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JP3962792B2 - 蒸気滅菌方法 - Google Patents

蒸気滅菌方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は蒸気滅菌方法に関し、更に詳細には被滅菌物を収容した滅菌室内に蒸気を導入して被滅菌物を加熱滅菌した後、前記滅菌室内を吸引して真空状態とする操作と滅菌室内への熱風の吹き込み操作とを交互に繰り返して被滅菌物を乾燥する蒸気滅菌方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
病院等において、手術用品等の滅菌に使用される滅菌装置は、図6に示す様に、内部が滅菌室となる内缶5と外缶55とから成り、内缶5と外缶55との間にはジャケット部58が設けられている。
かかる滅菌装置50には、図7に示す様に、不織布等の通気性材料から成る袋等の包装材や通気性の被滅菌収納容器に、手術着等の滅菌対象物が収納された被滅菌物Aを載置したカート100ごと内缶5内に挿入されて滅菌が施される。このカート100は、パイプ102から形成されており、その下段外側のパイプ102aが内缶5に設けられたローラ6、6・・に載置されて内缶5内に押し込まれる。
尚、滅菌装置50には、カート100を押し込んだ後、内缶5に設けられたカート100の押込口を密閉する蓋(図示せず)が設けられている。
【0003】
図6及び図7に示す滅菌装置50のジャケット部58には、弁59及びストレーナS1 を通過して減圧弁60で減圧された蒸気が供給される。更に、ジャケット部58に供給された蒸気は、内缶5を加熱すると共に、電磁弁62、64を通過して内缶5内にも供給される。この電磁弁62、64が開いているときは、フィルターF及びヒータ65を通過して加熱された清浄な熱風を内缶5内に供給する電磁弁66は閉じている。内缶5及びジャケット部58に供給された蒸気が凝集したドレンは、ドレントラップ67、68を経由して排出される。
また、内缶5内の蒸気や気体等は、内缶5に大気圧を越える圧力で充填されたときは、電磁弁70を経由して外部に排出され、内缶5が大気圧以下のときは、電磁弁70が閉じられ電磁弁72を経由して真空ポンプによって排出される。この真空ポンプは、水駆動のアスピレータ型の真空ポンプであって、弁74及びストレーナS2 を通過した水は電磁弁76及び定流量弁78を経由して真空ポンプに供給される。
尚、滅菌装置50の内缶5及び外缶55の安全のため、安全弁52が設けられている。
【0004】
かかる滅菌装置50を用いて滅菌を行う際には、図8に示す準備・予熱工程、滅菌工程、排気工程、乾燥工程、及び完了工程の各々を順次通過する。図8において、横軸は経過時間を示し、縦軸は内缶5の内圧を示す。
先ず、準備・予熱工程では、ジャケット部58に蒸気を導入して加熱した内缶5内に、カート100に載置した状態で挿入・密閉した被滅菌物Aの各々を加温すべく、真空ポンプを駆動して内缶5内を真空状態とした後、弁62及び弁64を開いてジャケット部58内の蒸気を内缶5内に供給し、内缶5の圧力を大気圧まで上昇して被滅菌物Aを加熱する。更に、内缶5を真空状態とした後、蒸気を供給する操作を複数回繰り返し、被滅菌物Aを充分に予熱する。この準備・予熱工程は、次の滅菌工程において、予熱することなく低温状態の被滅菌物Aが収納された内缶5に蒸気を吹き込んだ際に、被滅菌物Aの表面等で蒸気が凝集して発生したドレンによって、被滅菌物Aが濡れることを防止するためである。
次いで、内缶5に蒸気を供給して所定圧力まで昇圧し、所定圧力の状態で所定時間保持する。かかる保持によって、内缶5内は滅菌温度で所定時間保持されるため、被滅菌物Aに付着していた細菌等を滅菌することができる。
【0005】
その後、内缶5内の蒸気を電磁弁70を開いて排気した後、滅菌工程で内缶5に導入された蒸気によって濡れた被滅菌物Aを乾燥する乾燥工程に入る。
この乾燥工程では、排気工程において、蒸気が排出されて大気圧となった内缶5内を、真空ポンプを駆動すると共に、電磁弁70を閉じて電磁弁72を開くことにより、内缶5を真空状態として被滅菌物Aの水分を蒸発させる。
