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JP3955874B2 - 原動機 - Google Patents

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Description

本発明は、コンパクト化のためトルクコンバータと変速機との間に電動式のモータを配置したハイブリッド式原動機において、トルクコンバータの作動油(オイル)の供給路を簡易化する技術に関する。
内燃機関と、トルクコンバータと、電動式のモータと、変速機と、を備えたハイブリッド式の原動機として、特許文献1に記載のものがある。
特開2004−84679号公報
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、内燃機関とモータとが直結しているため、これらの出力合体時の衝撃が大きいという問題点があった。
そこで、流体の作動によって動力を伝達するトルクコンバータを介して内燃機関とモータとを接続すれば、上記衝撃を緩和できるとも考えられる。しかし、変速機をトルクコンバータから離れて配設せざるを得ないことから、変速機用のオイルをトルクコンバータ内へ作動油として供給することが困難である。
本発明は、以上のような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、簡易な構成によって、変速機用のオイルを、該変速機から離れて位置するトルクコンバータ内へ作動油として供給可能とすることで、トルクコンバータを介して内燃機関とモータとを接続する構成を実現し、以て、内燃機関とモータとの出力合体時の衝撃を緩和したハイブリッド式の原動機を提供することを目的とする。
このため本発明は、内燃機関と、該内燃機関の出力軸に接続された液体式のトルクコンバータと、該トルクコンバータの出力軸に接続されたモータと、該モータの回転軸に接続された変速機と、を含んで構成され、前記モータの回転軸の内部を通って、前記変速機用のオイルを前記トルクコンバータ内に供給する油通路を形成する構成とした。
以上の構成によって、変速機からモータ回転軸の内部を介して前記トルクコンバータへオイルを供給することにより、簡易な構成で、変速機から離れた位置にあるトルクコンバータへ供給することができる。この結果、トルクコンバータを介して内燃機関とモータとを接続可能となり、内燃機関とモータとの出力合体時の衝撃が緩和される。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態は、内燃機関2と、トルクコンバータ4と、電動式のモータ6と、変速機8と、を主たる原動機要素とし、トルクコンバータ4と、変速機8と、の間に、モータ6を配置した走行用のハイブリッド原動機である。
内燃機関2は、その駆動力を、トルクコンバータ4を介してモータ6へ伝達する。なお、内燃機関2の回転速度が一定値以上となった際には、トルクコンバータ4内の流体を介さずに、内燃機関2から直接的に変速機8へ出力を伝達する構成(ロックアップ)とするのがよい。
そして、変速機8はモータ6から駆動力の供給を受け、変速機8の出力は車軸(図示せず)を介して車輪(図示せず)に伝達される。
モータ6は、略環状のステータ10と、ステータ10の内側で回転可能なロータ12と、を備え、ステータ10の外周を覆うモータハウジング14内に収納支持されている。ロータ12は、ロータ本体12aと、ロータ本体12aの夫々図示左側(内燃機関2側)および図示右側(変速機8側)の側面から突出する筒状の回転軸16,18と、を有する。回転軸16,18は、これらの先端部付近において、夫々、モータハウジング14内に取り付けられたベアリング20,22に軸受けされている。なお、モータハウジング14と回転軸18との間の隙間は、ベアリング22とロータ本体12aとの間の位置に配設された環状のオイルシール23によってシールされている。
ステータ10は、夫々両端部が左右側面から夫々突出した状態で、回転軸16,18を中心として環状に並んだ複数のコイル24を備えている。一方、ロータ本体12aには、ステータ10と近接した部分に、複数のマグネット(永久磁石)26が埋め込まれている。
ロータ本体12a内部のマグネット26より内周側には、マグネット26と近接して空洞28が形成されている。また、ロータ本体12aの回転軸16,18外側の左右両側壁には、夫々外側に突出する突出部12bが設けられ、該突出部12bには空洞28と連通した噴油ノズル12cが形成され、噴油ノズル12cの終端はステータ10へ向けて開放されている。
回転軸16,18は、空洞28と連通して、夫々、軸方向に貫通する孔30,32を形成し、孔32の周壁には、図2に示すように内周スプライン18aが形成されている。
