JP3944969B2 - 油圧ウィンチの制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は油圧モータによってウィンチドラムを駆動する油圧ウィンチの制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術を図5に示している。
【0003】
同図において、1はウィンチドラム、2はこのウィンチドラム1の駆動源としての油圧モータ(以下、ウィンチモータという)で、このウィンチモータ2の出力軸2aとウィンチドラム1との間に動力伝達を行う遊星歯車機構3が設けられている。
【0004】
4はこの遊星歯車機構3のサンギヤ、5はプラネタリギヤ、6はウィンチドラム1の内周に設けられたリングギヤ、7はプラネタリギヤ5を支持するキャリア、8はキャリア軸で、このキャリア軸8の軸端に多板クラッチ9が設けられ、この多板クラッチ9と、同クラッチ9に対して圧接・離間するピストン10と、このピストン10を駆動するシリンダ11とにより、ウィンチドラム1をモータ出力軸2aに対して連結・分離し、かつ、同ドラム1の回転を制動する油圧ブレーキ12が構成されている。
【0005】
13はピストン10を多板クラッチ9に圧接する方向に押すバネである。
【0006】
シリンダ11の伸長側油室11aに接続された伸長側管路14は、ブレーキペダル15によって操作されるブレーキ弁(減圧弁)16の二次側に接続されている。
【0007】
また、シリンダ11の縮小側油室11bに接続された縮小側管路17は切換手段としての電磁切換弁18を介して油圧源19およびタンクTに接続されている。
【0008】
電磁切換弁18は、通常運転時には図左側の通常運転位置aにあり、この状態でシリンダ縮小側油室11bがタンクTに連通する。
【0009】
一方、ウィンチドラム1を負荷(吊荷)によって巻下回転させるフリーフォール運転時にはスイッチ20がオン操作され、これによって電磁切換弁18が図右側のフリーフォール運転位置bに切換わる。この状態では、シリンダ縮小側油室11bは油圧源19に接続される。
【0010】
この装置は次のように作用する。
【0011】
(イ)通常巻上・巻下運転時
このときには、電磁切換弁18が図の通常運転位置aにあり、シリンダ縮小側油室11bには圧力は立たない。
【0012】
また、このときブレーキペダル15は操作されないため、ブレーキ弁16に二次圧は発生せず、シリンダ伸長側油室11aにも圧力は立たない。
【0013】
従って、バネ13の力によりピストン10がクラッチ9に押し付けられてクラッチ9が固定部に固定されるため、キャリア軸8が回転不能に固定される。
【0014】
この状態では、遊星歯車機構3のブラネタリギヤ5は自転回転のみを行い、ウィンチモータ2の回転力が遊星歯車機構3により減速されてウィンチドラム1に伝えられ、通常の動力巻上・巻下運転が行われる。
【0015】
また、ウィンチモータ2の回転が停止すると、遊星歯車機構3によってウィンチドラム1が回転不能に固定される。
【0016】
(ロ)フリーフォール運転時
このときには、ウィンチモータ2が停止した状態で、スイッチ20が操作されて電磁切換弁18がフリーフォール運転位置bに切換えられ、シリンダ縮小側油室11bに圧力が加えられる。
【0017】
これにより、シリンダ11が縮小作動してピストン10がクラッチ9から離間し、キャリア軸8がフリーとなる(油圧ブレーキ12が解除される)ため、ウィンチドラム1が負荷に応じた速度で巻下方向に自由回転する。
【0018】
このとき、ブレーキペダル15が操作されてブレーキ弁16に二次圧が発生すると、シリンダ伸長側油室11aが加圧されてピストン10がクラッチ9に押し付けられ、上記した動力巻上・巻下運転時と同じ状態(クラッチオン状態)となる。
【0019】
