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JP3959627B2 - Inner ring or outer ring having cam surface in one-way clutch and manufacturing method thereof - Google Patents

Inner ring or outer ring having cam surface in one-way clutch and manufacturing method thereof Download PDF

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JP3959627B2
JP3959627B2 JP2002221099A JP2002221099A JP3959627B2 JP 3959627 B2 JP3959627 B2 JP 3959627B2 JP 2002221099 A JP2002221099 A JP 2002221099A JP 2002221099 A JP2002221099 A JP 2002221099A JP 3959627 B2 JP3959627 B2 JP 3959627B2
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outer ring
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C2204/00Metallic materials; Alloys
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    • F16C2204/64Medium carbon steel, i.e. carbon content from 0.4 to 0,8 wt%
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C2240/00Specified values or numerical ranges of parameters; Relations between them
    • F16C2240/90Surface areas

Landscapes

  • Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
  • Heat Treatment Of Articles (AREA)
  • Sliding-Contact Bearings (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、一方向クラッチにおけるカム面を有する内輪または外輪、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
たとえば、自動車用エンジンの回転変動やベルト張力変動を抑制するために、エンジン補機の中で最も慣性トルクが大きいオルタネータに一方向クラッチ付きプーリユニットが組み付けられている。一方向クラッチ付きプーリユニットは、軸とこれの周囲に同心状に配されたプーリとの間に、内輪、外輪およびこれらの間に配されたころとを備えた一方向クラッチが設けられたものである。そして、高速回転時の性能を考慮して、通常、一方向クラッチは、内輪の外周面に設けられたカム面と、カム面と外輪の内周面とによって形成された楔状空間内に配置され、かつ軸とプーリとが一方向に相対回転したときに内外両輪間に噛み込み、他方向に相対回転したときに噛み込みを解除するころと、ころを噛み込み方向(楔状空間の狭い側)に付勢する付勢部材とを備えた構成とされている。なお、一方向クラッチとしては、カム面が外輪の内周面に設けられ、このカム面と内輪の外周面とによって楔状空間が形成された形式のものもある。
【0003】
ところで、ころが内輪と外輪との間に噛み込むときには、カム面ところとの接触部の面圧が最も高く、しかもころが、常にカム面のほぼ同じ位置に接触することになるので、カム面の摩耗や疲労による剥離が発生し、内輪および外輪のうちカム面が形成されたものが短期間で損傷することになる。
【0004】
このような内輪または外輪の短期間での損傷を防止するためには、カム面の表面硬さを増大させ、たとえばロックウェルC硬さ(以下、HRCという)で62〜67とすること、カム面における表層部に所定量の微細球状炭化物を分散して析出させること、カム面の表層部の残留オーステナイト量を所定量、たとえば20〜40vol%とすること、ならびにカム面の表層部に所定、たとえば100MPa以上の圧縮残留応力を付与することが要求される。ここで、表面硬さの増大は、カム面を有する内輪または外輪の短期間での損傷を防止することを目的とするものであり、微細球状炭化物の分散析出は、耐摩耗性の向上や、鋼中に炭化物等の硬い第2相を析出させて材料を強化する分散強化や、降伏強さおよび変形抵抗の増大や、靭性の向上を目的とするものであり、所定量の残留オーステナイトの付与は、ころにより発生する圧縮応力の緩和、およびころにより発生する亀裂の進展の抑制を目的とするものであり、所定の圧縮残留応力の付与は、ころにより発生する亀裂の進展の抑制を目的とするものである。
【0005】
従来、上述したような要求を満たした一方向クラッチ用のカム面を有する内輪または外輪としては、肌焼き鋼により所定の形状に形成された素材に、浸炭処理や浸炭窒化処理が施すことにより製造されたものが用いられていた。
【0006】
しかしながら、肌焼き鋼は、一方向クラッチの内外両輪用としては大量生産されていないので材料コストが高く、しかも肌焼き鋼の浸炭処理や浸炭窒化処理の熱処理コストも高くなる。したがって、内輪または外輪のトータルの製造コストが高くなるという問題がある。
【0007】
そこで、JIS SUJ2などの軸受鋼より所定形状に形成された素材に、浸炭処理や浸炭窒化処理を施すことにより、内輪または外輪を製造することが考えられるが、この場合、表面硬さの増大と炭化物微細化の両者を同時に達成することができず、たとえば元々高炭素で炭化物が存在するJIS SUJ2に浸炭処理を施して表面硬さを増大させると、既存の炭化物がさらに成長し、巨大炭化物に成長するため、結局のところ寿命が低下するという問題がある。
【0008】
この発明の目的は、上記問題を解決し、短期間での損傷を防止しうる一方向クラッチにおけるカム面を有する内輪または外輪、およびその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段と発明の効果】
請求項1の発明による一方向クラッチにおけるカム面を有する内輪または外輪は、軸受鋼よりなり、浸炭処理が施されて、摺動面における表面から最大せん断応力が作用する深さまでの範囲の表層部の全炭素量が1.0〜1.6wt%、同じく残留オーステナイト量が20〜35vol%、同じく圧縮残留応力が150〜1000MPa、同じく表面硬さがHRC64以上となされ、前記表層部に球状炭化物が析出しているとともに、前記球状炭化物の量が面積率で10〜25%でかつその粒径が3μm以下となされていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項1の発明において、各数値の限定理由は次の通りである。
