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JP3953907B2 - 被圧水下用二重管削孔装置 - Google Patents

被圧水下用二重管削孔装置 Download PDF

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JP3953907B2
JP3953907B2 JP2002213484A JP2002213484A JP3953907B2 JP 3953907 B2 JP3953907 B2 JP 3953907B2 JP 2002213484 A JP2002213484 A JP 2002213484A JP 2002213484 A JP2002213484 A JP 2002213484A JP 3953907 B2 JP3953907 B2 JP 3953907B2
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幸次 長谷川
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三信建設工業株式会社
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、二重管削孔装置に関し、さらに詳細には、被圧水下で使用される削孔装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、グラウンドアンカーを造成する場合、最初に削孔工程が実施される。その際、アンカーの施工位置が被圧水下であると、掘削時における被圧水の逆流対策が必要となる。削孔方式には、一重管方式と二重管方式とがあるが、被圧水下での掘削の場合、いずれも利点及び欠点がある。
【0003】
すなわち、一重管方式では掘削水はケーシングの内側を通って供給され、その外側を通って孔外に排出される。この場合、ケーシングの先端ビットとして逆止弁付きのものが使用されるため、被圧水によりスライムがケーシング内に流入しないという利点がある。その一方、土質が砂及び砂礫の場合、削孔長が長く(例えば15.0m以上)なると、削孔に長時間を要し、あるいは削孔不能となる。
【0004】
また、二重管方式では削孔水はインナーロッドの内側を通って供給され、ケーシングとインナーロッドとの間を通って孔外に排出される。この二重管方式の場合、土質が砂及び砂礫の場合でも長尺の削孔が可能であり、削孔に時間がかからないという利点がある。しかし、被圧水の水頭差が大きいと、削孔中やケーシングの脱着作業中に過剰なスライムが逆流し、ケーシング内にスライムが貯まってしまうという欠点がある。このようなケーシング内でのスライムの貯溜が生じると、削孔後のテンドン(引張材)挿入やグラウト注入は不可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は上記のような技術的背景に基づいてなされたものであって、次の目的を達成するものである。
この発明の目的は、被圧水下で削孔するにあたり、ケーシング内への過剰なスライムの取り込みを防止することができる削孔装置を提供することにある。
【0006】
この発明の別な目的は、上記過剰スライムの取り込み防止に加えて、ケーシング脱着時における被圧水の逆流を防止することができ、さらに通常の二重管方式と同様に効率の良い削孔をすることができる削孔装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記課題を達成するために、次のような手段を採用している。
すなわち、この発明は、先端にリングビットを有するケーシングと、このケーシングの内部に挿入され、掘削水を供給するインナロッドとの二重管を備えた削孔装置であって、
前記ケーシングの先端部内周に、スライム流路が外周に形成され、かつ前記インナロッドによって打撃される可動ビットを軸方向に移動自在に嵌合するとともに、該可動ビットの後方に前記スライム流路を開閉するストッパを設けたことを特徴とする被圧水下用二重管削孔装置にある。
【0008】
前記可動ビットは断面多角形のものとすることができ、この場合、ビット外周と前記ケーシングの内周との間に形成される間隙が前記スライム流路を構成する。また、前記可動ビットは断面円形のものとすることができ、この場合、外周に前記スライム流路を構成する孔が形成されている。
【0009】
削孔時において、可動ビットの前面に作用する被圧水に抗して、インナロッドにより可動ビットを打撃する。この可動ビットの打撃により土砂が切削される。また、可動ビットの打撃により該可動ビットは前進してストッパから離間する。これにより、スライム流路が開き、スライムがケーシング内に取り込まれる。スライムは可動ビットを打撃しているときのみケーシング内に流入し、したがって過剰なスライムの取り込みを防止できる。可動ビットの打撃を停止すると、可動ビットは、被圧水の圧力により後退してストッパに当接し、スライム流路が閉じられる。したがって、スライム流路を通して被圧水が流入することはなく、ケーシングの脱着時における被圧水の逆流を防止できる。このように、可動ビットは土砂を切削するためのビットとして機能するうえ、さらにスライム及び被圧水の流入を制御する弁として機能する。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、この発明による削孔装置をグラウンドアンカー造成のための削孔に適用した形態を示す断面図である。グラウンドアンカー造成工においては土留壁50に止水ボックス51が設置され、この止水ボックス51から削孔装置1により削孔(アンカー孔)が形成される。
【0011】
図2は削孔装置1の詳細を示す軸方向断面図であり、図3は図2のA−A線矢視図である。削孔装置1は、先端にリングビット2を有するケーシング3(ドリルパイプ)と、ケーシング3内に挿入されて掘削水を供給するインナロッド4とを備えている。インナロッド4の先端にはインナビット5が装着されている。このインナビット5は、後述するように、それ自体が直接削孔作用をするものではなく、打撃子(ハンマ)として機能するものである。