これにより、ブレーキペダル15の操作量に応じたブレーキ力がウィンチドラム1に作用し、フリーフォール速度がオペレータによって調整される。
【0020】
一方、このフリーフォール運転時の吊荷降下速度は動力巻下時時と比較してかなり速く、上記のように油圧ブレーキ12によるブレーキ力を加えながら速度調整するため、同ブレーキ12におけるピストン10とクラッチ9の摩擦部分(以下、ブレーキ発熱部という)が発熱する。
【0021】
そこで、図示しないエンジンによって駆動される油圧ポンプ21の吐出油を上記ブレーキ発熱部に送り、冷却するようにしている。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来技術によると、フリーフォール運転時にオペレータによる速度調整操作が必要で、しかもこの操作は慎重に行わなければならないため、オペレータの操作負担が大きいものとなっていた。
【0023】
また、オペレータのブレーキ操作ミスによって、吊荷がオペレータの意思に反して無規制に自由落下するおそれがあった。
【0024】
そこで、この点の対策として、特開平8−12280号公報に示されているように、ウィンチドラム1にブレーキ用油圧ポンプを連結するとともに、同ポンプにリリーフ弁を接続して油圧負荷回路を構成し、フリーフォール運転時にウィンチドラムで同ポンプを回転駆動することにより、上記油圧負荷回路によりウィンチドラムに回転抵抗を与えてフリーフォール速度を規制する技術が提案された。
【0025】
しかし、この公知技術によると、大負荷に対しても十分な負荷抵抗を得るために大型のポンプが必要となるとともに、リリーフ弁の設定圧も比較的高くとる必要がある。
【0026】
このため、空フック時を含めて小負荷時にウィンチドラム1が巻下回転しない(フリーフォールができない)事態が生じる。
【0027】
このため、この公知技術は現実には実施不可能とされていた。
【0028】
そこで本発明は、本来のフリーフォール機能を確保しながら、フリーフォール速度を規制することができる油圧ウィンチの制御方法および同装置を提供するものである。
【0029】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ウィンチドラムと、このウィンチドラムの駆動源としての油圧モータと、上記ウィンチドラムと油圧モータの出力軸との間の動力伝達を行う遊星歯車機構と、多板クラッチを駆動して上記遊星歯車機構のキャリア軸を固定するクラッチオン状態とキャリア軸を解放するクラッチオフ状態とに切換わる油圧ブレーキと、運転モードを上記油圧モータによってウィンチドラムが回転駆動される通常巻上・巻下運転と負荷によってウィンチドラムを巻下回転させるフリーフォール運転との間で切換える切換手段とを具備し、上記油圧ブレーキは、上記多板クラッチに対して圧接・離間するピストンと、このピストンを駆動するシリンダと、ブレーキ弁とを備え、このブレーキ弁の操作量に応じた油圧を上記シリンダに加えて上記ピストンを上記多板クラッチに圧接させるブレーキ作動を行わせることによりクラッチオン状態としてウィンチドラムの回転を制動するように構成された油圧ウィンチにおいて、ブレーキ用油圧ポンプが、少なくとも上記フリーフォール運転時に上記ウィンチドラムによって回転駆動される状態で設けられ、フリーフォール運転時にこのブレーキ用油圧ポンプの吐出管路に発生する油圧が上記油圧ブレーキのシリンダにブレーキ作動方向に加えられるように、同ポンプの吐出管路に圧力発生手段としての絞りが設けられるとともに同管路が上記油圧ブレーキのシリンダに接続され、かつ、上記 ブレーキ用油圧ポンプの吐出油が油圧ブレーキの発熱部を冷却する冷却油として供給されるように、同ポンプの吐出管路と油圧ブレーキの発熱部との間に冷却管路が接続されたものである。
【0030】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、絞りとして、設定圧が可変となる可変絞りが用いられたものである。