また、両端が開放された筒状で、外周面および内周面がスプライン加工されたリンケージ部材34が設けられ、該リンケージ部材34がその外周スプラインを前記内周スプライン18aに嵌合して取り付けられている。
変速機8の入力軸としてのメインドライブシャフト36には、その左端部の外周面に、スプライン36aが形成されている。該メインドライブシャフト36の左端部を前記回転軸18の孔32に挿入し、リンケージ部材34の内周スプラインの右側部分に対し、スプライン36aを嵌合させることで、ロータ12とメインドライブシャフト36とが一体に回転する。
リンケージ部材34の右側において、回転軸18の内周面と、メインドライブシャフト36と、の間には、環状の隙間38が形成されている。また、図2に示すように、回転軸18内周面の一部を軸方向に延びる溝状に切り欠いて、空洞28と環状の隙間38とを連通するように、複数の油孔40が形成されている。
一方、メインドライブシャフト36には、その中心軸に沿って、油通路36bが形成されている。
リレーシャフト42は、トルクコンバータ4の出力軸であり、その右端部の外周面に、スプライン42aが形成されている。リレーシャフト42は、孔30を経て、右端部が孔32に挿入され、スプライン42aをリンケージ部材34の内周スプラインの左側部分に嵌合される。これにより、リレーシャフト42はメインドライブシャフト36と連結し、ロータ12と、メインドライブシャフト36と、リレーシャフト42と、が一体に回転するようになる。このように、トルクコンバータ4の出力とモータ6の出力とはリンケージ部材34において合体する。
回転軸16の内周面と、リレーシャフト42外周面と、の間には、環状の隙間44が形成されている。
一方、リレーシャフト42には、その中心軸に沿って、油通路42bが貫通して形成されている。油通路42bは、油通路36bおよびトルクコンバータ4内と連通している。
シュラウド部材46は、軸方向と直交するフランジ部46aと、フランジ部46aから軸方向(左方向)に突出した筒状の筒部46bを有し、フランジ部46aがモータハウジング14内壁に複数のボルト47の締結によって固定されている。筒部46bの左右両端部は開放され、筒部46bにはリレーシャフト42が貫通状態で回動可能に挿入されている。リレーシャフト42の左端部は、筒部46bの左端部からトルクコンバータ4内へ突出し、トルクコンバータ4の出力羽根車から出力の供給を受ける。
フランジ部46aを軸方向に貫通して、複数の油孔46cが、環状の隙間44と、トルクコンバータ4内と、を連通するように形成されている。なお、モータハウジング14とトルクコンバータ4との境界には、油孔46cとトルクコンバータ4内との間のオイルをシールするオイルシール48が配設されている。
さらに、変速機8を収納するフロントギアハウジング50内で、モータハウジング14に近接する位置に、メインドライブシャフト36に係合して回転駆動され、環状の隙間38にオイルを供給するオイルポンプ52が設けられている。なお、オイルポンプ52は、変速制御実行時における変速機8の油圧制御や、変速機8の歯車の潤滑などにも用いられる。
次に、本実施形態の動作について説明する。
本実施形態では、モータ6のコイル24への通電を遮断して、内燃機関2のみの駆動力で運転することも可能であるが、以下では、モータ6のみによる運転時、または、モータ6および内燃機関2の双方による運転時について説明する。
まず、モータ6への運転指令により、複数のコイル24に夫々位相の異なる交流電圧が印加され、ステータ10内には回転磁界が発生し、この回転磁界がマグネット26に作用してロータ本体12aを回転駆動する。これにより、メインドライブシャフト36も駆動する。
モータ6の駆動に伴って、オイルポンプ52が駆動し、オイルポンプ52から吐出されたオイルは、環状の隙間38、油孔40を経て、空洞28に供給される。上述のように、ロータ12とメインドライブシャフト36とを、両者間にクラッチを設けずに直結する構造としたことから、回転軸18を介して変速機8側から空洞28へオイルを供給する油通路を容易に形成可能となっている。
空洞28に導かれ、空洞28内を満たしたオイルは、空洞28の広い壁面から熱を奪うことで、ロータ本体12aが内側から効率よく冷却される。これにより、簡易な構成によって、モータ6の運転によって昇温したマグネット26が効果的に冷却され、マグネット26の過熱による磁力劣化をより確実に回避し、モータ6の性能劣化を抑制できる。
従来のハイブリッド式原動機では、モータと変速機とをクラッチを介して接続する構成が一般的であった。このような構成において、変速機用のオイルをモータのロータへ供給する目的で、クラッチを迂回して変速機側とロータ本体内とを連通する油通路を配設しようとする試みもあったが、その配設が煩雑になるという理由からこのような油通路は実現に至ってはいなかった。
