JP3943173B2 - ホットメルト型インクジェット記録用紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、グラフィックや文字の滲みがなく、かつ、印刷インクの記録用紙への密着力に優れたホットメルト型インクジェット記録用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりインクジェット記録用紙インク組成物としては、水溶性液体インク組成物が広く使われている。しかしながら、インクの乾燥が遅いことと、印字が滲みやすい欠点がある。
かかる欠点を改良する目的で室温で固体のワックス等を素材としたホットメルト型インク組成物を用いて、加熱により液化し、何らかのエネルギーを加えて用紙上に向けて噴射させ、用紙上で冷却固化し記録ドットを形成するホットメルト型インクジェット記録用紙が提案されている(米国特許第4,751,528明細書、米国特許第4,758,396明細書、米国特許第4,931,095明細書、特開平3−501470号、同5−202327号、同5−311101号、同7−133451号、同7−70490号、同8−3493号、同8−3495号、同8−3499号、同8−67841号、同8−67842号、特公表7−503498号の各公報等)。
【0003】
このホットメルト型(ソリッド)インクジェット記録方式の特徴は、普通紙、再生紙、和紙、OHP(オーバーヘッドプロジェクト)用フィルム、コート紙、段ボール、トレース紙等の用紙を選ばずに高濃度のカラープリントができること、印刷品質がレーザープリンタ並にできること、印刷された用紙が水にぬれてもインクが滲み出ないこと、レザープリンタ方式よりもポスターやCADの大画面印刷、大図面印刷ができるという利点を有している。
その反面、印刷(印字)された面を強くこすると印刷が剥がれたり、印刷物を折り畳むと折り畳んだ部分の印刷が剥れることが指摘されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ソリッドインクの密着性に優れ、かつ、屋外ポスター、お風呂場内に貼付されたポスター、指示書、土木建築の現場において使用されるCAD図面において要求される耐水性をも備えた、給排紙性の良好なホットメルト型(ソリッド)インクジェット記録用紙の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、常温で固体状のホットメルト型インクを加熱溶融して飛翔された溶融インクを受容して記録するホットメルト型インクジェット記録用紙において、該記録用紙は、無機微細粉末含有熱可塑性樹脂からなる延伸フィルムであって、該延伸フィルムの空孔率が5〜50%、肉厚20〜700μmの延伸フィルムを支持体(I)とし、この支持体(I)の表面に下記の組成のプライマー塗工層(II)を介して下記の組成のホットメルト型インクの受容層(III)が設けられた構造のホットメルト型インクジェット記録用紙、を提供するものである。
【0006】
プライマー塗工層(II)が
(a) 下記の単量体(i)、(ii)および(iii)を共重合して得た重合体の三級窒素原子をカチオン化剤で四級化した両性化物である、四級窒素含有アクリル系樹脂: 100重量部に、
【化2】
(iii) 他の疎水性ビニル単量体 0〜80重量%
〔ただし、各式中、R1 はHまたはCH3 、R2 は炭素数1〜18のアルキル基、R3 およびR4 はそれぞれHまたは炭素数1〜2のアルキル基、Aは炭素数2〜6のアルキレン基である。〕
【0007】
(b) ポリエチレンイミン、ポリ(エチレンイミン−尿素)及びポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、又は、これらのアルキル変性体、アルケニル変性体、ベンジル変性体、もしくは、脂肪族環状炭化水素変性体からなる群より選ばれたポリイミン系化合物: 20〜300重量部、
(c) ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物: 20〜300重量部、
の割合で配合された組成物の水溶液を塗布し、乾燥して得られたものである。
ホットメルト型インクの受容層(III)は、ピグメントを40〜92重量%、樹脂バインダーを8〜60重量%含有するものであり、ピグメントは、該ピグメント中の吸油量(JIS K−5101)が60〜100ml/100gであるものが30〜60重量%、吸油量が15〜60ml/100gのピグメントが70〜40重量%を占める混合物を用いた層である。
【0008】
【作用】
記録用紙のプライマー層(II)の存在により、受容されたソリッドインクは剥れ難い。特に、記録用紙の支持体の表面層が無機微細粉末を含有しているものであるときは、表面層より突出している無機微細粉末が投錨効果を示し、併せて該表面層に延伸により形成された微細な亀裂にプライマーが入り込み、これ又、投錨効果によりよりソリッドインクの密着性が強固となる。
【0009】
更に、延伸フィルムよりなる支持体は、微細なボイド(空孔)を有するので、50〜150℃に加熱されたホットメルト型インクが記録用紙に付着しても、このボイドが断熱性を有するので支持体が熱収縮することなく、記録用紙に熱収縮による皺が発生することがない。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のホットメルト型インクジェット記録用紙について、更に詳細に説明する。
支持体:
プライマー塗工層(II)が設けられる支持体(I)は、無機微細粉末含有熱可塑性樹脂の延伸フィルムであって、フィルム内部に次式で示される空孔率が5〜50%、好ましくは10〜40%となるような微細なボイドを多数有する微多孔性フィルムである。
【式1】
【0011】
かかる微多孔性の延伸フィルムとしては、例えば、次の▲1▼〜▲5▼のものが挙げられる。
▲1▼ 無機又は有機充填剤を8〜65重量%の割合で含有する微多孔を有する熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルム(特公昭54−31032号公報、米国特許第3775521号明細書、米国特許第4191719号明細書、米国特許第4377616号明細書、米国特許第4560614号明細書等)。
【0012】
