JP3964215B2 - 光ディスク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、再生専用光ディスク、光記録ディスク等の光ディスクに関し、さらに詳しくは、硬度および寸法安定性に優れた硬化物層を形成しうる光硬化性フィルムを硬化せしめて得た、特に、青色光に対して透明な光透過層を有する光ディスクに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、動画情報等の膨大な情報を記録ないし保存する情報記録の媒体として再生専用光ディスクや光記録ディスク等の光情報媒体が多く用いられるようになってきた。その中の一つとして、例えば、コンパクトディスクは、ピットやグルーブ等の微細な凹凸を形成したポリカーボネート等の透明基板上に、金属薄膜等で記録層を形成し、この記録層の劣化を防ぐために5〜20μm程度の膜厚の有機保護層を設けた構造であることが一般的である。
【0003】
光ディスク製造用の透明基板は、従来、ニッケル製スタンパーを用いてインジェクションモールディングすることにより、ピットやグルーブをポリカーボネート等の透明樹脂上に転写して製造されてきた。しかし、インジェクションモールディング法においては、高温高圧の条件下で、透明樹脂をスタンパー上に流動させるので、金型内の溶融樹脂の流動ムラ、金型の冷却ムラ等により、透明基板に反りが生じることがあり、光ディスクの機械特性が劣化するという問題がある。また、高温高圧とはいえ、ポリカーボネート等の透明樹脂の溶融粘度は高いので、微細な凹凸の転写精度も十分でない。
【0004】
一方、近年、このような光ディスクの生産性および転写精度を向上させるべく、特開平2−156433号公報、特開平7−287863号公報等においては、光硬化性のドライフィルムをスタンパーに加熱しながら圧着し、ピット等の微細パターンを転写することにより、簡易な設備で効率よく高精度な光ディスクを得る手法が提案されている。
【0005】
このドライフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の支持体フィルム上に光硬化性の熱可塑性感光層が形成され、必要に応じて、感光層上にも保護フィルムが積層されたフィルムである。保護フィルムが積層されている場合は、使用時に保護フィルムを剥離し、支持体フィルム面をホットロール等で加熱加圧しながら、感光層面を光ディスク用透明基材に圧着し、支持体フィルムを剥離して、感光層を光ディスク用スタンパーに圧着したまま透明基材側から光を照射することにより、感光層を硬化させる。その後、スタンパーの微細パターンを転写した感光層の硬化物層を透明基材ごとスタンパーから剥離し、硬化物表面に各種記録膜を積層して、光ディスクを得る手法が、前記公報等に記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来技術においては、光反応性のない熱可塑性樹脂を感光層のバインダーとして使用することから、光硬化性フィルム中における光反応性官能基の濃度が低く、硬化性に劣るという問題がある。
【0007】
また、この光硬化性フィルムは、非反応性の熱可塑性樹脂が主成分であることから、硬化した被膜の架橋密度が低く、水分を吸収しやすい。従って、硬化した被膜が水分を吸収あるいは放出することにより、被膜の体積が変動する傾向にあり、得られる光ディスクは寸法安定性に劣るという問題があるばかりでなく、記録膜が腐食しやすいという問題もあり、実用的でない。
【0008】
さらに、近年は、特開平11−273147号公報に記載されるように、光硬化性フィルムを光透過層として用いる高密度光ディスクが提案されている。この光ディスクの透過層には、波長400nm程度のレーザー光に対する透明性も求められているが、従来の光硬化性フィルムでは、光ディスクとしての機械特性や、硬度および透明性に問題がある。
【0009】
本発明は、上述した各従来技術の課題を解決すべくなされたものである。すなわち本発明の目的は、優れた透明性を有し、かつ優れた硬度、記録膜保護性能、寸法安定性、機械特性などを有する硬化物層を形成できる光硬化性フィルムを硬化させて得た硬化物層を有する光ディスクを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の活性エネルギー線硬化性組成物からなる光硬化性フィルムが非常に有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、エポキシジ(メタ)アクリレート(a1)およびジイソシアネート化合物(a2)[好ましくはさらにモノアルコール化合物(a3)]を反応させて得られる化合物(A)と、化合物(A)以外のエチレン性不飽和化合物(B)とを含有する光硬化性フィルムを硬化させて得た硬化物層を有する光ディスクである。
【0013】
なお、本発明において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの総称である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の光硬化性フィルムは、特定の化合物(A)と、化合物(A)以外のエチレン性不飽和化合物(B)とにより構成される活性エネルギー線硬化性組成物を、例えば、PET、アモルファスポリオレフィン、ポリカーボネート等の支持体フィルム上に熱可塑性感光層としてフィルム状に賦型した、実質的に溶剤を含まない光硬化性フィルムである。
【0015】
化合物(A)は、この硬化性組成物にフィルム形成能を付与し、なおかつ、光硬化性を有するバインダー成分として働き、得られる硬化物層に機械的強度と耐水性を付与する成分である。この化合物(A)は、エポキシジ(メタ)アクリレート(a1)およびジイソシアネート化合物(a2)[好ましくはさらにモノアルコール化合物(a3)]を反応させて得られる。
【0016】
化合物(A)は、実質的に線状の高分子でありながら、その側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するため、フィルム形成用バインダーとしても架橋剤としても有用な成分である。
【0017】
化合物(A)を合成するために使用可能なエポキシジ(メタ)アクリレート(a1)は、特に限定されない。ただし、エポキシジ(メタ)アクリレート(a1)に含有される不純物のうち、分子内に3個以上の水酸基を含有する化合物の含有量は、5質量%未満であることが好ましい。この含有量が5質量%未満であれば、化合物(A)合成に際してゲル化が生じ難く、化合物(A)の貯蔵安定性も良く、経時的変化としての増粘やゲル化も生じ難くなる。
【0018】
