JP3949804B2 - 光学素子及び液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、直線偏光の散乱拡散性に優れて液晶表示装置等の視認性の向上などに好適な光学素子に関する。
【0002】
【発明の背景】
従来、プラスチックフィルムに透明微粒子を分散含有させたものやプラスチックフィルムの表面を粗面化してなる光拡散板と偏光板を積層した光学素子が知られていた。かかる光拡散板は、透過型の液晶表示装置等ではバックライトの光源イメージを緩和して液晶表示装置等における視認性の向上に有効に機能する。しかしながら反射型の液晶表示装置等では、光拡散板を介した入射時と出射時の拡散光が干渉して画像のにじみやボケが顕著となる問題点があった。
【0003】
前記した画像のにじみやボケは、液晶セルに隣接して光拡散板を配置することで低減しうるが、その場合には偏光板を介した直線偏光が光拡散板に入射することとなり、偏光状態が解消されてコントラストの低下を招き、特に黒表示では散乱光で白っぽくなる白ボケを誘発する。
【0004】
【発明の技術的課題】
本発明は、画像のにじみやボケの防止を目的に液晶セルと偏光板の間に光拡散板を配置してもコントラストの低下や黒表示の白ボケを生じにくい光学素子や液晶表示装置を得ることを課題とする。
【0005】
【課題の解決手段】
本発明は、複屈折特性が相違する微小領域を分散分布させてなる複屈折性フィルムからなる光拡散板であり、その複屈折性フィルムと微小領域との屈折率差△n1、△n2が直線偏光の最大透過率を示す軸方向である△n 2 方向に直交する△n 1 方向において0.03以上(△n1)であり、かつ当該△n 2 方向において前記△n1の80%以下(△n2)である光拡散板と、偏光板を有する積層体からなり、その光拡散板の当該△n1方向と偏光板の透過軸とが平行関係にあることを特徴とする光学素子、及びその光学素子を液晶セルの片側又は両側に有することを特徴とする液晶表示装置を提供するものである。
【0006】
【発明の効果】
本発明における光拡散板は、直線偏光の最大透過率を示す軸方向(△n2方向)では直線偏光がその偏光状態を良好に維持して透過し、前記△n2方向と直交する方向(△n1方向)では複屈折性フィルムと微小領域との屈折率差△n1に基づいて直線偏光が散乱されその偏光状態が緩和ないし解消する。その場合、複屈折性フィルムを重畳することで当該散乱効果が相乗的に増幅される。
【0007】
前記の結果、光拡散板に対して偏光板をその透過軸が前記△n1方向と平行関係となるように配置することにより、偏光板を透過した直線偏光が光拡散板に入射した際に散乱されて良好に拡散し、入射時の反射光が表示光に影響することを抑制できて、反射型の液晶表示装置等における画像のにじみやボケの防止を目的に液晶セルと偏光板の間に光拡散板を配置してもコントラストの低下や黒表示の白ボケの発生を抑制することができ、視認性を向上させることができる。
【0008】
【発明の実施形態】
本発明の光学素子は、複屈折特性が相違する微小領域を分散分布させてなる複屈折性フィルムからなる光拡散板であり、その複屈折性フィルムと微小領域との屈折率差△n1、△n2が直線偏光の最大透過率を示す軸方向である△n 2 方向に直交する△n 1 方向において0.03以上(△n1)であり、かつ当該△n 2 方向において前記△n1の80%以下(△n2)である光拡散板と、偏光板を有する積層体からなり、その光拡散板の当該△n1方向と偏光板の透過軸とが平行関係にあるものである。
【0009】
本発明による光学素子の例を図1、図2に示した。1が光拡散板、3が偏光板であり、2は必要に応じての接着層である。光拡散板1は、複屈折特性が相違する微小領域eを分散分布させてなる複屈折性フィルムの1枚よりなっていてもよいし、図2に例示の如くかかる複屈折性フィルム11,13,15,17の重畳体からなっていてもよい。なお12,14,16は接着層である。
【0010】
複屈折特性が相違する微小領域を分散分布させてなる複屈折性フィルムの形成は、例えばポリマー類や液晶類等の透明性に優れる適宜な材料の1種又は2種以上を、延伸処理等の適宜な配向処理で複屈折特性が相違する領域を形成する組合せで用いて配向フィルムを形成する方式などの特開平9−274108号公報等に準じた適宜な方式にて行うことができる。
【0011】