【0031】
請求項3の発明は、請求項1または3の構成において、ブレーキ用油圧ポンプとして、正逆いずれの方向の回転によっても油を吐出する両方向吐出型のポンプが用いられ、ウィンチドラムの巻上・巻下両回転時に上記ブレーキ用油圧ポンプの吐出油が油圧ブレーキの発熱部に供給されるように構成されたものである。
【0032】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかの構成において、ウィンチドラムの回転停止時にも油圧ブレーキの発熱部に冷却油を供給し得るように、ブレーキ用油圧ポンプに対して並列に冷却用油圧ポンプが設けられたものである。
【0033】
上記構成によると、フリーフォール運転時に、ウィンチドラムによって駆動されるブレーキ用油圧ポンプの吐出油が油圧ブレーキの駆動部に加えられてウィンチドラムにブレーキ力が作用する。
【0034】
これにより、ウィンチドラムの回転速度(フリーフォール速度)が規制される。このため、フリーフォール運転の安全が確保されるとともに、オペレータの操作負担が軽減される。
【0035】
しかも、ドラム回転速度に比例してポンプ吐出油量が変化し、ポンプ吐出管路圧(ブレーキ力)が変化するため、負荷の大小にかかわらず本来のフリーフォール機能が確実に保持され、小負荷時にフリーフォールができなくなるおそれがない。
【0036】
また、ブレーキ用油圧ポンプの吐出油を油圧ブレーキと並行してブレーキ発熱部に冷却油として供給するため、冷却専用ポンプが不要となる。
【0037】
加えて、上記のようにドラム回転速度に比例してポンプ吐出油量が変化し、ドラム回転数が高くて発熱量が多くなるに従って冷却油量も多くなる。このため、冷却効率がさらに高められる。
【0038】
また、図5に示す従来技術では、エンジンのローアイドルでも十分な冷却油量を確保するために冷却用ポンプ21に大容量のものを使用する必要があったのに対し、上記のようにドラム回転速度、つまり発熱量に見合った冷却油量が確保されるため、ポンプ容量を小さくすることができる。
【0039】
一方、請求項2の構成によると、ブレーキ用油圧ポンプの吐出管路圧(ブレーキ力)が可変のため、吊荷重量や作業内容、オペレータの好み等に応じたブレーキ作用を選択することができる。
【0040】
また、請求項3の構成によると、ブレーキ用油圧ポンプとして油圧モータ形式の両方向吐出型ポンプを用いているため、フリーフォール時に限らず巻上時にもブレーキ発熱部に冷却油が供給される。このため、フリーフォール時に高温化したブレーキ発熱部を巻上時にも冷却できることで、冷却性能が高められる。
【0041】
さらに、請求項4の構成によると、ウィンチドラムの回転停止時にも冷却作用が行われるため、ブレーキ発熱の激しいウィンチに好適なものとなる。この場合、冷却用油圧ポンプは、従来技術の冷却用油圧ポンプよりも小容量ですむ。
【0042】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図によって説明する。
【0043】
第1実施形態(図1参照)
この実施形態において、図5に示す従来技術と同一部分には同一符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0044】
ウィンチドラム1のフランジ外周にリングギヤ21が設けられ、このリングギヤ21に噛合して回転する平歯車22の出力軸にワンウェイクラッチ23を介してブレーキ用油圧ポンプ(以下、ブレーキポンプという)24の回転軸が連結されている。
【0045】
これにより、ウィンチドラム1の巻下回転時(フリーフォール時および動力巻下時)に、同ドラム1によってブレーキポンプ24が回転駆動されるようになっている。
【0046】