但し、水分の蒸発に伴い被滅菌物Aの温度が低下するため、被滅菌物Aから水分を蒸発し易くすべく、清浄空気をヒータ65で加熱した熱風を電磁弁64、66を経由して内缶5内に導入し、内缶5内を大気圧近傍まで昇圧して被滅菌物Aを昇温する。更に、昇温した被滅菌物Aを乾燥すべく、再度、内缶5内を真空状態とした後、熱風を供給する操作を複数回繰り返し、被滅菌物Aを充分に乾燥する。被滅菌物Aの乾燥が不充分の場合は、被滅菌物Aを滅菌装置50から取り出したとき、空気中の細菌等が被滅菌物Aに付着して増殖を始めるおそれがあるからである。
かかる乾燥工程が完了した際に、内缶5内に清浄な空気(冷風)を導入して滅菌を完了する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の蒸気滅菌装置では、各工程の終了はタイマーで行われているため、乾燥工程の工程時間は被滅菌処理量の多少に応じて設定される。
しかし、乾燥工程の工程時間の設定は熟練を必要とするため、未熟練者が乾燥工程の工程時間を設定すると、被滅菌物Aの処理量が少ないにも係わらず、乾燥工程が必要以上に長時間となり、エネルギーの浪費となる場合もある。
一方、被滅菌物Aの処理量が多く、図7に示すカート100に被滅菌物Aを高密度に載置して滅菌処理した場合、被滅菌物Aの乾燥が不十分となるおそれもある。
このため、未熟練者でも的確に乾燥工程の終了時期を判断するには、被滅菌物Aの平均的な乾燥状態を推定できることが必要である。
しかしながら、被滅菌物Aの乾燥状態の推定は、被滅菌物Aの温度を直接測定することによって理論的には可能ではあるものの、乾燥工程における被滅菌物Aの個々の温度は、被滅菌物Aが載置された場所等で異なるため、被滅菌物Aの平均的な乾燥状態を推定することは極めて困難である。
そこで、本発明の課題は、被滅菌物の平均的な乾燥状態を容易に推定でき、乾燥の終了時期を客観的に判断し得る蒸気滅菌方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決すべく検討を重ねた結果、乾燥工程において、内缶5に熱風が吹き込まれて内圧が大気圧近傍にまで上昇したとき、内缶5に吹き込む熱風の熱風温度と被滅菌物を囲む内缶5の雰囲気温度とを測定し、熱風温度と雰囲気温度との温度差を求めることによって、被滅菌物の平均な乾燥状態を推定可能であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、被滅菌物を収容した滅菌室内に蒸気を導入して被滅菌物を加熱滅菌した後、前記滅菌室内を吸引して真空状態とする操作と滅菌室内への熱風の吹き込み操作とを交互に繰り返して被滅菌物を乾燥する際に、該滅菌室内への熱風の吹き込み操作において、前記滅菌室の内圧が所定圧力に到達したとき、前記滅菌室に吹き込む熱風の熱風温度と前記被滅菌物を囲む滅菌室内の雰囲気温度との温度差が一定範囲内にあり且つ前記所定圧力に到達した滅菌室の内圧を一定時間保持し、前記滅菌室の雰囲気温度の変化を時間で微分して得た微分変化速度が所定速度以下となったとき、被滅菌物の乾燥終了と判断することを特徴とする蒸気滅菌方法にある。
【0008】
かかる本発明において、滅菌室内に収容した被滅菌物の各々に熱風が万遍なく当たるように、滅菌室の複数箇所に設けられたノズルの各々から熱風を滅菌室内に吹き出すことによって、被滅菌物を可及的に均一に乾燥することができる。特に、被滅菌物の滅菌室への収容を、前記被滅菌物を搭載したカートを滅菌室に押し込んで行い、且つ前記カートとして用いた、構成する複数本のパイプに熱風が噴出する複数個のノズルを形成したカートを滅菌室に押し込んで、前記パイプに形成したプラグと前記滅菌室に形成したソケットとを係合した後、前記ソケットに熱風を供給して、前記パイプの各ノズルから熱風を噴出することによって、被滅菌物の乾燥状態を更に一層均一化できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明では、図6において、滅菌室である内缶5内に導入した蒸気によって被滅菌物の加熱滅菌を施した後、被滅菌物Aを収容した内缶5内を真空状態とする操作と、内缶5内への熱風の吹き込み操作とを交互に繰り返して被滅菌物Aの乾燥を行う際に、内缶5内への熱風の吹き込み操作において、内缶5の内圧が所定圧力に到達したとき、内缶5に吹き込む熱風の熱風温度と被滅菌物Aを囲む内缶5の雰囲気温度とを測定する。
ここで、「内缶5内を真空状態にする操作」とは、蒸気又は熱風を吹き込む電磁弁64及び内缶5内に充填された気体を排出する電磁弁70を閉じると共に、電磁弁72を開き真空ポンプによって内缶5内の気体を吸引する一連の操作をいう。
