JP3941605B2 - カーナビゲーション装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カーナビゲーション装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のカーナビゲーション装置として、複数の経路を探索し(複数経路探索機能)、その複数の経路の中からユーザが選択した1つの経路を案内する(経路案内機能)ものがある。このうち、複数経路探索機能は、ユーザによって設定された出発地から目的地までの複数の異なる経路を自動的に探索するものである。この経路探索においては、予めユーザが指定した道路種別(例えば、一般道路、有料道路等)や経由地点等の条件を基準として複数の経路が探索される。探索された複数の経路は、例えば、カーナビゲーション装置の表示画面に表示され、ユーザはこの表示された複数の経路の中から、自らの趣向に基づいて1つの経路を選択する。一方、経路案内機能は、ユーザの選択した1つの経路を表示画面に表示しながら、目的地まで案内するものである。経路案内中には、目的地までの距離や到着予想時間等の自車両の進行状況に関する情報がユーザに提供され、ユーザは、これらの情報を参照することによって、案内経路における自車両の進行状況を把握する。
【0003】
このように、従来のカーナビゲーション装置は、探索した複数の経路の中からユーザが選択した1つの経路に対して、自車両の進行状況をユーザに提供しながら目的地まで案内する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のカーナビゲーション装置は、ユーザ自らが選択した1つの経路における自車両の進行状況のみ提供されるため、他の経路を走行していた場合の進行状況や目的地への到着時間を経路毎に比較することができなかった。そのため、ユーザは、前回と同じ出発地から目的地までの経路を走行する場合、探索された複数の経路のうち、どの経路が最も早く目的地に到着できるのかといった判断をすることができなかった。
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点を鑑みてなされたもので、経路案内の経路として選択しない経路を仮想的に走行する仮想自車両の位置をユーザに提供することができるカーナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のカーナビゲーション装置は、道路地図データを格納する地図データ格納手段と、出発地から目的地までの複数経路を道路地図データに基づいて探索する複数経路探索手段と、この複数経路探索手段によって探索された複数経路のうち、1つの経路を走行経路として設定する経路設定手段とを備えるカーナビゲーション装置であって、車両の速度を検出する車速検出手段と、この車速検出手段により検出される車両の速度に基づいて車両の速度変動パターンを学習する車速変動パターン学習手段とを有し、この車速変動パターンに基づいて加減速を行う仮想的な車両が、走行経路を走行する車両の出発時刻と同時刻に走行経路以外の各経路を出発したと仮定して、出発後の各経路における仮想的な車両の位置を各々算出する仮想自車位置算出手段を有することを特徴とする。
【0007】
このように、本発明のカーナビゲーション装置は、ユーザが運転する車両の車速変動パターンを学習し、この車速変動パターンに基づいて仮想的に走行する車両(以下、仮想自車と呼ぶ)の走行経路以外の経路上の位置を算出する。従って、仮想自車は、ユーザが運転する車両と同じような車速変動パターンで走行するため、算出される仮想自車の位置は、あたかもユーザ自身が運転した場合と同じような結果となる。
【0008】
これにより、走行経路を走行するユーザに対して、例えば、この仮想自車の位置を提供することで、経路毎の各車両の進行状況や目的地への到着時間を比較することができる。その結果、次回に同じ出発地から目的地までの経路を走行する場合、どの経路を選択すれば最短時間で目的地に到達できるか等の判断とすることが可能となる。
【0009】
請求項2に記載のカーナビゲーション装置では、季節、曜日及び時間帯別に道路毎の静的走行速度を記憶する静的情報記憶手段をさらに備え、仮想自車位置算出手段は、静的情報記憶手段によって記憶される道路毎の静的走行速度に基づいて仮想的な車両の位置を算出することを特徴とする。
【0010】
例えば、山岳地帯付近の道路では、冬季において積雪のため法定制限速度よりも低い速度で走行したりすることがある。また、観光地付近の道路では、休日に多く訪れる観光客等の車両により渋滞したり、市街地内の道路においては、通勤時間帯に渋滞したりすることがある。
【0011】
このように、季節、曜日、或いは時間帯等によって、車両の走行可能な速度は変動する。従って、これらの道路毎の静的な走行速度を記憶しておき、この静的な走行速度に基づいて仮想自車の位置を算出することで、現実に発生しそうな渋滞等による走行速度の低下を再現することが可能となり、その結果、より現実の走行にマッチした仮想自車の位置をユーザへ提供することが可能となる。
【0012】
請求項3に記載のカーナビゲーション装置によれば、車両の外部から道路交通情報を受信する外部情報受信手段と、この外部情報受信手段によって受信される道路交通情報から、走行経路以外の各経路に該当する道路の動的走行速度を算出する動的走行速度算出手段とをさらに備え、仮想自車位置算出手段は、動的走行速度算出手段によって算出される道路の動的走行速度に基づいて仮想的な車両の位置を算出することを特徴とする。
【0013】
時々刻々と変化する道路の交通状況は、例えば、VICS(Vehicle Information and Communication System)やインターネットを介して道路交通情報提供サーバ等からリアルタイムに取得することが可能である。従って、これらのリアルタイムな外部情報による動的走行速度に基づいて仮想自車の位置を算出することで、現実に発生している渋滞や通行規制等を加味した仮想自車の位置をユーザへ提供することが可能となる。
【0014】
請求項4に記載のカーナビゲーション装置は、車両が交差点で停止する確率を算出する交差点停止確率算出手段と、仮想的な車両が、走行経路以外の各経路上の各交差点に停止するか否かを確率に基づいて判断する交差点停止有無判定手段とをさらに備え、仮想自車位置算出手段は、交差点の停止有無を加味して仮想的な車両の位置を算出することを特徴とする。
