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JP3948043B2 - 開閉機構のモータ制御装置 - Google Patents

開閉機構のモータ制御装置 Download PDF

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JP3948043B2 JP03564197A JP3564197A JP3948043B2 JP 3948043 B2 JP3948043 B2 JP 3948043B2 JP 03564197 A JP03564197 A JP 03564197A JP 3564197 A JP3564197 A JP 3564197A JP 3948043 B2 JP3948043 B2 JP 3948043B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、モータで駆動される自動車の窓やサンルーフ等の開閉機構による異物などの挟み込みを検出する開閉機構のモータ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、開閉機構による異物の挟み込みを検出するモータ制御装置としては、例えば特開平6−253570号公報に開示されているものがある。これは、モータの加速度を考慮してモータの駆動電流、速度などから、外乱トルクを推定し、その推定値によって、4個のスイッチング素子で構成されるHブリッジ駆動装置に従うPWMパルスを用いたチョッパ動作でモータに流れる駆動電流を制御し、挟み力を低減し、安価な構成で挟み込みを防止するようにしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のモータ制御装置では、例えば自動車のパワーウインドの開閉に使用する場合を考えると、電源にバッテリが用いられ、そのバッテリを交換する際に極性を誤って逆接してしまった場合、4個のスイッチング素子への電流が逆流してしまうという問題が発生する。
【0004】
すなわち、図3に示すように電源が逆接された場合、パワーウインドを開閉させるUP、DOWN信号および速度を制御するためのPWM信号を出力してモータ1を制御する制御回路50は逆流防止ダイオード6の働きで回路内に電流が逆流されず、保護されているのに対し、4個のスイッチング素子3はその内の寄生のダイオードにより、矢印で示した経路で電流が逆流するという問題があった。
【0005】
上記の問題については、図4に示すように制御回路50と同様にモータ電流が流れる駆動回路にも逆流防止ダイオード60を設けることで解決できる。また逆流防止ダイオードを設ける代わりに図5のように抵抗32とスイッチング素子31からなる逆流防止回路を追加して逆流の発生を防止することもできる。
【0006】
しかし、自動車のパワーウインドを駆動するのにモータの電流値は数十Aにも達するので、4個のスイッチング素子3とともに図4中のダイオード60あるいは図5中のスイッチング素子31はそれに堪えるものでなければならず、部品コストが高価となり、発熱が多く、熱放散対策が必要となるという問題をさらに含み、車両用には現実的な方法ではないという問題があった。
【0007】
このほか、特開平6−74781号公報では、モータの駆動電流を微分して異物への挟み力を検出し、リレーによってモータを停止もしくは反転することで挟み込みを防止することが示されている。ここではモータの起動時に発生する突入電流による誤判定を防止するため、モータ起動後ある一定時間の期間、判定結果を無視することになっている。
【0008】
しかし、自動車のパワーウインドなどの開閉機構においては、車内に侵入してくる風の量を調整するため、乗員が少しずつ調整しながらウインドガラスを閉じていくか短時間の開閉作動を繰り返して開閉位置を微調整させる場合があり、判定時間を無視する期間内でこのような微動作させると、異物の挟み込みが検知精度が低下する場合が生じるという問題があった。
本発明は、上記のような従来の問題点に鑑み、電源が逆接されても、電流が逆流せず、モータのスタートから挟み込み検出を可能にしたモータ制御装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明は、窓や扉等の開閉物体を開閉する開閉機構を駆動し、直流電源から電源供給される開閉機構のモータ制御装置において、
