JP3951131B2 - ティーチペンダントの制御方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業用ロボットや工作機械などの装置に対して、動作の教示を行うための操作に用いるティーチペンダントの制御方法であり、特に、ティーチペンダントにより装置の操作を許容または禁止する制御方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から工場の生産ラインにおいては、自動で溶接作業や部品の組み付け作業、搬送作業などを行う産業用ロボットが多数使用されている。これらの産業用ロボットは、専用のティーチペンダントにより予め所定の動作が教示され、その教示内容を再生することにより、各種作業を実行している。前記ティーチペンダントは一般に教示装置とも称されている。同様のティーチペンダントは、各種工作機械、NC工作機械などの加工手順を教示(プログラム)する場合にも用いられる。
【0003】
このようなティーチペンダントは、通常、教示作業者が片手で把持し、他方の手で入力キーなどの操作を行い教示操作を行う。この場合、教示操作に伴い教示対象の産業用ロボットやNC工作機械など(以下、総称して装置という)は、順次ステップ毎の動作を行う。例えば、モータの駆動動作やアームの旋回動作、作業ヘッド(例えば、溶接ガン)の通電などが行われる。この時、教示操作ミスや装置の部品などの不良により装置が教示作業者の意図するものと異なる動作をしてしまう場合がある。このような場合、教示作業者を含む装置近傍の作業者への危険を回避すると共に、装置および周辺機器の破損を防止するために、教示操作の禁止や装置の停止が直ちに行われるように装置の安全システムは構成しておく必要がある。
【0004】
そのため、従来のティーチペンダントでは、前述のような教示作業者の意図しない動作の際に、確実に教示操作の禁止や装置の停止が直ちに行われるようにイネーブルスイッチが採用されている。またイネーブルスイッチは教示作業者の利き手や教示操作の効率改善のためティーチペンダントの両側に配置され、両方の手で操作ができる様に提案され、採用されている。
【0005】
人間に危険が迫った際の驚きや感電では筋肉が萎縮するため、たとえば手は握り締めるようになる。このためイネーブルスイッチにモーメンタリタイプの3ポジションスイッチが採用されており、ティーチペンダントを把持していない状態は後述する第1操作ポジションにある。装置の操作を許容する許容状態および装置の操作を禁止する禁止状態とするために、3ポジションスイッチの後述するイネーブル接点信号を装置に出力している。イネーブル接点は、押下ストロークが所定範囲より小さい第1操作ポジションおよび押下ストロークが前記所定範囲より大きく操作される第3操作ポジションでは開路して装置の操作を禁止する禁止状態、押下ストロークが前記所定範囲以内に操作される第2操作ポジションでは閉路して装置の操作を許容する許容状態となるように構成されている。また一旦第3操作ポジションになると押下をゆるめて第1操作ポジションになるまでの第2操作ポジションではそのイネーブル接点は閉路せず、装置の操作を禁止する禁止状態を維持するようになっている。
【0006】
教示作業者は、例えば左手でティーチペンダントを把持し、右手で教示作業を行う場合もあれば、その逆もある。また、長時間に及ぶ教示作業においては、指や腕の疲労を考慮して、ティーチペンダントを任意に持ち替えることができるように、左手指が触れる部分と、右手指が触れる部分の2ヶ所に3ポジションスイッチが配置されており、2つの3ポジションスイッチはそれぞれで装置の操作を許容するようになっている。
また、片方の3ポジションスイッチが第3操作ポジションとなったら、両方の3ポジションスイッチが第1操作ポジションになるまで装置の操作を禁止する禁止状態なるように構成することが望ましく、特許文献1ならびに特許文献2で提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−355781号公報
【特許文献2】
特開2002−83522号公報
【0008】
特許文献1で開示されている実施の形態では、片方の3ポジションスイッチを握り、第2操作ポジションに保持すると、イネーブル接点が閉路して装置の操作を許容する許容状態とする。その後に他方の3ポジションスイッチをも操作して第2操作ポジションとすると、イネーブル接点を開路して装置の操作を禁止する禁止状態となる。すなわち、片方の3ポジションスイッチを第2操作ポジションとしている状態の時にのみ装置の操作を許容する許容状態としている。