【0011】
表層部の全炭素量
この全炭素量を1.0〜1.6wt%に限定したのは、上限値を越えると炭化物が極めて粗大になり、微細化できないからである。なお、下限値はJIS SUJ2等の軸受鋼がベースとなっていることから必然的に決まる。
【0012】
表層部の残留オーステナイト量
この残留オーステナイト量を20〜35vol%に限定したのは、この範囲内であると、摺動する相手側の部品により発生する表層部の圧縮応力を緩和することができるとともに、亀裂の進展を抑制することができ、しかも靭性が向上して、一方向クラッチにおけるカム面を有する内輪または外輪の一層の長寿命化を図ることができるからである。しかしながら、残留オーステナイト量が20vol%未満ではこのような効果は得られず、35vol%を越えると表層部の表面硬さが64HRC以上にならない。
【0013】
表層部の圧縮残留応力
この圧縮残留応力を150〜1000MPaに限定したのは、この範囲内であると、亀裂の進展を抑制することができて高面圧下での耐久性が向上し、その結果一方向クラッチにおけるカム面を有する内輪または外輪の一層の長寿命化を図ることができるからである。しかしながら、圧縮残留応力が150MPa未満であるとこのような効果は得られず、1000MPaを越えると過大な圧縮残留応力による経時変形などが問題となるからである。
【0014】
表層部の表面硬さ
表層部の表面硬さをHRC64以上に限定したのは、この場合に高面圧下での損傷を抑制することができるからである。なお、この表面硬さの上限はHRC69程度であることが好ましい。その理由は、材料の靭性を確保するためである。
【0015】
表層部の球状炭化物の量
この球状炭化物の量の下限を面積率で10%に限定したのは、球状炭化物の量が面積率で10%未満になると、ミクロンオーダおよびサブミクロンオーダの炭化物の量が不足して摺動寿命を向上させる効果が不十分となるおそれがあるからである。ここで、ミクロンオーダの炭化物は、摺動疲労の原因となるすべり帯の形成を防止する効果があり、サブミクロンオーダの炭化物は、すべり帯の形成を防止する効果はないが、すべり帯を分散させる効果がある。また、球状炭化物の量の上限を面積率で25%に限定したのは、25%を越えると必然的に球状炭化物の粒径が大きくなり、しかも各球状炭化物間の距離が小さくなって均一に分散しなくなるからである。
【0016】
表層部の球状炭化物の粒径
この粒径を3μm以下に限定したのは、3μmを越えると、非金属介在物と同様に疲労亀裂の起点となるとともに、靭性を確保することができないからである。
また、表層部の球状炭化物の量および粒径が上述したとおりであると、表層部に球状炭化物が均一に分散することになり、残留オーステナイトの安定性が増して一方向クラッチにおけるカム面を有する内輪または外輪の寸法変化を防止することができる。
【0017】
請求項1の発明によれば、表面硬さが増大して高面圧下での損傷が抑制されるとともに、耐摩耗性が向上し、さらに残留オーステナイトの効果により靭性が向上し、その結果一方向クラッチにおけるカム面を有する内輪または外輪の長寿命化を図ることができる。しかも、軸受用として大量生産される軸受鋼よりなるので、材料コストが安くなり、その結果トータルの製造コストが安くなる。軸受鋼の中でもJIS SUJ2は特に大量生産されるため、これを用いると材料コストが極めて安くなるので、好ましい。
【0018】
また、請求項1の発明において、前記浸炭処理温度が840〜870℃であることが好ましい。この場合、従来の肌焼き鋼に施す浸炭処理や浸炭窒化処理の加熱温度よりも低くなり、熱処理コストが安くなる。したがって、トータルの製造コストが安くなる。
【0019】
請求項2の発明による一方向クラッチにおけるカム面を有する内輪または外輪の製造方法は、軸受鋼より所定の形状に形成された加工済み素材を、カーボンポテンシャルが1.2%以上である浸炭雰囲気中において840〜870℃で3時間以上加熱することにより浸炭処理を施した後急冷し、これにより摺動面における表面から最大せん断応力が作用する深さまでの範囲の表層部の全炭素量を1.0〜1.6wt%とするとともに、前記表層部のマトリックス中の固溶炭素量を0.6〜1.0wt%とし、前記表層部に球状炭化物を析出させて球状炭化物の量を面積率で5〜15%でかつその粒径を3μm以下とすることを特徴とするものである。
【0020】
請求項2の発明において、浸炭処理における各数値の限定理由は次の通りである
【0021】
浸炭処理雰囲気のカーボンポテンシャル
このカーボンポテンシャルを1.2%以上に限定したのは、1.2%未満では、炭素含有量が1wt%程度である軸受鋼に対してほとんど浸炭されないことになり、表層部の硬さおよび炭化物の面積率を所望のものにすることができず、しかも炭化物の微細化を図ることができないからである。
【0022】
浸炭処理温度
この温度を840〜870℃に限定したのは、下限値未満であるとカーボンポテンシャルのところで述べたような必要な浸炭を行うことができず、上限値を越えると表層部の結晶粒度が大きくなりすぎるとともに巨大炭化物が析出して強度が低下するからである。すなわち、降伏強さは結晶粒度の−1/2乗に比例するので、結晶粒度が大きくなりすぎると強度が低下する。
【0023】
浸炭処理時間
この時間を3時間以上に限定したのは、3時間未満であると浸炭深さが不足するからである。
【0024】
表層部の全炭素量
この全炭素量を1.0〜1.6 wt %に限定したのは、上限値を越えると炭化物が極めて粗大になり、微細化できないからである。なお、下限値は JIS SUJ2等の軸受鋼がベースとなっていることから必然的に決まる
【0025】
表層部のマトリックス中の固溶炭素量
この固溶炭素量を0.6〜1.0 wt %に限定したのは、下限値未満であると所望の表面硬さを得ることができなくて、一方向クラッチにおいてはカム面を有する内輪または外輪が短期間で損傷し、上限値を越えると表層部の微細球状炭化物の量が面積率で5%未満になって、耐摩耗性が低下するからである。
【0026】
表層部の球状炭化物の量
この球状炭化物の量を面積率で5〜15%に限定したのは、下限値未満であると耐摩耗性が低下し、上限値を越えると粗大な炭化物が発生し、この粗大炭化物が疲労亀裂の起点となって一方向クラッチにおけるカム面を有する内輪または外輪の短寿命化につながるからである。また、球状炭化物の量を面積率で15%を越えたものにするには浸炭処理時間を長くしなければならず、その結果熱処理コストが高くなって、面積率が15%以下の場合に比べてトータルの製造コストが高くなるからである
【0027】
表層部の球状炭化物の粒径
この粒径を3μm以下に限定したのは、3μmを越えると、非金属介在物と同様に疲労亀裂の起点となるとともに、靭性を確保することができないからである
【0028】
請求項2の発明によれば、軸受用として多く用いられる軸受鋼よりなる加工済み素材を用いるので、材料コストが安くなる。しかも、浸炭処理温度が840〜870℃であるとともに、1度の浸炭処理の後急冷する熱処理を行うだけであるから、熱処理コストが安くなる。したがって、一方向クラッチにおけるカム面を有する内輪または外輪のトータルの製造コストが安くなる。軸受鋼の中でもJIS SUJ2は特に大量生産されるため、これを用いると材料コストが極めて安くなるので、好ましい。