ちなみに前記した配向処理で複屈折特性が相違する領域を形成する組合せの例としては、ポリマー類と液晶類の組合せ、等方性ポリマーと異方性ポリマーの組合せ、異方性ポリマー同士の組合せなどがあげられる。微小領域の分散分布性などの点より、相分離する組合せが好ましく、組合せる材料の相溶性により分散分布性を制御することができる。相分離は、例えば非相溶性の材料を溶媒にて溶液化する方式や、相溶性の材料を加熱溶融下に混合する方式などの適宜な方式で行うことができる。
【0012】
前記の組合せにより延伸方式で配向処理する場合、ポリマー類と液晶類や等方性ポリマーと異方性ポリマーの組合せでは、任意な延伸温度、延伸倍率にて目的の複屈折性フィルムを形成することができる。一方、異方性ポリマー同士の組合せではそれらポリマーのガラス転移点をTg1、Tg2、延伸温度をTとしたとき、Tg1<T≦Tg2の範囲では任意な延伸倍率にて、T≦Tg1、Tg2の範囲では上記△n2方向の屈折率が上記した△n2を満足する延伸倍率にて目的の複屈折性フィルムを形成することができる。
【0013】
なお異方性ポリマーでは延伸方向の屈折率変化の特性に基づいて正負に分類されるが、本発明においては正負いずれの異方性ポリマーも用いることができ、正同士や負同士、あるいは正負の組合せのいずれにても用いうる。
【0014】
前記においてポリマー類の例としては、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの如きポリエステル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)の如きスチレン系ポリマー、ポリエチレンやポリプロピレン、シクロ系ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィンやエチレン・プロピレン共重合体の如きオレフィン系ポリマー、カーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレートの如きアクリル系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、二酢酸セルロースや三酢酸セルロースの如きセルロース系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミドの如きアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、あるいはそれらのブレンド物などがあげられる。
【0015】
また液晶類の例としては、シアノビフェニル系やシアノフェニルシクロヘキサン系、シアノフェニルエステル系や安息香酸フェニルエステル系、フェニルピリミジン系やそれらの混合物の如き室温又は高温でネマチック相やスメクチック相を呈する低分子液晶、あるいは室温又は高温でネマチック相やスメクチック相を呈する液晶ポリマーなどがあげられる。
【0016】
配向処理対象のフィルムは、例えばキャスティング法や押出成形法、射出成形法、ロール成形法、流延成形法などの適宜な方式にて得ることができ、モノマー状態で展開しそれを加熱処理や紫外線等の放射線処理などにより重合してフィルム状に製膜する方式などにても得ることができる。
【0017】
微小領域の均等分布性に優れる複屈折性フィルムを得る点などよりは、溶媒を介した材料の混合液をキャスティング法や流延成形法等にて製膜する方式が好ましい。その場合、溶媒の種類や混合液の粘度、混合液展開層の乾燥速度などにより微小領域の大きさや分布性などを制御することができる。ちなみに微小領域の小面積化には混合液の低粘度化や混合液展開層の乾燥速度の急速化などが有利である。
【0018】
配向処理対象のフィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には配向処理性などの点より1μm〜3mm、就中5μm〜1mm、特に10〜500μmとされる。なおフィルムの形成に際しては、例えば分散剤や界面活性剤、紫外線吸収剤や色調調節剤、難燃剤や離型剤、酸化防止剤などの適宜な添加剤を配合することができる。
【0019】
配向処理は、例えば一軸や二軸、逐次二軸やZ軸等による延伸処理方式や圧延方式、ガラス転移点又は液晶転移点以上の温度で電場又は磁場を印加して急冷し配向を固定化する方式や製膜時に流動配向させる方式、等方性ポリマーの僅かな配向に基づいて液晶を自己配向させる方式などの、配向により屈折率を制御しうる適宜な方式の1種又は2種以上を用いて行うことができる。従って得られた複屈折性フィルムは、延伸フィルムであってもよいし、非延伸フィルムであってもよい。なお延伸フィルムとする場合には、脆性ポリマーも用いうるが、延び性に優れるポリマーが特に好ましく用いうる。