エポキシジ(メタ)アクリレート(a1)の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂を(メタ)アクリル酸でエステル化したビスフェノール型エポキシジ(メタ)アクリレート類;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールS型エポキシ樹脂等の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂を(メタ)アクリル酸でエステル化した水添ビスフェノール型エポキシジ(メタ)アクリレート類;シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリシクロデカンジメタノールジグリシジルエーテル等の脂環式グリシジルエーテルを(メタ)アクリル酸でエステル化した脂環式グリシジルエーテル型エポキシジ(メタ)アクリレート類;ジグリシジルアニリン、ジグリシジルオルトトルイジン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂を(メタ)アクリル酸でエステル化したグリシジルアミン型エポキシジ(メタ)アクリレート類;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等の脂環式エポキシ樹脂を(メタ)アクリル酸でエステル化した脂環式エポキシジ(メタ)アクリレート類;アジピン酸ジグリシジルエステル、オルトフタル酸ジグリシジルエステル等のグリシジルエステル化合物を(メタ)アクリル酸でエステル化したグリシジルエステルアクリレート類;エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族グリシジルエーテルを(メタ)アクリル酸でエステル化した脂肪族エポキシジ(メタ)アクリレート類;等が挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。なかでも、得られる硬化物の硬度や耐水性の観点から、ビスフェノール型エポキシジ(メタ)アクリレート類、水添ビスフェノール型エポキシジ(メタ)アクリレート類が好ましい。
【0019】
ジイソシアネート化合物(a2)は、上述したエポキシジ(メタ)アクリレート(a1)の2個の水酸基と付加することにより、ポリウレタン化を行い、高分子化を進めて、化合物(A)を得るための成分である。
【0020】
ジイソシアネート化合物(a2)は特に限定されず、従来より知られる各種のジイソシアネート化合物が使用可能である。その具体例としては、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン、ビス(3−クロロ−4−イソシアナトフェニル)メタン、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、トリス(4−イソシアナトフェニル)メタン、1,2−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水添テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
【0021】
なかでも、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、2、4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,2−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、水添テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートが好ましい。更に、硬化物に優れた靭性と難黄変性を付与できることから、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、水添テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族骨格のジイソシナネート化合物が特に好ましい。また、加水分解性塩素量が100ppm以下であるジイソシアネート化合物を使用することが、光ディスクの記録膜保護性能向上の観点から最も好ましい。
【0022】
化合物(A)の合成に際しては、上述した(a1)成分と(a2)成分の反応により得られたウレタンプレポリマーの末端イソシアネート基を封鎖し、ゲル化を防止するあるいは、貯蔵安定性を良好にするために、モノアルコール化合物(a3)を末端封鎖剤として使用することが好ましい。
【0023】
モノアルコール化合物(a3)の具体例としては、分子内に1個の水酸基を持つモノアルコール化合物であればよく、特に限定されない。その具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール等の脂肪族飽和アルコール類;メトキシエタノール、メトキシプロパノール、メトキシブタノール、エトキシエタノール、エトキシプロパノール、エトキシブタノール等のアルコキシアルコール類;ベンジルアルコール、トルイジルアルコール、フェネチルアルコール等の芳香族アルコール類;シクロヘキサノール、イソボルニルアルコール、ノルボルニルアルコール、トリシクロデカノール等の脂環式アルコール類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;上述の各モノアルコール類にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したアルコール類やカプロラクトンで変性したアルコール類;等が挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。なかでも、得られる化合物(A)の硬化性向上の観点から、分子内に1個の水酸基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類が特に好ましい。
【0024】
また、(a1)成分および(a2)成分に加えて、その性能を損なわない範囲で(a1)成分以外のジオール成分(a4)を共に反応させて、化合物(A)を合成してもよい。
【0025】
ジオール成分(a4)は、水酸基を2個含有する化合物であって、(a1)成分以外のものであれば特に限定されない。その具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、1−メチルブチレングリコール等のポリエーテルポリオール類;ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−メチルペンタンジオール、2,4−ジエチルペンタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールA等のジオール類;これらジオール類にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテル変性ジオール類;これらジオール類と、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸類またはこれら多塩基酸の酸無水物類との反応によって得られるポリエステルジオール類;これらジオール類と、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類との反応によって得られるポリカプロラクトンジオール類;前記ジアルコール類および前記多塩基酸類と、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類との反応によって得られるカプロラクトン変性ポリエステルジオール類;ポリカーボネートジオール類;ポリブタジエンジオール類等が挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
【0026】
主成分である化合物(A)の分子量に関して、フィルム形成能の観点から、その重量平均分子量は5千以上が好ましく、また、化合物(A)の貯蔵安定性の観点から、重量平均分子量は10万以下が好ましい。
【0027】
本発明において、(A)成分の使用量は特に限定されないが、(A)成分および(B)成分の合計量100質量部を基準として、得られる硬化物のフィルム形成性と硬度の観点から5質量部以上が好ましく、また、光硬化性フィルムのスタンパーへの埋まりこみ性と得られる光ディスクの機械特性の観点から95質量部以下が好ましい。さらに、下限については10質量部以上が特に好ましく、上限については90質量部以下が特に好ましい。
【0028】
