JP3953338B2 - 液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射機能を備えた反射型あるいは半透過型の液晶表示装置の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置(以下LCDという)は薄型で低消費電力であるという特徴を備え、現在、コンピュータモニターや、携帯情報機器などのモニターとして広く用いられている。このようなLCDは、一対の基板間に液晶が封入され、それぞれの基板に形成され電極によって間に位置する液晶の配向を制御することで表示を行うものであり、CRT(陰極線管)ディスプレイや、エレクトロルミネッセンス(以下、EL)ディスプレイ等と異なり、原理上自ら発光しないため、観察者に対して画像を表示するには光源を必要とする。
【0003】
そこで、透過型LCDでは、各基板に形成する電極として透明電極を採用し、液晶表示パネルの後方や側方に光源を配置し、この光源光の透過量を液晶パネルで制御することで周囲が暗くても明るい表示ができる。しかし、常に光源を点灯させて表示を行うため、光源による電力消費が避けられないこと、また昼間の屋外のように外光が非常に強い環境下では、十分なコントラストが確保できないという特性がある。
【0004】
一方、反射型LCDでは、太陽や室内灯等の外光を光源として採用し、液晶パネルに入射するこれらの周囲光を、非観察面側の基板に形成した反射電極によって反射する。そして、液晶層に入射し反射電極で反射された光の液晶パネルからの射出光量を画素ごとに制御することで表示を行う。このように反射型LCDは、光源として外光を採用するため、外光がないと表示が見えないが、透過型LCDと異なり光源による電力消費がなく非常に低消費電力であり、また屋外など周囲が明るいと十分なコントラストが得られる。しかし、この反射型LCDは、従来においては、色再現性や表示輝度など一般的な表示品質の点で透過型と比較すると不十分であるという課題があった。
【0005】
他方で、機器の低消費電力化に対する要求が一段と強まる状況下では透過型LCDよりも消費電力の小さい反射型LCDは有利であるため、携帯機器の高精細モニター用途などへの採用が試みられており、表示品質の向上のための研究開発が行われている。
【0006】
図5は、各画素ごとに薄膜トランジスタ(TFT:Thin film Transistor)を備えた従来のアクティブマトリクス型の反射型LCDの1画素あたりの平面構造(第1基板側)を示し、図6は、この図5のC−C線に沿った位置での反射型LCDの概略断面構造を示している。
【0007】
反射型LCDは所定ギャップ隔てて貼り合わされた第1基板100と第2基板200との間に液晶層300が封入されて構成されている。第1及び第2基板100及び200としてはガラス基板やプラスチック基板などが用いられ、少なくともこの例では、観察面側に配置される第2基板200には透明基板が採用されている。
【0008】
第1基板100の液晶側の面には、各画素ごとにTFT110が形成されている。このTFT110の能動層120の例えばドレイン領域には、層間絶縁膜134に形成されたコンタクトホールを介して各画素にデータ信号を供給するためのデータライン136が接続され、ソース領域は、層間絶縁膜134及び平坦化絶縁膜138を貫通するように形成されたコンタクトホールを介して、画素ごとに個別パターンに形成された第1電極(画素電極)150に接続されている。
【0009】
上記第1電極150としては、反射機能を備えたAl、Agなどが用いられており、この反射電極150上に液晶層300の初期配向を制御するための配向膜160が形成されている。
【0010】
第1基板100と対向配置される第2基板200の液晶側には、カラー表示装置の場合カラーフィルタ(R,G,B)210が各画素電極150に対応して形成され、カラーフィルタ210の上に第2電極として、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料が用いられた透明電極250が形成されている。またこの透明電極250の上には、第1基板側と同様の配向膜260が形成されている。