【0015】
通常、車両が一般道路を走行する場合には、信号機を有する交差点で停止することが多々あるが、この交差点で停止する回数や時間等によって、目的地までの到着時間が変動する。特に、市街地内を通過する道路においては、信号で車両が停止する回数が著しく多くなると考えられる。従って、経路に含まれる交差点での停止有無を加味することで、より現実の走行状況にマッチした仮想自車の位置を算出することができる。
【0016】
請求項5に記載のカーナビゲーション装置では、走行経路以外の各経路における仮想的な車両が目的地に到着した場合、この到着に関する情報をユーザへ報知する報知手段を有することを特徴とする。
【0017】
これにより、ユーザに対して、例えば、経路毎の各車両の到着時間を提供することで、ユーザは、経路毎の到着時間を比較することができるようになる。その結果、ユーザは、次回から最短時間の経路を走行経路として設定することが可能となる。
請求項6に記載のカーナビゲーション装置によれば、
車速変動パターン学習手段は、
速度変動パターンとして、車両の加速状態の規範となる加速規範マップ、減速状態の規範となる減速規範マップ、及び定速走行状態の規範となる定速規範走行速度を有し、
加速規範マップ、及び減速規範マップは、車両が実際に走行する際の車速変動に基づいて生成し、
定速規範走行速度は、平均的に車両が走行する速度から生成するものであることを特徴とする。
請求項7に記載のカーナビゲーション装置では、仮想自車位置算出手段は、仮想的な車両が定速規範走行速度に基づく基本走行速度で走行するものとして算出し、
交差点停止有無判定手段が仮想的な車両が前方の交差点で停止すると判定したとき、減速規範マップにおける減速開始時の車速が基本走行速度と一致しない場合には、減速開始時の車速を基本走行速度となるように減速規範マップを補正する減速規範マップ補正手段を備え、
仮想自車位置算出手段は、減速規範マップ補正手段によって補正された減速規範マップを用いて前方の交差点付近に位置する仮想的な車両の減速開始地点を算出することを特徴とする。
請求項8に記載のカーナビゲーション装置によれば、加速規範マップの加速終了時の車速が前方の交差点より先の経路における基本走行速度と一致しない場合には、加速終了時の車速を基本走行速度となるように加速規範マップを補正する加速規範マップ補正手段を備え、
仮想自車位置算出手段は、仮想的な車両が前方の交差点に到達して所定時間が経過した以降は、加速規範マップ補正手段によって補正された加速規範マップを用いて仮想的な車両の位置を算出することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態におけるカーナビゲーション装置に関して、図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係わるカーナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、本実施形態のカーナビゲーション装置は、位置検出器1、地図データ格納手段としての地図データ入力器8、操作スイッチ群9、これらに接続されたナビゲーションECU7を備えている。さらに、ナビゲーションECU7に接続された報知手段としての表示装置10、外部情報受信手段としてのVICS受信機11、及び携帯電話接続装置12を備えている。なお、ナビゲーションECU7は通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、入出力回路、及びこれらの構成を接続するバスラインが備えられている。ROMには、ナビゲーションECU7が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が所定の演算処理を実行する。
【0020】
位置検出器1は、いずれも周知の地磁気センサ2、ジャイロスコープ3、車速検出手段としての車速センサ4、及び衛星からの電波に基づいて車両の位置(緯度・経度)を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機5、及び車両の進行方向に発生する加速度を検出する加速度センサ6を有している。これらは、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお各センサの精度によっては、位置検出器1を上述した内の一部で構成してもよく、更にステアリングの操舵位置を検出する回転センサ、各転動輪の回転速度を検出する車輪速センサなどを用いてもよい。
【0021】
地図データ入力器8は、ノードデータ、リンクデータ、地名等の目印データ等の地図を描画するために必要な地図データをナビゲーションECU7に入力する装置である。さらに、後述する道路毎の季節、曜日及び時間帯別の走行速度に関するデータ等もナビゲーションECU7へ入力したりする。この地図データ入力器8は、地図データを記憶する記憶媒体や、走行速度に関するデータ等を記憶する記憶媒体(静的情報記憶手段)を備え、各々の記憶媒体としては、そのデータ量からCD−ROMやDVD−ROM等を用いるのが一般的であるが、メモリカードやハードディスクなどの書き換え可能な媒体を用いてもよい。
【0022】
ここで、ノードデータ及びリンクデータの構成についての詳細を説明する。ノードデータは、複数の道路が交差、合流、分岐するノード毎に固有の番号を付したノードID、ノード座標、ノード名称、ノードに接続する全てのリンクのリンクIDが記述される接続リンクID、交差点種類、信号機の有無、規制情報等の各データから構成されている。
【0023】
一方、リンクデータは、道路毎に固有の番号を付したリンクID、リンク長、始点及び終点のノード座標、高速道路、有料道路、一般道路、市街地/郊外道路等の道路種別、道路幅員、車線数、リンク走行時間、法定制限速度等の各データから構成されている。このうち、リンクデータのリンクとは、地図上の各道路を、交差点、分岐点などを示すノードにより複数に分割し、2つのノード間をリンクとして規定したものである。なお、始点及び終点のノード座標には、リンクの始端と終端の座標が記述される。
【0024】