▲2▼ 二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムを基材層とし、無機微細粉末を8〜65重量%含有する熱可塑性樹脂の一軸延伸フィルムを紙状層とする合成紙(特公昭46−40794号公報、特開昭57−149363号公報、同57−181829号公報等)。
【0013】
この合成紙は、2層構造であっても、基材層の表裏面に一軸延伸フィルムの紙状層が存在する3層構造(特公昭46−40794号公報)であっても、紙状層と基材層間に他の樹脂フィルム層が存在する3層〜7層の合成紙(特公昭50−29738号公報、特開昭57−149363号公報、同56−126155号公報、同57−181829号公報)であっても、裏面がプロピレン・エチレン共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体の金属塩(Na、Li、Zn、K)、塩素化ポリエチレン等の基材層樹脂よりも低融点の樹脂よりなるヒートシール層を有する3層以上の合成紙であってもよい(特公平3−13973号明細書)。
【0014】
3層構造の合成紙の製造方法は、例えば、無機微細粉末を0〜50重量%含有する熱可塑性樹脂フィルムを、該樹脂の融点より低い温度で一方向に延伸して得られる一軸方向に配向したフィルムの両面に、無機微細粉末を8〜65重量%含有する熱可塑性樹脂の溶融フィルムを積層し、次いで前記方向と直角の方向にこの積層フィルムを延伸することにより得られる紙状層が一軸方向に配向し、微細な空隙を多数有するフィルムであり、基材層は二軸方向に配向した積層構造物である。
【0015】
▲3▼ 上記▲2▼の合成紙の紙状層側に、更に、無機微細粉末を含有しない肉厚0.1〜20μmの透明な熱可塑性樹脂ラミネート層が設けられた構造の高い光沢の印刷が可能な合成紙(特公平4−60437号公報、同1−60411号公報、特開昭61−3748号公報)、例えば、熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを基材層とし、無機微細粉末を8〜65重量%含有する熱可塑性樹脂の一軸延伸フィルムよりなる表面層と裏面層を有する複合フィルムを支持体とし、この支持体の表面層側に無機微細粉末を含有しない熱可塑性樹脂の透明フィルム層を設け、更に帯電防止機能を有するプライマー塗布量が設けられた合成紙(特開昭61−3748号公報)、あるいは、熱可塑性樹脂フィルムの二軸延伸フィルムを基材層とし、この基材層の少なくとも片面に、無機微細粉末を8〜65重量%の割合で含有する熱可塑性樹脂の一軸延伸フィルムよりなる紙状層と、熱可塑性樹脂フィルムの一軸延伸フィルムよりなる表面層とのラミネート物が備えられている合成紙であって、前記表面層の肉厚(t)は、紙状層に存在する無機微細粉末の平均粒径を(R)としたとき、次式(2)を満足することを特徴とする複層樹脂フィルムよりなる合成紙(特公平1−60411号公報)。
R≧t≧(1/10)×R ・・・ (2)
この複層構造の合成紙▲3▼も、▲2▼の合成紙と同じくヒートシール層が表裏面に設けられたものであっても良い。
【0016】
▲4▼ 前記▲1▼〜▲3▼の合成紙の裏面に、40〜150デニール、好ましくは50〜100デニールの経糸と緯糸とを、それぞれ2.54cm当たり、50〜140本、好ましくは60〜100本の割合で1本おきに交差させる平織法で織った坪量が50〜200g/m2 、好ましくは50〜200g/m2 の平織織布(ポンジー)を接着剤で貼着した複合フィルム(米国特許第5,494,735明細書)。
平織りの織布の経糸、緯糸の素材としては、ナイロン6、ナイロン6,6、ポリエチレンテレフタレート、木綿、レーヨン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化エチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン等が利用できる。
【0017】
接着剤としては、液状のアンカーコート剤、例えばポリウレタン系アンカーコート剤としては東洋モートン(株)製のEL−150(商品名)またはBLS−2080A(商品名)とBLS−2080B(商品名)との混合物が、ポリエステル系アンカーコート剤としては、同社製のAD−503(商品名)が挙げられる。アンカーコート剤は、坪量が0.5〜25g/m2 の範囲となるように塗布される。
【0018】
また、エチレン・酢酸ビニル共重合体、低密度ポリエチレン、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体の金属塩(いわゆるサーリン)、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のホットメルト接着剤は、延伸樹脂フィルム製造時の延伸温度より低い融点を有する熱可塑性樹脂を用いる必要があり、前記延伸温度より高い温度で該ホットメルト接着剤を用いると延伸樹脂フィルムが収縮してしまうことがある。
【0019】
前記アンカーコート剤で接着する場合は、織布または延伸樹脂フィルムのいずれかの面にアンカーコート剤を塗布し、ロールで加圧接着すればよく、ホットメルト接着剤を用いる場合は、織布または延伸樹脂フィルム上にダイより溶融フィルム状に押し出し、ラミネートし、ついで他方の織布もしくは延伸樹脂フィルムを圧着ロールで接着させてよく、また、織布シート製造時の加熱、加圧する短繊維を絡み合わせた不織布状物に溶融した接着剤フィルムをラミネートし、これに延伸樹脂フィルムを積層し、ロールで圧着して接着してもよい。
【0020】
▲5▼ 前記▲1▼〜▲3▼の合成紙の裏面に、前記接着剤を用いて不織布シートを貼着した複合合成紙(特公平3−74180号公報)。
短繊維を絡み合せた不織布状物を加熱加圧して得られる繊維補強シートの製造方法は、特公昭37−4993号公報、特開昭53−10704号公報、同53−90404号公報、同53−119305号公報、同53−122803号公報、同56−15500号公報、同57−29700号公報、同57−39299号公報、同59−70600号公報、同57−61796号公報、同57−139597号公報等に記載されるように公知である。
【0021】
