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JP3943893B2 - 導電性ローラの製造方法 - Google Patents

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JP3943893B2
JP3943893B2 JP2001324821A JP2001324821A JP3943893B2 JP 3943893 B2 JP3943893 B2 JP 3943893B2 JP 2001324821 A JP2001324821 A JP 2001324821A JP 2001324821 A JP2001324821 A JP 2001324821A JP 3943893 B2 JP3943893 B2 JP 3943893B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真装置において、帯電部材や転写部材等に利用可能な導電性ローラの製造方法に関し、より具体的には、複写機、プリンタ等の電子写真装置で利用される、着脱可能なプロセスカートリッジ用の導電性の発泡体を利用したローラ形状の導電性部材の製造方法に関する
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真技術の急速な進歩に伴い、レーザプリンターや乾式コピー等の画像形成装置の高速化と小型化が望まれている。この電子写真方式による画像形成で利用する導電性部材、例えば、現像、転写等のプロセスに利用される導電性の弾性ローラにおける導電特性に対する要求も高いものとなってきている。従来、現像、転写等のプロセスに利用される弾性ローラ状の導電性部材では、弾性体部の抵抗率の調整は、金属や金属酸化物の粉末やウィスカー及び/又はカーボンブラックなどの導電性フィラーを、ゴム・ウレタンなどの高分子エラストマー材料や高分子フォーム材料に混入して、所定の抵抗値に調製する方法によっている。
【0003】
これら現像、転写等のプロセスに利用される導電性部材に要求される導電性能は、弾性ローラを構成する弾性体の体積抵抗率は、1×104Ω・cm〜1×1012Ω・cmの範囲、好ましくは、中抵抗領域、例えば、1×106Ω・cm〜1×1010Ω・cmの範囲から選択される、所定の電気抵抗率であることに加えて、導電性部材全体の抵抗値自体が、周辺環境の変化に伴う変動が少ない、具体的には、低温低湿時と高温高湿時の電気抵抗の変動幅が少なく、さらには、連続して通電した際の電気抵抗の変動幅が少ないことである。
【0004】
ところが、高分子エラストマーや高分子フォーム等に、金属や金属酸化物の粉末やウィスカー及び/又はアセチレンブラックやケッチェンブラック等の導電性カーボンブラックなどの導電性フィラーを混入する方法で、弾性体の電気抵抗率を調整する場合、導電性フィラーを製造時に混合する過程で、時に混合された導電性フィラー相互の接触の不均一さなどに起因して、電気抵抗率のバラツキが生じることがあった。この弾性体の体積抵抗率のバラツキに伴い、所定の抵抗値に調製した導電性部材を多数製造する際、一部の製品では、その導電性部材全体の電気抵抗値としても、大きなバラツキを引き起こすこともあり、結果として、所定抵抗値の部品を安定して、高い歩留まりで製造する上のネックともなっていた。
【0005】
この弾性体の体積抵抗率のバラツキを低減する一つの手段として、特開平9−58077号に示すような、導電性フィラーとして、ケッチェンブラック等の導電性カーボンブラックと表面積の小さいカーボンブラック(例えばMTカーボン)とを併用し、弾性体中に混入することにより、導電安定化を図ることが検討されている。この方法を低硬度なスポンジ構造に適用する場合、導電性カーボンブラックの割合が大きくなってしまうため、連続通電による電気抵抗の上昇する割合も大きくなってしまう。また、特開平07−53860号に示すように、ハイストラクチャーのカーボンに代えて、ミディアムストラクチャーのカーボンブラックを用いることで、比較的電気抵抗が制御しやすくする手法等の検討も続けられている。これら粒子構造を工夫したカーボンブラックを用いる手法においても、依然として、通常連続通電により電気抵抗が徐々に増大するという課題が残っており、なお改善の余地がある。
【0006】