【0011】
反射型LCDは、上述のような構成を備えており、液晶パネルに入射され、反射電極150で反射され、再び液晶パネルから射出される光の量を、画素ごと制御して所望の表示を行う。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
反射型に限らず、LCDにおいては、焼き付き防止のため液晶を交流電圧駆動している。透過型LCDでは、第1基板上の第1電極及び第2基板上の第2電極のいずれも透明であることが求められており、双方とも電極材料としてITOが採用されている。従って、液晶の交流駆動に際して、第1及び第2電極は、互いに正、負電圧をほぼ同一の条件で液晶に印加することができる。
【0013】
しかし、上記図6のように、第1電極150として金属材料からなる反射電極、第2電極250としてITOなどの透明金属酸化材料からなる透明電極を用いた反射型LCDでは、駆動条件によっては、表示のちらつき(フリッカ)が発生したり、液晶の焼き付きの問題が起こることがあった。これは、例えば最近報告されている限界フリッカ周波数(CFF)以下で液晶を駆動した場合に顕著である。CFF以下での駆動とは、LCDにおける一層の低消費電力化を目的として、液晶の駆動周波数(≒第1及び第2電極との対向領域にそれぞれ形成された画素それぞれにおける液晶(液晶容量)へのデータ書き込み周波数)を、例えばNTSC規格などで基準とされている60Hzより低くするなど、人の目にフリッカとして感知され得るCFF以下、例えば40Hz〜30Hzとする試みである。ところが、従来の反射型液晶パネルの各画素をこのようなCFF以下の周波数で駆動したところ、上記フリッカや液晶の焼き付きの問題は顕著となり、表示品質の大幅な低下を招くことがわかったのである。
【0014】
図5、図6に示すような反射型LCDのフリッカや液晶焼き付き発生の原因について、出願人の研究の結果、これらは上述のような液晶層300に対する第1及び第2電極の電気的性質についての非対称性が原因の一つであることが判明した。この非対称性は、第2電極250に用いられるITOなどの透明金属酸化物の仕事関数が4.7eV〜5.2eV程度であるのに対し、第1電極150に用いられるAlなどの金属の仕事関数が4.2eV〜4.3eV程度と差が大きいことに起因すると考えられる。仕事関数の相違は、同一電圧を各電極に印加した時に、実際に配向膜160,260を介して液晶界面に誘起される電荷に差を生じさせる。そして、このような液晶の配向膜界面に誘起される電荷の差により、液晶層内の不純物イオンなどが一方の電極側に偏り、結果として残留DC電圧が液晶層300に蓄積される。液晶の駆動周波数が低くなればなるほど、この残留DCが液晶に及ぼす影響が大きくなってフリッカや液晶の焼き付き発生が顕著となるため、特に、CFF以下での駆動は実質的には困難であった。
【0015】
なお、反射型LCDとしては、従来、第1及び第2電極に透過型LCDのようにITOを用い、第1基板の外側(液晶との非対向側)に別途反射板を設ける構造も知られている。しかし、第1基板の外側に反射板を設けた場合、透明な第1電極150及び透明な第1基板の厚さ分だけ光路長が伸び、視差による表示品質の低下が発生しやすい。従って、高い表示品質の要求されるディスプレイ用途の反射型LCDでは、画素電極として反射電極を用いており、上述のように駆動周波数を低くするとフリッカ等を生ずるため、低消費電力化のために駆動周波数を低下させることはできなかった。
【0016】
上記課題を解決するために本発明は、液晶層に対する第1及び第2電極の電気的特性をそろえ、フリッカや視差の影響をなくし高品質な表示と、低消費電力化の可能な液晶表示装置を実現することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、画素毎に個別の第1電極を備える第1基板と、第2電極を備える第2基板との間に液晶層が封入されて構成され画素毎の表示を行う液晶表示装置であって、前記第1基板は、さらに、画素ごとに設けられたスイッチ素子と、一画素領域を部分的に覆い、前記スイッチ素子の上に該スイッチ素子と電気的に接続され、前記液晶層に第2基板側から入射される光を反射する反射電極と、を有し、前記第1電極として、前記反射電極の上には間に絶縁膜を介して透明導電材料からなる透明電極が形成され、該透明電極は、前記反射電極に容量結合し、前記スイッチ素子から前記反射電極に供給される電圧が、前記間に前記絶縁膜を挟んで配置された前記反射電極と前記第1電極とで構成される容量を介して前記透明電極に印加される。