通常、この不織布シートはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル等の熱可塑性樹脂の開繊した短繊維(繊維太さ0.2〜15デニール、繊維長1〜20mm)を水中に分散させた紙料を短網または長網もしくは円網抄紙機を用いて抄紙した後、120〜270℃の温度と5〜200kg/cm2 の圧力をロール、プレスで抄造紙にかけることにより製造される。かかるシートは帝人(株)よりスパンボンド#ユニセルの商品名(タイプとして、Bタイプ、BTタイプ)で、出光石油化学工業(株)よりスパンボンド#ジョルトWFの商品名で販売されている。
【0022】
この抄造の際、水分散液中にパルプ状粒子を10〜90重量%の割合で配合させてもよい。パルプ状粒子の原料としては芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル等があげられる。また、ポリビニルアルコール繊維状バインダーやポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂粉末を短繊維結合剤として5〜30重量%配合してもよい。更に、顔料、可塑剤、粘着調整剤、分散剤等を配合してもよい。
この不織布シートの坪量は12〜80g/m2 の範囲である。12g/m2 未満ではカール防止に十分でない。また、80g/m2 を越えてもよりカール防止効果の向上は望まれず、コスト高となる。
【0023】
また、抄造紙により得られた不織布状物に熱可塑性樹脂の粉末を散布および/または熱可塑性樹脂シートを積層し、次いでこれを加熱加圧一体化して不織布シートを製造してもよい。粉末、シートの素材となる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン−アクリルニトリル共重合体、ポリアミド、共重合ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリメチルメタアクリレート、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリエステル、共重合ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエステルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミドおよびポリエステルアミドなどが挙げられ、これらは2種以上混合して用いることができる。
【0024】
更に、不織布シートは、特公昭48−32986号公報に記載される製造方法により得られた不織布合成紙、即ち、少なくとも75重量%が繊維用デニールの不規則に配置された結晶性の且つ配向した合成有機重合体のフィラメントから成るウェブを該フィラメントに対し非溶融性の加熱流体に露出することにより該フィラメントを空間的に間隔をおいて配置された多数の交叉点で自己接合せしめるに当たり、少なくとも大気圧の流体圧を持った流体に対する該露出を、本文で定義した臨界接合温度をTxとしてTx(1±0.03)℃の温度範囲内にある接合温度で行ないこの際該ウェブの温度をウェブの全三次元方向に亘りその温度変動が5℃以内になる如く一定に保ち、且つ該接合温度においてフィラメントの収縮を20%以内に抑え且つフィラメントの複屈折の低下を50%以内に抑えるのに十分なだけの軽い圧縮力下に該ウェブをおいてウェブの拘束を続け、しかる後に該フィラメントの収縮を防ぐのに十分な温度にまで該ウェブの温度を低下させた後に始めて該拘束力を取り去ることを特徴とするウェップを自己接合した不織布合成紙であってもよい。かかる不織布合成紙は、米国デュポン社より“タイベック”の商品名で販売されている。
【0025】
延伸フィルム(合成紙)の素材となる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチルペンテン−1)、また、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分加水分解物、エチレン−アクリル酸共重合体およびその塩、塩化ビニリデン共重合体たとえば塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリル酸アルキルエステル共重合体、その他、およびこれらの混合物を例示することができる。これらの中でも耐水性、耐薬品性の面からポリプロピレン、ポリエチレンが好ましい。また、基材層にポリプロピレンを用いる場合は、延伸性を良好とするためポリエチレン、ポリスチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のポリプロピレンよりも融点が低い熱可塑性樹脂を3〜25重量%配合するのがよい。
【0026】
また、無機微細粉末としては、炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム等、粒径が0.03〜16ミクロンのものが使用される。延伸倍率は縦、横方向とも4〜10倍が好ましく、延伸温度は樹脂がホモポリプロピレン(融点164〜167℃)の場合は150〜162℃、高密度ポリエチレン(融点121〜124℃)の場合は110〜120℃、ポリエチレンテレフタレート(融点246〜252℃)の場合は104〜115℃である。また、延伸速度は50〜350m/分である。
【0027】
延伸フィルムの空孔率が5%未満では、支持体の軽量化が乏しく、逆に空孔率が50%を越えては、延伸フィルムの強度(引張強度、曲げ強度)が低くなり、実用的ではない。
延伸フィルムの肉厚は、20〜700μmの範囲であり、20μm未満では微多孔の合成紙を製造することが困難であり、700μmを越えては記録用紙のコストアップとなる。
【0028】
これらの延伸フィルムの中でも、無機微細粉末および/または有機微細粉末を5〜40重量%含有するプロピレン系樹脂二軸延伸フィルムの表面に、無機微細粉末を8〜65重量%含有するプロピレン系樹脂一軸延伸フィルムが積層された合成紙がより強固なインクの抗剥離性を付与する。すなわち、該合成紙の一軸延伸フィルムの表面層より突出した無機微細粉末がプライマー塗工層に投錨するとともに、プライマーが一軸延伸フィルムの表面の亀裂に入りこみ、プライマー塗工層(III)が支持体(I)に強固に密着するので、プライマー塗工層(II)と密着性の良好なインク受容層(III)に付着したソリッドインクが剥がれにくいものとなる。
