに応じて定めたものであり、マップ化されて予めROM73に格納されている。次いで、ステップ528では、O2 センサ46の出力VOSの軌跡長LVOSがその劣化判定基準値Lref 以上か否かを判定する。LVOS≧Lref のときには、触媒劣化ありとみなし、所定のアラームフラグALMを1にするとともに(ステップ530)、アラームランプ68(図5,6参照)を点灯する(ステップ532)。LVOS<Lref のときには、触媒劣化なしとみなし、アラームフラグALMを0とする(ステップ534)。アラームフラグALMは、修理点検時に収集されうるように、バックアップRAM79に格納される(ステップ536)。最後に、次回の触媒劣化判定に備え、CTIME,LVAF,LVOSがクリアされる(ステップ538)。
以上の本実施形態によれば、O2 センサの出力変化量が大きくなる区間がマスクされることとなり、触媒劣化診断の精度が向上する。なお、本実施形態では、A/Fセンサ45の出力電圧VAFが上限値a以上又は下限値b以下となる場合にマスクされたが、その変形例として、VAFの変化量の絶対値|ΔVAF|を求め、その値が所定値を超えた場合にマスクするようにしてもよい。
次に、本発明についての参考例に係る第1参考形態について説明する。本発明の上記実施形態では、触媒判定処理の側で特定の区間、軌跡長演算をマスクするというものであったが、第1参考形態は、その逆に、触媒劣化判定時にはカウンタ制御を制限することにより、すなわち燃料補正量のうちの積分項の絶対値に上限を設けることにより、O2 センサ出力のストイキへの復帰が、図15に示されるように緩やかとなるようにし、過応答を防ぐものである。
第1参考形態においては、筒内空気量推定及び目標筒内燃料量算出ルーチン、サブ空燃比フィードバック制御ルーチン、並びに燃料噴射制御ルーチンは、本発明の上記実施形態のものと同一であるが、触媒劣化判定ルーチン及びメイン空燃比フィードバック制御ルーチンは、上記実施形態に対し改造が加えられたものとなる。
図16及び図17は、第1参考形態に係る触媒劣化検出ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。本発明の実施形態に係る図13及び図14との相違点のみ説明すると、まず、A/Fセンサ出力電圧に関する条件判定のステップ502〜510が削除されている。そして、モニタ条件を判定するステップ602の次に、ステップ604及び606が追加される。すなわち、モニタ条件不成立時には、モニタ実行中フラグMONEXが0とされ、モニタ条件成立時にはMONEXが1とされる。ステップ608〜630は、本発明の実施形態のステップ514〜536と同一である。また、ステップ632では、ステップ538に対し、MONEXをクリアする処理が追加される。このように、第1参考形態では、VAFの値にかかわらず、触媒劣化判定が実行されるが、実行中にはモニタ実行中フラグMONEXが1とされる。
図18は、第1参考形態に係るメイン空燃比フィードバック制御ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。本発明の実施形態に係る図10との相違点のみ説明すると、ステップ718及び720が追加された点のみが相違する。すなわち、燃料補正量DFのうちの積分項DFSがステップ716において算出された後に、触媒劣化判定実行中(MONEX=1)であれば、その積分項の絶対値|DFS|が所定値B以下に制限されるのである。
こうすることにより、空燃比変動が抑えられ、O2 センサ出力のストイキへの復帰が緩やかとなり、過応答がなくなって、診断精度が向上する。なお、第1参考形態の変形例として、積分項DFSのゲインKfsを触媒劣化判定実行中には小さくするようにしてもよい。
最後に、本発明についての参考例に係る第2参考形態について説明する。この第2参考形態は、触媒劣化判定実行中にはO2 センサ46の出力に基づくA/Fセンサ45の出力補正を抑制することにより、第1参考形態と同様に、O2 センサ出力のストイキへの復帰が緩やかとなるようにし、過応答を防ぐものである。この第2参考形態においては、筒内空気量推定及び目標筒内燃料量算出ルーチンは本発明の実施形態及び第1参考形態と同一、メイン空燃比フィードバック制御ルーチンは本発明の実施形態と同一、燃料噴射制御ルーチンは本発明の実施形態及び第1参考形態と同一、触媒劣化判定ルーチンは第1参考形態と同一となり、サブ空燃比フィードバック制御ルーチンのみ改造される。
図19は、第2参考形態に係るサブ空燃比フィードバック制御ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。本発明の実施形態に係る図11との相違点のみ説明すると、ステップ804が追加された点のみが相違する。すなわち、触媒劣化判定実行中(MONEX=1)であれば、A/Fセンサ出力電圧補正量DVが0とされ、A/Fセンサ45の出力電圧VAFに対する補正はなされなくなる。こうすることにより、O2 センサ出力のストイキへの復帰が緩やかとなり、過応答がなくなって、診断精度が向上する。