また、上記の導電性フィラーを混入する手法以外に、導電性弾性体材料を得る別の手段として、イオン伝導性を示す物質を利用する方法もある。具体的には、ウレタン、ヒドリン、NBRゴム等の極性ゴムに、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウム等の無機イオン物質、及び/又はラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシル・トリメチル・アンモニウム・クロライド、ドデシル・トリメチル・アンモニウム・クロライド、ヘキサデシル・トリメチル・アンモニウム・クロライド、変性脂肪族・ジメチル・エチルアンモニウム・エトサルフェート等の陽イオン性界面活性剤、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ジメチル・アルキルラウリルベタイン等の両性イオン界面活性剤、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、ホウフッ化テトラブチルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩等の有機イオン物質よりなる導電剤、さらには、親水性のポリエーテルやポリエステル等の帯電防止剤を混入し、これらのイオン伝導性を利用して所定の抵抗値に調製したゴム・ウレタンなどの高分子エラストマー材料や高分子フォーム材料を利用する方法である。ただし、このようなイオン伝導性を示す物質を混入する手法により、所定の体積抵抗率に調製した高分子エラストマーや高分子フォーム等の導電性弾性体材料では、体積抵抗率のバラツキは小さく、また、連続通電による電気抵抗の上昇も抑制されるものの、周辺環境の変化、例えば、低温低湿時と高温高湿時とで、その電気抵抗値の変動幅が大きいという、原理的な課題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
電子写真装置において帯電部材や転写部材等に利用される導電性部材、例えば、導電性の弾性体材料を用いた弾性ローラにおいては、周辺環境の変化、特には、低温低湿時と高温高湿時との電気抵抗値の変動幅が小さく、同時に、通常連続通電による電気抵抗値の増大など、経時的な導電性能の変化も抑制されていることが、ますます望まれている。特に、発泡倍率を高くし、低硬度のスポンジ構造を有する弾性体材料においても、製造の際、所望の体積抵抗率を高い再現性で達成でき、同時に、低温低湿時と高温高湿時との電気抵抗値の変動幅、ならびに、通常連続通電による電気抵抗値の増大などの、経時的な導電性能の変化率、双方ともに小さくでき、高い導電安定性を兼ね備えることが、一層望まれている。
【0008】
本発明は前記の課題を解決するもので、本発明の目的は、電子写真技術を利用する画像形成装置において、例えば、現像、転写等の機構で使用される導電性の弾性ローラに利用可能な導電性部材として、通常の連続通電による電気抵抗値の増大が少なく、同時に、周辺環境の変化、特には、低温低湿時と高温高湿時との電気抵抗値の変動幅も小さい導電性ローラの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を進め、発泡倍率を高くし、低硬度のスポンジ構造を有する弾性体材料において、低温低湿時と高温高湿時との電気抵抗値の変動幅、ならびに、通常の連続通電による電気抵抗値の増大などの、経時的な導電性能の変化率、双方ともに小さくでき、高い導電安定性を兼ね備えたものとする上では、非極性ゴム材料の発泡体を作製する際、導電性フィラーを予め混合して導電性を付与し、特に、利用する導電性フィラーとして、個々の粒子自体は低表面積でありながら、大きな吸油量を与えるハイストラクチャーなカーボンブラックを採用することで、良好な発泡性を維持しつつ、所望の体積抵抗率を高い制御性で達成でき、しかも、得られた導電性の弾性発泡体は、通常の運転条件で連続通電を行った際にも、経時的な電気抵抗値の増大も抑制できることを見出した。かかる知見に加えて、本発明者は、かかる導電性の弾性発泡体は、低温低湿時と高温高湿時との電気抵抗値の変動幅も小さく保たれることをも確認して、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明にかかる導電性ローラの製造方法は、
芯金と、その周囲に導電性発泡体層を有している、アスカーC硬度が18°以上38°以下、初期抵抗値が3.5×10 5 Ω以上2.5×10 7 Ω以下の導電性ローラの製造方法であって、
ジエンとしてエチリデンノルボルネンを用いたエチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴムと、カーボンブラックと、加硫剤としてのイオウと、発泡剤とからなるゴム組成物の層で芯金の周面を被覆し、次いで該ゴム組成物からなる層を、発泡倍率が2倍以上4.5倍以下となるように発泡させると共に加硫させて該導電性発泡層を形成する工程を含み、