また、「内缶5内への熱風の吹き込み操作」とは、蒸気を供給する電磁弁62及び真空ポンプへの電磁弁72を閉じ、熱風を供給する電磁弁66、64を開き内缶5内に熱風を供給する一連の操作をいう。
かかる内缶5内への熱風の吹き込み操作において、内缶5の雰囲気温度を測定する際に、熱風を吹き込みによって内缶5が最高圧力に到達したとき、内缶5の圧力を一定時間(2〜3分間)保持することが、正確な雰囲気温度の測定を行うことができ好ましい。
【0010】
この様にして測定した、内缶5の雰囲気温度と内缶5に吹き込む熱風の温度との温度差に基づいて被滅菌物Aの乾燥の終了時期を判断する。
つまり、被滅菌物Aに付着した水分が蒸発するとき、水分の蒸発に必要な熱(蒸発潜熱)を周囲から吸収する。このため、内缶5の被滅菌物Aを囲む雰囲気気体は、被滅菌物Aからの水分の蒸発によって、その有する熱量が奪われて温度が低下する。従って、被滅菌物Aに水分が残存している場合は、内缶5に供給する熱風の熱風温度よりも、内缶5の雰囲気温度が低温となる。
一方、被滅菌物Aが充分に乾燥された場合は、水分の蒸発が殆ど発生しないために雰囲気温度が低下しない。
従って、内缶5の雰囲気温度と熱風温度との温度差を測定することによって、被滅菌物Aの乾燥状態を推定できる。このため、乾燥工程の終了時期を客観的に判断できる。
尚、被滅菌物Aの乾燥を行う乾燥工程においても、ジャケット部58には蒸気が供給されて内缶5は保温されており、内缶5の雰囲気温度について内缶5からの放熱による温度低下を考慮するを要しない。
【0011】
ここで、内缶5の雰囲気温度と内缶5に吹き込む熱風の温度との温度差とが、どの程度になったときに乾燥工程を終了するかの判断は、試行錯誤によっても求めることができるが、内缶5の雰囲気温度と熱風温度とにより、被滅菌物Aの乾燥を終了することが、被滅菌物Aの乾燥を確実に行うことができ好ましい。
唯、内缶5への熱風を吹き込みによって到達した最高圧力が大気圧以下の場合には、熱風の急激な断熱膨張に因る温度低下が惹起される場合もある。このため、所定圧力に到達した内缶5の内圧を一定時間(2〜3分間)保持し、内缶5の雰囲気温度の変化を時間で微分して得た微分変化速度によって、乾燥工程の終了を判断してもよい。かかる乾燥工程の終了の判断は、微分変化速度が所定速度以下となったときである。
この様に、本発明によれば、内缶5の雰囲気温度と熱風温度との温度差に基づいて乾燥工程の終了を客観的に判断できるようになり、未熟練者でも的確に乾燥工程の終了時期を判断できる。
【0012】
この乾燥工程の終了は、内缶5の雰囲気温度と熱風温度との温度差とタイマーとをリンクさせてもよい。かかるリンクによれば、内缶5の雰囲気温度と熱風温度との温度差が一定範囲内となり且つタイマーによる乾燥工程時間も終了したとき、乾燥工程が終了する。従って、タイマーによる乾燥工程時間が終了しても、内缶5の雰囲気温度と熱風温度との温度差が一定範囲内でない場合、乾燥工程は終了しない。
かかるタイマーとしては、内缶5の雰囲気温度と熱風温度との温度差が一定範囲内となっても、タイマーにセットした乾燥工程時間が長時間残存している場合、タイマーを手動で乾燥工程を終了し得るように手動調整可能であるものが好ましい。
この様に、乾燥工程を終了した際に、内缶5内に清浄な空気(冷風)を導入することが好ましい。この冷風の導入は、被滅菌物Aの温度及び内缶5の雰囲気温度を低下させるためである。
つまり、乾燥工程が終了し被滅菌物Aを内缶5から取り出す際に、内缶5に非滅菌状態の外気が流入する。このとき、外気と被滅菌物Aとの温度差が大きい場合(被滅菌物Aの温度が高い場合)、被滅菌物収納容器や袋等の包装材の内部に非滅菌状態の外気が進入し易くなり、滅菌された滅菌対象物が再汚染されるおそれがある。
また、内缶5の雰囲気温度が高い状態で被滅菌物Aを取り出すと、作業者が熱傷を負う危険性がある。
【0013】
本発明では、乾燥工程において、内缶5内に熱風を吹き込むが、被滅菌物Aは、図7に示す様に、カート100に載置されて内缶5内に収納される。一方、被滅菌物Aの処理量が多い場合には、カート100に複数個の被滅菌物Aを高密度に載置して滅菌処理すると、熱風に当たり難い被滅菌物Aが存在し、被滅菌物Aの間に乾燥斑ができることがある。