また、道路毎に季節、曜日及び時間帯別の走行速度に関するデータについての詳細を説明する。例えば、山岳地帯付近の道路では、冬季において積雪のため法定制限速度よりも低い速度で走行したり、また、観光地付近の道路では、休日に多く訪れる観光客等の車両により渋滞したりする。さらに、市街地内の道路においては、通勤時間帯に渋滞したりすることがある。
【0025】
このように、季節、曜日、或いは時間帯が異なれば、同じ道路であっても車両の走行可能な速度は変動する。そこで、例えば、予め道路を構成するリンク毎に季節、曜日、及び時間帯別の走行速度(以下、静的走行速度と呼ぶ)を設定し、この設定を記憶しておく。そして、ナビゲーションECU7からの要請に応じて、リンク毎の季節、曜日、及び時間帯別の静的走行速度をナビゲーションECU7へ入力する。なお、静的走行速度については、ユーザによって任意に設定できるものであっても良い。
【0026】
操作スイッチ群9は、例えば表示装置10と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチとして構成され、各種入力に使用される。表示装置10は、例えば液晶ディスプレイによって構成され、表示装置10の画面には位置検出器1によって検出された車両の現在位置に基づいて表示される自車両マーク、地図データ入力器8より入力される地図データ、更に地図上に強調表示される航行経路等の付加データ等が表示される。
【0027】
VICS受信機11は、道路に敷設されたビーコンや各地のFM放送局を介して、VICSセンタから配信される道路交通情報等の情報を受信する装置である。受信した情報は、ナビゲーションECU7で処理し、例えば渋滞情報や規制情報等は地図上に重ねて表示する。
【0028】
携帯電話接続装置12は、携帯電話を接続するための装置であり、携帯電話を接続することでインターネットへの接続も可能となる。これにより、ナビゲーションECU7は、インターネット上において提供される渋滞情報や規制情報等の道路交通情報を収集することが可能となる。なお、本実施形態のような携帯電話接続装置12を用い、携帯電話を介してインターネットに接続するものに限らず、インターネットに直接接続することが可能な通信モジュールであっても良い。
【0029】
次に、本発明の特徴である、車速変動パターン学習手段としての自車両の速度に基づいて速度変動パターンを学習する処理(加減速マップ更新処理)について、図2〜図4のフローチャートを用いて説明する。その後、この加減速マップを用いた、自車両の走行経路として選択しない各経路を仮想的に走行する仮想自車の位置を算出する処理について、図5〜図7に示すフローチャートを用いて説明する。
【0030】
なお、これより説明する加減速マップ更新処理は、後述する仮想自車位置の算出処理とは別途実行されるものであり、例えば、仮想自車位置算出処理に対する割り込み処理等として実行されるものである。この割り込み処理が実行されるタイミングは、例えば、表示装置10の画面の更新周期(例えば1秒等)と同期するものである。
【0031】
まず、図2のステップS100では、自車両の現在位置、車速、および加速度を取得する。この自車両の現在位置は、位置検出器1によって検出され、GPS受信器5による検出位置は、上述のノードデータやリンクデータの座標(緯度と経度)と同じ形態で取得される。また、地磁気センサ2、ジャイロスコープ3、車速センサ4、加速度センサ6によって自車両の進行方向や走行距離に関する情報も同時に取得され、自律航行による現在位置の座標データの算出を行うとともに、地図データとのマップマッチングを行って、現在位置の検出精度の向上を図っている。
【0032】
また、取得した自車両の現在位置の座標から、自車両の位置する道路のリンクデータを参照して、現在位置の道路の車線数、道路種別、制限速度、及び市街地/郊外道路等に関する道路属性データを取得しておく。そして、この取得した道路属性データとともに、自車両の現在位置、車速、および加速度(以下、自車データと呼ぶ)を、現在の時間を付してRAMに記憶する。
【0033】
なお、道路属性とは、車線数、道路種別、制限速度、及び市街地/郊外道路を指し車線数を「1車線」、「2車線」、「3車線」、「4車線」、「5車線」、「6車線」、「7車線以上」の7通りに分類し、制限速度の分類については、高速道路「時速80、90、100、110キロ」の4通り、有料道路「時速60、70、80、90、100キロ」の5通り、一般道路「時速20、30、40、50、60、70、80キロ」の7通り、及び細街路「時速20キロ」の1通りの計17通りに分類したものである。すなわち、車線数(7通り)、制限速度(17通り)、及び市街地又は郊外を走行する道路(2通り)を掛け合わせた計238通りの道路毎に、自車データが記憶される。
【0034】
さらに、この自車データは、加速、減速、定速走行といった自車両の走行状態別に、各々RAMに記憶される。従って、上述の238通りと、自車両の走行状態の分類とを掛け合わせた合計714通りの自車データが最終的に記憶されることになる。また、自車データを記憶する際、サンプリングポイント(以下、SPと呼ぶ)と呼ばれる番号(例えば、1、2、・・・等)を付して記憶する。
【0035】
ステップS101は、ステップS100で取得した自車両の車速が所定値以下であるか否かを判断する。この所定値とは、自車両が停止状態であるか否かを決定する閾値であり、現在の自車両の車速が所定値以下である場合には、自車両は停止状態であるとして、ステップS107に処理を進める。また、現在の自車両の車速が所定値を超える場合には、自車両は走行状態であるとして、ステップS102に処理を移行する。なお、本実施形態における所定値は、例えば、時速5キロとするが、これに限らず、ユーザによって任意に設定できるものであっても良い。
【0036】
ステップS102では、自車両の車速変化が所定値以下であったか否かを判断する。これは、現在のSPと現在より1つ前のSPとにおける自車両の速度差が所定値以下であったか否かを判断するもので、つまり、自車両の進行方向に加減速が発生したか否かを判定する。
【0037】
もし、この車速変化が所定値以下の場合にはステップS103に処理を進め、これに該当しない場合にはステップS104に処理を移行する。なお、所定値とは、本実施形態では、時速3キロとするが、これに限らず、ユーザによって任意に設定されるものであっても良い。
【0038】