本発明において、化合物(A)以外のエチレン性不飽和化合物(B)は、光硬化性フィルムの硬化性を向上させ、(A)成分と共に光重合することにより得られる硬化物の架橋密度を高め、機械的強度や耐水性を向上させる成分である。
【0029】
このエチレン性不飽和化合物(B)は特に限定されず、従来より知られる各種のエチレン性不飽和化合物を使用できる。その具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、トリスエトキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリル酸エステル、エトキシレーテッドペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリル酸エステル、エトキシレーテッドペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリル酸エステル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリル酸エステル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリル酸エステル、炭素数2〜5の脂肪族炭化水素変性トリメチロールプロパントリアクリレート、炭素数2〜5の脂肪族炭化水素変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、炭素数2〜5の脂肪族炭化水素変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート等の多官能(メタ)アクリル酸エステル類;
ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリル酸メチルペンタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチルペンタンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸シクロヘキサンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッドシクロヘキサンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッドシクロヘキサンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッドビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッドビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸水添ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッド水添ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッド水添ビスフェノールA、ビスフェノキシフルオレンエタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのγ−ブチロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ネオペンチルグリコールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ブチレングリコールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、シクロヘキサンジメタノールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ジシクロペンタンジオールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールAのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、水添ビスフェノールAのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールFのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート等のジ(メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチルビシクロヘプタン、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸テトラシクロドデカニル、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
酢酸ビニル、酪酸ビニル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アジピン酸ジビニル等のビニルエステルモノマー類;エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;
フタル酸、コハク酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テレフタル酸、アゼライン酸、アジピン酸等の多塩基酸、エチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の多価アルコールおよび(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応で得られるポリエステルポリ(メタ)アクリレート類;
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類とエピクロルヒドリンの縮合反応で得られるビスフェノール型エポキシ樹脂に、(メタ)アクリル酸またはその誘導体を反応させたエポキシ(メタ)アクリレート類;
有機ジイソシアネート化合物の1種単独または2種以上の混合物に、分子中に1個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基、および1個のヒドロキシ基を有するヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルの1種単独または2種以上の混合物を反応させた(A)成分以外のウレタン(メタ)アクリレート類;
アルカンジオール、ポリエーテルジオール、ポリブタジエンジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、アミドジオール、スピログリコール化合物等の1種または2種以上の混合物からなるアルコール類の水酸基に有機ジイソシアネート化合物を付加し、得られたウレタンプレポリマーのイソシアネート基に、分子中に1個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基、および1個のヒドロキシ基を有するヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させた(A)成分以外のウレタン(メタ)アクリレート類;等が挙げられる。
【0030】
これらは1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
【0031】
これらの中でも、得られる硬化被膜が靭性に優れることから、ウレタン(メタ)アクリレート類が好ましく、さらに、得られる硬化被膜の強度の観点から、分子内に少なくとも1個のアミド基を有するウレタン(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0032】