しかし、本出願人は、変速時において、変速機入力軸(メインドライブシャフト36)側の歯車の回転速度を、該歯車と噛合する変速機出力軸側の歯車の回転速度へ近づけるようにモータ6の回転速度を制御したうえで、これら両歯車を噛合させる技術を開発し、クラッチを備えずにトルクショックのない滑らかな変速を行うことも可能となった。このため、本実施形態のように、モータと変速機との間のクラッチは省略可能となり、モータと変速機とを直結して原動機の小型化を図れるようになった。
本実施形態では、上記クラッチを省略する技術を適用して、モータ6の回転軸18と、変速機8のメインドライブシャフト36と、を直結したことで、モータ6の出力軸(回転軸18)に対して、変速機8側とロータ本体12a内とを連通する油通路を形成できる。このため、変速機8用のオイルは、回転軸18の内部を通ってロータ本体12a内の空洞28へ供給され、ロータ本体12aの冷却に利用できるようになり、大型発電機外部の管路のような煩雑な構成も備えることなく、より簡易な構成によって効果的にマグネット26の冷却による磁力劣化防止が可能となる。
空洞28に到達したオイルの一部は、ロータ12の回転に伴う遠心力によって、噴油ノズル12cへ向けて移動することで噴油ノズル12c内のオイル圧力を上昇させる。そして、該オイルは噴油ノズル12c終端から回転軌道の外方へ噴出し、モータ6の運転によって過熱したコイル24に衝突する。これにより、簡易な構成によって、コイル24はオイルによって冷却され、コイル24の過熱による性能劣化を防ぐことができる。
ここで、ロータ本体12aの回転に伴って噴油ノズル12cからオイルが噴出することから、ステータ10にはその全周に均一にオイルが散布される。ステータの冷却方法には、ステータの上部上面に供給されたオイルを、重力によってステータの周面に沿って流下させる方法もあるが、オイルの流下経路がコイルやその絶縁材の形状や配設位置、絶縁塗料のムラの状態などの影響を受けるため、ステータには冷却の不十分な部分が残った。しかし、本実施形態によって、ステータ10の全周をより確実に冷却可能となり、コイル24のほか、コイル24の鉄心など周辺部品をも冷却し、これらの性能維持も可能となる。
モータ6をさらに高出力化させようとする場合、モータ6への通電量も増加することから、ステータ10およびロータ12はより過熱される懸念がある。しかし、上述のように、簡易な構成によって、かつ、より確実に、ステータ10およびロータ12を冷却できることから、上記過熱の懸念は解消され、モータ6をさらに高出力化することが可能となる。
なお、コイル24に衝突したオイルは、その後ステータ10の下方へ移動し、変速機のオイルパン(図示せず)に溜まり、オイルポンプ52によってオイル吸引通路(図示せず)の内部を吸い上げられて再び環状の隙間38へと圧送されることで循環する。
一方、空洞28から環状の隙間44へと流入したオイルは、油孔46cを経てトルクコンバータ4内へ供給され、トルクコンバータ4の作動油となる。そして、このトルクコンバータ4へ供給されたオイルは、油通路42b,36bを順に通って変速機8側へ戻され、前記オイルパンに溜まり、上記と同様にオイルポンプ52によって吸い上げられて循環する。
このように、モータ6の出力軸(回転軸16)に対して、ロータ本体12a内とトルクコンバータ4内とを連通する油通路を形成すると、変速機8用のオイルは、回転軸18,ロータ本体12a,回転軸16の夫々の内部を通って、トルクコンバータ4内へ供給できる。
これにより、トルクコンバータ4が内燃機関2とモータ6との間に配設される構成、つまりトルクコンバータ4が変速機8から離れて位置する構成となっても、簡易な構成によって、変速機8用のオイルをトルクコンバータ4内へ供給できることから、トルクコンバータ4を介して内燃機関2とモータ6とを接続可能になる。
従来は、トルクコンバータを介して内燃機関とモータとを接続する発想はあったが、変速機をトルクコンバータから離れて配設せざるを得ず、変速機用のオイルをトルクコンバータ内へ作動油として供給することが困難なため、上記発想は実用に至っていなかった。このため、従来は、内燃機関とモータとの間に、一方向クラッチ、遠心クラッチ、電磁クラッチなど(以下、クラッチ類と記す)を介して、内燃機関からモータへ伝達される動力の遮断を行うのが限界であった。
しかし、これらクラッチ類に代えて、本実施形態のように、流体の作動によって動力を伝達するトルクコンバータ4を配設可能とすると、内燃機関2の出力のうちモータ6へ伝達される量を容易に調節可能となると同時に、内燃機関とモータとを直結した場合や、内燃機関とモータとの間にこれらクラッチ類を介在させた場合に比べて、内燃機関2とモータ6との出力合体時の衝撃が緩和される。また、変速機の簡略化や、原動機の小型化へもつながる。
本発明は上記実施形態に限られず、以下のような構成としてもよい。