【0018】
以上のように第1基板側において、液晶層側に第2基板の第2電極と同様の特性を備える透明な第1電極を配置し、この第1電極の下層に反射層を配置することで、液晶層を第1電極と第2電極とによって対称性よく駆動することができる。なお、前記第1電極の前記透明導電性材料の仕事関数と、前記第2基板の液晶層側に形成される前記第2電極の透明導電性材料の仕事関数との差は、0.5eV以下とすることが対称性にすぐれた駆動に特に有効である。また、このような構成を採用することで、各画素における液晶層の駆動周波数を例えば60Hzより低く設定した場合でも、フリッカなどを発生することなく高品質な表示が可能である。本発明では、更に、透明な第1電極に対し、スイッチ素子に接続された反射電極を介して、容量結合を利用して液晶駆動用の電圧を印加する構成が採用されている。従って、反射電極と透明な第1電極との多層構造により第1基板側の電極を構成しているものの、スイッチ素子と反射電極との接続構造は、画素電極に金属反射電極を用いた従来の反射型液晶表示装置とほぼ同様の構造が採用でき、最小限の設計変更によって表示品質の向上と消費電力の低下を実現できる。
【0019】
本発明の他の態様では、画素毎に個別の第1電極を備える第1基板と、第2電極を備える第2基板との間に液晶層が封入されて構成され画素毎の表示を行う液晶表示装置であって、前記第1基板は、さらに、画素ごとに設けられたスイッチ素子と、前記スイッチ素子の上に該スイッチ素子と電気的に接続され、前記液晶層に第2基板側から入射される光を反射する反射電極と、を有し、前記第1電極として、前記反射電極の上には間に絶縁膜を介して透明導電材料からなる透明電極が形成され、該透明電極は、前記反射電極に容量結合し、前記スイッチ素子から前記反射電極に供給される電圧が、前記間に前記絶縁膜を挟んで配置された前記反射電極と前記第1電極とで構成される容量を介して前記透明電極に印加され、間に前記液晶層を挟んで対向配置された前記第1電極と前記第2電極とで構成される画素容量の容量値C1と、前記反射電極と前記第1電極とで構成された容量の容量値C2とが、
C2>100×C1
の関係を満たす。
【0020】
本発明の他の態様では、画素毎に個別の第1電極を備える第1基板と、第2電極を備える第2基板との間に液晶層が封入されて構成され画素毎の表示を行う液晶表示装置であって、前記第1基板は、さらに、画素ごとに設けられたスイッチ素子と、前記スイッチ素子の上に該スイッチ素子と電気的に接続され、前記液晶層に第2基板側から入射される光を反射する反射電極と、を有し、前記第1電極として、前記反射電極の上には間に絶縁膜を介して透明導電材料からなる透明電極が形成され、該透明電極は、前記反射電極に容量結合し、前記スイッチ素子から前記反射電極に供給される電圧が前記容量結合により前記透明電極に印加され、間に前記液晶層を挟んで前記第2電極と対向配置される前記第1電極の面積S1と、間に前記絶縁膜を挟んで対向配置される前記反射電極と前記第1電極との重なり面積S2とが、
S2>0.1×S1
の関係を満たす。
【0021】