このようなウレタン(メタ)アクリレート化合物は特に限定されないが、得られる光硬化性フィルムを用いて、膜厚10〜150μm程度の硬化物層を形成する場合には、例えば、下記(b1)〜(b4)の4成分から合成したウレタン(メタ)アクリレート等が好適である。
【0033】
(b1)分子内に1個以上のアミド基および少なくとも2個のヒドロキシ基を有するアミドヒドロキシ化合物
(b2)多価アルコール化合物[ただし(b1)成分は除く]
(b3)有機ジイソシナネート化合物
(b4)分子中に1個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基および1個のヒドロキシ基を有するヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル。
【0034】
分子内に1個以上のアミド基および少なくとも2個のヒドロキシ基を有するアミドヒドロキシ化合物(b1)は、本発明の光硬化性フィルムを重合硬化してなる硬化物層の低収縮性を維持したまま、機械的強度を向上させるという、靭性を向上させる作用を有する成分である。
【0035】
この(b1)成分の具体例としては、環状ヒドロキシカルボン酸エステルとアンモニア、または1個の第一級または第二級アミノ窒素を含む化合物との反応生成物が挙げられる。
【0036】
環状ヒドロキシカルボン酸エステルの具体例としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる、なかでも、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンが特に好ましい。
【0037】
1個の第一級または第二級アミノ窒素を含む化合物の具体例としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、6−アミノ−1−ヘキサノール、1,4−ジアミノブタン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノデカン等が挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。なかでも、エタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミンが特に好ましい。
【0038】
環状ヒドロキシカルボン酸エステルと1個の第一級または第二級アミノ窒素を含む化合物の反応は、例えば、当モル量の両者を混合し、約100℃で6〜24時間加熱することにより行われる。
【0039】
最も好ましい(b1)成分としては、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−ヒドロキシプロピルアミドが挙げられる。
【0040】
多価アルコール化合物(b2)は、ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)の硬化物の柔軟性と伸度を向上させる作用を有する成分である。例えば、従来より市販されている各種の多価アルコール化合物を、この(b2)成分として用いることができる。
【0041】
(b2)成分の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、1−メチルブチレングリコール等のポリエーテルポリオール類;ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−メチルペンタンジオール、2,4−ジエチルペンタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類;これら多価アルコール類にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテル変性ポリオール類;これら多価アルコール類と、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸類またはこれら多塩基酸の酸無水物類との反応によって得られるポリエステルポリオール類;これら多価アルコール類と、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類との反応によって得られるポリカプロラクトンポリオール類;これら多価アルコール類および多塩基酸類と、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類との反応によって得られるカプロラクトン変性ポリエステルポリオール類;ポリカーボネートジオール類;ポリブタジエンジオール類、ポリイソプレンジオール類等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
【0042】
多価アルコール化合物(b2)は、得られる硬化物の低収縮性を考慮すると、分子量は300以上であることが好ましく、また、得られる組成物の低粘度化の観点から分子量は2000以下であることが好ましい。さらに、上記したもののうち、ポリブチレングリコール、ポリカプロラクトンポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートジオール類が特に好ましい。
【0043】
有機ジイソシナネート化合物(b3)は、前記2種のアルコール成分(b1)および(b2)にウレタン結合を導入し、強靱性を増すための成分であるだけでなく、後述するヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルを付加するためのウレタン(メタ)アクリレート合成成分でもある。
【0044】
この(b3)成分の具体例としては、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン、ビス(3−クロロ−4−イソシアナトフェニル)メタン、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、トリス(4−イソシアナトフェニル)メタン、1,2−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水添テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。これらは、1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
【0045】
上記した中でも、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,2−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、水添テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートが好ましい。さらに、保護層に優れた靭性と難黄変性を付与できることから、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、水添テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族骨格のジイソシナネート化合物が特に好ましい。また、加水分解性塩素量が100ppm以下であるジイソシアネート化合物を使用することが、光ディスクの記録膜保護性能向上の観点から最も好ましい。
【0046】
分子中に1個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基および1個のヒドロキシ基を有するヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル(b4)は、製造したポリウレタン前駆体の末端に付加することで、ラジカル反応性を付与する成分である。
