JP3952950B2 - ストリームデータを送信するデータ送信方法及び装置 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、ストリームデータを送信するデータ送信方法及び装置に関し、より詳しくは、パーソナルコンピュータからストリームデータを1394オーディオ記録装置に送信して、記録媒体に記録させる方法及び装置に関する。
【0002】
【背景技術】
所謂IEEE1394規格に準拠した通信インタフェースによりネットワークを介してオーディオデータの通信を行うIEEE1394オーディオ装置が知られている。IEEE1394オーディオ装置は、受信したデータの内容が異常である場合又はオーディオデータでないデータを受信した場合には、ミュート機能を利用して無音を再生したり、受信されたデータを無視したりする機能がある。
【0003】
一方、パーソナルコンピュータ(PC)をドライバソフトウェアでIEEE1394オーディオ装置として認識させる方法が考案されている。この場合、パーソナルコンピュータのアプリケーションソフトウェア側からの再生開始要求直後に、ドライバソフトウェアがオーディオデータをIEEE1394通信インタフェースを備えた記録装置に送信すると、記録装置において記録データに欠落を生じることがある。例えば、記録装置がIEEE1394ミニディスク(トレードマーク)記録再生装置である場合、IEEE1394ミニディスク記録再生装置が無効な受信データが記録されないにようにするためのミュートオンの状態から、受信された有効なオーディオデータを記録するためのミュートオフの状態になるまでには時間がかかり、記録されたオーディオデータに、この遷移時間分のデータが欠落することがあった。
【0004】
すなわち、上述したIEEE1394規格におけるアイソクロノスデータ転送では、IEEE1394ミニディスク記録再生装置が記録可能な状態に遷移するには、パーソナルコンピュータとミニディスク記録再生装置間においてリンクを維持しておく必要があり、パーソナルコンピュータ側からIEEE1394ミニディスク記録再生装置に対して記録可能なデータを送っていなければならない。そのため、IEEE1394ミニディスク記録再生装置をパーソナルコンピュータ上から操作して自動でオーディオデータを記録すると、記録状態に遷移するためのメカ部品やIEEE1394ミニディスク記録再生装置に対するパーソナルコンピュータからのコントロール(制御)に関するレスポンス(応答)等の処理があるため、実際の記録したいデータが受信開始されてから記録可能な状態に遷移するまでの間のオーディオデータの部分が記録できなくなってしまうという不都合があった。
【0005】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、オーディオデータ等のストリームデータを記録装置で正しく記録できるようにストリームデータを送信するデータ送信方法及び装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係るデータ送信装置は、時間的に連続して再生されるストリームデータをネットワークを介して、ネットワークに接続された記録装置に送信するデータ送信装置において、ネットワークに接続され、記録装置と通信を行う通信手段と、記録装置からネットワークを介してその内容が変更可能であり、データ送信装置と記録装置間のリンクを確立させるためのデータを保持するデータ保持手段と、ストリームデータが入力される入力手段と、ストリームデータを記録装置にストリームデータの再生に同期して記録するための指示の操作が入力される操作入力手段と、ストリームデータと同一の信号形式であって、確立されたリンクを維持するための無音データを生成する無音データ生成手段と、操作入力手段から同期記録が指示された場合に、データ保持手段の内容が記録装置によりリンクを確立するデータに変更されたときに、無音データ生成手段で生成される無音データを通信手段によりネットワークを介して記録装置に送信し、記録装置から送られてくる記録が可能になったことを示す応答が受信されたときに、入力手段から入力されるストリームデータを通信手段によりネットワークを介して記録装置に送信するように制御する制御手段とを備える。
【0007】
また、本発明に係るデータ送信方法は、時間的に連続して再生されるストリームデータをネットワークを介して、ネットワークに接続された記録装置に送信するデータ送信方法において、入力手段から同期記録が指示されたことを検出するステップと、記録装置からネットワークを介してその内容が変更可能なデータ保持手段の内容が、データ送信装置と記録装置間のリンクを確立させるデータに変更されたときに、無音データ生成手段で生成される、確立されたリンクを維持するための無音データをネットワークを介して記録装置に送信するステップと、記録装置から送られてくる記録が可能になったことを示す応答が受信されたときに、入力されるストリームデータをネットワークを介して記録装置に送信するステップとを有する。
【0008】
また、本発明に係る記録媒体は、時間的に連続して再生されるストリームデータをネットワークを介して、ネットワークに接続された記録装置に送信するデータ送信方法が記録された記録媒体であり、データ送信方法は、入力手段から同期記録が指示されたことを検出するステップと、記録装置からネットワークを介してその内容が変更可能なデータ保持手段の内容が、データ送信装置と記録装置間のリンクを確立させるデータに変更されたときに、無音データ生成手段で生成される、確立されたリンクを維持するための無音データをネットワークを介して記録装置に送信するステップと、記録装置から送られてくる記録が可能になったことを示す応答が受信されたときに、入力されるストリームデータをネットワークを介して記録装置に送信するステップとを有する。
【0009】
【発明の効果】
本発明では、時間的に連続して再生されるストリームデータをネットワークを介してネットワークに接続された記録装置に送信する際に、入力手段から同期記録が指示されたことを検出し、ネットワークを介して記録装置から保持内容が変更されるデータ保持手段が保持するデータが第1の所定値である期間は、無音データ生成手段から生成される無音データをネットワークを介して記録装置に送信する。一方、データ保持手段が保持するデータが第2の所定値であることが検出された場合には、入力されるストリームデータをネットワークを介して記録装置に送信する。これにより、記録装置に対して音が途切れることなく記録を可能とさせることができ、記録装置が記録状態に遷移するためのメカ部品の動作時間や記録装置に対するコントロールに関するレスポンスを考慮したデータ記録を実行させることができる。
【0010】
