JP3945642B2 - カバーレイ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は耐熱性に優れ、且つ、ハロゲン成分を含有しないカバーレイに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フレキシブル印刷配線板は接着剤付電気絶縁性フィルムと金属箔を積層一体化したフレキシブル銅張積層板上に回路を作製し、更に、この回路保護用としての、半硬化状態の接着剤付電気絶縁性フィルムと剥離紙を積層してなるカバーレイフィルムから剥離紙を剥離したものを、フレキシブル印刷配線板の回路上に積層一体化してなるものである。
このフレキシブル印刷配線板及びカバーレイに共通して要求される特性としては、電気絶縁性フィルムと金属箔との間の接着性、耐熱性、耐溶剤性、電気特性、寸法安定性、長期耐熱性、難燃性等が優れていることが挙げられる。最近では回路基板の小型化、高密度化、軽量化及び高速化に伴い、フレキシブル印刷配線板においても、ファインパターン化、高密度化が進んでおり、更に、優れた接着性だけでなく、高耐熱性/高屈曲性が要求され、また環境問題の観点から臭素系の難燃材を使わない材料、特に接着剤のノンハロゲン化が要求されている。
【0003】
接着剤のノンハロゲン化の方法としては、有機リン酸エステルを含有した難燃材を添加することが検討されているが(特開2000−345035号公報参照)、この方法は大量の難燃材を添加しなければ難燃性が達成できず、更に、形成された回路間の電気絶縁性の低下(特に吸湿時)、更には、接着剤層に添加されたリン添加剤から発生するリン酸イオンに起因する樹脂状突起物(デンドライト)が発生してしまい、最悪の場合には導体間がデンドライトの成長によって短絡し回路が破壊されてしまう、といった不具合があり、現状では満足な特性が得られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は高い耐熱性を示し、且つ、上記のような従来のノンハロゲン化方法の問題点を解決した方法により達成される、ハロゲン成分を含有しないカバーレイを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するものであり、a)窒素含有化合物、b)エポキシ樹脂、c)リン原子含有非エポキシ化合物、d)硬化剤からなる接着剤組成物をポリイミドフィルム上に塗布、乾燥してなるカバーレイである。
また、本発明は接着剤組成物中のエポキシ樹脂100重量部に対し、窒素含有化合物を5重量部以上、1,000重量部以下配合した接着剤組成物を用いることを特徴とする請求項1に記載のカバーレイである。
また、本発明は接着剤組成物中のエポキシ樹脂に、1分子中に3個以上の官能基を有するエポキシ樹脂が含まれることを特徴とする請求項1または2に記載のカバーレイである。
また、本発明は接着剤組成物中のエポキシ樹脂がリン原子含有エポキシ樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のカバーレイである。
また、本発明は接着剤組成物中のリン原子含有エポキシ樹脂とリン原子を含有しないエポキシ樹脂との比率が、リン原子含有エポキシ樹脂100重量部に対し、リン原子を含有しないエポキシ樹脂5重量部以上、500重量部以下であることを特徴とする請求項4に記載のカバーレイである。
また、本発明は接着剤組成物中の窒素含有化合物がポリアミド−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のカバーレイである。
更に、本発明はa)窒素含有化合物、b)エポキシ樹脂、c)リン原子含有非エポキシ化合物、d)硬化剤中に含まれるリン原子含有率が1重量%以上、5重量%以下であることを特徴とする請求項4または5に記載のカバーレイである。
また、本発明は接着剤組成物中の硬化剤がジアミン系化合物であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のカバーレイである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を更に詳細に説明する。
本発明のカバーレイに用いられるポリイミドフィルムとしては、一般にカバーレイに用いられるものであればよい。また、このポリイミドフィルムの厚さは必要に応じて適宜の厚さのものを使用すればよいが、10〜125μmが好ましい。
【0007】