この積層フィルムの表面層のJIS P−8119によるベック平滑度は2,000秒以下、好ましくは100〜1,000秒である。
【0029】
(II)プライマー塗工層:
支持体(I)とソリッドインク受容層(III)の密着性を良好とし、かつ、インクジェット記録用紙の給排紙性を良好とするプライマー塗工層(II)は、
(a) 次の単量体(i)、(ii)および(iii)を共重合して得た重合体の三級窒素原子をカチオン化剤で四級化いた両性化物である、四級窒素含有アクリル系樹脂: 100重量部に、
【化3】
(iii) 他の疎水性ビニル単量体 0〜20重量%
〔ただし、各式中、R1 はHまたはCH3 、R2 は炭素数1〜18のアルキル基、R3 およびR4 はそれぞれHまたは炭素数1〜2のアルキル基、Aは炭素数2〜6のアルキレン基である。〕
【0030】
(b) ポリエチレンイミン、ポリ(エチレンイミン−尿素)及びポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、又は、これらのアルキル変性体、アルケニル変性体、ベンジル変性体、もしくは、脂肪族環状炭化水素変性体からなる群より選ばれたポリイミン系化合物: 20〜300重量部
(c) ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物:20〜300重量部
の割合で配合された組成物の水溶液を支持体(I)の表面に塗布し、乾燥して得られたものである。
【0031】
(a)成分である四級窒素含有アクリル系樹脂は、帯電防止に寄与するプライマ ーであり、これについては特公平2−2910号公報に記載されている。
(ii)の単量体の例示としては、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、カプリルアクリレート、ステアリルメタクリレート等を挙げることができる。
(iii)の疎水性ビニル単量体としては、スチレン、塩化ビニル等が利用できる。
【0032】
(b)成分のポリイミン系化合物は、接着力を強化するプライマーで、例えば、次の一般式
【化4】
(式中、R5 〜R8 はそれぞれ独立に、H、炭素数が1〜24のアルキル基若しくはアルケニル基、脂肪族環状炭化水素基又はベンジル基であり、mは0〜300、n、p及びqはそれぞれ1〜300の数値を表わす。)
で示されるポリエチレンイミン、及びポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、又は、これらのアルキル変性体、アルケニル変性体、ベンジル変性体、若しくは、脂肪族環状炭化水素変性体からなる群より選ばれたポリイミン系化合物および、ポリ(エチレンイミン−尿素)が挙げられる(特公平2−2910号、特開平1−141736号)。
【0033】
(c)成分のポリアミンポリアミド・エピクロルヒドリン付加物も、接着力を強化するプライマーで、かかるものとしては、炭素数3〜10の飽和二塩基性カルボン酸とポリアルキレンポリアミンとからのポリアミドをエピクロルヒドリンと反応させて得られる水溶性で陽イオン性の熱硬化性樹脂である。このような熱硬化性樹脂の詳細については、特公昭35−3547号公報に詳細に述べられている。
【0034】
上記炭素数3〜10の飽和二塩基性カルボン酸の具体例としては、炭素数4〜8のジカルボン酸、特にアジピン酸が挙げられる。
また、上記ポリアルキレンポリアミンの具体例としては、ポリエチレンポリアミン、特にエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンであり、就中ジエチレントリアミンである。
【0035】
これらの成分の他に、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、水酸化バリウム、メタ珪酸ナトリウム、ピロ燐酸ソーダ(Na4 P2 O7 ・10H2 O)、トリポリ燐酸ソーダ(Na5 P3 O10・6H2 O)、第一燐酸ソーダ(NaH2 PO4 ・2H2 O)、カリ明礬(KAl(SO4 )2 ・12H2 O)、アンモニウム明礬(Al(NH4 )(SO4 )2 ・12H2 O)等の無機化合物を配合することができる。
【0036】
これら(a)、(b)、(c)成分は、通常、固形分量が一般に0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の濃度の水溶液(塗工剤)として用いられる。
また、プロピレン系樹脂フィルムへの塗布量は、固形分量で一般に0.005〜10g/m2 、好ましくは0.02〜5g/m2 の範囲である。
プライマーの塗布方法としては、ロール、ブレード、エアーナイフ、サイズプレス等の通常の塗布方式を採用することができる。
【0037】
これら(a)、(b)および(c)成分の割合は、(a)の窒素含有アクリル系樹脂100重量部に対し、(b)のポリイミン系化合物が20〜300重量部、好ましくは、20〜100重量部、(c)のポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物が20〜300重量部、好ましくは35〜200重量部である。これらの組成を保つことにより、ホットメルト型インクジェット記録用紙の帯電防止性が保持され、インク受容層(III)と支持体(I)の密着力が高いものとなる。
【0038】
(III)インク受容層:
インク受容層は、スチレン・無水マレイン酸共重合体、スチレン・アクリル酸アルキルエステル共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール基を含むエチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、メチルエチルセルロース、ポリアクリル酸ソーダ、でんぷん、ポリエチレンポリアミン、ポリエステル、ポリアクリルアミド、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体、カチオン変性ポリウレタン樹脂、第3級窒素含有アクリル系樹脂(特開昭62−148292号公報)等の樹脂をバインダーとし、これにインクの密着性を良好とするために合成シリカ、アルミナヒドロゾル、タルク、炭酸カルシウム、クレイ、酸化チタン、酸化亜鉛あるいは中空型メラミン樹脂フィラー、中空ポリスチレンフィラー等のプラスチックピグメントを配合したもので、必要により更にインクセット剤、紫外線吸収剤、界面活性剤等が配合されたものである。バインダー樹脂は、8〜60重量%、好ましくは10〜40重量%、ピグメントは92〜40重量%、好ましくは90〜60重量%用いられる。