【0047】
(b4)成分の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンの付加物、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンの付加物、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。なかでも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0048】
以上説明した(b1)〜(b4)の4成分からウレタン(メタ)アクリレートを合成する方法は特に限定されず、従来より知られる各種の合成法が使用可能である。例えば、(b1)成分と(b2)成分の混合物0.8〜1.2モルと、合成触媒として働くジラウリル酸ジノルマルブチル錫を最終総量に対して50〜300ppm合成釜内に仕込み、これを40〜80℃で加熱・攪拌しながら、(b3)成分であるジイソシアネート2モルを滴下することで前駆体のイソシアネート末端ポリウレタンが得られる。これに更に(b4)成分の0.8〜1.2モルを滴下し、60〜80℃で4〜8時間保持することで、ウレタン(メタ)アクリレート化合物が得られる。
【0049】
本発明において、(B)成分の使用量は特に限定されないが、(A)成分および(B)成分の合計量100質量部を基準として、光硬化性フィルムの光ディスク用スタンパーへの埋まりこみ性の観点から5質量部以上が好ましく、また、光硬化性フィルムを高温で保存する際の形態安定性の観点から95質量部以下であることが好ましい。さらに、下限については10質量部以上が特に好ましく、上限については90質量部以下が特に好ましい。
【0050】
本発明の光硬化性フィルムは、さらに光重合開始剤(C)を含有することにより、紫外線硬化法による硬化物を効率よく生成することができる。この(C)成分の具体例としては、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、メチルベンゾイルホルメート等が挙げられる。
【0051】
例えば、光ディスクの読み取りに用いるレーザーの波長が380〜800nmの範囲である場合は、読み取りに必要なレーザー光が十分に保護層を通過するよう、光重合開始剤の種類および使用量を適宜選択して用いることが好ましい。
【0052】
波長400nm前後の短波長レーザーを利用する場合には、得られる硬化物層がそのレーザー光を吸収しない、短波長感光型光重合開始剤を使用することが特に好ましい。この短波長感光型光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、メチルベンゾイルホルメート等が挙げられる。
【0053】
これら光重合開始剤は、1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
【0054】
本発明において、光重合開始剤(C)の使用量は特に限定されないが、(A)成分および(B)成分の合計量100質量部に対して、0.001〜5質量部の範囲内で添加することが好ましく、0.01〜3質量部の範囲がさらに好ましい。
【0055】
更に、本発明の光硬化性フィルムには、必要に応じて、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸アミル、4−ジメチルアミノアセトフェノン等の公知の光増感剤を添加することもできる。また、その性能を損なわない範囲内で、必要に応じて、例えば、熱可塑性高分子、スリップ剤、レベリング剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、無機フィラー、有機フィラー、表面有機化処理した無機フィラー等、公知の添加剤を適宜配合して用いてもよい。
【0056】
これらの添加剤の中でも、長期使用に際して、硬化被膜の黄変を防ぎ、青色レーザーによる光ディスクの読み込みあるいは書き込みに支障をきたさないようにするため、酸化防止剤や光安定剤を使用することが好ましい。
【0057】
この酸化防止剤や光安定剤の具体例としては、例えば、各種市販されている、住友化学(株)製スミライザーBHT、スミライザーS、スミライザーBP−76、スミライザーMDP−S、スミライザーGM、スミライザーBBM−S、スミライザーWX−R、スミライザーNW、スミライザーBP−179、スミライザーBP−101、スミライザーGA−80、スミライザーTNP、スミライザーTPP−R、スミライザーP−16、旭電化工業(株)製アデカスタブAO−20、アデカスタブAO−30、アデカスタブAO−40、アデカスタブAO−50、アデカスタブAO−60AO−70、アデカスタブAO−80、アデカスタブAO−330、アデカスタブPEP−4C、アデカスタブPEP−8、アデカスタブPEP−24G、アデカスタブPEP−36、アデカスタブHP−10、アデカスタブ2112、アデカスタブ260、アデカスタブ522A、アデカスタブ329K、アデカスタブ1500、アデカスタブC、アデカスタブ135A、アデカスタブ3010、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製チヌビン770、チヌビン765、チヌビン144、チヌビン622、チヌビン111、チヌビン123、チヌビン292、日立化成工業(株)製ファンクリルFA−711M、FA−712HM等が挙げられる(以上、全て商品名)。酸化防止剤や光安定剤の添加量は特に限定されないが、(A)成分および(B)成分の合計量100質量部に対して、0.001〜2質量部の範囲内で添加することが好ましく、0.01〜1質量部の範囲内がさらに好ましい。
【0058】
本発明の光硬化性フィルムは、上述した各種成分からなる組成物をフィルム化することにより得られる。例えば、その組成物を、ポリエステル、アモルファスポリオレフィン、ポリカーボネート等の透明支持体フィルム上に塗工して感光層とし、必要に応じて感光層上にポリエステル、アモルファスポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の保護フィルムを積層して、光硬化性フィルムとして利用できる。
【0059】
本発明の光硬化性フィルムは、光ディスクの製造に特に有用であるが、優れた透明性、硬度、寸法安定性を有することから各種基材の表面保護被膜としても利用可能であり、液晶パネル、エレクトロルミネッセンスパネル、プラズマディスプレイパネル、フィールドエミッションディスプレイパネル等の各種ディスプレイ用透明基板の表面保護や、自動車、航空機などのフロント、リア、ルーフ等の透明基材の表面保護にも利用可能であり、さらにはフレキシブルプリント配線板のカバーレイフィルムとしても、また光導電路やその鞘材としても使用可能である。
【0060】
この光硬化性フィルムを用いて、例えば、光ディスク用スタンパーから所望の微細パターンを転写し、光ディスクを製造することができる。その製造における具体的な方法は特に限定されず、従来より知られる各種のスタンパー転写方法が利用可能である。
【0061】
例えば、光硬化性フィルムの感光層面をスタンパーに圧着し、支持体フィルム側から光照射して感光層を硬化させ、その後スタンパーから剥離して、微細パターンを転写したフィルムを光ディスク用基板に積層してもよい。また例えば、光ディスク用透明基板に光硬化性フィルムの感光層面を圧着し、その後支持体フィルムを剥離し、感光層面にスタンパーを圧着し、光ディスク用透明基板側から光照射して感光層を硬化させてもよい。