まず、上記説明では、オイルポンプ52から流出するオイルは、環状の隙間38、油孔40、空洞28、環状の隙間44、油孔46c、トルクコンバータ4内、油通路42b,36bの順に流れ、オイルポンプ52に戻るような循環方向を挙げたが、該循環方向を逆にしてもよい。この場合、オイルポンプ52はまず油通路36bへオイルを圧送し、最終的に環状の隙間38から変速機8側へ流れ出たオイルは、前記オイルパンに溜まり、オイルポンプ52によって吸い上げられて循環する。
また、変速機8外部に放熱器を設け、循環するオイルは、該放熱器を経由することで冷却されるようにしてもよい。
さらに、オイルポンプ52は、モータ6の運転時に駆動するように設定すれば、必ずしもメインドライブシャフト36に係合して駆動される必要はなく、別の駆動原を使用してもよい。
また、回転軸16(18)の周壁を貫通する孔を開口し、回転軸16(18)内を流れるオイルの一部を、該孔からベアリング20(22)の被潤滑部へ供給してもよい。これにより、簡易な構成によって、ベアリング20(22)の潤滑が可能となる。
さらに、突出部12bおよび噴油ノズル12cを省略して、コイル24へ向けて噴油せず、最低限ロータ本体12aをオイルにより内側から冷却する簡易な構成としてもよい。突出部12bおよび噴油ノズル12cの省略は、左右両方に限らず、左右のうち一方のみでもよい。さらに簡易な構成として、空洞28,突出部12bおよび噴油ノズル12cを省略することで、ロータ本体12aおよびコイル24を冷却せず、ロータ12には、最低限トルクコンバータ4内へ変速機8用のオイルを供給する油通路を形成する構成としてもよい。
本発明の実施形態に係る概略図 図1のA−A線断面図
符号の説明
2 内燃機関
4 トルクコンバータ
6 モータ
8 変速機
10 ステータ
12 ロータ
12a ロータ本体
12c 噴油ノズル
16 回転軸
18 回転軸
20 ベアリング
22 ベアリング
28 空洞
36 メインドライブシャフト
36b 油通路
38 環状の隙間
40 油孔
42 リレーシャフト
42b 油通路
44 環状の隙間
46c 油孔
52 オイルポンプ

Claims (10)

  1. 内燃機関と、該内燃機関の出力軸に接続された液体式のトルクコンバータと、該トルクコンバータの出力軸に接続されたモータと、該モータの回転軸に接続された変速機と、を含んで構成され、
    前記モータの回転軸の内部を通って、前記変速機用のオイルを前記トルクコンバータ内に供給する油通路を形成したことを特徴とする原動機。
  2. 前記モータの回転軸は、前記変速機の入力軸と一体に回転するように、該入力軸に直結されていることを特徴とする請求項1に記載の原動機。
  3. 前記トルクコンバータ内に導かれたオイルは前記変速機側に戻され、オイルが循環するように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の原動機。
  4. 前記トルクコンバータの出力軸は、前記モータの回転軸と共に前記ロータ本体中心部を貫通して設けられ、
    前記トルクコンバータ内に導かれたオイルは、前記トルクコンバータの出力軸中心部を貫通して形成された第2油通路を通って、前記変速機側に戻されることを特徴とする請求項3に記載の原動機。
  5. 前記トルクコンバータの出力軸は、前記変速機の入力軸と一体に回転するように前記変速機の入力軸に連結され、
    前記変速機の入力軸には、前記第2油通路と連通してオイルを前記変速機側に戻す第3油通路が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の原動機。
  6. 前記油通路、前記第2油通路、前記第3油通路、の順に通るオイルの循環方向を、逆転させたことを特徴とする請求項5に記載の原動機。
  7. 前記モータのロータ本体内部に空洞を形成するとともに、該空洞を前記油通路と連通させたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の原動機。
  8. 前記空洞と連通し、前記モータのステータに向けて開口して形成され、前記空洞内のオイルを前記ステータへ向けて噴射する噴油ノズルを、前記ロータ本体に対して設けたことを特徴とする7に記載の原動機。
  9. オイルは、前記モータで駆動されるオイルポンプによって圧送されることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1つに記載の原動機。
  10. 前記モータの回転軸周壁を貫通する孔を開口し、前記油通路を流れるオイルの一部を、前記孔から前記モータ回転軸を支持するベアリングの被潤滑部へ供給することを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載の原動機。
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