【0029】
請求項2の発明において、カーボンポテンシャルを1.2〜1.4%とすることが好ましい。カーボンポテンシャルが1.4%を越えると、大量の煤が発生するという問題があるからである。
【0030】
さらに、請求項2の発明において、加熱時間を3.5〜5時間とすることが好ましい。加熱時間が5時間を超えると、熱処理コストが高くなるとともに、炭化物が巨大化するという問題があるからである。
【0031】
請求項3の発明による一方向クラッチにおけるカム面を有する内輪または外輪の製造方法は、軸受鋼より所定の形状に形成された加工済み素材を、カーボンポテンシャルが0.9〜1.1%の雰囲気中において930〜970℃で1時間以上加熱することにより既存の炭化物をマトリックス中に溶け込ませる処理を施した後急冷し、ついでカーボンポテンシャルが1.2%以上の雰囲気中において840〜870℃で3時間以上加熱することにより浸炭処理を施した後急冷し、これにより摺動面における表面から最大せん断応力が作用する深さまでの範囲の表層部の全炭素量を1.0〜1.6wt%とするとともに、前記表層部のマトリックス中の固溶炭素量を0.6〜1.0wt%とし、さらに前記表層部に球状炭化物を析出させて球状炭化物の量を面積率で10〜20%でかつその粒径を2μm以下とすることを特徴とするものである。
【0032】
請求項3の発明において、熱処理における各数値の限定理由は次の通りである
【0033】
既存の炭化物をマトリックス中に溶け込ませる工程
この工程における雰囲気中のカーボンポテンシャルを0.9〜1.1%に限定したのは、一方向クラッチにおけるカム面を有する内輪または外輪に対して浸炭および脱炭を起こさせないためである。1.1%を越えると炭素含有量が1wt%程度である軸受鋼に対して浸炭が起こり、0.9%未満であると脱炭が起こる。
【0034】
この工程における加熱温度を930〜970℃に限定したのは、930℃未満であると球状焼鈍後存在している第2相としての炭化物のマトリックス中への固溶が不十分であり、970℃を越えると焼割れを起こす可能性があるからである。
【0035】
さらに、この工程における加熱時間を1時間以上に限定したのは、1時間未満であると球状焼鈍後存在している第2相としての炭化物のマトリックス中への固溶が不十分になるからである。
【0036】
浸炭工程
この工程における雰囲気中のカーボンポテンシャルを1.2%以上に限定したのは、1.2%未満では、炭素含有量が1wt%程度である軸受鋼に対してほとんど浸炭されないことになり、表層部の硬さおよび炭化物の面積率を所望のものにすることができず、しかも炭化物の微細化を図ることができないからである。なお、カーボンポテンシャルの上限は、大量の煤の発生を防止するために1.4%とすることが好ましい。
【0037】
この工程における加熱温度を840〜870℃に限定したのは、下限値未満であるとカーボンポテンシャルのところで述べたような必要な浸炭を行うことができず、上限値を越えると表層部の結晶粒度が大きくなりすぎるとともに巨大炭化物が析出して強度が低下するからである。すなわち、降伏強さは結晶粒度の−1/2乗に比例するので、結晶粒度が大きくなりすぎると強度が低下する。
【0038】
さらに、この工程における加熱時間を3時間以上に限定したのは、3時間未満であると必要な浸炭深さが得られないからである。
【0039】
表層部の全炭素量
この全炭素量を1.0〜1.6 wt %に限定したのは、上限値を越えると炭化物が極めて粗大になり、微細化できないからである。なお、下限値は JIS SUJ2等の軸受鋼がベースとなっていることから必然的に決まる
【0040】
表層部のマトリックス中の固溶炭素量
この固溶炭素量を0.6〜1.0 wt %に限定したのは、下限値未満であると所望の表面硬さを得ることができなくて、一方向クラッチにおいてはカム面を有する内輪または外輪が短期間で損傷し、上限値を越えると表層部の微細球状炭化物の量が面積率で5%未満になって、耐摩耗性が低下するからである
【0041】
表層部の球状炭化物の量
この球状炭化物の量を面積率で10〜20%に限定したのは、下限値未満であると、ミクロンオーダおよびサブミクロンオーダの炭化物の量が不足して摺動寿命を向上させる効果が得られないおそれがあるからである。ここで、ミクロンオーダの炭化物は、摺動疲労の原因となるすべり帯の形成を防止する効果があり、サブミクロンオーダの炭化物は、すべり帯の形成を防止する効果はないが、すべり帯を分散させる効果がある。また、上限値を越えると粗大な炭化物が発生し、この粗大炭化物が疲労亀裂の起点となって一方向クラッチにおけるカム面を有する内輪または外輪の短寿命化につながるからである
【0042】
表層部の球状炭化物の粒径
球状炭化物の粒径を2μm以下としたのは、2μmを越えると、非金属介在物と同様に疲労亀裂の起点となるとともに、靭性が不十分になるおそれがあるからである。
【0043】
請求項3の発明によれば、既存の炭化物をマトリックス中に溶け込ませる処理を施した後浸炭処理を施しているので、マトリックス中に固溶した炭化物の核から再度微細な炭化物を析出させることが可能になる。したがって、疲労亀裂の発生を防止するとともに、靭性を確保することができ、一方向クラッチにおけるカム面を有する内輪または外輪の長寿命化を図ることが可能になる。また、軸受用として大量生産される軸受鋼を用いるので、材料コストが安くなり、その結果トータルの製造コストが安くなる。軸受鋼の中でもJIS SUJ2は特に大量生産されるため、これを用いると材料コストが極めて安くなるので、好ましい。
【0044】
請求項3の発明において、前記浸炭処理を施した後の表層部の球状炭化物の量を、面積率で13〜16%とすることが好ましい。
【0045】
球状炭化物の量が面積率で13%以上であると、上述した、ミクロンオーダの炭化物によるすべり帯の形成防止効果およびサブミクロンオーダの炭化物によるすべり帯分散効果が一層優れたものになって摺動寿命が向上するからである。また、コスト面を考慮すると、ガス浸炭においては球状炭化物の量は面積率で16%以下にすることが妥当である。
【0046】
請求項1〜請求項3の発明において、表面から最大せん断応力が作用する深さまでの範囲とは、摺動面の接触荷重や潤滑条件などにより異なるが、表面から深さ0.5mm程度までの範囲である。そして、この範囲を上述したような状態にした理由は次の通りである。すなわち、内部起点剥離の要因となる最大せん断応力が作用する範囲内において、全炭素量、マトリックス中の固溶炭素量、球状炭化物の量を上述したようにすることにより強度を向上させ、その結果所定の目的が達成されるからである。
【0047】
【発明の実施形態】
以下、この発明の具体的実施例を比較例とともに説明する。
【0048】
実施例1〜3および比較例1
表1に示す2種類の鋼を用意し、これらの鋼を用いて一方向クラッチに用いられるカム面を有する内輪素材を、4種類作製した。
【0049】
【表1】

Figure 0003959627
【0050】