【発明を実施するための最良の形態】
本発明に係るデータ送信方法及び装置では、例えば、IEEE1394規格に規定されているIEEE1394ネットワークに接続されたパーソナルコンピュータを仮想のIEEE1394オーディオ出力装置としたとき、パーソナルコンピュータから、IEEE1394ネットワークに接続されたIEEE1394オーディオ記録装置へオーディオデータを送信してオーディオデータを記録させる。なお、上述したように、IEEE1394オーディオ記録装置が記録状態に遷移するためには、そのメカ部品の動作時間やその他の内部処理時間が必要である。そこで、本発明に係るデータ装置方法及び方法では、IEEE1394オーディオ記録装置に対するパーソナルコンピュータからの制御(以下、コントロールという。)に関する応答(以下、レスポンスという。)等を考慮したデータ記録を実行させることができるようにしている。
【0011】
図1は、本発明を適用したデータ送信システムの構成を示すブロック図である。このデータ送信システムは、図1に示すように、データ送信システムの制御を行うパーソナルコンピュータ1と、オーディオデータを再生するオーディオ装置9と、IEEE1394規格に準拠した通信を行うIEEE1394ネットワーク10と備える。
【0012】
パーソナルコンピュータ1は、図1に示すように、パーソナルコンピュータ1上で動作するソフトウェア2として、アプリケーション層3と、デバイスドライバ層4とを有する。アプリケーション層3及びデバイスドライバ層4は、所謂オーディオデバイスコントロールC1又はデバイスI/OコントロールC2を送受することにより、パーソナルコンピュータ1とIEEE1394ネットワーク10を介して接続されたオーディオ装置9の制御を行う。
【0013】
デバイスドライバ層4は、図1に示すように、オーディオデバイスコントロール処理部5と、IEEE1394インタフェース部6と、デバイスI/Oコントロール処理部7と、タイマ処理部8とを有する。
【0014】
図2は、デバイスドライバ層4の詳細を示すブロック図である。デバイスドライバ層4は、図2に示すように、アプリケーション層3との間でオーディオデバイスコントロールC1を送受するオーディオデバイスコントロール処理部5と、アプリケーション層3との間でデバイスI/OコントロールC2を送受するデバイスI/Oコントロール処理部7と、オーディオデバイスコントロール処理部5からの指示によりタイマ処理を実行するタイマ処理部8と、アプリケーション層3に対してイベント発生処理を行うイベント発生処理部21とを有する。
【0015】
また、IEEE1394インタフェース部6は、図2に示すように、IEEE1394送信処理部22と、IEEE1394受信処理部23とを有する。IEEE1394送信処理部22は、デバイスI/Oコントロール処理部7及びオーディオデバイスコントロール処理部5からの信号の送信処理を行う。IEEE1394受信処理部23は、デバイスI/Oコントロール処理部7、オーディオデバイスコントロール処理部5及びイベント発生処理部21への信号の受信処理を行う。
【0016】
図3は、無音データ又はストリームデータの転送を示す図である。この図3は、IEEE1394ネットワーク(以下、単にネットワークともいう。)37に、IEEE1394インタフェース部6を介してパーソナルコンピュータ1と、IEEE1394インタフェース部38−5を介してミニディスク記録再生装置38と、オーディオ装置9とが接続されている状態を示している。このように、オーディオ装置9及びミニディスク記録再生装置38に対して、パーソナルコンピュータ1をデバイスドライバ層4のドライバソフトウェアで仮想のIEEE1394オーディオ装置として認識させている。
【0017】
ここで、パーソナルコンピュータ1の後述するアウトプットプラグコントロールレジスタ(output Plug Control Register:以下、oPCRという。)36のうちのコネクション数を示すポイントツーポイントコネクションカウンタ(Point-to-point connection counter:以下、PtoPカウンタという。)36−2の値が”2”となっている。これは、IEEE1394ネットワーク37に接続されている装置がパーソナルコンピュータ1の他に2台あることをパーソナルコンピュータ1が認識できるようになっていることを示している。
【0018】
ここで、例えば、ミニディスク記録再生装置38は、パワースイッチ38−1により電源がオン状態であって、スイッチ38−4によりパーソナルコンピュータ1が通信先として選択されているものとする。また、IEEE1394ネットワーク37に対する通信状態を示すパーソナルコンピュータ1のoPCR36のオンライン/オフラインカウンタ36−1の値は、パーソナルコンピュータ1に無用の負荷がかかるのを防止するために、オフラインを示す”0”であるとする。
【0019】
そこで、例えばユーザがパーソナルコンピュータ1のハードディスク32に格納されているオーディオデータをミニディスク記録再生装置38のミニディスク38−2に記録する操作を行うと、パーソナルコンピュータ1のアプリケーション層3で動作しているアプリケーションのうちの1つであるミニディスク用プレーヤ33は、ネットワーク37を介して、ミニディスク記録再生装置38が備えているoPCR38−6のオンライン/オフラインカウンタ38−6−1の値をオンラインを示す”1”に書き換える命令、例えば所謂AV/Cコマンドにおけるインプットセレクトコマンド(input select command)をIEEE1394インタフェース部6に出力して、ミニディスク記録再生装置38をデータ受信可能な状態に遷移させる。これに応じて、ミニディスク記録再生装置38は、ネットワーク37を介し、パーソナルコンピュータ1が備えるoPCR36のオンライン/オフラインカウンタ36−1の値をオンラインを示す”1”に書き換える。この結果、パーソナルコンピュータ1とミニディスク記録再生装置38間のリンクが確立する。
【0020】
なお、上述の具体例は、ユーザが手動でミニディスク記録再生装置38の電源を投入した後のミニディスク用プレーヤ33の動作であるが、例えば、ミニディスク用プレーヤ33は、AV/Cコマンドを用いて、ミニディスク記録再生装置38の電源の状態を調べ、電源がオンになっていないときは、AV/Cコマンドにおけるパワーコマンド(power command)を用いて、ミニディスク記録再生装置38の電源をオンにするようにしてもよい。
【0021】
パーソナルコンピュータ1のアプリケーション層3で動作しているミニディスク用プレーヤ33は、ネットワーク37を介して、AV/Cコマンドにおけるレックポーズコマンド(REC pause command)をミニディスク記録再生装置38に送り、ミニディスク記録再生装置38に対し、ミニディスク38−2にオーディオデータの記録を開始するように要求する。これは、記録開始指示を入力操作するためのRECボタン38−3が操作されるのと同様の効果を生ずる。