【0039】
ピグメントは、ベタ印刷を良好とするために2種以上併用するのが好ましく、JIS K−5101に準じて測定した吸油量が60〜100ml/100gのもの、例えば炭酸カルシウム等をピグメント中30〜60重量%、吸油量(JIS K−5101)が15〜60ml/100gのもの、例えばタルク、クレイ、酸化チタン、酸化亜鉛等をピグメント中70〜40重量%用いるとよい。
【0040】
インクセット剤としては、ポリエチレンイミンの3級アンモニウム塩、4級アンモニウム基を共重合成分として含むアクリル共重合体、ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物等が挙げられる。
支持体へのインク受容層の形成は、上記成分を含有する塗工剤を支持体(I)の表面に形成されたプライマー塗工層(II)側に5〜50g/m2 、好ましくは5〜30g/m2 (固型分量)の割合で塗布し、乾燥させることにより得られる。
必要により乾燥した塗工層の表面にスーパーカレンダー処理を行って塗工層(インク受容層)を平滑にする。
【0041】
ホットメルト型インク:
ホットメルト型インクは、5〜30℃の温度では固体(ソリッド)状態で、50〜150℃、好ましくは70〜135℃の温度で溶融するホットメルト型インクで、業界ではソリッドインク、或いはフェーズチェンジインクとも呼ばれ、一般的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリシリコン、クマロン樹脂、パラフィンワックス、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体の金属塩(K、Zn、Na、Al等)、エチレン・アクリル酸アルキルエステル共重合体(アルキル基の炭素数は1〜4)、脂肪酸誘導体等の融点が50〜150℃の一種または2種以上の熱溶融性固体物質に、油溶性染料を0.1〜15重量%、好ましくは1〜8重量%の含有させたものである。更に必要により界面活性剤、可塑剤、防錆剤、紫外線吸収剤、有機溶剤、酸化防止剤、粘度低下防止剤等が配合される(前述の特許公報群参照)。インク中の熱溶融性固体物質の含有量は、30〜99重量%用いられる。
【0042】
前記脂肪酸誘導体としては、例えば、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、脂肪酸アミド、N−置換脂肪酸アミド、グリセライドなどから選ばれる少なくとも1種または2種以上を混合して用いることができる。脂肪酸アミドとしては、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸エステルアミド、パルミチン酸アミド、ベヘン酸アミド、ブラシジン酸アミドなどから選ばれる少なくとも1種または2種以上を混合して用いることができる。N−置換脂肪酸アミドとしてN,N’−2−ヒドロキステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−キシレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸モノメチロールアミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどから選ばれる少なくとも1種または2種以上を混合して用いることができる。グリセライドとしては、硬化ひまし油、部分水添加ひまし油、大豆油の極度硬化油、ナタネ油の極度硬化油、植物性極度硬化油などから選ばれる少なくとも1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0043】
油溶解性染料(Solvent Dye)としては、具体的には、次に述べるようなものがある。
<マゼンタ染料> MS Magenta VP、MS Magenta HM−1450、MS Magenta HSo−147(以上三井東圧社製:商品名)、AIZENSOT Red−1、AIZEN SOT Red−2、AIZEN SOTRed−3、AIZEN SOT Pink−1、SPIRON Red GEH SPECIAL(以上保土谷化学社製:商品名)、RESOLIN Red FB 200%、MACROLEX Red VioletR、MACROLEX ROT5B(以上バイエルジャパン社製:商品名)、KAYASET Red B、KAYASETRed 130、KAYASETRed 802(以上日本化薬社製:商品名)、PHLOXIN、ROSE BENGAL、ACID Red(以上ダイワ化成社製:商品名)、HSR−31、DIARESEN Red K(以上三菱化学社製:商品名)、Oil Red(BASFジャパン社製:商品名)等。
【0044】
<シアン染料> MS Cyan HM−1238、MS Cyan HSo−16、Cyan HSo−144、MS Cyan VPG(以上三井東圧社製:商品名)、AIZEN SOT Blue−4(保土谷化学社製:商品名)、RESOLEN BR.Blue BGLN 200%、MACROLEX Blue RR、CERES Blue GN、SIRIUS SUPRATURQ.Blue Z−BGL、SIRIUS SUPRA TURQ.BlueBF−LL330%(以上バイエルジャパン社製:商品名)、KAYASETBlue FR、KAYASET Blue N、KAYASET Blue814、Turq.Blue GL−5 200、Light Blue BGL−5 200(以上日本化薬社製:商品名)、DAIWA Blue 7000、Oleosol Fast Blue GL(以上ダイワ化成社製:商品名)、DIARESIN Blue P(三菱化学社製:商品名)、SUDANBlue 670、NEOPEN Blue 808、ZAPON Blue806(以上BASFジャパン社製:商品名)等。
【0045】