本発明のカバーレイに用いられるポリイミドフィルムに対しては、低温プラズマ処理のような表面処理を行うことが可能である。低温プラズマ処理の方法は、例えば、減圧可能な低温プラズマ処理装置内にポリイミドフィルムを入れ、装置内を無機ガスの雰囲気として、圧力を0.001〜10Torr、好ましくは0.01〜1Torr に保持した状態で、電極間に0.1〜10kVの直流あるいは交流電圧を印加して、グロー放電させることにより、無機ガスの低温プラズマを発生させ、装置内で、このフィルムを順次移動させながら、その表面を連続的に低温プラズマ処理すればよい。この処理時間は、概ね、0.1〜100秒とすればよく、無機ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどの不活性ガスまたは酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、空気等が使用可能であるが、これらは単独または2種以上を併用してもよい。
【0008】
本発明のカバーレイに用いられる接着剤組成物の耐熱性を評価するための物性値として、硬化物のガラス転移点が挙げられるが、このガラス転移点はJIS C 6471に則り、動的粘弾性測定による温度分散データより、tanδ(E’/E’’)が極大値を示す温度と定義される(ただし、E’、E’’はそれぞれ引張モードによる貯蔵弾性率と損失弾性率を示す)。
ガラス転移点が80℃より低い場合には、本発明が目的とする高耐熱性カバーレイが使用されるような高温下での電子部品実装が困難となる。
【0009】
本発明のカバーレイにおける接着剤組成物に用いられるa)成分の窒素含有化合物としては、リン原子とともに接着剤組成物に難燃性を付与する窒素化合物であればよく、例えば、イミド化合物、アミド化合物、イミダゾール化合物等、種々の窒素含有化合物が使用可能であり、内部可塑化効果のある成分を含有する化合物が好ましいが、段落[0019]に後記するように、ポリアミド−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体が特に好ましい。
本発明のカバーレイに使用される接着剤組成物における窒素含有化合物は、接着剤組成物の成分として使用するエポキシ樹脂100重量部に対し、5重量部以上、1,000重量部以下の範囲内で混合使用される。5重量部未満の場合は、得られたカバーレイの耐熱性が低下し、1,000重量部を超える場合には、接着剤層が硬くなり過ぎ、好ましくない。なお、より好ましい配合量は50重量部〜200重量部の範囲内である。
【0010】
本発明のカバーレイに用いられる接着剤組成物の成分であるb)成分のエポキシ樹脂は、一分子中にエポキシ基を2個以上有し、且つ、ハロゲン原子を含有しないものである。これらのエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル系エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等のグリシジルアミン系エポキシ樹脂;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等の直鎖状脂肪族エポキサイド系樹脂が広く用いられる。
【0011】
本発明のカバーレイに用いられる接着剤組成物の成分として、カバーレイの難燃性を高めるために、リン原子を含んだエポキシ樹脂を使用する。
リン原子含有エポキシ樹脂はリン原子を化学結合で取り込んだエポキシ樹脂であり、一分子中にエポキシ基を2個以上有するものであればよく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル系エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等のグリシジルアミン系エポキシ樹脂;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等の直鎖状脂肪族エポキサイド系樹脂を骨格としているものであればよい。
【0012】
なお、これらのリン原子含有エポキシ樹脂の具体的な合成方法については、特公平6−53785号公報、特開2000−336145号公報等でビスフェノールF型エポキシ樹脂のベンゼン環にジフェニルリン酸を付加する方法が示されている。また市販の商品として使用可能なものは、大日本インキ化学工業(株)製のEXA−9710(エポキシ当量496、リン原子含有量3重量%)、同−9709(エポキシ当量370、リン原子含有量2.4重量%)、東都化成工業(株)製のFX298(エポキシ当量230〜290、リン原子含有量2〜3重量%)等が挙げられる。