【0022】
記録開始の指示を受け取ったミニディスク記録再生装置38は、記録状態に遷移し、例えばミニディスク38−2を回転させ、光ピックアップ及び磁気ヘッドを記録位置に移動させる等のメカニカルな動作を行った後、実際の記録が可能になる。更に、ミニディスク記録再生装置38は、パーソナルコンピュータ1からの制御(以下、コントロールという。)に対する応答(以下、レスポンスという)の処理にも時間を要するため、瞬時には記録開始状態とならない。
【0023】
そこで、パーソナルコンピュータ1のアプリケーション層3で動作しているミニディスク用プレーヤ33は、ネットワーク37を介して、ミニディスク記録再生装置38にオーディオとしては無音に相当する無音データを転送する。この結果、パーソナルコンピュータ1とミニディスク記録再生装置38間において、IEEE1394規格のアイソクロノスデータ転送におけるリンクが確立される。ところで、例えば、ユーザが記録中の音楽をモニタするために、オーディオ装置9の電源を投入するとともに、オーディオ装置9の入力源を選択するスイッチ35をパーソナルコンピュータ1に設定している場合は、ミニディスク用プレーヤ33は、その設定を認識し、ネットワーク37を介してオーディオ装置9にも無音に相当するオーディオデータを送信する。したがって、オーディオ装置9のスピーカ9−1からは無音の音響が出力される。
【0024】
ミニディスク記録再生装置38は、記録すべきオーディオデータがないときは、入力データをミュート状態に保っている。ミニディスク記録再生装置38が入力データを記録可能となったか否かを確認するために、パーソナルコンピュータ1のアプリケーション層3で動作しているミニディスク用プレーヤ33は、ネットワーク37を介して、AV/Cコマンドにおけるインプットセレクトステータスコマンド(input select status command)をミニディスク記録再生装置38に送り、それに対応するミニディスク記録再生装置38からのインプットセレクトステータスレスポンス(input select status response)を受け取り、ミニディスク記録再生装置38が入力データを記録可能となったかを確認する。
【0025】
ミニディスク用プレーヤ33は、ミニディスク記録再生装置38が記録可能な状態にあると判定できた場合、現在送信しているデータを、無音データから、例えばパーソナルコンピュータ1のハードディスク32に格納されているファイル31のオーディオデータに切り換えて、オーディオデータを、ミニディスク記録再生装置38に送信し、ミニディスク記録再生装置38は、このオーディオデータを受信すると直ちにミュート状態を解除するとともに、このオーディオデータに、例えば所定の圧縮処理や記録に適した変調処理を施した後、ミニディスク38−2に記録する。
【0026】
以上のように、本発明を適用したデータ送信システムでは、パーソナルコンピュータ1からのオーディオデータをミニディスク記録再生装置38で記録する際に、パーソナルコンピュータ1は、オーディオデータを直ちに出力するのではなく、ミニディスク記録再生装置38がオーディオデータの記録が可能になるまでの所定時間、無音データをミニディスク記録再生装置38に送り、ミニディスク記録再生装置38がオーディオデータの記録の準備が整った後、オーディオデータをミニディスク記録再生装置38に送るようにしている。すなわち、最初に無音データを送り続けることによって、IEEE1394規格のアイソクロノスデータ転送におけるパーソナルコンピュータ1とミニディスク記録再生装置38間のリンクを維持して、ミニディスク記録再生装置38を記録可能な状態に遷移させることができるとともに、ミニディスク記録再生装置38が記録状態に遷移するためのメカ部品の動作時間や、ミニディスク記録再生装置38に対するパーソナルコンピュータ1からのコントロールに関するレスポンスを考慮したオーディオデータの記録を行うことができる。
【0027】
図4は、上述したパーソナルコンピュータ1に内蔵されているアプリケーション層3及びデバイスドライバ層4と、ミニディスク記録再生装置38の動作を示すタイムチャートである。
【0028】
図4に示すように、例えば、パーソナルコンピュータ1のハードディスク32に格納されているオーディオデータをミニディスク記録再生装置38のミニディスク38−2に記録するために、ユーザが、パーソナルコンピュータ1の表示画面に表示されているグラフィックユーザインタフェースの例えばハードディスク32のオーディオデータを読み出すアイコンを選択する等の所定の操作を行うと、その操作をトリガとして、時刻T1において、パーソナルコンピュータ1のアプリケーション層3からデバイスドライバ層4に、AV/Cコマンドにおけるインプットセレクトコマンドをミニディスク記録再生装置38に送信させる要求信号S1が供給される。
【0029】
これに応じ、時刻T2において、デバイスドライバ層4は、AV/Cコマンドにおけるインプットセレクトコマンドをミニディスク記録再生装置38に送信する。時刻T3において、ミニディスク記録再生装置38は、パーソナルコンピュータ1をオンライン状態、すなわちデータを送受信できる状態に遷移させるために、oPCR36のオンライン/オフラインカウンタ36−1の値を”1”に書き換えるための信号S3をデバイスドライバ層4に送信する。この結果、パーソナルコンピュータ1とミニディスク記録再生装置38間でリンク、すなわちIEEE1394規格のアイソクロノスデータ転送におけるチャンネルが確立される。
【0030】
時刻T4において、パーソナルコンピュータ1のアプリケーション層3からデバイスドライバ層4に無音データ送出要求信号S4が供給される。時刻T5において、デバイスドライバ層4からミニディスク記録再生装置38に無音データS5が送信される。
【0031】
時刻T6において、デバイスドライバ層4からアプリケーション層3に成功信号S6が供給される。時刻T7において、アプリケーション層3からデバイスドライバ層4に記録準備開始要求信号S7が供給される。時刻T8において、デバイスドライバ層4からミニディスク記録再生装置38に記録準備開始要求信号S8が送信される。
【0032】
時刻T9において、IEEE1394ミニディスク記録再生装置38からデバイスドライバ層4に了解信号S9が送信される。時刻T10において、IEEE1394ミニディスク記録再生装置38からデバイスドライバ層4に成功信号S10が送信される。
【0033】
