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JP3954214B2 - 複合焼結機械部品の製造方法 - Google Patents

複合焼結機械部品の製造方法 Download PDF

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JP3954214B2
JP3954214B2 JP26186398A JP26186398A JP3954214B2 JP 3954214 B2 JP3954214 B2 JP 3954214B2 JP 26186398 A JP26186398 A JP 26186398A JP 26186398 A JP26186398 A JP 26186398A JP 3954214 B2 JP3954214 B2 JP 3954214B2
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Japan
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producing
composite sintered
sintering
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powder
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一夫 浅香
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Resonac Corp
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Hitachi Powdered Metals Co Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、形状の複雑な焼結機械部品の製造に用いられる複数の部分に分割成形した圧粉体を組み合わせて焼結することにより1箇の焼結部品を得る方法を応用した、圧粉体の部分と鋼材(溶製材)の部分とを焼結により接合する方法の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複数の圧粉体を組み合わせて1箇の焼結部品とするためには、一方の圧粉体は軸部を有する形状に,他方の圧粉体は孔部を有する形状に成形しておき、軸部を有する部材(嵌め合わせで内側になることから、以下内側部材という)と孔部を有する部材(以下外側部材という)の軸部と孔部を嵌め合わせた状態で焼結して拡散接合により一体化させるのが通例である。そして焼結合金はその成分組成によって焼結中の熱膨張量がそれぞれ異なるので、内側部材,外側部材ともに圧粉体の場合は、外側部材の熱膨張量が内側部材より小さくなるように両部材を選択して、両部材が密着した状態での焼結を図っている。
【0003】
この様にして作られる複合焼結機械部品の多くは圧粉体同士を接合したものであるが、中には部品の用途,機能面その他の必要から外側部材は焼結合金(圧粉体)のまま、内側部材には鋼材(溶製材)を使用したい場合がある。ところで、焼結合金も同素変態および熱による寸法変化を示すことは溶製材の場合と同様であるが、焼結合金に特有の現象として圧粉体からの焼結過程で粉末粒子の隙間の気孔化〜気孔の消失による緻密化(収縮)を生じるので、普通に焼結した場合の熱膨張量は同等組成の鋼材に比べて原則的に小さくなる。
【0004】
従って、外側部材(圧粉体)の方が相対的に収縮して内側部材(鋼材)と密着するので両部材は十分接合される筈であり、事実圧粉体同士の場合は合金成分の拡散が進行して高い接合強度が得られるにも拘らず、内側部材が鋼材の場合には量産を前提とした通常の焼結条件では所要の接合強度は得られない。この場合も焼結条件を変更し、高温で長時間の焼結を行なえば接合強度は向上するが、生産効率とコストの面で実用にはなり難かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこでこの対策として、圧粉体と嵌め合わせる前に鋼材の接合面に浸炭処理を施しておく接合方法が開発された。この方法は、圧粉体の炭素含有量よりも高い濃度の浸炭層を鋼材表面に形成しておくと焼結時に浸炭層から圧粉体への炭素の拡散が充分に進行し、圧粉体同士の場合と同様の高い接合強度が得られるという現象を利用したものである。