さらに、自車の車速の変化が負であるときに限り、別途設定された値以下であったか否かを判断してもよい。これにより、車速変化の判定にヒステリシス性を加味することができ、その結果、車速の微小変化に応じて、後述する加速・減速規範マップが無闇に変更されることを防止できる。なお、この車速変化を自車データの加速度に基づいて、この加速度値が所定値以下であるか否かを判断しても良い。
【0039】
ステップS103は、定速規範走行速度の算出を行う。この定速規範走行速度の算出は、自車両が現在位置する道路において、平均的に自車両が走行する速度を算出するものである。
【0040】
なお、この定速規範走行速度は、上述の道路属性毎に区分される、道路幅員(7通り)、制限速度(17通り)、及び市街地又は郊外を走行する道路(2通り)を掛け合わせた計238通りの道路毎の速度である。ここでは、自車両が現在位置する道路属性に一致する道路における、自車両の平均的な走行速度を算出してRAMに記憶する。このステップS103では、次式に示すような加重平均によって、定速規範走行速度を算出する。
【0041】
【数1】
定速規範走行速度={(デフォルトの定速規範走行速度)×(重み係数1)}+{(20SP前の車速)×(重み係数2)}+{(18SP前の車速)×(重み係数3)}+・・・+{(2SP前の車速)×(重み係数11)}+{(現在の車速)×(重み係数12)}
この加重平均による算出式では、予めRAMに記憶された238通りの道路属性毎のデフォルトとしての定速規範走行速度を用いており、以後、新たに算出した定速規範走行速度がデフォルトとして更新される。また、同式では、20〜2SP前の自車両速度を用いているが、これらについても、RAMに記憶された714通りの自車データのうち、自車両が現在位置する道路属性と一致し、かつ、定速走行状態での自車両速度を用いている。また、重み係数1〜12の値については、例えば、予め実験等によって求められるものである。
【0042】
ステップS104は、自車両の車速変化が増加であるのか否かを判断する。すなわち、このステップは、自車両は加速状態であるのか、或いは減速状態であるのかを判断するもので、これは車速変化の符号を参照することによって判断できる。もし、車速が正に変化した場合には、ステップS105に処理を進め、これに該当しない場合には、ステップS106に処理を移行する。
【0043】
続いて、ステップS105の加速マップ更新処理について、図3のフローチャートを用いて説明する。その後、ステップS106の減速マップ更新処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0044】
図3のステップS110は、自車両の直前の状態が加速状態以外であったか否かを判断し、加速状態以外であった場合には、ステップS111に処理を進め、これに該当しない場合には、ステップS112に処理を移行する。ステップS111では、自車データをRAMへ記憶する際に付するSPを初期化(1に設定)する。
【0045】
ステップS112では、自車両の状態として、定速走行状態を判定したか否かを判断し、定速走行状態を判定した場合には、ステップS113を進め、これに該当しない場合には、ステップS107へ戻る。
【0046】
ステップS113は、RAMに記憶されている、自車両の現在位置の道路属性に一致し、かつ、加速状態における加速規範マップを読み込む。なお、自車両の現在位置の道路属性は、地図データ入力器8に記憶されるリンクデータのうち、道路種別、道路幅員、及び車線数を参照することで可能となる。
【0047】
ここで、加速規範マップと、後述する減速規範マップとについて説明する。加速・減速規範マップは、各々238通り用意されており、自車両の現在位置の道路幅員(7通り)、制限速度(17通り)、及び市街地又は郊外を走行する道路(2通り)を掛け合わせた数の加速・減速規範マップが用意される。なお、これら道路幅員等の各々の分類については、ステップS100において説明した分類と同様であるので、説明を省略する。
【0048】
図11に加速規範マップの一例を、図12に減速規範マップの一例を示す。図11に示すように、加速規範マップは、加速終了時の速度(同図では時速40キロ)に到達するまでの車速と時間とによって表現され、また、図12に示すように、減速規範マップは、減速開始時の速度(同図では時速40キロ)から車速が時速0キロに達するまでの車速と時間とによって表現される。
【0049】
ステップS114では、714通りの自車データのうち、自車の現在位置の道路属性と一致し、かつ、自車両の走行状態が加速状態であり、さらに、直前に初期化したSPから定速走行状態を判定するSPまでの自車両速度と加速終了時点までに要した時間から、加速マップ(以後、実測加速マップと呼ぶ)を作成する。図13は、実測加速マップの一例である。同図に示すように、実測加速マップは、加速規範マップと同様に、加速終了時の速度に到達するまでの車速と時間とによって表現される。
【0050】
ステップS115では、実測加速マップによる加速規範マップの更新処理を行う。この更新処理とは、実測加速マップをステップS113において読み込んだ加速規範マップに反映させ、反映させたマップを新たな加速規範マップとするものである。例えば、図13に示した実測加速マップを新たな加速規範マップとして更新したりする。
【0051】
続いて、減速マップ更新処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。先ず、ステップS120は、自車両の直前の状態が減速状態以外であったか否かを判断し、減速状態以外であった場合には、ステップS121に処理を進め、これに該当しない場合には、ステップS122に処理を移行する。
【0052】
ステップS121では、自車データを記憶する際に付するSPを初期化(1に設定)する。ステップS122では、自車両の状態として停止状態を判定したか否かを判断し、停止状態を判定した場合には、ステップS123を進め、これに該当しない場合には、ステップS107へ戻る。
【0053】
ステップS123は、RAMに記憶されている、自車両の現在位置の道路属性に一致し、かつ、減速状態における減速規範マップを読み込む。なお、減速規範マップの詳細については、ステップS113において説明しているので省略する。
【0054】