前記モータを制御すべく制御信号を出力する制御手段と、
前記制御手段が出力する制御信号により前記直流電源を前記モータに接続して前記モータへの給電を行なう継電手段と、
前記モータ始動時にモータへの駆動電流の微分値が所定の一定値に収まるように当該駆動電流を徐々に増加させるソフトスタート手段と、
前記モータの駆動電流の微分値をパラメータとし、モータ始動時から演算によって前記開閉物体に異物が挟まれたことを検出する挟み込み検出手段とを有して、
前記制御手段は、前記挟み込みを検出した場合に開閉物体の閉方向における前記モータの駆動力を低減させる制御を行なうものとした。
【0010】
前記継電手段は、制御により前記直流電源を極性を変えて前記モータに接続可能とすることが望ましい。
また、前記挟み込み検出手段は、前記モータの駆動電流の微分演算値を判定対象として判定値と比較することによって異物への挟み込み判定を行なうことが可能である。
そして、前記挟み込みを検出した場合に前記モータに対し一旦反転制御を行なうことが望ましい。
【0011】
【作用】
本発明では、制御手段は操作によってモータを作動させる制御信号を出力する。その制御信号は継電手段によって直流電源をモータに接続させる働きを有するので、直流電源とモータの接続は制御手段の作動にかかることになる。制御手段が作動しない限り、直流電源からモータへ電流が流れることはない。制御手段は電源供給を受けて作動し、極性が逆転した電源では作動しないから、直流電源が極性逆転した状態でモータへ給電することなく、電流の逆流による駆動回路の破壊が防止される。
【0012】
そして、直流電源がモータに接続されモータが始動する際、ソフトスタート手段はモータへの駆動電流の微分値が所定の一定値に収まるようにその駆動電流を徐々に増加させるようにしたから、開閉物体が静止状態から動き出したときの摩擦力変化を低く抑さえることができ、摩擦力の性質変化が挟み込みと誤検出されることが防がれるとともに、挟み込み検出を始動から始めることが可能となる。
【0013】
継電手段は、制御により前記直流電源を極性を変えて前記モータに接続するように構成することにより、モータを正転、反転運転させることが可能で、開閉物体をモータのみの制御で開閉させることが可能となる。
また、前記挟み込み検出手段は、前記モータの駆動電流を検出し、駆動電流の微分値を判定対象として判定値と比較して異物の挟み込みを判定するので、外力を検出するためのトルクセンサが省かれ、装置コストが低下する効果が得られる。
なお、異物の挟み込みを検出した場合、モータに対し反転制御を行なうときには、挟み力を低く抑さえることができるとともに、異物を装置から引き離すことも可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について、自動車のパワーウインドの開閉に用いられたモータの制御装置の実施例により説明する。
図1は、実施例の構成を示す図である。
パワーウインド30を駆動するモータ1は、リレー2を介し、駆動FET3と抵抗4によってバッテリの正負端子に接続される。駆動FET3はコントローラ5が出力するPWM信号によりモータ1を変速駆動できる。リレー2は常時モータ1を電源から切り離す状態になっており、コントローラ5からUPまたはDOWN信号が出力されると、駆動コイルが作動して、接点を所定の位置に切り替えてモータ1を電源に接続する。これによって、モータ1はパワーウインドを閉じ、開けることができる。
【0015】
コントローラ5は、リレー2にUP、DOWN信号を出力する制御回路7と、パワーウインドを閉じる際にソフトスタートを行なうソフトスタート回路8と、抵抗4から電圧をとり、モータ1に流れている電流を検出する電流検出回路9と、モータ電流の検出値を用いて挟み込み判定を行なう挟み込み検出回路11からなり、電源端子が逆流防止のダイオード6を介してバッテリのプラス端子に、グランドがバッテリのマイナス端子にそれぞれ接続され、電源供給を受ける。制御回路7にはパワーウインド(P/W)スイッチ10が接続されている。
【0016】
制御回路7は、乗員が操作するP/Wスイッチ10の操作状態により、モータ1の回転方向を決定し、リレー2にUPか、DOWN信号を出力する。ソフトスタート回路8は制御回路7が決定したモータ1の回転方向から、パワーウインド30を開くという状態にある場合デューティ比100%のPWM信号、パワーウインド30を閉じるという状態にある場合デューティ比が0から徐々に増大するPWM信号を駆動FET3に出力する。これにより、パワーウインド30を閉じるときにウインドガラスが徐々に加速するソフトスタートが実現される。