特許文献2で開示されている実施の形態では、片方の3ポジションスイッチを第2操作ポジションに保持するとイネーブル接点が閉路して装置の操作を許容する許容状態となり、その後他方の3ポジションスイッチを第2操作ポジションとしても装置の操作を許容する許容状態を維持する。
【0009】
通常、教示作業者が片手でティーチペンダントを把持し、他方の手で入力キーの押下などの操作を行い教示操作を行う。一般に、長時間に及ぶ教示作業においては、指や腕の疲労のためにティーチペンダントを任意に持ち替える機会がある。この持ち替え時の操作法は、(1)一旦両方の3ポジションスイッチを開放して第1操作ポジションとして他方の3ポジションスイッチを第2操作ポジションに操作する、あるいは(2)両方の3ポジションスイッチを第2操作ポジションとして、他方を開放して第1操作ポジションとする、の2つある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1で開示されている実施の形態では前述の2つの操作法では共に一旦装置の操作を禁止する禁止状態になる。装置の構成や使途により、この装置の操作を禁止する禁止状態において、確実な安全性確保のため駆動用の電源遮断と共に駆動用エネルギーの開放を行う。一旦禁止状態となると次に装置の操作を許容する許容状態となり装置が動作するまでには駆動用電源投入および駆動用のエネルギー蓄積を行う必要がある。
この様に、ティーチペンダントの持ち替えにおいて一旦装置の操作を禁止する禁止状態とすることは、駆動エネルギーの開放と蓄積が必要となり,時間損失とエネルギーの損失となる問題があった。
【0011】
また、特許文献2で開示されている実施の形態では、両方の3ポジションスイッチを第2操作ポジションの状態で装置の操作を許容する許容状態としているので前述のティーチペンダントの持ち替え操作法(2)では禁止状態とはならないが、教示作業者が片手でティーチペンダントを把持して教示操作中に装置の意図しない動作などに対する驚きで両手でティーチペンダントを把持した時には装置の操作を許容する許容状態のままであるため安全性に問題があった。
【0012】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、産業用ロボットや工作機械などに対して、動作の教示を行ったり動作のシミュレーションを行う場合に用いるティーチペンダントの制御方法において、ティーチペンダントの持ち替えで操作を中断することなく継続でき、また安全性の配慮がされたティーチペンダントの制御方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、請求項1に記載のティーチペンダントの制御方法は、押下ストロークに応じて第1操作ポジション、第2操作ポジション、第3操作ポジションの3つの操作ポジションを持つ3ポジションスイッチを2つ備え、前記3ポジションスイッチは前記第1操作ポジションと、前記第3操作ポジションであることを検出する検出手段を有し、前記操作ポジションに基づいて装置の操作を許容または禁止するティーチペンダントの制御方法において、前記3ポジションスイッチが共に前記第2操作ポジションに所定の時間を超えて位置した場合に前記装置の操作を禁止とすることを特徴とする。
【0014】
また、請求項2に記載のティーチペンダントの制御方法は、前記3ポジションスイッチが共に前記第1操作ポジションから前記第2操作ポジションに位置した場合に時間の計測を開始し、前記計測された時間が前記所定の時間より小さい間に、前記3ポジションスイッチの少なくともどちらか1方が、他の前記操作ポジションに位置した場合には、前記時間の計測を停止することをことを特徴とする。
【0015】
このようになっているため、ティーチペンダントを例えば左手より右手に持ち替える場合に、ティーチペンダントに備わる2つの3ポジションスイッチを、まず左手での把持状態より右手で把持の後左手の開放の一連の操作においても装置の操作を禁止する禁止状態とすることなく、スムーズに持ち替え操作を行うことが出来るため教示操作を連続して行うことが出来る。
また、教示操作者が装置の意図しない装置の動作などに驚き両手でティーチペンダントを把持した時には所定時間の後に装置の操作を禁止する禁止状態とすることで安全性が向上する。
【0016】