【0062】
また、圧着された感光層を硬化させる手段としては、光エネルギー照射、例えばα、βおよびγ線などの活性エネルギー線を公知の方法で硬化性組成物に照射することにより行えばよい。特に、紫外線を用いることが好ましい。紫外線発生源としては、実用性、経済性の面から、一般に使用されている紫外線ランプを用いることが好ましい。紫外線ランプの具体例としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、セノンランプ、メタルハライドランプなどが挙げられる。光エネルギー照射の雰囲気は、空気中でもよいし、窒素、アルゴン等の不活性ガス中でもよい。
【0063】
本発明の光ディスクは、本発明の光硬化性フィルムの感光層を硬化させて得た硬化物層を有するものであり、それ以外の構造などは特に限定されない。また、この硬化物層の目的とする機能も特に限定されない。例えば、光ディスクの記録層の保護層として使用することもできるし、さらには、多層記録型光ディスクの接着剤兼保護層として使用することも可能である。
【0064】
本発明の光ディスクにおいて、スタンパーを転写した硬化物層上に形成する記録層としては、特に限定されず、従来公知の記録用材料を使用すればよい。例えば、読み取り専用光ディスクの場合、記録層の材質としては、金、銀、銀合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、光の反射率の高い金属であれば使用可能である、。特に、低コストで耐久性の高いアルミニウム合金が好ましい。また例えば、書き換え可能な光ディスクの場合、相変化記録層の材質としては、銀・In・Te・Sb合金、銀・In・Te・Sb・Ge合金、Ge・Sb・Te合金、Ge・Sn・Sb・Te合金、Sb・Te合金等が使用可能であり、光磁気記録層の材質としては、Tb・Fe・Co系合金等が使用可能である。
【0065】
さらに、これらの各種記録層に対して、SiN、ZnS、SiO2等の誘電膜を積層することも可能である。ただし、これに限定されるものではない。
【0066】
これらの記録層を形成するには、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等、公知の薄膜形成技術を使用可能である。
【0067】
硬化物層の厚みは特に限定されないが、記録層の酸化劣化や水分による劣化を抑制し易いことから5μm以上が好ましく、また、得られる光ディスクの反り量を抑制する観点から200μm以下が好ましい。さらに、下限については10μm以上がより好ましく、上限については150μm以下がより好ましい。
【0068】
本発明の光ディスクにおいては、記録層に情報を書き込んだり読み込んだりする際にレーザー光が硬化物層を透過してもよい。ここで、レーザー光として、波長400nm前後の青紫色レーザー光を利用する場合には、読み取りおよびまたは書き込みエラーを防ぐために、硬化物層を通した波長400nmの光線透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
【0069】
【実施例】
以下、本発明について実施例を用いて詳細に説明する。
【0070】
<合成例1>[化合物A(A1)の製造]
攪拌機、温度調節器、温度計および凝縮器を備えた内容積3リットルの三つ口フラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成(株)製、商品名YD8125、分子蒸留精製品、エポキシ当量173)346g、アクリル酸144g、メタクリル酸ジメチルアミノエチル2.45g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.49gを仕込み、95℃で24時間反応させた。反応の終点は酸価測定により行い、酸価1mgKOH/g以下であることを確認し、ビスフェノールA型エポキシジアクリレートを得た。得られたサンプルをGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により分析すると、分子内にOH基を3個以上有するオリゴエポキシジアクリレートの不純物濃度は3質量%であった。
【0071】
その後、フラスコ内に酢酸エチルを857.29g追加し、そのエポキシジアクリレートを溶解させ、さらにジブチル錫ジラウレートを0.15g追加した。フラスコ内温度を60℃に保ち、攪拌を続けながら、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(住友バイエルエレタン製、商品名デスモジュールW)317.8gを滴下ロートに仕込み、2時間かけてフラスコ内へ滴下し、フラスコ内温度60℃で2時間保持した後、フラスコ内に2−ヒドロキシエチルアクリレートを46.4g追加して、同温度でさらに2時間保持して反応を終了し、化合物(A1)を得た。反応の終了はイソシアネート当量の測定により行い、反応率99%以上であることを確認した。得られた化合物(A1)をGPC分析すると、重量平均分子量は17000であった。
【0072】
<合成例2>[化合物A(A2)の製造]
合成例1と同様のフラスコに、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成(株)製、商品名YDF8170、分子蒸留精製品、エポキシ当量160)320g、アクリル酸144g、メタクリル酸ジメチルアミノエチル2.32g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.46gを仕込み、95℃で24時間反応させた。反応の終点は酸価測定により行い、酸価1mgKOH/g以下であることを確認し、ビスフェノールF型エポキシジアクリレートを得た。得られたサンプルをGPCにより分析すると、分子内にOH基を3個以上有するオリゴエポキシジアクリレートの不純物濃度は3質量%であった。
【0073】
その後、フラスコ内に酢酸エチルを831.1g追加し、そのエポキシジアクリレートを溶解させ、さらにジブチル錫ジラウレートを0.12g追加した。前記フラスコ内温度を60℃に保ち、攪拌を続けながら、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(デスモジュールW)317.8gを滴下ロートに仕込み、2時間かけてフラスコ内へ滴下し、フラスコ内温度60℃で2時間保持した後、フラスコ内に2−ヒドロキシエチルアクリレートを46.4g追加して、同温度でさらに2時間保持して反応を終了し、化合物(A2)を得た。反応の終了はイソシアネート当量の測定により行い、反応率99%以上であることを確認した。得られた化合物(A2)をGPC分析すると、重量平均分子量は16000であった。
【0074】
<合成例3>[化合物A(A3)の製造]
合成例1と同様のフラスコに、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭電化工業(株)製、商品名EP−4080S、エポキシ当量210)420g、アクリル
酸144g、メタクリル酸ジメチルアミノエチル2.82g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.56gを仕込み、95℃で32時間反応させた。反応の終点は酸価測定により行い、酸価1mgKOH/g以下であることを確認し、水添ビスフェノールA型エポキシジアクリレートを得た。得られたサンプルをGPCにより分析すると、分子内にOH基を3個以上有するオリゴエポキシジアクリレートの不純物濃度は2質量%であった。
【0075】