金属材料からなる反射電極上に透明導電材料を形成した場合には該反射電極表面に自然酸化膜が形成されるため反射電極と透明な第1電極とは絶縁される。しかし、容量値、面積が上述のような関係を満たすように設計することで、スイッチ素子に接続された反射電極が、容量結合を介して透明な第1電極に液晶を駆動するために十分な電圧を印加することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の好適な実施の形態(以下実施形態という)について説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係る反射型LCDとして反射型アクティブマトリクスLCDの第1基板側の平面構成の一部、図2は、図1のA−A線に沿った位置におけるLCDの概略断面構成を示している。アクティブマトリクス型LCDでは、表示領域内にマトリクス状に複数の画素が設けられ、各画素に対してTFTなどのスイッチ素子が設けられる。スイッチ素子は、第1及び第2基板の一方、例えば第1基板100側に画素ごとに形成され、各スイッチ素子の上には層間絶縁膜34及び平坦化絶縁膜38が形成され、この平坦化絶縁膜38の上にそれぞれ形成された反射金属材料からなる反射電極44がこのスイッチ素子と接続されている。また、この反射電極44の上には間に絶縁膜46を挟んで個別パターンに形成された透明導電材料からなる透明な第1電極50が形成されている。
【0024】
スイッチ素子としては、本実施形態ではチャネル20c、ドレイン・ソース領域20d・20sを含む能動層20に多結晶シリコンを用いた多結晶シリコンTFT110を採用している。もちろん、多結晶シリコンに限らず、非晶質シリコンTFTであってもよい。
【0025】
このTFT110のゲート電極32に、ゲート信号(走査信号)が印加されるとTFT110はオンし、これにより、例えばソース電極40側の電圧が、ドレイン電極(データライン)36に印加されているデータ信号電圧に等しくなる。ソース電極40には反射電極44が接続されているため、このソース電圧は反射電極44に印加される。
【0026】
反射電極44は後述するような理由から絶縁膜46に覆われ、この絶縁膜46の上に、透明導電性材料から構成された透明な第1電極50が形成されている。本実施形態では、この絶縁膜46を挟んで反射電極44と第1電極50とが容量結合し、反射電極44に印加される表示内容に応じたデータ電圧をこの容量を介して第1電極50に印加している。
【0027】
第1及び第2基板100,200には、ガラスなどの透明基板が用いられ、第1基板100と対向する第2基板200側には、従来と同様に、カラータイプの場合にはカラーフィルタ210が形成され、このカラーフィルタ210上に透明導電材料からなる第2電極250が形成されている。第2電極250の透明導電材料としては、IZO(Indium Zinc Oxide)やITOなどが採用される。なお、アクティブマトリクス型では、この第2電極250は各画素に対する共通電極として形成されている。また、このような第2電極250の上には、ポリイミドなどからなる配向膜260が形成されている。
【0028】
以上のような構成の第2基板側に対し、本実施形態では、第1基板側の液晶層300に対する電気的特性を揃えるような電極構造が採用されている。具体的には、図2に示すように、第1基板100上の配向膜の直下には、従来のような反射金属電極ではなく、第2電極250と仕事関数の類似した材料、即ち、IZOやITOなど、第2電極250と同様の透明導電材料からなる第1電極50を形成している。第2基板側からの入射光を反射する反射電極44は、この第1電極50の下層に形成されている。
【0029】
第1電極50として用いる材料は、第2電極250の材料と同一とすることにより、液晶層300に対し、同一の仕事関数の電極が、間に配向膜60,260を介して配置されることになるため、第1電極50と第2電極250とにより液晶層300を非常に対称性よく交流駆動することが可能となる。但し、第1電極50と第2電極250とはその仕事関数が完全に同一でなくても、液晶層300を対称性よく駆動可能な限り近似していればよい。例えば、両電極の仕事関数の差を0.5eV程度以下とすれば、液晶の駆動周波数を上述のようなCFF以下とした場合であっても、フリッカや液晶の焼き付きなく、高品質な表示が可能となる。
【0030】
このような条件を満たす第1電極50及び第2電極250としては、例えば、第1電極50にIZO(仕事関数4.7eV〜5.2eV)、第2電極250にITO(仕事関数4.7eV〜5.0eV)、あるいはその逆などが可能であり、材料の選択にあたっては、透過率、パターニング精度などプロセス上の特性や、製造コストなどを考慮して各電極に用いる材料をそれぞれ選択してもよい。