前記ゴム組成物中のカーボンブラックの量が、該エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム100重量部に対して50質量部以上100質量部以下であり、
該カーボンブラックが、窒素吸着法による比表面積が32m 2 /g以上56m 2 /g以下、DBP吸油量が140ml/100g以上500ml/100g以下である
ことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る導電性部材についてより詳しく説明する。
【0017】
本発明に係る導電性部材は、電子写真装置において、例えば、感光ドラムなどの被帯電体表面の帯電に利用される帯電ローラ型の帯電部材、あるいは、コピー用紙などの記録媒体へのトナー像の転写に利用される転写ローラ型の転写部材等の用途で利用可能な導電性の弾性ローラに好適である。具体的には、前記帯電部材や転写部材は、回転させつつ、被帯電体表面や記録媒体へ当接するため、低いローラ硬度を示す弾性ローラとすることが望ましく、例えば、その弾性体部は、好ましくは、アスカーC硬度40°以下の発泡体とする。かかる低い硬度の弾性ローラとする上では、利用する発泡体を、高発泡倍率の発泡体とする、例えば、発泡倍率を2〜5倍の範囲に選択することが望ましい。本発明の導電性部材は、特に前記のように、利用する発泡体を、高発泡倍率の発泡体とすることで、得られる弾性ローラの硬度を、例えば、アスカーC硬度40°以下の範囲のように低い硬度とする際、所望とする中抵抗領域、例えば、1×106Ω・cm〜1×1010Ω・cmの範囲の体積抵抗率とし、しかも、回転させつつ、被帯電体表面や記録媒体へ当接させる通常の使用条件で、連続的に通電する間に、その電気抵抗値が徐々に増加することを抑制する上で有効である。
【0018】
従来、弾性体層として、導電性フィラーを添加して導電性を付与した汎用ゴムの発泡体を利用する場合、高発泡倍率の発泡体とし、かつ所望とする中抵抗領域の導電性を達成する上では、導電性フィラーとして、ケッチェンブラックやアセチレンブラック等を配合していた。ケッチェンブラックやアセチレンブラック等のハイストラクチャーなカーボンブラックは、相対的に配合量比を低くしても、導電性の付与が可能であり、高発泡倍率の発泡体に適するものの、目的の導電性、例えば、106Ω・cm程度の電気抵抗率を達成する際には、汎用ゴムに対する配合量比は相当に高くする必要があった。高発泡倍率の発泡体において、ケッチェンブラック、アセチレンブラックの配合量比を増加するとともに、荷重を付加して当接を続ける間に、かかる導電性フィラーを介する導電性がしだいに損なわれ、通常の条件での連続通電に伴い、その電気抵抗の変化が大きくなることも少なくない。
【0019】
一方、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどのハイストラクチャーなカーボンブラックに代えて、比表面積が小さく、ローストラクチャーなカーボンブラックを用いた場合、荷重を付加して当接を続ける間における、その電気抵抗の変化は、小さくなるものの、目的の導電性、例えば、106Ω・cm程度の電気抵抗率を達成する際には、汎用ゴムに対する配合量比は更に高くする必要がある。ローストラクチャーなカーボンブラックの配合量比を増すとともに、発泡難となり、また、仮に、所望の発泡倍率が達成された場合でも、汎用ゴムに対する配合量比が相対的に高いため、発泡体全体の硬度は、相対的に高いものとなっている。従って、高発泡倍率の発泡体とすることで、得られる弾性ローラの硬度を、例えば、アスカーC硬度40°以下の範囲のように低い硬度とし、同時に、所望とする106Ω・cm程度の体積抵抗率を達成することは、ローストラクチャーなカーボンブラックを用いる方法では、極めて困難となっていた。
【0020】
本発明者は、上記の従来技術における問題点とその原因を詳しく、検討・解析を行った結果、粒子自体はハイストラクチャーな構造を採るものの、全体的には、比表面積が小さいカーボンブラックを利用すると、所望の中抵抗領域の体積抵抗率を達成する上では、前記のローストラクチャーなカーボンブラックに比して、非極性ゴムに対する配合量比を大幅に低く抑えることができ、その結果、所望とする106Ω・cm程度の体積抵抗率を達成しつつ、高発泡倍率の発泡体とすることで、得られる弾性ローラの硬度を、例えば、アスカーC硬度10°以上、40°以下の範囲のように低い硬度とすることも容易となることを見出した。一方、高発泡倍率の発泡体とし、低い硬度の弾性ローラとした際、荷重を付加して当接を続ける間における、その電気抵抗の変化は、先のローストラクチャーなカーボンブラックを用いる方法と同様に、大幅に小さくなる利点を持つことをも見出した。
【0021】