<イエロー染料> MS Yellow HSm−41、Yellow KX−7、Yellow EX−27(以上三井東圧社製:商品名)、AIZEN SOT Yellow−1、AIZEN SOT Yellow−3、AIZEN SOT Yellow−6(以上保土谷化学社製:商品名)、MACROLEX Yellow 6G、MACROLEX FLUOR.Yellow 10GN(以上バイエルジャパン社製:商品名)、KAYASET YellowSF−G、KAYASET Yellow2G、KAYASET Yellow A−G、KAYASET Yellow E−G(以上日本化薬社製:商品名)、DAIWA Yellow 330HB(ダイワ化成社製:商品名)、HSY−68(三菱化学社製:商品名)、SUDAN Yellow 146、NEOPEN Yellow 075(BASFジャパン社製:商品名)等。
【0046】
<ブラック染料> MS Black VPC(三井東圧社製:商品名)、AIZEN SOT Black−1、AIZEN SOT Black−5(以上保土谷化学社製:商品名)、RESORIN Black GSN 200%、RESORIN BlackBS(以上バイエルジャパン社製:商品名)、KAYASET Black A−N(日本化薬社製:商品名)、DAIWA Black MSC(ダイワ化成社製:商品名)、HSB−202(三菱化学社製:商品名)、NEPTUNE Black X60、NEOPEN BlackX58(以上BASFジャパン社製:商品名)等。
【0047】
ホットメルト型インクジェット記録装置:
ホットメルト型インクジェット記録装置についても、数多くの特許が出願されており、実用化されている(特公表3−501470号、特開平2−299851号、特開平5−202327号、特開平7−133451号、同8−11300号、米国特許第5459501明細書、米国特許第5170187明細書、米国特許第5371527明細書、英国特許第32211471号明細書、特開昭62−135375号、特開平7−257013号、同7−186518号、特公表3−504170号などの公報等)。市販品としては、データプロダクト社製のホットメルトドロップデマンドプリンタSI−480、日立工機(株)製のソリッドインクジェットカラープリンタJOLT、ソニーテクトロニクス(株)製のPhaser300JS等が挙げられる。
【0048】
図1にホットメルト型インクジェットカラープリンタの一例を示す。図中、1はカラープリンタ装置、2はインクパック、3はインクカセット、4はインクローダー、5は固形インク、6はプリントヘッド、7は用紙カセット、8は記録用紙、9はヘッドキャレッジ、10は用紙ピックローラー、11は用紙送りモーター、12は用紙送りベルト、13は印刷済用紙、14は用紙受け、15は制御基盤、16はヘッド送りモーターである。
【0049】
図2は、プリントヘッド6のノズルの部分断面図を示す。図中、17はインク温度制御用ヒータ、19は、シアン、マゼンタ、イエロー等のカラーインク噴射ノズル、20はフット(PZT変位伝達機構)、21はPZTである。
この図2のノズルにおいて、墨インク用プリントヘッド18’と、シアン、マゼンタ、イエロー用のプリントヘッド19’は下と上にそれぞれ重ねられ、底にあるインク温度制御用ヒータ17でそれぞれのヘッド18’、19’を暖め、固形インクを溶融粘度約10mPa・Sの液体インクにし、加圧室31に供給される。PZT(ピエゾセラミック)アクチェエータ21を用いて加圧室31のダイアフラムに微少変位を与え、インク室内へのインクの微少吸入とノズル18、19から液滴として用紙上に噴射される。
【0050】
プリンタ装置1を用いての印刷は、プリンタの前面にある用紙カセット7に収納されているインクジェット記録用紙8を用紙ピックローラ10により一枚一枚引き出され、モーター11で回転する用紙送りベルト12に用紙は吸着され、プリントヘッド6の前面を通過しながら印刷され、前記用紙送りベルトにより用紙受け14に印刷面が下になるように印刷された用紙13は積み上げられる。
【0051】
インクの補充は、インクカセット3の上方からインクパック2内に入っているインクペレットをインクカセット3中に入れる。プリントヘッド6は、ヘッドキャレッジ9によって左右に移動可能であり、キャリッジ9に載っているプリントヘッド6(18’、19’)にはシアン、マゼンタ、イエローのそれぞれ十六本のノズルを一列に並べたノズル組一本19とブラック(墨)ノズル組一本18が載っている。
【0052】
印刷:
本発明のホットメルト型インクジェット記録用紙はそれ自身耐水性を有し、屋外での使用も可能である。又、記録用紙の支持体は延伸フィルムであり、腰強度が高く、かつ、プライマー塗工層が帯電防止性を有するので給排紙操作が良好である。
更に、特殊組成のプライマー塗工層(II)が存在する故に、インク受容層(III)と支持体(I)との密着性に優れるので、印刷インクの密着性が強固であり、印刷表面を指でこすったり、印刷された用紙を折り畳んでも、印刷が剥れることはない。
【0053】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
支持体(A)の製造例
(例1)
(1) MFR1.0g/10分のポリプロピレン81重量%に、高密度ポリエチレン3重量%及び平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム16重量%を混合した組成物(A)を270℃に設定した押出機にて混練した後、シート状に押し出し、冷却装置により冷却して、無延伸シートを得た。そして、このシートを140℃の温度にまで再度加熱した後、縦方向に5倍延伸した。
(2) MFRが4.0g/10分のポリプロピレン54重量%と、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム46重量%を混合した組成物(B)を別の押出機にて混練させた後、これをダイよりシート状に押し出し、これを(1)の5倍延伸フィルムの両面に積層し、三層構造の積層フィルムを得た。次いで、この三層構造の積層フィルムを60℃まで冷却した後、再び約160℃の温度にまで加熱して、テンターを用いて横方向に7.5倍延伸し、165℃の温度でアニーリング処理して、60℃の温度にまで冷却し、コロナ放電処理した後、耳部をスリットして三層構造(一軸延伸/二軸延伸/一軸延伸)の、肉厚110μm(B/A/B=25μm/60μm/25μm)、白色度96%、不透明度94%の合成紙を得た。また、各層の空孔率は、(B/A/B=30%/33.7%/30%)であった。又、この合成紙の表面層(B)のベック平滑度(JIS P−8119)は570秒であった。