かかる乾燥斑を可及的に解消するには、被滅菌物Aの各々に熱風が万遍なく当たるように、内缶5内の複数箇所に熱風を吹き出すノズルを設け、被滅菌物Aの近傍のノズルから熱風を吹き出すことが好ましい。
特に、図1に示す様に、被滅菌物Aを搭載するカート3aに複数個のノズル9、9・・を設け、ノズル9の各々から熱風を吹き出すことが好ましい。この図1に示すカート3aは、縦横のパイプ7、8a、8bによって形成されており、車輪2、2が装着されて平行に設けられた二本の横パイプ7、7(横パイプ7の一方は図示せず)が曲折されて四隅に立設された縦パイプ8a、8a・・には、複数本の横パイプ8b、8b・・が簀の子状に掛け渡されて形成された四段の棚が設けられている。この棚を形成する横パイプ8bの各々には、カート3aを形成するパイプを通過してきた熱風を吹き出す複数個のノズル9、9・・が、その熱風の吹き出し方向がカート3aの棚に載置された被滅菌物A、或いはその近傍に向けられるように、取り付けられている。
更に、横パイプ7には、カート3aのパイプに熱風を供給するプラグ11が設けられており、縦パイプ8aの途中には、把手カバー10も固着されている。
【0014】
図1に示すカート3aの横パイプ7に取り付けられたプラグ11は、図2に示す様に、一端部にフランジ27aが形成され且つ他端部が横パイプ7内に連通して溶接された断面四角形の短管内に、断面四角形の内管の一端部に形成した端面が凸状に突出する樹脂製のフランジ28aを短管から外方に突出させるように、内管の他端部が嵌着されて形成されている。
かかる図1及び図2に示すカート3aを押し込む内缶5の内壁面には、図3に示す様に、カート3aの横パイプ7が載置される複数個のローラ6、6・・が設けられていると共に、横パイプ7に設けられたプラグ11と連結されるソケット12がローラ6が設けられた高さと略同高さに設けられている。
このソケット12は、ソケット12の正面図である図4及びソケット12にプラグ11が挿入された状態を示す断面図である図5の様に、内缶5の内壁に形成された熱風の吹込口29を覆う断面コ字状のカバー30を、フランジ30aに設けた長孔30bと小ボルト(図示せず)とによって、内缶5の所定位置にパッキン31を介して取り付けられている。
【0015】
かかるカバー30には、所定の間隙43(図5)を介して互いに対向するように、断面略Z字状の二枚の案内板40、40がネジ41、41・・によってパッキン39を介して固着され、更にカバー30に断面円形の短管32が溶接されている。この短管32にOリング37によってシールされつつ縦動自在に挿通されたソケット筒33は、そのプラグ11側端部の端面が、バネ等の付勢部材35によってプラグ11側方向に付勢されている端板34が当接しており、ソケット筒33のプラグ11側端部の短管32からの突出量を調整すべく、ソケット筒33の内缶5側端部にナット36が螺合されている。
かかる端板34は、ソケット筒33の周面から離れる方向に傾斜するように形成され、プラグ11を形成する内管28のフランジ28aよりも若干大きな四角孔34aが、案内板40、40の間隙43に臨むように穿設されている。この四角孔43aは、プラグ11の内管28のフランジ28aが挿入され易いように、その内縁はソケット筒33の内方に傾斜している。
尚、案内板40、40の端板34と対向する内側面には、プラグ11を形成する短管27のフランジ27aとの滑りをよくする摺動片42、42が設けられている。
【0016】
かかる図1に示すカート3aを図3に示す内缶5内に押し込む際に、カート3aの横パイプ7を内缶5に設けられたローラ6、6・・に載置する。このとき、ローラ6と略同高さに設けられているソケット12に、カート3aに設けられているプラグ11とが連結される。かかる連結は、先ず、プラグ11の短管27が案内板40の間隙43に入り、内管28のフランジ28aがソケット12の端板34に当接する。フランジ28a、端板34は互いに離れる方向に傾斜しているため、カート3aを押し入れるとフランジ28aは付勢部材35の付勢力に抗しつつ端板34上に乗り上げる。端板34に穿設された四角孔34aは、内管28のフランジ28aよりも若干大きく形成されているため、フランジ28aが端板34の四角孔34aに落ち込み、フランジ28aと端板34とが係合する。
尚、フランジ28aと端板34とが係合する位置でカート3aが停止するように、内缶5内にストッパを設けておくことが好ましい。
【0017】