この二つの利点を示す、低い比表面積かつハイストラクチャーなカーボンブラックとして、その効果が高い再現性で達成できる範囲を確認したところ、比表面積の指標として、窒素吸着法による比表面積X[m2/g]を、また、そのハイストラクチャーな構造の指標として、DBP吸油量Y[ml/100g]を採用し、この窒素吸着法による比表面積X[m2/g]、DBP吸油量Y[ml/100g]が、それぞれ30≦X≦60かつ140≦Y≦500の範囲となるカーボンブラックを用いると好ましいことを見出した。
【0022】
本発明に係る導電性部材では、その弾性体層とする、非極性ゴムの発泡体に対して、導電性フィラーとして、その窒素吸着法による比表面積X[m2/g]、DBP吸油量Y[ml/100g]が、それぞれ30≦X≦60かつ140≦Y≦500の範囲であるカーボンブラックを利用することで、所望の導電性(電気抵抗率)を達成するための、非極性ゴムに対するカーボンブラックの配合量比を相対的に低くでき、その結果、良好な発泡性能を維持し、低い硬度とでき、また、得られた高発泡倍率の発泡体は、下記するように、その電気抵抗の経時的変化がほとんどないものとなる。
【0023】
本発明に係る導電性部材において、導電性の弾性体、すなわち、非極性ゴムからなる発泡体の作製に使用される非極性ゴムとしては、所望の発泡倍率を達成できる限り、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム等を利用することができ特に制限されるものではない。本発明の導電性部材では、高い発泡倍率とする際には、主にエチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴムを用いると好ましく、特には、第3成分のジエンとして、例えば、ジシクロペンタジエン、あるいはエチリデンノルボルネンなどを含むものが好適に使用できる。
【0024】
非極性ゴムからなる発泡体の作製は、上述の非極性ゴムに対して、所望の電気抵抗(体積抵抗率)に合わせて、上述の比表面積Xが低く、相対的にDBP吸油量Yが大きいカーボンブラック、さらには、必要に応じて、充填剤、可塑剤を適量配合したコンパウンドを調製し、このコンパウンドに、加硫剤、発泡剤を配合した後、押出し、加硫発泡の工程を経て、所定の発泡倍率と、硬度を有する発泡体層とする。前記、加硫発泡を終えた後、その発泡体層表面に研磨加工を施し、所望の外径を有する導電性ローラとすることが好ましい。なお、金型を用いた加硫発泡工程で、その外径のバラツキ、表面の平坦性が目標とする範囲となる際には、発泡体層表面に研磨加工を施すことなく、導電性ローラとすることもできる。加硫剤としては、硫黄、過酸化物等が利用でき、発泡剤としては、OBSH(4、4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド))、ADCA(アゾジカルボンアミド)等の有機発泡剤、さらには、炭酸ナトリウム等の無機発泡剤を用いることもできる。また、加硫発泡の条件に応じて、尿素のような発泡助剤を併用することもできる。
【0025】
また、本発明に係る導電性部材は、電子写真装置において、常時電圧を印加しつつ、荷重を加えた当接状態で使用される帯電部材、転写部材等の用途に用いる際には、低いローラ硬度とすることが望ましく、従って、例えば、発泡体をアスカーC硬度40°以下の範囲とすることが好ましい。その際、高発泡倍率の発泡体とすることが好ましく、例えば、発泡倍率を2〜5倍の範囲とすることが好ましい。また、本発明に係る導電性部材において、前記のような高発泡倍率の発泡体とする際には、所望の導電性(電気抵抗)を得るためには、かかる発泡体の単位体積当たりに含有される導電性フィラー量を維持することが必要であり、例えば、非極性ゴム100質量部当たり、該カーボンブラックの配合量を50質量部以上とすることが好ましい。なお、非極性ゴムに対する、該カーボンブラックの配合比率を過度に高くすると、高い発泡倍率の達成がしだいに困難とあるので、該カーボンブラックの配合比率には自ずから上限があり、例えば、非極性ゴム100質量部当たり、該カーボンブラックの配合量は150質量部を超えない範囲に選択することが好ましい。
【0026】