ブレーキポンプ24の吐出管路25は、シリンダ11の伸長側管路14に分岐接続され、この分岐接続部分にシャトル弁26が設けられている。
【0047】
また、ポンプ吐出管路25には冷却管路27が分岐接続され、この冷却管路27の先端が油圧ブレーキ12の発熱部に接続されている。
【0048】
冷却管路27には圧力発生手段としての固定絞り28が設けられ、この固定絞り28の入り口側に発生する圧力がポンプ吐出管路25の圧力、すなわち油圧ブレーキ12の圧力となる。
【0049】
この装置の作用を説明する。
【0050】
フリーフォール運転時には、前記したようにスイッチ20の操作によって電磁切換弁18がフリーフォール位置bに切換えられ、シリンダ11の縮小側油室11bが加圧されてピストン10が多板クラッチ9から離れる。
【0051】
これにより油圧ブレーキ12がオフとなり、この状態で吊荷重量によりウィンチドラム1が巻下回転してフリーフォール運転が行われる。
【0052】
このフリーフォール運転中、ウィンチドラム1によりブレーキポンプ24が駆動されてその吐出油がシャトル弁26経由でシリンダ10の伸長側油室11aに供給され、この伸長側油室11aの圧力が縮小側油室11bの圧力よりも高くなったときに、ピストン10が多板クラッチ9に押し付けられる。
【0053】
これにより、キャリア軸8が制動され、ウィンチドラム1に、固定絞り28の開口面積によって決まるブレーキ力が作用する。
【0054】
こうして、ウィンチドラム1の回転速度、すなわちフリーフォール速度が一定値以下に規制されることにより、吊荷が無規制で自由落下するおそれがなくなり、フリーフォール運転時の安全が確保される。
【0055】
このフリーフォール運転中、オペレータがブレーキペダル15を操作すれば、その操作量に応じた圧力がシリンダ伸長側油室11aに加えられるため、上記規制速度内で速度を調整することができる。
【0056】
一方、ブレーキポンプ24の吐出油は、シリンダ11と並行して、冷却管路27を通ってブレーキ発熱部に冷却油として供給される。これにより、フリーフォール運転中、ブレーキ発熱部が冷却されてブレーキ性能が維持される。
【0057】
この場合、ブレーキポンプ24の回転速度はウィンチドラム1の回転速度に比例し、ドラム回転数が高くて発熱量が多くなるに従って冷却油量も多くなるため、冷却効率が良いものとなる。
【0058】
また、発熱量に見合った冷却油量が確保されるため、ブレーキポンプ24の容量が小さくてすむ。
【0059】
なお、ブレーキポンプ24は動力巻下時にも駆動されるが、このとき電磁切換弁18は通常運転位置aにセットされてシリンダ11の縮小側油室11bには圧力は立たず、元々、ピストン10がバネ13の力によって多板クラッチ9に押し付けられた状態にあるため、このうえブレーキポンプ24から油が供給されても作用に変化はない。
【0060】
また、巻上時には、ブレーキポンプ24はワンウェイクラッチ23の作用によってウィンチドラム1から切り離されるため、油吐出作用は行われない。
【0061】
ところで、固定絞り28に代えて可変絞りを用いてもよい。こうすれば、吊荷重量や作業内容、オペレータの好み等に応じて規制速度を可変とすることができる。
【0062】
また、この可変絞りに代えて、オペレータによって操作される切換弁を用い、この切換弁のストローク調整によって規制速度を任意に設定できるようにしてもよい。
【0063】
第2実施形態(図2参照)
以下の実施形態では第1実施形態との相違点のみを説明する。
【0064】
第2実施形態では、ウィンチドラム1によって駆動されるブレーキポンプ24として、図示のように正逆いずれの方向の回転によっても油を吐出する油圧モータ形式の両方向吐出型ポンプが用いられている。
【0065】
この場合、ワンウェイクラッチ23は省略され、ブレーキポンプ24は平歯車22に直接連結される。
【0066】