ついで、これらの内輪素材に、図1〜図3に示す熱処理条件で熱処理を施して一方向クラッチ用内輪を製造した(実施例1〜3および比較例1)。
【0051】
図1に示す熱処理条件1は、カーボンポテンシャル1.3%の雰囲気中において850℃で3時間加熱した後、80℃に油冷するものである。
【0052】
図2に示す熱処理条件2は、カーボンポテンシャル1.1%の雰囲気中において950℃で2時間加熱した後80℃に油冷し、ついでカーボンポテンシャル1.3%の雰囲気中において850℃に3.5時間加熱した後80℃に油冷するものである。
【0053】
図3に示す熱処理条件3は、カーボンポテンシャル0.8%の雰囲気中において930℃で5時間加熱した後、この加熱に引き続いてカーボンポテンシャル0.8%の雰囲気中において850℃で0.7時間加熱し、ついで80℃に油冷するものである。
【0054】
なお、上述した両熱処理においては、図示は省略したが、いずれの場合も最後に160℃で2時間加熱する焼戻し処理が施される。
【0055】
このようにして製造された実施例1〜3および比較例1の内輪の鋼種、熱処理条件および熱処理コストを表2に示す。なお、表2中の熱処理条件1Aは熱処理条件1の加熱時間だけを5時間に変更したものである。また、熱処理コストは、安いものから順に1〜3の数字で表す。
【0056】
【表2】
Figure 0003959627
【0057】
実施例1〜3および比較例1の一方向クラッチ用内輪のカム面の表面硬さ(HRC)、カム最表面の全炭素量、カム最表面のマトリックス中の固溶炭素量、カム最表面に析出した球状炭化物の量(面積率)、カム最表面に析出した球状炭化物の最大粒径、表面から深さ50μmの位置での残留オーステナイト量(γ量)、表面から深さ50μmの位置での圧縮残留応力は、表3に示す通りである。
【0058】
【表3】
Figure 0003959627
【0059】
評価試験
実施例1〜3および比較例1の内輪を、JIS SUJ2からなりかつ通常の浸炭窒化処理が施されてなるころ、およびJIS S55Cからなりかつ高周波焼入処理が施された外輪と組み合わせて一方向クラッチを組立てた。そして、これらの一方向クラッチを使用し、回転速度:2000r/min±10%(変動周波数23.3Hz)、負荷トルク:8Nm、雰囲気温度:110℃、目標寿命:560hの条件で回転変動耐久試験を行った。
【0060】
そして、600hで試験を打ち切って、カム面の摩耗量を比較した結果、本発明品である実施例1〜3のカム面摩耗量は、比較例1の1/2程度となることが確認された。しかも、実施例1〜3は、軸受鋼の中でも最も大量生産されるJIS SUJ2を用いているので、肌焼き鋼を用いた比較例1に比べて、特に材料コストが安くなる。さらに、熱処理コストも安くなる
【図面の簡単な説明】
【図1】 熱処理条件1を示す線図である。
【図2】 熱処理条件2を示す線図である。
【図3】 熱処理条件3を示す線図である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an inner ring or an outer ring having a cam surface in a one-way clutch, and a manufacturing method thereof.
[0002]
[Prior art and problems to be solved by the invention]
For example, a pulley unit with a one-way clutch is assembled to an alternator having the largest inertia torque among engine accessories in order to suppress fluctuations in rotation and belt tension of an automobile engine. The pulley unit with a one-way clutch has a one-way clutch provided with an inner ring, an outer ring, and rollers arranged between the shaft and a pulley arranged concentrically around the shaft. It is. In consideration of performance during high-speed rotation, the one-way clutch is normally disposed in a wedge-shaped space formed by a cam surface provided on the outer peripheral surface of the inner ring and the cam surface and the inner peripheral surface of the outer ring. When the shaft and pulley rotate relative to each other in one direction, the roller engages between the inner and outer wheels, and when the shaft rotates relative to the other direction, the roller releases the engagement. The roller engagement direction (narrow side of the wedge-shaped space) And an urging member for urging the lens. As a one-way clutch, there is a type in which a cam surface is provided on the inner peripheral surface of the outer ring, and a wedge-shaped space is formed by the cam surface and the outer peripheral surface of the inner ring.
[0003]
By the way, when the roller bites between the inner ring and the outer ring, the surface pressure of the contact portion with the cam surface is the highest, and the roller always comes into contact with the cam surface almost at the same position. Peeling due to wear and fatigue of the inner ring and the outer ring where the cam surface is formed will be damaged in a short period of time.