プラグ11とソケット12とが連結した状態において、吹込口29から熱風を吹き込むことによって、カート3aを形成する各パイプを経由し棚を形成する横パイプ8b、8b・・に設けられたノズル9、9・・の各々から熱風を吹き出すことができる。従って、棚に載置された被滅菌物Aに直接熱風を当てることが可能となり、被滅菌物Aが高密度に棚上に載置されていても各被滅菌物の昇温を迅速に行うことができ、乾燥工程の短縮を図ることが可能である。
乾燥工程が終了し、カート3aを内缶5から取り出す際には、カート3aを内缶5から引き出す方向に力を加えると、付勢部材35の付勢力に抗しつつプラグ11のフランジ28aがソケット12の端板34の四角孔34aの縁を乗り越えてソケット筒33及び内管28が外れるため、カート3aを内缶5から引き出すことができる。
以上、述べてきた図1に示すカート3aを乾燥工程で用いた例について説明してきたが、カート3aを用いることによって、準備・予熱工程においても、蒸気に代えて熱風を用いることができる。つまり、熱風をカート3aのノズル9、9・・から吹き出すことによって、カート3aに載置されている被滅菌物Aの予熱を万遍なく行うことができる。この様に、準備・予熱工程において、熱風を使用可能することによって、温度の低い被滅菌物Aに蒸気を用いて加熱処理を行う場合の如く、被滅菌物Aが結露する事態を防止できる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、内缶に熱風の吹き込む際に、内缶の内圧が所定圧力に到達したとき、内缶に吹き込む熱風の熱風温度と被滅菌物を囲む滅菌室内の雰囲気温度との温度差を測定し、かつ所定圧力に到達した内缶の内圧を一定時間保持し、内缶の雰囲気温度の変化を時間で微分して得た微分変化速度が所定速度以下となったとき、被滅菌物の乾燥終了と判断する。このため、被滅菌物の乾燥状態を客観的に推定でき、未熟練者でも乾燥工程の終了時期を確実に判断できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用するカートの一例を示す正面図である。
【図2】カートに設けられたプラグの正面図である。
【図3】本発明に使用する滅菌器の内缶の構造を説明する説明図である。
【図4】内缶に設けられたソケットの正面図である。
【図5】ソケットとカートとが連結された状態を説明するための部分断面図である。
【図6】本発明に使用する滅菌装置を説明する説明図である。
【図7】従来から使用されている滅菌器及びカートを説明する説明図である。
【図8】蒸気滅菌の一連の操作を説明する説明図である。
【符号の説明】
3a カート
5 内缶
6 ローラ
7、8b 横パイプ
8a 縦パイプ
9 ノズル
11 プラグ
12 ソケット
34 端板
34a 四角孔
35 付勢部材
40 案内板
42 摺動片
43 間隙
50 滅菌装置
55 外缶

Claims (3)

  1. 被滅菌物を収容した滅菌室内に蒸気を導入して被滅菌物を加熱滅菌した後、前記滅菌室内を吸引して真空状態とする操作と滅菌室内への熱風の吹き込み操作とを交互に繰り返して被滅菌物を乾燥する際に、
    該滅菌室内への熱風の吹き込み操作において、前記滅菌室の内圧が所定圧力に到達したとき、前記滅菌室に吹き込む熱風の熱風温度と前記被滅菌物を囲む滅菌室内の雰囲気温度との温度差が一定範囲内にあり
    且つ前記所定圧力に到達した滅菌室の内圧を一定時間保持し、前記滅菌室の雰囲気温度の変化を時間で微分して得た微分変化速度が所定速度以下となったとき、被滅菌物の乾燥終了と判断することを特徴とする蒸気滅菌方法。
  2. 滅菌室に収容した被滅菌物の各々に熱風が万遍なく当たるように、前記滅菌室内の複数箇所に設けられたノズルの各々から熱風を滅菌室内に吹き出す請求項1記載の蒸気滅菌方法。
  3. 被滅菌物の滅菌室への収容を、前記被滅菌物を搭載したカートを滅菌室に押し込んで行い、
    且つ前記カートとして用いた、構成する複数本のパイプに熱風が噴出する複数個のノズルを形成したカートを滅菌室に押し込んで、前記パイプに形成したプラグと前記滅菌室に形成したソケットとを係合した後、前記ソケットに熱風を供給して、前記パイプの各ノズルから熱風を噴出する請求項1又は請求項2記載の蒸気滅菌方法。
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