【0031】
反射電極44としては、Al、Ag、これらの合金(本実施形態ではAl−Nd合金)など、反射特性に優れた材料を少なくともその表面側(液晶層側)に用いる。また、反射電極44はAl等の金属材料の単独層であってもよいが、平坦化絶縁膜38と接する下地層としてMo等の高融点金属層を設けてもよい。このような下地層を形成すれば、反射電極44と平坦化絶縁膜38との密着性が向上するため、素子の信頼性向上を図ることができる。なお、図2の構成では、層間絶縁膜34の上に形成された平坦化絶縁膜38の各画素領域内に所望の角度の傾斜面が形成されており、この平坦化絶縁膜38を覆って反射電極44を積層することで、反射電極44の表面に同様な傾斜が形成されている。このような傾斜面を最適な角度、位置で形成すれば、各画素毎に外光を集光して射出することができ、例えばディスプレイの正面位置での表示輝度の向上を図ることが可能である。もちろん、このような傾斜面は必ずしも存在しなくてもよい。
【0032】
反射電極44は、上述のようにAl−Nd合金などの導電性材料によって構成されるが、この反射電極44上に積層される第1電極50と、反射電極44とは電気的には絶縁されている。絶縁される理由は、第1電極50の材料としてIZOや、ITO等を採用する場合、これらがスパッタリングによって成膜されることによる。即ち、Alなどからなる反射電極44は、スパッタリング雰囲気に晒されることで、表面で酸化反応が起き、自然酸化膜(絶縁膜)46で覆われるためである。
【0033】
本実施形態では、従来の反射型LCDにおいて液晶を駆動する第1基板側の反射電極と同様に、反射電極44はTFT110(ここではソース電極40)に接続されている。反射電極44と第1電極50とは上記自然酸化膜46により絶縁され、間に形成された自然酸化膜46を挟んで反射電極44と第1電極50とが第2容量(C2)を構成する。また、液晶層300を挟んで対向配置される第1電極50と第2電極250とによって第1容量(画素容量)(C1)が構成される。この第1容量(C1)と第2容量(C2)とは、図3に示されるように1画素内において、電気的には交流電源に直列接続された回路と等価となる。ここで
【数1】
V=V1(第1容量電圧)+V2(第2容量電圧) ・・・(1)
である。電極間の容量値Cは、下記一般式(2)
【数2】
C=ε×ε0×(S/d) ・・・(2)
(但し、εは電極間材料の誘電率、ε0は真空中の誘電率、Sは容量面積、dは電極間距離)
で表される。そして、V1は、
【数3】
V1=(C2/C1)×V2 ・・・(3)
で表わされる。
【0034】
式(3)より、C1に対してC2が十分大きければ、第2容量を介して第1容量に十分高い電圧V1を印加できることがわかる。例えば、第1容量及び第2容量の容量値が、下記式(4)
【数4】
C2>100×C1 ・・・(4)
の関係を満たせば、第1電極50を介して液晶層300を反射電極44によって直接駆動する場合とほぼ同様な駆動が可能となる。ここで、反射電極44と第1電極50との間の自然酸化膜46は非常に薄く形成することができるため、第2容量値C2は例え小面積であっても非常に大きな値とすることができる。従って、第2容量C2は上式(4)を満たすことができる。とりわけ、図1に示すように、反射型LCDでは、反射電極44と第1電極50との重なり(容量面積)が大きいため容量値C2は十分大きく、上式(4)の関係を満たすことができる。
【0035】
また、例えば、上式(4)のような関係を満たすためには、第1容量の面積、つまり画素毎に個別パターンで形成された第1電極50の面積S1と、第2容量の面積、つまり、反射電極44と第1電極50との重なり面積S2とが、下式(5)
【数5】
S2>0.1×S1 ・・・(5)
の関係を満たすように反射電極44と第1電極50の面積を設定することが好ましい。もちろん、反射電極44が第1電極50とほぼ同等の面積を有する図1に示すような反射型LCDでは、上式(5)の関係を確実に満たすことができる。