上記問題を解決するため、請求項3に記載のティーチペンダントの制御装置は、押下ストロークに応じて第1操作ポジション、第2操作ポジション、第3操作ポジションの3つの操作ポジションを持つ3ポジションスイッチを2つ備え、前記3ポジションスイッチは前記第1操作ポジションと、前記第3操作ポジションであることを検出する検出接点を有し、前記操作ポジションに基づいて装置の操作を許容または禁止を判定する信号処理回路を有するティーチペンダントの制御装置において、前記信号処理回路は、前記3ポジションスイッチの検出接点信号を入力として、前記3ポジションスイッチが共に前記第2操作ポジションに所定の時間を超えて位置した場合に前記装置の操作を禁止確立し、前記3ポジションスイッチを共に前記第1操作ポジションとすることで前記装置の操作の禁止確立を解除することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、ティーチペンダントを把持する手の持ち替えの時でも装置の操作を許容する許容状態となり、教示操作を連続して行うことが出来ると共に、
両方の3ポジションスイッチがともに第1操作ポジションに戻るまでの間は、教示可能な許容状態になることを防止でき、ティーチペンダント操作の安全性を向上する。
【0018】
請求項4に記載のティーチペンダントの制御装置は、前記信号処理回路は継電器を含む回路で構成されることを特徴としている。
また、請求項5に記載のティーチペンダントの制御装置は、前記信号処理回路は論理素子あるいは論理演算素子のいずれかを含む回路で構成されることを特徴としている。
および、前記信号処理回路は、前記ティーチペンダント本体内または前記装置に配設されていることを特徴としている。
【0019】
このようになっているため、信号処理回路は継電器、論理素子および論理演算素子を用いて容易に構成することができると共に、一部あるいは全部の回路をティーチペンダント本体内より装置内に配設することができるため、教示作業者が把持するティーチペンダントを小型化、軽量化することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的実施例を図に基づいて説明する。
(第1実施例)
図1は、本発明を実施する第1実施形態の回路構成図である。回路を構成するスイッチ、リレーの電気品は、図示しないティーチペンダント、あるいはティーチペンダントと図示しない装置に分割されて配設されている。
61は左手用3ポジションスイッチであり、第1操作ポジション、第2操作ポジション、第3操作ポジションの3つの操作状態がある。イネーブル接点61−4および61−5は、第2操作ポジションでは閉路、これ以外では開路する。補助接点である操作検出接点61−1および61−2は、第1操作ポジションでは閉路、これ以外では開路する。また、第3操作ポジションでは開路、それ以外では閉路する補助接点である第3操作ポジション検出接点61−3が備わっている。同様に右手用3ポジションスイッチ62には、操作検出接点62−1、62−2、第3操作ポジション検出接点62−3、イネーブル接点62−4、62−5が備わっている。
【0021】
左手用3ポジションスイッチ61の第3操作ポジション検出接点61−3と右手用3ポジションスイッチ62の第3操作ポジション検出接点62−3は直列接続されてリレー66に接続されている。尚、この第1実施形態では電源を直流24Vとしているので、リレー66の他方は0V、左手用3ポジションスイッチ61の第3操作ポジション検出接点61−3の他方は直流24Vに接続されている(直流24V、0Vへの接続の説明は以後省略する)。
この回路ラインは、少なくとも一方の3ポジションスイッチを第3操作ポジションにすると、該3ポジションスイッチの第3操作ポジション検出接点が開路することで第3操作ポジションを検出する第3操作ポジション検出ライン72である。
左手用3ポジションスイッチ61の操作検出接点61−1と右手用3ポジションスイッチ62の操作検出接点62−1は直列に接続されて、少なくとも一方の3ポジションスイッチを操作すると開路する操作検出ライン71を形成し、リレー68の常開接点68aに接続されている。
【0022】
左手用3ポジションスイッチ61の操作検出接点61−2と右手用3ポジションスイッチ62の操作検出接点62−2は並列に接続され、両方の3ポジションスイッチ61、62を操作すると開路する両スイッチ操作検出ライン73を形成し、リレー63の常開接点63a3と直列接続され、操作検出ライン71に接続されている前述のリレー68の常開接点68aの他方と並列接続(ライン74)された後、リレー66の常開接点66aおよびリレー63へ直列接続されている。