なお、本発明に係る導電性部材では、非極性ゴムからなる発泡体中に、導電性を付与する目的で配合される導電性フィラーとして、上記のように、個々の粒子自体は低表面積でありながら、相対的に大きな吸油量を与えるハイストラクチャーなカーボンブラックを採用することで、良好な発泡性を維持しつつ、所望の体積抵抗率を高い制御性で達成でき、しかも、得られた導電性の弾性発泡体は、通常の運転条件で連続通電を行った際にも、経時的な電気抵抗値の増大も抑制できる効果を達成している。なお、かかる効果を損なわない範囲で、上記の低表面積で大きな吸油量のカーボンブラックに加えて、黒鉛化カーボンブラックやケッチェンブラック等の超導電性カーボンブラックを、補足的な導電性フィラーとして併用しても良い。ただし、この補足的な導電性フィラーとして併用量は、多くとも、低表面積で大きな吸油量のカーボンブラックの配合量の1/2以下、好ましくは1/10〜1/5にとどめておくことが好ましい。また、後述する実施例のように、導電性フィラーとして用いるカーボンブラックは、その比表面積XとDBP吸油量Yが上記の範囲である限り、1種類のカーボンブラックを用いるだけでなく、2種以上のカーボンブラックを併用することも可能である。なお、2種以上のカーボンブラックを併用する際には、それら複数種のカーボンブラック配合量の総和が、発泡体中に含有される非極性ゴム100質量部当たり、50質量部以上となるように各カーボンブラックの配合量を選択することが好ましい。
【0027】
【実施例】
以下、実施例ならびに比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。下記する実施例は、本発明における最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明は、かかる実施例により限定されるものではない。
【0028】
(実施例1〜5)
芯金として、鉄(ステンレススチール)製、外径6mmの円形断面の金属芯金を用い、その外周にローラ層として、導電性の発泡体層を層厚6mm設けた弾性ローラを作製した。各発泡体は、第三成分のジエンとしてエチリデンノルボルネンを用いた、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴムを用い、それぞれ、導電性フィラーとして、表1に記載の窒素吸着法による比表面積X[m2/g]、DBP吸油量Y[ml/100g]を示すカーボンブラックを配合して、均一に混練したコンパウンドに、さらに、加硫剤として、イオウを、発泡剤として、ADCAを添加して、所定の厚さに押出し成形し、加硫・発泡処理を施し作製した。加硫・発泡処理後、発泡体表面を上記の外形寸法となるように、研磨加工して、弾性ローラとした。
【0029】
なお、前記エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴムに対する、カーボンブラックの配合比率は、かかる非極性ゴム100質量部当たり、配合するカーボンブラックの質量部として、表1中のカーボン配合量の欄に示す。また、添加する発泡剤と加硫剤の量は、表1に記載する発泡倍率、ならびにその最終的なローラ硬度がアスカーC硬度40°以下の範囲である記載の硬度を達成できる量に調整した。
【0030】
作製した導電性ローラに関して、通常の運転条件で連続通電を行った際、経時的な電気抵抗値の増大の多寡を評価した。その評価法は、導電性ローラを図1に示すようにアルミドラム3に当接させ、当接荷重500gfを加えつつ、従動回転させた状態で、アルミドラム3表面と導電性ローラの芯金1との間に、連続して5時間DC100Vを印加した。その前後で、かかる当接状態における導電性ローラの抵抗値を測定し、連続通電終了時の抵抗値を初期抵抗値でわった値(比)を算出し、指標値:抵抗アップ量(倍)とした。また、作製した各導電性ローラについて、そのローラ硬度を、アスカーC硬度として実測した。表1に、評価された初期抵抗値、抵抗アップ量(倍)、ローラ硬度を併せて示す。
【0031】
(比較例1〜3)
前記実施例1〜6に記載する導電性の弾性ローラの作製法に倣い、各発泡体は、第三成分のジエンとしてエチリデンノルボルネンを用いた、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴムを用い、それぞれ、導電性フィラーとして、表2に記載の窒素吸着法による比表面積X[m2/g]、DBP吸油量Y[ml/100g]を示すカーボンブラックを配合して、均一に混練したコンパウンドを利用して作製した。このコンパウンドに、加硫剤として、イオウを、発泡剤として、ADCAを添加して、所定の厚さに押出し成形し、加硫・発泡処理を施し作製した。加硫・発泡処理後、発泡体表面を上記の外形寸法となるように、研磨加工して、弾性ローラとした。
【0032】
なお、前記エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴムに対する、カーボンブラックの配合比率は、かかる非極性ゴム100質量部当たり、配合するカーボンブラックの質量部として、表2中のカーボン配合量の欄に示す。また、添加する発泡剤と加硫剤の量は、表2に記載する発泡倍率、ならびにその最終的なローラ硬度がアスカーC硬度40°以下の範囲である記載の硬度を達成できる量に調整した。