【0036】
なお、上記(4)及び(5)式は、電圧損失が1%以下で、一例を挙げれば、第1電極50と第2電極250の距離(液晶層300の厚さ)d1は5μm、液晶層の誘電率ε1(液晶平均誘電率)は5、反射電極44と第1電極50との距離(自然酸化膜46等の膜厚)d2が50nm、反射電極44と第1電極50との間の誘電率(自然酸化膜その他の平均誘電率)ε2が5である場合において満たされている。もちろんこの条件を全て満たさなくても十分に反射電極44から容量結合により第1電極50を駆動することができる。
【0037】
図4は、アクティブマトリクス型の半透過型LCDの概略平面構成を示している。上記図1の構成と相違する点は、第1電極50の下層に形成される反射電極44が1画素領域よりも小さく、反射電極44の形成されていない領域が存在する点のみである。1画素領域内における反射電極44の形成面積が小さいので、反射型LCDの場合と比較すると第2容量が小さくなる。しかし、反射電極44と透明電極50との距離d2は、液晶層の厚さd1に対し、上記例でも100分の1にすぎず、C2の値は上記(4)式を満たすことができる。
【0038】
また、半透過型LCDは、光透過機能と光反射機能の両機能を発揮する必要があり、特に反射機能は一層の輝度向上が要求されており、反射電極44は少なくとも1画素領域面積の10%より大きく設計される。従って、上記(5)式の条件についてもこれを満たすことができる。
【0039】
以上のように、半透過型LCDであっても、反射型の場合と全く同様の接続構造(製造方法)にて、画素TFT110に反射電極44を接続すればよい。また、反射電極44と第1電極50との間には自然酸化膜46をそのまま残すことで、反射電極44と第1電極50との間に構成される第2容量(C2)を介し、反射電極44から表示内容に応じた電圧を第1電極50に印加することが可能となる。もちろん、反射電極44よりも透明導電材料からなる第1電極50が液晶層300側に形成されているから、液晶層300を第1電極50と第2電極250とによって対称性よく駆動することが可能となっている。従って、非常に低コストで液晶の駆動の対称性を高めて表示品質を向上させることが可能となる。また、そのために特別反射電極を大きく形成しなくとも、第1電極50を駆動するのに十分な第2容量を形成することができ、透過型として用いた場合の輝度も十分得られる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、第1基板側でも第2基板側でもそれぞれ液晶対向側に仕事関数の類似した透明導電性材料からなる第1及び第2電極を配置するので、液晶層を第1電極と第2電極とによって対称性よく駆動することができる。また第1電極の下層には、スイッチ素子と接続され、第2基板側から入射する光を反射する反射電極を形成する。
【0041】
第1電極は、反射電極との間に形成される自然酸化膜などの絶縁層の存在により、該反射電極とは電気的には絶縁されるが、両電極によって構成される容量(第2容量)により、第1電極には反射電極から表示内容に応じた電圧にほぼ等しい電圧を印加することができる。また、反射電極の存在により反射型又は半透過型LCDを構成できる上に、液晶に対する対称性の高い駆動を実現するために反射電極上に透明な第1電極を形成するにも関わらず、反射型LCDの場合における反射電極とスイッチ素子との接続構造に変更を加える必要がない。従って、製造コストの削減を実現しつつ、簡易な構成で、かつ高い表示品質で低消費電力の反射型或いは半透過型液晶表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るアクティブマトリクス型の反射型LCDの第1基板側の概略平面構成を示す図である。
【図2】 図1のA−A線に沿った位置における反射型LCDの概略断面構成を示す図である。
【図3】 本発明の実施形態に係る1画素の等価回路を示す図である。
【図4】 本発明の実施形態に係るアクティブマトリクス型の半透過型LCDの第1基板側の概略平面構成を示す図である。