ライン74より抵抗器64とコンデンサ65は直列接続され0Vへ接続されている。また、抵抗器67とリレー66の常閉接点66bが直列接続され、コンデンサ65に並列接続されている。コンデンサ65は、リレー66の常開接点66aが閉路状態で、ライン74が電源24Vより遮断された時にリレー63を所定の時間(例えば1秒)オフ状態になるのを遅延させるために設けられている。抵抗器64はコンデンサ65への蓄電時に電流制限を行ない、蓄電電流が流れる接点の保護を目的としている。リレー66の常閉接点66bは少なくとも片方の3ポジションスイッチが第3操作ポジションになった時に閉路して、コンデンサ65に蓄電された電荷を急速放電するものであり、抵抗器67はこの急速放電時の常閉接点66bの接点保護を行なう。
リレー63の常閉接点63bはリレー68へ接続されている。尚、リレー68には、直列に接続された抵抗器69とコンデンサ70が並列に接続されている。これは、リレー68がオフ状態になるのを所定時間遅延させるために設けられたものである。
【0023】
左手用3ポジションスイッチ61のイネーブル接点61−4と右手用3ポジションスイッチ62のイネーブル接点62−4は並列に接続され、リレー63の常開接点63a1、リレー68の常閉接点68b1と直列接続されてイネーブル接点出力信号を形成している。他のイネーブル接点61−5および62−5も同様に並列接続後リレー63の常開接点63a2、リレー68の常閉接点68b2と直列接続されてイネーブル接点出力信号を形成している。尚、本実施例ではイネーブル接点出力信号を2系統としているが、これは単一故障においても装置の安全性を損なわないための二重化回路を構成するためであり、十分に高い信頼性の部品材料の採用や、装置が使用されるシステムで要求がある場合には1系統とすることや他の目的に使用のため3系統以上を準備してもかまわない。
【0024】
図2は、本実施例における状態遷移図である。3ポジションスイッチの操作ポジションと装置の操作の許容状態と禁止状態を示している。図1の回路の動作を図2の状態遷移に沿って説明する。
最初に、両方の3ポジションスイッチ61、62は操作されていない状態で電源の電圧24Vが投入される(状態Pon)と、3ポジションスイッチ61、62の第3操作ポジション検出接点61−3、62−3は閉路しているので、これに接続されているリレー66は通電励磁されてオンとなる。一方、リレー63の初期状態はオフ状態であるので、リレー63の常閉接点63bは閉路しているため、これに接続されているリレー68はオンとなり、その結果として、操作検出ライン71に接続されているリレー68の常開接点68aは閉路する。この時、3ポジションスイッチ61、62は操作されていないので、操作検出接点61−1および62−1は閉路しているため、リレー63は通電励磁されてオンとなると共にコンデンサ65には蓄電される。その結果、リレー63の常開接点63a3が閉路して、3ポジションスイッチの操作検出接点61−2および62−2も閉路しているため、リレー63に対する自己保持回路が形成される。なお、リレー63のオンにより、その常閉接点である63bは開路するのでリレー68はオフする。この時、リレー68に対してコンデンサ70から放電が所定時間行われるので、リレー63がオンした後でも、所定時間リレー68のオフを遅延して、リレー63の自己保持回路形成に失敗することが防止される。所定時間経過後(コンデンサ70の放電終了後)、操作検出ライン71に接続されているリレー68の常開接点68aは開路するが、前述のように、両スイッチ操作検出ライン73およびリレー63の常開接点63a3の回路により自己保持が確立されているので、リレー63のオン状態は維持される。
【0025】
この状態で、イネーブル接点61−4,62−4が接続されているリレー63の常開接点63a1、リレー68の常閉接点68b1は閉路しているので、イネーブル接点61−4,62−4の状態がイネーブル接点出力信号として出力可能となるスタンバイ状態が整う。他方のイネーブル接点61−5,62−5側のイネーブル接点出力信号についても同様である。
両方の3ポジションスイッチ61、62は操作されていないので、そのイネーブル接点は開路しており、装置の操作を禁止する禁止状態1となる(状態1)。
【0026】
次に、3ポジションスイッチ61、62を操作した場合の動作を説明する。