ステップS124では、714通りの自車データのうち、自車の現在位置の道路属性と一致し、かつ、自車両の走行状態が減速状態であり、さらに、直前に初期化したSPから停止状態を判定するSPまでの自車両速度と、減速開始から停止するまでに要した時間から、減速マップ(以後、実測減速マップと呼ぶ)を作成する。実測減速マップは、図示していないが、実測加速マップと同様に、車速と時間とによって表現される。
【0055】
ステップS125では、実測減速マップによる減速規範マップの更新処理を行う。この更新処理とは、実測減速マップをステップS123において読み込んだ減速規範マップに反映させ、反映させたマップを新たな減速規範マップとするものである。例えば、実測加速マップを新たな減速規範マップとして更新したりする。
【0056】
そして、図2のステップS107において、新たな自車データが入力されたか否かを判断し、自車データが入力されるまで待機状態となる。そして、新たな自車データが入力された場合には、再びステップS100からの処理を繰り返す。
【0057】
このように、加減速マップ更新処理は、自車両が実際に走行する際の車速変動に基づくマップを生成している。そして、このマップは、238通りに区分された道路属性毎に作成され、かつ、自車両の加速・減速状態別に生成される(加速・減速規範マップ)。さらに、自車両が定速走行する平均的な速度を上述の238通りの道路属性毎に生成している(定速規範走行速度)。これらのマップ及び定速走行速度によって、238通りの道路における自車両の車速変動を再現することが可能となる。
【0058】
次に、この加速・減速規範マップと定速規範走行速度とを用いた、自車両の走行経路として選択しない各経路を仮想的に走行する仮想自車の位置を算出する処理について、図5〜図7に示すフローチャートを用いて説明する。
【0059】
カーナビゲーション装置に電源が投入されると、図5のステップS1に示す初期設定が実行される。この初期設定とは、各種センサの初期化処理、GPSやVICS等の外部との通信リンクの確立のための処理や、自車両の現在位置を検出する処理、及び後述する仮想自車位置算出において使用する変数の初期化等を含むものである。この初期設定が完了したならば、ユーザによる目的地の設定が行われる(ステップS2)。この目的地の設定においては、ユーザは、操作スイッチ群9を操作して目的地を入力する。
【0060】
ユーザによって目的地が設定されると、ステップS3において複数経路検索処理(複数経路探索手段)が実行される。この複数経路検索処理は、自車両の現在位置から目的地までの複数の経路が自動的に探索されるものであり、本実施形態では5つの異なる経路が探索される。この複数経路探索の方法については、例えば周知のダイクストラ法等が用いられる。
【0061】
ステップS4では、ステップS3で探索した5つの経路に対して、ユーザが走行を希望する1つの経路を指定する(経路設定手段)。このとき、例えば、5つの経路を表示装置10に表示される地図上に強調表示したり、経路毎の目的地までの走行距離や所要予想時間等を加えて表示したりして、ユーザに所望の経路を指定させる。
【0062】
また、ユーザによって指定されなかった各経路に対して、経路毎に識別可能な番号(例えば、2番ルート、3番ルート等)を付しつつ、各経路を構成するノードデータやリンクデータ等の地図データを経路毎にRAMへ記憶しておく。これにより、各経路のリンクデータから各経路の道路属性を参照することができる。
【0063】
ステップS5は、仮想自車位置の算出を実施するか否かをユーザに求める。ユーザは、操作スイッチ群9を操作して、仮想自車位置の算出に対する実施可否を入力する。そして、この実施可否に基づいて、仮想自車位置算出を実施する場合にはステップS6に処理を進め、仮想自車位置算出を実施しない場合には、本処理を終了する。
【0064】
ステップS6において、仮想自車位置の算出処理が実施された後、ステップS7では、ユーザによって、この仮想自車位置の算出処理を中断する操作があったか否かを判断する。そして、中断する操作がない場合には、ステップS8へ処理を進め、中断する操作があった場合には、ステップS9へ処理を移行する。
【0065】
ステップS8では、自車両が目的地に到着したか否かを判断し、自車両が目的地に到着していないと判断した場合には、ステップS6へ処理を移行し、再度仮想自車位置の算出処理が繰り返される。この繰り返し算出される周期は、例えば、表示装置10の画面の更新周期(例えば1秒等)と同期して実行される。また、自車両が目的地に到着したと判断した場合には、ステップS9に処理が進む。
【0066】
ステップS9は、例えば、図8に示すような、各経路における自車両や各仮想自車の進行結果が表示装置10の表示画面に表示される。各経路において、自車両又は各仮想自車が目的地に到着した場合には、目的地までの所要時間を表示し、また、目的地に到着していない場合には、目的地までの残りの距離や、その残りの距離を走行するのに要する時間等を表示する。
【0067】
次に、ステップS6における仮想自車位置の算出処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。ここで実行する処理は、ステップS4においてユーザが走行経路として指定しなかった4つの各経路(以下、仮想経路と呼ぶ)に対して、自車両の進行とともに4台の各仮想自車が各仮想経路を走行することを想定し、各仮想自車の位置を随時算出するものである。以後、1つの仮想経路を走行する1台の仮想自車の位置の算出処理を例に挙げて説明を進める。
【0068】
なお、各仮想経路を走行する各仮想自車は、自車両が走行経路上の出発地を出発した時刻と同時刻に出発したと仮定して算出される。従って、自車両が出発地を出発した時間をRAMに記憶し、この出発時間から出発後の経過時間を必要に応じて算出する。
【0069】
まず、ステップS10において、仮想自車が仮想経路上の信号機を有する交差点(以下、単に交差点と呼ぶ)を通過したか否かの判断を行う。ここで、仮想自車が仮想経路上の交差点を通過した場合にはステップS11へ処理を進め、これに該当しない場合にはステップS16に処理を移行する。なお、交差点の有無については、ステップS4においてRAMに記憶させた、仮想経路のノードデータの信号機の有無に関するデータを参照することで可能となる。
【0070】