【0006】
しかし、この方法にはイオン浸炭法などの浸炭処理を長時間施す必要があり、鋼材の処理コストが高くつくこと,浸炭を好まない場合や浸炭に向かない材質があるため、実施の対象が制約されるなどの問題があった。この発明は圧粉体との焼結による接合に際し鋼材の浸炭処理を要しない方法の開発を目的とするものであり、とくに内側部材が鋼材,外側部材が圧粉体という組み合わせを対象としている。ちなみにこの明細書における鋼材は純鉄,炭素鋼,合金鋼など鉄系金属の溶製材を総称している。
【0007】
【課題を解決するための手段】
圧粉体の外側部材に鋼材の内側部材を嵌め合わせて焼結接合する場合、得られる複合部品が高い接合強度を持つためには単なる機械的な焼き嵌めだけでなく、両部材の接合面が十分に密着した状態での焼結によって、合金成分の固相拡散による接合を図る必要がある。それには先ず、両部材を嵌め合わせる際の嵌め合い寸法差(圧粉体の孔部の内径寸法と鋼材の軸部の外径寸法の差)が重要で、圧粉体の方を細め(締まり嵌め)に設定して鋼材に圧入するのが好ましく、締め代は大きいほど両者の密着度が高くなる。ただし焼結前で強度が低い圧粉体の破損を避けるため、締め代を緩衝作用のある圧粉体同士の場合より小さく、好ましくは30μm以内,多くとも60μm以内に止める必要がある。通り嵌めを選ぶ場合も隙間は小さいほどよく、5μm以下に止めるべきである。
【0008】
次の要因として焼結する際の雰囲気の種類、および雰囲気と圧粉体に配合する粉末潤滑剤の種類との関連がある。即ち、鉄系合金の焼結雰囲気としては高炭素のFe−C系に向き、しかもとくに忌避すべき材質もないことから、天然ガスやメタン系炭化水素などを変成して作られる精製エキソサーミックガスが広く用いられ、また、粉末潤滑剤にはステアリン酸亜鉛が一般的に使用されている。
【0009】
ところが圧粉体を外側部材,鋼材を内側部材とする複合焼結の場合にこの様な雰囲気(例えばブタン変成ガス)を使用すると、雰囲気中の炭素が気孔表面から鉄中に侵入して反応し、本来鋼材ほど膨脹しない筈の圧粉体を膨脹させること,その際圧粉体中に亜鉛が存在すると、この反応に対して微量で触媒作用を示して膨脹量を増大させることが判明した。この膨脹のために圧粉体と鋼材との密着が不十分になり、接合強度の低下を招く訳である。
【0010】
従ってこの対策としては粉末潤滑剤を亜鉛を含まないもの、例えばステアリン酸リチウムその他亜鉛以外の金属ステアレイトまたはアクラワックス(商品名)などに変えて膨脹を軽減することと、根本的には雰囲気ガスを非浸炭性のものに変えることが必要である。その場合、経済性も考慮すると非浸炭性ガスの中でも殆ど不活性に近い窒素ガス雰囲気,または窒素ガスを主成分とする雰囲気が特に好ましい。また焼結は固相焼結によるのが通常であるが、一部に液相を生成する状態で焼結すると拡散接合がさらに促進される。その場合、液相の生成量が5%以内であれば浸蝕や形崩れなどの懸念はないが、焼結体の寸法精度も良好な状態に保つためには3%以内に止めることが好ましい。なおこの明細書中の組成等に関する%は、特に断らない限り重量%である。
【0011】
【発明の実施の形態】
(実施例1) 先ず炭素鋼S45Cで外径30mm,内径10mm,長さ20mmの円筒を作製して内側部材とした。次に銅粉1.5%および黒鉛粉0.7%を鉄粉に配合し、これに粉末潤滑剤としてアクラワックス(商品名)を0.7%添加した混合粉を用意した。この粉末を圧縮して内径30mm,外径40mm,長さ10mmで圧粉密度7.0g/cm3 の円板状の圧粉体を形成し、外側部材とした。次いで両部材を締め代30μmの圧入により嵌め合わせ、窒素雰囲気中1130℃で40分間焼結し、一体に接合した。得られた焼結体を材料試験機に掛け、外側部材を架台上に支えて内側部材に負荷する破壊試験を行なった結果、両部材の接合強度は120MPaであった。