まず、通常の操作として、教示操作者がティーチペンダントを片手(例えば左手)で把持した場合、左手用3ポジションスイッチ61を押下することになる。その結果、操作検出接点61−1、61−2が開路する。しかし、右手用3ポジションスイッチ62は操作されていないので、操作検出接点62−2は閉路しており、これに接続されているリレー63の自己保持は確立維持される。そして、教示操作者がティーチペンダントを把持し、左手用3ポジションスイッチ61は第2操作ポジションとなっているので、イネーブル接点61−4、61−5は閉路して、イネーブル接点出力信号が出力され、装置の操作を許容する許容状態1となる(状態2)。
【0027】
前述の許容状態1で装置の操作中に、操作者が意図しない装置の動作で驚くなどの原因により左手用3ポジションスイッチ61を強く握り第3操作ポジションとした時、左手用3ポジションスイッチ61の第3操作ポジション検出接点61−3が開路するため、これに接続されているリレー66がオフとなり、その常開接点66aは開路して、これに接続されているリレー63もオフとなり、前述の自己保持が解除される。その結果、リレー63の常閉接点63bは閉路して、接続されているリレー68は通電励磁されてオンとなる。イネーブル接点出力信号の回路にあるリレー63の常開接点63a1、63a2およびリレー68の常閉接点68b1,68b2は開路し、3ポジションスイッチ61、62のイネーブル接点61−4、61−5、62−4、62−5が溶着などで閉路していてもイネーブル接点出力信号の出力は遮断されて装置の操作を禁止する禁止状態4となる(状態3)。この時、コンデンサ65に蓄電されている電荷は閉路しているリレー66の常閉接点66bを介して放電される。
【0028】
前述の許容状態1で装置の操作中に、手を持ち替える時は、一旦両方の3ポジションスイッチ61、62を第2操作ポジションにした後に左手用3ポジションスイッチ61を手放す。
まず、両方の3ポジションスイッチ61、62を第2操作ポジションとすると、操作検出接点61−1,61−2,62−1,62−2は開路して操作検出ライン71および両スイッチ操作検出ライン73への電源の供給が遮断される。すると、コンデンサ65は放電を開始して、リレー63は所定の時間オフ状態になることが遅延する。すなわちリレー63はオン状態を維持しており、その常閉接点63bに接続されたリレー68もオフ状態を維持している。そのため、イネーブル接点出力信号の回路にあるリレー63の常開接点63a1、63a2およびリレー68の常閉接点68b1,68b2は閉路のままであるため、閉路となっているイネーブル接点61−4、61−5、62−4、62−5の状態がイネーブル接点出力信号として出力されて装置の操作を許容する許容状態3となる(状態4)。
【0029】
次に、左手用3ポジションスイッチ61を手放すと、操作検出接点61−2が閉路してリレー63へ再び電源が供給されて、リレー63に対する自己保持回路は維持される。この時、イネーブル接点出力信号の回路にあるリレー63の常開接点63a1、63a2およびリレー68の常閉接点68b1,68b2は閉路のままであり、閉路となっているイネーブル接点62−4、62−5の状態がイネーブル接点出力信号として出力されて装置の操作を許容する許容状態2となる(状態5)。
【0030】
前述の許容状態3を維持した時は、コンデンサ65の放電によって所定の時間後リレー63のオフ状態となり、常閉接点63bは閉路して、これに接続されているリレー68はオンとなる。イネーブル接点出力信号の回路にあるリレー63の常開接点63a1、63a2およびリレー68の常閉接点68b1,68b2は開路するため、3ポジションスイッチ61、62のイネーブル接点61−4、61−5、62−4、62−5が閉路していてもイネーブル接点出力信号の出力は遮断されて装置の操作を禁止する禁止状態2となる(状態6)。
【0031】
前述の許容状態3より、操作者が意図しない装置の動作で驚くなどの原因により例えば右手用3ポジションスイッチ62を強く握り第3操作ポジションとした時、右手用3ポジションスイッチ62の第3操作ポジション検出接点62−3が開路するので、これに接続されているリレー66の電源が遮断されてオフ状態となる。常開接点66aが開路することで、リレー63はオフとなり、常閉接点63bに接続されているリレー68はオンとなる。イネーブル接点出力信号の回路にあるリレー63の常開接点63a1、63a2およびリレー68の常閉接点68b1,68b2は開路し、3ポジションスイッチ61のイネーブル接点61−4、61−5は閉路していても、イネーブル接点出力信号の出力は遮断されて装置の操作を禁止する禁止状態8となる(状態7)。この時、コンデンサ65に蓄電されている電荷は閉路しているリレー66の常閉接点66bを介して放電される。