【0033】
作製した導電性ローラに関して、実施例1〜6と同じく、初期抵抗値、抵抗アップ量(倍)、ローラ硬度を、アスカーC硬度として実測した。表2に、評価された初期抵抗値、抵抗アップ量(倍)、ローラ硬度を併せて示す。
【0034】
【表1】
Figure 0003943893
【0035】
【表2】
Figure 0003943893
表1と表2に示す評価結果を対比すると、初期抵抗値ならびにローラ硬度は、ともに目標とする範囲となっているものの、抵抗アップ量(倍)に関しては、実施例1〜6の弾性ローラと比較例1〜3の弾性ローラとの間で、極めて顕著な差異が存在している。具体的には、発泡体中に導電性フィラーとして含有されているカーボンブラックに、それ自体の窒素吸着法による比表面積X[m2/g]、DBP吸油量Y[ml/100g]が、それぞれ30≦X≦60かつ140≦Y≦500の範囲であるカーボンブラックを利用している実施例1〜6の弾性ローラでは、抵抗アップ量(倍)は、1を僅かに超える値に留まっている。それに対して、この30≦X≦60かつ140≦Y≦500の範囲でなく、特に、窒素吸着法による比表面積X[m2/g]が少なくとも100を超える、ハイストラクチャーであるものの、比表面積も大きくなっているカーボンブラックを利用している比較例1〜3の弾性ローラでは、抵抗アップ量(倍)は、小さなものでも、3倍を超える大きなものとなっている。すなわち、非極性ゴムからなる発泡体を、そのローラ硬度が、アスカーC硬度40°以下の範囲となる低硬度の弾性ローラとする際、発泡体中に含有させる導電性フィラーとして、それ自体の窒素吸着法による比表面積X[m2/g]、DBP吸油量Y[ml/100g]が、それぞれ30≦X≦60かつ140≦Y≦500の範囲であるカーボンブラックを利用することで、通常の条件で、連続通電する間にその電気抵抗値の増加を、実質的に皆無と見させるまで抑制することができている。また、導電性フィラーを添加して、非極性ゴムからなる発泡体に導電性を付与するものであるので、イオン導電性を利用するものと異なり、低温低湿時と高温高湿時との電気抵抗値の変動幅は、原理的に低く抑えられたものとなっている。
【0036】
【発明の効果】
本発明に係る導電性部材は、主に、電子写真装置における画像形成等の機構で使用される導電性の弾性ローラの形状とされ、その導電性の弾性ローラを構成する弾性体材料とする、非極性ゴムからなる発泡体において、導電性を付与する導電性フィラーに、その窒素吸着法による比表面積X[m2/g]、DBP吸油量Yが、それぞれ30≦X≦60かつ140≦Y≦500の範囲であるカーボンブラックを利用することで、低温低湿と高温高湿時との電気抵抗(体積抵抗率)の変動幅を小さくでき、同時に、通常の条件での連続通電による電気抵抗値の増大をも抑制できる利点を持つ。かかる導電性能の安定化により、本発明の導電性部材は、電子写真装置において、常時電圧を印加しつつ、荷重を加えた当接状態で使用される帯電部材、転写部材等の用途に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る導電性部材における形態の一例を模式的に示し、また、かかる導電性の弾性ローラにおける、連続通電に伴う抵抗率変化の評価法を説明する図である。
【符号の説明】
1 芯金
2 弾性体
3 アルミドラム

Claims (1)

  1. 芯金と、その周囲に導電性発泡体層を有している、アスカーC硬度が18°以上38°以下、初期抵抗値が3.5×10 5 Ω以上2.5×10 7 Ω以下の導電性ローラの製造方法であって、
    ジエンとしてエチリデンノルボルネンを用いたエチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴムと、カーボンブラックと、加硫剤としてのイオウと、発泡剤とからなるゴム組成物の層で芯金の周面を被覆し、次いで該ゴム組成物からなる層を、発泡倍率が2倍以上4.5倍以下となるように発泡させると共に加硫させて該導電性発泡層を形成する工程を含み、
    前記ゴム組成物中のカーボンブラックの量が、該エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム100重量部に対して50質量部以上100質量部以下であり、
    該カーボンブラックが、窒素吸着法による比表面積が32m 2 /g以上56m 2 /g以下、DBP吸油量が140ml/100g以上500ml/100g以下である
    ことを特徴とする導電性ローラの製造方法
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