空燃比とO2 センサ出力電圧との関係を示す特性図である。 空燃比とA/Fセンサ出力電圧との関係を示す特性図である。 カウンタ制御を説明するための図である。 (A)は、A/Fセンサ出力電圧VAFを例示するタイムチャートであり、(B)は、そのVAFに応答するO2 センサ出力電圧VOSを示すタイムチャートである。 本発明の一実施形態に係る触媒劣化検出装置を備えた電子制御式内燃機関の全体概要図である。 本発明の一実施形態に係るエンジンECUのハードウェア構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態の原理を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る筒内空気量推定及び目標筒内燃料量算出ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。 推定された筒内空気量及び算出された目標筒内燃料量の記憶状態を説明するための図である。 本発明の実施形態に係るメイン空燃比フィードバック制御ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係るサブ空燃比フィードバック制御ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る燃料噴射制御ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る触媒劣化検出ルーチンの処理手順を示すフローチャート(1/2)である。 本発明の実施形態に係る触媒劣化検出ルーチンの処理手順を示すフローチャート(2/2)である。 第1参考形態の原理を説明するための図である。 第1参考形態に係る触媒劣化検出ルーチンの処理手順を示すフローチャート(1/2)である。 第1参考形態に係る触媒劣化検出ルーチンの処理手順を示すフローチャート(2/2)である。 第1参考形態に係るメイン空燃比フィードバック制御ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。 第2参考形態に係るサブ空燃比フィードバック制御ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
符号の説明
2 エアクリーナ
4 スロットルボデー
5 スロットル弁
6 サージタンク(インテークマニホルド)
7 吸気管
8 アイドルアジャスト通路
10 燃料タンク
11 燃料ポンプ
12 燃料配管
20 エンジン本体(気筒)
21 燃焼室
22 冷却水通路
23 ピストン
24 吸気弁
26 排気弁
30 排気マニホルド
34 排気管
38 触媒コンバータ
40 エアフローメータ
41 バキュームセンサ
42 スロットル開度センサ
43 吸気温センサ
44 水温センサ
45 A/Fセンサ
46 O2 センサ
50 基準位置検出センサ
51 クランク角センサ
52 アイドルスイッチ
53 車速センサ
60 燃料噴射弁
62 イグナイタ
63 点火コイル
64 点火ディストリビュータ
65 スパークプラグ
66 アイドル回転速度制御弁(ISCV)
68 アラームランプ
70 エンジンECU
71 CPU
72 システムバス
73 ROM
74 RAM
75 A/D変換回路
76 入力インタフェース回路
77a,77b,77c,77d 駆動制御回路
79 バックアップRAM

Claims (3)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられた、O2ストレージ能力を有する三元触媒と、
    前記三元触媒の上流側に設けられ、前記三元触媒の入りガスの空燃比をリニアに検出する空燃比センサと、
    前記空燃比センサの出力に基づいて、空燃比を理論空燃比に収束させるための比例項及び空燃比と理論空燃比との偏差の積分値を零に収束させるための積分項からなるフィードバック補正量を演算する空燃比フィードバック制御手段と、
    前記三元触媒の下流側に設けられ、前記三元触媒からの出ガスの空燃比がリッチかリーンかを検出するO2センサと、
    前記空燃比フィードバック制御手段による空燃比フィードバック制御中の期間内での前記O2センサの出力の軌跡長に基づき前記三元触媒の劣化を判定する触媒劣化判定手段と、
    前記空燃比センサの出力が所定範囲内の値にない期間及びその後前記空燃比センサの出力が該所定範囲内の値になった時点から所定期間、前記触媒劣化判定手段による軌跡長の演算を中断せしめる軌跡長演算中断手段と、
    を具備し、前記所定期間は、前記空燃比センサと前記O 2 センサとの間の距離を考慮して設定される、内燃機関の触媒劣化検出装置。
  2. 前記所定範囲は、前記O2センサが過応答しない範囲として設定される、請求項1に記載の内燃機関の触媒劣化検出装置。
  3. 内燃機関の排気通路に設けられた、O2ストレージ能力を有する三元触媒と、
    前記三元触媒の上流側に設けられ、前記三元触媒の入りガスの空燃比をリニアに検出する空燃比センサと、
    前記空燃比センサの出力に基づいて、空燃比を理論空燃比に収束させるための比例項及び空燃比と理論空燃比との偏差の積分値を零に収束させるための積分項からなるフィードバック補正量を演算する空燃比フィードバック制御手段と、
    前記三元触媒の下流側に設けられ、前記三元触媒からの出ガスの空燃比がリッチかリーンかを検出するO2センサと、
    前記空燃比フィードバック制御手段による空燃比フィードバック制御中の期間内での前記O2センサの出力の軌跡長に基づき前記三元触媒の劣化を判定する触媒劣化判定手段と、
    前記空燃比センサの出力が前記O 2 センサが過応答する範囲内の値にある期間、及び、前記空燃比センサの出力が当該範囲外の値に復帰した時点から所定期間、前記触媒劣化判定手段による軌跡長の演算を中断せしめる軌跡長演算中断手段と、
    を具備する、内燃機関の触媒劣化検出装置。
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