時刻T11において、デバイスドライバ層4からアプリケーション層3に記録準備完了通知信号S11が供給される。時刻T12において、アプリケーション層3からデバイスドライバ層4に記録開始要求信号S12が供給される。時刻T13において、デバイスドライバ層4からミニディスク記録再生装置38に記録開始要求信号S13が送信される。
【0034】
時刻T14において、ミニディスク記録再生装置38からデバイスドライバ層4に了解信号S14が送信される。時刻T15において、IEEE1394ミニディスク記録再生装置38からデバイスドライバ層4に成功信号S15が送信される。
【0035】
時刻T16において、デバイスドライバ層4からアプリケーション層3に記録開始完了通知信号S16が供給される。時刻T17において、アプリケーション層3からデバイスドライバ層4に実データ(ストリーミングデータ)送出要求信号S17が供給される。時刻T18において、デバイスドライバ層4からミニディスク記録再生装置38に実データ(ストリーミングデータ)S18が送信される。時刻T19において、デバイスドライバ層4からアプリケーション層3に成功信号S19が供給される。
【0036】
なお、上述の具体例では、パーソナルコンピュータ1のハードディスク32に格納されているオーディオデータをミニディスク記録再生装置38のミニディスク38−2に記録するようにしているが、本発明は、この具体例に限定されるものではなく、例えば、パーソナルコンピュータ1が具備するコンパクトディスク再生装置、更には外部のコンパクトディスク再生装置34で読み出されたオーディオデータをミニディスク38−2に記録するようにしてもよい。
【0037】
また、上述の具体例では、無音データの送出時間を時刻T5から時刻T15の前までとしているが、この無音データ送出時間は、パーソナルコンピュータ1の処理能力、ミニディスク記録再生装置38の記録可能になるまでの準備時間等によって定まるものであり、パーソナルコンピュータ1とミニディスク記録再生装置38間のリンクが維持され、ミニディスク記録再生装置38が記録可能な状態に遷移するのに必要な時間であれば、如何なる値であってもよい。換言すると、無音データ送出時間を予め実験的あるいは経験的に求めることもでき、例えば上述したタイムチャートに関係なく、1秒としてもよい。
【0038】
ここで、パーソナルコンピュータ1内で実行される具体的な処理について説明する。図5は、無音データ又はストリームデータの転送の処理を示す図である。この図5は、ネットワーク37に、IEEE1394インタフェース部6を介してパーソナルコンピュータ1と、オーディオ装置9と、ミニディスク記録再生装置38とが接続されている状態を示している。
【0039】
パーソナルコンピュータ1は、図5に示すように、ストリーミングデータ入力部41と、オペレーティングシステム(以下、OSという。)51と、デバイスドライバ層4と、IEEE1394インタフェース部6とを有する。
【0040】
また、OS51は、図5に示すように、ストリーミングデータ52を蓄えるバッファ54と、閾値Th0とバッファ54のデータ蓄積量とを比較するコンパレータ55とを有する。デバイスドライバ層4は、図5に示すように、ストリーミングデータを蓄える入力バッファ56と、閾値Th1と入力バッファ56のデータ蓄積量とを比較するコンパレータ57と、無音データ生成部58と、無音データとストリーミングデータ(以下、転送データともいう。)とを切り換える切換スイッチSW1と、無音データと転送データの切換えを判定する判定部59とを有する。IEEE1394インタフェース部6は、図5に示すように、転送データを切り換える切換スイッチSW2、SW3と、転送データを蓄えるバッファ63、64と、アウトプットプラグを表すoPCR(output Plug Control Register)36と、転送コマンドを生成するコマンド生成部65と、転送タイミングを制御するスイッチSW5とを有する。
【0041】
このように構成されたOS51、デバイスドライバ層4及びIEEE1394インタフェース部6におけるデータ転送制御の動作について説明する。
【0042】
例えば、ユーザが、パーソナルコンピュータ1のハードディスク32に格納されているオーディオデータ、あるいはパーソナルコンピュータ1が具備するコンパクトディスク再生装置53に装填されたオーディオコンパクトディスクからのオーディオデータをミニディスク記録再生装置38に記録する所定の操作を行うと、上述したように、パーソナルコンピュータ1とミニディスク記録再生装置38間のリンクを確立するために、ミニディスク記録再生装置38からネットワーク37を介してIEEE1394インタフェース部6のoPCR36に、値を書き換える信号C20が供給される。これによって、oPCR36のオンライン/オフラインカウンタ36−1の値が”0”から”1”に書き換えられる。この書換信号C20は、デバイスドライバ層4に対する割込要求信号Intにもなる。
【0043】
この割込要求信号Intにより、デバイスドライバ層4の判定部59は、oPCR36のオンライン/オフラインカウンタ36−1の値をレジスタ値C23として読み込み、レジスタ値C23が”1”に変化したときには、切換命令C26によって、切換スイッチSW1が無音データ生成部58の出力C24である無音データを選択するように制御する。また同時に、判定部59は、転送信号C27を生成して、コマンド生成部65に供給する。コマンド生成部65は、転送信号C27が供給されると、アイソクロノスデータ転送を実現するコマンド、すなわちスイッチSW5を、確立されたアイソクロノスチャンネル分の長さだけオン状態にするコマンドを生成して、スイッチSW5を断続的にオン状態にする。
【0044】
この結果、ユーザの所定の操作をトリガとして、パーソナルコンピュータ1のoPCR36のオンライン/オフラインカウンタ36−1の値と、ミニディスク記録再生装置38のoPCR38−6のオンライン/オフラインカウンタ38−6−1の値が”0”から”1”に変化してアイソクロノスデータ転送のチャンネル、すなわちパーソナルコンピュータ1とミニディスク記録再生装置38間のリンクが確立された直後に、無音データ生成部58で生成された無音データが、切換スイッチSW1及びSW2、バッファ63又は64、切換スイッチSW3、スイッチSW5を介して、ネットワーク37に送出され、ミニディスク記録再生装置38に送られる。なお、切換スイッチSW2、SW3及びバッファ63、64は、無音データ生成部58からの無音データ、あるいは上述したハードディスク32からのオーディオデータを、IEEE1394規格に準拠したネットワーク37に確立されたアイソクロノスチャンネルを介して、ミニディスク記録再生装置38にアイソクロノス的に転送するためのものである。すなわち、アイソクロノス転送では、所謂サイクル同期によって設定された一定の間隔、例えば8kHzの間隔でデータを転送するために、無音データ生成部58から連続して生成される無音データを、バッファ63とバッファ64に交互に書き込み(バッファリングし)、現在書込みを行っていないバッファから無音データを読み出すとともに、スイッチSW5を確立されたアイソクロノスチャンネル分の長さだけ閉じて、ネットワーク37に送出するようにしている。このような処理による無音データの送出は、上述したように所定時間継続し、その後、オーディオデータが送出される。