【0013】
上記のリン原子含有エポキシ樹脂に含まれるリン原子は燃焼の際に、本発明に用いる窒素含有化合物中の窒素原子とともにカバーレイに難燃性を付与し、且つ、このリン原子はエポキシ樹脂中に化学結合で固定されているため、従来の有機リン酸エステル系添加剤のように加水分解され、イオン化したリン酸が導体間をマイグレートして電気絶縁性を低下させたり、導体間にデンドライトを発生させることがない。
【0014】
また、上記のリン原子含有エポキシ樹脂とリン原子を含有しないエポキシ樹脂を混合して用いることにより、カバーレイの難燃性、耐熱性及びポリイミドフィルムと金属箔との接着性の向上を図ることができる。
リン原子を含有するエポキシ樹脂と含有しないエポキシ樹脂の比率はリン原子含有エポキシ樹脂100重量部に対して5重量部以上、500重量部以下の範囲内で、リン原子を含有しないエポキシ樹脂を使用できるが、より好ましくは50重量部以上、200重量部以下である。リン原子を含有しないエポキシ樹脂が5重量部未満の場合は、得られた接着剤の密着性、耐熱性が不十分になり、500重量部を超える場合には接着剤の難燃性が低下する。
【0015】
本発明のカバーレイに用いられる接着剤組成物において、a)窒素含有化合物、b)エポキシ樹脂、c)リン原子含有非エポキシ化合物、d)硬化剤中に含まれるリン原子を1重量%以上、5重量%以下の範囲で含有することを特徴とする。より好ましくは、1.5重量%以上3.5重量%以下である。リン原子含有量が1重量%未満では得られるカバーレイの難燃性が低下し、5重量%を超えると難燃性以外のカバーレイの基本特性が大きく低下してしまう。
【0016】
本発明のカバーレイに使用される接着剤組成物には、難燃性を更に向上させるためにc)成分のリン原子含有非エポキシ化合物が用いられる。c)成分のリン原子含有非エポキシ化合物としては、市販のリン原子含有非エポキシ化合物が全て使用可能であり、具体例としては、有機リン酸エステル系化合物、フォスファゼン化合物、各種無機系リン酸化合物が挙げられるが、これらの化合物は、含有するリン原子が加水分解した場合、リン酸イオンを発生し、これらがイオン不純物として、フレキシブル印刷配線板の回路間で、針状の銅成分を析出させ、最終的には回路間での短絡現象を生じさせるため、その配合量は限定されねばならず、その配合量は、a)窒素含有化合物、b)エポキシ樹脂、c)リン原子含有非エポキシ化合物及びd)硬化剤中に含まれるc)リン原子含有非エポキシ化合物のリン原子含有率で0.5重量%以上、2.5重量%以下が好ましく、更に好ましくは0.5重量%以上1.5重量%以下の範囲が好ましい。
【0017】
本発明のカバーレイにおける接着剤組成物に用いられるd)成分の硬化剤としては、通常、エポキシ樹脂に対して使用されるものであればよく、例えば、脂肪族アミン系硬化剤、脂環族アミン系硬化剤、芳香族アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ジシアンジアミド、三弗化ホウ素アミン錯塩等が例示される。これらの硬化剤は金属イオンのマイグレーション性に与える影響が大きく、特に活性の高いアミンを使用すると、金属イオンの耐マイグレーション性が低下するので、芳香族アミン、例えば4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等のジアミン系化合物が特に好ましく、これらは単独または2種以上を併用して用いることもできる。
【0018】
本発明のカバーレイに用いられる接着剤組成物にはエポキシ樹脂として、耐熱性を高める目的で、一分子中に官能基を3個以上有する多官能エポキシ樹脂を含むものが用いられる。市販の商品として使用可能なものは、EOCN103S、502H、エピコート604、エピコート154(いずれもジャパンエポキシレジン社製エポキシ樹脂商品名)等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は単独あるいは2種以上併用して用いることができる。
【0019】