[0004]
In order to prevent such damage of the inner ring or outer ring in a short period of time, the surface hardness of the cam surface is increased, for example, Rockwell C hardness (hereinafter referred to as HRC) is set to 62 to 67, cam A predetermined amount of fine spherical carbide is dispersed and precipitated on the surface layer portion of the surface, the amount of retained austenite of the surface portion of the cam surface is set to a predetermined amount, for example, 20 to 40 vol%, and the surface layer portion of the cam surface is predetermined. For example, it is required to apply a compressive residual stress of 100 MPa or more. Here, the increase in surface hardness is intended to prevent damage in a short period of the inner ring or outer ring having a cam surface, and the dispersion and precipitation of fine spherical carbide improves the wear resistance, For the purpose of dispersion strengthening by strengthening the material by precipitating a hard second phase such as carbide in steel, increasing yield strength and deformation resistance, and improving toughness, giving a predetermined amount of retained austenite Is intended to alleviate the compressive stress generated by the rollers and to suppress the development of cracks generated by the rollers. The purpose of applying the predetermined compressive residual stress is to suppress the progress of cracks generated by the rollers. To do.
[0005]
Conventionally, as an inner ring or outer ring having a cam surface for a one-way clutch that satisfies the above-described requirements, it is manufactured by subjecting a material formed into a predetermined shape from case-hardened steel to carburizing or carbonitriding. What was done was used.
[0006]
However, since case hardening steel is not mass-produced for both inner and outer wheels of a one-way clutch, the material cost is high, and the heat treatment cost of carburizing treatment and carbonitriding treatment of case hardening steel is also increased. Therefore, there is a problem that the total manufacturing cost of the inner ring or the outer ring is increased.
[0007]
Therefore, it is conceivable to produce an inner ring or an outer ring by subjecting a material formed in a predetermined shape from bearing steel such as JIS SUJ2 to carburizing or carbonitriding, but in this case, the surface hardness is increased. Both carbide refinement cannot be achieved at the same time. For example, when carburizing treatment is applied to JIS SUJ2, which originally has high carbon and carbide, the surface hardness is increased and the existing carbide further grows to become giant carbide. Since it grows, there is a problem that the lifespan is lowered after all.
[0008]
An object of the present invention is to provide an inner ring or an outer ring having a cam surface in a one-way clutch that can solve the above problems and prevent damage in a short period of time , and a method for manufacturing the same.
[0009]
[Means for Solving the Problems and Effects of the Invention]
Inner or outer ring having a cam surface in the one-way clutch according to the invention of claim 1 is made of bearing steel, carburizing processing is performed, the surface layer ranging from the surface of the sliding surface to a depth which acts maximum shear stress The total carbon content of the part is 1.0 to 1.6 wt%, the amount of retained austenite is 20 to 35 vol%, the compressive residual stress is 150 to 1000 MPa, the surface hardness is HRC64 or more, and the surface carbide is spherical carbide. The amount of the spherical carbide is 10 to 25% by area ratio and the particle size is 3 μm or less.
[0010]
In the first aspect of the present invention, the reasons for limiting each numerical value are as follows.
[0011]
The total amount of carbon in the surface layer is limited to 1.0 to 1.6 wt% because the carbide becomes extremely coarse and cannot be refined when the upper limit is exceeded. The lower limit value is inevitably determined from the base of bearing steel such as JIS SUJ2.
[0012]
The amount of retained austenite in the surface layer portion The amount of retained austenite is limited to 20 to 35 vol%, and within this range, the compressive stress in the surface layer portion generated by the mating component on the other side can be relieved. This is because the progress of cracks can be suppressed and the toughness is improved, and the life of the inner ring or outer ring having the cam surface in the one-way clutch can be further extended. However, if the amount of retained austenite is less than 20 vol%, such an effect cannot be obtained, and if it exceeds 35 vol%, the surface hardness of the surface layer does not exceed 64 HRC.
[0013]
The compressive residual stress of the surface layer portion The reason why the compressive residual stress is limited to 150 to 1000 MPa is within this range, so that the progress of cracks can be suppressed and the durability under high surface pressure is improved. This is because the life of the inner ring or outer ring having the cam surface in the one-way clutch can be further increased. However, when the compressive residual stress is less than 150 MPa, such an effect cannot be obtained, and when it exceeds 1000 MPa, deformation with time due to excessive compressive residual stress becomes a problem.
[0014]
The surface hardness of the surface layer portion The surface hardness of the surface layer portion is limited to HRC 64 or more because damage under high surface pressure can be suppressed in this case. The upper limit of the surface hardness is preferably about HRC69. The reason is to ensure the toughness of the material.
[0015]
The amount of spherical carbide in the surface layer The lower limit of the amount of spherical carbide was limited to 10% in area ratio because the amount of carbide in micron order and sub-micron order was reduced when the amount of spherical carbide was less than 10% in area ratio. This is because there is a possibility that the effect of improving the sliding life may be insufficient due to shortage. Here, micron-order carbides have the effect of preventing the formation of slip bands that cause sliding fatigue. Submicron-order carbides have no effect to prevent the formation of slip bands, but the slip bands are dispersed. There is an effect to make. Further, the upper limit of the amount of spherical carbide is limited to 25% in terms of area ratio. When the amount exceeds 25%, the particle size of the spherical carbide inevitably increases, and the distance between the spherical carbides decreases and becomes uniform. This is because they will not be dispersed.
[0016]
The particle size of the spherical carbide in the surface layer portion is limited to 3 μm or less because if it exceeds 3 μm, it becomes the starting point of fatigue cracks as in the case of non-metallic inclusions and the toughness cannot be ensured. .
Further, when the amount and particle size of the spherical carbide in the surface layer portion are as described above, the spherical carbide is uniformly dispersed in the surface layer portion, the stability of the retained austenite is increased, and the cam surface in the one-way clutch is provided. It is possible to prevent the dimensional change of the inner ring or the outer ring .
[0017]
According to the present invention, together with the surface hardness is to damage at high surface pressure suppression increases, improved abrasion resistance, further toughness is improved by the effect of residual austenite, resulting in one direction The life of the inner ring or outer ring having the cam surface in the clutch can be increased. Moreover, since it is made of bearing steel that is mass-produced for bearings, the material cost is reduced, and as a result, the total manufacturing cost is reduced. Among bearing steels, JIS SUJ2 is particularly mass-produced, and therefore, using it is preferable because the material cost is extremely low.
[0018]
In the invention of claim 1 , the carburizing temperature is preferably 840 to 870 ° C. In this case, it becomes lower than the heating temperature of the carburizing treatment or carbonitriding treatment applied to the conventional case-hardened steel, and the heat treatment cost is reduced. Therefore, the total manufacturing cost is reduced.