【0045】
具体的には、上述した処理と並行して、上述の割込要求信号Intにより、デバイスドライバ層4は、データ要求信号C21をOS51に供給する。一方、ストリーミングデータ入力部41には、ハードディスク32からのオーディオデータ、あるいはパーソナルコンピュータ1が具備するコンパクトディスク再生装置53に装填されたオーディオコンパクトディスクからのオーディオデータがストリーミングデータ52として入力されている。ストリーミングデータ入力部41に入力されたオーディオデータは、OS51のバッファ54に供給され、一旦記憶される。OS51は、データ要求信号C21が供給されると、バッファ54に記憶されたオーディオデータのデバイスドライバ層4への供給を開始する。このとき、コンパレータ55は、閾値Th0とバッファ54のデータ蓄積量とを比較して、バッファ54のデータ蓄積量が閾値Th0を超えたら、スタート信号C00をデバイスドライバ層4に供給する。一方、コンパレータ55は、閾値Th0とバッファ54のデータ蓄積量とを比較して、バッファ54のデータ蓄積量が閾値Th0を超えていないときは、ストップ信号C00をデバイスドライバ層4に供給する。
【0046】
OS51のバッファ54からデバイスドライバ層4の入力バッファ56には、オーディオデータが可変ブロック長データとして供給され、入力バッファ56は、このオーディオデータを一旦記憶する。この可変ブロック長データは、例えば、16ビットで、44.1kHzサンプル/2chのデータであり、時間情報はないものである。
【0047】
デバイスドライバ層4のコンパレータ57は、閾値Th1と入力バッファ56のデータ蓄積量とを比較して、入力バッファ56のデータ蓄積量が閾値Th1を超えたら、デバイスドライバ層4の判定部59に検出信号を出力する。判定部59は、検出信号が供給されると、切換命令C26により、切換スイッチSW1が入力バッファ56の出力C25であるオーディオデータを選択するように制御する。また、判定部59及びコマンド生成部65は、転送信号C27により、上述の無音データの送出と同様に、ミニディスク記録再生装置38との間で確立されたアイソクロノスチャンネルに同期してスイッチSW5を断続的にオン状態にする。この結果、パーソナルコンピュータ1からは、無音データが所定時間継続して送出された後、オーディオデータの送出が開始され、オーディオデータがミニディスク記録再生装置38に転送される。
【0048】
ところで、上述した動作を実行するには、IEEE1394オーディオ記録装置であるミニディスク記録再生装置38を、パーソナルコンピュータ1で操作することのできるアプリケーション層3と、IEEE1394オーディオ記録装置であるミニディスク記録再生装置38に対して命令を発行したり、IEEE1394オーディオ記録装置であるミニディスク記録再生装置38からのデータ転送を要求する命令に対して対応するためのデバイスドライバ層4とが必要である。そして、上述の説明では、これらのアプリケーション層3とデバイスドライバ層4をハードウェア的に説明したが、アプリケーション層3とデバイスドライバ層4をソフトウェアで実現することができることは言うまでもない。
【0049】
以上の説明でも明らかなように、本発明を適用したデータ送信システムでは、まず、IEEE1394オーディオ記録装置であるミニディスク記録再生装置38に対してオーディオデータの記録を開始するには、アプリケーション層3によって、記録したいオーディオデータをIEEE1394オーディオ記録装置であるミニディスク記録再生装置38に対して転送するための準備を行わせる。準備が完了した時点でデバイスドライバ層4に対して無音データを転送するように要求する。無音データの転送が開始されたことをデバイスドライバ層4がアプリケーション層3に対して通知後、アプリケーション層3は、デバイスドライバ層4に対してIEEE1394オーディオ記録装置であるミニディスク記録再生装置38に対して記録準備を行うようにネットワーク37を介して要求する。
【0050】
そして、IEEE1394オーディオ記録装置であるミニディスク記録再生装置38からデバイスドライバ層4に記録準備が整ったという通知が来たとき、アプリケーション層3は、デバイスドライバ層4に対して記録したいオーディオデータを送信する準備が整ったことを通知し、アプリケーション層3は、記録開始と記録したいオーディオデータをIEEE1394オーディオ記録装置であるミニディスク記録再生装置38に対して送信するようにデバイスドライバ層4に対して要求する。
【0051】
これにより、IEEE1394オーディオ記録装置であるミニディスク記録再生装置38が記録準備中のときは、記録可能な無音データが流れているため、リンクが切断されることを考慮することなく、記録準備を行うことができる。また、記録開始後は、記録するための実データ(ストリーミングデータ)を転送するので、先頭部分の途切れを起こすことなく、実データ(ストリーミングデータ)を転送することができる。
【0052】
図6は、入力デバイス切換え、転送許可、オンライン/オフラインの流れを示す図である。図6に示すように、IEEE1394オーディオ装置62からパーソナルコンピュータ61に入力デバイス切換命令C61が送信され、パーソナルコンピュータ61からIEEE1394オーディオ装置62に受信完了通知C62が供給される。この受信完了通知C62の後に、IEEE1394オーディオ装置62に対してパーソナルコンピュータ61がオンラインであることを通知しない場合、パーソナルコンピュータ61は、IEEE1394オーディオ装置62に対してオーディオデータ又は何らかのデータを送信し続ける必要がある。
【0053】
そのため、◎で示す時刻までに転送可の場合は、パーソナルコンピュータ61からIEEE1394オーディオ装置62にオーディオデータを転送し、転送不可の場合は、パーソナルコンピュータ61自身でオンライン又はオフラインを示す、例えば図5のoPCR36のレジスタ(オンライン/オフラインカウンタ36−1)の値をオフラインに変更する。
【0054】