また、ブレーキポンプ24の両側に吐出管路25a,25bが設けられ、この両側吐出管路25a,25bが、四個のチェック弁が組み合わされたチェック弁ブロック29を介してシャトル弁26またはタンクTに接続される。
【0067】
この構成によると、ブレーキポンプ24が、ウィンチドラム1の巻下回転時に限らず巻上回転時にも駆動されてポンプ吐出油がブレーキ発熱部に供給されるため、フリーフォール時に高温化したブレーキ発熱部を巻上時にも冷却できることで、冷却性能が高められる。
【0068】
なお、巻上時には、電磁切換弁18が通常運転位置aにあり、元々、ピストン10が多板クラッチ9に押し付けられているため、ブレーキポンプ24の吐出油がさらに供給されても作用に影響はない。
【0069】
第3実施形態(図3参照)
この実施形態では、ブレーキポンプ24とは別に、図示しないエンジンによって駆動される冷却用ポンプ30が設けられ、この冷却用ポンプ30の吐出管路31が冷却管路27に分岐接続されている。
【0070】
32は同ポンプ30の吐出油の流れ方向をブレーキ発熱部側に規制するチェック弁である。
【0071】
この構成によると、冷却ポンプ30の吐出油が、ウィンチドラム1の回転時にはブレーキポンプ24の吐出油と合流してブレーキ発熱部に供給され、ドラム回転停止時には単独でブレーキ発熱部に供給される。
【0072】
すなわち、ドラム停止時にも冷却油がブレーキ発熱部に供給されて冷却作用が行われるため、ブレーキ発熱の激しいウィンチに好適なものとなる。
【0073】
この場合、冷却用ポンプ30は、従来技術の冷却用油圧ポンプよりも小容量ですむ。
【0074】
第4実施形態(図4参照)
第1〜第3各実施形態では、ブレーキペダル15の操作によって減圧弁(ブレーキ弁)16の二次圧をシリンダ11に供給する構成をとったが、第4実施形態のようにブレーキペダル15の操作によってマスターシリンダ33からの静油圧をシリンダ11に送り込む周知の構成をとってもよい。34はマスターシリンダ33のリザーバである。
【0075】
この構成によっても他の実施形態と基本的に同様の作用効果を得ることができる。
【0076】
また、各実施形態を通じて、図4に示すようにブレーキポンプ24の吐出管路25にその最高圧を規制する安全弁としてのリリーフ弁35を接続してもよい。
【0077】
ところで、上記各実施形態において、ブレーキポンプ24と平歯車22との間にクラッチを設け、フリーフォール時に、所望に応じてこのクラッチによりブレーキポンプ24をウィンチドラム1から分離させて速度規制作用を持たない完全フリーフォール運転を行い得るように構成してもよい。
【0078】
【発明の効果】
上記のように本発明によるときは、フリーフォール運転時に、ウィンチドラムによってブレーキ用油圧ポンプを駆動し、同ポンプの吐出油を油圧ブレーキの駆動部に加えてウィンチドラムにブレーキ力を作用させることにより、フリーフォール速度を規制するようにしたから、本来のフリーフォール機能を確保しながらフリーフォール速度を規制して作業の安全を図ることができる。
【0079】
また、ブレーキ用油圧ポンプの吐出油を油圧ブレーキと並行してブレーキ発熱部に冷却油として供給するため、冷却専用ポンプが不要となる。
【0080】
加えて、上記のようにドラム回転速度に比例してポンプ吐出油量が変化し、ドラム回転数が高くて発熱量が多くなるに従って冷却油量も多くなる。このため、冷却効率がさらに高められる。
【0081】
また、ドラム回転速度、つまりブレーキ発熱部に発生する発熱量に見合った冷却油量が確保されるため、ポンプ容量を小さくすることができる。
【0082】
一方、請求項2の発明によると、ブレーキ用油圧ポンプの吐出管路圧(ブレーキ力)が可変のため、吊荷重量や作業内容、オペレータの好み等に応じたブレーキ作用を選択することができる。
【0083】