本発明のカバーレイにおける接着剤組成物に用いられる窒素含有化合物としては、リン原子とともに接着剤組成物に難燃性を付与する窒素化合物であればよく、前記段落[0009]に記載の窒素化合物が例示されるが、特に、ポリアミド−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体が好ましい。これらの化合物はそれぞれ、エラストマー成分と耐熱性を付与するアミド成分を併わせ有しており、難燃性だけでなく耐熱性付与の観点からも有効である。
【0020】
本発明のカバーレイにおける接着剤組成物に用いられるポリアミド−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体としては,例えば,ブタジエン−アクリロニトリルとポリアミド各成分が重量比で1:1、アクリロニトリル成分が17mol%、分子量が約50,000の化合物が挙げられる。この化合物の合成法については、特開2001−31784号公報に、また、この化合物をカバーレイに応用した例については、特開2001−81282号公報及び2001−139775号公報等に記載されている。しかし、これらのカバーレイでは、ノンハロゲンの材料構成による、難燃性の発現については記載されておらず、また、接着剤組成物にリン原子含有エポキシ樹脂、リン原子含有非エポキシ化合物を使用することについても記載されていない。
【0021】
本発明のカバーレイに使用される接着剤組成物には、任意に、接着剤の硬化を速めるために、硬化促進剤を使用することも可能である。これらは、エポキシ樹脂の硬化促進に用いられる物質であれば全て使用できるが、具体的に例示すると、トリフェニルフォスフィン、トリブチルフォスフィン、トリ(p−トルイル)フォスフィン、トリ(p−メトキシフェニル)フォスフィン、トリ(p−エトキシフェニル)フォスフィン、トリフェニルフォスフィン・トリフェニルボレート、テトラフェニルフォスフォニウム・テトラフェニルボレート等のトリオルガノフォスフィン類や四級フォスフォニウム塩などが挙げられ、これらの中の単独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。
また、本発明においては種々のイミダゾール化合物も硬化促進剤として使用可能であり、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールまたはこれらの化合物のエチルイソシアネート化合物、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。これらの中の単独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。
更に、硬化促進剤としては、その他にもトリエチレンアンモニウムトリフェニルボレート等の第三級アミン及びそのテトラフェニルホウ素酸塩、ホウ弗化亜鉛、ホウ弗化錫、ホウ弗化ニッケル等のホウ弗化物、オクチル酸錫、オクチル酸亜鉛等のオクチル酸塩も使用可能であり、これらは単独または2種類以上を併用して用いることができる。これら硬化促進剤の配合量は全エポキシ樹脂(リン原子含有エポキシ樹脂とリン原子を含有しないエポキシ樹脂の和)100重量部に対し、0.1〜50重量部が好ましく、更に、好ましくは、0.5〜20重量部である。
硬化促進剤の配合量が0.1重量部未満であると十分に硬化せず、50重量部を超えると接着剤組成物の保存安定性が低下する。
【0022】
本発明のカバーレイに使用される接着剤組成物には、その諸特性を低下させない範囲で、任意に、その他の樹脂や添加剤を加えることが可能である。例えば、難燃助剤としての水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化ケイ素等の金属水酸化物、金属酸化物が挙げられる。
【0023】
本発明のカバーレイに使用される接着剤組成物はその溶液として使用されるが、溶液の固形分濃度は10〜45重量%であればよく、好ましくは20〜35重量%である。固形分濃度が45重量%を超えると溶液粘度の上昇や固形分と溶剤との相溶性の低下により、塗工性が悪くなり作業性が低下し、10重量%未満であると塗工むらが生じ易くなり、更には、脱溶剤量が多くなるため、環境面や経済性の悪化等の問題を生じる。この接着剤組成物と溶剤とはポットミル、ボールミル、ホモジナイザ、スーパーミル等を用いて混合される。
【0024】
以下に、本発明のカバーレイの製造方法について述べる。
予め、調製された接着剤組成物に所定量の溶剤を混合してなる接着剤溶液をリバースロールコータ、コンマコータ等を用いて、ポリイミドフィルム上に塗布する。これをインラインドライヤに通し80℃〜160℃で2〜10分間処理し、溶剤を除去、乾燥し、半硬化状態とすることで、本発明のカバーレイが得られる。