プラグコントロールレジスタ(Plug Control Register:以下、PCRという。)は、プラグの概念を実体化したレジスタであり、IEEE1394のチャンネルステータスレジスタ(Channel Status Register:以下、CSRという。)のアーキテクチャ(ISO/IEC−13213)に準拠したアドレス空間にマッピングされる。1つのプラグに対して1つのPCRが存在する。PCRには、アウトプットプラグを表すアウトプットプラグコントロールレジスタ(output Plug Control Register:以下、oPCRという。)と、インプットプラグを表すインプットプラグコントロールレジスタ(input Plug Control Register:以下、iPCRという。)と、機器固有のアウトプットプラグ及びインプットプラグの情報を表すアウトプットマスタプラグレジスタ(output Master Plug Register:以下、oMPRという。)及びインプットマスタプラグレジスタ(input Master Plug Register:以下、iMPRという。)とがある。
【0055】
oPCR及びiPCRは、機器のプラグ数に応じて、それぞれ最小10個から最大31個まで持つことができる。oPCRを持つ場合は1個のoMPRを、iPCRを持つ場合は1個のiMPRを、機器に持たせなければならない。各種のPCRは、それぞれ32ビットのレジスタからなり、その内部は細かいフィールドに分けられている。
【0056】
図7は、オンライン状態、オフライン状態、転送可状態、転送不可状態を示すレジスタoPCR(ffffh f000h 0904h〜ffffh f000h 097Ch)を示す図である。
【0057】
図7おいて、オンライン(Online)71は、IEEE1394オーディオ装置に対して電源がオン又はオフを宣言するレジスタであり、”0”はオフ、”1”はオンを示す。オンライン71は、デバイスドライバのみが書換えを行うことができる。オンライン71は、信号系路の接続を示すコネクションが張られても、アイソクロノスデータ転送ができない状態であることを意味する。どちらの状態でも、コネクションを張ることは可能である。実際にアイソクロノスデータの入力又は出力を行うのは、オンラインかつコネクションが張られているアクティブ状態のプラグである。
【0058】
ブロードキャストコネクションカウンタ(Broadcast connection counter)72は、ブロードキャスト転送のためのコネクションがあるか否かを示すカウンタであり、”0”はコネクション無し、”1”はコネクション有りを示す。ブロードキャストコネクションカウンタ72は、デバイスドライバ側及びIEEE1394オーディオ記録装置側の双方から書換えを行うことができる。ブロードキャストコネクションは、アウトプットプラグとインプットプラグの対を指定せずに、アウトプットプラグとアイソクロノスチャンネルの接続、又は、インプットプラグとアイソクロノスチャンネルの接続を行う。
【0059】
ポイントツーポイントコネクションカウンタ(Point-to-point connection counter)73は、IEEE1394オーディオ記録装置が送信許可状態か否かを判定するためのレジスタであり、”00h〜3fh”はポイントツーポイントコネクションの数を示す。この値が1以上のとき、IEEE1394オーディオ記録装置がデータの転送許可を出していることになる。ポイントツーポイントコネクションカウンタ73は、IEEE1394オーディオ記録装置側から書換えを行うことができる。ポイントツーポイントコネクションは、アウトプットプラグから1つのアイソクロノスチャンネルを経由してインプットプラグに繋がって信号経路を形成する。
【0060】
リザーブ(reserved)74は、リザーブカウンタである。リザーブ74は、デバイスドライバ及びIEEE1394オーディオ記録装置側の双方から書換えを行うことができる。
【0061】
チャンネルナンバ(Channel number)75は、使用されるチャンネル番号を示すカウンタである。”00h〜3fh”は、アイソクロノス転送に使用されるチャンネル番号を示す。
【0062】
データレート(Data rate)76は、アイソクロノス転送に使用される転送レートを示すカウンタであり、”00h”はS100、”01h”はS200、”02h”はS400である。
【0063】
オーバヘッドID(Overhead ID)77は、通信オーバヘッドを指定するレジスタである。
【0064】
ペイロード(Payload)78は、データサイズを示すカウンタであり、”000h〜3ffh”は、バイト数=payload×4で示すクワドレッドサイズを示す。
【0065】
図8は、オーバヘッドIDを示す図である。図8において、オーバヘッドID81が0000hのとき、IEEE1394バンドワイドアロケーションユニット82は512であり、オーバヘッドID81が0001hのとき、IEEE1394バンドワイドアロケーションユニット82は32であり、オーバヘッドID81が0010hのとき、IEEE1394バンドワイドアロケーションユニット82は64であり、オーバヘッドID81が0011hのとき、IEEE1394バンドワイドアロケーションユニット82は96であり、オーバヘッドID81が0100hのとき、IEEE1394バンドワイドアロケーションユニット82は128であり、オーバヘッドID81が0101hのとき、IEEE1394バンドワイドアロケーションユニット82は160であり、オーバヘッドID81が0110hのとき、IEEE1394バンドワイドアロケーションユニット82は192であり、オーバヘッドID81が0111hのとき、IEEE1394バンドワイドアロケーションユニット82は224である。
【0066】
また、図8において、オーバヘッドID83が1000hのとき、IEEE1394バンドワイドアロケーションユニット84は256であり、オーバヘッドID83が1001hのとき、IEEE1394バンドワイドアロケーションユニット84は288であり、オーバヘッドID83が1010hのとき、IEEE1394バンドワイドアロケーションユニット84は320であり、オーバヘッドID83が1011hのとき、IEEE1394バンドワイドアロケーションユニット84は352であり、オーバヘッドID83が1100hのとき、IEEE1394バンドワイドアロケーションユニット84は384であり、オーバヘッドID83が1101hのとき、IEEE1394バンドワイドアロケーションユニット84は416であり、オーバヘッドID83が1110hのとき、IEEE1394バンドワイドアロケーションユニット84は448であり、オーバヘッドID83が1111hのとき、IEEE1394バンドワイドアロケーションユニット84は480である。
【0067】