その後、フラスコ内に酢酸エチルを931.72g追加し、そのエポキシジアクリレートを溶解させ、さらにジブチル錫ジラウレートを0.14g追加した。前記フラスコ内温度を60℃に保ち、攪拌を続けながら、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(デスモジュールW)317.8gを滴下ロートに仕込み、2時間かけてフラスコ内へ滴下し、フラスコ内温度60℃で2時間保持した後、フラスコ内に2−ヒドロキシエチルアクリレートを46.4g追加して、同温度でさらに2時間保持して反応を終了し、化合物(A3)を得た。反応の終了はイソシアネート当量の測定により行い、反応率99%以上であることを確認した。得られた化合物(A3)をGPC分析すると、重量平均分子量は20000であった。
【0076】
<合成例4>[化合物A(A4)の製造]
合成例1と同様のフラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、商品名エピコート827、エポキシ当量180)360g、アクリル酸144g、メタクリル酸ジメチルアミノエチル2.52g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.5gを仕込み、95℃で24時間反応させた。反応の終点は酸価測定により行い、酸価1mgKOH/g以下であることを確認し、ビスフェノーA型エポキシジアクリレートを得た。得られたサンプルをGPCにより分析すると、分子内にOH基を3個以上有するオリゴエポキシジアクリレートの不純物濃度は9質量%であった。
【0077】
その後、フラスコ内に酢酸エチルを871.35g追加し、そのエポキシジアクリレートを溶解させ、さらにジブチル錫ジラウレートを0.13g追加した。前記フラスコ内温度を60℃に保ち、攪拌を続けながら、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(デスモジュールW)317.8gを滴下ロートに仕込み、2時間かけてフラスコ内へ滴下し、フラスコ内温度60℃で2時間保持した後、フラスコ内に2−ヒドロキシエチルアクリレートを46.4g追加して、同温度でさらに2時間保持して反応を終了し、化合物(A4)を得た。反応の終了はイソシアネート当量の測定により行い、反応率99%以上であることを確認した。得られた化合物(A4)をGPC分析すると、重量平均分子量は50000であった。
【0078】
<合成例5>[化合物A(A5)の製造]
合成例1と同様のフラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成(株)製、商品名YD8125、分子蒸留精製品、エポキシ当量173)346g、アクリル酸144g、メタクリル酸ジメチルアミノエチル2.45g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.49gを仕込み、95℃で24時間反応させた。反応の終点は酸価測定により行い、酸価1mgKOH/g以下であることを確認し、ビスフェノールA型エポキシジアクリレートを得た。得られたサンプルをGPCにより分析すると、分子内にOH基を3個以上有するオリゴエポキシジアクリレートの不純物濃度は3質量%であった。
【0079】
その後、フラスコ内に酢酸エチルを652g追加し、そのエポキシジアクリレートを溶解させ、さらにジブチル錫ジラウレートを0.14g追加した。フラスコ内温度を60℃に保ち、攪拌を続けながら、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(デスモジュールW)158.9gを滴下ロートに仕込み、2時間かけてフラスコ内へ滴下し、フラスコ内温度60℃で4時間保持して、化合物(A5)を得た。反応の終了はイソシアネート当量の測定により行い、反応率99%以上であることを確認した。得られた化合物(A5)をGPC分析すると、重量平均分子量は8000であった。
【0080】
<合成例6>[化合物(B)(B1)の製造]
(1)攪拌機、温度調節器、温度計および凝縮器を備えた内容積5リットルの三つ口フラスコに、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(デスモジュールW)1324g(5モル相当量)、およびジブチル錫ジラウレート0.5gを仕込んで、ウオーターバスで内温が70℃になるように加熱した。
【0081】
(2)N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシプロピルアミド161g(1モル相当量)とポリブチレングリコール(n=12、平均分子量850)1062.5g(1.25モル相当量)を均一に混合溶解させた液を側管付きの滴下ロートに仕込み、この滴下ロート内の液を、上記(1)のフラスコ中の内容物を撹拌しつつ、フラスコ内温を65〜75℃に保ちながら4時間等速滴下により滴下し、同温度で2時間撹拌して反応させた。
【0082】
(3)次いで、フラスコ内容物の温度を60℃に下げた後、別の滴下ロートに仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレート638.6g(5.5モル相当量)とハイドロキノンモノメチルエーテル1.6gを均一に混合溶解させた液をフラスコ内温を55〜65℃に保ちながら2時間等速滴下により滴下した後、フラスコ内容物の温度を75〜85℃に保って4時間反応させて、ウレタンアクリレート(B1)を得た。反応の終了はイソシアネート当量の測定により行い、反応率99%以上であることを確認した。得られたウレタンアクリレート(B1)をGPC分析すると、重量平均分子量は6000であった。
【0083】
以下の実施例においては、合成例1〜6で得た各化合物を使用して、光硬化性フィルムを製造する。なお、以下の記載において「部」は重量基準である。また、実施例中の「反り角」とは、光ディスク最外周における光硬化性フィルムの硬化物層側への半径方向の最大反り角を意味する。
【0084】
[実施例1]
(1)光硬化性フィルムの製造
合成例1で得た化合物(A1)(固形分濃度50質量%)40部、合成例5で得た化合物(B1)80部、酢酸エチル131.2部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン0.7部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド0.1部を混合溶解し、光硬化性組成物の酢酸エチル40質量%溶液を得た。この溶液を、A4サイズの離型処理済みPETフィルム(厚さ30μm)上にバーコータ#30を用いて全面に塗工し、室温にて5分間、酢酸エチルを乾燥させた後、さらに80℃の熱風乾燥炉にて10分間乾燥を行い、離型処理済みPETフィルム支持体上に膜厚20μmの感光層を形成して光硬化性フィルムとした。感光層表面は室温にて、若干タックの残る触感であった。
【0085】
この感光層の残溶剤量はガスクロマトフラフィー分析により、0.1質量%であった。また、同様な手法でバーコータ#120を用いて、膜厚80μmの光硬化性フィルムも製造した。
【0086】
(2)評価用光ディスクの作製および評価
ポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製、商品名パンライトAD9000T)を射出成型して、光ディスク形状を有する透明円盤状ポリカーボネート基板(直径12cm、板厚1.1mm、反り角0度)を得た。次いでホットロールラミネーターを用いて、フィルム感光層側をポリカーボネート基板に0.1MPaの圧力で押し付け、感光層膜厚20μmの光硬化性フィルムをラミネートした。