また、選択した走行経路に仮想経路の一部が含まれる場合には、その区間に限り、仮想自車位置算出処理を実行せず、その区間を走行する自車両の車速変動パターンに基づいて仮想自車位置を算出しても良い。
【0071】
ステップS11は、仮想自車が前方の信号機を有する交差点で停止するか否かを判定する(交差点停止有無判定手段)。この判定については、例えば、予めユーザの運転する自車両が交差点の赤信号によって停止する確率を、実際に自車両が走行した結果から求めておき、この確率に基づいて、仮想自車が前方の信号機の有する交差点で停止(する/しない)の乱数を発生させて判定する。
【0072】
この他、例えば、仮想経路のうち、市街地内の信号機の有する交差点では、3分の1の確率(すなわち、3つの交差点のうち1つ)で必ず停止するように設定したり、郊外の信号機の有する交差点では、5分の1の確率で必ず停止するように設定したりして、この設定した確率に基づいて、仮想自車が前方の信号機の有する交差点で停止(する/しない)の乱数値を発生させて判定しても良い。
【0073】
ステップS12では、ステップS11において判定された結果に基づいて、仮想自車が前方の交差点で停止する場合には、ステップS13において交差点フラグをONに設定し、そうでない場合には、ステップS14において交差点フラグをOFFに設定する。
【0074】
なお、図示していないが、ステップS13において交差点フラグがONに設定された場合には、仮想自車が現在位置する仮想経路の道路属性と一致する減速規範マップと、前方の交差点より先の仮想経路の道路属性と一致する加速規範マップとを、RAMから抽出しておく。
【0075】
ステップS15は、仮想自車速度を算出する処理(仮想自車速度算出処理)を行う。この仮想自車速度処理は、仮想自車が現在位置する仮想経路を、その道路属性と一致する定速規範走行速度によって仮想自車が走行すると仮定して算出するものである。さらに、仮想経路における外部情報等によって、この定速規範走行速度を補正したりする。
【0076】
また、ステップS12の判断により、仮想経路上の信号機の有する交差点で停止すると判断された場合には、仮想自車が現在位置する仮想経路の道路属性と一致する減速規範マップの減速パターンから仮想自車速度を算出する。すなわち、仮想自車がこの減速パターンに従って減速するように算出される。そして、交差点で所定時間停止した後、仮想自車が現在位置する仮想経路の道路属性と一致する加速規範マップの加速パターンによって仮想自車を加速させるように仮想自車速度を算出し、加速終了後には、再び定速規範走行速度が仮想自車速度となる。この仮想自車速度算出処理について、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0077】
続いて、仮想自車速度算出処理について、図7のフローチャートを用いて説明する。同図のステップS20は、仮想自車の現在位置の仮想経路における基本走行速度を取得する。この基本走行速度とは、RAMに記憶される238通りの道路属性毎の定速規範走行速度を指し、すなわち、自車両の平均的な走行速度として算出された定速規範走行速度から、仮想自車が基本的に走行する速度を定めようとするものである。
【0078】
従って、このステップS20では、仮想自車が現在位置する仮想経路の道路属性を参照し、この道路属性と一致する定速規範走行速度をRAMから取得する。なお、仮想自車の現在位置の道路における道路幅員や道路種別等の道路属性は、RAMに記憶させた各仮想経路のリンクデータから参照することで可能となる。また、ステップS20においては、仮想自車の現在位置の道路属性が、以前位置していた道路属性から変更になった場合にのみ、定速規範走行速度を取得しても良い。
【0079】
ステップS21では、仮想自車の現在位置の道路における法定制限速度によって、基本走行速度を補正するか否かの判断を行う。この判断は、予めユーザに対して、仮想自車を法定制限速度で走行させるか否かを指定させておき、その指定した結果に基づいて判断する。ここで、基本走行速度を法定制限速度で補正すると判断した場合には、ステップS22へ処理を進め、それに該当しない場合にはステップS24に処理を移行する。なお、法定制限速度は、仮想自車の現在位置の道路に対応するリンクのリンクデータの法定制限速度を参照することで取得できる。
【0080】
ステップS22は、上述の法定制限速度と、ステップS20において求めた基本走行速度との大小関係を比較し、基本走行速度が法定制限速度以上である場合には、ステップS23へ処理を進め、該当しない場合には、ステップS24へ処理を移行する。
【0081】
ステップS23では、基本走行速度を法定制限速度に変更する。これにより、基本走行速度が法定制限速度よりも高い速度である場合には、仮想自車は法定制限速度を基本走行速度として走行するように設定される。
【0082】
ステップS24は、基本走行速度を季節、曜日及び時間帯による静的走行速度によって補正を行う。つまり、仮想自車の現在位置の道路に対応するリンクにおける静的走行速度を地図データ入力器8から参照し、現在の季節、曜日、或いは時間帯が該当する静的走行速度を、基本走行速度として書き換える。
【0083】
ステップS25では、仮想自車の現在位置の仮想経路に係わる道路交通情報が外部から取得されているか否かを判断する。この外部からの道路交通情報とは、前述のようにVICSやインターネットを介して取得される情報である。ここで、道路交通情報が取得されている場合には、ステップS26へ処理を進め、これに該当しない場合にはステップS27に処理を移行する。
【0084】
ステップS26(動的走行速度算出処理)では、取得した道路交通情報が仮想自車の進行を妨げる渋滞や規制等の情報であるか否かを判断する。そして、仮想自車の進行を妨げる上述のような情報であれば、この外部からの道路交通情報に基づいて、仮想自車が位置する道路の平均的な走行速度(以下、動的走行速度と呼ぶ)を算出する。
【0085】
例えば、VICS等では、通常、一定区間を通過するのに要する時間が提供されるため、その一定区間の距離をRAMに記憶させたリンクデータのリンク長に基づいて算出し、この一定区間の距離を所要時間で除することによって、動的走行速度を算出することができる。従って、この算出された動的走行速度を基本走行速度として変更する。
【0086】