以下に、PCRの変更を示す。その機器自身のPCR、IEEE1394インタフェースを経由して接続された機器のPCRは、ともにコンペアーアンドスワップ(compare and swap)のロックトランザクション(lock transaction)で値の変更を行う。PCRの値を変更するときは以下の条件に従う。
【0068】
oPCRがコネクションを張られている間は、1394のアイソクロノスリソースであるチャンネルと帯域が確保されていなければならない。
【0069】
また、oPCRのチャンネルナンバ75とデータレート76は、コネクションが張られているときは変更してはいけない。
【0070】
また、ブロードキャストコネクションは、そのプラグを持つ機器のみ張ることができる。
【0071】
また、アウトプットプラグにコネクションを張るときは、データレート76、オーバヘッドID77、oPCRのチャンネルナンバ75、ブロードキャストコネクションカウンタ72、ポイントツーポイントコネクションカウンタ73は、同一のコンペアーアンドスワップ(compare and swap)のロックトランザクション(lock transaction)で値の変更を行う。
【0072】
次に、ロックトランザクションの仕組みを説明する。ロックトランザクション(lock transaction)は、書込パラメータとして、arg_value、data_value、old_valueという3種類の値を利用し、oPCRの書換えには、コンペアーアンドスワップ(compare and swap)という書込方法を用いる。書込みのシーケンスは次のようになる。
【0073】
第1に、リクエスタ(オーディオ装置)は、書き込もうとするレジスタの現在値をarg_value、書き込みたい値をdata_valueに指定した要求パケットを作り、それをレスポンダ(パーソナルコンピュータ)に送信する。
【0074】
第2に、レスポンダ(パーソナルコンピュータ)は、受信した要求パケットのarg_valueと、レジスタの現在値を比較して、等しければレジスタの値をdata_valueに変更し、等しくなければ変更しない。その後、要求パケットを受信した時点でのレジスタの値をold_valueとした応答パケットを作り、それをリクエスタ(オーディオ装置)に送信する。
【0075】
第3に、リクエスタ(オーディオ装置)は、受信した応答パケットのold_valueと、自分が送信したarg_valueとを比較して、値が等しければ書込みが成功したと判定し、等しくなければ書込みは失敗したと判定する。
【0076】
図10は、IEEE1394ミニディスク記録再生装置に対して無音データを出すパケットの例(Isochronous Transaction)を示す図である。図10Aはパケットを示し、図10Bは、パケット内容を示す。
【0077】
まず、図10Bのアイソクロノスヘッダについて説明する。レングス(Length)は、データ長を示し、データ長はCIPヘッダ部とIEC958オーディオデータ部とからなる。CIPヘッダとは、ヘッダ(Header)CRCとデータ(Data(Sample1))とに挟まれた部分を示し、IEC958オーディオデータとは、データ(Data(Sample1))からデータ(Data(Sample5))の部分を示す。
【0078】
Tag(isochronous data format tag)は、アイソクロノス(Isochronous)パケットフォーマットを示すものである。Channelは、パケットの識別に使用するチャンネルを示すものである。tCode(Transaction code)は、パケットの種別を示すコード(アイソクロノスはAh)である。sy(synchronization code)は、送信ノードと受信ノードの間で映像や音声等の同期情報をやりとりするために使われる。
【0079】
CIPヘッダにおいて、SIDは、パケットを送信しているノードIDである。DBSは、分割された1データブロックサイズである。FNは、1ソースパケットのデータブロックサイズへの分割数である。QPCは、分割するために付加されたクアドレット数である。SPHは、ソースパケットヘッダが付加(=1)されているかどうかを示すものである。DBCは、データブロックの連続カウンタであり、パケットの欠落等の検出等に使用する。FMTは、パケットがどんなフォーマットかを示す領域である。FDFは、AM824の基本フォーマット(Basic Format for AM824)であることを示すものである。SYTは、送受信間でのデータの同期を行うために、同期に用いるための時間情報を挿入するフィールドであり、時間の単位としてはサイクルカウンタを基準とする。
【0080】
図9は、入力ソースを変更する命令の例を示す図である。図9は、パーソナルコンピュータからオーディオ装置に送る入力ソースを変更する命令のデータ部の詳細を示すものである。
【0081】
図9において、ゼロ(ZERO)91、プリアンブル(Preamble)92が設けられる。その後に設けられるパリティ(Parity)93は、5ビット目から32ビット目までを足した値が偶数のとき0、奇数のとき1となる。
【0082】
チャンネル(Channel)94は、192サンプルで表すデータで、1bit×192Packet=24byteのパケット特性を表す。ユーザ(User)95は、同じサブフレーム内にデータチャンネルが作成されたとき1、されないとき0となる。
【0083】
バリデイト(Validate)96は、データAux有効(24ビットデータフィールド)のとき0、データAux無効(20ビットデータフィールド)のとき1となる。
【0084】
なお、上述したデータ転送は、IEE1394規格に準拠した通信方式を例として説明したが、本発明は、これに限られるものではなく、他の通信方式を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたデータ送信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】デバイスドライバ層の詳細を示すブロック図である。
【図3】無音データ又はストリームデータの転送を示す図である。
【図4】アプリケーションの転送準備完了からの状態遷移を示す図である。
【図5】無音データ又はストリームデータの転送の制御を示す図である。
【図6】入力デバイス切換え、転送許可、オンライン/オフラインを示す図である。
【図7】オンライン状態、オフライン状態、転送可状態、転送不可状態を示すレジスタoPCR(ffffh f000h 0904h〜ffffh f000h 097Ch)を示す図である。
【図8】オーバヘッドIDを示す図である。
【図9】パーソナルコンピュータからオーディオ記録再生装置に送る入力ソースを変更する命令のデータ部の詳細を示す図である。