【0020】
本発明において光拡散板として用いる複屈折性フィルムは、複屈折性フィルムと微小領域との屈折率差△n1、△n2が直線偏光の最大透過率を示す軸方向である△n 2 方向に直交する△n 1 方向において0.03以上(△n1)であり、かつ当該△n 2 方向において前記△n1の80%以下(△n2)に制御したものである。かかる屈折率差とすることにより、△n1方向での散乱性に優れ、△n2方向での偏光状態の維持性に優れるものとすることができる。
【0021】
散乱性やそれによる偏光状態の変換性ないし解消性などの点より△n1方向における屈折率差△n1は、大きいほど好ましく、0.05以上、就中0.07以上、特に0.1以上の屈折率差△n1であることが好ましい。一方、偏光状態の維持性などの点より△n2方向における屈折率差△n2は、小さいほど好ましく、0.03以下、就中0.02以下、特に0.01以下の屈折率差△n2であることが好ましい。
【0022】
従って上記の配向処理は、複屈折性フィルムと微小領域との屈折率差を△n1方向において大きくする操作、又は△n2方向において小さくする操作、あるいはそれらの両方を達成する操作として位置付けることもできる。
【0023】
複屈折性フィルムにおける微小領域は、前記散乱効果等の均質性などの点より可及的に均等に分散分布していることが好ましい。また微小領域の大きさも可及的に均等であることが好ましく、その大きさ、特に散乱方向である△n1方向の長さは、後方散乱(反射)や波長依存性に関係する。
【0024】
前記において後方散乱の抑制の点よりは、△n1方向における微小領域の長さが数μmオーダ等の可及的に小さいことが好ましい。一方、散乱光の波長依存性を抑制する点よりは、△n1方向における微小領域の長さが可及的に大きいことが好ましく、従って前記した後方散乱の抑制と拮抗する。
【0025】
前記した後方散乱や波長依存性などを踏まえた、従って反射型液晶表示装置等でのコントラストの低下防止や波長依存性による着色防止、微小領域の視覚による鮮明な表示の阻害防止、さらには製膜性やフィルム強度などの点より、微小領域における△n1方向の好ましい長さは、0.05〜500μm、就中0.1〜250μm、特に1〜100μmである。なお微小領域は、通例ドメインの状態で複屈折性フィルム中に存在するが、その△n2方向の長さについては特に限定はない。
【0026】
上記の如く本発明において用いる複屈折性フィルムは、△n1方向と△n2方向として複屈折特性に異方性をもたせて、直線偏光をその振動面の相違によりコントロールできるようにしたものであるが、その△n1方向と△n2方向の役割の分担性、すなわち一方が他方に影響することを抑制する点などより、特に△n1方向と△n2方向のヘイズ(散乱率)異方性を大きくする点より微小領域の形状を、可及的に扁平率の小さいものとするか(円化)、△n2(透過)方向に長いものとすること(△n2方向に長軸化)が好ましい。
【0027】
複屈折性フィルムに占める微小領域の割合は、△n1方向の散乱性などの点より適宜に決定しうるが、一般にはフィルム強度なども踏まえて複屈折性フィルムの片表面における微小領域の表面積割合に基づいて1〜95%、就中5〜80%、特に10〜70%とされる。
【0028】
図2に例示の如く光拡散板における複屈折性フィルムの重畳化は、厚さ増加以上の相乗的な散乱効果を発揮させることができて有利である。重畳処理は、散乱効果の拡大などの点より△n1方向が上下の層で平行関係となるように行うことが好ましい。複屈折性フィルムの重畳数は、2層以上の適宜な数とすることができる。反射損の抑制などの点よりは30層以下、就中3〜20層、特に4〜10層の重畳数が好ましい。
【0029】
重畳する複屈折性フィルムは、△n1又は△n2が同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。なお△n1方向等における上下の層での平行関係は、可及的に平行であることが好ましいが、作業誤差によるズレなどは許容される。また△n1方向等にバラツキがある場合には、その平均方向に基づく。
【0030】