ステップS27においては、最終的な仮想自車速度を設定する。なお、ステップS14において、交差点フラグがOFFに設定されている場合には、これまでに補正等をしながら算出した基本走行速度を、最終的な仮想自車速度として設定し、このステップの処理を終了する。
【0087】
一方、交差点フラグがONに設定される場合には、既にステップS13においてRAMから抽出した、仮想自車が現在位置する仮想経路の道路属性と一致する減速規範マップと、前方の交差点より先の仮想経路の道路属性と一致する加速規範マップから仮想自車速度を求める。
【0088】
まず、減速規範マップから、仮想経路上の前方の交差点付近に位置する減速開始地点を算出する。これは、減速開始時の車速に対して、減速を開始してから終了するまでに要する時間を乗ずることで算出することができる。但し、仮想自車は、これまでに算出した基本走行速度によって、現在位置する道路を走行するため、必ずしも減速規範マップの減速開始時の車速と一致しないことがある。その場合には、基本走行速度を減速開始時の車速とするように、減速規範マップを補正する。
【0089】
例えば、図14(a)に示すように、減速開始時の車速よりも基本走行速度の方が大きい場合には、減速開始時の車速と減速開始後の車速とから外挿して時間軸を補正し、減速開始時の車速を基本走行速度となるように減速規範マップを補正する。或いは、図14(b)に示すように、減速開始時の車速よりも基本走行速度の方が小さい場合には、減速開始時の車速と減速開始後の車速とから内挿して時間軸を補正し、減速開始時の車速を基本走行速度となるように減速規範マップを補正する。
【0090】
そして、仮想自車の現在位置が、算出した減速開始地点に到達しているか否かを判断し、減速開始地点に到達していない場合には、仮想自車速度を基本走行速度として設定する。また、減速開始地点に到達している場合には、減速規範マップから仮想自車速度を抽出する。
【0091】
あるいは、仮想自車位置が減速終了地点、すなわち、交差点に到達して場合には、仮想自車速度を時速0キロとして設定する。さらに、この時速0キロの状態を所定時間継続するようにする。この所定時間は、例えば、予めユーザの運転する自車両が交差点の赤信号によって停止する平均時間を求めておき、この平均時間を経過するまで、仮想自車速度を時速0キロとする。この他、ユーザによって任意にこの所定時間が設定できるようにしても良い。
【0092】
上述の所定時間が経過した以降は、前方の交差点より先の仮想経路の道路属性と一致する加速規範マップから、仮想自車速度を抽出する。なお、この前方の交差点より先の仮想経路の道路における基本走行速度と、加速規範マップの加速終了時の車速とが一致しないことがある。その場合には、上述の減速規範マップのように、外挿/内挿等によって加速規範マップを補正する。
【0093】
このように、仮想自車速度は、自車両の平均的な走行速度である定速規範走行速度と、自車両の平均的な車速変動パターンである加速・減速規範マップとによって算出される。さらに、仮想自車速度は、外部からのリアルタイムな情報を利用して、現実に自車が仮想経路を走行したときに遭遇するであろう、渋滞や規制等による車速変動をも考慮されている。
【0094】
ステップS16は、ステップS15において算出された仮想自車速度から仮想自車の位置を更新する。この仮想自車位置の更新処理は、表示装置10の画面の更新周期(例えば1秒等)と同期して実行されるので、例えば、仮想自車が1秒間に進む距離を仮想自車の速度から仮想自車の位置を算出し、仮想自車の移動距離に応じて位置を更新する。
【0095】
ステップS17では、ステップS16の仮想自車位置の更新によって、仮想自車が目的地に位置する、つまり、仮想自車が目的地に到着したか否かを判断し、目的地に到着した場合には、到着結果表示処理(ステップS18)に処理を進める。また、目的地に到着していないと判断した場合には、ステップS7へ処理を移行し、ステップS8の処理を経て、再度仮想自車位置算出処理が繰り返し実行される。
【0096】
ステップS18では、例えば、図9に示すように、ユーザに対して仮想自車が目的地に到着したことを報知する。また、図10に示すように、どの仮想経路を走行する仮想自車が目的地に到着したのかがわかるような表示をしても良い。このとき、目的地に到着した仮想自車13や仮想経路を示す番号14を強調して表示したりすると良い。
【0097】
このように、本発明のカーナビゲーション装置は、ユーザが運転する車両の車速変動パターンを学習し、この車速変動パターンから作成した加速・減速規範マップに基づいて、各仮想経路における仮想自車の位置を算出する。従って、仮想自車は、ユーザが運転する車両と同じような車速変動パターンで走行するようになり、算出される仮想自車の位置は、あたかもユーザ自身が運転した場合と同じような結果となる。
【0098】
これにより、走行経路を走行するユーザに対して、例えば、仮想自車が目的地に到着したとき、その仮想自車の走行した経路を提供することで、経路毎の各車両の進行状況を比較することができる。また、自車が目的地に到着した際には、各経路の仮想自車の進行結果をユーザに提供することで、次回に同じ出発地から目的地までの経路を走行する場合、どの経路を選択すれば最短時間で目的地に到達できるか等の判断とすることが可能となる。
【0099】
また、季節、曜日、或いは時間帯等の道路毎の静的な走行速度を記憶しておき、この静的な走行速度に基づいて仮想自車の位置を算出することで、現実に発生しそうな渋滞等による走行速度の低下を再現することが可能となり、その結果、より現実の走行にマッチした仮想自車の位置を算出することが可能となる。
【0100】