本発明のカバーレイにおける接着剤組成物の塗布膜の乾燥後の厚さは5〜45μmであればよく、好ましくは5〜35μmである。
【0025】
【実施例】
次に本発明の実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0026】
(実施例1)
表1の実施例1の欄に示す接着剤組成物の各成分を用い、溶剤として(N,N−ジメチルホルムアミド)/(メチルエチルケトン)=60/40(体積比)の混合溶剤を用いて、固形分濃度が25重量%の接着剤溶液を得た。一方、厚さが12.5μmのアピカルNPI(鐘淵化学社製ポリイミドフィルム商品名)の片面に低温プラズマ処理を施した。このプラズマ処理は0.1Torr、酸素流量を1.0リットル/分で供給し、印加電圧2kV、周波数110kHzで30kWの電力を入力しながら、処理スピード10m/分で表面処理した。次いで、アプリケータで、上記で調製した接着剤溶液を乾燥後の厚さが25μmになるようにポリイミドフィルム面上に塗布し、120℃、10分間の加熱で接着剤を半硬化状態とし、本発明のカバーレイを得た。このカバーレイの諸特性を後記の方法に従って測定し、その結果を表3に示した。
【0027】
(実施例2)
表1の実施例2の欄に示す接着剤組成物の各成分を用いること以外は実施例1と同様の方法でカバーレイを作製した。これらのカバーレイの特性を後記の方法に従って測定し、その結果を表3に示した。
【0028】
(比較例1)
表2の比較例1の欄に示す接着剤組成物の各成分を用いること以外は、実施例1と同様の方法でカバーレイを作製した。これらのカバーレイの特性の測定結果を表3に示した。
【0029】
(実施例、比較例で使用する各材料の説明)
(1)化合物(1):ブタジエン−アクリロニトリルとポリアミド各成分が重量比で1:1、アクリロニトリル成分が17mol%、分子量が約50,000の共重合体、
(2)EXA−9710:大日本インキ化学工業(株)製リン原子含有エポキシ樹脂の商品名、リン原子含有率3.0重量%、エポキシ当量496、
(3)FX−279B:東都化成(株)製リン原子含有エポキシ樹脂商品名、リン原子含有率2.0重量%、エポキシ当量308、
(4)エピコート828:ジャパンエポキシレジン(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂商品名、エポキシ当量187、
(5)DDS:4,4’−ジアミノジフェニルスルフォンの略称、
(6)2E−4MZ:四国化成工業(株)製イミダゾール系硬化促進剤商品名、
(7)MEA:モノエチルアミンの略称、
(8)Dicy:ジシアンジアミドの略称、
(9)アピカルNPI:鐘淵化学工業(株)製ポリイミドフィルム商品名、25μm厚、
(10)JTC;ジャパンエナジー(株)製電解銅箔商品名、35μm厚、
(11)ハイジライトH43:昭和電工(株)製水酸化アルミニウム商品名、
(12)PX−200:大八化学(株)製リン酸エステル系難燃剤商品名、リン原子含有非エポキシ化合物、リン原子含有率9.0重量%、
(13)バイロン30P:東洋紡績(株)製ポリエステル系エラストマー商品名、
(14)EOCN103S:日本化薬(株)製エポキシ樹脂商品名、エポキシ当量210、1分子中のエポキシ基の数7〜9、
(15)エピコート604:ジャパンエポキシレジン(株)製エポキシ樹脂商品名、エポキシ当量117、1分子中のエポキシ基の数4、
(16)エピコート517:ジャパンエポキシレジン(株)製エポキシ樹脂商品名、エポキシ当量557、
(17)HCA:三光社製環状有機リン酸化合物、リン原子含有非エポキシ化合物、リン原子含有率14.3重量%、
(18)キスマ5P:協和化学工業(株)製難燃剤フィラー商品名。
【0030】
表1、2中の数量を示す部は重量部である。
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
カバーレイの特性の測定は下記の各方法に従って行った。
(剥離強度)
各実施例で得られたカバーレイについて、JIS C 6481に準拠して、電解銅箔の光沢面とカバーレイの接着剤塗布面をプレス装置で貼り合せた(プレス条件は160℃、4.9Mpa、40分である)。このサンプル巾が10mmになるようにプレスされたサンプルを切断し、ポリイミドフィルム側を固定し、銅箔を25℃雰囲気下で、90°方向に50mm/分の速度で引き剥がしたときの剥離力を測定した。