【図10】IEEE1394ミニディスク記録再生装置に対して無音データを出したパケット例(Isochronous Transaction)を示す図であり、図10Aはパケットを示し、図10Bはパケット内容を示す。
Claims (19)
- 時間的に連続して再生されるストリームデータをネットワークを介して、該ネットワークに接続された記録装置に送信するデータ送信装置において、
上記ネットワークに接続され、上記記録装置と通信を行う通信手段と、
上記記録装置から上記ネットワークを介してその内容が変更可能であり、当該データ送信装置と該記録装置間のリンクを確立させるためのデータを保持するデータ保持手段と、
上記ストリームデータが入力される入力手段と、
上記ストリームデータを上記記録装置に該ストリームデータの再生に同期して記録するための指示の操作が入力される操作入力手段と、
上記ストリームデータと同一の信号形式であって、確立された上記リンクを維持するための無音データを生成する無音データ生成手段と、
上記操作入力手段から同期記録が指示された場合に、上記データ保持手段の内容が上記記録装置により上記リンクを確立するデータに変更されたときに、上記無音データ生成手段で生成される無音データを上記通信手段により上記ネットワークを介して該記録装置に送信し、該記録装置から送られてくる記録が可能になったことを示す応答が受信されたときに、上記入力手段から入力されるストリームデータを該通信手段により該ネットワークを介して該記録装置に送信するように制御する制御手段とを備えるデータ送信装置。 - 更に、上記入力手段に入力されるストリームデータを一時的に記憶する一時記憶手段を備える請求項1記載のデータ送信装置。
- 更に、上記記録装置に対して動作を指示する命令を生成する命令生成手段を備え、
上記制御手段は、上記同期記録が指示された場合に、上記命令生成で生成される命令を上記通信手段により上記ネットワークを介して上記記録装置に送信するように制御することを特徴とする請求項1記載のデータ送信装置。 - 上記制御手段は、上記命令生成手段で生成される上記記録装置の記録を開始させるための命令を上記通信手段により上記ネットワークを介して該記録装置に送信するように制御することを特徴とする請求項3記載のデータ送信装置。
- 上記制御手段は、上記記録を開始させるための命令を送信した後、上記記録装置から送られてくる該命令に対する応答が受信されたときに、上記無音データの送信から上記ストリームデータの送信に送信データを切り換えるように制御することを特徴とする請求項4記載のデータ送信装置。
- 上記制御手段は、上記命令生成手段で生成される上記記録装置が選択している記録データの送信元を当該データ送信装置に切り換える命令を上記通信手段により上記ネットワークを介して該記録装置に送信するように制御することを特徴とする請求項3記載のデータ送信装置。
- 上記制御手段は、上記命令生成手段で生成される上記記録装置の電源状態を変更する命令を上記通信手段により上記ネットワークを介して該記録装置に送信するように制御することを特徴とする請求項3記載のデータ送信装置。
- パーソナルコンピュータからなることを特徴とする請求項1記載のデータ送信装置。
- 上記制御手段は、当該データ送信装置を制御するオペレーティングシステムソフトウェアから送られてくる制御信号に基づいて動作するソフトウェアによって制御されることを特徴とする請求項8記載のデータ送信装置。
- 時間的に連続して再生されるストリームデータをネットワークを介して、該ネットワークに接続された記録装置に送信するデータ送信方法において、
入力手段から同期記録が指示されたことを検出するステップと、
上記記録装置から上記ネットワークを介してその内容が変更可能なデータ保持手段の内容が、データ送信装置と該記録装置間のリンクを確立させるデータに変更されたときに、無音データ生成手段で生成される、確立された該リンクを維持するための無音データを該ネットワークを介して該記録装置に送信するステップと、
上記記録装置から送られてくる記録が可能になったことを示す応答が受信されたときに、入力されるストリームデータを上記ネットワークを介して該記録装置に送信するステップとを有するデータ送信方法。 - 更に、上記入力されるストリームデータを一時記憶手段に一時的に記憶させるステップを有する請求項10記載のデータ送信方法。
- 更に、上記同期記録が指示された場合に、上記記録装置に対して動作を指示する命令を生成するステップと、
上記生成された命令を上記ネットワークを介して上記記録装置に送信するステップとを有する請求項10記載のデータ送信方法。 - 上記生成された命令を送信するステップは、生成される上記記録装置の記録を開始させるための命令を上記ネットワークを介して該記録装置に送信することを特徴とする請求項12記載のデータ送信方法。
- 更に、上記記録を開始させるための命令を送信した後、上記記録装置から送られてくる該命令に対する応答を受信するステップと、
上記応答が受信されたときに、上記無音データから上記ストリームデータの送信に送信データを切り換えるステップを有する請求項13記載のデータ送信方法。 - 上記命令を生成するステップは、上記記録装置が選択している記録データの送信元を上記データ送信装置に切り換える命令を生成することを特徴とする請求項12記載のデータ送信方法。
- 上記命令を生成するステップは、上記記録装置の電源状態を変更する命令を生成することを特徴とする請求項12記載のデータ送信方法。
- 当該データ送信方法は、パーソナルコンピュータで実行されることを特徴とする請求項10記載のデータ送信方法。
- 上記パーソナルコンピュータを制御するオペレーティングシステムソフトウェアから送られてくる制御信号に基づいて動作するソフトウェアが含まれることを特徴とする請求項17記載のデータ送信方法。
- 時間的に連続して再生されるストリームデータをネットワークを介して、該ネットワークに接続された記録装置に送信するデータ送信方法が記録された記録媒体において、
上記データ送信方法は、
入力手段から同期記録が指示されたことを検出するステップと、
上記記録装置から上記ネットワークを介してその内容が変更可能なデータ保持手段の内 容が、データ送信装置と該記録装置間のリンクを確立させるデータに変更されたときに、無音データ生成手段で生成される、確立された該リンクを維持するための無音データを該ネットワークを介して該記録装置に送信するステップと、
上記記録装置から送られてくる記録が可能になったことを示す応答が受信されたときに、入力されるストリームデータを上記ネットワークを介して該記録装置に送信するステップとを有することを特徴とする記録媒体。
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