また、請求項3の発明によると、ブレーキ用油圧ポンプとして油圧モータ形式の両方向吐出型ポンプを用いているため、フリーフォール時に限らず巻上時にもブレーキ発熱部に冷却油が供給される。このため、フリーフォール時に高温化したブレーキ発熱部を巻上時にも冷却できることで、冷却性能が高められる。
【0084】
さらに、請求項4の発明によると、ウィンチドラムの回転停止時にも冷却作用が行われるため、ブレーキ発熱の激しいウィンチに好適なものとなる。この場合、冷却用油圧ポンプは、従来技術の冷却用油圧ポンプよりも小容量ですむ。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態を示す油圧回路図である。
【図2】 本発明の第2実施形態を示す油圧回路図である。
【図3】 本発明の第3実施形態を示す油圧回路図である。
【図4】 本発明の第4実施形態を示す油圧回路図である。
【図5】 従来技術を示す油圧回路図である。
【符号の説明】
1 ウィンチドラム
2 同ドラム駆動用油圧モータ
12 油圧ブレーキ
9 油圧ブレーキを構成する多板クラッチ
10 同ピストン
11 同シリンダ
13 同バネ
18 切換手段を構成する電磁切換弁
20 同スイッチ
24 ブレーキ用油圧ポンプ
21,22 同ポンプとウィンチドラムとを連結する歯車
23 同ワンウェイクラッチ
25 ブレーキ用油圧ポンプの吐出管路
27 冷却管路
28 圧力発生手段としての固定絞り
30 冷却用油圧ポンプ
Claims (4)
- ウィンチドラムと、このウィンチドラムの駆動源としての油圧モータと、上記ウィンチドラムと油圧モータの出力軸との間の動力伝達を行う遊星歯車機構と、多板クラッチを駆動して上記遊星歯車機構のキャリア軸を固定するクラッチオン状態とキャリア軸を解放するクラッチオフ状態とに切換わる油圧ブレーキと、運転モードを上記油圧モータによってウィンチドラムが回転駆動される通常巻上・巻下運転と負荷によってウィンチドラムを巻下回転させるフリーフォール運転との間で切換える切換手段とを具備し、上記油圧ブレーキは、上記多板クラッチに対して圧接・離間するピストンと、このピストンを駆動するシリンダと、ブレーキ弁とを備え、このブレーキ弁の操作量に応じた油圧を上記シリンダに加えて上記ピストンを上記多板クラッチに圧接させるブレーキ作動を行わせることによりクラッチオン状態としてウィンチドラムの回転を制動するように構成された油圧ウィンチにおいて、ブレーキ用油圧ポンプが、少なくとも上記フリーフォール運転時に上記ウィンチドラムによって回転駆動される状態で設けられ、フリーフォール運転時にこのブレーキ用油圧ポンプの吐出管路に発生する油圧が上記油圧ブレーキのシリンダにブレーキ作動方向に加えられるように、同ポンプの吐出管路に圧力発生手段としての絞りが設けられるとともに同管路が上記油圧ブレーキのシリンダに接続され、かつ、上記ブレーキ用油圧ポンプの吐出油が油圧ブレーキの発熱部を冷却する冷却油として供給されるように、同ポンプの吐出管路と油圧ブレーキの発熱部との間に冷却管路が接続されたことを特徴とする油圧ウィンチの制御装置。
- 絞りとして、設定圧が可変となる可変絞りが用いられたことを特徴とする請求項1記載の油圧ウィンチの制御装置。
- 冷却用油圧ポンプとして、正逆いずれの方向の回転によっても油を吐出する両方向吐出型のポンプが用いられ、ウィンチドラムの巻上・巻下両回転時に上記冷却用油圧ポンプの吐出油が油圧ブレーキの発熱部に供給されるように構成されたことを特徴とする請求項1または2記載の油圧ウィンチの制御装置。
- ウィンチドラムの回転停止時にも油圧ブレーキの発熱部に冷却油を供給し得るように、ブレーキ用油圧ポンプに対して並列に冷却用油圧ポンプが設けられたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の油圧ウィンチの制御装置。
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