【0087】
次いで、光ディスク面より外側の余分な光硬化性フィルムを切り取り、PETフィルムを剥離し、ピットおよびグルーブの反転パターンを形成した光ディスクスタンパーを100℃に加温し、0.2MPaの圧力でポリカーボネート基板上にある感光層に圧着した。その後、ランプ高さ10cmの高圧水銀灯(120w/cm)により、積算光量1000mJ/cm2のエネルギー量でポリカーボネート側から紫外線照射し、感光層を硬化させて、スタンパーを剥離し、ピットおよびグルーブが転写された硬化物層を有する透明円盤を得た。
【0088】
得られた透明円盤の硬化物層側に、スパッタリング装置(バルザース(株)製、商品名CDI−900)により、アルミニウム合金を膜厚50nmでスパッタリングし、信号記録面にアルミ合金反射膜を有する光ディスクを得た。さらに、そのアルミ合金反射膜面に、ホットロールラミネーターを用いて、膜厚80μmの感光層を有する光硬化性フィルムを、前記同様の条件でラミネートし、同様に余分なフィルムを切り取った後、PET側からランプ高さ10cmの高圧水銀灯(120w/cm)により、積算光量1000mj/cm2のエネルギー量で紫外線照射し、感光層を硬化させて、アルミ合金反射膜の保護被膜とした。感光層硬化後、PETフィルムを剥離し、硬化物層の鉛筆硬度をJIS K5400準拠の方法で測定したところ、2Bであり、ポリカーボネート基板(鉛筆硬度:4B)より硬く良好であった。なお鉛筆硬度は2B以上を許容範囲とした。
【0089】
得られた光ディスクについて、光ディスク光学機械特性測定装置(ジャパンイーエム(株)製、商品名DLD−3000)を用いて、20℃、50%RH環境下にて反り角を測定したところ、反り角は0.05度であり、良好な機械特性を示した。さらに、この光ディスクを80℃、85%RHの環境条件下に100時間放置した後、取り出して、再び反り角を測定したところ、反り角は0.05度であり、初期と全く変化なく良好であった。なお、反り角の範囲は初期および耐久試験後ともに、−0.2〜0.2度を許容範囲とした。
【0090】
また、顕微鏡にて800倍の倍率でアルミ合金面を観察したところ、白化やピンホール等の腐食は発生しておらず、良好な記録膜保護性能を示した。なお、記録膜保護性能の評価基準は以下の通りである。
「○」:白化・ピンホール等の異常なし。
「△」:白化・ピンホール等発生しないが、金属面に荒れが観察される。
「×」:白化・ピンホール等の異常発生。
【0091】
また、膜厚80μmの光硬化性フィルムをガラス板上にラミネートし、前記と同様な条件で、PETフィルム側から紫外線硬化させ、PETを剥離して、さらに、ガラス板から硬化物層を剥離したサンプルについて、分光光度計(日立製作所(株)製、商品名U−3400)を用いて、波長400nmでの光線透過率を測定したところ86%であり、良好な光透過率であった。なお、400nm光線透過率は70%以上を許容範囲とした。
【0092】
(3)光硬化性フィルム製造用原液貯蔵安定性
合成例1で得た化合物(A1)(固形分濃度40質量%)を遮光条件下、密封状態で60℃で2週間保存したのち、取り出し、常温で観察したところ、増粘しておらず、良好な貯蔵安定性を示した。なお、貯蔵安定性の評価基準は以下の通りである。
「○」:増粘・ゲル化なし。
「△」:ゲル化は起こさないが、増粘が観察される。
「×」:ゲル化物が観察される、あるいは完全にゲル化。
【0093】
[実施例2〜6]
表1の実施例2〜6の欄に示す光硬化性フィルム用組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光硬化性フィルム、光ディスクを作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0094】
[比較例1]
表1の比較例1の欄に示す光硬化性フィルム用組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光硬化性フィルム、光ディスクを作製し、評価した。本比較例では、架橋密度が高いため、得られた光ディスクの反りが許容範囲を越えてしまった。結果を表1に示す。
【0095】
[比較例2]
表1の比較例2の欄に示す光硬化性フィルム用組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光硬化性フィルム、光ディスクを作製し、評価した。本比較例では、硬化物層が非常に柔軟であり、光ディスクの機械特性は良好であるが、鉛筆硬度が低すぎて不良であった。結果を表1に示す。
【0096】
[比較例3]
表1の比較例3の欄に示す光硬化性フィルム用組成物(特開平2−156433号公報記載のフィルム形成用塗布液に類似した組成物)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光硬化性フィルム、光ディスクを作製し、評価した。本比較例では、光透過率が不良であり、また、架橋密度が低いため、硬化物層の鉛筆硬度が低く、また耐久試験中に吸湿したため、硬化物層の体積が膨張し、硬化物層がある側とは逆の向きに大きく反りが発生した。結果を表1に示す。
【0097】
【表1】
【0098】
表1中の略号は、以下の通りである。
TEGDA:テトラエチレングリコールジアクリレート
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
C9DA:1,9−ノナンジオールジアクリレート
TAIC:トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート
HCPK:1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン
TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド
BNP:ベンゾフェノン
EAB:4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
PMMA:重量平均分子量140000のポリメチルメタクリレート
【0099】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明に用いる光硬化性フィルムは、優れた透明性を有し、かつ優れた硬度、記録膜保護性能、寸法安定性、機械特性などを有する層を形成でき、再生専用光ディスク、光記録ディスク等の光ディスク製造などに有用である。本発明によれば、例えば100μm程度の光透過層を有する高密度型光ディスクを得ることも可能となり、青紫色レーザーを用いて読み取りおよび/または書き込みを行う光ディスクとして極めて有用である。
Claims (3)
- エポキシジ(メタ)アクリレート(a1)およびジイソシアネート化合物(a2)を反応させて得られる化合物(A)と、化合物(A)以外のエチレン性不飽和化合物(B)とを含有する光硬化性フィルムを硬化させて得た硬化物層を有する光ディスク。
- エポキシジ(メタ)アクリレート(a1)、ジイソシアネート化合物(a2)およびモノアルコール化合物(a3)を反応させて得られる化合物(A)と、化合物(A)以外のエチレン性不飽和化合物(B)とを含有する光硬化性フィルムを硬化させて得た硬化物層を有する光ディスク。
- エポキシジ(メタ)アクリレート(a1)に含有される不純物のうち、分子内に3個以上の水酸基を含有する化合物の含有量が5質量%未満である光硬化性フィルムを硬化させて得た硬化物層を有する請求項1または2記載の光ディスク。
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