【0054】
(例2)
(1) MFR0.8g/10分のポリプロピレン81重量%に、高密度ポリエチレン3重量%及び平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム16重量%を混合し、270℃に設定した押出機にて混練後、シート状に押し出し、冷却装置により冷却して、無延伸シートを得た。そして、このシートを再度加熱した後、縦方向に5倍延伸した。
【0055】
(2) MFRが4.0g/10分のポリオレフィン53重量%と、マレイン酸含量が0.5重量%のマレイン酸変性ポリプロピレン5重量%と平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム42重量%とを混合した組成物(A)を、270℃に設定した押出機により溶融混練したものと、MFR4.0g/10分のポリプロピレン55重量%と平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム45重量%とを混合した組成物(B)を270℃に設定した別の押出機で溶融混練したものとダイ内で積層し、上記(1)にて得られた縦方向5倍延伸シートの両面に共押出した。
【0056】
前記五層積層物を160℃の加熱オーブン中で、横方向に7.5倍の延伸を行い、ついで163℃でアニーリング処理し、コロナ放電処理して、五層の構造(B/A/C/A/B)のフィルムからなる肉厚80μm(17/3/40/3/17μm)の合成紙を得た。B層の密度は1.04g/cm3 、ベック平滑度は170秒であった。また、各層の空孔率は、14.9%/14.9%/26.4%/14.9%/14.9%であった。
【0057】
プライマー塗工剤の製造例
(例3)
下記の組成の塗工剤を用いた。
(a) 次のユニットの三元共重合体 0.5重量%
【化5】
28モル%
−CH2 −CH2 −COOC4 H4 56モル%
−CH2 −CH2 −COOC18H37 16モル%
(b) ブチル化変性ポリエチレンイミン 0.3重量%
(c) 水溶性ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物(日本PMC(株)製「WS−570:商品名」) 0.5重量%
(d) 水 残余
【0058】
(例4)
下記の組成の塗工剤を用いた。
(a) 次のユニットの四元共重合体 1.5重量%
【化6】
34モル%
−CH2 −CH2 −COOC4 H9 46モル%
【0059】
【化7】
8モル%
【化8】
12モル%
【0060】
(b) 下記の製法で得たブチル化変性ポリエチレンイミン 0.2重量%
攪拌機、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコ内に、日本触媒(株)製ポリエチレンイミン“エポミン P−1000”(商品名;重合度1600)の25重量%水溶液100部、n−ブチルクロライド10部及びイソプロピルアルコール10部を入れて、窒素気流下で攪拌し、80℃の温度で20時間変性反応を行って20.8重量%濃度のブチル変性ポリエチレンイミン水溶液を得た。
【0061】
(b’) ポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物(BASF社製ポリミンSN) 0.3重量%
(c) 水溶性ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物(WS−570) 0.5重量%
(d) 水 残余
【0062】
(例5)
下記の組成の塗工剤を用いた。
(a) 例3の(a)成分の第四級窒素含有アクリル系樹脂 0.5重量%
(b) 下記の製法で得たシクロペンチル化変性エチレンイミン系重合体
0.1重量%
【0063】
攪拌機、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコ内に、日本触媒(株)製ポリエチレンイミン“エポミン P−1000”(商品名;重合度1600)の25重量%水溶液100部、シクロペンチルクロライド13部及びイソプロピルアルコール10部を入れて、窒素気流下で攪拌し、80℃の温度で20時間変性反応を行って20.8重量%濃度のシクロペンチル変性ポリエチレンイミン水溶液を得た。
【0064】
(b’) ポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物(BASF社商品名ポリアミンSN) 0.3重量%
(c) ポリアミンポリアミド・エピクロルヒドリン付加物(WS−570)
0.5重量%
(d) 水 残余
【0065】
インク受容層塗工剤の製造例
(例6)
表1のインク受容層組成の欄に示す固型分割合の塗工剤を用いた。なお、塗工剤は水で分散されており、固型分濃度を水で55重量%に調製した。
用いたピグメント、樹脂バインダー、インクセット剤は次のものを用いた。
珪藻土 : 吸油量 42ml/100gのもの
軽質炭酸カルシウム: 吸油量 63ml/100gのもの
シリカ : 吸油量263ml/100gのもの
クレー : 吸油量 46ml/100gのもの
PP : プラスチックピグメント(アクリル・スチレン共重合体の中空粒子)
バインダー1 : 三井東圧(株)のアクリル酸エステル系樹脂エマルジョン“ボンロンS−282”(商品名)を用いた。
バインダー2 : コニシ(株)のスチレン・アクリル酸アルキルエステル共重合体エマルジョン“SP−220”(商品名)を用いた。
インクセット剤 : ポリアミン・ポリアミドのエピクロルヒドリン付加物
【0066】
【実施例1】
例1の合成紙の表裏面に、例3のプライマー塗工層を固型分量で各々0.2g/m2 となるように塗布し、65℃で乾燥した。
乾燥したプライマー層の一方の面に、表1に示す組成のインク受容層用塗工剤を固型分量が10g/m2 となる量塗布し、100℃で乾燥してインク受容層/プライマー塗工層/合成紙/プライマー塗工層の構造のインクジェット記録用紙を得た。
【0067】