[0019]
According to a second aspect of the present invention, there is provided a method of manufacturing an inner ring or an outer ring having a cam surface in a one-way clutch in a carburized atmosphere in which a processed material formed in a predetermined shape from a bearing steel has a carbon potential of 1.2% or more. Then, the steel is rapidly cooled after being subjected to carburizing treatment by heating at 840 to 870 ° C. for 3 hours or longer, whereby the total carbon content of the surface layer in the range from the surface on the sliding surface to the depth at which the maximum shear stress acts is 1. In addition to 0-1.6 wt%, the amount of solid solution carbon in the matrix of the surface layer portion is 0.6-1.0 wt%, spherical carbide is precipitated on the surface layer portion, the amount of spherical carbide in terms of area ratio It is 5 to 15% and its particle size is 3 μm or less.
[0020]
In the invention of claim 2, reasons for limiting the respective numerical values in the carburization treatment is as follows.
[0021]
Carbon potential in the carburizing atmosphere This carbon potential is limited to 1.2% or more. When the carbon potential is less than 1.2%, the bearing steel having a carbon content of about 1 wt% is hardly carburized. This is because the hardness of the part and the area ratio of the carbide cannot be made desired, and further, the carbide cannot be refined.
[0022]
Carburizing temperature This temperature is limited to 840-870 ° C. If the temperature is less than the lower limit, the necessary carburization as described in the carbon potential cannot be performed. This is because the strength is lowered due to the precipitation of giant carbides as well as the increase in the thickness. That is, since the yield strength is proportional to the -1/2 power of the crystal grain size, the strength decreases when the crystal grain size becomes too large.
[0023]
Carburizing time This time is limited to 3 hours or more because the carburizing depth is insufficient when it is less than 3 hours.
[0024]
Total carbon content of the surface layer
The reason why the total carbon content is limited to 1.0 to 1.6 wt % is that if the upper limit is exceeded, the carbide becomes extremely coarse and cannot be refined. The lower limit value is inevitably determined from the base of bearing steel such as JIS SUJ2 .
[0025]
Solid solution carbon content in surface layer matrix
The reason why the amount of dissolved carbon is limited to 0.6 to 1.0 wt % is that if it is less than the lower limit value, a desired surface hardness cannot be obtained, and an inner ring having a cam surface in a one-way clutch. or the outer ring is damaged in a short period of time, and the amount of fine spherical carbides of the surface layer portion exceeds the upper limit value is less than 5% by area ratio, Ru der because abrasion resistance is lowered.
[0026]
Amount of spherical carbide in the surface layer
The amount of the spherical carbide is limited to 5 to 15% in terms of area ratio because if it is less than the lower limit, the wear resistance is lowered, and if it exceeds the upper limit, coarse carbide is generated, and this coarse carbide is fatigue cracked. This is because the life of the inner ring or outer ring having the cam surface in the one-way clutch is shortened. Moreover, in order to make the amount of spherical carbides more than 15% in terms of area ratio, the carburizing time must be lengthened. As a result, the heat treatment cost is increased, compared with the case where the area ratio is 15% or less. This is because the total manufacturing cost increases .
[0027]
Particle size of spherical carbide in the surface layer
The reason why this particle size is limited to 3 μm or less is that if it exceeds 3 μm, it becomes the starting point of fatigue cracks as in the case of non-metallic inclusions, and the toughness cannot be ensured .
[0028]
According to invention of Claim 2 , since the processed raw material which consists of bearing steel often used for bearings is used, material cost becomes cheap. In addition, since the carburizing temperature is 840 to 870 ° C., only the heat treatment for rapid cooling is performed after one carburizing treatment, so that the heat treatment cost is reduced. Therefore, the total manufacturing cost of the inner ring or outer ring having the cam surface in the one-way clutch is reduced. Among bearing steels, JIS SUJ2 is particularly mass-produced, and therefore, using it is preferable because the material cost is extremely low.
[0029]
In the invention of claim 2 , the carbon potential is preferably set to 1.2 to 1.4%. This is because if the carbon potential exceeds 1.4%, a large amount of soot is generated.
[0030]
Furthermore, in the invention of claim 2 , the heating time is preferably 3.5 to 5 hours. This is because if the heating time exceeds 5 hours, the heat treatment cost increases and the carbides become enormous.
[0031]
According to a third aspect of the present invention, there is provided a method for manufacturing an inner ring or an outer ring having a cam surface in a one-way clutch , wherein a processed material formed in a predetermined shape from bearing steel is used in an atmosphere having a carbon potential of 0.9 to 1.1%. The existing carbide is dissolved in the matrix by heating at 930 to 970 ° C. for 1 hour or longer, and then rapidly cooled, and then at 840 to 870 ° C. in an atmosphere having a carbon potential of 1.2% or more. After carburizing by heating for more than an hour, it is rapidly cooled, and the total carbon content of the surface layer in the range from the surface on the sliding surface to the depth at which the maximum shear stress acts is 1.0 to 1.6 wt%. In addition, the amount of solid solution carbon in the matrix of the surface layer portion is 0.6 to 1.0 wt%, and further spherical carbide is precipitated on the surface layer portion to form spherical carbide. The amount is 10 to 20% in terms of area ratio, and the particle size is 2 μm or less.
[0032]
In the invention of claim 3, the reason for limiting each numerical value in the heat treatment is as follows .
[0033]
Process for dissolving existing carbide in matrix The carbon potential in the atmosphere in this process was limited to 0.9 to 1.1% because carburization and decarburization were performed on the inner ring or outer ring having a cam surface in a one-way clutch. This is because it does not cause charcoal. If it exceeds 1.1%, carburization occurs in the bearing steel having a carbon content of about 1 wt%, and if it is less than 0.9%, decarburization occurs.
[0034]
The reason why the heating temperature in this step is limited to 930 to 970 ° C. is that if it is less than 930 ° C., the solid solution of the carbide as the second phase existing after the spherical annealing is insufficient in the matrix, 970 ° C. This is because exceeding the range may cause fire cracking.
[0035]
Furthermore, the reason for limiting the heating time in this step to 1 hour or more is that if it is less than 1 hour, solid solution of the carbide as the second phase existing after the spherical annealing becomes insufficient in the matrix. is there.