【図5】 従来のアクティブマトリクス型の反射型LCDにおける第1基板側の一部平面構造を示す図である。
【図6】 図5のC−C線に沿った位置における従来の反射型LCDの概略断面構造を示す図である。
【符号の説明】
20 能動層(p−Si層)、30 ゲート絶縁膜、32 ゲート電極(ゲートライン)、34 層間絶縁膜、36 ドレイン電極(データライン)、38 平坦化絶縁膜、40 ソース電極、44 反射電極、46 絶縁膜(自然酸化膜)、50 第1電極、60,260 配向膜、100 第1基板、110 TFT、200 第2基板、210 カラーフィルタ、250 第2電極、300 液晶層。
Claims (5)
- 画素毎に個別の第1電極を備える第1基板と、第2電極を備える第2基板との間に液晶層が封入されて構成され画素毎の表示を行う液晶表示装置であって、
前記第1基板は、さらに、
画素ごとに設けられたスイッチ素子と、
一画素領域を部分的に覆い、前記スイッチ素子の上に該スイッチ素子と電気的に接続され、前記液晶層に第2基板側から入射される光を反射する反射電極と、
を有し、
前記第1電極として、前記反射電極の上には間に自然酸化膜を介して透明導電材料からなる透明電極が形成され、該透明電極は、前記反射電極に容量結合し、前記スイッチ素子から前記反射電極に供給される電圧が、前記間に前記自然酸化膜を挟んで配置された前記反射電極と前記第1電極とで構成される容量を介して前記透明電極に印加されることを特徴とする液晶表示装置。 - 画素毎に個別の第1電極を備える第1基板と、第2電極を備える第2基板との間に液晶層が封入されて構成され画素毎の表示を行う液晶表示装置であって、
前記第1基板は、さらに、
画素ごとに設けられたスイッチ素子と、
前記スイッチ素子の上に該スイッチ素子と電気的に接続され、前記液晶層に第2基板側から入射される光を反射する反射電極と、を有し、
前記第1電極として、前記反射電極の上には間に自然酸化膜を介して透明導電材料からなる透明電極が形成され、該透明電極は、前記反射電極に容量結合し、前記スイッチ素子から前記反射電極に供給される電圧が、前記間に前記自然酸化膜を挟んで配置された前記反射電極と前記第1電極とで構成される容量を介して前記透明電極に印加され、
間に前記液晶層を挟んで対向配置された前記第1電極と前記第2電極とで構成される画素容量の容量値C1と、前記反射電極と前記第1電極とで構成された容量の容量値C2とが、
C2>100×C1
の関係を満たすことを特徴とする液晶表示装置。 - 画素毎に個別の第1電極を備える第1基板と、第2電極を備える第2基板との間に液晶層が封入されて構成され画素毎の表示を行う液晶表示装置であって、
前記第1基板は、さらに、
画素ごとに設けられたスイッチ素子と、
前記スイッチ素子の上に該スイッチ素子と電気的に接続され、前記液晶層に第2基板側から入射される光を反射する反射電極と、を有し、
前記第1電極として、前記反射電極の上には間に自然酸化膜を介して透明導電材料からなる透明電極が形成され、該透明電極は、前記反射電極に容量結合し、前記スイッチ素子から前記反射電極に供給される電圧が、前記間に前記自然酸化膜を挟んで配置された前記反射電極と前記第1電極とで構成される容量を介して前記透明電極に印加され、
間に前記液晶層を挟んで前記第2電極と対向配置される前記第1電極の面積S1と、間に前記自然酸化膜を挟んで対向配置される前記反射電極と前記第1電極との重なり面積S2とが、
S2>0.1×S1
の関係を満たすことを特徴とする液晶表示装置。 - 請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の液晶表示装置において、
前記第1電極の前記透明導電性材料の仕事関数と、前記第2基板の液晶層側に形成される前記第2電極の透明導電性材料の仕事関数との差は、0.5eV以下であることを特徴とする液晶表示装置。 - 請求項4に記載の液晶表示装置において、
各画素における液晶層の駆動周波数は、60Hzより低いことを特徴とする液晶表示装置。
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