このインクジェット記録用紙に、ソニーテクトロニクス(株)製のフェイズ・チェンジ・インクジェット方式のカラープリンタ“Phaser 300JS”(商品名)を用い、ホットメルト型インクとして同社の墨インク(016−1123−00)、シアンインク(016−1124−00)、マゼンタインク(016−1125−00)およびイエローインク(016−1126−00)を用い、インク溶解温度(78〜85℃)で噴射させ、インクジェット印刷を行った。
【0068】
(評価)
(1)ベタ均一印刷性:
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラーインクで発色させたベタ部分について倍率100倍の光学顕微鏡で均一度合を観察し、目視で下記の3段階に評価した。
◎ : ベタ部分に抜けが無く均一。
○ : ベタ部分に若干の均一抜けあるいが、実用上は問題ない。
× : ベタ部分にかなりの白抜けあり、実用上問題である。
【0069】
(2)インク密着性:
印刷面にニチバン(株)製の粘着テープ商品名「セロテープ LP−24」を張り付け、玉状にしたガーゼで軽く押しながら5回擦り、素早くテープを剥離してインキ接着性を評価した。
インクの密着性を次の5段階で評価した。
○;全くインクが剥離しない(実用上問題ない)。
△;僅かな部分のインクが剥離した(実用上問題ない)。
×;剥離部分が25〜50%程度であった。
【0070】
(3)折り畳み時の印刷の剥れ部の有無:
印刷された記録用紙を8つ折りし、開いて折り目部分の印刷インクが剥がれていないか否か調査した。
○・・・剥れなし。
×・・・剥れあり。
【0071】
(4)記録用紙の印刷時の熱収縮の有無:
2%以上の熱収縮があったものを不良(×)、熱収縮が2%未満で問題がないものを良好(○)とした。
(5)給排紙性:
連続して記録用紙1,000枚をホットメルト型インクジェットプリントする際の用紙の詰まった回数を示す。
【0072】
【実施例2〜9】
合成紙、プライマー塗工剤、インク受容層塗工剤およびその塗工量を表1のように変更する他は実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を製造し、評価した。
結果を表1に示す。
【0073】
【比較例1】
実施例1において、プライマー塗工層を設けずに、直接、合成紙上にインク受容層を設ける他は同様にして記録用紙を製造し評価した。
結果を表1に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
【発明の効果】
インクの密着力が良好で、かつ、給排紙性の優れたホットメルト型インクジェット記録用紙である。
印刷された用紙は耐水性に優れるので屋外ポスター、CAD用紙としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ホットメルト型インクジェットプリンタの一例を示す平面概略図である。
【図2】プリントヘッドのノズル部分の断面概略図である。
【符号の説明】
1 カラープリンター装置
2 インクパック
3 インクカセット
4 インクローダー
5 固形インク
6 プリントヘッド
7 用紙カセット
8 記録用紙
9 ヘッドキャレッジ
10 用紙ピックローラー
11 用紙送りモーター
12 用紙送りベルト
13 印刷済用紙
14 用紙受
15 制御基盤
16 ヘッド送りモーター
17 インク温度制御用ヒーター
18 墨インク用ノズル
18’墨インク用プリントヘッド
19 シアン、マゼンタ、イエロー等のカラーインク用ノズル
19’シアン、マゼンタ、イエロー等のカラーインク用プリントヘッド
20 オリフィス
21 フット(PZT変位伝達機構)
22 PZTアクチュエータ
31 加圧室
Claims (3)
- 常温で固体状のホットメルト型インクを加熱溶融して飛翔された溶融インクを受容して記録するホットメルト型インクジェット記録用紙において、該記録用紙は、無機微細粉末含有熱可塑性樹脂からなる延伸フィルムであって、該延伸フィルムの空孔率が5〜50%、肉厚20〜700μmの延伸フィルムを支持体(I)とし、この支持体(I)の表面に下記の組成のプライマー塗工層(II)を介して下記の組成のホットメルト型インクの受容層(III)が設けられた構造のホットメルト型インクジェット記録用紙。
プライマー塗工層(II)は、
(a) 下記の単量体(i)、(ii)および(iii)を共重合して得た重合体の三級窒素原子をカチオン化剤で四級化した両性化物である、四級窒素含有アクリル系樹脂:
100重量部に、
〔ただし、各式中、R1 はHまたはCH3 、R2 は炭素数1〜18のアルキル基、R3 およびR4 はそれぞれHまたは炭素数1〜2のアルキル基、Aは炭素数2〜6のアルキレン基である。〕
(b) ポリエチレンイミン、ポリ(エチレンイミン−尿素)及びポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、又は、これらのアルキル変性体、アルケニル変性体、ベンジル変性体、もしくは、脂肪族環状炭化水素変性体からなる群より選ばれたポリイミン系化合物: 20〜300重量部、
(c) ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物: 20〜300重量部、
の割合で配合された組成物の水溶液を塗布し、乾燥して得られたものである。
ホットメルト型インクの受容層(III)は、ピグメントを40〜92重量%、樹脂バインダーを8〜60重量%含有するものであり、ピグメントは、該ピグメント中の吸油量(JIS K−5101)が60〜100ml/100gであるものが30〜60重量%、吸油量が15〜60ml/100gのピグメントが70〜40重量%を占める混合物を用いた層である。 - 支持体(I)が、無機微細粉末を5〜40重量%含有するポリプロピレンの二軸延伸フィルムを基材層とし、その基材層の表裏面に無機微細粉末を8〜65重量%含有するポリプロピレンの一軸延伸フィルムを表裏層とする積層延伸フィルムであって、該積層延伸フィルムの表裏層のJIS P−8119によるベック平滑度が100〜2,000秒であることを特徴とする、請求項1記載のホットメルト型インクジェット記録用紙。
- 支持体(I)の裏面層側にもプライマー塗工層(II)が設けられてなる、請求項1記載のホットメルト型インクジェット記録用紙。
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