【0032】
前述の禁止状態8より右手用3ポジションスイッチ62を第2操作ポジションへ戻しても、コンデンサ65は放電の後となるため、完全に放電されていなくてもリレー63を再びオンとするエネルギーは無いためリレー63はオフの状態を維持する。この時リレー68はオンとなっており、イネーブル接点出力信号は出力されない装置の操作を禁止する禁止状態2となる(状態6)。
【0033】
一旦禁止状態1(状態1)以外の禁止状態2乃至禁止状態9となると、イネーブル接点出力信号回路に接続されているリレー63の常開接点63a1、63a2およびリレー68の常閉接点68b1、68b2は開路となり、イネーブル接点出力信号を出力することが出来なくなる。イネーブル接点出力信号回路に接続されているリレー63の常開接点63a1、63a2およびリレー68の常閉接点68b1、68b2を閉路するためには、3ポジションスイッチ61、62のいずれもが第1操作ポジションである手放された状態とする必要がある。両方の3ポジションスイッチ61、62を第1操作ポジションにすることは、これらの操作検出接点61−1、61−2、62−1、62−2、第3操作ポジション検出接点61−3、62−3が全て閉路することである。この状態は、前述の最初に電源の電圧24Vが投入される時と同じであり、リレー63、66、68の動作の結果、イネーブル接点61−4,62−4が接続されているリレー63の常開接点63a1、リレー68の常閉接点68b1は閉路してイネーブル接点61−4,62−4の状態がイネーブル接点出力信号として出力可能となるスタンバイ状態が整う。
他方のイネーブル接点61−5,62−5側のイネーブル接点出力信号に付いても同様である(状態1)。
【0034】
尚、たとえば禁止状態2(状態6)から禁止状態1(状態1)への遷移経路については、左手用および右手用3ポジションスイッチ61、62を第一操作ポジションとするために手放された状態とするが、左右の手放すタイミングの違いにより禁止状態2(状態6)より禁止状態3または禁止状態6を経由して禁止状態1(状態1)へ戻る経路となる。
【0035】
このように、ティーチペンダントを両手で把持してキーの操作中に、手の持ち替えをおこなう時に一旦両手で3ポジションスイッチを第2操作ポジションとし、その後片手を放しても、ロボットの操作を禁止状態にすることが無く、スムーズな手の持ち替えが可能となる。この時に危険な状態に遭遇などの要因で、少なくとも片方の3ポジションスイッチを第3操作ポジションとすると、即座に操作は禁止状態となり操作を禁止することができるため、安全性の高い操作が可能である。
また、少なくとも片方の3ポジションスイッチの第3操作ポジションを検出してイネーブル接点出力信号の出力を確実に遮断して、これを解除するには両方の3ポジションスイッチが第1操作ポジションに戻されることを検出してイネーブル接点出力信号の出力回路を閉路、すなわち前記遮断の解除を行なっているので、一旦イネーブル接点出力信号の出力が遮断状態となれば、3ポジションスイッチの各操作ポジションの切り替わりによる各接点状態の移行タイミングや各リレーのオン、オフ切り替わりによる接点状態の移行タイミングに左右されずに確実にイネーブル接点出力信号の出力を遮断することができる。
【0036】
(第2実施例)
図3は、本発明を実施する第2実施形態の回路構成図である。この回路は第1実施形態と同様に、図示しないティーチペンダントあるいはティーチペンダントと図示しない装置に分割されて装備されている。
61、62は3ポジションスイッチであり、第1実施形態と同一であるため説明を省く。本実施形態では操作検出接点61−2および62−2は使用しない。81および84は電圧変換器であり、直流24Vを3ポジションスイッチの補助接点を介して入力し、直流5V信号へ変換して出力する。本実施形態ではフォトカプラを利用し、直流24Vが入力されると0Vが出力され、入力が無電圧の時は5Vが出力されるようになっている。3ポジションスイッチ61,62の操作検出接点61−1、62−1、第3操作ポジション検出接点61−3、62−3は片方を直流24Vの電源に接続されている。他方は並列分岐され、電圧変換器81および84へ接続されている。
電圧変換器81よりの信号出力は、信号処理回路82へ接続されている。信号処理回路82で信号処理を行い、結果をリレー83へ出力している。