[0036]
Carburizing process The carbon potential in the atmosphere in this process is limited to 1.2% or more. If it is less than 1.2%, the carburizing steel is hardly carburized when the carbon content is about 1 wt%. This is because the hardness of the surface layer portion and the area ratio of the carbide cannot be made desired, and the carbide cannot be refined. The upper limit of the carbon potential is preferably 1.4% in order to prevent the generation of a large amount of soot.
[0037]
The reason why the heating temperature in this step is limited to 840 to 870 ° C. is that if it is less than the lower limit value, the necessary carburization as described in the carbon potential cannot be performed. This is because the strength is lowered due to the precipitation of giant carbides as well as the increase in the thickness. That is, since the yield strength is proportional to the -1/2 power of the crystal grain size, the strength decreases when the crystal grain size becomes too large.
[0038]
Furthermore, the reason for limiting the heating time in this step to 3 hours or more is that if it is less than 3 hours, the required carburization depth cannot be obtained.
[0039]
Total carbon content of the surface layer
The reason why the total carbon content is limited to 1.0 to 1.6 wt % is that if the upper limit is exceeded, the carbide becomes extremely coarse and cannot be refined. The lower limit value is inevitably determined from the base of bearing steel such as JIS SUJ2 .
[0040]
Solid solution carbon content in surface layer matrix
The reason why the amount of dissolved carbon is limited to 0.6 to 1.0 wt % is that if it is less than the lower limit value, a desired surface hardness cannot be obtained, and an inner ring having a cam surface in a one-way clutch. Alternatively, the outer ring is damaged in a short period of time, and if the upper limit is exceeded, the amount of fine spherical carbide in the surface layer portion becomes less than 5% in terms of area ratio, and wear resistance decreases .
[0041]
Amount of spherical carbide in the surface layer
The amount of the spherical carbide is limited to 10 to 20% in terms of area ratio. If the amount is less than the lower limit, the amount of carbide in the micron order and the submicron order is insufficient, and the effect of improving the sliding life is obtained. This is because there is a risk of not. Here, micron-order carbides have the effect of preventing the formation of slip bands that cause sliding fatigue. Submicron-order carbides have no effect to prevent the formation of slip bands, but the slip bands are dispersed. There is an effect to make. Further, if the upper limit is exceeded, coarse carbides are generated, and this coarse carbide becomes the starting point of fatigue cracks, leading to a shortened life of the inner ring or outer ring having the cam surface in the one-way clutch .
[0042]
The particle size of the particle size globular carbides of globular carbides in the surface layer portion was 2 [mu] m or less, exceeds 2 [mu] m, it becomes a starting point of fatigue cracks similarly to non-metallic inclusions, there is a possibility that the toughness is insufficient Because.
[0043]
According to the invention of claim 3 , since the carburizing process is performed after the process of dissolving the existing carbide in the matrix, the fine carbide can be precipitated again from the core of the carbide dissolved in the matrix. It becomes possible. Therefore, the occurrence of fatigue cracks can be prevented and toughness can be ensured, and the life of the inner ring or outer ring having the cam surface in the one-way clutch can be extended. Further, since the bearing steel that is mass-produced for bearings is used, the material cost is reduced, and as a result, the total manufacturing cost is reduced. Among bearing steels, JIS SUJ2 is particularly mass-produced, and therefore, using it is preferable because the material cost is extremely low.
[0044]
In the invention of claim 3 , it is preferable that the amount of spherical carbide in the surface layer portion after the carburizing treatment is 13 to 16% in terms of area ratio.
[0045]
When the amount of spherical carbide is 13% or more in terms of area ratio, the above-described effect of preventing the formation of slip bands by micron-order carbides and the effect of dispersing slide bands by sub-micron order carbides are further improved. This is because the lifetime is improved. In consideration of cost, it is appropriate that the amount of spherical carbide is 16% or less in terms of area ratio in gas carburization.
[0046]
In the first to third aspects of the invention, the range from the surface to the depth at which the maximum shear stress acts varies depending on the contact load of the sliding surface, the lubrication conditions, etc., but from the surface to the depth of about 0.5 mm. It is a range. The reason why this range is set as described above is as follows. That is, within the range in which the maximum shear stress that causes internal origin peeling acts, the strength is improved by making the total carbon amount, the solid solution carbon amount in the matrix, and the amount of spherical carbide as described above, and as a result. This is because the predetermined purpose is achieved.
[0047]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, specific examples of the present invention will be described together with comparative examples.
[0048]
Examples 1 to 3 and Comparative Example 1
Two types of steel shown in Table 1 were prepared, and four types of inner ring materials having a cam surface used for a one-way clutch were produced using these steels.
[0049]
[Table 1]
Figure 0003959627
[0050]
Next, these inner ring materials were subjected to heat treatment under the heat treatment conditions shown in FIGS. 1 to 3 to produce one-way clutch inner rings (Examples 1 to 3 and Comparative Example 1).
[0051]
Heat treatment condition 1 shown in FIG. 1 is one in which heating is performed at 850 ° C. for 3 hours in an atmosphere having a carbon potential of 1.3%, and then oil cooling is performed to 80 ° C.
[0052]
The heat treatment condition 2 shown in FIG. 2 is that after heating at 950 ° C. for 2 hours in an atmosphere with a carbon potential of 1.1%, oil-cooled to 80 ° C., then to 850 ° C. in an atmosphere with a carbon potential of 1.3%. The oil is cooled to 80 ° C. after heating for 5 hours.
[0053]
The heat treatment condition 3 shown in FIG. 3 is that after heating for 5 hours at 930 ° C. in an atmosphere with a carbon potential of 0.8%, following this heating, 0.7 hours at 850 ° C. in an atmosphere with a carbon potential of 0.8%. It is heated and then oil cooled to 80 ° C.
[0054]
In both the heat treatments described above, although not shown, a tempering treatment is performed in which the heating is performed at 160 ° C. for 2 hours.
[0055]
Table 2 shows the steel types, heat treatment conditions, and heat treatment costs of the inner rings of Examples 1 to 3 and Comparative Example 1 manufactured as described above. The heat treatment condition 1A in Table 2 is obtained by changing only the heating time of the heat treatment condition 1 to 5 hours. Moreover, the heat processing cost is represented with the number of 1-3 in an order from a cheap thing.