さらに、VICSやインターネットから入手される外部情報による動的走行速度に基づいて仮想自車の位置を算出することで、現実に発生している渋滞や通行規制等を加味した仮想自車の位置を算出することができる。この他、経路に含まれる交差点での停止有無を加味して、仮想自車の位置を算出することで、より現実の走行状況にマッチした仮想自車の位置を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係わる、カーナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係わる、加減速マップ更新処理を示したフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係わる、加速マップ更新処理を示したフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係わる、減速マップ更新処理を示したフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係わる、カーナビゲーション装置の処理を示したフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係わる、仮想自車位置算出処理を示したフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係わる、仮想自車速度算出処理を示したフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係わる、結果表示処理における表示装置10の表示イメージ図である。
【図9】本発明の実施形態に係わる、到着結果表示処理における表示装置10の表示イメージ図である。
【図10】本発明の実施形態に係わる、到着結果表示処理における表示装置10の表示イメージ図である。
【図11】本発明の実施形態に係わる、加速規範マップを示した図である。
【図12】本発明の実施形態に係わる、減速規範マップを示した図である。
【図13】本発明の実施形態に係わる、実測加速マップを示した図である。
【図14】(a)及び(b)は、本発明の実施形態に係わる、減速規範マップの補正を示した図である。
【符号の説明】
1 位置検出器
2 地磁気センサ
3 ジャイロスコープ
4 車速センサ
5 GPS受信機
6 加速度センサ
7 ナビECU
8 地図データ入力器
9 操作スイッチ群
10 表示装置
11 VICS受信機
12 携帯電話接続装置
Claims (8)
- 道路地図データを格納する地図データ格納手段と、
出発地から目的地までの複数経路を前記道路地図データに基づいて探索する複数経路探索手段と、
該複数経路探索手段によって探索された複数経路のうち、1つの経路を走行経路として設定する経路設定手段とを備えるカーナビゲーション装置であって、
車両の速度を検出する車速検出手段と、
前記車速検出手段により検出される車両の速度に基づいて車両の速度変動パターンを学習する車速変動パターン学習手段とを有し、
該車速変動パターンに基づいて加減速を行う仮想的な車両が、前記走行経路を走行する車両の出発時刻と同時刻に前記走行経路以外の各経路を出発したと仮定して、出発後の前記各経路における前記仮想的な車両の位置を各々算出する仮想自車位置算出手段を有することを特徴とするカーナビゲーション装置。 - 前記カーナビゲーション装置は、季節、曜日及び時間帯別に道路毎の静的走行速度を記憶する静的情報記憶手段をさらに備え、
前記仮想自車位置算出手段は、前記静的情報記憶手段によって記憶される前記道路毎の静的走行速度に基づいて前記仮想的な車両の位置を算出することを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーション装置。 - 前記カーナビゲーション装置は、車両の外部から道路交通情報を受信する外部情報受信手段と、
該外部情報受信手段によって受信される道路交通情報から、前記走行経路以外の各経路に該当する道路の動的走行速度を算出する動的走行速度算出手段とをさらに備え、
前記仮想自車位置算出手段は、前記動的走行速度算出手段によって算出される前記道路の動的走行速度に基づいて前記仮想的な車両の位置を算出することを特徴とする請求項1又は2記載のカーナビゲーション装置。 - 前記カーナビゲーション装置は、前記車両が交差点で停止する確率を算出する交差点停止確率算出手段と、
前記仮想的な車両が、前記走行経路以外の各経路上の各交差点に停止するか否かを前記確率に基づいて判断する交差点停止有無判定手段とをさらに備え、
前記仮想自車位置算出手段は、前記交差点の停止有無を加味して前記仮想的な車両の位置を算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。 - 前記カーナビゲーション装置は、前記走行経路以外の各経路における前記仮想的な車両が前記目的地に到着した場合、この到着に関する情報をユーザへ報知する報知手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。
- 前記車速変動パターン学習手段は、
前記速度変動パターンとして、車両の加速状態の規範となる加速規範マップ、減速状態の規範となる減速規範マップ、及び定速走行状態の規範となる定速規範走行速度を有し、
前記加速規範マップ、及び前記減速規範マップは、前記車両が実際に走行する際の車速変動に基づいて生成し、
前記定速規範走行速度は、平均的に前記車両が走行する速度から生成するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。 - 前記仮想自車位置算出手段は、前記仮想的な車両が前記定速規範走行速度に基づく基本走行速度で走行するものとして算出し、
前記交差点停止有無判定手段が前記仮想的な車両が前方の交差点で停止すると判定したとき、前記減速規範マップにおける減速開始時の車速が前記基本走行速度と一致しない場合には、前記減速開始時の車速を前記基本走行速度となるように前記減速規範マップを補正する減速規範マップ補正手段を備え、
前記仮想自車位置算出手段は、前記減速規範マップ補正手段によって補正された減速規 範マップを用いて前記前方の交差点付近に位置する前記仮想的な車両の減速開始地点を算出することを特徴とする請求項6記載のカーナビゲーション装置。 - 前記加速規範マップの加速終了時の車速が前記前方の交差点より先の経路における基本走行速度と一致しない場合には、前記加速終了時の車速を前記基本走行速度となるように前記加速規範マップを補正する加速規範マップ補正手段を備え、
前記仮想自車位置算出手段は、前記仮想的な車両が前記前方の交差点に到達して所定時間が経過した以降は、前記加速規範マップ補正手段によって補正された加速規範マップを用いて前記仮想的な車両の位置を算出することを特徴とする請求項6記載のカーナビゲーション装置。
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