同様に電圧変換器84よりの信号出力は、信号処理回路85へ接続されている。信号処理回路85で信号処理を行い、結果をリレー86へ出力している。尚、リレー83及びリレー86の他方は0Vへ接続されている。
【0037】
左手用3ポジションスイッチ61のイネーブル接点61−4と右手用3ポジションスイッチ62のイネーブル接点62−4は並列に接続され、リレー83の常開接点83a1と直列接続されてイネーブル接点出力信号を形成している。
同様に、左手用3ポジションスイッチ61のイネーブル接点61−5と右手用3ポジションスイッチ62のイネーブル接点62−5は並列に接続され、リレー86の常開接点86a2と直列接続されてイネーブル接点出力信号を形成している。
【0038】
図4は、本実施例における信号処理回路82、85の信号処理表である。
図において、接点状態は、信号処理回路82、85の入力信号である。3ポジションスイッチ61、62の操作検出接点61−1、62−1および第3ポジション検出接点61−3、62−3の接点状態で、閉路では0、開路では1、開閉を問わない時は「任意」で表している。
信号処理回路内部状態は、信号処理回路82、85の内部状態である。オン状態では1、オフ状態では0、オンオフ状態を問わない時は「任意」で表している。
【0039】
電源入状態は信号処理回路82,85に制御用の電源が投入されたときに1となる。電源入状態が1の時はリレー出力はオフとなるようになっている(状態11)。
電源入状態は、接点状態61−1,61−3,62−1、62−3が全て0となるとオフ状態の0となる。この時、同時に禁止検出状態、計時状態が0および時間超過状態も0となる(状態12)。
禁止検出状態は接点状態61−3が1となる(状態17)、接点状態62−3が1となる(状態18)、あるいは後述の時間経過状態が1となった時(状態16)にオン状態の1となり、接点状態61−1,61−3,62−1、62−3が全て0となるとオフ状態の0となる。
禁止検出状態が1の時はリレー出力はオフとなるようになっている。
【0040】
計時状態は接点状態61−1と62−1が1で61−3と62−3が0のとき(状態15)1となり、これ以外では0となる。すなわち計時状態は2つの3ポジションスイッチが双方とも第2操作ポジションに操作されている時にオン状態の1となる。
計時状態が1となると、所定時間の計時を開始する。計時中に2つの3ポジションスイッチの内少なくとも片方が第1操作ポジションになると計時状態は0となり、計時を停止すると共に計時値をクリアする(状態12、状態13、状態14)。
計時状態が1で前記所定時間が経過すると時間超過状態が1となると共に、前述のように禁止検出状態を1とする(状態16)。
リレー出力は接点状態61−1及び/又は62−1が1で電源入状態、禁止検出状態、時間超過状態が全て0の時にオンするようになっている(状態14、状態14、状態15)。
【0041】
ティーチペンダントの操作を基に信号処理回路82、85での信号処理を説明する。
制御電源が投入されると、入力状態の如何にかかわらず電源入状態が1となりリレー出力はオフとなる(状態11)。
両方の3ポジションスイッチ61、62を開放して第1操作ポジションにすると、接点状態61−1,62−1、61−3,62−3は0となり、電源入状態は0となる。この時リレー出力はオフである(状態12)。
状態12より左手用3ポジションスイッチ61を第2操作ポジションに操作すると、接点状態61−1が1となり、リレー出力はオンとなる(状態13)。
状態12より右手用3ポジションスイッチ62を第2操作ポジションに操作すると、接点状態62−1が1となり、リレー出力はオンとなる(状態14)。
両方の3ポジションスイッチ61、62を第2操作ポジションに操作すると、リレー出力はオンであるが、計時状態が1となり計時を開始する(状態15)。
状態15より片方の3ポジションスイッチ61または62を開放して第2操作ポジションとすると接点状態61−1または62−1が0となる。この時、リレー出力はオンを維持する(状態13または状態14)。
【0042】
状態15を維持しておくと、計時状態が1であるため計時が進み所定時間経過すると時間超過状態が1となると共に禁止検出状態も1となる。この時、リレー出力はオフする(状態16)。
通常の教示操作中のいかなる状態よりも少なくとも片方の3ポジションスイッチ61または62を第3操作ポジションとすると接点状態61−3または62−3が1となり、禁止状態は1となる。この時、リレー出力はオフする(状態17または状態18)。