【0012】
ケーシング3の先端部内周には可動ビット6が嵌合され、また可動ビット6の後方に環状のストッパ7が設けられている。可動ビット6はストッパ7の前方において軸方向に移動自在である。可動ビット6は、図3に示すように、ケーシング3の内径よりもわずかに小さい円を外接円とする断面六角形のものであり、したがって可動ビット6の外周とケーシング3の内周との間には複数(6つ)のスライム流路8が形成されている。これらのスライム流路8は、図4に示すように、可動ビット6が前進してストッパ7から離間したとき開き(同図(a))、可動ビット6が後退してストッパ7に当接したとき閉じるようになっている(同図(b))。
【0013】
次に上記削孔装置の作用について説明する。ケーシング3の先端部に可動ビット6を装着し、ケーシング3及びインナロッド4の後端を図示しないボーリング機械に連結して、リングビット2の回転及び可動ビット6の打撃により削孔する。すなわち、ケーシング3を介してリングビット2を回転させるとともに、インナロッド4を介してインナビット5に打撃力を与え、可動ビット6を打撃する。また、スライムを排出するための掘削水はインナロッド4を通ってインナビット5から注出され、ケーシング3とインナロッド4との間を通って孔外に排出される。
【0014】
ここで、削孔位置が被圧水下であるとすると、図4(a)に示すように、可動ビット6により土砂を切削するためには、被圧水の圧力Pに抗する打撃力を可動ビット6に与えなければならない。この結果、可動ビット6は前進してスライム流路8が開き、矢印Sで示すように、被圧水Pによってスライムがケーシング内3に取り込まれる。このスライムは、インナビット5から注出された削孔水によって孔外に排出される。
【0015】
他方、図4(b)に示すように、インナビット5を後退させ可動ビット6の打撃を停止すると、可動ビット6は被圧水の圧力Pにより後退し、ストッパ7に当接してスライム流路8が閉じられる。このように、スライムは可動ビット6を打撃して土砂を切削しているときにのみ取り込まれ、したがって削孔中の過剰なスライムの取り込みを防止することができる。また、ケーシング3の脱着時(接続・切り離し)において、図4(b)の状態にすることにより、スライム流路8が閉じられることから、被圧水がケーシング3内に逆流するのを防止することができる。
【0016】
以上のように、可動ビット6は土砂を切削するためのビットとして機能することに加え、スライム及び被圧水の流入を制御する弁として機能する。
【0017】
図5は、この発明の別の実施形態を示す図3と同様の図面である。この実施形態では、可動ビット16は断面円形をなしている。そして、可動ビット16の外周には周方向に間隔をおいて複数の孔18が形成され、これらの孔18がスライム流路を構成している。その他の構成は、図2及び図3に示した実施形態と同様であり、その作用も同様である。
【0018】
上記各実施形態は例示にすぎず、この発明は種々の態様を採りうる。例えば、図2及び図3に示した実施形態では可動ビットの形状を断面六角形としたが、この実施形態の場合は断面多角形であればよく、六角形に限定されない。また、被圧水下での削孔の場合、可動ビット6の前面は平坦面であっても土砂は容易に切削されるが、ビット前面に切削チップを設けるようにしてもよい。
【0019】
さらに、この発明による削孔装置は二重管方式ではあるが、従来の二重管方式のようにインナロッド4及びその先端のインナビットが直接削孔作用をするものではない。すなわち、インナロッドの先端に装着されたインナビットは打撃子(ハンマ)として機能するものであり、したがって打撃子として機能するものであればビット以外のものを用いることができる。
【0020】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、ケーシングの先端部に装着される可動ビットは、土砂を切削するビットとして機能することに加え、スライムや被圧水の流入を制御する弁として機能する。したがって、被圧水下で削孔するにあたり、ケーシング内への過剰なスライムの取り込みを防止することができ、またケーシング脱着時における被圧水の逆流を防止することができる。さらに、二重管方式と同様に効率の良いの削孔をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による削孔装置をグラウンドアンカー造成のための削孔に適用した形態を示す断面図である。
【図2】この発明による削孔装置の実施形態を示す軸方向断面図である。
【図3】図2のA−A線矢視図である。
【図4】同実施形態の作用を説明するための軸方向断面図である。
【図5】別の実施形態を示す図3と同様の図面である。
【符号の説明】
1:削孔装置
2:リングビット
3:ケーシング
4:インナロッド
5:インナビット
6:可動ビット
7:ストッパ
8:スライム流路
16:可動ビット
18:孔

Claims (3)

  1. 先端にリングビットを有するケーシングと、このケーシングの内部に挿入され、掘削水を供給するインナロッドとの二重管を備えた削孔装置であって、
    前記ケーシングの先端部内周に、スライム流路が外周に形成され、かつ前記インナロッドによって打撃される可動ビットを軸方向に移動自在に嵌合するとともに、該可動ビットの後方に前記スライム流路を開閉するストッパを設けたことを特徴とする被圧水下用二重管削孔装置。
  2. 前記可動ビットは断面多角形のものであり、その外周と前記ケーシングの内周との間に形成される間隙が前記スライム流路を構成していることを特徴とする請求項1記載の被圧水下用二重管削孔装置。
  3. 前記可動ビットは断面円形のものであり、外周に前記スライム流路を構成する孔が形成されていることを特徴とする請求項1記載の被圧水下用二重管削孔装置。
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