[0056]
[Table 2]
Figure 0003959627
[0057]
In Examples 1 to 3 and Comparative Example 1, the surface hardness (HRC) of the cam surface of the inner ring for one-way clutch, the total carbon content of the cam outermost surface, the amount of solute carbon in the matrix of the cam outermost surface, and the cam outermost surface the amount of precipitated globular carbides (area ratio), maximum particle diameter of the spherical carbide precipitated in the cam top surface, the amount of residual austenite at the position of depth 50μm from the surface (gamma R amount) at the position of depth 50μm from the surface Table 3 shows the compressive residual stress.
[0058]
[Table 3]
Figure 0003959627
[0059]
Evaluation test The inner ring of Examples 1 to 3 and Comparative Example 1 is combined with a roller made of JIS SUJ2 and subjected to normal carbonitriding, and an outer ring made of JIS S55C and subjected to induction hardening. A one-way clutch was assembled. Then, using these one-way clutches, rotational fluctuation endurance test under the conditions of rotational speed: 2000 r / min ± 10% (variation frequency 23.3 Hz), load torque: 8 Nm, ambient temperature: 110 ° C., target life: 560 h Went.
[0060]
Then, the test was terminated at 600 h, and the cam surface wear amount was compared. As a result, it was confirmed that the cam surface wear amount of Examples 1 to 3 according to the present invention was about ½ of that of Comparative Example 1. It was. Moreover, since Examples 1 to 3 use JIS SUJ2, which is the most mass-produced among bearing steels, the material cost is particularly low compared to Comparative Example 1 using case-hardened steel. Furthermore, the heat treatment cost is reduced .
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing heat treatment condition 1;
FIG. 2 is a diagram showing a heat treatment condition 2;
FIG. 3 is a diagram showing a heat treatment condition 3;

Claims (3)

軸受鋼よりなり、浸炭処理が施されて、摺動面における表面から最大せん断応力が作用する深さまでの範囲の表層部の全炭素量が1.0〜1.6 wt %、同じく残留オーステナイト量が20〜35 vol %、同じく圧縮残留応力が150〜1000 MPa 、同じく表面硬さがロックウェルC硬さで64以上となされ、前記表層部に球状炭化物が析出しているとともに、前記球状炭化物の量が面積率で10〜25%でかつその粒径が3μm以下となされていることを特徴とする、一方向クラッチにおけるカム面を有する内輪または外輪 Made of bearing steel, carburized, and the total carbon content of the surface layer in the range from the surface on the sliding surface to the depth where the maximum shear stress acts is 1.0 to 1.6 wt %, and the amount of retained austenite Is 20 to 35 vol %, the compression residual stress is 150 to 1000 MPa , the surface hardness is 64 or more in Rockwell C hardness, and the spherical carbide is precipitated on the surface layer portion. An inner ring or an outer ring having a cam surface in a one-way clutch, characterized in that the amount is 10 to 25% in area ratio and the particle diameter is 3 μm or less . 軸受鋼より所定の形状に形成された加工済み素材を、カーボンポテンシャルが1.2%以上である浸炭雰囲気中において840〜870℃で3時間以上加熱することにより浸炭処理を施した後急冷し、これにより摺動面における表面から最大せん断応力が作用する深さまでの範囲の表層部の全炭素量を1.0〜1.6 wt %とするとともに、前記表層部のマトリックス中の固溶炭素量を0.6〜1.0 wt %とし、前記表層部に球状炭化物を析出させて球状炭化物の量を面積率で5〜15%でかつその粒径を3μm以下とすることを特徴とする、一方向クラッチにおけるカム面を有する内輪または外輪の製造方法 The processed material formed into a predetermined shape from the bearing steel is quenched after being carburized by heating at 840 to 870 ° C. for 3 hours or more in a carburizing atmosphere having a carbon potential of 1.2% or more, As a result, the total carbon content of the surface layer in the range from the surface on the sliding surface to the depth at which the maximum shear stress acts is 1.0 to 1.6 wt %, and the amount of solute carbon in the matrix of the surface layer 0.6 to 1.0 wt %, spherical carbide is precipitated on the surface layer portion, the amount of spherical carbide is 5 to 15% in area ratio, and the particle size is 3 μm or less, A method for manufacturing an inner ring or an outer ring having a cam surface in a one-way clutch . 軸受鋼より所定の形状に形成された加工済み素材を、カーボンポテンシャルが0.9〜1.1%の雰囲気中において930〜970℃で1時間以上加熱することにより既存の炭化物をマトリックス中に溶け込ませる処理を施した後急冷し、ついでカーボンポテンシャルが1.2%以上の雰囲気中において840〜870℃で3時間以上加熱することにより浸炭処理を施した後急冷し、これにより摺動面における表面から最大せん断応力が作用する深さまでの範囲の表層部の全炭素量を1.0〜1.6 wt %とするとともに、前記表層部のマトリックス中の固溶炭素量を0.6〜1.0 wt %とし、さらに前記表層部に球状炭化物を析出させて球状炭化物の量を面積率で10〜20%でかつその粒径を2μm以下とすることを特徴とする、一方向クラッチにおけるカム面を有する内輪または外輪の製造方法 A processed material formed into a predetermined shape from a bearing steel is heated at 930 to 970 ° C. for 1 hour or more in an atmosphere having a carbon potential of 0.9 to 1.1% to dissolve the existing carbide in the matrix. Then, it is rapidly cooled after being subjected to carburizing treatment by heating at 840 to 870 ° C. for 3 hours or more in an atmosphere having a carbon potential of 1.2% or more, whereby the surface on the sliding surface is cooled. To a depth where the maximum shear stress acts, the total carbon content of the surface layer portion is 1.0 to 1.6 wt %, and the solid solution carbon amount in the matrix of the surface layer portion is 0.6 to 1. The unidirectional crumb is characterized in that it is 0 wt %, and further, spherical carbide is precipitated on the surface layer portion so that the amount of spherical carbide is 10 to 20% by area ratio and the particle size is 2 μm or less. A method of manufacturing an inner ring or an outer ring having a cam surface in a latch .
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