【0012】
(実施例2) 先ず実施例1における内側部材の材質を炭素鋼から機械構造用鋼SCM415に変更し、外側部材は、圧粉体を形成する原料粉をヘガネス社の銅…1.5%,Ni…4%,Mo…0.5%および残部Feの部分拡散合金粉末(商品名デスタロイAE)に変更した。粉末潤滑剤および圧粉密度は実施例1と同じである。次いで両部材を締め代20μmの圧入により嵌め合わせ、分解アンモニアガス雰囲気中1195℃で115分間焼結して一体に接合した。得られた焼結体について実施例1と同様に破壊試験を行なった結果、両部材の接合強度は200MPaであった。
【0013】
(実施例3) 内側部材の材質は実施例2のまま(SCM415)とし、外側部材は圧粉体を形成する原料粉をNi…2%,Mo…1.5%および残部Feの組成の合金粉に黒鉛を0.6%配合した混合粉に変更した。次いで両部材を締め代20μmの圧入により嵌め合わせ、分解アンモニアガス雰囲気中1195℃で115分間焼結して一体に接合した。得られた焼結体について実施例1と同様に破壊試験を行なった結果、両部材の接合強度は200MPaであった。
【0014】
ちなみに、外側部材(圧粉体)の機械的性質としては焼結中の熱膨張量が内側部材(鋼材)より小さければよいので、その材質は実施例の組成に限らず、純鉄でもよく内側部材の鋼材と同じ材質でもよい。また熱膨張量を(鋼材より)増大させない限り、用途に応じた適宜の合金成分を含有させることができる。
【0015】
(比較例1) 合金組成および形状寸法は実施例1のものと同一で、粉末潤滑剤のみステアリン酸亜鉛0.7%に変更した圧粉体を作製し、この外側部材と、実施例1の場合と同一の内側部材(鋼材)とを締め代30μmの圧入により嵌め合わせ、炉の雰囲気を浸炭性のブタン変成ガスに変更し、1130℃で40分間焼結した。しかし、得られた焼結体には両部材の接触面に接合しなかった部分が認められ、強度的にも不良品であった。
【0016】
(比較例2) 圧粉体の粉末潤滑剤としてアクラワックス(商品名)を用いたこと以外は比較例1の場合と同じ条件で処理したところ、得られた焼結体の接合強度は40MPaで、接合してはいるが強度不足であった。
【0017】
【発明の効果】
鋼材を内側部材,鉄系焼結合金を外側部材とする複合部品の場合、従来の製造条件では両部材の強固な接合はできなかったが、この発明によって粉末潤滑剤と焼結雰囲気の適正組み合わせが明確になり、その結果両部材の接合強度が著しく高められた。

Claims (6)

  1. 溶製鋼材から形成された軸部を有する部材(以下内側部材という)と、鉄系の合金粉末または混合粉を圧縮成形して得た孔部を有する圧粉体(以下外側部材という)とを、それぞれの軸部と孔部を嵌め合わせた状態で一体に焼結するに際し、外側部材には焼結過程の800℃以上の高温域における熱膨張量が内側部材の熱膨張量よりも小さくなる組成の原料粉末を用い、原料粉末に添加する粉末潤滑剤には亜鉛を含有しないものを用いて非浸炭性雰囲気で焼結することを特徴とする複合焼結機械部品の製造方法。
  2. 外側部材の孔部と内側部材の軸部との嵌め合い寸法差が隙間5μm以下の通り嵌めもしくは締め代60μm以内の締まり嵌めである請求項1に記載の複合焼結機械部品の製造方法。
  3. 外側部材を構成する原料粉末が純鉄もしくは内側部材と同等組成のものである請求項1または請求項2に記載の複合焼結機械部品の製造方法。
  4. 焼結雰囲気が窒素ガス,または窒素ガスを主成分とするものである請求項1,請求項2または請求項3に記載の複合焼結機械部品の製造方法。
  5. 焼結が固相焼結である請求項1,請求項2,請求項3または請求項4に記載の複合焼結機械部品の製造方法。
  6. 一部に液相が生じるとともにその液相生成量が3%(質量%)以内である、請求項5に記載の複合焼結機械部品の製造方法。
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