(半田耐熱性)
各実施例で得られたカバーレイについて、JIS C 6481に準拠して、サンプルを25mm角に切断し、フロー半田上に30秒間浮かべて、膨れ、剥れ等を生じない温度の最高値を測定した。
(難燃性)
各実施例で得られたカバーレイについて、UL94難燃性規格に準拠して難燃性グレードを測定した。
(イオンマイグレーション特性)
100μmピッチの回路を印刷した基板に対し、本発明のカバーレイを160℃、4.9Mpa、1時間の条件で圧着した後、135℃、湿度85%の条件下で、回路間に100Vの電圧を印加し、100時間後に導体間で短絡の発生、あるいはデンドライトの成長が認められた場合を×とし、このような現象が認められない場合を○とした。
【0034】
(接着剤硬化物のガラス転移点の測定)
難燃性試験を行ったものと同じ構成(銅箔を除去した接着剤付きポリイミドフィルム)のサンプルを用いて、下記の条件で動的粘弾性を測定し、得られたtanδが極大値を示す温度を接着剤硬化物のガラス転移点とした。
ガラス転移点測定機器:レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー(株)製粘弾性アナライザー、商品名RSA−III、
測定モード:引っ張り、
チャック間距離:10mm、
測定温度:0〜300℃、
摂動周波数:5ヘルツ、
昇温速度:2.5℃/分、
サンプル幅:10mm。
【0035】
(実施例の総括)
(実施例1〜2)
実施例1、2のサンプルは、本発明における接着剤組成物を用いたカバーレイであり、表3によれば、その特性の評価は、剥離強度、半田耐熱性、イオンマイグレーション特性、難燃性がともに優れ、且つ、高いガラス転移点を示すことがわかり、高耐熱性でハロゲンを含有しないカバーレイであることが明らかになった。
(比較例1)
比較例1のサンプル作製に使用した接着剤組成物には、本発明における請求項1記載の成分を使用せず、替わりにポリエステル系エラストマーを用いたため、それらの接着剤組成物の硬化物のガラス転移点が本発明の明細書における限定値よりかなり低く、比較例1のサンプルは、本発明のカバーレイとは本質的に異なるものである。表3の記載によれば、それらの特性の評価は、剥離強度、半田耐熱性、イオンマイグレーション特性、難燃性ともに、本発明のカバーレイのそれより劣っていることは明らかである。
【0036】
【発明の効果】
本発明により高耐熱性で、ハロゲン成分を含有しないカバーレイを得ることが可能になる。
Claims (7)
- a)ポリアミド−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、b)エポキシ樹脂、c)リン原子含有非エポキシ化合物、d)硬化剤からなる接着剤組成物をポリイミドフィルム上に塗布、乾燥してなるカバーレイ。
- 接着剤組成物中のエポキシ樹脂100重量部に対して、ポリアミド−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体5重量部以上、1,000重量部以下を配合した接着剤組成物を用いることを特徴とする請求項1に記載のカバーレイ。
- 接着剤組成物中のエポキシ樹脂に、1分子中に3個以上の官能基を有するエポキシ樹脂が含まれることを特徴とする請求項1または2に記載のカバーレイ。
- 接着剤組成物中のエポキシ樹脂がリン原子含有エポキシ樹脂を含むことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のカバーレイ。
- 接着剤組成物中のリン原子含有エポキシ樹脂とリン原子を含有しないエポキシ樹脂との比率が、リン原子含有エポキシ樹脂100重量部に対し、リン原子を含有しないエポキシ樹脂が5重量部以上、500重量部以下であることを特徴とする請求項4に記載のカバーレイ。
- a)ポリアミド−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、b)エポキシ樹脂、c)リン原子含有非エポキシ化合物、d)硬化剤中に含まれるリン原子含有率が1重量%以上、5重量%以下であることを特徴とする請求項4または5に記載のカバーレイ。
- 接着剤組成物中の硬化剤がジアミン系化合物であることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載のカバーレイ。
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