重畳体における複屈折性フィルムは、単に重ね置いた状態にあってもよいが、△n1方向等のズレ防止や各界面への異物等の侵入防止などの点よりは接着層等を介して接着されていることが好ましい。その接着には、例えばホットメルト系や粘着系などの適宜な接着剤を用いうる。反射損を抑制する点よりは、複屈折性フィルムとの屈折率差が可及的に小さい接着層が好ましく、複屈折性フィルムやその微小領域を形成するポリマーにて接着することもできる。
【0031】
本発明の光学素子は、光拡散板と偏光板を有する積層体からなるが、その実用に際しては例えば位相差板などの適宜な光学部品を必要に応じて付加した積層体とすることもできる。かかる積層体は、単に重ね置いたものであってもよいし、接着層等を介して接着したものであってもよい。その接着層としては、上記した複屈折性フィルムの重畳の場合に準じることができる。
【0032】
前記積層対象の光学部品については、特に限定はなく、例えば位相差板や導光板等のバックライト、反射板や多層膜等からなる偏光分離板、液晶セルなどの適宜なものであってよい。また積層する偏光板や位相差板等の光学部品は、各種のタイプのものであってよい。
【0033】
すなわち偏光板では吸収型タイプや反射型タイプや散乱型タイプ、位相差板では1/4波長板や1/2波長板、一軸や二軸等による延伸フィルムタイプやさらに厚さ方向にも分子配向させた傾斜配向フィルムタイプ、液晶ポリマータイプ、視野角や複屈折による位相差を補償するタイプ、それらを積層したタイプのものなどの各種のものがあるが、本発明においてはそのいずれのタイプも用いうる。
【0034】
ちなみに前記した偏光板の具体例としては、ポリビニルアルコール系フィルムや部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムの如き親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて延伸した吸収型偏光板、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物の如きポリエン配向フィルムなどがあげられる。
【0035】
また前記偏光フィルムの片面又は両面に耐水性等の保護目的で、プラスチックの塗布層やフィルムのラミネート層等からなる透明保護層を設けた偏光板などもあげられる。さらにその透明保護層に、例えば平均粒径が0.5〜5μmのシリカやアルミナ、チタニアやジルコニア、酸化錫や酸化インジウム、酸化カドミウムや酸化アンチモン等の導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋ポリマー等の有機系微粒子等の透明微粒子を含有させて表面に微細凹凸構造を付与したものなどもあげられる。
【0036】
なお偏光板としては、輝度やコントラストの向上を図る点などより、上記した二色性物質含有の吸収型偏光板などの如く偏光度の高いもの就中、光透過率が40%以上で、偏光度が95.0%以上、特に99%以上のものが好ましく用いられる。
【0037】
一方、位相差板の具体例としては、上記の複屈折性フィルムで例示したポリマー類からなる延伸フィルムや液晶ポリマー、就中、捩じれ配向の液晶ポリマーなどからなるものがあげられる。
【0038】
さらに導光板の具体例としては、透明な樹脂板の側面に(冷,熱)陰極管等の線状光源や発光ダイオード、EL等の光源を配置し、その樹脂板に板内を伝送される光を拡散や反射、回折や干渉等により板の片面側に出射するようにしたものなどがあげられる。
【0039】
導光板を含む光学素子の形成に際しては、光の出射方向を制御するためのプリズムシート等からなるプリズムアレイ層、均一な発光を得るための拡散板、線状光源からの出射光を導光板の側面に導くための光源ホルダなどの補助手段を導光板の上下面や側面などの所定位置に必要に応じ1層又は2層以上を配置して適宜な組合せ体とすることができる。
【0040】
本発明の光学素子を形成する積層体は、上記の如く光拡散板と偏光板を用いたものであってもよいし、偏光板以外の光学部品を1種又は2種以上用いたものであってもよい。また例えば位相差板等の同種の光学部品を2層以上積層したものであってもよく、その場合、光学部品の位相差板等の特性は同じであってもよいし、相違していてもよい。光学素子における光拡散板は、積層体の片外面や両外面、積層体を形成する光学部品の片面や両面などの積層体の外部や内部の適宜な位置に1層又は2層以上が配置されていてよい。