【0017】
挟み込み検出回路11は、電流検出回路9の電流検出値を入力し、モータ1の駆動電流の変化速度を求め、判定値と比較することによって挟み込み判定を行なう。そして挟み込みを判定した場合、制御回路7に挟み込み信号を送る。この信号を受けると、制御回路7はパワーウインドウを閉じる方向に操作されたにも拘わらず、リレー2にモータ1を反転させるDOWN信号を出力してパワーウインドを一定の時間だけ開いたのち、再び閉方向に駆動する。
【0018】
次に、上記実施例装置の作動原理を図2に基づいて説明する。
図2は、パワーウインド30を閉じ、挟み込み発生、検出そして、パワーウインド30を開くに至るまでの信号の変化を示している。
P/Wスイッチ10がウインドガラスを上昇(UP)させ、パワーウインドを閉じ方向に操作されている間、制御回路7はリレー2にUP信号を出力する。ソフトスタート回路8はほぼ同時にデューティ比が0から徐々に変化するPWM信号を駆動FET3に出力してソフトスタートを行なう。ソフトスタートにより、モータ1が徐々に加速され、電流検出回路9は速度に比例してなめらかに変化するモータ電流を検出する。
【0019】
したがって、この間は、挟み込み検出回路11で求めたモータ電流微分値がある一定値に収まる。モータの起動時に発生する突入電流は、モータ内のコイルがコイルのインダクタンスLとモータ電流の微分値に比例した電流を発生するのが原因であるが、上記モータ電流の微分値が一定値に収まるということは、モータ電流の増加量をソフトスタートで抑さえ、挟み込み検出精度に影響を及ぼさない程度にすることができることを示している。よって、挟み込みが発生しなければ、ソフトスタートにより、電流の増加量をある一定値内に収めているので、モータ起動直後に挟み込みを検出しても検出結果に誤検知が含まれず、また判定結果を無視する期間を設ける必要もなくなる。
【0020】
挟み込みが発生すると、パワーウインドにその動きを阻害する外力が働き、その外力に対抗して、駆動力が増し、モータ電流が急な上昇を示し、モータ電流の微分値が大きくなる。したがって、モータ電流の微分値を判定値とを比較することによって検出することができる。
【0021】
挟み込み検出回路11は、挟み込みを検出すると、挟み込み信号を出力し、制御回路7はP/Wスイッチがパワーウインド30を閉じる操作状態にあるにかかわらず、リレー2にDOWN信号を出力してパワーウインド30を一定時間内に開く。このときモータの反転動作によりさらに急な電流上昇が発生しモータ電流の微分値も大きな値を示すものの、パワーウインドが開く状態にあるので、挟み込み検出回路11は、挟み込みと判定せず挟み込み信号を出力しない。これにより、挟み込みが発生しないときの誤作動が防止される。
【0022】
そして制御回路7は反転制御を終えると、再びP/Wスイッチの操作状態に基づいた制御を行なう。図においては、P/Wスイッチのウインド閉じ操作が終了するので、モータ1が電源から離された状態になる。
P/Wスイッチ10がウインドを開く方向に操作されると、制御回路7によりリレー2にDOWN信号が出力され、ソフトスタート回路8はデューティ比100%のPWM信号を駆動FET3に出力し、ウインドを閉じるより早い速度で開く。このとき大きく現われるモータ電流とモータ電流の微分値が前記のように無視され、パワーウインドを開く途中は、挟み込み検出回路による挟み込み判定が行なわない。
【0023】
本実施例は、以上のように構成され、モータの駆動回路に駆動FETを設け、ウインドを閉じる際にソフトスタートを行なうので、モータ電流の突発的な変化がない。したがって、電流の突発的な変化による挟み込みの誤検出を避けるための検出結果無視期間を設ける必要がない。ウインドを閉じ初めから挟み込み検出が可能である。そしてモータの反転はリレーの接点の切り替えにより行なうから、駆動FETを1つでソフトスタートを行なうことが可能となる。
【0024】
また、リレーは常時モータ1を電源から切り離す状態にあるので、バッテリが逆接された場合でも、逆流防止ダイオードにより保護を受けている制御回路が作動しないから、駆動FETの寄生ダイオードに電流が流れることなく、駆動FETが保護されることとなる。制御回路を保護する逆流防止ダイオードについては回路の消費する電流が微小で、リレーの駆動電流を考慮しても数百mA程度であるので、発熱量や部品コストが問題になることはない。