禁止検出状態が1である状態16、状態17、状態18より両方の3ポジションスイッチ61、62を開放して第1操作ポジションにすると、接点状態61−1,62−1、61−3,62−3は0となり、禁止検出状態、計時状態、時間超過状態は0となり、この時リレー出力はオフとなる(状態12)。
【0043】
本実施形態では信号処理回路82,85での信号処理について説明した。この信号処理回路82,85はこの説明に基づいて論理素子を組み合わせて実現することは容易である。またCPUなどの論理演算素子を用いて信号処理を行っても同様の効果を奏する。
【0044】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のティーチペンダントの制御方法によれば、ティーチペンダントを把持する手の持ち替えにおいて装置の操作を禁止する禁止状態とすることが無く、教示操作を連続的に継続できることができると共に、教示操作者が装置の意図しない装置の動作などに驚き両手でティーチペンダントを把持した時には装置の操作を禁止する禁止状態とすることで、安全性の高いティーチペンダントを提供するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する第1実施形態の回路構成図
【図2】本発明の実施する第1実施形態の状態遷移図
【図3】本発明を実施する第2実施形態の回路構成図
【図4】本発明の実施する第2実施形態の信号処理表
【符号の説明】
61 左手用3ポジションスイッチ
62 右手用3ポジションスイッチ
61−1,61−2,62−1,62−2 操作検出接点
61−3,62−3 第3ポジション検出接点
61−4,61−5,62−4,62−5 イネーブル接点
63、66、68 リレー
64、67、69 抵抗器
65、70 コンデンサ
71 操作検出ライン
72 第3操作ポジション検出ライン
73 両スイッチ操作検出ライン
81、84 電圧変換器
82、85 信号処理回路
83、86 リレー
Claims (6)
- 押下ストロークに応じて第1操作ポジション、第2操作ポジション、第3操作ポジションの3つの操作ポジションを持つ3ポジションスイッチを2つ備え、前記3ポジションスイッチは前記第1操作ポジションと、前記第3操作ポジションであることを検出する検出手段を有し、前記操作ポジションに基づいて装置の操作を許容または禁止するティーチペンダントの制御方法において、
前記3ポジションスイッチが共に前記第2操作ポジションに所定の時間を超えて位置した場合に前記装置の操作を禁止とすることを特徴とするティーチペンダントの制御方法。 - 前記3ポジションスイッチが共に前記第1操作ポジションから前記第2操作ポジションに位置した場合に時間の計測を開始し、
前記計測された時間が前記所定の時間より小さい間に、前記3ポジションスイッチの少なくともどちらか1方が、他の前記操作ポジションに位置した場合には、前記時間の計測を停止することを特徴とする請求項1記載のティーチペンダントの制御方法。 - 押下ストロークに応じて第1操作ポジション、第2操作ポジション、第3操作ポジションの3つの操作ポジションを持つ3ポジションスイッチを2つ備え、前記3ポジションスイッチは前記第1操作ポジションと、前記第3操作ポジションであることを検出する検出接点を有し、前記操作ポジションに基づいて装置の操作を許容または禁止を判定する信号処理回路を有するティーチペンダントの制御装置において、
前記信号処理回路は、
前記3ポジションスイッチの検出接点信号を入力として、前記3ポジションスイッチが共に前記第2操作ポジションに所定の時間を超えて位置した場合に前記装置の操作を禁止確立し、
前記3ポジションスイッチを共に前記第1操作ポジションとすることで前記装置の操作の禁止確立を解除することを特徴とするティーチペンダントの制御装置。 - 前記信号処理回路は継電器を含む回路で構成されることを特徴とする請求項3記載のティーチペンダントの制御装置。
- 前記信号処理回路は論理素子あるいは論理演算素子のいずれかを含む回路で構成されることを特徴とする請求項3記載のティーチペンダントの制御装置。
- 前記信号処理回路は、前記ティーチペンダント本体内または前記装置に配設されていることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかに記載のティーチペンダントの制御装置。
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