【0041】
本発明の光学素子において光拡散板と偏光板の配置関係は、光拡散板の透過・散乱特性を有効に活用する点などより、光拡散板の△n1方向と偏光板の透過軸とが平行関係となるように配置される。これにより、偏光板を透過した直線偏光を光拡散板の△n1方向を介して散乱させることができる。なお前記の平行関係は、上記した複屈折性フィルムを重畳する場合に準じうる。
【0042】
本発明による光学素子は、上記した特長を有することよりアンチグレア板や表示特性制御板などに好ましく用いうる。ちなみに前記のアンチグレア板は、表示装置の表面に光拡散板を位置させて△n1方向の光(入射光の半分)を散乱させ、表示光は透過させて黒表示の白ボケやにじみの防止を目的とするものである。また表示特性制御板は、後方散乱が少なくヘイズ異方性の高い光拡散板を液晶セルと視認側偏光板の間に位置させて白表示を散乱させ、黒表示を透過させてコントラストの向上や画像の鮮明化を目的とするものである。
【0043】
また本発明による光学素子は、上記した特長に基づいて液晶表示装置の形成に好ましく用いうる。液晶表示装置の例を図3に示した。1が光拡散板、3,31が偏光板、4が液晶セル、5が鏡面反射板である。図3は、反射型の液晶表示装置としたものを例示しており、光拡散板1は、視認側の偏光板3と液晶セル4の間に偏光板の透過軸に対し△n1方向が平行関係となるように配置されている。従って前記した表示特性制御板に準じた構造を有するものである。
【0044】
液晶表示装置は一般に、偏光板、液晶セル、反射板又はバックライト、及び必要に応じての光学部品等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成される。本発明においては、上記した光学素子を用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じて形成することができる。従って液晶表示装置の形成に際しては、例えば視認側の偏光板の上に設ける光拡散板やアンチグレア層、反射防止膜や保護層や保護板、あるいは液晶セルと視認側等の偏光板の間に設ける補償用位相差板などの適宜な光学部品を適宜に配置することができる。
【0045】
前記の補償用位相差板は、上記したように複屈折の波長依存性などを補償して視認性を向上させることなどを目的とするものであり、視認側又は/及びバックライト側の偏光板と液晶セルの間等に配置される。なお補償用位相差板としては、波長域などに応じて上記した位相差板などの適宜なものを用いうる。また補償用位相差板は、2層以上の位相差層からなっていてもよい。
【0046】
前記において光学素子は、液晶セルの片側又は両側の適宜な位置に1層又は2層以上を配置することができる。ちなみにその配置形態としては、光拡散板が例えば偏光板、特に視認側のそれの光入射側や光透過側、偏光板と補償用位相差板の間、補償用位相差板と液晶セルの間、液晶セルと反射板の間などの、偏光板透過性の直線偏光を拡散することが望まれる適宜な位置に1層又は2層以上を配置したものなどがあげられる。なお液晶表示装置についてもそれを形成する各部品は、上記した本発明による重畳型の光拡散板等に準じて接着層を介し接着一体化されていることが好ましい。
【0047】
【実施例】
実施例1
ポリメタクリル酸メチル300部(重量部、以下同じ)を含有する18重量%ジクロロメタン溶液とシアノ系ネマチック液晶(チッソ社製、GR−41)100部を混合し、キャスト法にて厚さ20μmのフィルムを得たのち、それを室温で1.2倍に延伸処理して、屈折率差△n1が0.20で、△n2が0.007の複屈折性フィルムからなる光拡散板を形成し、その光拡散板と市販の全光線透過率が41%で透過光の偏光度が99%の偏光板を△1方向と透過軸が一致するようにアクリル系粘着層を介し接着して光学素子を得た。
【0048】
なお前記の複屈折性フィルムにおいてシアノ系ネマチック液晶からなるドメイン部分の大きさは不定形であった。そのためドメインの大きさを、まず散乱強度の角度依存性を変角光度計により測定し、次に均一粒子による散乱の場合の波動光学に基づくシュミレーション結果にフィッティングして計算により近似的に求めた結果、約1μm(△1方向長)であった。
【0049】
実施例2
実施例1で得た複屈折性フィルムの5枚を△n2方向が一致するように厚さ約20μmのアクリル系粘着層を介し重畳接着して得た厚さ180μmの光拡散板を用いたほかは、実施例1に準じて光学素子を得た。