【0025】
【発明の効果】
上記のように、本発明によれば、直流電源とモータの接続は制御手段の作動にかかるから、制御手段への操作がない限り、モータの駆動回路内に電流が逆流されてモータの駆動回路を破壊することが防止される。また、制御手段は電源供給を受けて作動し、極性が逆転した電源では作動しないことを利用しモータと同じ直流電源から電源供給を受ける場合は、制御手段への操作の有無に拘わらず、直流電源がモータに接続されることなく、モータの駆動回路内に電流の逆流の発生が防止される。この結果モータの駆動回路内に電流の逆流を防止するための回路を設ける必要がなく、熱放散対策も不要で装置が低コストで構成できる。
【0026】
そして、直流電源がモータに接続されモータが始動する際、ソフトスタート手段はモータへの駆動電流の微分値が所定の一定値に収まるようにその駆動電流を徐々に増加させるようにしたから、開閉物体が静止状態から動き出したときの摩擦力変化を低く抑さえることができ、摩擦力の性質変化が挟み込みと誤検出されることが防がれるとともに、挟み込み検出がモータ始動時から始めることが可能となる。
【0027】
前記継電手段は、制御により前記直流電源を極性を変えて前記モータに接続可能とすることにより、モータを正転、反転運転させることができ、モータの開閉をモータのみの制御で行なえ、開閉を同一のモータで行なえる効果が得られる。
また、前記挟み込み検出手段は、前記モータの駆動電流を検出し、駆動電流の微分値を判定対象として判定値と比較して異物の挟み込みを判定するので、外力を検出するためのトルクセンサが省かれ、装置コストが低下する効果が得られる。
なお、異物の挟み込みを検出した場合、モータに対し反転制御を行なうときには、挟み力を低く抑さえることができるとともに、異物を装置から引き離すことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す図である。
【図2】パワーウインドの作動における信号の変化を示す図である。
【図3】従来のHブリッジ駆動での電源逆接時の電源の流れを示す図である。
【図4】従来例を示す図である。
【図5】従来例を示す図である。
【符号の説明】
1 モータ
2 リレー(継電手段)
3 FET
4 抵抗
5 制御部
6、60 ダイオード
7、50 制御回路(制御手段)
8 ソフトスタート回路(ソフトスタート手段)
9 電流検出回路
10 パワーウインドスイッチ
11 挟み込み検出回路(挟み込み検出手段)
30 パワーウインド

Claims (4)

  1. 窓や扉等の開閉物体を開閉する開閉機構を駆動し、直流電源から電源供給される開閉機構のモータ制御装置において、
    前記モータを制御すべく制御信号を出力する制御手段と、
    前記制御手段が出力する制御信号により前記直流電源を前記モータに接続して前記モータへの給電を行なう継電手段と、
    前記モータ始動時にモータへの駆動電流の微分値が所定の一定値に収まるように当該駆動電流を徐々に増加させるソフトスタート手段と、
    前記モータの駆動電流の微分値をパラメータとし、モータ始動時から演算によって前記開閉物体に異物が挟まれたことを検出する挟み込み検出手段とを有して、
    前記制御手段は、前記挟み込み検出手段によって異物の挟み込みが検出された場合に開閉物体の閉方向における前記モータの駆動力を低減させる制御を行なうことを特徴とする開閉機構のモータ制御装置。
  2. 前記継電手段は、前記制御信号により前記直流電源を極性を変えて前記モータに接続可能とすることを特徴とする請求項1記載の開閉機構のモータ制御装置。
  3. 前記挟み込み検出手段は、前記モータの駆動電流を微分演算して、その微分演算値を判定値と比較することによって異物への挟み込み判定を行なうことを特徴とする請求項1または2記載の開閉機構のモータ制御装置。
  4. 前記制御手段は、前記挟み込み検出手段によって異物の挟み込みが検出された場合に前記モータを反転制御するようにしたことを特徴とする請求項1、2または3記載の開閉機構のモータ制御装置。
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