【0050】
実施例3
AS樹脂400部とポリアリレート(ユニチカ社製、Uポリマー)500部を含有する20重量%ジクロロメタン溶液を用い、延伸倍率を1.3倍とした複屈折性フィルムからなる光拡散板を用いたほかは実施例1に準じて光学素子を得た。なお複屈折性フィルムは、ポリアリレートをフィルムベースとしてその中に延伸方向に長軸な形状でAS樹脂がドメイン状に分散したものであり、屈折率差は△n1が0.047で、△n2が0.017であった。またドメインの平均径を偏光顕微鏡観察にて位相差による着色に基づいて測定した結果、△1方向の長さが約12μmであった。
【0051】
実施例4
実施例3で得た複屈折性フィルムの5枚を△n2方向が一致するように厚さ約20μmのアクリル系粘着層を介し重畳接着して得た厚さ180μmの光拡散板を用いたほかは、実施例1に準じて光学素子を得た。
【0052】
実施例5
鏡面反射板の上に、偏光板、TN液晶セル、実施例1で得た光学素子を光拡散板板がセル側となるようにアクリル系粘着層を介し順次接着して図3に準じた反射型の液晶表示装置を得た。なお偏光板は、その透過軸方向が液晶セルと対面するそれぞれのラビング方向と一致するように配置した。
【0053】
実施例6
実施例3で得た光学素子を用いたほかは、実施例5に準じて液晶表示装置を得た。
【0054】
比較例
透明微粒子含有のフィルムからなる光拡散板を用いて実施例1に準じ光学素子を得、それを用いて実施例5に準じ液晶表示装置を得た。
【0055】
評価試験1
実施例で得た光学素子について全光線透過率、拡散透過率、ヘイズをASTMD1003−61に準拠してポイック積分球式ヘイズメータにて測定した。その結果を次表に示した。なお光は偏光板側から入射させた。また表には光拡散板のみの場合の値を( )内に示した。
【0056】
【0057】
表より、光拡散板による大きなヘイズ異方性に基づいて偏光板吸収方向の直線偏光に対しては拡散性が低く、偏光板透過方向の直線偏光に対しては強い拡散効果を発揮することがわかる。また実施例の1と2,3と4の対比より複屈折性フィルムの重畳化により反射損による全光線透過率の低下があるにも係らず、偏光板と組合せた場合には全光線透過率は同じで拡散透過率やヘイズが大きく向上して、散乱効果が飛躍的に向上していることがわかる。
【0058】
評価試験2
実施例、比較例で得た液晶表示装置についてOn/Off表示でのコントラストを目視判定したところ、実施例では拡散板の加入によるコントラストの低下を大幅に低減でき、黒表示の際の画像を白ボケなく鮮明な状態で視認することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学素子例の断面図
【図2】他の光学素子例の断面図
【図3】液晶表示装置例の断面図
【符号の説明】
1:光拡散板
11,13,15,17:複屈折性フィルム
e:微小領域
2:接着層
3,31:偏光板
4:液晶セル
5:鏡面反射板
Claims (4)
- 複屈折特性が相違する微小領域を分散分布させてなる複屈折性フィルムからなる光拡散板であり、その複屈折性フィルムと微小領域との屈折率差△n1、△n2が直線偏光の最大透過率を示す軸方向である△n 2 方向に直交する△n 1 方向において0.03以上(△n1)であり、かつ当該△n 2 方向において前記△n1の80%以下(△n2)である光拡散板と、偏光板を有する積層体からなり、その光拡散板の当該△n1方向と偏光板の透過軸とが平行関係にあることを特徴とする光学素子。
- 請求項1において、光拡散板が、△n1方向の長さが0.05〜500μmの微小領域が相分離して均等に分散分布した複屈折性フィルムの2層以上を当該△n1方向が上下の層で平行関係となるように重畳したものである光学素子。
- 請求項1又は2に記載の光学素子を、液晶セルの片側又は両側に有することを特徴とする液晶表示装置。
- 請求項3において、液晶セルの視認側に光学素子をその光拡散板をセル側にして有する液晶表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36360397A JP3949804B2 (ja) | 1997-12-15 | 1997-12-15 | 光学素子及び液晶表示装置 |
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